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成果報告書要約版
平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査)
岡崎駅南地区における土地区画整理事業連携型エネルギー地産・地消モデル構築事業
事業者名:㈱早稲田環境研究所、東邦ガス㈱、清水建設㈱、
西日本電信電話㈱、長瀬産業㈱、㈱キャプテックス、岡崎市
対象地域:岡崎駅南土地区画整理地区
実施期間:平成27年6月~平成28年2月
1.事業の背景・目的
岡崎市では、JR東海道線の岡崎駅から南に約
1kmの距離にある41haの広大な地区(岡崎駅南土
地区画整理地区)を対象に、大規模な区画整理事
業を実施している。現在は土地造成を進めている事
業段階にあり、今後、ガス導管や下水等のインフラ
を整備するスケジュールとなる。中心部に3haの集
合保留地を3ヶ所(A街区、B街区、C街区)整備し、
大学病院、商業施設がそれぞれ進出する予定であ
る。更に、福祉施設やマンション等も整備される可能
性が高く、エネルギーセンターからの熱電供給事業
を実現性が高いエリアである。
一方、区画整理事業の性質上、集合保留地以外
の地区は多数の地権者の土地で構成されているた
め土地の利用用途は地権者の意向に沿って決まる
という課題がある。このため、地権者と合意を形成し
、地権者の意向に柔軟に対応しつつ、経済的持続
可能性を確保しながら、ステップバイステップでスマ
ート化を推進する事業推進組織が必要となる。
以上から、本事業では、集合保留地を中心とした
複数需要家に対する熱電供給事業を中心に、電力
小売事業や水素供給サービスなど、多様なサービ
ス提供を通じて地域のスマート化を段階的に推進す
る、エネルギーサービス会社(仮称)設立に向けた
検討を行った。本事業での検討を通じて、我が国で
初となる多数地権者の区画整理事業でのスマートコ
ミュニティ構築モデルを確立することを目指す。
2.補助事業の概要
多数の地権者および事業者が存在する区画整理事業において、エネルギーの面的利用を含むス
マートコミュニティモデルの詳細検討を実施し、関連地権者及び事業者等との情報共有を通じて事業
参加への合意を形成し、スマートコミュニティを推進した。具体的には、大学病院や商業施設などの
出店が決定している集合保留地を中心とした熱電供給事業について、供給対象、供給システム、エ
ネルギーマネジメント方策、供給単価などの詳細を検討し、事業化可能性を調査する。加えて、電力
システム改革の動向を踏まえた地域電力小売事業の検討や、新たなエネルギー源として期待される
水素について、太陽光発電による電力で生成し、地域に供給する事業の可能性などを検討した。な
お、以上の内容を踏まえ、地域に多様なエネルギーサービスを提供するエネルギーサービス会社(
仮称)設立に向けた検討も実施した。
3.調査の結果
事業化の可否の結論: 【熱電供給事業】可(条件つき)
事業化予定時期:
【熱電供給事業】平成32年度
検討項目
実施方法(内容)
熱電供給事業
①EMSの構成
②EMSの効果
③再生可能エネ
ルギーに関する
調査
④事業実施体
制・事業スキー
ム・スケジュール
⑤事業採算性評
価
⑥他地域への展
開
【地域電力小売事業】可(条件付き)
【地域電力小売事業】平成29年度
地域電力小売事業
検討結果
熱電供給事業
• 総合病院およびクラブハウス(福祉施 • 岡崎市の廃棄物発電施設等の電 【対象需要】
設、スポーツ施設)への熱電供給。供
力を、地域で設立する地域電力小 電力:10,391 MWh/年
給システムは以下3パターン。
売事業者が調達し、岡崎市内に電 冷熱:17,113 GJ/年
力を供給する地域電力小売事業。 温熱:22,873 GJ/年
① CGSを活用した熱電供給システム
【電源・熱源】
需要は以下の3パータン。
② CGSと太陽光発電による熱電供給
CGS:1,350 kW
① 岡崎駅南土地区画整理地区
システム
太陽光:252kW
②
岡崎市公共施設
蓄電池:100 kW
③ CGS、太陽光発電、蓄電池による
熱電供給システム
③ 岡崎駅南土地区画整理地区
および岡崎市公共施設
【対象需要】
岡崎駅南土地区画整理地区
7,597kW、10,725,503kWh/年
岡崎市公共施設
28,176kW、62,660,457kWh/年
【電源】
岡崎中央クリーンセンター
10,500kW、28,889,420kWh/年
• CEMSによる最適制御
• 電力小売事業運営(需給管理)
【省エネルギー効果】
【EMS導入による経済効果】
地域エネルギーの面的利用として、
