INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.52
ネパール・カトマンズ
ピルグリムズ・ブックハウス
︿ ピ ル グ リ ム ズ・ ブ ッ ク ハ ウ ス ﹀ は、 タ
在地を確認した。
チョークと呼ばれる広場があり、そこで現
複 雑 な の で 迷 っ て し ま う。 要 所 要 所 に
区で、地図を見ながら歩いていても路地が
七十万人弱である。市の中心地はタメル地
古書が約千冊陳列されていた。販売はして
が、喫茶室の壁面にガラスケースの書棚に
相応しい。喫茶室三十席が一階奥にあった
部屋はすべて通過できる構造になっている。
ディズム室である。個室化陳列であるが、各
芸 術 書 室、十 一.ヒ ン ズ ー 教 室、十 二.ブ ッ
未 就 学 室、八.言 語 室、九.ビ ジ ネ ス 室、十.
歴史・政治室、五.こども室、六.絵本室、七.
一.自然史室、二.宗教室、三.小説室、四.
室化されたジャンルは次の通り。
ノセ事務所
能勢
仁
カトマンズはネパールの首都であると同
メル地区の一等地にあるカトマンズの代表
時 に ヒ マ ラ ヤ 登 山 の 玄 関 で あ る。 人 口 は
的な書店である。創業一九八四年の老舗で、
いない。
二階
前記列挙した個室のジャンル
ジ︵山岳者用︶
ル紅茶、香料、石鹸、刺繍、仏具、バッ
旅行書、写真集、ポストカード、ネパー
一階 新刊書、ベストセラー、山岳専門書、
品揃えは次の通り。
山岳書コーナーの充実はヒマラヤ登山に
一階一五〇坪、二階八十坪の総合専門書店
で あ る。 従 業 員 は 殆 ど 男 性 で 二 十 人 前 後、
グッズ売り場︵土産物、紅茶、石鹸等︶に
奥行きは三十間︵五十四メートル︶と深
女性が五人ほどいた。
い。売場がジャンルにより個室風に独立売
場になっているのに驚かされた。二階の個
(表紙題字・陳舜臣)
4月
と う と う ス ミ レ の 花 が さ き ま し た。
線路の赤茶けた石のあいだに、かがや
くようなむらさき色のスミレが一つさ
きました。たった一つでしたが、その
ために、あたりの世界がぱあっと明る
くはなやいだようでした。
﹃クレヨン王国いちご村︵新装版︶﹄
福永令三著︵講談社青い鳥文庫︶より
世界の本屋さん
著書を語る
○
﹁書標﹂歳時記
月
科
学
1
森山
あみ
2
﹃みつばち高校生 富士見高校
養蜂部物語﹄執筆に寄せて
ようちえん、ほいくえんってどんなところ?
書標・書評
﹃人生パンク道場﹄ほか
特集
臺灣のレッスン
会
書
書
芸
術
コ ン ピ ュ ー タ
書
学校ってどんなところ?
今月のおすすめ
社
インフォメーション
本屋うらばなし
﹁改装して思うこと﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
4
6
4 52
学
自 然 科 学
医
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
26 25 23 21 19 16
10
27 25 24 22 20 18
30 28
528
著書を語る
○
︱︱
﹃みつばち高校生 富士見高校養蜂部物語﹄執筆に寄せて
森山
あみ
富 士 見 高 校 養 蜂 部 は、﹁ ミ ツ バ チ を 飼 い た い ﹂ と い う、
な寒さの中、私を迎えてくれたのは元気いっぱいの生徒た
ひとりの女生徒の発案から始まった。最初は野生のミツバ
八ヶ岳を臨む長野県富士見高校には、全国でも珍しい養
興味を持ち、ネットで調べてみると、富士見高校養蜂部
チを捕獲できずに、地域の篤志家から群れを分けてもらう
ち だ っ た。﹁ こ ん に ち は ー﹂ と 挨 拶 し な が ら 駆 け て 来 る パ
は創部三年目にして﹁日本学校農業クラブ全国大会﹂のプ
形で活動をスタートさせた。初めての採蜜、巣別れ、天敵
ワーに圧倒され、思わず後ずさってしまった。ストーブの
ロジェクト発表部門で日本一になったらしい。これは使え
スズメバチとの闘い、ミツバチと過ごす日々は驚きと感動
蜂部がある。私がこのことを知ったのは、まったくの偶然
る︱︱と思った。脚本の仕事をしている関係上、ドラマに
に満ちている。最初はおっかなびっくりだった部員たちも、
上でヤカンが湯気を立てるプレハブの部室でインタビュー
できそうなネタには常にアンテナを張り巡らしている。養
すぐにミツバチの可愛さに魅了されたという。ミツバチを
からだった。偶然見た長野のローカルテレビで、偶然にも
蜂部への最初の食い付きは、活動への興味というより、ビ
飼う上で、自然あふれる環境作りは欠かせないものだ。そ
養蜂部が取材されていた。見た時すぐには高校生の部活だ
ジネスになるという、いささか生臭いものであったことは
してそれは、地域の人たちの理解と協力なくしては成し得
開始。そこで語られた内容に、私はすっかり引き込まれて
否定できない。まずは本にしたいと思い、企画書を出版社
ない。富士見高校養蜂部は、緑を増やすガーデンづくりや、
しまった。
に持ち込んだところ、幸先よくある大手から前向きな返事
ミ ツ バ チ を 知 っ て も ら う た め の 寸 劇﹁ ハ チ さ ん 劇 場 ﹂、 ハ
とは分からなかった。生徒たちはミツバチの着ぐるみを着
をいただいた。伝手を頼って養蜂部顧問の北原先生に取材
て、すごく楽しそうに活動していたからだ。
を申し込んだのが平成二十五年一月のこと。凍てつくよう
−2−
528
花プロジェクト﹂として、町ぐるみの活動へと大きく発展
そ し て ミ ツ バ チ が 喜 ぶ 環 境 づ く り は、﹁ 富 士 見 み つ ば ち 百
チミツを活かした料理作りなど、活動の幅を広げていった。
もある。みんなの中にある、養蜂部での楽しい思い出を汚
徒さんから﹁事実と違う﹂とやんわりお叱りを受けたこと
どうしても失敗談や苦労話を伸ばしたくなってしまう。生
と考えたりもした。しかし先生や生徒さんたちに我慢強く
してしまうのではないかと、いったんは執筆を見送ろうか
養蜂部がいかに地域の人たちに愛されているかを知る機
お付き合いいただき、みんなが納得する形でこの本を世に
した。
会があった。取材を始めて二ヶ月後のことである。部が平
出せたのは嬉しいかぎりである。
今、世間は農業高校がブームだそうだ。農業高校には地
成二十四年に日本学校農業クラブ全国大会で優勝したこと
域を元気にする力がある。取材を通して、若い世代が本当
を 祝 っ て、︵ 全 国 の 農 業 系 高 校 生 の 集 い。 こ の よ う な 大 会
が あ る こ と も 取 材 で 初 め て 知 っ て 興 味 深 か っ た ︶、 地 域 の
に頑張っているのだということを学ばせてもらった。
栄である。
動の息吹を少しでも感じていただけたなら、作者として光
自然や地域と共にある、みつばち高校生たちの喜びや感
人たちが祝賀パーティーを催したのに私も参加させても
やお餅を食べながら生徒たちの快挙を祝う地域の人たちの
−3−
ら っ た の だ。 町 の 公 民 館 で、 手 作 り の 郷 土 料 理﹁ お や き ﹂
笑 顔 は 温 か っ た。﹁ 優 勝 で き た こ と よ り も、 地 域 の 人 た ち
に喜んでもらえたのが嬉しい﹂と語る先生の涙も見た。そ
こ で 初 め て、﹁ こ の 本 は 中 途 半 端 な 気 持 ち で 書 い て は い け
ない﹂と身を正される思いがした。
みんなから激励を受け執筆を始めたが、途中で出版社の事
情から企画が頓挫してしまった。
﹁あんなに応援してもらっ
たのに顔向けができない﹂と意気消沈していたところ、北原
先生から長野市にある出版社・リンデン舎さんをご紹介いた
だいた。
﹁いい企画なので、ぜひとも本にしましょう﹂とい
本書の内容は、養蜂部創部から農業クラブで全国優勝す
う豪気な社長のひと言で、出版は一気に現実味を帯びた。
るまでの約三年間がドラマ仕立てで書かれている。インタ
ビ ュ ー を 元 に し て い る が、 私 が 脚 本 家 と い う こ と も あ り、
『みつばち高校生
富士見高校養蜂部物語』
リンデン舎・1,500 円
﹃人生パンク道場﹄
なだけあって、常人では思いつかないと
る。そしてやはりそこは町田康氏の回答
是非を問うと共に、人類の生きる根源的
に起こりうることを予想し、その未来の
替・超越してしまう。結果、人間は働く
な意味を考える。技術的特異点とは、科
必要性を失い、欲するものはすべて与え
学 技 術 の 進 歩 が 超 高 速 化 す る 時 を 指 す。
や は り 町 田 康 氏 は た だ も の で は な い。
られ、一瞬にしてあらゆる知識をインス
ころからの視点での解決方法で、おおー
そんなただものではない町田康氏の〝人
トールでき、その身は限りなく苦痛を忘
特異点を超えると、人工知能は今まで人
人生相談本は数多く存在し、さまざま
生パンク道場〟にこの本を読めば道場の
れた不老不死へと近付く。さて、人工知
と感服しきりなのである。その思考方法
な方々が人々の悩みを聞き、そして答え
門をくぐったも同然。きっと人生を強く
能の発達は、諸手をあげて享受すべきか、
間が担ってきた活動を余すことなく代
ている。その答えには往々にして、答え
可笑しくそしてまじめに生きていけるこ
はどこから生まれてくるものなのか、な
る人の人柄や性格が如実に表れる。
とだろう。私は門をくぐって師匠からた
にか嫉妬すら覚えてしまうほどだ。
そんな人生相談を町田康氏が聞いたら
何がなんでも回避すべきか。
KADOKAWA・一五〇〇円
町田
康著
どうなるのか。これは面白くなるに違い
ていただいた。一人でも多くの方に門を
くさんの生きていくためのヒントを教え
はなにか、意識とは、幸福とは、生きる
は﹁機械は思考する﹂と言った。思考と
人工知能の父とよばれたチューリング
なく、何の疑いようもないとそんな心持
︵羊︶
意味とはなにか。人工知能を考えること
き や、 全 く そ ん な こ と は な か っ た の だ。
我が道をゆく的な回答が多いのかと思い
の一次予選を通過するまでに至った。人
コールセンターに就職を決め、星新一賞
を続けている。プロの棋士を打ち負かし、
台場時生著 日本実業出版社・一六〇〇円
人工知能の分野は日々めざましい進歩
ンス・フィクションの世界は目の前に迫
がつかない。我々が親しんできたサイエ
はしないか︶を予想していく。
人類がどのように進化をするか︵あるい
進化の最終点に人類を置き、さらに今後
は、人間を考えることだ。著者は生物的
とにかく一つ一つの質問に対し、真剣に
間側がこれらの出来事を幼児の成長を見
