学会名称変更に関するパブリックコメントを募集します

平成 27 年 11 月
一般社団法人
会員
日本頭蓋顎顔面外科学会
各位
一般社団法人
日本頭蓋顎顔面外科学会
理事長
川上重彦
学会名称変更に関するパブリックコメントを募集します
拝啓
先生におかれましてはご清祥のことと存じお慶び申し上げます。日頃は本学会発展のた
めにご尽力をいただき感謝申し上げます。
一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会は、主として頭蓋・顔面の骨格性変形に対して、
形成外科医が中心となって脳神経外科医、耳鼻咽喉科医(頭頸部外科医)
、矯正歯科医など
とチームを組んで治療を行う頭蓋顎顔面外科を日本に定着させるため、昭和 58 年(1983
年)に発足いたしました。発足時における本会の趣旨は、「本学会は頭蓋・顔面骨などの
疾患を一義的に扱う外科を対象とする学会(初代理事長
難波雄哉先生記)」、という説明
がなされております。当初は「日本顎顔面外科学会」という名称で発足し、3 年後に「日
本頭蓋顎顔面外科学会」と名称変更がなされ今日に至っております。学会発足当初は、軟
組織の再建外科を中心とした形成外科領域の中に、新たに硬組織の再建外科という領域の
学会を立ち上げるという、日本における形成外科の新展開に対して多くの形成外科医が注
目し、本学会に参加をいたしました。
そして、学会が発足して 30 年を過ぎましたが、学会の現況を先生方はどのように見て
おられるでしょうか。昨年大阪で開催された本学会の会長招宴においてご挨拶をされた波
利井名誉会員は、本学会が下降線をたどっているという趣旨のご発言をされました。学会
発足時より本学会に参加してきた私の目から見ても、最近の本学会の活動は停滞している
と映っています。この 5 年間の会員数や学会での演題数などをみても、著しい下降線をた
どっている訳ではありませんが、増えていない事も明らかであります。また、毎年の本学
会専門医取得者は一桁に留まっているのが現状であります。
この停滞の原因について考えてみました。現状において、本学会の対象疾患である頭蓋・
顔面骨の疾患(いわゆる狭義の頭蓋顎顔面外科)は形成外科医が担当する診療領域の中で
はそれほど多くの症例があるわけではなく、また施設によってかなり偏りが生じていると
思われます。したがって、本学会では、会員数や発表演題数の確保のために、頭蓋顎顔面
外科領域と本領域に関連する口唇口蓋裂などの顔面先天異常や外傷に加えて、本来この領
域とはいえない頭部、顔面の軟部組織再建、頭頸部腫瘍後の再建に関する発表も受け入れ
られています。このような演題は学会発足当時からあり、学会発足後 5 年を経過した第 5
回大会では 63 題中 16 題(25%)、第 10 回大会では 93 題中 23 題(25%)、と一定の割合
を占めていました。しかし、第 20 回大会では 122 題中 52 題(45%)と半数近くを占める
ようになりました。最近 5 年間でも、全発表演題数(140 題~180 題)の 40%前後の割合
でみられ、本来の領域からの演題数に比して多くを占めています。すなわち、本学会の名
称と本学会で主に発表・討議されている内容とが少なからず乖離しているのが現状です。
また、専門医制度をみると、申請において症例写真が必要とされる 10 例の中で顔面の軟
部組織再建・頭頸部再建は 1 例しか認められていません。したがって、硬組織再建よりも
軟部組織再建に重点が置かれている施設で勤務する形成外科医は本学会において長年積極
的な活動をしていても、本学会の専門医を取得することは非常に困難な状況です。これが、
毎年の専門医取得者が一桁に留まっている原因と考えられます。
次に、視点を患者さんの側から本学会を見てみます。「頭蓋顎顔面外科学会」を「とう
がいがくがんめんげかがっかい」と読まれる方はほとんどいないと思います。そして、こ
の学会がどのような疾患を対象としているのかを理解できる方も殆どいないのではないで
しょうか。また、少なからず医学知識を持たれている方で「頭蓋顎顔面外科」という領域
を理解されている方が本学会のホームページにある頭蓋顎顔面外科の説明文「本学会で現
在、討議、研究している疾患は、頭部顔面領域における、口唇裂口蓋裂などの先天異常、
基底細胞上皮腫などの腫瘍、骨折などの外傷、顎変形症、そして眼瞼下垂を含む加齢性変
化などです。
