基準モデル(普通会計ベース) 平成 26 年度 豊田市のわかりやすい財務諸表 ~どうなっているの!? 豊田市の財産~ あなたは豊田市がどれだけの資産(現金、貯金、土地、道路、公園など)があり、どれ だけの負債(未払金、借入金など)を抱えていると思いますか? 豊田市の財産状況やお金の使い方を明らかにした資料が貸借対照表な どの財務4表です。これらの資料から何が分かるのか具体的に解説してい きます。 Q1 豊田市の財産状況はどうなっているの? 財産状況を知るためには貸借対照表を使います。この表は、1年間の行政サービ ス活動を受けて、平成 26 年度末現在の資産状況を分かるようにした表です。表 の左側が市の資産で右側が負債になります。資産Aと負債Bの差額が純資産Cと なり、表の右側に表示されます。 貸借対照表(BS) 現金 83 億円 債権(未収金など) 103 億円 有価証券・投資など 0 億円 未払金・前受金 56 億円 賞与引当金 15 億円 0 億円 預かり金 129 億円 1,093 億円 公債(短期) 1,279 億円 短期借入金 0 億円 土地・立木竹 1,727 億円 その他の流動負債 0 億円 建物・工作物 1,419 億円 貯金(基金など) 金融資産 機械器具・物品 249 億円 その他有形固定資産 12 億円 無形固定資産など 9 億円 公共用地(道路、公園用地など) 公共用施設(道路、公園など) その他の公共用財産 3,358 億円 A 200 億円 公債 684 億円 0 億円 借入金 199 億円 退職給付引当金 0 億円 その他の非流動負債 非流動負債 883 億円 負債合計 B 1 兆 8,697 億円 純資産合計 C 1 兆 9,976 億円 負債・純資産合計 13 億円 非金融資産 資産合計 1 兆 1,910 億円 流動負債 1,083 億円 1 兆 8,893 億円 1 兆 9,976 億円 Q2 貸借対照表から分かるポイントは? ・資産は 1 兆 9,976 億円(A)です。市民1人あたり 474 万円になります。 ・負債は 1,083 億円(B)です。市民1人あたり 26 万円になります。 ・純資産は 1 兆 8,893 億円(C)です。市民1人あたり 448 万円になります。 ・資産に対する純資産の割合を純資産比率(C÷A)と言います。この値が高い ほど将来世代の負担割合が軽いことを意味します。豊田市は 94.6%です。 ・1.8 兆円を超える非金融資産(道路、公園など)を持っていますが、これだけの 膨大な資産を維持していくための費用確保が今後の課題となります。 Q3 豊田市の行政サービス費用はどれくらい? 1年間に行政サービスの提供にかけた費用と収入(体育施設などの利用料・住民 票発行などの行政手数料)を表にしたものが行政コスト計算書です。この表では、 建物や設備などの価値の「目減り分」も費用としてみなし、 「減価償却費(D)」 として計上してあります。 行政コスト計算書(PL) 議員歳費 3 億円 職員給料 106 億円 その他人件費等 176 億円 人件費 285 億円 消耗品費 30 億円 維持補修費 D 減価償却費 その他の物件費 自己収入 41 億円 その他の業務収益 0 億円 業務収益 41 億円 受取利息等 3 億円 その他の業務関連収益等 67 億円 151 億円 業務関連収益 70 億円 88 億円 経常収益合計 F 111 億円 純経常費用(純行政コスト) G 1,312 億円 26 億円 物件費 295 億円 業務費 3 億円 委託費 225 億円 31 億円 その他の経費等 経費 259 億円 公債費(利払分) 8 億円 その他の業務関連費用等 7 億円 業務関連費用 15 億円 移転支出 569 億円 経常費用合計(総行政コスト) E 1,423 億円 Q4 行政コスト計算書から分かるポイントは? ・豊田市が福祉や教育などの資産形成につながらない人的・給付的な行政サービ スの提供にかかったコスト(人・物・業務にかかるコストと補助金などの移転 支出的なコストを合わせた費用)は 1,423 億円ですE。 ・行政サービスの対価である使用料・手数料等の収益は 111 億円ですF。 ・上記のEとFを差し引いたGが1年間にかかった純行政コストで 1,312 億円 となりました。 ・建物や設備などの価値の「目減り分」を費用としてみなした「減価償却費」は 88 億円ですD。言い換えると、過去に取得した資産の価値が 1 年間で 88 億 円分減ったことになります。 Q5 豊田市の行政サービス水準はどうなの?? 経常費用(総行政コスト)に対する経常収益の割合(F÷E)が 7.8%となってい ます。