第 23 回卒後教育セミナー 特発性肺線維症診療における最新の知見

第 23 回卒後教育セミナー
特発性肺線維症診療における最新の知見
近藤 康博
公立陶生病院呼吸器アレルギー疾患内科
特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis; IPF) は、診断確定後の MST が 3-4 年
の予後不良の疾患であるが、ここ数年、診療の新知見が集積されている。2011 年に、国際
ガイドラインによる IPF 診断基準が改定され、臨床所見に加え、画像・組織診断の組み合わ
せで診断が行われるようになった。診断には確信度が要求され診断の精度が高まり、結果と
して、IPF も他の診断基準を満たさない、いわゆる分類不能の間質性肺炎の存在が浮き彫り
となった。さらに IPF の診断には、膠原病の除外が重要であるが、確定診断はつかないもの
の疑わしい基準として IPAF (interstitial pneumonia with autoimmune features) という
概念が提唱され、その意義については検証過程である。治療薬では、昨年秋に、ピルフェニ
ドンに引き続く 2 剤目の抗線維化薬としてニンテダニブが上市され、治療介入が急速に増
えつつある。そして、2 剤の使い分け、併用についても議論されている。予後不良とされる
急性増悪についても、その頻度、予後、危険因子など新たな知見が集積され、実臨床に即し
た新診断基準が提唱予定である。また、種々薬物療法、呼吸管理、血液浄化法等の試みによ
り予後も改善されつつある。
今回のセミナーでは、日常診療に役立つよう上記 IPF 診療における最新の知見を概説した
い。