日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 《研究ノート》 ルーラルデスティネーションにおける組織間協働 プロモーション体制の構築へ向けた初期的考察 ― 宗像市の事例 ― かしわ ぎ しょう 柏 木 翔 東海大学福岡短期大学 国際文化学科 助教 This paper investigates a suitable organization among stakeholders of cooperative promotion system for rural destinations. It also explores issues that stakeholders in rural destinations tend to have for their promotion activities. Munakata city in Fukuoka prefecture is used as a case study of the research and stakeholders such as a destinations marketing organization, city office, city councilor and accommodation provider are selected to conduct a semi-structured in-depth interview. The research findings revealed that a lack of budget, human resource and expertise in tourism marketing are major impediments to conduct cooperative promotion. The results of the research finally compose a framework of cooperative promotion system for rural destinations in Japan and provide an empirical insight of it. 2 先行研究 1 はじめに 間協働インバウンドツーリズムプロモー 日本国内の多くの地方中小都市や農村 ションは、産官学連携や組織間協働とい 地域では、定住人口の減少や高齢化、地 う組織論的考察に焦点が当てられてい 本稿ではルーラルツーリズムを広義的 域経済の衰退が顕著な傾向にあり、行政 る。大都市の観光地や観光振興の先進地 に捉え、 「都市部とは異なる田舎や農村地 を中心に解決策や対応策が盛んに検討さ 域を中心に、豊富な調査が行われている 域を目的地とし、その地域特有の文化や れている。そのような中、対応策の一つ (Aas, Ladkin, & Fletcher, 2005 ; Fyall, 伝統、自然、ライフスタイルに関わり、 として、観光振興を軸に交流人口の増加 Leask, & Garrod, 2001 ; Gunjan, 2005 ; それらを主要な観光資源及びプロダクト や国際交流の発展、地方経済の活性化を Wilson, Nielsen, & Buultjens, 2009; として活用する観光の仕組みや形態、活 目指す動きも数多くの地域で見受けられ Roberts, 2009;Wong, Mistilis, & Dwyer, 動」と定義する。この定義は以下の先行 る。訪日外国人観光客を重点市場と位置 2011)。しかしながら、 地方の中小都市や 研 究 を も と に 定 め ら れ て い る。菊 池 づけている都市もあり、国際観光マーケ 農村地域という枠組みでのケーススタデ (2008)はルーラルツーリズムを、農村で ットとして地方中小都市が新しい観光目 ィーはあまり見られない。 行われる全てのツーリズムと広義な定義 的地として発展してきている。 そこで本研究では、目的地の宣伝広告 づけをしている。この定義はルーラル このような地方中小都市や農村地域で や情報発信等の販売促進をプロモーショ ツーリズムを、観光活動や現象として捉 の観光振興の主要ステークホルダーにお ンと定め、福岡県宗像市の観光プロモー えたものと言える。またFarmaki(2012) いては、ホテルや観光施設等の観光関連 ションの主要ステークホルダーを対象 はルーラルツーリズムを概念化する際の 事業者、その観光関連事業者で構成され に、半構造的インデプスインタビューを 三つの視点を、地理、プロダクト及び経 た観光協会、役所内で観光関連の事由を 行い、首都圏の大都市ではなく、地方の 験の側面だと述べている。