地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用

平成27年8月28日
関 東 財 務 局
「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価」
に関する調査結果(関東財務局管内分)
~
地域金融機関の地域密着型金融の取組み姿勢に対しては6割弱が積極的評価、
地方創生や地域経済活性化に向けた取組みへの参画についても4割強が積極的
評価をしている
~
地域金融機関の利用者等に対して、地域金融機関の地域密着型金融の取組みや金融庁・
財務局が実施している施策に対する評価を調査しましたので、その結果を公表します。
Ⅰ.調査結果のポイント
◆地域金融機関における地域密着型金融の取組み姿勢については、「積極的・やや積
極的」との評価が6割弱、日常的・継続的な接触(訪問等)については、「積極
的・やや積極的」との評価が6割強となっており、各々「消極的・やや消極的」評
価を上回っている。
◆地方創生や地域経済活性化に向けた取組みへの参画については、「積極的・やや積
極的」との評価が4割強となっており、「消極的・やや消極的」の1割台半ばを上
回っている。
Ⅱ.調査概要
◆調査対象者
管内1都9県の地域金融機関(地域銀行・信用金庫・信用組合)の利用者等(中小企
業者、商工会議所・商工会の経営相談員等、消費者等):241名
◆調査期間
平成27年5月~6月
◆調査方法
アンケート、ヒアリング
Ⅲ.調査結果
◆別紙のとおり
<お問い合わせ先>
関東財務局 理財部 金融調整官
電話 048-600-1275(ダイヤルイン)
FAX 048-600-1231
1
(別
紙)
「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価」
調査結果(関東財務局管内)
1.地域金融機関の取組みに対する評価(自由評価)
【設問】
地域金融機関における地方創生、地域経済活性化に資する地域密着型金融の取
組み(目利き能力の発揮による企業の事業性評価を重視した融資、コンサルティ
ング機能の発揮による顧客企業の支援、地域活性化への貢献、情報発信活動等)
に関し、どのように感じているか(利用者等の意見)。
≪「評価できる」とする主な意見≫
○顧客企業ごとに「事業内容」「強み・弱み」などを記載したシートを作成して
実態・課題把握に努めるとともに、企業が必要とする情報を提供するなど、支
援を図っている。
○融資において、決算書等の数字のみで判断せず、仕事の案件や今後の見通し等
を考慮している。
○支援企業の経営改善計画策定案件において、金融機関の能力向上が見られ、そ
の企業に合った中期的改善提案がなされている。
○近隣企業や異業種との商談会開催など、販路開拓や売上向上に繋がる取組みを
実施している。
○行政や商工会議所等と連携協定を締結し、地域の中小企業の育成に取り組んで
いる。
○地方創生を支援する(地方公共団体を支援する)ための専担部署・チームを設
置したり、地方公共団体と地方創生に関する覚書を締結するなどの取組みが地
域金融機関で広がっている。
≪「不十分」とする主な意見≫
●目利き能力の発揮による企業の事業性評価を重視した融資については、更なる
担当者のスキル向上が必要。
●制度融資や中小企業支援策を理解できていない金融機関が見受けられ、コンサ
ルティングをできるレベルまで達していない。
●多くの金融機関が、商工団体等と連携協定を結んでいるが、関係を有効に活用
した新たな取組みを開始するまでには至っていない。
●地方版総合戦略の策定のほか、まちづくりに関する各種計画の策定においても
金融機関に協力してもらいたい。
2.地域金融機関の取組みに対する評価(選択評価)
【設問1】地域密着型金融の取組み姿勢(総合的評価)
地域金融機関は、コンサルティング機能の発揮による地域の企業等に対する経
営支援や地域経済の活性化への貢献等が期待されている。総合的に見て、地域金
融機関によるこうした地域密着型金融の取組み姿勢について、どのように評価し
ているか。
2
積極的評価 57.3
H27.6
地域密着型金融の取組み姿勢(総合的評価)
16.2
0%
(参考)
H26.6
41.1
20%
16.6
0%
32.8
20%
積極的
40%
やや積極的
消極的評価 16.6
21.2
60%
10.8
80%
27.0
40%
どちらとも言えない
60%
やや消極的
5.8 5.0
10.4
100%
7.3
80%
消極的
5.8
100%
わからない
◇地域密着型金融の取組みに対する総合的評価は、「積極的評価」が6割弱
となっており、「消極的評価」の2割弱を上回っている。
【設問2】日常的・継続的接触、事業性評価、ソリューションにかかる提案力、
ライフステージに応じたソリューション
地域金融機関は、顧客企業との日常的・継続的な接触を通じて信頼関係を構築