﹃人工超知能が人類を超える﹄
ぜひくぐってほしい。
で読んだら、いい意味で予想を裏切られ
た。面白いことは間違いないのだが、タ
イトルの﹃人生パンク道場﹄という言葉
からおおよそ想像するには、パンクとあ
向き合っているのだ。質問を根本から問
るように微笑ましく思えるのはいつまで
るのだからなにか型にはまらない自由な
い、着実に解決への方向へ導いているの
り、今日も人間の根幹を揺さぶり続けて
いる。
︵傘︶
十分に発達した人工知能は神と見分け
である。とはいっても、背筋がかゆくな
の話だろうか。
本書は、近い未来に訪れる技術特異点
るような、ポジティブでただ上辺だけの
回答ではないのがまたなんとも信頼でき
−4−
﹃マルクスと贋金つくりたち﹄
に自己増殖へと駆り立てられ続ける。
になる。資本という名のカネは、無条件
悩んで。様々な思いがとてもみずみずし
続ける。何が正解かもわからず、悩んで
そうなると、貨幣は尺度として盤石で
岩波書店・二七〇〇円
はなくなる。モノの本当の価値を量る何
出会いが生け花教室なだけに、作中には
大黒弘慈著
人 は 決 し て 一 人 で は 生 き て い け な い。
花がたびたび登場する。その花が場面ご
困難である。その困難の解決に、古今東
経済の困難とは、人間が生きることの
真正面から向き合うことで、自分とも向
とに、更なる彩りを加える。そして花と
そんな主人公と年下の﹁センセイ﹂の
生きていくために必要なものを、自分だ
かが他にあるのではないか? 労働時間
く描かれている。
けで作り切ることは、できないからだ。
が尺度と考えられたりした。
合う。交換は、必ず異なったモノで行わ
き合うことが出来る。生け花まではいか
そうして、人は他の人とモノを交換し
れる。そうでないと交換の意味がない。
西多くの賢人が悪戦苦闘してきた。
換されるそれぞれの量が妥当かどうかの
て欲しい﹂と言ったディオゲネスが、
元﹁贋
に﹁望みは?﹂と訊かれて﹁そこをどい
それにしても、アレクサンドロス大王
い。これは恋愛だけにいえることではな
それが必ずしもプラスに働くとは限らな
人間は、考えてしまう生き物だ。だが、
から少し花を見る目が変わる予感がした。
なくとも、道端に咲く野花でもいい。これ
他の人との間での異なったモノの交換
尺度は何か? 尺度は、交換される二つ
金つくり﹂だったとは。哲学は鋳造貨幣
が妥当なものであるという判断基準、交
のモノとは別のモノでなくてはならない。
いが、恋愛では特に顕著に現れるのでは
とともに始まった⋮⋮。面白い。 ︵フ︶
ないか。﹁愚か者の得意なフットワーク﹂
ところが、尺度となった途端、貴金属
何の役にも立たない貴金属であった。
ばれたのは、それ自体実は人間にとって
なければならない。尺度=貨幣として選
交換されるすべてのモノとは別のモノで
来ずに相手を突き放してしまう。とっく
化を畏れ、気持ちを受け入れることが出
持ちが通じ合う喜びを知る。それでも変
ない。どうしようもなく惹かれ合い、気
と例えるが、これは十代だけの特権では
よ く 十 代 の 恋 愛 模 様 を﹁ 甘 酸 っ ぱ い ﹂
中村
幻冬舎・一四〇〇円
航著
きれい、だと思った。
れることだろう。
間、きっと一歩踏み出す勇気を与えてく
ワーク﹂へと変わる瞬間がある。その瞬
の物語には、愚か者から﹁賢者のフット
きっと自分には何も残らない。しかしこ
得 る 前 か ら 失 う こ と を 畏 れ て い た ら、
いた言葉で、でも妙に納得した。確かに
うことを畏れる﹂ことらしい。初めて聞
うことを怖れる。得てもいないのに、失
﹃年下のセンセイ﹄
交換は、二人の人の間で、二つのモノ
によって行われるだけではない。交換は、
無限に連鎖していく。それらの交換が総
は 人 間 の 欲 望 の 対 象 と な っ た。 そ し て、
に終わりを迎えていたのかもしれないと
と い う 言 葉 が 出 て く る。﹁ 失 う 前 か ら 失
尺度=貨幣こそ人が何よりも手に入れた
感じながら、どうしても会いたいと待ち
体として妥当なものであるための尺度は、
い と 願 う モ ノ と な っ た。 す る と 貨 幣 は、
︵佐︶
それ自体が商品となり、交換されるよう
−5−
台湾を訪れた人は、たいてい台湾ファ
ン に な っ て 帰 っ て く る。 自 然 が 美 し い。
食べ物が美味しい。不思議な懐かしさを
感じる。そして一番の魅力は、なぜそん
﹃図説
台湾の歴史﹄
︵平凡社/周婉窈著/三〇〇〇円︶
﹃台湾
四百年の歴史と展望﹄
︵中 央 公 論 新 社︵ 中 公 新 書 ︶ / 伊 藤 潔 著
なのか。
﹂
︵四方田犬彦﹃台湾の歓び﹄より︶
湾人の心情とは、いったいいかなるもの
に集め、平然と日本に送りつけてくる台
二百億円という驚異的な義援金を短期間
感じながらも、東日本大震災のおりには
に植民地化され、幾多の不平等と屈辱を
のような文化なのか。そしてかつて日本
た映画を産出してやまない台湾とは、ど
がら、きわめて実験的な文学や洗練され
れた空間に数多くの民族と言語を抱えな
湾とは、どのような社会なのか。濃縮さ
権から民主政権への軟着陸に成功した台
済発展を遂げ、長い時間をかけて軍事政
国﹄と正式国交を欠いたまま驚異的な経
﹁ い っ た い 日 本 と ア メ リ カ と い う﹃ 大
ばこんなふうに。
屈ではない。ここに挙げた二冊は定番的
づけるだろうし、第一その読書体験は退
それぞれの違いを認識するほど実態に近
こ と は な い、 何 冊 で も 読 め ば い い の だ。
場合はとくにその傾向が強い。でも悩む
像が異なるのはどこも同じだが、台湾の
書き手の出自、思想、時代によって歴史
ない︶という重層的な多民族社会がある。
たという意味を帯びるため台湾では使わ
住民﹂という言葉は既に絶滅してしまっ
省人﹂と呼ばれる︶、そして原住民︵﹁先
れ以前から台湾に住んでいた人々は﹁本
民 党 政 権 と 共 に 移 住 し た﹁ 外 省 人 ﹂︵ そ
降に対岸から渡った閩南系や客家系、国
く統治の大変動があり、また十七世紀以
鄭氏政権・清国・日本・国民党政権と続
い。大航海時代のオランダ支配に始まり
は当然の話だが、これがそう簡単ではな
台湾の理解に歴史の知識が不可欠なの
日本に縁の深い、当事者ですらある事
な通史らしく、多くの台湾本に引用・参
/七〇〇円︶
柄にもかかわらず、答えに窮する難問だ。
な に と 思 う ほ ど 人 々 が 優 し い。 け れ ど、
となれば、次の問いはこうである。私は
照 さ れ て い る。﹃ 台 湾
四百年の歴史と
0
0
0
0
0
−6−
好きになるほど疑問も増えてくる。例え
台湾について、何を知らないのか?
0
党政権は、故宮を中華だけではなくアジ
あることだ。二〇〇〇年に生まれた民進
は元の路線に戻した。いっぽう中国では、
れ、そしてあまりのスピードに
海外に流出した美術品を買い戻す﹁回流
真相が
か ら 歴 史 で は な く 文 学 で あ り、﹁ 文 学 だ
現象﹂が起きている。政治と文化の関係
展 望 ﹄ は コ ン パ ク ト で 読 み や す く、﹃ 図
けが、花や果物、線香やろうそくと同じ
に は、 ど ん な 深 淵 が あ る の だ ろ う か?
ア文化の博物館として変革しようとした
﹃台湾海峡一九四九﹄
ように、痛みに苦しむ魂に触れることが
再現もおぼつかない記憶に頼って、何を
︵白水社/龍應台著/二八〇〇円︶
で き る の だ ﹂ と。 そ の﹁ 痛 み ﹂ こ そ が、
が、二〇〇八年に政権を奪還した国民党
一九四九年、国共内戦に敗れた国民党
意味を持っていた。文物の所有は歴史の
﹁ 文 物 ﹂ は、 中 国 の 歴 史 の な か で 特 別 な
して﹁全貌﹂と言えるのか。人々の膨大
政府軍と戦乱を逃れた民間人とが大挙し
独立か統一か現状維持かで揺れ動く台湾
な肉声を丹念に聴き取ったこの本は、だ
て 台 湾 へ 押 し 寄 せ た。 そ の 数 約 二 百 万。
社会の、安易な図式化など許さない心の
説
台湾の歴史﹄は原住民の歴史を含め
バランスよく記述されている。
一方、五十年にわたる日本の統治期を経
襞を教えてくれる。
︵新 潮 社︵ 新 潮 選 書 ︶ / 野 嶋 剛 著 /
﹃ふたつの故宮博物院﹄
うのだが⋮⋮。
化は政治の自己証明である、と著者は言
力は正統性を獲得する。中華において文
所有であり、それを持つことによって権
た台湾人は、この﹁外省人﹂という新た
ればそんな歴史叙述の向こうに、想像を
な勢力の大波にのみ込まれた││要約す
絶する傷口が開いている。河南省から疎
に戦犯として裁かれた。外省人も本省人
収容所の監視員を務めた台湾人は、戦後
とつぜん敵になった。南洋で日本軍捕虜
年たちを兵士に仕立てたから、幼馴染が
いた。国民党軍も共産党軍も誘拐した少
れた話だが、本書は台湾における二度の
渡って現在に至る。ここまではよく知ら
の勃発で蔣介石とともに一部が台湾に
大陸の南と西に疎開し、さらに国共内戦
り。日中戦争の戦火を避けるため文物は
た文物が一般公開されたのが故宮の始ま
台北にある。辛亥革命後、紫禁城にあっ
な対立、抑圧、 藤がありながらも、
﹁と
を日常的に生きている。もちろん歴史的
われには想像もできない複雑な言語環境
ついて。台湾は多言語社会であり、われ
箇所ばかりだが、二つだけ。まず言語に
信仰と対象は多岐にわたり、紹介したい
検 証 さ れ た 旅 行 記 ﹂。 街、 文 学、 映 画、
台湾での長期滞在に基づく﹁批評的に
︵岩波書店/四方田犬彦著/三二〇〇円︶
﹃台湾の歓び﹄
も、大陸の人間も、思いもよらぬ運命に
政権交代が台湾故宮博物院に与えた影響
きに彼らは複数の言語をジャグリングの
まったく同じ名前の博物館が、北京と
弄ばれておびただしい死と別離に直面し
までをレポートしている。故宮の大きな
一二〇〇円︶
た。﹁誰も全貌など知ることはできない﹂、
特徴は、それが中華文明のみの博物館で
開した五千人の学生は、苛酷な流浪の末
と著者は言う。巨大な国土と入り組んだ
に台湾に着いたとき二百人ほどになって
歴史を持ち、好き勝手な解釈と錯綜した
−7−
して甲子園で活躍した嘉義農林中学校を
いるのだと。日本統治時代に台湾代表と
る日本人にこそ歴史的無知が横たわって
日国だから安心だと無邪気に言ってのけ
通りしかない、と著者は言う。台湾を親
するとすれば、それは知日と無知日の二
に生まれ育った人間にもし二分法を適用
う。日本が植民地化したことのある場所
レオタイプの枠のなかに押し込んでしま
日 」親
「 日 」と い う 二 分 法 は、 日 本 に 対
