⑦「第1章 貨物自動車運送事業法」では、四択問題の内容が多岐にわたっている ため、いったん法令根拠ごとに問題を分割し、それを○ × 問題として該当法令 に付記しました。このようにすることで、運送事業法の各条項ごとに、どの部分 から出題されているかが分かります。第1章については、同じ問題がほぼ2回収 録してあることになります。 ⑧各問題には「 」マークを付けました。これにチェックを入れることで、問題 の習熟度を知ることができます。 ⑨本書では正解を別紙にまとめてあります。このため、 「問題と解説」であるものの、 「問題集」として使うことができるようになっています。別紙の正解を紛失した 場合は、当社のホームページから正解を入手することができます。 ⑩法令の仕組みについて若干、説明します。1つの法は、それに続く政令、省令、 告示などを含めて成り立っています。政令、省令、告示などにより、法のより細 かい部分が定められています。本書で関係する主な法をまとめると、次のとおり となります。本書では平成26年3月現在の法令等をもとに編集しています。 法 律 政令、省令、告示 貨物自動車運送事業法 ◎貨物自動車運送事業法施行規則(省令) (運送事業法) ◎貨物自動車運送事業輸送安全規則(省令) ◎自動車事故報告規則(省令) ◎貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対し て行う指導及び監督の指針(省令) 道路運送車両法 (車両法) ◎道路運送車両法施行規則(省令) ◎自動車点検基準(省令) ◎道路運送車両の保安基準(省令) ◎道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(告示) 道路交通法(道交法) ◎道路交通法施行令(政令) 労働基準法(労基法) ◎自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(告示) ⑪政令は、内閣が制定する命令、省令は各省大臣が主任の事務につき発する命令を いいます。また、告示は各省庁などが広く一般に向けて行う通知をいいます。 4 受験ガイド 1.運行管理者とは 運行管理者は、事業用自動車の安全運行を管理するために、運送事業者の選任を 受けた者をいいます。業務は、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、事 業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監 督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示等、事業用自動 車の運行の安全を確保するため必要なことを行います。 2.運行管理者試験受験資格 自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除きます。)は、一定の数以上の 事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しな ければなりません。 運行管理者として選任されるためには、自動車運送事業の種類に応じた運行管理 者資格者証を取得する必要があります。 運行管理者資格者証を取得するためには、次の二つの方法があります。 ①運行管理者試験に合格する 年齢などの制限はありませんが、以下のいずれかに該当しなければ受験できま せん。 試験日の前日において、自動車運送事業(貨物軽自動車運送 Ⓐ実務経験 事業を除く。)の用に供する事業用自動車又は特定第二種貨 1年以上 物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)の 運行の管理に関し、1年以上の実務の経験を有する方。 Ⓑ基礎講習 独立行政法人 自動車事故対策機構において、平成7年4月1 修了 日以降に実施した「基礎講習」を修了された方。 Ⓒ基礎講習 独立行政法人 自動車事故対策機構が実施する「基礎講習」を 修了見込み 修了される予定の方。 Ⓓ再受験者 Ⓔ既資格者 直近2回の試験で受験資格を得て、再び今回受験される方。 すでに他の種類の「運行管理者資格者証」の交付を受けてい る方。 ②事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その 他の要件を備える[ 運送事業法第19条 ( 運行管理者資格者証 ) 参照。⇒134P ] 6 3.運行管理者試験について 運行管理者試験は、国土交通大臣が指定した指定試験機関の ( 財 ) 運行管理者試 験センターにより実施されています。試験の期日・場所などについてはあらかじめ 公示されます。 ●試験実施時期 1年度2回、8月 ( 第1回 ) と3月 ( 第2回 ) に実施されます。 平成26年度第1回 (8月実施 ) 試験日 平成26年8月24日 ( 日 ) 頒布期間 平成26年5月23日 ( 金 ) ~ 6月13日 ( 金 ) 申請期間 ①受験申請書による申請 平成26年5月23日 ( 金 ) ~ 6月13日 ( 金 ) ②インターネットによる申請 平成26年5月23日 ( 金 ) ~ 6月23日 ( 月 ) 試験結果の発表 試験日より1ヵ月以内 ●試験地 全国47都道府県で行われ、希望する試験地を選択することができます。また、試 験会場については、その都度決定されます。 ●試験出題分野 マークシート方式の筆記試験で行われます。配点は1問1点で30点満点です。 出題分野 出題数 ①貨物自動車運送事業法 8問 ②道路運送車両法 4問 ③道路交通法 5問 ④労働基準法 6問 ⑤その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の 知識及び能力 7問 合 計 30問 試験時間 90分 ※法令等の改正があった場合は、法令等の改正施行後6ヵ月は改正部分を問う問 題は出題しません。 ●合格基準 合格基準は、次の (1) 及び (2) の得点が必要です。 合格基準 (1) 原則として、総得点が満点の60%(30問中18問)以上であること。 (2) 上表の①∼④の出題分野ごとに正解が1問以上であり、⑤について は正解が2問以上であること。 7 第5章 実務上の知識及び能力 (6) 「アルコール検知器を用いて」とは、対面でなく電話その他の方法で 点呼をする場合には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、又 は自動車に設置されているアルコール検知器を使用させ、及び当該アル コール検知器の測定結果を電話その他の方法(通信機能を有し、又は 携帯電話等通信機器と接続するアルコール検知器を用いる場合にあっ ては、当該測定結果を営業所に電送させる方法を含む。)で報告させ ることにより行うものとする。 営業所と車庫が離れている等の場合において、運行管理者等を車庫 へ派遣して点呼を行う場合については、営業所の車庫に設置したアル コール検知器、運行管理者等が持参したアルコール検知器又は自動車 に設置されているアルコール検知器を使用することによるものとする。 (7)(6) の規定にかかわらず、対面でなく電話その他の方法で点呼をする 場合であって、同一事業者の他の営業所(以下この項において「他の 営業所」という。)において乗務を開始又は終了する場合、運転者に 他の営業所に備えられたアルコール検知器(この場合のアルコール検 知器は、他の営業所に常時設置されており、検査日時及び測定数値を 自動的に記録できる機能を有するものに限る。)を使用させ、及び当 該アルコール検知器の測定結果を電話等の方法により所属する営業所 の運行管理者等に報告させたときは、「当該運転者の属する営業所に備 えられたアルコール検知器」を用いたとみなすものとする。 (8)運転者に他の営業所のアルコール検知器を使用させる場合は、アル コール検知器の使用方法等について、運転者の所属する営業所及び他 の営業所の双方の運行管理規程に明記するとともに、運転者、運行管 理者等その他の関係者に周知することとする。 (9)(6) による方法又は (7) による方法のいずれの場合であっても、他 の営業所において乗務を開始又は終了する場合には、他の営業所に所 属する運行管理者等の立ち会いの下で検査を実施するよう事業者を指 導することとする。また、(7) による方法の場合には、アルコール検 査をより一層確実に実施する観点から、運転者の所属する営業所にお いて、一定期間ごとに、他の営業所から測定結果の記録又はその写し の送付を受けるとともに、その確認等を行うよう事業者を指導するこ ととする。 350 第8条 乗務等の記録 1.乗務等の記録は乗務員の乗務の実態を把握することを目的とするもの であるから、事業者に対し、次の要領(略)で記録し、過労の防止及び 過積載による運送の防止等業務の適正化の資料として十分活用するよう 指導すること。 第18条 運行管理者等の選任 4.補助者は、運行管理者の履行補助を行う者であって、代理業務を行え る者ではない。ただし、第7条の点呼に関する業務については、その一 部を補助者が行うことができるものとする。 5.補助者が行う補助業務は、運行管理者の指導及び監督のもと行われる ものであり、補助者が行うその業務において、以下に該当するおそれが あることが確認された場合には、直ちに運行管理者に報告を行い、運行 の可否の決定等について指示を仰ぎ、その結果に基づき各運転者に対し 指示を行わなければならない。 イ.運転者が酒気を帯びている ロ.疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができない ハ.無免許運転、大型自動車等無資格運転 ニ.過積載運行 ホ.最高速度違反行為 351 第5章 実務上の知識及び能力 2 過去出題問題(業務内容) 【1】営業用トラックの運行等に関する次の文中、①∼⑦の下線部の記述のう ち、運行管理者等の業務上の措置として、適切なものの組合せを次の選択肢 (1∼6)の中から選びなさい。[23.8] 運転者数名が、所属する営業所を早朝に出庫することから、営業所に出勤 する前であった運行管理者は、①日頃から行っている自宅からの電話による 点呼を行った。 出庫した運転者から、 「運行中に交差点の赤信号に従って停車しようとし て減速したところ、後続の原動機付自転車に追突され、この事故で原動機付 自転車の運転者が下腿を骨折し救急車で病院に搬送されたが、自分にけがは なく自車も運行する上で問題はない。」との連絡があった。 運行管理者は、②当該運転者に対し、警察官の指示に従い、事故処理を行っ た後、運転者及びトラックに問題がなければ警察官に確認した上で、運送を 継続するよう指示した。 運行管理者は、運転者からの報告を受け、③社内の事故記録表に事故概要 を記録し、営業所の責任者に報告した。 運行管理者は、④運送業務を終えて帰庫した当該運転者に対し、乗務後の 点呼を行い、当該事故について改めて報告を求めた。 点呼実施後、⑤当該事故に関する記録については、既に事故記録表に記録 したことから点呼記録表には記録しなかった。 一方、運転者は、乗務後の点呼において、当該事故について詳細に報告し たので、⑥乗務等の記録に事故については記録しなかった。 後日、事業者は、当該事故の関係者から事故の概要等を確認した上で、⑦ 当該事故は被害事故であると判断し、自動車事故報告規則に規定する自動車 事故報告書を国土交通大臣に提出しなかった。 運行管理者等の業務上の措置 ①乗務前の点呼 ②運送の継続の指示 ③事故の記録等 ④乗務後の点呼 ⑤点呼記録 ⑥乗務等の記録 ⑦自動車事故報告書の提出 352
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