」をみて、
「これは頭蓋顎顔面外科とは違うのでは」という感想を持たれるの
ではないでしょうか。
新しい専門医制度・指導医制度の発足が目前に迫っている現状を鑑み、今後は本学会が
形成外科学会のサブスペシャリティー領域の学会として重要性が増してくる事を考慮すれ
ば、本学会は新たな転機を向かえていると言わざるを得ません。形成外科専門医を取得後
にサブスペシャリティー領域の専門医取得を目指す形成外科医に対して門戸を広く開け、
顔面軟部組織再建や頭頸部再建を主に行っている施設にいる形成外科医でも本学会の専門
医取得を可能としなければなりません。本学会は、頭蓋顔面の骨格性変形を治療する頭蓋
顔面外科、顎を中心とした骨格性変形を治療する顎顔面外科、頭頸部癌の再建治療を行う
頭頸部再建外科、顔面先天異常の治療、顔面骨骨折、顔面軟部組織の再建、顔面美容外科
など、顔面とその近接する頭部や頸部などの領域における疾患治療の進歩、発展に努める
学会であることを医療者や一般の方に明らかに示す必要があると思います。そのためには、
学会名を実際に即し、かつ、分かりやすいものに変更、さらには定款の変更なども視野に
入れて協議していかなければならないと考えました。
昨年 11 月より発足した新理事会において、既に学会名称の変更に関する意見交換を行
い、また、本年 4 月には現在も学会に参加されている本学会の名誉会員や特別会員、理事
長・会長経験者の先生方との意見交換会を行いました。その結果、一部の先生方からは反
対意見もいただきましたが、大多数の先生方からは名称の変更に関してはコンセンサスが
得られたものと考えております。現在、どのような名称に変更するかを協議・検討中です
が、二つの名称案が提案されています。
一つは現在の名称から顎を取り「頭蓋顔面外科学会」とする案です。この趣旨は、一般
の方にとっても紛らわしい「顎」を取り、頭蓋と顔面の疾患治療を行うことを明示するも
のです。もう一つは「頭蓋、顎」を取り「顔面外科学会」とする案です。この趣旨は、
「頭
蓋顔面外科学会」では以前と同様硬組織再建を中心とした学会と捉えられるので、名称変
更の趣旨からみれば、硬組織再建のイメージを払拭した「顔面外科学会」と変更するほう
が良く、この名称のほうが一般の方にも判りやすい、という意見です。
私見では、形成外科学会のサブスペシャリティー学会として多くの形成外科医に門戸を
広げ、一般の方にも判りやすい「顔面外科学会」が新しい名称として相応しいのではない
かと考えておりますが如何でしょうか。是非先生方のご意見をいただき、併せて次回の社
員総会においても協議を行いたいと存じます。
なお、本学会の名称が「顔面外科学会」と変更されても「頭蓋顎顔面外科を形成外科の
中に定着させる」という学会発足からの主題は何ら変わることはありません。顔面とその
近接する部位の疾患に関与する多くの形成外科医などを会員とし、本学会をさらに発展さ
せながら頭蓋顎顔面外科の啓蒙に取り組みたいと考えております。その一環として、先般
お願いいたしました「手術見学のできる施設募集」があります。頭蓋顎顔面外科に触れる
機会の少ない形成外科医に本領域の手術を見学していただき、本領域に興味を持っていた
だければ、と企画いたしました。併せて本企画へのご協力をお願い申し上げます。
お手数とは存じますが、別紙用紙に先生のご意見をご記入いただき、9 月末までにお送
りいただければ幸いに存じます。
敬具
この文章は、本年 9 月に理事長名で本学会代議員(85 名)宛にお送りした文章です。
その結果、59 名の代議員よりご意見が寄せられました。このうち、名称変更に賛成は
52 名、反対 7 名で、残り 26 名の代議員からは返事がなく、返事がない場合は理事長の方
針に賛成と理解する旨お伝えしてありましたので、85 名中 78 名の代議員が名称変更に賛
成したことになります。次に変更後の名称として相応しい名称についてご意見を頂いた結
果、日本顔面外科学会が 64 名(38、26)
(重複 3 名を含めて)、日本頭蓋顔面外科学会 14
名、その他 4 名、という結果となりました。
今後はこの結果を基に名称変更への検討を進めて行きたいと思います。つきましては、
名称変更に関する先生方のご意見(コメント)を募集いたします。期限は平成 28 年 1 月
末日とさせていただきます。下記までご意見をお寄せ下さい。
日本頭蓋顎顔面外科学会事務局:[email protected]