(需要予測、需要モニタリング、電 ①19,391GJ/年(11.6%)、②23,949GJ/年 対象需要家の電気料金コスト5%削減
地域内需要家全体の電力負荷、熱負 力系統モニタリング、JEPXとの取 (14.4%)、③23,939GJ/年(4.5%)
①不成立(事業赤字)
荷を予測し、コジェネ、蓄電池、熱源
引、送配電事業者との連携、電力 【省CO効果】
②成立(事業黒字)
機器等のエネルギー設備の最適な運 広域的運営推進機関との連携、顧 ①2,174t-CO2/年(19.9%)、②2,496t③成立(事業黒字)
客管理システムとの連携)
転計画を作成し、その計画に基づい
CO2/年(22.8%)、③2,496GJ/年(22.8%)
てエネルギー設備を運転することに • デマンドレスポンス
【ピーク電力削減効果】
【DRによるピークカット効果】
よりエネルギー設備の効率的運用を
①1,487kW (47.9%)、②1,693kW (54.6%)、 年間248回発動
(JEPXが高騰する際はインセン
図る
1,712kW (55.2%)
ピークカット量116,772 kWh
ティブ型DRを発動。)
• 岡崎駅南土地区画整理地区における 該当なし
遊水地および調整池における太陽光
発電の導入賦存量の調査を実施
(Zone A~C)
• 実際に太陽光発電パネルを導入を優
先するZoneの検討
【太陽光発電導入賦存量】
Zone A:1,764 kW
Zone B:378 kW
Zone C:252 kW
【地域に追加的に導入する太陽光発電】
Zone Cを対象として選定
・区画面積:7,230㎡
・パネル数:1,008枚
・PV設置容量(相当):252kW
該当なし
【事業実施体制】
地域のエネルギー事業者・建設業者・エンジニアリング事業者が事業推進の
中心となり、国・自治体等の行政機関、大学研究機関、まちづくり関係者、そ
の他エネルギー関連事業者やメーカー等の協力・支援を得ながら事業体制
(新会社)を構築していく
【事業実施体制】
新会社の出資者としては、地域のエネルギー事業者(ガス事業者、電力事業者、
その他関連事業者)、自治体、地域のまちづくり関連事業者、熱需要施設の所有
者、建設業者、エンジニアリング事業者や金融機関など
【事業スキーム】
上記「EMSの構成」に記載
【事業スキーム】
【事業スキーム】
上記「EMSの構成」に記載
【事業スキーム】
• CGSやその排熱等を活用した電力 •
と熱を供給するサービス
• 非常時(停電時)における電力供給
などの防災サービス
中央クリーンセンターをベースに、常
時バックおよびJEPXから電力を調達
し、岡崎市の公共施設に電力を供給
(※DR機能は持たない)
【スケジュール】
• 総合病院の整備スケジュールから事 【スケジュール】
• 地域内の需要家は順次取り込み規模
業開始のスケジュールを検討
• 岡崎市の公共施設の買電入札の 【スケジュール】
を拡大
スケジュールから事業開始スケ
熱電供給の主体となる企業体の形成を
ジュールを検討
平成29年度、順次平成30年度に導管布 【スケジュール】
設、平成31年度に熱源導入、病院の竣 平成29年度秋の事業開始を目指す
工となる平成32年度に供給開始を想定
• ①~②の供給パターンの事業収支を • ①~③の需要パターンの事業収 • 投資回収期間は、補助金を活用した • 単年度事業収支は、①-0.7億円、
場合、①で10.0年、②で9.4年
②1.4億円、③4億円となり、②および
試算
支を試算
③ならば事業として成立
※③は蓄電池の初期投資費用が検 • JEPX価格変動に対する事業性の • 『地産地消型再生可能エネルギー面
討中のため事業性試算の対象外
感度分析
的利用等推進事業費補助金(モデル • JEPXの価格変動はある程度許容範
囲内
構築事業のうち地産地消型エネル
• DRによる事業性向上効果を試算
ギーシステムの構築に係るもの)』の • DRによる事業性向上効果は軽微
自治体との共同申請による2/3補助の
※粗利益の向上効果 約10万円
活用を想定
• 岡崎駅南土地区画整理地区同様に、 • 中部電力の電線を託送して事業を行
病院など一定規模の熱需要が見込め
う想定であるため、供給対象は岡崎駅
るコアとなる需要施設があり、かつ面
南土地区画整理地区に限定されない。
的に開発または再開発が行われる場
地域の計画や需要家の要望に応じ、
所であるならば、同様の事業の展開
適宜、岡崎市域の需要家まで広く事業
検討は可能である。
を展開することを想定する。
• 熱電供給事業による十分な省エネ効
果・環境性を見込める。
⑦今後の展望・
課題・対策
地域電力小売事業
• 岡崎市の公共施設をコアの需要とす