する複雑な感情を強引に単純化し、ステ
見いだされるだろう。
けでなくここに挙げた書籍のあちこちに
の創造的なコトバのありようは、本書だ
よ う に 扱 い、 遊 戯 的 に 使 い こ な す ﹂。 そ
だけです、と魏徳聖は語っている。
原住民がいるという事実を知ってほしい
いかなんて言っていません、ただ台湾に
や文化はあり、この映画はどちらが正し
割を演じている。勝者にも敗者にも歴史
れ、日本人名を名乗る原住民が重要な役
点では日本軍も原住民側も等しく描か
れを証明しているだろう。残虐さという
も台湾の観客が熱狂したという事実がそ
二作を同じ人物が作り、そしてどちらに
バレ﹄も反日映画ではありえない。この
が親日映画ではないように、﹃セデック・
制作された小説版であるが、﹃KANO﹄
件︶を題材とした同名の映画と並行して
に起こった台湾原住民による抗日暴動事
ている。本書は霧社事件︵日本統治時代
住民の言語が当たり前のように飛び交っ
れの作品も中国語と台湾語と日本語と原
台湾には面白い装幀が多い、と前から
術学部編/二五〇〇円︶
瞬間、幻想的な寓話に変貌する。
さやかなエピソードが、想起されるその
異空間が口を開けている。子供時代のさ
迷宮のような商場には、何でもない所に
や は り 台 湾 で し か あ り え な い 街 の 匂 い。
奇妙な裂け目へと引きずり込まれる。
その謎めいた言葉と魔術によって日常の
い寄せられるように﹁魔術師﹂に近づき、
けるような体験のなかで、子供たちは吸
た。初恋、別離、孤独⋮⋮人生を決定づ
議なマジックを披露する﹁魔術師﹂がい
想する。物売りが立つ歩道橋には、不思
も う 一 つ は 日 本 へ の 視 線 で あ る。 反
「
描 い た 映 画﹃K AN O ﹄ も ま た、﹁ 親 日
﹃T5
台湾書籍設計最前線﹄
︵東 京 藝 術 大 学 出 版 会 / 東 京 藝 術 大 学 美
かつての懐かしい日本のような、でも
映画﹂ではありえないことが分析される。
思っていた。これは台湾を代表するブッ
リードするという。収入の高いジャンル
クデザイナー五組のインタビュー集。台
ではないので、これは世界でもめずらし
湾ではブックデザインが広告デザインを
著/二一〇〇円︶
いかもしれない。小冊子を段ボール箱に
﹃歩道橋の魔術師﹄
現代台湾文学を牽引する若手作家によ
ギュウギュウに詰め込み無造作に黒テー
﹃セデック・バレ﹄
る 連 作 短 篇 集。 か つ て 台 北 に 実 在 し た
プでとめた﹁本﹂。イラストと化したバー
︵白 水 社︵ エ ク ス・ リ ブ リ ス ︶ / 呉 明 益
ショッピングモール﹁中華商場﹂に住ん
云農著/一六〇〇円︶
﹃ セ デ ッ ク・ バ レ ﹄ 等 を 監 督 し、 台 湾 の
でいた子供たちが大人になり、当時を回
︵出 版 ワ ー ク ス / 魏 徳 聖 原 案・ 原 文、 嚴
配収記録を塗り替え続ける映画人が魏徳
その﹃KANO﹄を製作、﹃海角七号﹄
聖︵ウェイ・ダーション︶であり、いず
−8−
の か? 三 つ の 言 語 の は ざ ま で 揺 れ 惑
家は、台南を﹁実験できる場所﹂と表現
や芸術活動を始めているのだ。ある芸術
を持っている、と。長きにわたり、そし
コード。刺繍で書かれたタイトル。ペー
て今も、多くの苦難に直面してきた台湾。
した。台湾人は常に不安定な時代に対応
たれた一人の作家が誕生した。小野正嗣
い、 や が て﹁ わ た し は 日 本 人 で は な い、
氏 は 本 書 を こ う 評 し て い る。﹁ つ い に は
縁ではない。
﹁ 柔 軟 性 ﹂ は た ぶ ん、 彼 ら の 優 し さ と 無
ジの半ばまでくりぬいたように見えるカ
だ。台湾とて出版状況は日本とさして変
三つの言語が響き合うこの﹃ママ語﹄を、
してきたけれど、台南はとりわけ柔軟性
わらず、コストの制約は厳しい。だから
みずからの母語として、そして文学の言
しかし日本語で生きている﹂という認識
彼らは、ありふれた印刷加工で最大限の
語として引き受ける姿は感動的だ。文学
を 得 た と き、﹁ 母 語 ﹂ の 呪 縛 か ら 解 き 放
効果を出す工夫をしたり、限定版や自費
とはつねに複数の言語の︿あいだ﹀で書
は、同じ漢字文化圏の人間として刺激的
出版でアバンギャルドな試みをする。限
かれるのだ。﹂
バー。繁体字のタイポグラフィの美しさ
定版を先に出して話題性を喚起し、その
に振舞っていたけれど、街中で中国語や
けで、学校では日本人の生徒と同じよう
呼んだ。娘が自由に操れるのは日本語だ
ちゃんぽんで、娘はそれを﹁ママ語﹂と
す。 母 親 は 中 国 語 と 台 湾 語 と 日 本 語 が
けた祖母は台湾語と端正な日本語を話
に移り住んだ。日本統治時代に教育を受
台湾人の間で台南ブームが起きていると
や歴史の遺産も残っているのだが、いま
も遅れた。おかげで古い街のたたずまい
北に首都の座を奪われ、戦後の経済発展
台南は古都である。日本統治時代に台
情味あふれる市井の人々の描写だろう。
も豊富ではあるものの、核となるのは人
ナーに置かれており、確かにグルメ情報
い。書店ではだいたい旅行ガイドのコー
開中です。
にて、四月十日∼五月九日までフェア展
丸善名古屋本店一階と京都本店地下二階
袋 本 店 一 階 エ レ ベ ー タ 前 と 福 岡 店 三 階、
でご紹介した書籍は、ジュンク堂書店池
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ 臺 灣 の レ ッ ス ン ﹂
︵白水社・渋谷︶
後通常版で発行するという手法もよくと
られるらしい。
﹃わたしの台南
﹁ほんとうの台湾﹂に出
会う旅﹄
台湾語を耳にすると、それらの﹁音﹂に
いう。若い世代がここで新しいビジネス
台南という街だけを扱った本は珍し
︵新潮社/一青妙著/一二〇〇円︶
よってどうにか形づけたい大量の記憶が
著者は台湾で生まれ、三歳の時に東京
﹃台湾生まれ
日本語育ち﹄
︵白水社/温又柔著/一九〇〇円︶
あることに気づく。わたしの母語は何な
−9−
四 月 に な り ま し た。 新 入 学、 新 入 園、
そして進級された皆さま、おめでとうご
ざいます。
新しい学校や新しい教室、先生、そし
てクラスメイト⋮⋮。親御さんにとって
も楽しみだったり不安なことも多いこの
季節に、本の中にも自分と同じようなこ
と を 思 っ て い る お 友 だ ち が い る こ と や、
こんなふうに過ごせたら楽しいだろうな
あと想像していただけたら、と、幼稚園
や保育園、小学校を舞台にした絵本を紹
介させていただきます。
幼稚園や保育園って、どんなところで
しょう?
一五〇〇円︶
︵ 講 談 社・ た か て ら か よ 文・ 鴨 下 潤 絵・
一年をどんなふうに過ごすのか、どん
な行事があるのか、楽しい思い出がたく
さん出来るといいですね。
行事をテーマにした絵本はあかね書房
全十二巻︵寺村輝夫、守屋正恵作・いも
﹃くりのきえんのおともだち﹄シリーズ
とようこ絵︶や童心社﹃ピーマン村のえ
それを紹介してくれる絵本があります。
り の き え ん に 通 う 動 物 の 子 ど も た ち が、
ほんたち﹄︵中川ひろたか文・村上康成絵︶
遠足の前にてるてるぼうずをつるした
お か し ゅ う ぞ う 作・ ふ じ た ひ お こ 絵・
り、 七 夕 飾 り を し た り。﹁ ピ ー マ ン 村 ﹂
﹃ようちえんのいちにち﹄︵佼成出版社・
たひおこ絵・一五〇〇円︶
︵ 佼 成 出 版 社・ お か し ゅ う ぞ う 作・ ふ じ
の 子 ど も た ち も、 い も ほ り や え ん そ く、
﹃ く り の き え ん の お と も だ ち ﹄ は、 く
﹃ほいくえんのいちにち﹄︵佼成出版社お
キャンプにプール開きに運動会、そして
があります。
かしゅうぞう作・かみじょうたきこ絵・
卒園までの一年を通した子どもたちの様
一五〇〇円︶
一四五六円︶
﹃ようちえんのはる・なつ・あき・ふゆ﹄
﹃ことりようちえんのいちねんかん﹄
− 10 −
『ようちえんの
いちにち』
ちきょうからともだちだ﹄
︵朔北社・中川
頼りになる年長さんと言えば、
﹃きみた
います。でも、嵐の翌日、このしかけ時
姫さまたちに挨拶するのを楽しみにして
の人形が現れます。園のみんなはこのお
なると音楽が流れ、お姫さまと王子さま
﹃ようちえんのおひめさま﹄︵講談社・種
ひろたか文・長谷川義史絵・一二〇〇円︶
。
計 が 壊 れ て し ま い、 お 人 形 が 現 れ な く
びた、とかそういう﹁大きさ﹂ではなく、
ここに出てくる年長さんたちは、何もわ
なってしまうのです。どうすればまたお
子が生き生きと描かれています。
からずドキドキしている新入生たちに園
姫さまの姿が見られるのか、みんなは必
ん、生まれたときのことをきいてきてね
では、明日お誕生日を迎えるよしふみく
ろ た か 文・ 長 谷 川 義 史 絵・ 一 二 〇 〇 円 ︶
﹃おたんじょうびのひ﹄︵朔北社・中川ひ
生会。
にドキドキしている子はみんな今日から
ここにいる、何もわからなくて同じよう
えの中で一番素敵なのは、今いっしょに
れます。このお兄さんお姉さんたちの教
コの取り合いが起こったら仲裁もしてく
園庭にあるしかけ時計では毎日九時に
の中のいろんな事を教えてくれます。靴
死になって考えます。
村有希子作・一四〇〇円︶
を入れる下駄箱、トイレの場所。給食を
ちょっとしたことなんだけれど明らかに
作ってくれている調理室。園庭でブラン
と 先 生 に 言 わ れ、 お 母 さ ん に 尋 ね ま す。
ともだちなんだよ、という歌です。
幼稚園では﹁事件﹂も起こります。
そくバッジをつけてヨーチェンジャーに
人に事件解決を依頼します。五人はさっ
そこで園長先生はゆうなちゃんたち五
壁 に ら く が き さ れ る と い う 事 件 が 発 生。
いつも平和なおひさまようちえんの
館・スギヤマカナヨ作・一三〇〇円︶
﹃おまかせ ! ヨーチェンジャー﹄︵小学
『ようちえんの
おひめさま』
違う自分がそこにいるのです。
年 に 一 度 の お 楽 し み、 と い え ば お 誕
自分が生まれたときのことをみんなに発
表する素敵なお誕生会になりました。
新入生だけじゃなく、進級した年長さ
んのお話もあります。
﹃ぼくはねんちょうさん﹄︵小学館・サト
こ れ ま で と は 違 う、 ち ょ っ と 大 き く
シン作・田中六大絵・一四〇〇円︶
なったことを実感している﹁ねんちょう
さん﹂の様子が描かれています。背が伸
『ぼくは
ねんちょうさん』
− 11 −
『おたんじょうびのひ』
変身 !