更に五つの詳 取り扱う観光課等の行政組織の三者が協 中小都市や農村地域の外国人観光客のプ 細の要素を述べており、それらは農村地 働で地域のプロモーション活動を実施し ロモーションにおける組織間協働体制構 域、小規模の発展、自然環境と伝統文化 ていることが通例である。観光振興に関 築の必要性や重要性、問題点等を洗い出 への関係、地域住民自身による地域への して先進的ではない地方中小都市だから し、観光振興に向けた協働プロモーショ 長期的利益、そして農村の環境、経済、 こそ、継続性や収益性、または公共の利 ン体制のフレームワーク作りの初期的考 歴史、場所の表現としている。同様に 益を最大化させることを念頭に置いた組 察を行う。 Lane(1994)も、ルーラルツーリズムを (1)ルーラルツーリズム 織間協働プロモーションの体制構築が必 定義するポイントは、そのツーリズムの 要だと考えられる。 場所、機能、規模、慣習、パターンであ 学術の分野では、最近の十数年、組織 ると言明している。更に、場所、人々、 -137- 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 状況の明確な把握も容易であると言える プロダクト、ライフスタイルの在り方が のステークホルダーへ上記に列挙したよ 農村地域の様相として認識されること うな有益な資源の活用を可能にすること や、地域コミュニティーの歴史、習慣、 が考えられる。 さらに、デスティネーションとして複 価値、伝承、伝統がルーラルツーリズム さらに、組織間協働はルーラルデステ 数のターゲットマーケットへのアプロー の 概 念 に 含 ま れ る(Kneafsey、2001 ; ィネーション全体へ経済的、社会的、文 チがより行えるようになる。例えば、ス Pedford、1996)。CawleyとGillmor(2008) 化的貢献を果たすことが期待できる。例 ポーツと伝統文化を観光資源としてイン はルーラルツーリズムで価値のある観光 として、Czernek(2013)の研究では、観 バウンドマーケティングをしている地域 資源は、地域の文化や社会、自然環境や 光地のインバウンドマーケティングにお では、そのスポーツとその伝統文化の観 経済だと言及しており、その資源の活用 ける協働の体制や効果において、組織間 光資源のステークホルダーが、協働でプ 方法や持続可能性及びそれに関わるス 協働は費用便益の側面だけでなく、文化 ロモーション等を行うことで、お互いの テークホルダーの役割は十分に重視され 及び社会的側面への利益があることが明 異なるターゲットの囲い込みやアプロー るべきだと述べている。このように、ルー らかになった。この結果により、官民に チが容易になる。そうすることで、複数 ラルツーリズムの定義については多くの よる協働はデスティネーションの経済 のステークホルダーが、一つのルーラル 研究者により、異なる視点から論じられ 的、社会的、文化的競争力を増加させる デスティネーションのプレイヤーとし ている中、そこに関わる要素は総じて類 ことが改めて確認され、官民による協働 て、観光アクティビティー等の情報を、 似していると言える。ルーラルツーリズ の重要性を例証した(Fyall、2005) 。こ 訪問客へ伝えることができる(Naipaul、 ムは、田舎や農村地域という場所、また のような組織間協働の場合、特にルーラ 2009) 。 ルーラルデスティネーションは元 そのような目的地で行われる活動や現 ルデスティネーションでは市町村レベル 来、都市部地域と比べて、観光関連事業 象、地理的な特徴等の様々な視点をもと の行政が主導となり、社会的、文化的、 者の数が少ない為、このような情報伝達 に定義づけされており、ルーラルツーリ 経済的利益を地域住民や地域観光産業へ 及び共有も、より行いやすい。だからこ ズムやルーラルデスティネーションとい 与えなくてはならない(Látková、2012) 。 そ、地域の観光局や観光協会等(以後、 う言葉は多様な解釈で捉えられている しかし、ルーラルデスティネーションと 観光局等)は、観光客への情報提供者と (Su、2013)。従って、本稿では多数の研 いう場所においても、組織間協働による しての役割を担えることが強みである 究者が論じているルーラルツーリズムの 観光発展から、その地域のみならず広域 定義を広義に捉えることとし、冒頭で記 の様々な組織へ、利益が広がることを考 このようにルーラルデスティネーショ した定義とする。 慮し、市町村レベルの行政だけではなく、 ンの観光局等は、地域のプロモーション 国や県レベルの行政、 民間の観光事業者、 や、マネジメントの先導的役割を担うこ そして地域住民等も、立場や所属を問わ とに適した組織ではあるが、 多くの場合、 観光産業という産業は本来、様々なス ず、関係する全てのステークホルダーの 決定的な問題も抱えている傾向がある。 