し、経営情報の提供を受けることで、担保や保証に必要以上に依存せず、企業の
事業内容や成長可能性等を適切に評価し、課題の早期発見・把握等に努め、必要
な解決策を検討・提案し、融資や助言等の必要な支援を行うことが期待されてい
る。
① 地域金融機関における、顧客企業との日常的・継続的な接触(顧客企業への訪
問等)の姿勢について、どのように評価しているか。
② 地域金融機関は、担保や保証に必要以上に依存せず、様々なライフステージに
ある顧客企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価(「事業性評価」)した
上で、必要な解決策を検討・提案し、実行支援することが求められているが、
目利き能力を発揮し、企業の事業性を評価できているかについて、どのように
評価しているか。
③ 地域金融機関の提案するソリューション(創業支援、販路拡大支援(ビジネス
マッチング)、海外進出支援、M&Aのマッチング支援等の経営目標の実現や
経営課題の解決を図るための方策)について、その提案力をどのように評価し
ているか。
④ 顧客企業のライフステージや持続可能性等に応じたソリューションの類型とし
て、例えば以下(1)~(5)のようなものが考えられるが、各類型における地域金
融機関の取組み姿勢について、どのように評価しているか。
(1) 創業・新規事業開拓への支援(例 産学官金の連携による創業支援、政策金
融機関やファンド等と連携した資金供給
等)
(2) 成長段階にある取引先への支援(例 販路拡大の支援、海外進出等の新たな
事業展開に向けた支援等)
(3) 経営改善に関する支援(例 販路拡大の支援、経営人材の専門家派遣等)
(4) 事業再生・業種転換に関する支援(例 経営再建計画の策定支援等)
(5) 事業承継に関する支援(例 M&Aのマッチング支援等)
3
①日常的・継続的接触
積極的評価 61.8
H27.6
23.2
38.6
0%
(参考)
H26.6
20%
20%
積極的
0%
20%
5.8
20%
十分
概ね十分
21.2
(参考)
3.9
H26.6
19.3
0%
やや不十分
概ね十分
40%
どちらとも言えない
8.5
80%
不十分
9.7
100%
わからない
消極的評価 23.2
60%
8.7
11.6
80%
17.8
60%
やや不十分
10.4
100%
14.5
37.8
20%
十分
40%
10.8
20.5
39.4
20%
100%
80%
60%
どちらとも言えない
5.0 6.2
わからない
15.4
28.2
40%
100%
消極的評価 26.2
③ソリューションにかかる提案力
積極的評価 25.8
0%
消極的
60%
27.4
0%
4.6
やや消極的
30.3
40%
7.9
80%
②企業の事業性の評価
29.0
7.1
10.0
60%
どちらとも言えない
6.2
80%
20.1
40%
やや積極的
積極的評価 33.1
H27.6
60%
40.9
0%
(参考)
H26.6
17.0
40%
17.8
H27.6 4.1
消極的評価 13.3
10.4
80%
不十分
100%
10.8
100%
わからない
◇顧客企業との日常的・継続的な接触の姿勢については、「積極的評価」
が6割強となっており、「消極的評価」の1割強を上回っている。
◇目利き能力を発揮した、企業の事業性の評価については、「積極的評
価」が3割強となっており、「消極的評価」の3割弱を上回っている。
◇ソリューションにかかる提案力については、「積極的評価」が2割台半
ばとなっており、「消極的評価」の2割強を上回っている。
4
④-(1)創業・新規事業開拓支援
積極的評価 41.0
H27.6
12.0
29.0
0%
(参考)
H26.6
40%
26.3
0%
H27.6
20%
0%
20%
積極的
10.8
29.9
0%
10.8
40%
26.6
0%
13.7
12.7
0%
どちらとも言えない
40%
39.0
20%
積極的
5.8 3.9
60%
やや積極的
40%
どちらとも言えない
14.5
100%
15.4
80%
やや消極的
消極的
100%
わからない
消極的評価 19.5
11.6
60%
7.9
9.5
80%
10.4
60%
100%
6.6
80%
やや消極的
38.2
20%
4.6
30.5
消極的
④-(4)事業再生・業種転換支援
積極的評価 22.0
(参考)
H26.6
40%
やや積極的
5.0
80%
36.7
20%
積極的
0%
7.1
30.3
20%
100%
消極的評価 12.1
④-(3)経営改善支援
積極的評価 40.7
8.3
どちらとも言えない
13.1
わからない
60%
40%
やや積極的
100%
80%
消極的
22.8
35.9
14.1
6.2
60%
やや消極的
40%
8.5
H27.6
14.7
38.2
0%
(参考)
H26.6
どちらとも言えない
