Untitled

例えば、近くに廃鉱山のある地域でトンネル掘削時のズリを何の注意も払わずに別の場所に移動し、盛土材として使用したらどうでしょうか。
ズリの中に硫化鉱物が含まれると、半年∼数年後には盛土から多量の重金属を含んだ酸性水が流れ出し、周辺一帯や下流域の土壌が汚染されます。
そんな事が起こらないとは限らないのです。
土壌汚染対策法の施行により、工場跡地などでは調査が義務付けられていますが、こういう工事には調査義務がありません。
また、自主的に調査を行っても掘削したばかりの未酸化の硫化鉱物からは重金属は溶け出さず、問題なしと判断されかねません。
しかし、硫化鉱物による重金属汚染は、酸化が進むことにより発生するのです。
可能性のある場合には専門的知識と経験に裏づけされた調査が欠かせません。
① 海成粘土層
の掘削 海成粘土に含まれ
る硫化鉄(パイライ
ト)
の酸化
強制酸化による生成硫酸量・中
和石灰量の把握、硫黄の形態分
析による未酸化硫黄量の把握
石灰散布による土壌の
中和
発生酸性水の中和処理
②鉱化変質帯
の掘削
硫化鉱物の酸化(鉄
酸化バクテリア)
重金属や硫黄含有量の把握、
強
制酸化後のpHや重金属溶出量
の把握
掘削ズリを還元性雰囲
気に保つ
石灰による中和
流出水の管理
坑廃水中の重金属
やズリ捨て場から
重金属の溶出
土壌汚染調査に準ずるが、
未酸
化の硫化鉱物が存在する場合
は強制酸化による重金属溶出
量の把握が必要
硫化鉱物の酸化(鉄
酸化バクテリア)
流域河川の水質把握、
中和剤
(炭
カル、消石炭など)による中和
特性の把握
塩害。中性化や不適
切な配合割合によ
る鉄筋の腐食
塩分含有量・中性化深度の把握、 樹脂などのコーティン
グ補強工事
配合割合の推定
不適骨材による耐
久性の劣化
コンクリート中のアルカリ量
の推定、
骨材不適鉱物の有無の
把握、劣化度の判定
膨潤性粘土鉱物の
存在
X線回折による粘土鉱物の把握、
CEC測定、膨潤圧・膨潤量の把 水の浸透防止
握
⑥ 建 物
断熱材、防音材とし
て使用された材料に
アスベストが含有
位相差顕微鏡やX線回折によ
るアスベストの同定・定量
飛散防止
解体・撤去
⑦ 湖 沼
湖沼の豊栄養化
流入負荷量・湖沼内の水質特性
の把握、
底質土の窒素・燐・有機
物含有量の把握
流入負荷量の低減
底質土の浚渫
曝気による浄化
⑧ 農地開発
土地が作物の育成に 水田土壌の条件や基本的な改
改良資材の投入
不適
(養分保持能力、 善 目 標( 農 林 省 農 産 課 資 料 )
適切な施肥の実施
通水性、
通気性など)
。 などに基づく各種土質・化学試
植付け作物の変更
灌漑用水の不適
験により、
土壌の性質を把握
② トンネル掘削ズリ
・重金属を含んだ酸性水の発生
③ 廃 鉱 山
① 切土法面工
・法面植生の生育不良
・赤水発生による景観悪化
・酸性水の発生
③ 廃鉱山
て
④コンクリー
ト構造物
・河川生態系の破壊
・河川構造物への被害
・重金属を含んだ酸性水の発生
⑤ 道 路 、ト ン
ネル
⑥
・断熱材・防音材としてアスベスト
含有製品を使用
・アスベストの飛散による健康被害
⑨
同 上
地山対策による発生酸
性水の低減
発生酸性水の中和処理
水分浸透による進行の
抑制
(塗装など)
外部の拘束・補強
(鋼板・
FRPなど)
⑤ 道路・トンネル
・地盤の変状
⑦
・藻 類( アオコ) の発生
⑧
地下水に溶けたメ
タンガスが遊離し、 地下水中の溶存メタンガス量、 防爆対策
湧水量の把握
適切な給排気量の確保
空気と混合
・作物の生育が悪い
・収穫量が少なく品質が良くない
⑨ シールド工
事など
開拓地
酸欠ガス(N 2 、CO 2 ) 酸欠ガスの賦存状況の把握
の噴出、還元性土壌 土壌中の酸素吸収物質
(Fe2+、S,C
による酸素吸収
など)量、
酸素吸収量の把握
⑪
⑩ 鋼材の埋設
⑩
適切な給気量の確保
酸素濃度のモニター
腐食性土壌の存在
迷走電流、異種金属
や異種土壌の存在
対鋼材有害物質の測定・土壌性
状の把握
土壌の入れ替え
耐食性材料への変更
改良が不十分
改良地盤中のシリカ量
(水ガラ
ス系)
、カルシウム量(セメント
系)
の把握
工法の変更
固化に悪影響をお
よぼす腐植土や酸
性水の存在
腐植土や酸性水の把握、
配合試
験による固化材の選定および
最適な配合量の把握
工法の変更(→鋼管杭)
固化材の変更(→高有
機質土用、
腐植土用)
・埋設鋼管の腐食 鋼管
⑪ 地盤改良