テークホルダーを含んでおり、市町村や 誰かが、協働のリーダーシップを担うこ その決定的な問題とは、専門的人材の欠 都道府県、国単位の政府及び行政、交通 と が 求 め ら れ る と 言 え よ う(Dwyer、 如と資金不足である。専門的人材の欠如 業や旅行業、宿泊業等の観光関連ビジネ 2010)。 は日本のルーラルデスティネーションに (2)組織間協働 が複雑に関係した形で産業が存在してい (Wang、2007) 。 おいて、総じて深刻な問題である。Su ス、観光目的地に住む地域住民や、国内 外からの観光客等がそれであり、それら (Wang、2007;Naipaul、2009) 。 (3)ルーラルデスティネーションにおけ る組織間協働プロモーション (2013)は、観光に関する教育の欠如から 専門的人材の欠如があると、中国を事例 る。 そのような産業的特徴であるが故に、 ステークホルダーによる組織間協働は に用い示唆している。日本においても同 組織間協働はステークホルダーにとって ルーラルデスティネーションにおけるイ 様に、大学等の高等教育機関で学修する 有益なものであり、産業の発展に必要不 ンバウンドマーケティングやプロモーシ ことが当たり前な昨今において、観光に 可欠だと言える。また組織間協働による ョンを行う際に効率性や生産性を向上す 関する学びを専門的に学んだ人材が少な 観光マーケティング分野への利益は多岐 ることが考えられる。観光産業内におけ い、または限られた一般的な知識しかな に渡り、主に組織の人、物、経済、知識、 る組織間協働は、多様なステークホル いという、観光に関する専門的教育経験 技術、ネットワークへ利点が創出され、 ダーの存在が複雑性の増加要因となる の欠如が予測できる。また資金不足の問 ステークホルダー全体への利益となり得 が、ルーラルデスティネーションの場合、 題においては、組織間協働の核であるべ る(Kashiwagi、2013)。よって、この組 都市部地域と比較すると、基本的にはス き組織にもかかわらず、協働戦略に充て 織間協働はルーラルデスティネーション テークホルダー数が少ないため、複雑性 られる程の資金がなく、ステークホル の場合においても、デスティネーション も低く、組織間協働の高効率性の認識や、 ダーの関係性向上を効果的に促進できな -138- 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 い 背 景 が あ る(Wang、2013 ; Wang、 るため、それ以前の数値はわかっていな 等の食を重要観光資源として韓国人観光 2007)。 い。また客数のみの収集であるため、外 客へのマーケティングやプロモーション ここまでルーラルツーリズム及び組織 国人観光客の出身地や性別、年齢、滞在 等の訴求活動を展開している。 間協働、ルーラルデスティネーションに 日数等の詳細情報は不明確である。 4 研究方法 おける組織間協働プロモーションという 三つの分野に関する先行研究を見てき 表-1 外国人観光客数推移 本研究では、半構造的インデプスイン た。それらの先行研究から、本研究では 2008-2012(宗像市、n.d.) タビューの手法を用いた。韓国人観光客 日本国内の事例をもとに、以下の三点に 2008 2009 2010 2011 2012 への組織間協働プロモーションのステー 着目していく。一つ目は、ルーラルデス 28,321 22,747 33,627 26,868 42,921 クホルダーとして、宗像観光協会(以後、 観光協会)、市役所内の商工観光課(以 ティネーションマーケティングにおける 専門知識の有無についてである。二つ目 宗像市の観光資源は、主に自然資源、 後、市観光課) 、市議会議員(以後、市議 はルーラルデスティネーションにおける 歴史的遺産、食の三つに分類できる。宗 員) 、市内の日本旅館(以後、市内旅館) 組織間協働の必要性の有無である。三つ 像は海と山に囲まれた場所にあり、いく からそれぞれ一名ずつの代表者、合計四 目はステークホルダー間のコミュニケー つかの島々も有している。フェリーで30 名をインタビュー対象者として選出し ションの有無である。これら三点から、 分程で着く大島には、自然豊かなトレッ た。インタビューでは質問項目を記載し ステークホルダーの専門的人材の状況及 キングコースがあり、韓国のオルレ協会 たチェックリストを用意した。チェック び組織間協働内における各組織の役割、 が、オルレトレッキングコースとして認 リストは全対象者のインタビュー内容の そしてステークホルダー間の関係性や環 定している(九州観光推進機構、n.d.) 。 統一性を高め、面接者及び被面接者が 境、状況の把握を試みる。