ることで、事業として成立することが明
らかとなった。
• 需要家が経済的メリットを享受できる
熱電料金を設定した場合においても、 • 今後の課題は以下のとおり。
投資回収が可能な事業であり、継続
入札とせず、確実に地域電力小
的な事業として成立する可能性がある。
売事業者から市が電力を購入す
ることが必要
• 今後の展望・課題・対策として、次の4
点が挙げられる。
制度変更に伴う想定外のリスクの
1. エネルギーセンターの建設場所
発生
2. 土地開発スケジュール
JEPXの市場価格の変動リスク
3. 需要家の確保
電力自由化にともなう他社の値下
げ
4. 事業化スケジュール
4.地産地消型エネルギーシステムの概要
熱電供給事業
地域電力小売事業
 岡崎駅南土地区画整理地区における集合保留地の近辺に、エネルギーセンターを設置し、今後進
出が予定されている大学病院ならびに周辺エリアに進出が考えられるクラブハウス(福祉施設、スポ
ーツ施設)、高齢者向け住宅へ熱と電気を面的供給する事業を検討。
 岡崎市の廃棄物発電施設である中央クリーンセンター等の電力を、地域で設立する地域電力小売
事業者が調達し、岡崎市内に電力を供給する地域電力小売事業を検討。
 エネルギーセンターでは、コージェネレーションシステム(以下、CGSとする)によって発電ならびに
熱製造を行い、エネルギーを効率的に製造することによって省エネ・省CO2、電力の負荷平準化を
図るエネルギー供給システムの導入を検討。
 エネルギー需給の管理システムとして、CEMS(Community Energy Management System)を導入
し、電量需要の予測、当日モニタリング、日本卸電力取引所(以下、JEPX)との取引連携、需給ひっ
迫時におけるデマンドレスポンスの発動などのエネルギーマネジメントを検討。
岡崎市
【凡例】
域外
電気
小学校
岡崎中央クリーンセンター
(廃棄物処理施設:ごみ発電)
戸建ゾーン
エネルギーセンター
不足分等調達
電力調達
病院
戸建ゾーン
高齢者住宅
ゾーン
余剰売電
高齢者向け
集合住宅
商業ゾーン
B街区
A街区
福祉施設
スポーツ施設
地域電力小売事業
(公共・民間共同立ち上げ)
商業ゾーン
C街区
駅南
中央公園
出典:岡崎市ホームページ
福祉施設・スポーツ施設
複合ゾーン
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
【総合病院】
電力:7,764MWh/年
冷熱:13,485GJ/年
温熱:16,049GJ/年
【クラブハウス(福祉施設、スポーツ施設)】
対象需要
電力:2,287MWh/年
冷熱:3,628GJ/年
温熱:6,824GJ/年
・高齢者向け集合住宅
電力:880MWh/年
※温熱=暖房+給湯
•対象需要の電力需要
EMSシステム •熱需要の監視
•負荷予測による熱源設備、発電設備の最適稼働
電 太陽光 252kW
源・ コジェネ
1,350kW
熱源
等
蓄電池
100kW
電力供給
余剰売電
(託送過多分)
商業施設
太陽光発電
アイテム
不足分等調達
(常時バックアップ)
遊水地
電力供給
1号調整池
日本卸電力取引所
(JEPX)
岡崎駅南土地区画整理地区需要家
(A街区、B街区,C街区の除く)
岡崎市公共施設
一般電気事業者
(中部電力)
【エネルギーマネジメントシステムの構成】
導入予定時
期
(既設or新
設)
新設
新設
新設
新設
新設
アイテム
導入予定時
期
(既設or新
設)
設備概要(出力、容量、用途、台数等)
【(ア)岡崎駅南土地区画整理地区】 【(イ)岡崎市の公共施設】
・家庭
対象施設:
6,828 kW、8,630,003 kWh/年
165施設(高圧以上)
対象需要
・コンビニ:
年間契約電力:
48kW、224,000 kWh/年
28,176kW
・その他商業施設:
年間電力需要量
721kW、1,871,500 kWh/年
2,660,457kWh
•需要予測機能
•需要モニタリング機能
•電力系統モニタリング機能
•発電計画の作成機能
EMSシステム •JEPXとの取引機能
•デマンドレスポンス発行機能
•送配電事業者システムとの連携機能
•電力広域的運営推進機関との連携機能
•顧客管理システム(料金計算、スイッチング含む)との連携機能
電
バイオ 岡崎市の廃棄物発電施設「中央クリーンセンター」の余剰電力
源・
マス (発電出力:10,500kW、売電量:28,889,420kWh)
熱源
その他
中部電力の常時バックアップ契約、日本卸電力取引所
(ア)新設
(イ)既設
新設
既設
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