これは、行政サービスを受ける当事者本人がどの程度サービス費用を負担し ているかを示します。豊田市の場合は、行政サービスに対する受益者負担割合が低 いことを表しています。 Q6 豊田市の純資産は増えたの?減ったの? 純資産合計は貸借対照表でも分かりますが、1年間の純資産の変動要因を見るに は、純資産変動計算書を使います。豊田市は前年度に比べ純資産が 179 億円増 えていますH。 純資産変動計算書(NW) 期首(平成25年度末)純資産残高 (a) 当期純資産変動額 (b=減額要因の内訳-増額要因の内訳) 1 兆 8,714 億円 H 179 億円 【減額要因の内訳】 純経常費用への財源措置 I -1,312 億円 -91 億円 固定資産形成への財源措置 -400 億円 その他の財源の使途等 固定資産の減少 -68 億円 長期金融資産の減少等 -21 億円 その他純資産の変動等 -188 億円 【増額要因の内訳】 1,278 億円 税収・社会保険料 614 億円 移転収入等 固定資産の増加 長期金融資産の増加等 期末(平成26年度末)純資産残高 (=a+b) J 93 億円 274 億円 1 兆 8,893 億円 Q7 純資産変動計算書から分かるポイントは? ・Iでは、前のページで見た行政サービスの提供にかかるコストGを補うため、 純経常費用への財源措置として 1,312 億円を措置しています。 ・Jからは、道路や公園などの固定資産の形成に 93 億円を投資したことが分かり ます。 豊田市では、資産や負債を把握するため、平成 20 年度決算から上記財務諸 表(貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書)の作成に取り組んで います。 これまで紹介してきた財務諸表は発生主義(資産、負債、純資産の増減、収益や費用の 記録を事実に基づいて計上すること。)により作成しています。 発生主義は、減価償却費や各種引当金、未払金、未収金といった見えにくいコストを明 示し、将来に備えた費用計上を見込むことが大きな特徴です。 一方で、現金主義(現金収支の事実に基づいて収益や費用を計上すること。 )に基づいて 作成した財務諸表が資金収支計算書となります。 次ページでは、資金収支計算書を紹介します。 Q8 1年間でどのように現金が使われたの? 1年間にどのようなお金を得たり、どのようにお金を使ったかを知るためには、 資金収支計算書を使います。 豊田市では、1年間に 1,825 億円の歳入Kと、1,841 億円の歳出Lがありまし た。 資金収支計算書(CF) 期首(平成25年度末)資金残高 (a) 99 億円 当期資金収支額 (b=増額要因の内訳-減額要因の内訳) -16 億円 【増額要因の内訳】 租税収入・社会保険料収入 経常業務収益収入 移転収入 固定資産売却収入 長期金融資産償還収入等 公債発行収入 借入金収入等 1,282 億円 経常的収入 1,735 億円 資本的収入 43 億円 97 億円 K 1,825 億円 356 億円 22 億円 21 億円 47 億円 財務的収入 47 億円 0 億円 【減額要因の内訳】 297 億円 人件費支出 物件費支出 経費支出 業務関連費用支出 207 億円 経常的支出 1,352 億円 273 億円 6 億円 L 移転支出 固定資産形成支出 長期金融資産形成支出等 支払利息支出 元本償還支出 1,841 億円 資本的支出 348 億円 財務的支出 141 億円 期末(平成26年度末)資金残高 (=a+b) 569 億円 91 億円 257 億円 8 億円 133 億円 83 億円 Q9 資金収支計算書から分かるポイントは? ・経常的収支(=経常的収入-経常的支出)と資本的収支(=資本的収入-資本的 支出)を合計した基礎的財政収支は、78 億円の黒字となっています。この収支 は、行政サービスに必要な費用を銀行等からの借入金などに頼ることなく賄えて いるかを表します。一般的に数値が黒字であれば、将来世代に負担を先送りする ことなく、当該年度の経費を当該年度の収入で賄ったと判断できます。 ・財務的収支(=財務的収入-財務的支出)は、94 億円の赤字となっています。 これは、銀行等からのお金の借入額よりも返済額(元金と利息)の方が上回って いることを意味します。 Q10 4つの財務諸表から何が読み取れるの? では、最後にこれらの財務諸表から導き出せる指標について解説します。これら の数値や比率の推移を見ることによって、豊田市の財政状況がどのような方向に 向かっているかが分かります。 (1)流動比率 【 (資金+財政調整基金)/流動負債】 短期的な債務である流動負債(1年以内に銀行等に返す必要があるお金など)を返済できるかを 判断する指標です。