その後、それ 歴史的遺産の中には宗像大社や三女神、 テーマから外れることや、必要な質問項 らの分析をもとに、ルーラルデスティ それらにまつわるものが重要な観光資源 目の欠如を防ぐために有効である(Veal ネーションのステークホルダーに即した だと言える。特に宗像大社は2000年以上 A. J.、2006) 。 組織間協働のフレームワークの構築に向 前から道の神様として位置づけられ、今 観光協会は宗像市の政府観光局と位置 けた初期的考察を試みる。尚、本研究の も交通安全の神として崇められ、毎年多 づけられており、宗像市から助成金を受 事例では福岡県宗像市を対象地域とし く の 観 光 客 が 訪 れ て い る(宗 像 大 社、 けて、宗像市のデスティネーションマー て、取り上げていく。 n.d.)。また、この宗像大社や宗像沖にあ ケティングを行っている。2014年3月時 る沖ノ島等の関連遺産群は、2009年より 点で、正職員は事務局長1名と経理担当 3 事例:福岡県宗像市 UNESCO 世界遺産暫定リストに登録さ 1名の合計2名であり、その他に3名の 宗像市は福岡県北部沿岸に位置してお れている。次に、観光客を惹きつける宗 臨時職員が勤務している。その中で事務 り、北九州市及び福岡市の両政令指定都 像の食としては、河豚や鯛を代表とした 局長が本研究の対象者として選出され 市から約30キロの中間にある農漁村地域 魚介類である。宗像の沿岸地域には、そ た。 である。人口は2014年3月時点で96,473 れらの海の幸を味わうことができるレス 宗像市議会議員は市民による普通選挙 人、 市内総生産は約2200億円である。(福 トラン等が多くある。またその豊富で新 で選ばれた20名の議員で構成されてい 岡県、2010;福岡県、2014;宗像市、2014) 鮮な魚介類を買うことができる道の駅に る。その中で、特定の1名の議員が市の 宗像市を国際観光の視点から述べる も、多くの観光客が訪れている。 観光政策における担当者としての役割を と、新興の目的地だと言えよう。宗像市 これらの観光資源や、韓国との長く友 担っていることから、その議員がインタ は2008年頃から観光振興に取り組み始 好な歴史的関係を背景に、宗像市の国際 ビュー対象者として選出された。 め、現在は歴史的背景やトレッキング 観光発展を進めるため、韓国人観光客を 宗像市の観光関連事業者の代表者とし コースを主要資源として、外国人観光客 重要マーケットと捉え、韓国語パンフレ ては、市内で最も高級で人気のある宿泊 の中でも、韓国人をターゲットマーケッ ットの作成や副市長一行による釜山訪問 施設の一つである旅館の最高経営責任者 トと定め、プロモーションを行っている 等を実施している(福岡・宗像観光、釜 が選出された。宗像市内には、観光関連 (福岡・宗像観光、釜山でPR、2013)。表- 山で PR、2013;宗像観光、中国・韓国 産業に従事する会社が少ないが、この市 1が示すように、2008年の観光統計値の 語でガイド市民グループが作製、2013) 。 内旅館は今後の韓国人マーケット拡大に 集計開始以降、宗像市への外国人観光客 大島が韓国オルレ協会からコースとして おいて、重要な宿泊施設になる可能性が 数は、約30,000人前後を推移している。 認定されたことも、韓国人観光客を増加 大きいことから、市内の観光関連事業者 この宗像市への外国人観光客数の把握 させる為のきっかけとして活用してい の代表として適切なインタビュー対象者 は、2008年から新しく始まった統計であ る。従って、大島オルレコースと、河豚 だと言える。 -139- 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 4名それぞれへの半構造的インデプス 「(正職員は)私を含めて二人、パー インタビューは、2014年3月中に実施さ トのスタッフは3人です。現状人員で 統計データを得るために予算の割当をす れ、一対一の対面環境で約60分間から90 は宗像のプロモーションと、来てくだ ることが必要ではないだろうか。 分間で行われた。上述したチェックリス さった方々を受け入れるシステムの両 ルーラルデスティネーションマーケテ トは三つのセクションに分け、それぞれ 方を良くしていくことが厳しいため、 ィングにおける専門知識に関する質問に 五もしくは六項目の質問を用意した。最 協会の組織化と他団体との連携を強化 おいて、宗像にはデスティネーション 初のセクションは宗像市全体の観光プロ しています。」(観光協会) マーケティングの専門家もしくは専門知 当の欠如も容易に予測できる。よって、 識を有する人材がいないことや、マーケ モーションの現状について被面接者の考 えを問う質問をした。次のセクションは これらのコメントから、観光協会は人 ティングに活用するべき統計データがな インタビュー対象者が所属する組織の情 員不足が深刻な問題であることが確認で いことが明らかになった。