2016.03.15 多職種連携におけるリハの役割

小森:ちょっと時間が迫っているので、足早
にお話をしたいと思います。
多職種連携のあり方というプロジェクト
の中には、ここにありますように 7 人の分
担研究者がおられ、7 つのことが行われて
います。一番下が小林先生の担当です。それ
以外の 6 つの内、ものすごくリハビリテー
ションと他の職種が絡むところというとア
ンダーラインの引いてあるところかと思い
まして、この 3 つに関して何が進んでいる
かということをご紹介したいと思います。
先ほど小林先生からもお話があったように、
西澤正豊先生が研究代表者のこういう班が
あり、これは前田先生にご指導いただいて
いるというか、指定班になっています。その
中に 3 つプロジェクトがあり、一番下の災
害対策のあり方というのは国立病院機構静
岡富士病院の溝口先生が幹事をなさってい
ますが、上の 2 つは私が幹事ということに
最初の保健師の役割というところですが、
なっています。難病に関係する多職種連携
この研究班の中で、前身の研究班も含めて
のあり方というところの中でのリハの話が、
ですが、難病の保健活動指針というものと
リハが関わることが多いので、まずここの
難病対策地域協議会、今回これは難病法の
お話。ここで行われていることを今日ご紹
中で設置するのが望ましいといいますか、
介して、皆さんに今進んでいることを理解
努力のように書かれているものですが、こ
していただこうというのが発表の趣旨です。
れはおそらく各地で出来上がってくるもの
だと思いますが、それを効果的に実施する。
なる保健師というかたちではなかろうかと
思います。医療の中にリハビリテーション
が入っており、その他、いろいろな医療に関
わる専門職がいますが、介護・福祉のほうに
も実は介護保険でリハビリテーションが訪
問しますので、その辺にもリハビリテーシ
ョンは絡んできます。介護・福祉と医療と
は、どうも言語がやはり違うようで、お互い
が行き違うことがあります。そこを調整す
るのが保健師だということで、保健師がや
保健師がこれを作るときのマニュアルとい
はりかなり大事な役目を果たしますし、保
うか、ガイドラインというか、そういうもの
健師を通じていろいろなところの職種とつ
が作られています。こういう本で、これは班
ながるということが今後もあろうかと思い
員の小倉朗子先生他が作られたのですが、
ます。
難病対策地域協議会というものが今後、地
域の中で動き始めますと、リハビリテーシ
ョンの職種はここに絡まなければならない
だろうということが考えられます。
ということで、訪問看護と訪問介護事業
者がここに参加していますが、訪問リハビ
リというのは看護、それから介護、両方で入
りますので、その 2 つのところといかに連
先ほども患者をめぐる多職種連携という
携をするかということがリハビリに関わる
ことで、一つの輪と表現されていたと思い
療法士たちには非常に大事であろうし、そ
ますが、それがふつうだと思いますが、私が
れを意識して医師も診療しなければいけな
よく考えますとどうもそれは 2 つの輪が重
いということだと思います。
なって 1 つに見えているだけという気がし
一方で、在宅でのリハビリだけではなく、
ます。それを 2 つに分解していくと、実は
施設内でのリハビリというのは非常に大切
これは医療と介護・福祉という別々の輪が
なものがあり、特に難病患者では、レスパイ
あり、それをつないでいるのが、この話題に
トで短期入院しますが、そのときにリハビ
リテーションが関わることになると思いま
あります。また、どちらを優先して使うの
す。もしくは、関わらなければならないと思
か。介護保険と医療保険が重複する場合ど
います。というのは、時々しか入りませんの
うするのかというようなことがあると思い
で、リハビリテーションの内容の点検、再確
ます。
認をして、これを訪問につなげるという大
きな役目がありますし、入院中に濃密に関
わることで、先ほどのモチベーションの話
もありますが、その改善を図るということ
が必要です。
一方、院内では、院内の多職種の連携がま
たあり、例えば排痰補助装置を使うときに、
リハビリが担当するのか、看護がやるのか、
それは病院によって違うでしょうし、また
そこに教育があります。院内での多職種の
連携というものも、リハビリのほうから積
この辺については、細かく今日申し上げ
極的に関わらなければならないという側面
ることはありませんが、例えば年齢によっ
も持っているのではないかと思っています。
て看護や訪問リハビリサービスを受けると
きに、どういう保険を使うということが違
う。これはもう皆さんご存じと思いますが、