5.8
80%
④-(2)成長段階にある取引先支援
12.4
H27.6
60%
40%
やや積極的
積極的評価 50.6
10.0
29.0
20%
積極的
(参考)
H26.6
29.0
20%
10.8
消極的評価 15.8
100%
わからない
消極的評価 19.9
14.9
5.0
60%
19.9
80%
15.1
7.3
60%
やや消極的
8.9
21.2
80%
消極的
100%
100%
わからない
5
④-(5)事業承継支援
積極的評価 23.7
H27.6
7.5
16.2
40.7
0%
(参考)
H26.6
20%
5.8
40%
18.5
0%
消極的評価 16.1
60%
20%
40%
やや積極的
どちらとも言えない
19.5
80%
41.3
積極的
6.6
9.5
9.3
100%
6.2
60%
18.9
80%
やや消極的
消極的
100%
わからない
◇各類型における取組み姿勢については、全ての類型で「積極的評価」が
「消極的評価」を上回っている。
【設問3】ソリューション実行後のモニタリング姿勢
地域金融機関は、設問2-④(1)~(5)に例示したようなソリューションを実行し
た以降も、その状況を継続的にモニタリングしながら、必要に応じ経営相談・経
営指導を行っていくことが期待されている。地域金融機関におけるソリューショ
ン実行後のモニタリングの姿勢について、どのように評価しているか。
ソリューション実行後のモニタリング姿勢
積極的評価 21.2
H27.6
5.4
15.8
0%
(参考)
H26.6
5.8
消極的評価 14.1
41.1
20%
17.0
0%
やや積極的
40%
どちらとも言えない
4.1
60%
37.1
20%
積極的
40%
10.0
23.7
80%
10.4
5.0
60%
やや消極的
100%
24.7
80%
消極的
100%
わからない
◇顧客企業に対するソリューション実行後のモニタリング姿勢について
は、「積極的評価」が2割強となっており、「消極的評価」の1割台半ば
を上回っている。
6
【設問4】外部専門家や外部機関等との連携姿勢
地域金融機関は、顧客に対して経営課題の認識を促す場合やソリューションを
提案する場合に、必要に応じて他の金融機関、外部専門家(税理士、中小企業診
断士等)、外部機関(商工関係団体、地域経済活性化支援機構、中小企業再生支
援協議会、東日本大震災事業者再生支援機構等)と連携を図ることが期待されて
いる。地域金融機関における外部専門家や外部機関等との連携の姿勢について、
どのように評価しているか。
外部専門家や外部機関等との連携姿勢
積極的評価 36.1
H27.6
12.0
24.1
0%
(参考)
H26.6
消極的評価 19.5
29.9
20%
9.7
40%
25.9
0%
やや積極的
60%
28.6
20%
積極的
11.6
40%
どちらとも言えない
14.5
80%
10.8
8.1
消極的
わからない
60%
やや消極的
7.9
80%
100%
17.0
100%
◇外部専門家や外部機関等との連携姿勢については、「積極的評価」が4割
弱となっており、「消極的評価」の2割弱を上回っている。
【設問4-1】都市圏から地方への円滑な人材還流における人材のニーズや課題(具
体的意見)
まち・ひと・しごと創生総合戦略において、都市圏から地方への円滑な人材還流
が行われること等を目的として、都市圏のプロフェッショナル人材の発掘、人材
データベースの統合ポータルサイトの運営、地方の中堅・中小企業等の相談窓口を
業務とする「プロフェッショナル人材センター」の開設や地域経済活性化支援機構
(REVIC)の子会社を活用した経営(サポート)人材等のマッチング等を行うこと
としているが、都市圏から地方への人材還流が行われる場合において、どのような
人材のニーズや課題があると思うか。
≪人材還流における人材のニーズ≫
➣その地域に意識改革(従前までのやり方の見直し、新たな手法の導入など)を起
こすことのできる人材。
➣オールマイティーな知識人よりも、コツコツと仕事を積み上げた、プロ意識を
持った人材を要望。
➣地域の長所・短所をよく理解したうえで、都市部ではなく地方の事例を多く知
り、提案・活用できる人材。
➣都市圏でのビジネスを熟知し、コネクションを持つ人材。地域をあくまで外側か
ら見ることのできる人材。
7
≪人材還流における課題≫
➣地方の企業(中小企業)の受入れ態勢の整備。
➣プロフェッショナル人材の持つスキルと、支援を受ける企業のニーズをいかに合
致させるかが重要。
➣都市部と地方では条件が違うため、都市部での成功事例をそのまま地方でやろう
としても駄目であり、その地方に合わせてうまくアレンジする必要がある。
➣プロフェッショナル人材に「人も組織も脆弱である」という中堅・中小企業の特
徴を理解してもらう必要がある。
【設問5】地方創生や地域経済活性化に向けた取組みへの参画
