2015年春学期 「経営学入門」 第5回 コカ・コーラの事例(多国籍企業) 樋口徹 1 多国籍企業(multinational company) 多国籍企業とは、複数の国・地域に(海外)直接投資を行い、 少 なくても2カ国以上の国で生産活動や販売活動を行ってい る巨大企業を意味するのが一般的である。 ※多国籍企業の認定基準には、5か以上の国や地域で本格的に活動す ることとか、売上高で全世界500位以内とか様々な基準が存在する。 一般的な発展形態は、 1. (海外直接投資は行わずに) 国内企業 として発展し、 2. 生産コストを引き下げるために、海外生産や調達を本格 化させ(製造拠点を海外に設立)、 3. 売り上げを増やすあるいは安定させるために、海外市場 を本格的に開拓(販売子会社などを海外に設立 )する。 ※販売先を先に多国籍化(国際化)してから、生産拠点を移転させる 場合もある。 2 バートレットとゴシャールによる多国籍企業の類型整理 ①インターナショナル型 • 本国での「 技術革新」が経営戦略の基本となっている。 • 本国にある本社が海外拠点を統括し、 「遠隔地の前線基地」 として扱っている。 ※本国が中心で、海外拠点の重要度は低い。 本国 A国 生産拠点 指示・命令 本社 B国 指示・命令 販売拠点 技術革新 3 ②マルチナショナル型 • 「差別化」が経営戦略の基本にある。 • 各国や地域の市場に適応する。 • 海外拠点を独立した企業として扱う(人材の現地化が進む) ※個別に対応するので、経営資源の共有ができずに、効率が低下する ことが危惧される。 A国 本国 B国 支社 本社 支社 個別対応 個別対応 個別対応 4 ③グローバル型 • 「効率化」が経営戦略の基本にある。 • 消費者の選好を標準的なものとみなしている。 • 本社が研究開発と製造に対応し、世界の市場に向け、共通 製品を販売する。 本国 本社 本国 研究 開発 本社 指示・命令 A国/本国 A国 生産拠点 販売拠点 B国 販売拠点 5 ④トランスナショナル型 • 「効率性」と「適応性」の同時実現を目的とする。 • 経営資源と権限は世界規模で拡散されている。 • 世界規模の ネットワーク 網(拡散した資源)を運用する。 本国 A国 本社 B国 支社 支社 個別対応 個別対応 6 多国籍企業の整理 狙う効果 現地への権限 該当する国や 移譲 地域の企業 インターナショ 本国の技術革 本国集中 ナル型 新の活用 アメリカ企業 に多い マルチナショ ナル型 現地に委譲 欧州企業に多 い 本国集中 日本企業に多 い 差別化 グローバル型 効率化 トランスナショ ナル型 効率化と差別 現地に委譲 化を同時追求 理想的 7 コカ・コーラの歴史 年 8 備考 出来事 1886 米国ジョージア州で「コカ・コーラ」 炭酸水で割られた理由は当 時の水事情(不味かった) 誕生 1887 試飲クーポンを配布 美味しさを知ってもらうため のマーケティング活動開始 1892 ザ コカ・コーラ カンパニー設立 1891年エイサ・キャンドラー が製造販売権を購入 1893 「コカ・コーラ」の名称を米国の特 許局で登録 商標登録 1895 流通網を整備し、「コカ・コーラ」を 国民的飲料になり始めたが、 馬車で運送していた。 全米で販売開始 1899 びん詰め(ボトリング)工場をテネ シー州に設置 以降、各地にボトリング工場 設立 1906 海外にボトリング工場設立 キューバ、カナダ、パナマ 1915 コンツアボトル誕生 現在のデザイン(ココア豆) ルーと配送の風景 馬車による出荷(1904) ⇒ ニューオリンズでの運搬(1927) コカ・コーラ社ホームページより抜粋 9 コカ・コーラに関して古い順に並べよ (ア)日本飲料工業(日本コカ・コーラ)設立( ) (イ)携帯用6本入りカートン発売( ) (ウ)缶入り「コカ・コーラ」誕生( ) (エ)Cokeを米国特許局に商標登録( ) (オ)オリンピックで発売(アムステルダム・ ) (カ)コイン式自動販売機設置( ) 予想 ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( ) 回答 ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( )⇒ ( ) 10 FCのタイプ
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