概要版 - 長崎市

平成26年度決算に係る
財 務 書 類
(概要版)
長崎市総務局企画財政部
平成28年2月
(4)資金収支計算書
(2)行政コスト計算書
(3)純資産変動計算書
(1)貸借対照表
長崎市
補
(1)公会計改革の目的
地方公共団体の公会計は、現金主義・単式簿記といって、一年間の現金収入と支
出を明らかにすることを目的としています。
しかし、この方法では、民間企業のようにどれだけの資産や負債を持っているの
かといったストックの状況や現金以外の要素を考慮した実質的なコストや収益とい
った経営成績がわかりません。
厳しさを増す地方の財政状況を背景に、このような発生主義・複式簿記の手法を
取り入れた財務書類の有益性に対する認識が高まり、平成18年8月、国から平成
20年度決算から全国的な基準を定めた財務書類の作成が要請されました。
長崎市においても平成20年度決算から「総務省方式改訂モデル」により財務書
類を作成・分析しており、市民のみなさまに財政状況をわかりやすく公表すると
ともに、資産・債務改革に努めていきます。
作成する財務書類(4表)
貸借対照表
資産
行政コスト計算書
経常行政コスト
純資産
経常収益
=
純経常行政コスト
-
負債
・・・
・・・
歳計現金
・・・
・・・
資金収支計算書
純資産変動計算書
収入
期首純資産残高
-
-
支出
=
資金増減額
+
期首資金残高
=
期末歳計現金残高
純経常行政コスト
+
一般財源、補助金等受入等
±
資産評価替えによる変動額
=
期末純資産残高
財務4表の連結
一般会計等(普通会計など)
公営企業9会計
第三セクター等10団体
(財)長崎市野母崎振興公社
(福)長崎市社会福祉事業団
長崎つきまち(株)
(一財)長崎市勤労者サービスセンター
(一財)長崎ロープウェイ・水族館
(株)長崎高島水産センター
(一財)長崎市地産地消振興公社
(公財)長崎市体育協会
(一財)クリーンながさき
(独)長崎市立病院機構
上下水道、索道など
その他公営事業4会計
国民健康保険事業など
長崎市
広域連合2団体
長崎県南部広域水道企業団
長崎県後期高齢者医療広域連合
1
(2)一般会計等の財務4表
ア
貸借対照表
資産や負債をどれだけ有しているかといったストック(残高)面から財政状況を
表したものです。
また、資産を取得するためにどのような財源(負債・純資産)で賄ってきたかを
みることができます。
資産の部
1 公共資産
(1)有形固定資産
(2)売却可能資産
2 投資等
(1)投資及び出資金
(2)貸付金
(3)基金等
(4)長期延滞債権
(5)回収不能見込額
3 流動資産
(1)現金預金
うち歳計現金
(2)未収金
うち回収不能見込額
資産合計
金額
負債の部
686,916,506 1 固定負債
686,735,302 (1)地方債
181,204 (2)長期未払金
(3)退職手当引当金
87,584,125 (4)損失補償等引当金
48,928,671
1,966,697 2 流動負債
35,381,988 (1)翌年度償還予定地方債
1,894,672 (2)未払金
△ 587,903 (3)賞与引当金
19,790,572
18,590,470
3,414,216
1,200,102
△ 234,440
負債合計
純資産の部
1 公共資産等整備国県補助金等
2 公共資産等整備一般財源等
3 その他一般財源等
4 資産評価差額
純資産合計
794,291,203 負債及び純資産合計
(単位:千円)
金額
260,427,691
237,237,114
409,531
22,722,888
58,158
25,065,376
23,585,816
76,032
1,403,528
285,493,067
金額
108,508,415
430,968,921
△ 104,412,417
73,733,217
508,798,136
794,291,203
(ア) 有形固定資産のうち学校や市営住宅といった事業用資産にかかる土地に
ついては固定資産税評価方式による時価評価を行なっています。
平成26年度決算における有形固定資産は約6,867億円となっており、
そのうち、土地は約2,722億円です。地価の下落等に伴う評価減がある
ものの、土地の取得があったため、対前年度約49億円の増となっています。
(イ) 市税や保育料などにかかる長期延滞債権や未収金のうちの一部について、
過去5年間の不納欠損の実績により回収不能見込額として約8億円計上し
ています。
(ウ) 全職員が平成26年度末に普通退職したと想定した場合の要支給額を退職
手当引当金として約227億円計上しています。
(エ) 資産から負債を差し引いたものが純資産(現在までの世代が負担した部
分)となり、全体として、約5,088億円の純資産を保有しています。
通常、地方公共団体の地方債は公共資産を取得するときに発行する原則