地域金融機関は、自らが貢献可能な分野や役割を検討し、例えば地方公共団体や
商工会議所、商工会、地域経済活性化支援機構等の関係機関と連携しながら地域
的・広域的な活性化プラン(地方版総合戦略、地域産業の振興策、商店街や観光地
の活性化策等)の策定に参加するなど、地方創生や地域経済の活性化に向けた取組
みに積極的に参画することが期待されている。地域金融機関における地方創生や地
域経済の活性化に向けた取組みへの参画について、どのように評価しているか。
地方創生や地域経済活性化に向けた取組みへの参画
積極的評価 42.8
消極的評価 14.1
15.4
H27.6
27.4
0%
20%
積極的
31.1
40%
やや積極的
どちらとも言えない
8.3
60%
やや消極的
5.8
80%
消極的
12.0
100%
わからない
◇地域金融機関における地方創生や地域経済の活性化に向けた取組みへの参
画については、「積極的評価」が4割強となっており、「消極的評価」の1
割台半ばを上回っている。
【設問6】情報発信の姿勢・内容
地域金融機関は、地域密着型金融の推進により生みだされる顧客や地域へのメ
リット(コンサルティング機能の提供、安定的な融資取引、個性的なサービス提供
等)を積極的に情報発信し、顧客や地域からの信認を得ることで、経営基盤の維
持・拡大を図ることが重要である。
① 地域金融機関における情報発信の姿勢について、どのように評価しているか。
② 地域金融機関における情報発信の内容について、どのように感じているか。
8
①情報発信の姿勢
積極的評価 43.1
H27.6
9.1
34.0
0%
20%
(参考)
H26.6
8.9
33.2
40%
27.0
0%
20%
積極的
10.4
60%
どちらとも言えない
7.1
100%
16.6
60%
やや消極的
6.2
80%
33.6
40%
やや積極的
消極的評価 17.5
5.4
8.5
80%
消極的
100%
わからない
②情報発信の内容
積極的評価 44.4
H27.6
6.6
0%
(参考)
H26.6
消極的評価 10.8
37.8
20%
4.6
0%
32.8
20%
理解しやすい
40%
概ね理解しやすい
31.1
8.7
60%
80%
37.8
40%
どちらとも言えない
60%
あまり理解できない
2.1
11.2 1.2
80%
理解できない
13.7
100%
12.4
100%
わからない
◇地域金融機関における情報発信については、「①情報発信の姿勢」、「②
情報発信の内容」ともに「積極的評価」が「消極的評価」を上回っている。
≪今後の地域金融機関の情報発信についての主な意見等≫
➣「経営者保証に関するガイドライン」の活用による、今後の融資現場と経営者保
証の変化について情報発信してほしい。
➣新商品開発や店舗改装など、積極的な経営努力をしている企業について、PRし
てほしい。
➣各種制度(補助金、制度融資、税制優遇など)の案内において、具体的なメリッ
ト・デメリット等にも触れた内容としてほしい。
➣一般の地域住民(消費者)向けの情報として、高齢者の生活資金の安全確保や福
祉事業に関する情報発信に力を入れてほしい。
➣融資の利用や経営改善計画の策定等により、事業者がどのように変わったかな
ど、事例を発信してほしい。
9
3.当局の取組みに対する評価
【設問】
当局では、地域密着型金融の推進の動機付け・環境整備のための施策として、
地域密着型金融に関する会議(シンポジウム)を開催するとともに、担保・保証
に必要以上に依存しない事業性評価に基づく融資やコンサルティング機能の発揮
による持続可能な企業の経営改善・生産性向上・体質強化の支援等の取組みの促
進等に取り組んでいる。こうした当局の施策について、どのように評価している
か。
当局の施策に対する評価
積極的評価 45.2
H27.6
消極的評価 7.5
38.6
6.6
0%
(参考)
H26.6
20%
10.8
40%
32.8
0%
20%
十分
概ね十分
29.9
4.6 2.9
60%
80%
27.4
40%
どちらとも言えない
7.7
60%
やや不十分
3.5
17.4
100%
17.8
80%
不十分
100%
わからない
◇当局の施策に対する評価については、「積極的評価」が「消極的評価」を
上回っている。
≪「評価できる」とする主な意見≫
○当局が指針を示し、参考事例集を公表するなどして、金融機関に対し顧客企業の
経営支援や地域連携を促しており、取組みの継続を希望。
○引き続き、事業者等の意見を吸い上げ、国の政策に反映させてほしい。
≪「不十分」とする主な意見≫
●当局の施策は評価しているが、その施策を更に推し進めるためには、広報活動の
更なる充実が必要と考える。
●地域の実態をより的確に把握してもらうためにも、当局には金融機関の顧客(企
業等)を訪問する機会を増やし、独自のネットワークを構築してもらいたい。
(以 上)
10