さくらほいくえんのこわいもの、それ
は悪いことをしたときに入れられてしま
う真っ暗なおしいれと、先生たちの人形
﹃ようちえん
いやや﹄︵童心社・長谷
川義史作・一三〇〇円︶でもそんな光景
うお子さんもいらっしゃいますよね。
たこたろうくんに、拍手を送りたくなり
べてほんの少しだけだけれど大きくなっ
見守ってくれています。お昼寝の時間に
﹃ お む か え ま だ か な ﹄︵ 学 研 教 育 出 版・
ます。
こたろうくんは夢を見て⋮⋮。朝にくら
が見られます。
!﹂
﹁ようちえん
いややー
おや?だれかが泣いてだだをこねてい
えにくるのを待っています。まだかな?
劇に出てくるねずみばあさん。ミニカー
幼稚園に行ってもらわないとお母さん
ますよ。町のあちらでもこちらでも、み
!
んな、﹁ようちえん
いややー ﹂どう
してそんなに泣いているのかな?
ちょっと切なくて。お母さんが迎えにき
かなちゃんは夕方の園でお母さんが迎
一三〇〇円︶
も と し た い づ み 作・ お か だ ち あ き 絵・
られてしまいます。最初は泣きべそをか
れ想像しながら待っているかなちゃんが
でんしゃがおくれてるのかな? あれこ
を取り合ってケンカになってしまったあ
いていた二人ですが、なかなか﹁ごめん
は困るのだけど、でも、理由をきくとほっ
きらとさとしの二人は、おしいれに入れ
なさい﹂を言いません⋮⋮。
こり幸せになれる絵本です。
たときは、読んでいる私たちもかなちゃ
んと一緒に嬉しくなります。
﹃どんないちにち﹄︵廣済堂あかつき・
作・一三〇〇円︶
こたろうくんも、保育園の玄関で泣い
− 12 −
﹃おしいれのぼうけん﹄︵童心社・ふる
たたるひ、たばたせいいち作・一三〇〇
円︶はお父さんお母さんの中にも読んで
こられた方が大勢いらっしゃるかと思い
ます。親子で一緒に思い出を共有できる
ています。お母さんと朝お別れするのが
一六〇〇円︶では気持ちのいい朝の風景
くすのきしげのり作・たしろちさと絵・
本、というのも素敵だと思います。
つらいのです。ずっとずっと泣いている
﹃おむかえ﹄︵佼成出版社・ひがしちから
こたろうくんを、ゆきこ先生はちゃんと
『どんないちにち』
幼稚園に行きたくない、と言ってしま
『おむかえ』
『おしいれのぼうけん』
出会った人にあいさつしたり、にっこ
が見られます。
り微笑みあったり。お母さんと手をつな
すっきりするような体験は大人にもある
言葉に出してみることで、なんだか頭が
くて、ランドセルを背負ってよもぎのは
たまらないかこちゃん。だれかに見せた
ランドセルを買ってもらって嬉しくて
てと言うので、貸してあげます。次に出
のはきつねの子。ランドセルを背負わせ
らに出かけていきます。最初に出会った
ものです。
初めて自分のランドセルを手にした喜
いで向かった先はようちえん。先生にも
元 気 に﹁ お は よ う ご ざ い ま す ! ﹂ こ ん
の子もランドセルを背負いたいと言いま
会ったうさぎの子にもランドセルを背負
すが、ねずみの子には大きすぎて背負う
び、というのもこの時にしか体験できな
に、最近はとてもたくさんのカラーバリ
ことが出来ません。泣き出してしまった
な風に一日が始まるととても幸せだと思
エーションがあって、選ぶのも大変。孫
ねずみの子。そこへねずみのお母さんが
わせてあげます。最後に出会ったねずみ
のうみひこくんにおじいちゃんが選んで
いもの。以前は赤と黒のランドセル、た
くれたランドセルのお話は﹃ランドセル
やって来て⋮⋮。
まに茶色くらいしか見かけなかったの
が や っ て き た ﹄︵ 徳 間 書 店・ 中 川 ひ ろ た
か文・村上康成絵・一三〇〇円︶。
庭の桜の木も入学式をお祝いしていま
﹃さくらのさくらちゃん﹄
︵自由国民社・
すよ。
﹃ み て よ ぴ か ぴ か ラ ン ド セ ル ﹄︵ 福 音 館
中川ひろたか文・植垣歩子絵・一三〇〇円︶
− 13 −
います。
さあ、小学校へと参りましょう。
社・ミルドレッド・カントロウィッツ作・
﹃あした、がっこうへいくんだよ﹄︵評論
ナンシー・ウィンスロー・パーカー絵・
せたていじ訳・一〇〇〇円︶
主人公の男の子は明日初めて学校へ行
くのです。期待と不安で揺れ動くドキド
書 店・ あ ま ん き み こ 文・ 西 巻 茅 子 絵・
もう一つランドセルのお話を。
と。彼はその気持ちをぬいぐるみのクマ
一二〇〇円︶
桜の花びらのさくらちゃんは、
ひろちゃ
に打ち明けます。相槌や返事が返ってく
キした気持ちは誰にでも覚えのあるこ
『さくらの
さくらちゃん』
るわけではないけれど、自分の気持ちを
『みてよ ぴかぴか
ランドセル』
『あした、がっこうへ
いくんだよ』
入学式についていきます。学校へ行く道
ろ ち ゃ ん の 頭 に ち ょ こ ん と 乗 っ か っ て、
んがいつもと様子が違うのを感じて、ひ
藤洋作・田中六大絵・一四〇〇円︶
﹃しょうがっこうへいこう﹄︵講談社・斉
する本をいくつか紹介します。
園とはどう違うの?という疑問にお答え
掃除の時間⋮⋮写真をみているだけでに
様 子、 授 業 中 や 休 み 時 間、 給 食 の 時 間、
まって、生徒が一人、二人とやってくる
た 写 真 絵 本。 だ れ も い な い 教 室 か ら 始
れ物。この本の中で色々な物語を想像し
いなくなった教室にぽつんと残された忘
ぎやかな声が聞こえてきそうです。誰も
で出会う新一年生たち、学校や教室の様
ど、遊びながら学べる絵本です。
てみるのも楽しいと思います。
迷路や間違い探し、絵探し、クイズな
や 先 生、 そ し て お 父 さ ん お 母 さ ん た ち、
お か し ゅ う ぞ う 作・ ふ じ た ひ お こ 絵・
﹃いちねんせいのいちにち﹄︵佼成出版社・
子を見守るさくらちゃん。新しいお友達
みんなドキドキしているようです。
国語の時間、算数の時間、給食、体育
一五〇〇円︶
﹃ い ち ね ん せ い に な っ た か ら ! ﹄︵ 講 談
社・くすのきしげのり作・田中六大絵・
一四〇〇円︶
る絵本です。
など、一年生の一日を追って紹介してい
い ま す。 り ゅ う た ろ う く ん は 考 え ま す。
成出版社・おかしゅうぞう作・ふじたひ
﹃いちねんせいのがっこうたんけん﹄︵佼
﹃いちねんせいのはる・なつ・あき・ふゆ﹄
紹介しています。
育館や図書室、音楽室など様々な場所を
学校に通い始めた一年生の日常に沿った
とする一連のますだくんシリーズは、小
社・武田美穂作・一二〇〇円︶をはじめ
﹃となりのせきのますだくん﹄︵ポプラ
手。なにかというとちょっかいを出して
席に座っているますだくんのことが苦
− 14 −
りゅうたろうくんも入学式に向かって
きるかな?﹂大きな声で自己紹介? 英
︵ 佼 成 出 版 社・ お か し ゅ う ぞ う 作・ ふ じ
を紹介しています。
ひっこみじあんのみほちゃんは、隣の
﹃1ねん1くみの1にち﹄︵アリス館・川
﹃ますだくんの1ねんせい日記﹄では、
くるし、いやなことばかりするから。
とある一年生の教室を一日定点観測し
島敏生写真・文・一六〇〇円︶
遠足、運動会、音楽会などの学校行事
絵本です。
『1ねん1くみの
1にち』
たひおこ絵・一五〇〇円︶
自分たちの教室以外に、学校の中の体
おこ絵・一五〇〇円︶
﹁どうやったらともだちがひゃくにんで
語なんか使ってみたり? どんどん想像
はふくらんで⋮⋮。
どのようなところなのでしょう? 幼稚
さてさて、そんな小学校っていったい
『いちねんせいに
なったから!』
ますだくん側の言い分が書かれていま
見たことも聞いたこともない授業をして
の学校生活でそういう存在に出会えるよ
には助けてあげたいと思う人。これから
たまにけんかをしたり、困っているとき
うに願いをこめて。
くれたことがきっかけで、﹁ふつうの日﹂
これまでの価値観が変わったり想像力が
す。 何 を し て も 受 け い れ ら れ る ば か り
膨らんだり、思いもよらなかった方向へ
誰かとの出会いや、何かのきっかけで、
誤解されてしまうこと、人と付き合って
進んでいくということ、学校生活という
がほんの少し変わってきたというお話。
いく上でのままならなさのようなものを
のはこういう出会いやきっかけを得るた
だった子ども時代から、気持ちのすれ違
学びながらだんだん大人に近づいていく
いや、本当はそんなつもりじゃないのに
んだなあ、と思わせられる物語です。
めにあるようなものかもしれません。
最後に新入学のお祝いとしてお勧めの
来 社・ 蒔 田 晋 治 作・ 長 谷 川 知 子 絵・
﹃教室はまちがうところだ﹄︵子どもの未
本を紹介します。
作・佐竹美保絵・一三〇〇円︶
やだ。そんな風に思ってしまって教室で
間違うと恥ずかしい、笑われるのがい
一五〇〇円︶
﹃6さいのきみへ﹄︵小学館・佐々木正美
生まれてから今日の日を迎えるまでの
んへ贈るメッセージブック。
何も発言できなかったりします。
こと、これからへの期待を込めてお子さ
﹃ふつうに学校にいくふつうの日﹄︵小峰
﹃いちねんせい﹄︵小学館・谷川俊太郎詩・
中でふとよぎった一年生の気持ち。大人
初めての学校生活、なにげない日常の
はず。是非ともそんな教室を作ってほし
雰囲気ならば、もっと気持ちが楽になる
えたり教え合ったりするのが当たり前の
対に笑ったりしない、みんなで一緒に考
もし教室の中が、誰かが間違っても絶
書店・コリン・マクノートン文・きたむ
和田誠絵・一〇〇〇円︶
が、新しく誰かと出会うことでこれまで
が見のがしてしまいそうな驚きや喜びが
この本は新入生の話ではありません
とは何かが違う世界が広がるという絵本
いです。
︵三宮駅前店・池畑︶
ここにあります。
と も だ ち っ て、 い っ し ょ に 遊 ん だ り、
郎文・和田誠絵・一二〇〇円︶
﹃ともだち﹄︵玉川大学出版部・谷川俊太
ふつうの男の子がふつうに学校に行
です。
き、ふつうの日々を過ごす日々。それが
ある日、一人の先生がやってきて今まで
− 15 −
『教室は
まちがうところだ』
らさとし絵・柴田元幸訳・一三〇〇円︶
『ふつうに学校にいく
ふつうの日』
社 会 科 学
CIA の秘密戦争
マーク・マゼッティ著
二〇〇一年の同時多発テロ以降、アメ
本書にはニューヨーク・タイムズの記
リカの軍事政策は一変した。
者による、アメリカの大規模戦争の﹁裏﹂
が描かれている。たとえば、CIAは高
性能のビデオカメラとミサイルを搭載す
て諦めなかった五年間がまとめられてい
だ。経営面で苦境に立たされたが、決し
大震災を経験した神戸の人々からの激励
あったが、特に印象的だったのは、阪神
なかった。全国から励ましや支援活動が
甚大な被害を受けた。しかし彼らは挫け
東日本大震災で、東北の出版社と書店は
している、二〇〇五年に誕生した会社だ。
実した内容で、一気に読ませる面白さが
はただ感服させられるのみだ。とても充
て、経験に裏打ちされた推理や冷静さに
職業の実態がわかりやすく紹介されてい
ケースばかり。死体を相手にする特殊な
ま た 病 死 な の か 等、 一 筋 縄 で い か な い
るだけあって、殺人か交通事故か、はた
の連続だ。上野氏に再鑑定が持ちこまれ
二時間サスペンスを思わせるストーリー
務をこなす、準軍事組織へと様変わりし
した女性である場合が多い。全国三十万
それは大学を出て就職し、普通に結婚を
