第2回 WWW, ソーシャルメディアの仕組み

WWWとソーシャルメディア
情報とネットワーク第2回
宮川祥子
© Shoko Miyagawa 2015
WWWのしくみ
© Shoko Miyagawa 2015
WWW(World Wide Web)の仕組み
•  WWWは、1989年、フランスのCERNという物理学の研究所で、
研究データの共有のために開発された
•  「ハイパーテキスト」と呼ばれる、リンクによってつながった文
書によって情報を提供している→画期的!
•  2015年3月時点で、世界中には 878,346,052 のWebサーバ
があるようだ*
•  Webブラウザから URL と呼ばれる、サイトやページを特定す
る「住所」を入力する、あるいはURLが埋め込まれたリンクを
クリックすることで、Webページにアクセスできる
* http://news.netcraft.com/archives/category/web-server-survey/
© Shoko Miyagawa 2015
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Who Rules the Internet?
インターネットを「管理」しているのは誰?
http://www.sfc.keio.ac.jp/index.html
•  ドメイン名を取るのはとても簡単(miyagawa.com
とか)
•  インターネットに接続するのに免許はいらない
(プロバイダと契約すればその日から)
•  Webサーバを開設するのにも免許はいらない
[email protected]
© Shoko Miyagawa 2015
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マスメディアとソーシャルメディア
•  マスメディア
ソーシャルメディアとは何か
どのように使われているのか
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–  「企業」「組織」が情報を発信する(放送局・出版
社・新聞社など)
–  情報発信のために大規模な設備を必要とする(電波
塔・印刷機など)
–  発信主体である企業や組織によって情報が統制・取捨
選択される場合がある
–  デマの流布はある程度押さえられる。情報の訂正も
比較的容易
•  ソーシャルメディア
–  「個人」が情報を発信する
–  インターネットの利用を前提としており情報発信のた
めに大規模な設備を必要としない
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マスメディアとソーシャルメディア
ソーシャルメディアの種類
•  ソーシャルメディアは、その時に利用できるサー
ビスや技術によって様々な形態を取るため、〇種
類ある、という分類はやりにくい
•  電子掲示板
•  ブログ
•  Wiki
•  Podcast
•  SNS
•  画像や動画の共有サイト
•  twitter
•  カスタマーレビュー(amazon, 価格.comなど)
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ソーシャルメディアの「歴史」
•  NetNews…インターネット初期に
作られた情報交換のためのシステム
(1980年代)
•  匿名掲示板…2ちゃんねる(1999)
•  ブログ…WWW上で個人がニュース
を紹介し、コメントをつけたことが
始まり。 Webを記録 (log)
•  SNS…gree, mixi, Facebook(いず
れも2004)
•  ミニブログ…twitter(2006)
•  リアルタイムメッセンジャー…LINE、
カカオトーク(2011∼)
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技術者・研究者のみがイン
ターネットを使う。イン
ターネット全体が「一つの
コミュニティ」
様々な人々がインターネッ
トを始める。コミュニティ
の分化
コミュニティに参加する
ためにインターネットを
始める
ソーシャルメディアでの情報の伝
わり方
© Shoko Miyagawa 2015
SNSでは自分とつながっている人
には情報は「フラットに」伝わる
友人が「シェア」した自分の情報
は、コントロール不可能
伝える
伝えない
伝える
© Shoko Miyagawa 2015
© Shoko Miyagawa 2015
一旦ソーシャルメディア上に流れた
情報は消えない
•  「人の噂も75日」はソーシャルメディア
上では成り立たない
•  大学時代のツイッターや SNSへの「不適
切」な内容の投稿が、将来のキャリアや
仕事に悪影響を及ぼすこともある
–  就職活動・転職活動のときに人事担当者が検
索することもある
–  自分が起業して新しい取引先と交渉している
ときに、その情報が検索されるかもしれない
© Shoko Miyagawa 2015
ヘルスケア・プロフェッショナルと
してのソーシャルメディアとのつき
あい方(1)
© Shoko Miyagawa 2015
「何が」いけなかったのか
MSN産経ニュースより
胃、大腸写真撮りツイッターに 〇〇市の看護学校生 2013.7.1 21:57
〇〇市立看護専門学校は1日、同校2年の女子生徒(19)が、がん患者
から摘出され講義で使われた胃と大腸の写真を撮り、短文投稿サイト「ツ
イッター」で公開していたと発表した。同校は「倫理的に許される行為でな
い」として女子生徒を自宅謹慎させ、正式な処分を検討している。
同校によると、5月21日午後に行われた病理学の講義で、50代の男性
講師がポリ袋に入れた胃と大腸の一部を回覧。臓器は2人のがん患者から摘
出されており、袋に名前など個人情報は書かれていなかったという。女子生
徒はスマートフォン(多機能携帯電話)で撮影し、同日中に2枚を公開。画
像を「胃。グロ注意」などと説明していた。
「こんなことを書いて大丈夫か」などのコメントが数件寄せられ、女子生
徒は6月下旬に投稿を削除したが、インターネット上で転載され広がった。