があり、負債とあわせて資産も計上されるため、地方債を発行することに
より、純資産が減少することはありませんが、臨時財政対策債などの赤字
地方債の発行は資産形成に結びつかないため、負債のみの計上となります。
同じく、退職手当引当金なども負債のみの計上となるため純資産が減少
することとなります。純資産の部のうち「その他一般財源等」が約1,044
億円のマイナスとなっておりますが、このマイナス分は将来の一般財源で
解消していくこととなります。
2
イ
行政コスト計算書
行政活動のうち福祉活動やごみの収集といった資産形成に結びつかない行政サービ
スに係る経費とその行政サービスの直接の対価として得られた使用料・手数料などの
財源(受益者負担)を対比させたものです。
この2つの差が純経常行政コストとなりますが、これは受益者負担以外の市税等で
賄わなければならないコストを表しています。
経常費用
1 人にかかるコスト
(1)人件費
(2)退職手当引当金繰入等
(3)賞与引当金繰入額
(単位:千円)
金額
25,115,681
23,381,844
330,309
1,403,528
2 物にかかるコスト
(1)物件費
(2)維持補修費
(3)減価償却費
39,932,518
18,786,590
1,914,558
19,231,370
3 移転支出的なコスト
(1)社会保障給付
(2)補助金等
(3)他会計等への支出額
(4)他団体への公共資産整備補助金等
105,233,680
71,792,982
8,781,098
21,373,124
3,286,476
4 その他のコスト
(1)支払利息
(2)回収不能見込計上額
(3)その他行政コスト
3,111,714
2,964,787
146,927
0
経常費用合計
経常収益
1 使用料・手数料
2 分担金・負担金・寄付金
173,393,593
金額
4,739,902
3,227,095
経常収益合計
純経常行政コスト(経常費用-経常収益)
7,966,997
165,426,596
(ア) 人件費や物件費といった現金支出のほか、有形固定資産にかかる減価償
却費や歳入における回収不能見込額といった非現金支出も経常費用に含ん
でいます。
(イ) 減価償却費は約192億円で、物にかかるコストの中で最も金額が大きく、
過去に多くの公共資産を整備してきたことがわかります。
(ウ) 移転支出的なコストは4つのコスト区分の中で最も割合が大きく、経常
費用全体の約61%を占めています。
その内訳は生活保護費や各種福祉手当などの社会保障給付のほか、各種
団体などに対して支出する補助金や公営企業会計などに対する繰出金です。
(エ) 行政サービスの直接の対価として得られた使用料などの経常収益は約80
億円で、経常費用の約5%が受益者負担となっています。
言いかえれば、経常費用の約95%は市税などの受益者負担以外の財源で
賄っているということになります。
3
ウ
純資産変動計算書
貸借対照表の純資産の部(現在までの世代が負担した部分)が1年間でどのように
変動したかを表すものです。
区分
期首純資産残高
(単位:千円)
金額
499,706,934
純経常行政コスト
一般財源
補助金等受入
臨時損益
資産評価替えによる変動額
その他
当期純資産変動額
△ 165,426,596
107,385,670
64,401,235
90,329
△ 2,879,742
5,520,306
9,091,202
期末純資産残高
508,798,136
(ア) 資産形成に結びつかない純経常行政コストは約1,654億円ありますが、
一般財源と補助金等受入などにより賄っています。
これは、経常収益で賄えない行政コストを市税など一般財源や国庫支出
金により補てんしていることを意味しており、純経常行政コストが大きい
ほど純資産の減少が大きくなります。
(イ) 災害復旧費や財産売払収入などを臨時損益として約1億円計上しています。
(ウ) 有形固定資産のうち学校や市営住宅といった事業用資産にかかる土地に
ついては固定資産税評価方式による時価評価を行なっています。
平成26年度決算における有形固定資産のうち土地は約2,722億円ですが、
地価の下落等に伴う評価減が約△28.1億円生じており、売却可能資産につ
いても資産評価替え等により約△0.7億円の変動が生じています。
4
エ
資金収支計算書
歳計現金の出入りの情報を経常的収支、公共資産整備収支、投資・財務的収支の3
つの区分に分けて表したものです。他の3つの財務書類と異なり、行政活動を資金の
流れからみたもので、現在の公会計と同じ現金主義による財務書類です。
また、参考として基礎的財政収支(プライマリーバランス)を表しています。
区分
1 経常的収支
2 公共資産整備収支
3 投資・財務的収支
当期収支
(単位:千円)
金額
27,430,043
△ 2,876,918
