JAの給与動向調査

調 査 セミナー
JAの給与動向調査
JC総研 経営相談部 調査・セミナーチーム 主席研究員
JC総研は、 JA(総合農協)の給与実態を明ら
いしずか
しげみつ
石塚 重光
(職務給)
」が1.3%となっています。
かにし、JAの給与管理と人事管理の改善に資し、
2014年調査と比較すると、
「併存型職能給」の割
併せて経 営の効率化に寄与することを目的とし、
合が4.1ポイント増加した一方、
「単一型職能給 」が
1965年以来、毎年、
「JAの給与動向調査」を実施
1.6ポイント、
「年齢給(勤続給を含む)
」が0.4ポイン
しており、今年度は、2015年6月給与支払日現在の
ト、
「総合給」が3.7ポイント減少しています。
状況を調査しました。今回調査の対象JAは、職員
また、2006年と比較すると、
「年齢給(勤続給を
数200人以上の414JAで、 そのうち回答があったの
含む)
」
「総合給」から職能給体系への切り替えが進
は392JA、回答率94.7%となっています。
んでおり、
「併存型職能給」
「単一型職能給」を合わ
調査結果のうち、主な項目について見ると、次の
せると87.8%となっています(表1)
。
ようになっています。
1.基本給体系の推移
2.新規学卒者の初任給
JAの2015年の初任給を学歴別に見ると、 大学
JAの基本給の型の割合を見ると、2015年は「併
卒17万8 0 0円、短大卒15万6 7 0 0円、高校卒14万
存型職能給」が82.4%で最も高く、次いで、
「単一型
6700円となっています。 民間企業(常用労働者100
職能給 」が5.4%、
「年齢給(勤続給を含む)
」が4.8
~ 999人)との比較では、民間企業の方がJAよりも
%、
「総合給 」が4.3 %の順になっており、
「役割給
大学卒で約20 %、 短大卒で約14 %、 高校卒で約
10%高く、それぞれ2014調査よりもわずかに差が広
がっています(表2)
。
また、 JAの学歴別初任給の対前年上昇率では、
2015年は、 大学卒で0.2%、 短大卒で0.3%、 高校
卒で0.2%とすべての学歴で上昇していますが、2014
年との比較ではすべての学歴で上昇率が低下してい
ます(表3)
。
3.春季賃上げの状況
(1)賃金増額内容
「定期昇給のみでベースアップは実施しない」JA
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JC総研レポート/2016年 春/VOL.37
【調査・セミナー】JAの給与動向調査
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の割合が80.1 %と、2014年調
査(79.1%)より1ポイント増加
する一方、
「定期昇給とベ ース
アップに分けて実施した」JA
および「ベースアップのみ実施
した」 JAの割合が合わせて
11.0%と、2014調査(13.5%)
に比較して2.5ポイント低下して
います(表4)
。
(2)賃金増額状況
「賃上げ分(定期昇給とベ ー
スアップを含めた分)
」の1人平
均額は5515円(2014年、5521
円 )、賃上げ 率は2 .1 2 %(同
2.13%)となり、2014年調査に比
べ、額で6円、率で0.01ポイント
低下しています。
また、
「定期昇給分」は額で
5219円(2014年、5079円)
、率
で2.00 %(同1.95 %)と増額、
増 率となっています。「ベ ー
スアップ分」は、額で18 7 3円
(2014年、
2452円)
、率で0.74%
(同0.96%)と減額、減率となっ
ています。
なお、諸手当の改定原資など
である「その他」は、額で1211円
(2014年、1872円)
、率で0.43%
(同0.70%)と減額、減率となっ
ています(表5)
。
(3) 賃上げ決定の際の重視
事項
①JAにおける賃上げ決定の
際の重視事項
JAが2015年の賃上げに当
たり重 視した要素を見ると、
「支払能力ないし業績 」を挙げ
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たJAが59.8%(2014年、63.5%)と最も多く、次い
年度末手当0.58カ月、 年間計で4.12カ月となり、
で「県下JAの給与水準、 給与増額動向」が31.9%
2013事業年度に比し0.07カ月の減少となっています
(同35.4 %)、
「労働力の確保・定着 」が24.5 %(同
24.4%)の順となっています(表6)。
なお、年度末手当は支給のあったJAのみの平均
②民間企業における賃上げ決定の際の重視事項
であるため、夏期手当、年末手当、年度未手当の3賞
民間企業の賃上げに当たり最も重視した要素を
与を合計しても年間計とはならない点にご留意くださ
2015年について見ると、
「企業業績 」を挙げた企業
が52.6%と最も多くなっています(表7)。
4.賞与
JAの2014事業年度の賞与
の支給額は、 夏期手当が45万
8600円、年末手当が53万3900
円、年度末手当が15万6400円
となり、年間計(その他賞与は
除く)で111万3000円と、2013
事業年度に比し1万9400円の
減少となっています(表8)。
月収換算では、 夏期手当が
1.70カ月、 年末手当が1.97カ月、
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(表8)
。
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