今、 熟 年 女 性 の 売 春 が 増 加 し て い る。
一四〇〇円
ある。
東京書籍
る。様々な出会いと別れが描かれていて、
一六〇〇円
感動の涙を誘う一冊だ。
河出書房新社
熟年売春
た。またペンタゴンもスパイ組織を立ち
人以上いると言われる彼女たちは、月数
中村淳彦著
上げ、正規の戦場の外でテロリストを追
万円の生活費に困って身体を売ってい
る無人機﹁プレデター﹂を使った暗殺任
い詰めた。膨大な取材をもとに書かれた
る。﹃職業としてのAV女優﹄︵幻冬舎新
著者は東京監察医務院の元院長。退職
方、年金減額、介護報酬減、大学奨学金
収録した。一億総活躍社会と謳われる一
材をし、熟年売春婦たちの生の声を多数
彦は、鶯谷を中心に熟年売春婦たちの取
書・八〇〇円︶などのある著者の中村淳
内容は、非常にスリリングな一冊となっ
監察医が泣いた死体の再鑑定
後 は フ リ ー の 法 医 学 者 と い う 立 場 か ら、
回収の強化、労働者派遣法改正などによ
上野正彦著
様々な死体の鑑定依頼を受けている。こ
二二〇〇円
ている。
早川書房
の本に書かれた事件の数々は、テレビの
震災編集者
著 者 は 仙 台 の 出 版 社、 荒 蝦 夷 の 代 表。
土方正志著
社員二名で東北をテーマに良質の本を出
− 16 −
社会科学
性が増えると著者は予測する。
り、今後も益々売春への道に誘われる女
では判断できないことが起こる。その愚
が時として、愚劣にも関わらず内部から
という。その狭いサイロの中の集団行動
織が専門化し、細分化した状態をサイロ
略といった、経営の裏側がよくわかる内
うと必死だ。価格競争や人材育成、海外戦
化し、高齢者やファミリー層を取りこも
ジ丼、麦とろ、鰻重などメニューは多角
かつての牛丼だけの一枚看板から、ベ
絶望の牢獄から無実を叫ぶ
一〇〇〇円
容となっている。日本は少子高齢化が進
ミリオン出版
かな決定や行動の原因を人類学の手法で
行中だ。これからの伸びない市場で稼ぐ
い。サイロをコントロールすることを訴
デジタルが変える
アニメビジネス
日本経済新聞出版社
一三〇〇円
だけの強さが、吉野家からは感じられる。
分析し、後半ではサイロを打破した事例
えている。
しかし、著者はサイロを完全否定しな
を挙げたのが本書である。
片岡
健編
副題は﹁冤罪死刑囚八人の書画集﹂。
ニュースが取り上げられる機会が増えて
以前に比べて、マスコミで冤罪関連の
いる様に思われる。そして、冤罪と戦っ
文藝春秋
一六六〇円
てきた人々の苦闘が、日本社会と冤罪問
ち、現在は業界団体に勤務する著者によ
アニメ制作会社の経営者の経験を持
増田弘道著
るアニメ産業を分析した重厚なレポート
で、日本のアニメ産業は生き延びること
− 17 −
題との関係を大きく進歩させて来た。
編者は、冤罪の疑いのある様々な事件
至った八人の死刑囚をその書画とともに
である。日本のアニメ制作の現場でデジ
を 取 材 す る 中 で、 無 実 だ と 確 信 す る に
取り上げている。本書は、現在進行形の
タルアニメ化が進んでいることを伝えて
いる。また、アメリカのアニメ産業でデ
ジタルアニメ化が進んだ経緯も取り上
げ、日米の比較もしている。ユーチュー
ができるか、という課題に至り、人材育
一八〇〇円
こうした事実を記録し、後世へと伝える
吉野家で経済入門
二〇〇三年のBSE騒動以降、吉野家
ブなど配信の環境も大きく変化する中
は大きく変わった。その全貌が吉野家H
安部修仁・伊藤元重著
役割を編者から託された。
鹿砦社
サイロ・エフェクト
ジリアン・テット著
著者はフィナンシャル・タイムズ紙ア
二四〇〇円
メリカ版の編集長であり、東京支局長の
NTT出版
成と経営戦略の変革を求めている。
ている。
D会長と経済学者の二人によって語られ
英語圏では政府や企業に関わらず、組
経験もある人物である。
社会科学
コンピュータ
擬人化でまなぼ !
ネットワークのしくみ
岡嶋裕史著
﹁艦隊これくしょん﹂や﹁刀
剣乱舞﹂を生んだ擬人化ブームの波に乗
り、なんと擬人化コンピュータ書が登場。
本書は TCP
や HTTP
といったネットワー
ク用語が美少女キャラに姿を変えて仲良
なもの。しかし侮るなかれ、彼女たちの
くおしゃべりするという、かなり衝撃的
まつもとゆきひろ監修
が、今回のテーマは自然言語処理。本来
発行の第一巻はベイズ統計の特集だった
クを取り上げる岩波データサイエンスシ
岩波データサイエンス
vol.2
データを扱うさまざまな分野のトピッ
初版から十四年。これまで Ruby
とい
うプログラミング言語を習得したひとの
たのしい Ruby
第5版
高橋征義・後藤裕蔵著
多くが、一度は本書を手に取ったことが
せるか、その可能性と問題をさまざまな
一三八九円
マイクロサービスアーキテクチャ
岩波書店
も本シリーズの魅力のひとつ。
ア、研究者の垣根を越えた多彩な執筆陣
アプローチから検証している。エンジニ
ひとが用いることばをいかに機械に扱わ
リーズの第二巻が刊行された。昨年十月
あるのではないだろうか。監修に Ruby
の言語作者まつもとゆきひろ氏、著者の
ひとりは日本 Ruby
の会代表高橋征義氏
の成長を第一線で支えてきた
Ruby
と、
二六〇〇円
ひとたちの手による、たのしい Ruby
プ
ログラミングへの案内書、その最新版。
SBクリエイティブ
るマーチン・ファウラー氏が提唱し、注
著
Sam Newman
佐藤直生監訳
山下隆義著
目を集めている開発手法。堅牢だが変更
イラストで学ぶディープラーニング
囲碁 AI
﹁アルファ碁﹂がプロ棋士相手
に勝ち越した件が記憶に新しいが、ここ
がしづらいモノリシック︵一枚岩︶な開
会話の内容はパケットの仕組みや各種の
でもディープラーニングという技術が用
発に対し、独立した小さなサービス群を
木下哲也訳
マイクロサービスアーキ
テクチャはアジャイル開発などで知られ
脆弱性など、ネットワークの基本につい
いられている。コンピュータ自身に判断
ゆるやかに結合することで、変更の容易
一九八〇円
てしっかり学べるものとなっている。
基準を獲得させることを目的とした、機
翔泳社
械学習の手法だ。同社からは専門性の高
さやスケーラビリティを実現しようとい
三四〇〇円
い﹁機械学習プロフェッショナルシリー
ジ
・ ャパン
ズ﹂も刊行されているが、本書はより広
オライリー
うものだ。 Amazon
などでの採用事例を
交えて紹介している。
二六〇〇円
い読者に向けた入門書になっている。
講談社
− 18 −
コンピュータ
自 然 科 学
虫のしわざ観察ガイド
子どもから大人まで、ひと味違った虫探
る た め、 フ ィ ー ル ド で は 必 携 の 一 冊 だ。
ト ー ン や 間 合 い と い っ た﹁ 話 す 技 術 ﹂。
い の は、 観 客 を 惹 き つ け る た め の 声 の
ばならない。また、決して疎かにできな
解説者たちは、神話や伝承、宇宙物理学、
地学、気象など各自の得意分野を活かし
新開
孝文・写真
齧られた葉や樹木
にあいた小さな穴。フンや巣、葉っぱに
験者と経歴はそれぞれ異なるが、今は﹁限
元教員、気象会社や雑誌編集等の企業経
道程が語られている。研究者を志した者、
一八〇〇円
しを楽しむ事ができる。
文一総合出版
彼らはいかにしてプラネタリウムの解
た解説を繰り広げる。
印されたマイン。それらの虫が残した痕
りなく本物に近い星空を届けたい﹂とい
説者となったのだろうか。本書ではその
跡を﹁虫のしわざ﹂と呼び、姿が見えな
ヌシ﹂を知りたくなる。まるで人探しな
アース﹂というこのプラネタリウムでは、
館。二〇一三年八月に完成した﹁ブラザー
いプラネタリウムを持つ名古屋市科学
であることに加え、創立当初から脈々と
いう。リニューアルされた装置が最新鋭
が、プラネタリウムは今も毎回満席だと
科学館が改築されて今年で五年になる
説者の力量が大いに問われる。毎月変わ
のが開館以来のコンセプト。これには解
夏秋冬の星に浮かぶ星座のイラストも掲
− 19 −
野山で見つかる食痕・産卵痕・巣
い彼らを追いかける手掛かりにしようと
う。細部にまでこだわり妥協はしないと
ている。その仕事ぶりはまさに職人のよ
う想いのもとでチーム一丸となって働い
星空の演出家たち
いうのが、この本のテーマである。
今まで気に留めずにいた様子が実は
ら ぬ 虫 探 し を す る 探 偵 に な っ た 気 分 で、
台本なしのマイク一本で五十分間を、生
いう徹底したプロ集団だ。
これがなかなか面白いのだ。どんな虫が
伝えられてきた解説者魂が人気の秘密で
直径三十五メートルという世界一大き
中日新聞出版部著
なんのためにこんなしわざを?と疑問を
身の人間が対話形式で解説をおこなう。
はないだろうか。
それらしきものを見つけると﹁しわざの
﹁虫のしわざ﹂だったと気づいてからは、
もちながら調べることで、虫の生態をよ
﹁一日とて同じ解説はしない﹂という
細部をとらえた鮮やかな写真のおかげ
載されている。
各章の終わりには学芸員のコラムや春
り身近に感じることもできる。
で、どの﹁虫のしわざ﹂もとてもわかり
るテーマに沿った解説の他にも、その日
一四〇〇円
やすい。よく目にする﹁虫のしわざ﹂を
中日新聞社
一覧にしたページがあり、逆引きができ
の天気や最新情報を交えた内容でなけれ
自然科学
書
して唯一の学校、明晴学園︵東京都品川
に授業に取り入れた教育を行う日本初に
う児の母語である﹁日本手話﹂を全面的
専門医の方々の認知度は低く、大半は認
よると、国内の一般循環器内科や不整脈
の失神ガイドラインの認知度調査結果に
イン﹂に基づき、失神に対して診断のア
学
プローチの仕方を三つのステップに沿っ
医
識不足という結果であった。
材を通し、ろう教育の歴史、手話が向き
て説明している。さらに各論では、実際
総論では﹁失神の診断・治療ガイドラ
区︶
。その立ち上げ以前から関わる、
ジャー
研修医・コメディカルのための
合ってきた困難、海外事情など手話の世
ナリストである著者が二十年にわたる取
問診力養成道場
界の過去・現在、そして未来を描く。
少数言語としての手話を操り、
﹁ろうが
長尾哲彦著
いい、ろうでいい﹂と捉える学園の子ど
療 経
・ 過に関してまとめている他、役立
つトピックスやコラムなども紹介してい
治
・
臨床では、患者のことをよく知ること
る。循環器内科医だけでなく、一般内科
起きた二十の症例を取り上げ診断
から始めなければならない。問診・視診・
もたちの活き活きとした姿は、読後、世
一冊となるだろう。
メディカ出版
三六〇〇円
医にとっても失神に対する理解を深める
聴 診・ 打 診・ 触 診 は 診 察 の 基 本 で あ り、
二六〇〇円
界の見方を変えてくれるかもしれない。
みすず書房
特に問診は八割診断がつくと言われるほ
ど重要とされる。問診のポイントは、患
者の中に眠っている診断の鍵をうまく引
き出すことだという。本書は様々な症例
イラスト
︵症状の訴え︶を挙げ、問診︵情報収集︶
照林社
二四〇〇円
する﹂ことから感染対策は始まっている。
れている。誰でもできる﹁手をきれいに
ンパクトのある楽しいイラストで説明さ
に、大切な事がひと目でわかるようなイ
感染対策を病院の全職員で行うため
下間正隆・小野
保・
近藤大志・澤田真嗣著
みんなの感染対策
三五〇〇円
を基に最終診断にたどりつく思考方法を
この失神、どう診るか?