△ 25,298,524
△ 745,399
期首資金残高
4,159,615
期末資金残高
3,414,216
(参考:基礎的財政収支)
区分
収入総額
地方債発行額
財政調整基金等取崩額
支出総額
地方債元利償還額
財政調整基金等積立額
基礎的財政収支
《経常的収支》
人件費や物件費などの支出と税収や手数
料などの収入といった日常の行政活動に
伴う資金収支です。
《公共資産整備収支》
公共事業などの支出とその財源となる補
助金・地方債などの収入といった公共資
産の整備に伴う資金収支です。
(単位:千円)
《投資・財務的収支》
金額
出資・貸付や地方債の元金償還などの支
213,200,834
出と貸付金元金や財産売払収入などの収
△ 27,559,819
入といった投資活動や借金の返済に伴う
0
資金収支です。
△ 213,946,233
22,207,444
3,133,968
△ 2,963,806 ※プライマリーバランス
(ア) 期末資金残高は約34億円となっており、内訳をみると、公共資産整備
収支や投資・財務的収支の不足額を経常的収支における市税などの一般財
源で補てんしていることがわかります。具体的には、道路など公共資産の
整備や地方債の償還などに市税などの一般財源を投入しているということ
になります。
(イ) 基礎的財政収支とは、地方債による収支と年度間の財政調整機能である
財政調整基金や減債基金による収支を除いた歳入と歳出のバランスをみる
ものです。
長崎市では、基金積立額が取崩額を約31億円上回っているものの、地方
債の新規発行額が地方債の元利償還金を約54億円上回っていることなどか
ら、基礎的財政収支は約29億円のマイナスとなっています。
(5)財務4表にかかる主な指標
5
(5)財務4表にかかる主な指標
オ 市民一人あたり財務4表
普通会計の財務4表を平成26年度末時点の住民基本台帳人口434,332人で割った
市民一人あたりの財務4表です。
貸借対照表
資産の部
1 公共資産
2 投資等
3 流動資産
うち歳計現金
資産合計
負債の部
1 固定負債
2 流動負債
負債合計
純資産の部
負債及び純資産合計
資金収支計算書
区分
1 経常的収支
2 公共資産整備収支
3 投資・財務的収支
当期収支
行政コスト計算書
(単位:千円)
金額
1,581
202
46
8
1,829
金額
600
58
658
1,171
1,829
経常費用
1 人にかかるコスト
2 物にかかるコスト
3 移転支出的なコスト
4 その他のコスト
経常費用合計
経常収益
1 使用料・手数料
2 分担金・負担金・寄付金
経常収益合計
純経常行政コスト
純資産変動計算書
(単位:千円)
金額
63
△ 7
△ 58
△ 2
期首資金残高
10
期末資金残高
8
区分
期首純資産残高
純経常行政コスト
一般財源
補助金等受入
臨時損益
資産評価替えによる変動額
その他
当期純資産変動額
期末純資産残高
(単位:千円)
金額
58
92
242
7
399
金額
11
7
18
381
(単位:千円)
金額
1,151
△ 381
247
148
0
△ 7
13
20
1,171
(ア) 市民一人あたりの道路や学校などの資産は1,829千円、地方債や退職手
当引当金などの負債は658千円です。
(イ) 市民一人あたりの1年間にかかる行政サービスの費用は399千円、直接
負担した施設使用料などは18千円です。
6
(3)地方公共団体全体の連結財務4表
貸借対照表
資産の部
1 公共資産
2 投資等
3 流動資産
うち歳計現金
資産合計
負債の部
1 固定負債
2 流動負債
負債合計
純資産の部
負債及び純資産合計
資金収支計算書
区分
1 経常的収支
2 公共資産整備収支
3 投資・財務的収支
当期収支
行政コスト計算書
(単位:千円)
金額
1,009,088,319
54,452,695
40,567,240
22,367,731
1,104,108,254
金額
463,337,003
39,080,197
502,417,200
601,691,054
1,104,108,254
経常費用
1 人にかかるコスト
2 物にかかるコスト
3 移転支出的なコスト
4 その他のコスト
経常費用合計
経常収益
1 使用料・手数料
2 分担金・負担金・寄付金
3 保険料
4 事業収益
5 その他特定行政サービス収入
経常収益合計
純経常行政コスト
純資産変動計算書
(単位:千円)
金額
39,731,158
△ 7,974,397
△ 33,292,921
△ 1,536,160
期首資金残高
23,903,891
期末資金残高
22,367,731
(単位:千円)
金額
27,775,286
58,990,883
194,517,732
6,504,443
287,788,344
金額
4,739,902
42,817,573