またその状況 報についての質問をした。スタッフ数や きる。また現状人員では、スタッフ間で をステークホルダーが自覚していること 観光関連業界での勤務経験、観光関連分 のマーケティング等の専門知識や経験を も把握できた。加えて、人材の数的不足 野の学習経験、業務内容、問題点等に関 共有することも難しいことが伺える。し も深刻な問題点であることが理解でき する内容が含まれている。最後のセクシ かしながら、観光協会は市役所からの助 た。海外マーケットへアプローチする協 ョンは韓国人マーケットに向けての、関 成金で運営されているため、容易にスタ 働プロモーションの実施において、ス 連ステークホルダーとの協働プロモーシ ッフを新たに雇用することは難しい。よ テークホルダー内の専門知識の欠如や、 ョンについての質問をした。このセクシ って、市観光課が財政面を負担し、マー 人的資源の不足は大きな問題だと考えら ョンはインタビュー対象者の韓国人マー ケティングの知識や方法、経験を有する れることから、この点は今後の観光発展 ケットプロモーションに向けての、協働 人材を外部講師とすることや調査の外部 を考慮し、優先的に対処するべき事項だ プロモーションの体制や構造、役割、問 委託等も選択肢に入れながら、専門知識 と言える。 題点に関する意見や考え、姿勢について 及び人員の欠如を補う策を講じる必要が の問いであった。 急務であると言えよう。 市の観光統計データの欠如も三名の被 5 結果 面接者から言及された。 (2) ルーラルデスティネーションにおけ る組織間協働の必要性 組織間協働に関して、四名全員が、必 要性があるという考えを示した。特に韓 四者へのインタビューは、組織間協働 「統計が重要な事は理解しています 国人観光客に、観光目的地として選択し らの見識を明らかにした。またインタビ が、私たちはプロモーションの効果を てもらうためには、全ステークホルダー ューの分析から、ルーラルデスティネー 見るためのデータや方法を確立できて による協働プロモーションが重要だ、と ションにおける、組織間協働プロモーシ いないので、正しい活動をしているの いう意見が多く述べられた。 ョンの組織体制の、フレームワークの初 かどうかを正確に計ることができてい 期的考察を行うことができた。ここから ません。今後取り組んでいきたい事の は本研究の三つの着眼点からインタビ ひとつです。」(観光協会) プロモーションへ向けた、異なる立場か ュー内容の分析を示していく。 「既に釜山市へプロモーションの為 に3回行きまして、いくつかのツアー (1)ルーラルデスティネーションマーケ ティングにおける専門知識 被面接者全員が、スタッフの観光に関 「プロモーションは宗像全体で取り 組まないと難しいですね。」 (観光協会) 「事業者同士しっかり協力してやら ないと上手くいきません」(市内旅館) を組んで頂いたのですが、私たちがわ かるのは何人来たかだけです。」(市観 市内旅館のインタビューでは、韓国人 光課) を受け入れる側として、宿泊及び飲食関 する学習経験の欠如を述べた。要するに、 連事業者間における協働体制の提案がさ 宗像市の観光発展におけるステークホル 上記の内容から、現在、プロモーショ ダーには、観光マーケティングやプロ ンの成果や観光客増加を促すイベントや モーション等の観光に関する学習経験を フェスティバルによる、利益を算定する 「泊食分離が、韓国人を受け入れる側 持つものは、一人もいないことが明らか ことが出来ない状況にあることがわか として鍵になる戦略だと思います。も になった。この点に関して、面接者の一 る。やはりここでも効果の測定方法の専 し食事提供者と宿泊提供者の業務をい 人は、プロモーション活動を遂行する難 門的知識の欠如やそれを実施する人員の くつかの宿泊事業者か飲食事業者に分 しさを言及した。 欠如が明らかになった。またここでは、 割できれば、それぞれの役割において、 統計データの収集や分析に伴う予算の割 クオリティーの高いサービスを提供で -140- れた。 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 きると思います。」(市内旅館) 位置づけであることが再確認できた。ま た観光協会は市観光課と高い頻度でコミ 法だと思います。」(市議員) 「リーダーシップは観光協会がとっ ていかないと。」(市内旅館) このように、食事を提供する事業者と ュニケーションを取っていることから、 寝床を提供する事業者を分割したサービ イベントやフェスティバル等の窓口とし スを宗像市内で行うことで、言語や習慣 て、市役所内の担当部署や各課からの情 しかしながら、観光協会は異なる考え の違いによる韓国人観光客への接客業務 報を集約し、発信するべきだと言える。 