解説する。効率的な問診を行うためのス
キルを磨ける一冊。
医学と看護社
手話を生きる
今日、失神に対して正しい診断を行え
安部治彦編著
のようになることを目標とした﹁聴者の
る医師はどれくらいいるのだろう。本書
これまで行われてきた、ろう者が聴者
斉藤道雄著
ろう教育﹂ではなく、日本のろう者・ろ
− 20 −
医学書
人 文 科 学
脱原発の哲学
1493
世界を変えた大陸間の﹁交換﹂
人口減少社会と寺院
消えていく事態を報告して話題になっ
P社・一六〇〇円︶は地方から寺と墓が
先 頃 出 版 さ れ た﹃ 寺 院 消 滅 ﹄︵ 日 経B
櫻井義秀・川又俊則編
二〇〇七年にNHK出版から出た
た。本書は同じ問題意識に基づいた詳細
チャールズ・C・マン著
でコロンブス到着前の世界を描き出した
﹃1491﹄︵現在は品切︶の続編。前作
寺院の消滅は避けられないのかもしれな
結局、人口減少社会にあっては、地方
がどのように動き出し、世界がどのよう
い。とはいえ、地域福祉の担い手として
な調査研究である。
哲学書のコーナーに並べられた本書は
に﹁グローバル化﹂することになったか、
の寺院の可能性は見直されなければなら
著者は、今作ではコロンブス到着後に何
見るものに新鮮な印象を与える。時事的・
その端緒を描き出す。著者は学者ではな
ない。
佐藤嘉幸・田口卓臣著
政 治 的 な 文 脈 で 語 ら れ て き た﹁ 脱 原 発 ﹂
且つ読み応え充分である。
三〇〇〇円
では歴史学と心理学の二つのアプローチ
いうエピソードはよく聞くものだ。本書
ともとれる性質を持った人物であったと
いち早く異年齢保育を取り入れるなどの
引 き 出 す 保 育 を 貫 い た﹁ の り こ 先 生 ﹂。
どもを徹底して一人前扱いし、可能性を
とんど割ることがない。本物志向で、子
と思えば子どもは大切に扱い、実際にほ
例えば食器は陶器かガラス製。割れる
山田清機著
のりこ先生の魔法のことば
伝説の保育士
法蔵館
く サ イ エ ン ス ラ イ タ ー で、 読 み や す く、
三六〇〇円
が、はじめて哲学の問題として提示され
紀伊國屋書店
一流の狂気
ナシア・ガミー著
偉人の評伝などで、
そ の 人 物 が い わ ゆ る﹁ 普 通 ﹂ で は な い、
からその実態を探る。リンカーンやケネ
進取の精神に、情熱、気品で関わるみん
変わったところがあり、ともすると狂気
ディ、ガンディーなど歴史上の人物達の
一四〇〇円
精神疾患をとりあげ、危機的情況におい
プレジデント社
なに慕われ続けた伝説の保育士の記録。
二六〇〇円
ての彼らのあり方を解説する一冊。
日本評論社
− 21 −
たからだ。脱原発と核廃絶という理念は、
可能な限り早く実現されるべき切迫した
理念である、と著者は確信する。これ以
上のカタストロフィを避けるために、脱
三九〇〇円
原発の哲学が必要とされている。
人文書院
人文科学
光の庭
吉川トリコ著
文学・文芸
﹁銀チョコラバーズフォーエバー ! ﹂
三千花・志津・麻里奈・理恵・法子︱
仲 の 良 い 少 女 た ち は 高 校 卒 業 の あ の 日、
の時間は否定されるものではないという
されるような、キラキラと楽しかったあ
それでもタイトルの﹁光の庭﹂で象徴
てその状況に安易な解決は与えられない。
け出せずにいたりする様が描かれ、そし
暮らしを綴ったり、心の闇にとらわれ抜
さが浮かぶ。それでも種の生き方を忘れ
されるたび、彼らの心にぽっかりと淋し
たりしてしまう。人間の都合にふりまわ
り、弱音を吐いてしまったり、優しくなっ
彼らに対してはいつもより横柄になった
どしてやいない、そんな油断から、人は
一四〇〇円
れる。そしてその事件の十六年後、志望
ループに拉致されバラバラ死体で発見さ
え た 成 人 式 の 数 日 後、 三 千 花 が 少 年 グ
る人気女優猫・リリアンや、たまごを産
な動物たちが登場する。ドラマに登場す
グアナ・犬・蝶・セキセイインコ、と様々
頭に、この物語には猫・イルカ・鹿・イ
テレビ番組で人気者になったロバを筆
る、典型的なボーイミーツガールの物語
ど謎のある転校生の少女に出会って始ま
大人になりたくない男の子が美しいけ
ろまでよくわかっている。
の心理や生理的な状況を恥ずかしいとこ
と思ってしまうほど、その年頃の男の子
本当は男の子だったのではないだろうか
いのはわかっているけど、西加奈子さん
実際に会ったこともあるからそうでな
西加奈子著
まく子
光文社
強く、そしてとても愛らしい。
ず、時折ひとに寄り添う動物たちの姿は、
一八〇〇円
思いが胸に残るのだ。
光文社
ロバのサイン会
吉野万理子著
淋しいのは人間だけじゃない。
自分たちの友情は永遠だと信じて叫ん
だ。しかしそれぞれが進学、就職などで
帯にあったその言葉が妙に気になって
通りライターになったものの挫折して地
んでも産んでもどこかへやられてしまう
だ け ど、 最 後 に 大 仕 掛 け が 待 っ て い て、
手にとった。
別々の道へ進んだことによってその関係
元に戻った志津は﹁三千花に何が起こっ
パン好きなイグアナ・ネムリン、害獣と
ははかなくも崩れていく。そんななか迎
たのか﹂をテーマにルポを書こうと、友
して扱われて奈良公園へ逃亡した鹿・サ
作者が自分と同世代の女性たちの生き
な い。 そ し て ス ト レ ー ト に 届 け ら れ る
﹁さすが西加奈子﹂と思わずにはいられ
人たちに取材を始めるが⋮⋮。
に人気者になった旅するロバ・ウサウマ。
福音館書店
一五〇〇円
メッセージを力強く受け止めるのだ。
ンカク、そしてサイン会を開催するほど
彼らの生活に人はいろんな形で関わり
る様を心理サスペンスの要素も加えなが
て笑っていた少女たちが、それぞれの現
を持っている。人間の言葉なんて理解な
ら綴る物語である。輝かしい未来を信じ
実に直面して傷ついたり、欺瞞に満ちた
− 22 −
文学 ・ 文芸
中公文庫
ショッピングモールから考える
ユートピア・バックヤード・未来都市
﹁ う し ろ 読 み ﹂ の﹁ う し ろ ﹂ は 作 品 の
斎藤美奈子著
は、自分だけが、自分だけが、という気
めまぐるしい日々の中でつい失念して
の日常がある。そんな当たり前のことを、
も、後ろの席のあの人にも、その人だけ
んやりと眺めている、隣の席のあの人に
石田
千著
バスにゆられながら見知った景色をぼ
るのはなぜなのか。
ショッピングモールにこれだけ人が集ま
う か。 な ん だ か ん だ 言 わ れ な が ら も
ことはなかったが、本当にそうなのだろ
され、あまり良いイメージで論じられる
ル。地元商店街の敵、街の衰退の原因と
言ってもいいであろうショッピングモー
六八〇円
最 後 の 一 文、 つ ま り﹁ オ チ ﹂ の こ と だ。
分になってしまっていたけれど、路線バ
東
浩紀・大山
顕著
地 方 都 市 や 郊 外 に、 今 や 必 ず あ る と
昨今ネタバレに厳しい世の中になってい
スに乗る人々の姿を描いたこの短編集を
よい場所であるし、高齢者にもやさしい。
バスを待って
る と 言 っ て も 大 袈 裟 で は な い と 思 う が、
日本だけでなく、ショッピングモールの
文庫・新書
著者は﹁ネタバレに耐えてきた︵=オチ
読んでいるうちに、ばらばらと散らばっ
形態というのは世界で共通するところが
多く、また駅や空港、病院もショッピン
名作うしろ読み
が分かっていても魅力の衰えない︶作品
ていたものを整えてもらえたような、そ
石 田 千 さ ん の 描 く 人 々 の 日 常 は、 短
グモール的になってきているという。
ルというのは理想的な都市空間ではない
のだろうか。
実際の例を上げながら、ショッピング
八四〇円
− 23 −
家族連れにとっては明らかに居心地の
こそ、古典、名作と言えるのではないか﹂
んな気分になった。
編集のキーワードがバスであることです
そ こ で こ の﹁ う し ろ 読 み ﹂。 小 説 の 有
と提案している。
名な冒頭の一文は知っていても、意外と
ら一瞬忘れてしまうくらいに、優しくな
ということは、実はショッピングモー
その話がどう終わっているのかは知らな
じむ。
モールという空間から未来の都市や人間
心地よい出来事ばかりではないけれ
かったりする。いかにして最後の一文に
至ったかをこの本で知れば、きっと読ん
ど、読了後は陽だまりでうとうとしてい
幻冬舎新書
の欲望まで、幅広く考察する。
るような、そういう心地よさが残る。
遊びに行く途中、仕事にでかける途中、
大きく七つのテーマに分けて解説され
でみたくなる一冊に出会えるだろう。
ているので、テーマごとに気になるもの
誰かに会いに行く途中、バスにゆられな
六三〇円
を 探 し て も よ し、 ペ ー ジ を ぱ ら ぱ ら め
小学館文庫
がら読みたくなる一冊。
それが出会いかもしれない。
くってみて、ピンときた作品があったら
文庫・新書
芸
めくるめく現代アート
術
筧
菜奈子著
現 代 ア ー ト は 難 し い。 理 解 で き な い。
何がすごいのか正直分からない、でも理
NAKUNA
共感できたり、言葉に出来なかったモ
持ちにさせてくれるような一冊。
ヤ モ ヤ を ハ ッ と 解 消 さ せ て く れ た り と、
一三〇〇円
とにかく、﹁やさしさ﹂がたくさん詰まっ
ている。
KADOKAWA
武満徹・音楽創造への旅
入門書に手を伸ばしてみるものの、難し
井ブルーさんのツイートから抜粋、さら
十五万人を超えるフォトグラファー、蒼
Tw i t t e r の フ ォ ロ ワ ー 数 が
