愛媛県工業技術センター 養殖魚切身流通技術開発研究 研 究 の 目 的 近年、養殖魚の流通は、消費者の簡便化志向の高まり等により、 ラ ウンド(丸のまま)主体の出荷形態からフィレー(3枚おろし)等切 身による出荷形態に変化してきている。 こうした状況の中、本県産養殖魚の消費拡大を進め、 生産者の所得 向上を図っていくためには、 フィレーや刺身など付加価値を高めた切 身製品の出荷に取り組むことが重要である。 年度 研 究 内 容 養殖マダイ、ヒラメについ て、流通条件の違いで魚の鮮度 や肉質がどのように変化して いくかをあきらかにし、最適な 流通条件を見いだすため、次の 研究を行った。 H6 養殖魚を出荷する際、消費者 が購入する時点で生食できる 鮮度、及び肉質が保持される必 要がある。このため、鮮度低下 の原因といわれる魚肉中の酵 H7 素の働きを失活させる目的で 養殖魚(マダイ、ハマチ、ヒラ メ)の切身に加圧処理を施し、 鮮度の指標となる核酸関連物 質、色、及び肉質の測定を行い、 加圧処理が魚肉の品質に及ぼ 研 究 成 果 1. 養殖マダイ、ヒラメの貯 蔵温度別に K 値が 20 を 越える日数は、10℃で 2 日以内、5℃で約 5 日、3℃ でそれぞれ 15 日、13 日、 -3℃で 30 日以上であっ た。 2. 養殖マダイ、ヒラメの貯 蔵温度別に一般生菌数 が増加し、初期腐敗にな るのは、5℃で約 12 日、 3℃で 15 日、-3℃で 30 日以上あった。 1. 養殖マダイ、ハマチ、ヒ ラメとも 10~200MPa の 加圧処理(10 分)で、旨味 成分であるイノシン酸 濃度が、無処理のものと 比較して大幅(5~10 倍) に増加することが分か った。 2. この程度の加圧ではタ ンパク質の変性に伴う 切身の変色はなく、中で す効果について研究を行った。 養殖マダイの切り身の冷凍 保存条件の検討 1. 冷風乾燥条件及び冷凍 保存条件の検討。 2. 超高圧処理条件及び冷 凍保存条件の検討。 3. 脱水シート処理条件及 び冷凍保存条件の検討 4. 糖液浸漬処理条件及び 冷凍保存条件の検討 H8 も 10~30MPa では肉質の 軟化もなく、刺身として 利用できることが分か った。 養殖マダイの切り身を冷風 乾燥等で前処理を行った後、冷 凍保存を行い、解凍後のドリッ プ発生量やイノシン酸残量に ついて試験を行った。 1. ドリップ発生量は、冷凍 温度によって異なり、ー 20℃で 8.9%、-30℃で 6.1%、-70℃で 4.8%で り、低温で凍結する方が 良い結果であった。 2. ドリップ発生量は、前処 理によって異なり、無処 理区で 9.4%、2 時間冷 風乾燥したもので 4.2 %、24 時間脱水シートを 使用したもので 4.3%と なり効果が認められた が、超高圧処理や糖液浸 漬処理については、無処 理区と変わらず効果が 認められなかった。 3. イノシン酸残量は、ドリ ップが少ないほど大き いことが確認できた。
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