20,248,902
18,315,589
4,337,062
90,459,028
197,329,316
区分
期首純資産残高
(単位:千円)
金額
709,809,759
純経常行政コスト
一般財源
補助金等受入
臨時損益等
資産評価替えによる変動額
無償受贈資産受入
その他
当期純資産変動額
△ 197,329,316
107,385,670
101,327,129
△ 43,637
△ 2,882,536
31,895
△ 116,607,910
△ 108,118,705
期末純資産残高
601,691,054
ア 平成24年度から病院事業は地方独立行政法人移行に伴い廃止しています。
イ 公営企業会計においては、通常の企業債残高は貸借対照表において借入
資本金として純資産(資本)の部に計上しますが、本書類では民間企業と
同じ考え方で負債の部に計上しています。
ウ 貸借対照表における資産の規模は普通会計の約1.4倍となっています。
これは上下水道事業などの公営企業会計でも大きな公共資産を形成して
いるためです。
一方、負債の規模は普通会計の約1.8倍となっています。
これも企業債残高などによるものですが、特に下水道事業における負債の
割合が高いことに起因しています。
エ 行政コスト計算書における経常費用は普通会計の約1.7倍となっています。
これは国民健康保険事業や介護保険事業の社会保障給付などが多額にの
ぼるためです。
一方で経常収益は保険料収入などがあるため普通会計の約11.4倍となっ
ていて、受益者負担の割合は約31%と、普通会計の約5%を大きく上回っ
ています。
オ 公営企業9会計のうち上下水道事業など4会計については、行政コスト
計算書において経常収益が経常行政費用を上回っているため民間企業でい
う経常利益を確保できていますが、農業集落排水事業などの5会計は経常
損失を計上している状況です。
7
(4)外郭団体を含めた連結財務4表
貸借対照表
資産の部
1 公共資産
2 投資等
3 流動資産
うち歳計現金
資産合計
負債の部
1 固定負債
2 流動負債
負債合計
純資産の部
負債及び純資産合計
行政コスト計算書
(単位:千円)
金額
1,025,815,066
45,052,373
45,967,050
25,624,788
1,116,834,489
金額
480,742,883
42,426,698
523,169,581
593,664,908
1,116,834,489
経常費用
1 人にかかるコスト
2 物にかかるコスト
3 移転支出的なコスト
4 その他のコスト
経常費用合計
経常収益
1 使用料・手数料
2 分担金・負担金・寄付金
3 保険料
4 事業収益
5 その他特定行政サービス収入
経常収益合計
純経常行政コスト
資金収支計算書
区分
1 経常的収支
2 公共資産整備収支
3 投資・財務的収支
当期収支
期首資金残高
経費負担割合変更に伴う差額
期末資金残高
純資産変動計算書
(単位:千円)
金額
38,700,569
△ 9,578,084
△ 35,003,241
△ 5,880,756
31,527,643
△ 22,099
25,624,788
(単位:千円)
金額
35,174,625
66,350,979
259,244,880
8,359,381
369,129,865
金額
4,739,902
77,186,887
20,248,902
31,127,285
4,709,981
138,012,957
231,116,908
区分
期首純資産残高
(単位:千円)
金額
703,692,029
純経常行政コスト
一般財源
補助金等受入
臨時損益等
資産評価替えによる変動額
無償受贈資産受入
その他
当期純資産変動額
△ 231,116,908
107,397,302
133,643,572
△ 690,438
△ 2,790,723
58,395
△ 116,528,321
△ 110,027,121
期末純資産残高
593,664,908
ア 平成24年度に病院事業から地方独立行政法人に移行した長崎市立病院
機構は第三セクター等で計上しています。
イ 貸借対照表において、第三セクター等10団体のうち(独)長崎市立病院機構
は負債が資産を上回る債務超過の状態となっているため、一層の経営健全化
に努める必要があります。
ウ 行政コスト計算書における経常費用は地方公共団体全体の約1.3倍、経常
収益は約1.5倍となっています。
これは、広域連合方式で運営している後期高齢者医療事業にかかる多額
の社会保障給付などが計上されているためです。
エ 第三セクター等10団体のうち㈱長崎つきまちなど6団体については行政
コスト計算書において経常収益が経常費用を上回っているため民間企業で
いう経常利益を確保できていますが、(独)長崎市立病院機構など4団体は経
常損失を計上している状況です。
8