つまり、今後1年間の支払予定額の準備がどの程度行われているかを見ます。 100%を切れば、支払額に充てる資金が少ないことを意味し、資金繰りが厳しい状態を示します。 豊田市は、平成25年度決算までは数値が悪化していましたが、平成26年度決算では改善されま した。 流動比率 平成24年度 122.3% 平成25年度 102.9% 平成26年度 162.4% (2)住民一人あたりの資産と負債 【資産/住民人口 ・ 負債/住民人口】 一人あたりの資産や負債を明確に表します。他団体と比較すれば、豊田市の資産が多いことと、 負債が少ないことが分かります。 住民一人あたりの資産 住民一人あたりの負債 平成24年度 473 万円 29 万円 平成25年度 472 万円 28 万円 平成26年度 474 万円 26 万円 (3)純資産比率 【純資産合計/資産合計】 資産全体から負債全体を差し引いた純資産部分は過去及び現役世代の負担で構成されており、純 資産比率は、将来世代とこれまでの世代との間で負担の割合を見る指標です。純資産比率の減少は、 将来世代に負担が先送りされたことを意味します。豊田市は高い割合を維持しており、将来世代へ の負担の先送りが少ないと言えます。 純資産比率 平成24年度 94.0% 平成25年度 94.1% 平成26年度 94.6% (4)受益者負担比率 【経常収益合計/経常費用合計】 行政サービスを受ける当事者がどの程度の行政サービス費用を負担しているかを示します。受益 者負担比率が低いと、安く行政サービスを受けることができていることを意味します。一方で、こ の比率が低いことは、公平性の観点から望ましくないと判断できます。豊田市は、受益者負担比率 が低い値で推移しています。 受益者負担比率 平成24年度 7.8% 平成25年度 7.9% 平成26年度 7.8% (5)資産更新準備率 【(資金+基金・積立金)/減価償却累計総額】 減価償却累計額のうち、どれだけの割合が資金等として持ち合わせているかの割合を見る指標で す。数値が大きいほど、将来に備えた資産更新準備ができていると判断できます。豊田市は、非金 融資産(道路や公園)が多いため、その維持のために今後も将来に備えた資金準備が必要となりま す。 資産更新準備率 平成24年度 15.2% 平成25年度 11.0% 平成26年度 17.3% (6)基礎的財政収支 【経常収支+資本的収支】 基礎的財政収支が黒字であれば、将来世代に負担を先送りすることなく、当該年度の経費を当該 年度の収入で賄ったと判断できます。つまり、財政状況を見る上では、重要な指標となります。豊 田市は、この数値が改善傾向にあり、平成 24 年度決算から黒字となっています。 基礎的財政収支 平成24年度 27 億 8,744 万円 平成25年度 24 億 6,850 万円 平成26年度 78 億 9,594 万円 (7)財務的収支 【財務的収入-財務的支出】 地方債(借入金)などの発行収入と元利償還金支出(借入金の元金と利息)の収支を表す財務的 収支は、地方債残高が増えているのか減っているのかを示します。平成 24年度決算から借入額よ りも返済額(元金と利息)が上回っています。 平成24年度 △4 億 288 万円 財務的収支 平成25年度 △15 億 8,323 万円 平成26年度 △94 億 7,316 万円 (8)地方債償還能力年数 【地方債残高/経常的収支】 地方債(借入金)を経常的に確保できる資金(主に行政サービスの対価である使用料・手数料等) で返済した場合に何年で返済できるかを表します。この数値で、債務返済能力を測ることができま す。豊田市は、税収の増加による経常的収支額の増加に伴い、年数が短くなっています。 地方債償還能力年数 平成24年度 8.6 年 平成25年度 6.3 年 平成26年度 2.1 年 Q11 人口規模が同じ自治体と比較すると? では、実際に人口規模が同規模(約 40 万人)のA市と比較してみます。主な指 標について以下の表にまとめましたので、参考にしてください。 市民一人あたりの資産 市民一人あたりの負債 純資産比率 受益者負担比率 基礎的財政収支 地方債償還能力年数 平成 26年度決算普通会計ベース 豊田市 474 万円 26 万円 94.6% 7.8% 78 億 9,594 万円 2.1 年 平成26年度決算普通会計ベース A市 192 万円 38 万円 80.1% 6.0% △13 億 7,656 万円 8.2 年
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