を持っていることが明らかになった。 の負担が軽減され、サービスの質向上が さらに教育機関とのコミュニケーショ 期待できる。また利益自体も複数の事業 ンや協働に関する話も、市観光課、観光 者へ分配されることとなり、韓国人観光 協会、市内旅館から言及された。 「私たちは(観光協会)組織として非 常に脆弱なので、宗像の外の人にも組 織間協働プロモーションに参加してい 客の受け入れによる利益を多くの事業者 「宗像市内の観光系の教授の方々と ただきたいと思っています。組織化を は、とても良い関係です。色々とサポー はかる上での理想は、観光のマーケテ トして頂いていますが、実際、宗像の ィングとマネジメントを理解してい インバウンドプロモーション活動の中 て、プロモーションと発展の両方をデ ステークホルダー間のコミュニケーシ で、何をして頂くことが可能なのか不 ザインできる人に参加して頂けること ョンの頻度や密度については、被面接者 明です。」(観光協会) だと思います。」(観光協会) が受けることが可能になる。 (3)ステークホルダー間のコミュニケー ション ごとの異なる考え及び行動が明らかにな 「韓国語が使える学生による韓国人 った。市観光課及び観光協会は、双方か 観光客へのガイドや、先生方による このコメントから、観光協会が、組織 ら相互のコミュニケーションについて、 マーケティングリサーチ等のサポート 間協働プロモーションのリーダーシップ 情報共有と連絡が活発に行われているこ が必要です。」(市観光課) をとることは不適切だという考えを認識 とを言及した。市からの助成金が活動資 することが出来る。その背景には観光の 金である観光協会は、業務内容について このようなコメントから、観光の専門 マーケティング及びマネジメント能力の も市観光課と調整しながら実施すること 知識や経験を有する大学の教員がインバ 欠如と人的資源の不足という問題点があ が必要であるため、コミュニケーション ウンドプロモーションやその他の観光振 るのであろう。 の頻度や密度が高い状況にあることが考 興関連の活動において、どのような協力 一方、市内旅館のインタビューでは、 えられる。 が可能なのかを明示すること及び上記記 宗像観光協会が、プロモーション活動を 載の観光戦略会議への出席等のサポート 実行するフロントラインプレイヤーであ 「時期によって変わりますけど、観光 も、ルーラルデスティネーションにおけ るべきだが、事業者の加勢も必要である 協会とは連絡取り合うことが多いで る組織間協働プロモーションには好影響 ことが強調されている。 す。」(市観光課) となることが示唆された。 「宗像市と連携をはかる観光戦略会 そして、組織間協働プロモーションの 「協会が観光産業の先頭に立つとし 議を月1回の割合で行っており、市商 リーダーシップに関するコメントも、被 ても、事業者が宗像のマーケティング 工観光課の方々以外に、関連各課との 面接者ごとに違う考えを持っており、市 の鍵を握っていて、事業者が商品を売 コミュニケーションを密にとっていま 観光課、市内旅館、市議員は、観光協会 らなければ、誰も来ません。」(市内旅 す。」(観光協会) が組織間協働プロモーションのリーダー 館) であるべき、という見解を示した。 「宗像観光協会がプロモーションを 牽引するべきだというのは明らかです また市内旅館と観光協会共に、相互の が、職員の数が少ないですね」 (市観光 高頻度な情報交換を述べていた。やはり 「宗像観光協会が私たち(宗像)のプ 観光協会は観光関連事業者から会員料を ロモーションの主要組織だと思いま 徴収することで運営されている為、会員 す。しかしステークホルダーごとの考 への情報提供は高い頻度及び密度で行わ えに距離があるようにも思えます。プ 市観光課も市議員と同様の考えを持っ れていると言える。 ロモーションの実働部隊としては観光 ているが、観光協会の状況を鑑みた回答 このように、観光協会は市内観光事業 協会が中心になるが、プロモーション であることがわかる。 者及び市観光課とコミュニケーションを 自体の方向性は外部の専門家が主に決 上述の三つの焦点に絞った四者へのイ 密に取っていることから、組織間協働プ めていき、そして大学や観光関連企業 ンタビューを分析した結果、ルーラルデ ロモーションの構造の中で非常に重要な の協力を得ていくことも一つの良い方 スティネーションにおける組織間協働プ -141- 課) 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 ロモーションのステークホルダーの役割 において、 組織同士が接していることは、 市観光課はまた、各課に分割されてい を、明確に位置づけることが必要な点及 よりコミュニケーションを密に取り、連 たイベントに関する事項を、取りまとめ びステークホルダー同士の相互関係の在 絡を頻繁に行うような関係性を有する組 る行政内の調整役としての役割を担うべ り方が明らかになった。