基本的なことは少し勉強して、どういうか
たちで自分たちが動いているのか。だから、
どこと連携しなければいけないのかという
ことは考える必要があると思います。
もう一つ、われわれが、皆さんもうすでに
こんなことは分かっているとおっしゃるか
もしれませんが、難病の療養者を診る支援
制度というのは非常に複雑で、難病法がで
きてから、この赤になっていますが、医療保
険があり、介護保険があり、障害者総合支援
法があり、これらがどのように絡んで、どこ
からお金が出て、どの制度で私たちがいっ
ているのかということが、混乱する場合が
次にいきますが、難病における介護の役
割ということがあります。
これも先ほど介護保険の話と少し絡むわけ
この 2 つのテキストに共通して一番大切に
ですが、ここで班研究として行われている
思っていることは、実は難病における介護
ものは、実は難病ホームヘルパー研修テキ
関係者のパラダイムシフトです。介護保険
ストというものを、新版にしているという
関連で動きますので、やはり自立支援、でき
ことと、それから難病ケアマネジメント研
ることを増やす、できることは患者にさせ
修テキストがこれまで全くなかったものを、
るということの発想に、この 2 つの職種が
ケアマネジャー全体の研修内容に合わせて
作っているという 2 つのことがあります。
どうしても立脚するわけです。これは職種
としては仕方ないのですが、難病の患者に
とっては大変つらいということがあり、進
行性の疾患への介護やケアマネジメントと
いうものは、自立支援ではなくて、できるこ
とを支えながらとか、寄り添いながらと、そ
ういう発想の変換です。QOL を中心にして
というところへ変換してもらうことを 2 つ
のテキスト共通に考えながら作ることにし
ています。ということですので、介護保険に
絡んで訪問リハビリテーションをなさると
今執筆中でして、本年度中に報告書とし
てのものは出来上がることになっています。
細かい目次は申しませんが、難病の解説か
ら始まり、ケアマネジメント、それから特に
難病に関して必要な事柄を書いて、それか
ら事例も含めて、最後には制度を入れてテ
キストにするということで、下のほうに書
いているようなメンバーが中心になって作
っています。
思いますが、介護保険だからといってとい
うこと、それはもう分かると思いますが、ま
た同様にパラダイムシフトが必要であろう
と思っています。
3 つ目ですが、難病のコミュニケーショ
ン支援というのがあります。
ということで、最後は難病リハビリテー
ションの役割ですが、これは小林先生がお
話ししてくださったとおりで、研修会を含
めていかに全国レベルを上げるかというこ
とに、もうすでに話が進んでいるというこ
とです。これらの 7 つの項目につきまして
は、平成28年 1 月 9 日に今年度の班研究
の発表会があり、その辺りを目処にして、そ
して年度末までにそれぞれが報告書をまと
めるというかたちで動いていくと思ってい
ます。もちろん、完全にこれで完結ではあり
ませんので、また来年度以降の研究が必要
これは三重大学の成田先生が担当なさって
かと思っていますが、班研究はこのように
いますが、例えばレスパイトで入院をした
して動いているというご紹介です。おしま
ときに、コミュニケーション支援の人が付
い。
く制度がありますが、そのようなことを含
中馬:ありがとうございました。いかがでし
め、コミュニケーション支援に関して、この
ょうか。何かご質問等、ございませんでしょ
分野を整理しておられます。このところは、
うか。お二人の先生を通してでもよろしい
実は OT、
ST は直接関連する分野ですので、
ですが。時間が来てしまっていますが、先生
このことに関しては共通の認識をもって進
から何かもう一つ強調しておきたいことが
めなければならないと思っています。
ございましたら、最後にお願いいたします。
小森:実は今日は皆さんのお話を伺ってい
て、私が最後に話すことをもう皆さん、分か
っているのではないかと思って、言わなく
てもいいかと思ったくらいです。現実の現
場で働いておられる神経難病のリハビリに
関係する先生方、療法士、その他、多職種の
方々は、どのようにしなければならないか
というのは、実は茫洋(ぼうよう)としてい
ても、皆さん共通のものがあると思います
ので、それぞれの個別の課題を出し合いな
がら、一つずつ解決するということで、それ
がシステムになっていくということが必要
で、施策になっていくということだと思い
ます。前田先生が最後まで会場にお残りい
ただいているので、最終的にわれわれの意
志の集約されたところが、厚労省の難病対
策課にいけばいいかなと今思っているとこ
ろです。皆さん、一緒に頑張りましょう。