トマトの育成環境の最適化 栗本和輝(生物システム工学研究分野)

ト マ ト の 育 成 環 境 の 最 適 化 栗 本 和 輝 ( 生 物 シ ス テ ム 工 学 研 究 分 野 ) 1.緒言 トマトは光飽和点が高く、育成には強光が必要である。植物工場では太陽光利用型による栽培
が行われている。本研究では、トマトの育成環境の最適化を目的とし人工光(LED)によるトマ
トの水耕栽培の可能性を調べた。比較のため、太陽光によるトマトの土耕栽培を行った。 2.実験方法 供試植物にレッドマンマトマト( Solanum lycopersicum )を用いた。人工光源には High potential LED Light を利用した(波長 410、430、460、510、520、610、630、660、740nm、色
温度 2700k、6500k、直径 270mm)。LED-水耕栽培では、ホームハイポニカ 303、ハイポニカ液体
肥料を用いた。光周期は明期 11 時間、暗期 13 時間とした。太陽光-土耕栽培では、サカタソイ
ルミックス、プランターを用いて栽培をした トマトは発芽後、育苗した苗を移植し実験を行った。第 3 花房が生じた時点で生長点を摘み、
伸長成長を止めた。花房が形成した日付、結実した日付、成熟した日付を記録し、第 3 花房の果
実が十分に熟した時点で育成を終了した。茎長、葉数、葉面積、葉柄長、葉柄直径、茎直径、果
実生重量を測定した。 3.結果および考察
LED-水耕栽培による果実生重量、茎面積、葉柄面積、葉数は、太陽光-土耕栽培と差が小さい
ことから、正常に発達した。LED‐水耕栽培で育成したトマトでは、葉面積が大きく、葉柄長が
長くなり、花房間の茎長が短くなった(図1、図2)。LED 発光面を離れた葉柄は下に向かきに
屈曲した。LED-水耕栽培では、結実日数および成熟日数が短く、低茎長であるトマトが育成さ
90 50 LED-­‐水耕
45 太陽光-­‐土耕
80 40 70 35 60 花房間の茎長(cm)
葉柄長(cm)
れ、LED 光源の栽培は十分に可能であった。
30 25 20 15 50 40 5 10 0 0 基点-­‐第1花房 第1花房-­‐第2花房第2花房-­‐第3花房第3花房-­‐生長点
図 1 各花房間の葉柄長
7.2 11.8 16.3 10.0 14.0 30 20 10 第3花房-­‐生長点
第2花房-­‐第3花房
第1花房-­‐第2花房
基部-­‐第1花房
14.8 47.3 15.0 LED-­‐水耕
太陽光-­‐土壌
図 2 各花房間の茎長