ていたものを、連載完結後十八年の時を
ビューを行い、雑誌﹁文學界﹂に連載し
花隆さんが一〇〇時間を超えるインタ
満徹さんに、ジャーナリストでもある立
本書は、現代音楽家として活躍した武
立花
隆著
い単語の羅列に数ページ読むだけで気が
に加筆やエッセイを加えた本書。前作﹃僕
蒼井ブルー著
めいり、あっという間に瞼が下がり、い
解できないとは言えない。理解しようと
つの間にか夢の世界へ⋮⋮。
経て刊行された書籍である。
徹﹂という人物を深く知るうえで、盛り
様 々 な 人 と の 交 友 録 や 活 動 な ど、﹁ 武 満
音 楽 活 動 に 関 し て は も ち ろ ん の こ と、
の隣で勝手に幸せになってください﹄︵K
AD O K AW A・ 一 三 〇 〇 円 ︶ に 続 き、
こういった経験をした事がある方にこ
そ本書をお薦めしたい。重要なキーワー
待望の書籍化、第二弾である。
武満徹さんの名前や音楽はきいたこと
だくさんの内容である。
があるけれども、よくわからない、とい
う方が入門書として読むにはハードルが
高いかと思う文章量であるが、実際読ん
たら、実はものすごく幸せを感じること
文藝春秋
冊である。
四〇〇〇円
でみたら面白いように読み進められる一
ができるのではないか、と、前向きな気
今この瞬間も、考え方を少しだけ変え
して﹁好き﹂と言いたい。
好きなものは恥ずかしがらずに声に出
楽しむことができる。
ぶやきとなっており、どこから読んでも
め、そのほとんどが一四〇文字以内のつ
Tw itter から抜粋されているた
ド を 一、二 ペ ー ジ 程 度 で 解 説 し て い る。
イラストが多いので楽しく読み進めら
れる。
本書を読んで現代アートに興味が湧い
た方や、もっと深く現代アートを理解し
た い ! と い う 方 向 け に、 本 書 読 了 後 に
一五○○円
読むべきお薦め本のコーナーがあるのも
嬉しい。
フィルムアート社
− 24 −
芸術
実
用
書
地図・旅行書
ケトジェニックダイエット
一三〇〇円
本﹂としてオススメの一冊だ。
講談社
ツレヅレハナコのじぶん弁当
おいしくて見栄えのするお弁当を、簡
ツレヅレハナコ著
シピが盛りだくさん。
これはきっとおいしい ! と思わせるレ
一一〇〇円
あなたもお弁当生活、始めませんか?
小学館
ドロームの元凶であることが広く世間に
トで糖質の摂り過ぎがメタボリックシン
近年大ブレイクした糖質制限ダイエッ
いしいけど手間がかかりすぎたり⋮⋮。
そ ん な 中、 こ れ ぞ ! と お 薦 め し た い
に作れるけど味がイマイチだったり、お
実はそれほど多くないように思う。簡単
れど、そんな望みを満たしてくれる本は
やカラスの鳴き声と戦いつつ、彼らは音
人々だ。駅で、踏み切りで、車中で、風
世界は広く深い。そこに新たに登場した
﹁ 社 会 ﹂ を 形 成 す る ほ ど、 鉄 道 フ ァ ン の
乗り鉄、撮り鉄、車輌鉄⋮⋮ひとつの
認知された。その一方で、炭水化物を抜
源を収集する。そんなことしてどうする
音鉄
耳で楽しむ鉄道の世界
片倉佳史著
いて痩せたダイエッターの中には他の栄
のが本書。帯には﹁人に見せるためでは
の?と思った方にこそ手に取ってもらい
単に作りたい。世にお弁当の本は多々あ
養素を無視した﹁誤った糖質制限﹂の為
な く、 自 分 が ホ ッ と で き る お 弁 当 を ! ﹂
斎藤糧三著
に体調を崩す人も多かったという。
レシピ
﹁働くあなたに捧ぐ地に足のついた弁当
たい。
な痩身法だ。
肪を効率的に燃焼させる健康的かつ確実
養学に基づいた食事法で活発にし、体脂
される﹁ケトン体﹂の生成を、最新の栄
るようなお弁当を、ということなんだろ
取ったとき他ならぬ自分自身が嬉しくな
誰かに褒めてもらうためではなく、蓋を
の? と も 思 っ た が、 読 み 進 め る う ち に、
見せるためのものじゃないと言い切れる
インスタグラムで大人気なのに、人に
に 深 く、 鉄 道 の 音 に 耽 溺 す る 愉 悦 が 伝
らにして車中気分を味わうと言う。静か
夜行列車の車内音をかけ、自宅に居なが
がると言い、またその友人は、就寝時に
れわたっていくように﹂テンションが上
ち 号 ︶ を か け る と、﹁ 曇 っ て い た 空 が 晴
気機関車のドラフト音︵特にSLやまぐ
− 25 −
の が 音 鉄、 つ ま り 音 か ら 鉄 道 を 楽 し む
﹁ ケ ト ジ ェ ニ ッ ク ダ イ エ ッ ト ﹂ と は、
﹂とあり、この惹句にぐっとき
体内で糖質が枯渇した際、糖に代わるエ
著者が専門とする﹁機能性医学﹂によ
うな、と納得させられた。アレンジ自在
著者は執筆に気分が乗らないときは蒸
る次世代栄養学の基本が盛り込まれた本
わってくる一冊。
た方も多いはず。
書 は、﹁ 正 し い 糖 質 制 限 ﹂ 実 践 の 手 引 き
な具なしひじき煮、漬け汁にオイスター
一六〇〇円
であると共に、健康維持のために毎日の
ワニブックス
ネルギー源として肝臓で脂肪酸から合成
92
ソ ー ス を プ ラ ス し た 煮 卵 な ど、 簡 単 で、
食事がいかに大切かを教える﹁栄養学の
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
翻訳者あとがき讃
翻訳文化の舞台裏
藤岡啓介編著
私 た ち 日 本 人 が 海 外 文 学 を 読 む と き、
翻訳者がなぜその作品を選び、そしてど
ちの話す言葉や思考法、生活様式は外国
文化の翻訳を通して形作られたものだと
一八〇〇円
講義形式音声がついていて安心だ。
ベレ出版
学校で教わる不自然な英語100
先生、その英語は使いません!
言える。このような観点からまとめられ
た本書は、翻訳に携わる方にとって役立
キャサリン・A・クラフト著
つだけでなく、一般読者が言語や文化の
歴史背景を知る上でも参考になるだろう。
日本人が学校で教わってきた英語には、
正しいけれど古い表現や不自然なフレー
ズが多いという。著者は英語ネイティブ
二四〇〇円
で通訳翻訳者であり、予備校の英語教師
未知谷
基礎がため
をしながら、学校で使われてる教材や試
一生モノの英文法 BASIC
澤井康佑著
る。私たちは翻訳者の解説を通して、作
の作品について詳しく﹁解説﹂されてい
れなかったりしがち。本書はアルファベッ
くかったり、逆に詳しすぎて読み終えら
多くあれど、説明が簡潔すぎて理解しに
英語をイチから説明している書籍は数
の違和感を理解できれば、自然な英語表
和感が分かりやすく紹介されている。こ
で描かれており、ネイティブが受ける違
想するイメージがユーモラスなイラスト
教科書英語を聞いた時にネイティブが連
な 表 現 を 使 っ て い る か 紹 介 す る。 ま た、
験問題などを沢山見てきた。そこで目に
のように訳出したのか、そのすべてが﹁あ
品周辺の情報を知り、さらに理解を深め
トの説明から入るなど、英語の初歩から
する、
正しいけれど不自然な﹁教科書英語﹂
ることができる。
始めている一方、文法項目では本質まで
現ができるようになるだろう。
春は始まりの季節。英語の勉強を始め
本書では幾つかの作品の﹁解説﹂もふ
しっかり説明している。長い説明は読み
だと思っていた﹁教科書英語﹂から一歩
とがき﹂や﹁解説﹂に書き込まれている。
くめた﹁あとがき﹂を収めている。とり
切れないと感じるかもしれないが、付属
踏み出し、よりネイティブの表現に近づ
を取り上げ、ネイティブが普段どのよう
上げられるものは一般に知られた作品が
の音声がサポートしてくれる。それも本
てみようと考えている人も多いのではな
多く︵
﹃乞食と王子﹄
﹃論語﹄
﹃ライ麦畑で
文の単純な読み上げではなく、予習用に
いだろうか?
つかまえて﹄など︶
、その﹁解説﹂が書か
けるようになれそうだ。
作 品 が そ れ ほ ど 知 ら れ て い な い 場 合 は、
れた当時を反映して歴史的仮名遣いや旧
これから勉強する内容を説明する音声と、
それが生まれた時代背景や同じ作者の他
字を残している。著者が﹁日本の近代文
復習用に要点を説明する音声の二種類の
DHC
一四〇〇円
長い間学校や教科書で習って当たり前
化は翻訳の歴史﹂と述べるように、私た
− 26 −
語学・辞典
児
童
書
同 時 刊 行﹃ た ら ふ く ま ん ま ﹄︵ 馬 場 の
ぼる作・絵︶は人の家のものまで何でも
食べてしまう大食らいの山男が主人公
で、こまった村人のもとへ旅の医者が通
幼い子は微笑む
昨年この世を去った詩人長田弘さんの
長田
弘詩
いせひでこ絵
リ ー ズ︿ こ ぐ ま の ど ん ど ん ぶ ん こ ﹀。 お
こぐま社から創刊された幼年童話シ
ままに、人間として成長していく哀しさ
初の質問﹄の透明感のある美しさはその
になりました。同じコンビによる前作﹃最
詩が、画家いせひでこさんによって絵本
話を聞くだけでなく自分で読む楽しさ
﹁何かを覚えることは、何かを得るとい
が伝わってきます。
りかかります。
ルース・エインズワース作
を、絵本から読み物へ世界を広げる応援
きかんしゃ
ホブ・ノブ
上條由美子訳
安徳
瑛画
あかいきかんしゃホブ・ノブは、どう
うことだろうか﹂今は亡き詩人の言葉は
をする、新シリーズの誕生です。
となく、次々に発明品を生み出してきま
エル・ミジェリンスキ絵
阿部優子訳
古代から現代まで人の空想はつきるこ
アレクサンドラ・ミジェリンスカ&ダニ
マウゴジャタ・ミチェルスカ文
ややっ、ひらめいた !
