第3号 繊維業界の需要動向

第3号
平成 28 年 3 月 31 日
繊維業界の
繊維業界の需要動向
需要動向
期間:平成 28 年 1 ⽉〜3 月
作成:多可町商工会
≪定点観測≫ 全国の小売店の状況
① 日本チェーンストア協会 12 月〜1 月の販売⾦額
部門
⾐料品
紳⼠⾐料
婦⼈⾐料
1 月(万円)
11,375,935
10,728,584
7,495,841
101.2%
2,947,289
3,155,116
2,344,935
99.6%
2,452,274
2,358,444
2 月(万円)
2月
前年同⽉⽐
12 月(万円)
1,454,280
98.0%
その他の⾐料・洋品
5,976,372
5,215,024
3,696,626
103.6%
○紳⼠⾐料
スーツ、ジーンズの動きは良かったものの、ジャケット、スラックス、アウター等は苦
戦した。
○婦⼈⾐料
スーツ、コート、ジャケット等の動きが良かったが、フォーマル、ジャケット、スカー
ト、カジュアルパンツ等の動きは鈍かった。カットソーは前半好調だったが、後半は苦戦
した。
○その他⾐料・洋品
女児トレーナー、パジャマ、靴下などが好調だったが、子供服・肌着、婦人ブーツ手袋
などは不調に終わった。手袋、帽子、マフラーなどは、1 月はよい動きがあったものの、
他の月では苦戦した。
② 百貨店 12 月〜2月の販売⾦額
部門
12 月(百万円)
⾐料品
紳⼠⾐料
婦⼈⾐料
子供服・洋品
その他の⾐料品
189,968
46,519
1 月(百万円)
199,699
131,329
43,024
25,879
13,805
10,455
116,909
129,993
13,835
12,875
12,702
2 月(百万円)
85,109
9,884
・暖冬の影響により客足が好調だったほか、クリスマス、正月、バレンタインなどイベン
トの多い季節柄、百貨店の売上は比較的安定していた中で、衣料品に関しては、4 ヶ月
連続のマイナスとなった。
・12 月は防寒衣料等が低調だったが、一部地区では薄手のジャケットなどが好調だった。
1 月は、春物ニットやワンピースが活発化した店舗が一部であった。
・2 月前半は、北日本を中心に重衣料が売れず、後半は気温低下で春物が伸び悩んだ。婦
人・子供服・洋品は、特にシニアが苦戦。唯一、ラグジュアリーブランドのバッグなど
高額雑貨を中心とする身の回り品が僅かな伸びを見せた。
③ 国内の衣類の消費動向
●総務省「家計調査」における今期(H27.10〜12)の「被服および履物」への⽀出状況
◎ 前年同期に比べ、世帯の消費支出に占める被服及び履物への割合が低下している。
◎ 季節柄もあるが、例年以上に和服の消費が伸びている。一方で、生地・糸などの素材
や下着類が低迷している。
総世帯の1世帯あたり1ヶ月の消費支出額
うち被服及び履物への⽀出額
和服
洋服
シャツ・セーター類
「被服及び履物」
下着類
への
支出の内訳
生地・糸類
他の被服
その他(履物・関連サービス)
250,955 円
割合
前年同期⽐
10,480 円 100.0%
-9.7%
196 円
1.8%
83.2%
4,339 円
41.4%
-9.5%
2,036 円
19.4%
-9.5%
937 円
8.9%
-15.3%
104 円
0.9%
-24.1%
937 円
8.9%
-13.6%
1,930 円
18.4%
*
(参照:総務省「家計調査」)
≪ネット上に⾒られる繊維業関連の需要動向≫
① 2017 年春夏コットン素材傾向
2 月に開催された、2017 年春夏向けテキスタイルを発表する国際的な見本市(プルミエー
ルヴィジョンパリとミラノ・ウニカ)に関して、一般財団法人日本綿業振興会のファッシ
ョンディレクター柳原美紗子氏によるレポートから、今後のトレンドや需要を分析する。
◎素材特性
・スポーツウェアを普段着に取り入れる「アスレジャー」への流れから、ストレッチ素
材への要求が高まりつつある。特に、ジェンダーの枠を超える傾向が強い中で、スー
ツ地をはじめ、メンズでもストレッチ素材が不可欠となってきている。
・アウターにシースルーを取り入れる傾向があり、透ける素材に撥水加工を施したコー
ト地や、カットジャカードによる透明・不透明のコントラストがよく見られた。
・デニムなどインディゴブルーの素材の人気が続いている。特に、従来のスポーティー
なイメージから脱して、ドレス向けの洗練されたシャツ向けテクスチャーなどフォー
マルな用途にも使えるデニムが注目されている。
・麻や麻混を使用したものや、糸使いで凸凹感を出したり表面感の剥げたデニムなど粗
野な表情を演出した素材が人気を集めている。
◎デザイン
・ストライプが人気で、とくに白を組み合わせた爽やかなボーダーストライプが好評。
ぐらついていたり手描き風だったり、グラフィカルで不規則に変化するものが多い。
・スラブ、ネップなどの意匠糸や織り編み効果、ウォッシュ加工や波状のうねりを感じ
させるジャカード、手織りのようなスーツ地など、表面に意外性や⽴体感を感じさせ
るものが見られる。
・メンズでも大柄な花やレースをあしらったジェンダーレスの傾向がうかがえる。
・アフリカの部族の伝統にインスパイアされた構築的な織りや抽象柄など、力強いデザ
インが目に付く。
◎カラー
・ピンクやオレンジ、ブルー、ターコイズ、ラベンダー、アップル・グリーンなど。花
や果実の色に感化された美味しそうなカラー、小粋な人目を引くカラーが目立つ。
② 子供服市場で好調な通信販売
・百貨店や量販店など店舗での販売に代わり、通信販売が伸びているが特に、子供服市場
は大人向けよりもサイズが統一されており、ネット販売が不得意な試着や裾上げ対応が
必要ないことから、通信販売が好調に推移している。ミキハウスの三起商行は中国の電
子商取引最大手アリババ集団の仮想商店街への出店も実現している。
≪参考 URL≫
日本チェーンストア協会 販売統計◆https://www.jcsa.gr.jp/public/statistics.html
日本百貨店協会◆http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list
日本経済新聞 電子版◆http://www.nikkei.com/
総務省統計局家計調査報告◆http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/shihanki/index.htm
(一財)日本綿業振興会◆http://cotton.or.jp/pr2016-03-22.html