三菱重工業 ( 7011 )

岡三レーティング情報
三菱重工業
2015 年 9 月 2 日
( 7011 )
一時的な採算悪化要因はあるものの、中期的な成長性に変化はないと考える
レーティング
強 気
◆アナリストの視点
(前回:強気)
目標株価
700 円
客船事業や納入済プラントの不具合などの不透明要因はあるものの、
円安効果やコストダウンなどを背景に収益性は向上していると考える。
収益性向上と民間航空機の成長性などを考慮すると、現在の株価は
評価余地があると考える。
(前回:920 円)
採算悪化案件の影響を考慮し 16/3 期連結業績予想を引き下げる
558.6 円 (15/09/01)
805.0 円 (15/06/04)
545.6 円 (15/08/25)
1,478
株
価
52 週高値
52 週安値
T O P I X
P
E
R
14.4 倍 (16/3 予)
12.1 倍 (17/3 予)
11.2 倍 (18/3 予)
P
R
B
O
R
E
1.0 倍 (15/6)
7.1% (16/3 予)
時価総額
発行済株式数
18,784億円
3,362,707千株
岡三証券では 16/3 期連結営業利益を 3,200 億円(8%増)と会社計
画並みと予想し、前回予想(5 月 27 日付け岡三レーティング情報)
から引き下げる。交通・輸送事業は円安効果やコスト改善等で堅調
に推移するとみるものの、エネルギー・環境事業において納入済プ
ラントの不具合対策費用の計上を考慮したことが主な要因。ただ、
足元ではエネルギー・環境事業において一時的な採算悪化要因はあ
るものの、交通・輸送事業における民間航空機のコスト改善や商船
の船種ミックス改善など全体的に収益性は改善に向かっていると
考え、中期的な成長性に変化はないとみている。16/3 期連結受注
高は 4 兆 7,600 億円(1%増)を予想。ターボチャージャーは中国
景気減速の影響を考慮し販売台数予想を引き下げるものの、ガスタ
ービンは 16/3 期第 1 四半期(1Q)において大型案件が受注できた
ことや今後の受注が概ねみえていることを考慮し、全体の受注高予
想は若干の引き下げに留めている。
目標株価算定根拠
企業調査部
平川 教嗣
担当セクター:
ガラス・紙パ・その他素材、印刷
造船・プラント
外部環境の不透明感によりバリュエーションは切り下がると考え
る。しかし、当社の収益性や民間航空機の成長性を考慮すると東証
1 部予想 PER を参考に 16/3 期予想 PER18 倍程度までの評価は可能
とみる。連結業績予想の下方修正などにより目標株価を 700 円に引
き下げるが、レーティングは「強気」を継続する。
<連結業績>日本基準
決算期
14/3
15/3
16/3(予)
17/3(予)
18/3(予)
会 社
岡三前回
岡三今回
岡三前回
岡三今回
岡三前回
岡三今回
(単位:百万円、円)
売上高
3,349,598
3,992,110
4,200,000
4,240,000
4,210,000
4,540,000
4,500,000
4,710,000
4,670,000
営業利益
206,118
296,140
320,000
328,000
320,000
360,000
350,000
370,000
370,000
経常利益
183,159
274,787
300,000
308,000
300,000
340,000
330,000
350,000
350,000
当期利益
160,428
110,412
130,000
141,000
130,000
160,000
155,000
167,000
167,000
EPS
47.8
32.9
38.7
41.9
38.7
47.6
46.1
49.7
49.7
配 当
8.0
11.0
12.0
12.0
12.0
12.0
12.0
12.0
12.0
発行済株式数は 15 年 8 月に実施した自己株式の処分を考慮している。
OKASAN SECURITIES
巻末に記載した重要な注意事項と併せご参照下さい。
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岡三レーティング情報
16/3 期 1Q 連結営業利益は 5%増
コード:7011
16/3 期 1Q 連結業績は売上高 9,314 億円(8%増)、営業利益 588
億円(5%増)。売上高はエネルギー・環境事業において化学プラン
トやコンベンショナルなどの増収効果があったことや、交通・輸送
事業において民間航空機や商船が堅調に推移し、全体として増収と
なった。営業利益はエネルギー・環境事業において納入済プラント
の不具合対策費用の計上があったことが影響したものの、交通・輸
送事業において円安効果や商船の船種ミックスの改善、また民間航
空機のコスト改善が寄与したことで全体として増益となった。
16/3 期 1Q 連結受注高は 8,218 億円(1%増)
。エネルギー・環境事
業および機械・設備システム事業において受注が減少したものの、
交通・輸送事業および防衛・宇宙事業が堅調に推移したことにより、
全体としては増加した。
交通・輸送事業は堅調に推移する
とみるものの、一部案件の採算悪
化の影響などを考慮し、16/3 期連
結業績予想を引き下げる
岡三証券では 16/3 期連結業績を売上高 4 兆 2,100 億円(5%増)、
営業利益 3,200 億円(8%増)と会社計画並みを予想し、前回予想(5
月 27 日付け岡三レーティング情報)から引き下げる。交通・輸送事
業の営業利益予想を前回から引き上げるものの、エネルギー・環境
および機械・設備システム事業の予想を引き下げたことが主な要因。
エネルギー・環境事業は増収増益を予想。会社側は同事業の 16/3
期営業利益計画を下方修正しているが、岡三証券でも増収効果や円
安効果はあるものの、1Q に納入済プラントの不具合対策費用の計上
があったことを考慮し、営業利益予想を前回から 140 億円引き下げ
ている。ただ、今回の一部案件における不具合対策費用等について
見積もり可能な費用は概ね織り込まれたとみており、同案件に係る
一段の追加費用計上は限定的になると岡三証券では考える。
交通・輸送事業は増収増益を予想。会社側は同事業の営業利益計
画を 300 億円から 450 億円へ上方修正しているが、岡三証券でも 1Q
の状況等を考慮し、営業利益予想を引き上げている。ボーイング 787
向け分担部品をはじめとする民間航空機向け部品の堅調な推移や
LNG 船など高付加価値船の比率が高まることによる船種ミックスの
改善効果などを背景に堅調に推移すると考える。
機械・設備システム事業は増収減益を予想し、営業利益予想は前
回から下方修正している。中国景気の減速懸念を背景にターボチャ
ージャーの販売台数予想を下方修正したことや、コンプレッサおよ
び製鉄機械の工事進捗がやや遅いことを考慮したことが主な要因。
16/3 期連結受注高は 4 兆 7,600 億円(1%増)と予想。原油価格下
落によりエネルギー・環境事業におけるガスタービンやコンベンシ
ョナルの受注モメンタム低下が懸念されるが、1Q にガスタービンを
受注していることや今後の受注が概ねみえていることを考慮し、全
体の受注高予想は若干の引き下げに留めている。
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巻末に記載した重要な注意事項と併せご参照下さい。
2−5
岡三レーティング情報
コード:7011
セグメント別連結業績の推移
単位:億円
売上高
15/3期
1Q
16/3期
1Q
15/3期
実績
16/3期
岡三予想
17/3期
岡三予想
18/3期
岡三予想
エネルギー・環境
3,008
3,437
15,995
16,100
17,800
18,200
交通・輸送
1,147
1,457
5,295
6,500
7,100
7,500
防衛・宇宙
823
821
4,839
4,600
4,400
5,000
3,491
3,485
13,195
13,900
14,700
15,000
369
372
1,828
2,000
2,000
2,000
消去または共通
-243
-260
-1,233
-1,000
-1,000
-1,000
合計
8,597
9,314
39,921
42,100
45,000
46,700
機械・設備システム
その他
営業利益
エネルギー・環境
15/3期
1Q
16/3期
1Q
15/3期
実績
16/3期
岡三予想
17/3期