奇想天外発明百科
思っています。両親が仕事で家を長期間
がぼくよりバイオリンのほうが好きだと
家。仕事が忙しく、ロバートはお母さん
若林千鶴訳
たるいしまこ絵
ひとりっ子のロバートの両親は音楽
パトリシア・マクラクラン作
静かな鋭さを持って問いかけてきます。
て、トンネルを明るく照らします。シン
した。中には突きつめるあまり奇抜な形
空ける事になり、ロバートはおばあちゃ
一二〇〇円
プルでやさしい文章と温もりのあるタッ
になり、完成に至らなかったものもあり
んのところに行くことになりました。周
こぐま社
ぶつたちをのせ、ゆうえんちへ。
真っ暗なトンネルをこわがるみんなの
チで描かれた乗り物絵本です。
ます。思わず笑ってしまうような発明や
りの大人たちに見守られながら母と子の
福音館書店
ポンちゃんはお金もち
たかどのほうこ作・絵
九〇〇円
一三〇〇円
ぼくのなかのほんとう
リーブル
− 27 −
た め、﹁ ぽ ー、 ぽ ー、 ぽ ー﹂ と 汽 笛 を な
テストが悪くて勉強中のコータのもと
最近のものなど二十八点が紹介されてい
一五〇〇円
へ、不思議な少年ポンちゃんが現れます。
ます。一つ一つの発明品からは作者のユ
講談社
移動遊園地でポンちゃんは気前よくコー
らし、あかやきいろのひのこをはきだし
タと一緒に遊ぶのですが、次から次へと
心がとけていきます。
二〇〇〇円
ニークな閃きと熱い思いが伝わってくる
ようです。
徳間書店
十円玉を取り出すポンちゃんは一体何者
なのでしょうか。
児童書
松尾
まなみ
がき方が、﹁なんていう往生際の悪さ ! ﹂と滑稽で、だ
﹃終わった人﹄
︱定年って生前葬だな︱
け ど ど こ か ち ょ っ ぴ り 共 感 も 出 来 て、 ど ん ど ん ペ ー ジ
物語は、年下女性とのドキドキのラブロマンスあり、
をめくる手が止まらなかった。
物語は、このつぶやきからはじまる。主人公は田代壮
介・ 六 十 三 歳。 高 校 で﹁ で き な く は な い が、 で き る わ
けでもない﹂クラスに振り分けられたことから発奮し、
け な い 方 向 へ 展 開 し て い く。 ラ ス ト シ ー ン は、 心 に じ
新 た な 目 標 の 発 見 あ り、 そ し て 壮 介 の 人 生 は、 思 い が
歩 む が、 役 員 に は な れ ず、 社 員 三 十 人 の 子 会 社 の 専 務
んと沁みた。
猛 勉 強 を し て 東 大 へ。 銀 行 員 と し て エ リ ー ト コ ー ス を
取 締 役 と し て 定 年 を 迎 え た。 生 前 葬 と は、 定 年 の 最 後
これから定年を迎える人、定年を迎えたばかりの人、
どちらの人からもこの物語の感想を聞いてみたいな、と
の 日、 社 員 た ち か ら 華 や か に 見 送 ら れ、 黒 塗 り の ハ イ
ヤ ー で 自 宅 ま で 送 っ て も ら う こ と を、 自 嘲 し て た と え
思う。
*﹃終わった人﹄︵講談社・内館牧子著・一六〇〇円︶
︵五十七歳・パート勤務︶
たものだ。
﹁俺は終わった人なのだ﹂と思いながらも﹁終わった﹂
こ と を 受 け 入 れ ら れ な い。 妻 と の 家 庭 生 活 も し っ く り
と 歯 車 が か み 合 わ ず、 ス ポ ー ツ ジ ム へ 通 っ て も﹁ ジ ジ
バ バ ば か り ﹂ と 楽 し め な い。 壮 介 の﹁ 終 わ れ な い ﹂ あ
− 28 −
﹃知の教科書
フランクル﹄
本書は私にとって衝撃の一冊でした。
西村
登
フランクルが講演しているとき、ある青年が質問した。
というのが大事なのですね。とくに自分にとって﹁負﹂
り返しくり返し説明しています。この﹁どんなときにも﹂
意味がある﹂というこの一言をいろいろな角度からく
を 尽 く し て い る か で す。 一 人 ひ と り の 人 間 は か け が え
で は あ り ま せ ん。 大 切 な の は、 そ の 活 動 の 範 囲 で 最 善
のですか﹂フランクルは答えた。﹁仕事の大きさは問題
も い ま す。 私 の 人 生 に、 一 体 ど ん な 意 味 が あ る と 言 う
﹁私はただの洋服屋の店員です。私の代りなどどこにで
の 体 験 が 続 く と き、 人 は や け っ ぱ ち に な り ま す。 自 分
なく代替不可能な存在です﹂︵P.一九四︶
著者はフランクルの言葉﹁どんなときにも、人生には、
の 例 で 言 え ば、 小 学 校 で い じ め ら れ、 仲 間 は ず れ に さ
と っ て、 最 も 意 味 が あ っ た の だ と、 本 書 を 読 み な が ら
に し て 振 り 返 る と、 こ の 辛 か っ た 時 期 こ そ 私 の 人 生 に
強 い 支 え に な っ て く だ さ っ た か ら で す。 い ま 米 寿 を 前
ん ど い じ め ら れ た ら、 わ し ら が や っ た る で な ⋮⋮﹂ と
0
*﹃知 の 教 科 書
フ ラ ン ク ル ﹄︵ 講 談 社 選 書 メ チ エ・ 諸
富祥彦著・一五〇〇円︶
︵八十八歳・無職︶
本書を読み進むうちに、私の心のなかのどうしようも
0
れ る。 や る こ と な す こ と 失 敗 し、 ヘ ボ、 ヘ ボ と 冷 や か
0
なかった空虚さが埋まっていくような気持ちになった。
0
さ れ、 辛 い 毎 日 で し た。 で も 登 校 拒 否 と ま で は い か な
0
人生から問われている自分の使命とは何か? 私の魂が
0
0
か っ た。 そ れ は 母 が﹁ あ ん た は で き る ん だ か ら ⋮⋮﹂
0
0
満たされた瞬間でした。
0
0
と 力 づ け て く れ た り、 上 級 生 のN さ ん、Y さ ん が﹁ こ
0
0
気づいたのです。
0
− 29 −
0
0
A
A TT II O
ON
N
ジュンク堂書店
名古屋栄店
MARUZEN &ジュンク堂書店
梅 田 店
ジュンク堂書店
MARUZEN
高 槻 店
広 島 店
☎(052)212 5360 ☎(06)6292 7383 ☎(072)686 5300 ☎(082)504 6210
〔営業時間〕10時∼ 20時
丸善
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〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 20時
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
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MARUZEN
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☎(058)297 7008 ☎(06)4799 1090 ☎(0797)31 7440 ☎(092)413 5401
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
MARUZEN
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☎(0742)30 1021 ☎(06)6626 2151 ☎(086)233 4640 ☎(098)860 7175
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 20時
〔営業時間〕10時∼ 20時
− 30 −
〔営業時間〕10時∼ 22時
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MARUZEN &ジュンク堂書店
札 幌 店
丸善
丸善
水戸京成店
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日本橋店
吉祥寺店
☎(011)223 1911 ☎(029)302 5071 ☎(03)6214 2001 ☎(0422)28 5333
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MARUZEN
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土10時∼ 20時
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営業時間は変更する場合がございます。ご了承ください。
定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
〔営業時間〕10時∼ 21時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
年間一二三〇円︵送料込︶
現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
│
お申し込み先
しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
書店が阪神大震災後、大阪に
初出店したのが千日前店。本
格的な座り読みコーナーな
ど、全国展開につながる先駆
けとなった店舗でした。三月
二 十 一 日 二 十 年 の 幕 を 閉 じ、
閉店いたしました。長らくの
︵司︶
ご愛顧ありがとうございま
した。
− 32 −
│
│
│
神戸発祥の旧ジュンク堂
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
改装して思うこと
三月三日、ジュンク堂神戸さんちか店
しすると体が痛くなり午前中のスピード
スピードである。一方、私達といえば少
日は作業が早い。若さゆえ衰えを知らぬ
囲気が変わった、きれいになったねとい
りがたいことだった。その上ずいぶん雰
日を迎えたが、杞憂に終わったことはあ
に来店してくださるか不安になりつつ当
十一日間の休業が明け、お客様が本当
迎えた。
は 午 後 に は ダ ウ ン し て し ま う の で あ る。
うお言葉をいただけたということは、改
が続いた。学生のアルバイトを投入した
悲しいかな。いろいろな現実を目の当た
る。そんなことはないと思いたいが、こ
ダーを着た女はもてないなんて本が見え
た ス タ ッ フ が 多 い。 そ の 後 ろ に は ボ ー
いいのが前提だ。見渡せばボーダーを着
力作業が主であり、動きやすく汚れても
業を行う。書店の開店や改装はひたすら
は比較的余裕があった。みな私服姿で作
り、十一日間の休業期間を使っての作業
なぜここにあるのか不明だが、爪楊枝が
や、 お 客 様 が 落 と さ れ た で あ ろ う ゴ ミ。
床には積年の汚れが覗く。古いスリップ
汚い。以前にあった棚の場所は移動され、
とすぐ開店できそうである。しかし床が
が け よ う ︶。 保 留 し て い た 荷 物 を 入 れ る
と日々を反省︵普段からできるように心
に直し、棚に入れるとなんて美しいのだ
はとても楽しい。スリップや帯もキレイ
店の雰囲気が変わり、本を並べていくの
︵U︶
は。これから正念場なのは間違いない。
ていただけるよう、努力していかなくて
堂があるということを少しずつでも知っ
て感じた。神戸三宮には三店舗ジュンク
まだまだ認知されていなかった事も改め
オ ー プ ン し て 二 年 半 弱 経 っ て は い た が、
ク 堂 が で き て る ! ﹂ と の 声 も 聞 こ え、
お 客 様 が 初 日 に ご 来 店 さ れ た。﹁ ジ ュ ン
新聞などのメディアも入り、大変多くの
装前の店を利用してくださっていたのだ
れに加えマスク・軍手、この姿でもてる
出てくるのは書店だけだろうか。開店前
古い棚が外され、新しい棚ができると
りにし、改装は続いた。
はずはないだろう。
には清掃が入り、きれいになって開店を
﹁さんちか﹂全館改装ということもあ
は改装してリニューアルオープンした。
棚を新たに増設するにあたって、前半
今 回 は 館 全 体 の 大 改 装 と い う こ と で、
と実感できた。
は並べている本を今ある棚から出す作業
二〇一六年四月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
449
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