しかしながら、 織同士であるべきことを表している。そ きである。また、 公共の利益を優先する特 これらは国外のみならず国内の観光客に して、太い枠線は、密接ではなく断片的 徴から市議員とも関係を密にし、地域住 向けたプロモーション活動にも当てはま なサポートを意味し、隣接している全組 民の意見や考えも集約する必要がある。 ることである為、今後、国内外客へのプ 織に対して、現在実際に断片的な助言を 市議会はプロモーション体制の支援重 ロモーション活動を促進するステークホ 行っている現状を表し、今後の継続を意 視の立場として、観光発展やデスティ ルダー間のコミュニケーションが重要だ 味している。 ネーションマーケティングに関する政策 と言えよう。 インタビューの分析をもとにしたこの や戦略へ提案し、市観光課とともに調整 現在、毎月一回の観光戦略会議が情報 図では、組織間協働プロモーションの実 の役割を担うべきである。 交換の場として有意義なものであると述 施において、観光協会はターゲットマー 大学や高等教育機関は、支援重視のス べられているが、市役所の複数の課と観 ケットへのプロモーションを実行するフ テークホルダーとしてフレームワーク内 光協会が中心の会議であり、多くの市内 ロントラインプレイヤーとしての役割を の全組織と太枠の線で隣接している。こ 観光関連事業者や学識経験者等が出席し 担うべきステークホルダーであることを れは全ステークホルダーの断片的なサ ていない状況にある。また、観光協会と 示している。観光協会と観光関連事業の ポート役を意味している。観光に関する 観光事業者、観光事業者同士等、ステー 間は点線で隣接している。これは観光関 学識経験者としてステークホルダーをサ クホルダーごとに個別の連携を図ってい 連事業者も、プロモーション活動の実行 ポートするために教員の専門知識やスキ る。今後、情報の共有と共に、協働や、 組織として加わるべきステークホルダー ルを、マーケットリサーチや統計調査等 一貫した観光プロモーションの方向性を であることを表している。同様に、市観 のプロモーション活動の支援に活用する 促すためには、幅広い関係者の出席が観 光課と観光協会の間も点線で隣接してい べきであることを示している。 光戦略会議を更に有意義なものにするこ る。従って、 市観光課は観光関連事業者、 とが考えられる。 市議会との調整役としてプロモーション 6 まとめ 図1は宗像市における組織間協働プロ の場で観光協会をサポートする。このよ 本研究では、新興の目的地の今後の発 モーション体制の構築に向けた初期的考 うに、図1は主に三つの実行重視組織に 展を鑑み、ルーラルデスティネーション 察のフレームワークであり、体制に入る よってプロモーション活動を行うことを の組織間協働プロモーションを取り上げ べき組織、及びプロモーション実施にお 表しているが、図の通り、観光協会がフ た。福岡県の宗像市を事例に、観光関連 ける各組織の位置づけを示している。左 ロントラインとして、そして観光関連事 の組織等、複数のステークホルダーによ 側の矢印は、フレームワーク内の組織の 業者及び市観光課は観光協会のサポート る協働プロモーション体制に焦点を当 ターゲットマーケットへのプロモーショ としての役割が適切だと示している。こ て、今後様々なルーラルデスティネーシ ン活動の実行及び支援の程度を表してい のような体制により、観光協会が常に ョンへ応用できるフレームワークの構築 る。組織が図内においてターゲットマー ターゲットマーケットとの窓口となり、 をするための初期的考察を試みた。 ケットに近い程、プロモーションの実行 情報を一括に調整することが可能とな ステークホルダーへの半構造的インデ 重視ステークホルダーであることを示 る。また、市内ステークホルダーからの プスインタビューの分析の結果、資金不 し、 ターゲットマーケットから離れる程、 情報も観光協会から発信されることで、 足、専門知識を有する人的資源の欠如や プロモーションの支援重視ステークホル 宗像市全体として一貫性のある情報を発 人員の不足、関連統計データの不足等の ダーであることを表している。また図内 信することができる。 問題点が明らかになった。また、ステー クホルダー間の協働プロモーション体制 図-1 宗像市における組織間協働観光プロモーション体制初期フレームワーク ターゲットマーケット(韓国人観光客) 実行重視 た。