石　田　はる江
小川短歌会
久びさに訪ひきし生家の若きらと里わの農の話がはづむ
と
里山の杉の木立の褐色になりて辺りに花紛まきをり
すすき
幡　谷　啓　子
永　作　喜代子
中　根　良　子
根　本　智恵子
さや
自転車を止めて手を振る学童らに吾も手を振る庭先にいて
ほう
冬ざれの丘に立つ桐風吹けば実は障りつつ寂しくぞ鳴る
なぞへ
枯草の傾斜に数本篷けたる芒向きむきに風に吹かるる
白根澤　清　香
美野里短歌クラブ
店先に並べし鉢の蝋梅は花咲き初めてひそかに匂う
けばり
鮎釣りの毛鉤作りのこまやかな苦心の業をテレビに知れり
石　橋　吉　生
碇　谷　き　え
松　島　夏　江
浜　尾　と　く
宇都宮　和　子
初詣での人ら並べる拝殿をねがい半ばに押されて離る
幼き日校舎より見し山並の夕焼の景色今に重なる
まだ少し歩く気力の残りいてすたすた歩むころばぬように
少年は暗く冷たき川に死す月の無き夜の無言の悪行
玉里短歌会
福島の伝統を継ぎ若者が小菊カボチャの種を蒔きたり
平　澤　ヒロ江
石　川　章
高見沢　こ　う
野　口　初　江
遠　藤　黎　子
平　野　ふ　さ
ひとり居は会話少なしぼけ防止役場の誘う「ふれあい」に行く
窓ごしに見れば迷子の子雀か朝のひとときちこちこ遊ぶ
人肌とは手強きものぞ温め酒昨日ぬる燗今日はあつ燗
寄稿
白菊の花に埋れし義妹よ夫を遺して今日旅立ちぬ
アンパンを君に貰って手に取れば嬉しさあまり直ぐ食べられず
小川俳句会
藪椿陽をよび寄せて地に炎える
そよ風に鳥来て唄う春日和
受験子の文字いきいきと春の宮
苔の幹紅梅の空真青なり
学窓に別れ行く子ら仲の春
みづうみ俳句会
早春や旅の誘いの誌が届き
蒼天の常陸路に梅満ち溢れ
雲流水つり人一人春の川
下萌えや希望にもえる子らのよう
黄水仙空の青さにうなづける
みのり俳句会
彼岸桜芽の上向きにふくらめる
春立つや夫婦連れ立ち畑仕事
大寒の月囲みたる輪の広さ
初雪の積もる事なく庭静か
霜柱ザクザク勇みてをのこの子
欅の会
野良猫の遠巻きに居る涅槃寺
身の内のどこかが疼きホーホケキョ
今日は歌明日は読書寒明ける
蓄音機指で回して弥生かな
直筆のこえをあたたむ春障子
くるみ俳句会
石庭に島五つあり春の海
筧より静かに落つる春の水
春光の煌めく湖や戻り舟
物の芽にたゆまぬ力ありにけり
街道の行く先々に犬ふぐり
玉里俳句会
ざっくりと切り分け皿に春キャベツ
今年また自然の恵み蕗の薹
野仏の丸き御鼻や風光る
断捨離は進まず葱の皮をむく
震災をまぬがれ五年春迎ふ
関　久　子
柏　崎　尚　子
河原井　美　代
国　友　信　子
田　山　一　男
長　島　久美子
茅　場　久　子
内　田　と　み
三　村　れい子
榎　本　喜代子
滑　川　きぬゑ
宇津野　岩　子
木名瀬　やゑ子
坂　光　子
佐　藤　清　子
岡　島　禮　子
井　坂　あ　さ
鈴　木　貞一郎
村 田 妙 子
木　村　小夜子
堀　内　いづみ
松　崎　淑　子
安　彦　昭　子
荒　井　栗　山
小　原　ヱ　ミ
鶴　町　文　男
長谷川　光　男
栁　たま江
正　木　敦　子
田　山　森　俊
平成 28 年４月７日　広報おみたま
25