2015 6 月号 認定看護師便り 蒲郡市民病院看護局 vol.26 抗がん剤の味覚障害ってなぜ起こる?どう対処する? 抗がん剤を使用中または治療後の患者さんから「味がまったく感じない」「砂をたべているみたい」などと いう話をきいたことはありませんか?または実際にそのような体験に悩まされている方はいらっしゃいませ んか?このような症状は味覚障害と呼ばれ、抗がん剤の副作用の1つです。 今回は、抗がん剤でおこる味覚障害の原因や対処方法についてその一部をご紹介します。 味覚障害の原因 味覚障害の対処方法 原因については以下の3つに大別されます。 細胞や神経は投与期間中継続して障害されます。 多くの場合、治療期間中は持続し、治療終了後 3~4 これらに対する直接的な治療法はありません。 週間で、味覚が戻ってくるといわれていますが、個人 しかし、原因の除去や食事の工夫をすることで、症状が 差があります ある程度改善されるといわれています。 1)細胞や神経の障害 1)原因の除去 抗がん剤によって、味を感じる味蕾(みらい)を構 成する味細胞自体や、味細胞から中枢に向かう神経が (1)口腔内を清潔に保つ:うがい、歯磨き (2)口腔内の乾燥予防 障害を受けることで味覚が変化することがあります。 化学療法で唾液分泌が抑制されるため、唾液分泌 特に、抗がん剤によって口内炎や末梢神経障害を生じ を促すレモン水や梅干を食前に摂取する ると、味覚障害も起こりやすいといわれています。 2)食事の工夫 (1)食欲がない場合で塩分制限がない場合は一時的 に味つけを濃くする 。香りづけを行う (2)肉・魚類の調理には醤油・味噌・ドレッシング を使うと苦味が気にならなくなる 2)唾液分泌の低下 (3)亜鉛を含む食品の摂取をする 唾液には、味の成分を味蕾に運搬する働きがあります。 抗がん剤の副作用によって、唾液の分泌が減少し、口の 中が乾燥しやすくなると味がわかりにくくなります。 3)抗がん剤が亜鉛と結びつき、亜鉛を⼀緒に排泄するこ とによる⾎液中の亜鉛不足 →亜鉛不足により、味蕾の中の味細胞が変化や味細胞の再 ⽣にかかる時間が⻑くなる(約1.5倍になる)と⾔われて います 手 術 後 の 患 者 さ ん 等 人によっては避けたほうが 味覚障害の予防としてうがい・ よい食品もあるため、 舌のブラッシング・舌苔の除去等 医療者に相談し摂取しまし があります。粘膜が傷つきやすく ょう 出血しやすい状態のため、注意し ましょう 文責:がん化学療法看護認定看護師 竹谷 リエ
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