最終的には、現在の宗像市における ステークホルダー同士の関係性や情報共 有、連絡の密度及び頻度の分析から、今 観光協会 観光関連事業者 市観光課 後の組織間協働プロモーション体制の構 築に向けた初期的考察としてのフレーム 市議員 支援重視 のリーダーシップや役割も明らかになっ ワークを作成した。 大学 最後に、本研究の限界及び課題は、研 -142- 日本国際観光学会論文集(第22号)March,2015 究対象の妥当性と分析結果の普遍性の低 グループが作製. (2013、4月20日) . さである。本研究では、インタビュー対 西日本新聞 ・Kashiwagi, S. (2013) . Establishing a collaborative strategy for marketing 象者が四つのステークホルダーからの四 ・宗像大社. (n.d.) .宗像大社について 、 channels for educational tourism in 名のみであり、地域内のその他のステー from http://www.munakata-taisha.or. Japan. Paper presented at the 19th クホルダーとして考えられる、飲食事業 jp/html/gosaijin-yuisyo.html Asia 者や交通機関、市民団体も対象にするこ ・Aas, C., Ladkin, A., & Fletcher, J. とで、妥当性を向上させることができた (2005). Stakeholder collaboration and Pacific Tourism Association Annual Conference, Bangkok. ・Kneafsey, M. (2001) . Rural cultural economy: Tourism and Social Relations. と考えられる。また日本国内の一つの地 heritage 域のみを対象地域にしたため、分析結果 Tourism Research, 32(1) , 28-48. doi: Annals of Tourism Research, 28(3) , の普遍性に欠けていると言える。今後は、 10.1016/j.annals.2004.04.005 762-783. doi: http://dx.doi.org/10.1016/ 国内外の多くのルーラルデスティネーシ management. Annals of ・Cawley, M., & Gillmor, D. A.(2008) . S0160-7383(00)00077-3 ・Látková, P., & Vogt, C. A. (2012). ョンにおけるプロモーション体制に関す Integrated rural tourism: Concepts る考察を行い、妥当性と普遍性の改善を and Practice. Annals of Tourism Residents’ Attitudes toward Existing 図ることが必要である。そしてさらに、 Research, 35(2) , 316-337. doi: http:// and Future Tourism Development in 本研究で作成した初期的フレームワーク dx.doi.org/10.1016/j.annals.2007.07.011 Rural Communities. Journal of Travel を、国内外のルーラルデスティネーショ ・Czernek, K.(2013) . Determinants of Research, 51(1) , 50-67. doi: 10.1177/ ンにおける協働プロモーション体制と照 Cooperation in a Tourist Region. 0047287510394193 ・Lane, B.(1994) . What is rural tourism? 合し、新興のルーラルデスティネーショ Annals of Tourism Research, 40(0) , ンとして観光発展を目指す地域の一助と 83-104. doi: http://dx.doi.org/10.1016/ Journal of Sustainable Tourism, 2(1- なる研究を進めていく。 j.annals.2012.09.003 2) , 7-21. doi: 10.1080/09669589409510680 ・Dwyer, L., & Edwards, D. (2010) . Sustainable tourism planning. In J. J. 参考文献 Liburd ・菊池.(2008).地理学におけるルーラ & D. Understanding ・Naipaul, S., Wang, Y., & Okumus, F. (2009) . 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