岡三予想
18/3期
岡三予想
214
154
1,626
1,700
1,950
2,050
交通・輸送
60
228
234
520
460
490
防衛・宇宙
44
32
285
270
270
300
235
176
841
780
870
910
22
31
138
150
150
150
消去または共通
-16
-34
-166
-220
-200
-200
合計
560
588
2,961
3,200
3,500
3,700
機械・設備システム
その他
出所:会社資料、作成:岡三証券
※端数処理の関係上、合計が一致しないことがある
セグメント別連結受注高の推移
単位:億円
受注高
15/3期
1Q
16/3期
1Q
15/3期
実績
16/3期
岡三予想
17/3期
岡三予想
18/3期
岡三予想
エネルギー・環境
3,152
2,711
19,236
20,100
20,300
20,600
交通・輸送
1,189
1,550
9,992
7,300
7,600
7,900
防衛・宇宙
114
308
4,174
4,100
4,100
4,300
3,590
3,509
13,046
15,100
15,600
15,900
375
515
1,908
2,000
2,000
2,000
消去または共通
-251
-376
-1,367
-1,000
-1,000
-1,000
合計
8,171
8,218
46,991
47,600
48,600
49,700
機械・設備システム
その他
出所:会社資料、作成:岡三証券
※端数処理の関係上、合計が一致しないことがある
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巻末に記載した重要な注意事項と併せご参照下さい。
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岡三レーティング情報
コード:7011
レーティングの基準など
強
中
弱
気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三証券企業調査
部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は 6 ヵ月以内です。目標株価達成を阻むリスク要因
としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・サービス需
要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、国内外の金
融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられます。なお、
これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価達成が妨
げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・ 個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三証券としての個別銘
柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングとして記
載しています。
・ 株価は日付日の終値。52週高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時(前場・
後場)における約定値段を用いています。
・ 上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載しています。
・ TOPIX、時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・ PBR の根拠となる BPS は直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三証券が算出
しています。
・ ROE の根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額を
用いています。
・ 予想 EPS は当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・ 時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・ 発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用い
ておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三証券の推定による試算値を用い
る場合があります。
・ 日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成 27 年4月1日以後開始する連結
会計年度の期首から適用)
。
・ 米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・ 国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成 27 年 4 月改訂)
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岡三レーティング情報
コード:7011
手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損失
が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部
評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情
報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、過去に言及
した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記された意
見や予測等は、資料作成時点での岡三証券の判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。な
お、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナリスト・レポー
トとして審査されたものです。
・ 岡三証券およびその関係会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品について、自己
売買または委託売買取引を行う場合があります。岡三証券の大量保有報告書の提出状況については、岡三
証券のホームページ(http://www.okasan.co.jp/)をご参照ください。
・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがありま
す。
・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」
(もしくは目論見書及びそ
の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご
契約ください。
・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大 1.242%(税込み)
(手数料金額が 2,700 円を下
回った場合は 2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律 1.242%(税
込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払い
いただきます。
・ 本資料は岡三証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三証券に帰属し、その目的のいかんを問わず
無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
岡三証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 53 号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
(平成 27 年 7 月改訂)
OKASAN SECURITIES
5−5