6月30日未明に市役所を通じて同校に通報があった。
女子生徒は同校の聴き取りに「(講義の状況を)皆さんに知らせたかった。
こんなに大ごとになると思わなかった」と話しているという。
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個人情報保護と医療職としての倫理
ソーシャルメディアを使うにあたって注意したいこと
機微な情報の取り扱い
ネット上の誹謗中傷
看護師と患者の距離
意識しない間に「あなたの情報」がネット上
に蓄積されていく
•  「パブリック」と「プライベート」の境目
• 
• 
• 
• 
出典:Social media and nursing profession: a guide to online
professionalism for nurses and nursing students
© Shoko Miyagawa 2015
看護学生はなぜ臓器を見ることを
許されるのか
•  臓器は「モノ」ではない
•  人格を持った人間の一部
–  尊厳
–  提供者の意思(あるいは遺志)
•  臓器の写真をツイッターに投稿することの意味
© Shoko Miyagawa 2015
事例1:患者の名前を出さなけれ
ば大丈夫か
•  あなたは郊外のとある病院で働いています。
•  あなたは、ある日、患者の容態が予期せず悪
化したことについてSNSに書き込みました。
•  あなたは患者の名前や病院名を出さないよう
注意していましたが、過去の投稿で病院の名
前を書いていました。
•  患者の親戚が病院の電話番号をネットで検索
しようとしてあなたの投稿を見つけました。
そこからたどって、あなたがその患者につい
て書いた投稿を見つけてしまいました。
© Shoko Miyagawa 2015
看護師としての機密を守る責務
•  看護師は、倫理的にも法的にも、患者の機密を守る
義務を負っている
•  患者の情報を投稿する際には、少なくとも患者本人
からの明確な同意が必要→患者の尊厳を守る
•  学校や勤務先が規定しているルールにも従う
•  投稿によって患者の氏名が特定されないということ
を保証する必要がある(一般的には非常に困難)
•  患者の氏名・自分の氏名を書かないというだけでは
機密は守れない。過去の投稿や他のメディアへの投
稿と「名寄せ」をするによって氏名や勤務先、患者
氏名が明らかになってしまうケースもある。
© Shoko Miyagawa 2015
誹謗中傷は処罰や訴訟に発展する
場合もある
•  誹謗中傷とは
–  第三者に向けて
–  対象(患者、同僚、教員など)を特定し
–  その対象の評価を下げる様な情報を流すこと
•  「何を言うか」だけでなく「どのように言う
か」に注意を払うこと
•  文句を言いたいときには、ひと呼吸・一晩置
いてから。
–  今投稿しようとしているその文句、手書きで人に
渡せますか?
© Shoko Miyagawa 2015
事例2:仲間どうしのディスカッ
ション?
•  看護学生であるあなたは、他の学生とグループ
ワークの情報を共有するためにFacebookにペー
ジを作りました。
•  グループ内でディスカッションをしているうちに、
ある学生が、ある教員のことを「酔っぱらって成
績をつけているに違いない」とコメントしました。
•  そのFacebookページは、参加するには承認が必
要でしたが、その内容は公開される設定になって
いました。
•  学生のコメントは、同僚を通じてその教員に知れ
ることとなりました。
© Shoko Miyagawa 2015
事例3「知っている人」は「お友達」?
•  あなたはfacebookで見覚えのある名前の人から友
達リクエストを受けたので、承認しました。
•  後からよく考えたら、その人はかつての受け持ち
の患者さんでした。
•  その患者さんは、あなたに「次回予約した診察に
いけないが、傷のケアをどうすれば良いだろう
か」という内容のメッセージを送ってきました。
•  それに加えて、あなたがかつて投稿した水着姿の
写真に対して、ちょっとエッチなコメントをして
きました。
© Shoko Miyagawa 2015
患者との距離を適切に保つ
•  SNSでリンクすることで、通常の看護師 ‒ 患者の関係で
は知り得ないあなたのプライベートな情報を見られる可
能性がある
•  このことは、医療職と患者のプロフェッショナルな関係
に悪影響を及ぼす場合もある
•  あなたが医療職として取るべき対応は
–  あなたがSNSでプライベートな情報を投稿している場合、患
者からの友達リクエストは受けない
–  「患者さんとはオンラインでは友人にならないことにしてい
る」と返答する(丁寧に)、もしくはリクエストを無視する
–  医療職としての活動に特化したアカウントを作ってそこでリン
クするという選択肢もある。しかし、投稿の内容や情報が共
有される範囲には十分注意する必要がある
© Shoko Miyagawa 2015
次回までに考えてきて欲しいこと
•  FacebookやLINEなどのSNSの利用には
お金がかかりません
•  では、FacebookやLINEを運営する企業
はどうやってお金を稼いでいるのでしょう
か(サービスを運営するためにはお金が
かかります)
•  FacebookやLINEにとって「お客」とは誰
でしょうか。そしてそのお客に売る「商
品」とは何でしょうか。
© Shoko Miyagawa 2015
ヘルスケア・プロフェッショナル
としての規範を守る
•  看護師には倫理的にも法的にも、患者の機密を守
る義務があることを忘れない。
•  明示的な場合だけでなく、「もしかすると患者の
権利を損なうかもしれない」というケースまで考
えて対応すること。
•  患者を特定するような、あるいは、もしかしたら
特定されるかもしれないような情報をインター
ネットに投稿しない(投稿へのアクセス制限は万
全ではないと心得ること)。
•  オンライン上で患者と個人的なつながりを作らな
い。実生活上でNGなことはオンライン上でもNG
と心得ること。
© Shoko Miyagawa 2015