1.ゼオライトとは ゼオライト(zeolite)はアルカリ金属 - MASUNO-Club

参考資料—ゼオライトとはー 宇൉興産株式会社 建০資材カンパニー
1.ゼオライトとは
ゼオライト(zeolite)はアルカリ金属またはアルカリ土་金属を含む含水アルミノケイ酸塩‫ݐ‬物で
あり、一般式は下記の様に表されます。
(MI,MII1/2)m(AlmSinO2(m+n))・xH2O(n≧m)
MI;Na+,K+etc
MII;Ca2+,Mg2+etc
「zeolite」という学名は、この結晶を加熱すると沸௨して水蒸気を発生する現象からギリシャ‫܃‬
のζειν(boil:沸௨)、λιθοσ(stone:石)から由来しており、඿名では沸石と呼ばれてい
ます。ゼオライトに含まれる結晶水(沸石水)は、加熱によって脱離しますが、結晶水が失われても
ゼオライトの構造に本ࡐ的な変化をおよぼすことはなく、結晶水のあった箇所はそのまま空隙とし
て残り、この空隙には再び水分子やガスを吸着することができます。結晶水は Na+ 、Ca2+などຨイオ
ンとともにゼオライトの網目構造の空隙中に存在し、結晶格子を安定化させています。
国内の天然ゼオライトのほとんどは、海成−淡水成堆積物が続成作用・埋没変成作用を受ける過
程で生成したもので、採掘産地(秋田・二ツ井、宮城・白石、福島・天栄、島根・大田など)の多く
は、グリーンタフ(緑色凝灰岩)地域上に立地しています。ゼオライトの種་は、天然‫ݐ‬物として4
0種以上見い出されていますが、国内で産出する天然ゼオライト岩で利用されているものは、クリ
ノプチロライト、モルデナイトおよびクリノプチロライトとモルデナイトが共存するものの3種で
す。純度は産地によって様々で40%台の低いものから 90%‫ؼ‬いものまでありますが60
70%
程度のものが主です。
2.ゼオライトの特性
①吸着と分子ふるい(極性効果)
ゼオライトは 0.2
1.0nm 程度(ゼオライトの種་により固有の口径)の細孔をもち、これは低分子
化合物の分子径のオーダーであります。この細孔内には、Na+ 、Ca2+ などຨイオンが存在しているた
めに஢場が存在し極性を生じています。従って、水分子などの極性分子、分極性分子を強く吸着す
る性ࡐがあります。このようにゼオライトは細孔の入口径と内൉の極性によって分子ふるい作用(モ
レキュラーシブ作用)を有しています。
②イオン交換
ゼオライト中のຨイオンは水溶液中にて他のイオンと交換されます。この交換能は、ຨイオンの
大きさ、஢荷数、反応温度、イオン濃度などによって影‫؜‬を受けます。ゼオライトには「イオンふ
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るい効果」と呼ばれる選択性を生じるが、これを利用して有害イオンの除去なども行われています
(クリノプチロライト、モルデナイトはアンモニウムイオンに対して‫ݗ‬い選択性を示します)
。
③触媒作用
ゼオライトは固体酸触媒として化学工業で利用されています。この触媒反応は、ゼオライトをア
ンモニウムイオンでイオン交換した後に加熱処理または多価カチオンでイオン交換した後に加熱処
理するなどして生ずる酸性 OH 基を活性点とする炭化水素の反応です。
3.ゼオライトの用途
天然のゼオライト岩は、乾燥、粉砕さらには分級などの一次加工が施されて、農園芸z造園向けの
土壌改良材、養‫׸‬場の浄化資材、調湿・脱臭機能をもつ建材の添加材など多方面に利用されていま
す。また、最‫ؼ‬では、天然ゼオライトの純度を‫ݗ‬める技術も開発されて、酸や熱による二次加工を
施した改ࡐゼオライトが工業用などでも利用されつつあります。
天然ゼオライトの主な用途
加工の種་
利用される特性
物理的性ࡐ
吸着特性
イオン交換能
触媒作用
その他
一次加工
乾燥・粉砕z(分級)
園芸用耕土
建築材
製紙用充填剤
農業用キャリヤー
洗剤混合剤
火薬用担体
畜舎乾燥脱臭剤
ペット用脱臭剤
養‫׸‬池水の浄化
原子燃料廃水処理
ற市廃水処理
(‫ݐ‬内廃水処理)
(メッキ工場廃水処理)
土壌改良資材
二次加工
化学的処理
製紙用充填剤
プラスチック用充填剤
熱処理など
酸素窒素分離装置
SO2 回収装置
(ଵ脱湿機)
水産加工用脱臭装置
NOx 還元(モルデナイト)
養క・養‫ڕ‬用飼料
4.農林畜産業での利用
①土壌改良資材としての利用
‫ؼ‬代農業では、作物の生育に必要な量を上回る過剰な化学肥料が農地に投入される傾向にありま
す。例えば、茶園においてはお茶の品ࡐを‫ݗ‬めるために硫安などの窒素肥料が必要量の数倍も施用
されています。このような余剰の肥料成分は土壌に蓄積し、а水などによって河川に流入するなど
の環境負荷が問題になっています。このような問題をӕ決する方策の1つとして土壌の保肥力を改
善することが考えられます。また、保肥力を‫ݗ‬めることは、作物が肥料成分を効率良く吸収・利用
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できるようになり、農産物の増収にもつながります。
ゼオライトは、保肥性を改善する土壌改良資材であり、そのຨイオン交換容量 *) は 130
180
meq/100g(市販の天然ゼオライト、純度 100%の理論値は、クリノプチロライト 213meq/100g、モル
デナイト 223meq/100g)と一般的な土壌の数倍
数十倍の値であり、アンモニア態窒素やカリウムな
どの肥料成分を植物に利用できる形で多量に保持することができます。施用量は、土壌の CEC など
に応じて増減しますが、通常、10アール当たり1
2トン程度を全面施用または 0.5 トン程度を
作条(施肥溝)施用します。ゼオライトの施用効果は、砂ࡐ土壌のように保水・保肥力の乏しい未熟
な土壌で顕著にあらわれます。
土壌改良資材として市販されているゼオライトの粒度は種々ありますが原石が同じであれば粒度
によって CEC に差はありません。通常、数ミリ程度の製品が利用されていますが、細かいものほど
根との接触機会が増えて効果が顕著にあらわれるとのࠟ験報告もあります。また、粘性土壌に対し
ては、粒度の粗い製品を用いれば透水性についてもある程度の改善効果が期待できます。
その他の効用として、土壌病原菌やその代ࡤ産物を吸着することにより、その発病、連作障害を
抑制するといった効果も報告されています。
○ຨイオン交換容量(CEC;Cationexchangecapacity)
単位重量当たり土壌が保持できる交換性ຨイオンの総量のことであり、塩基交換容量ともい
う。測定方法としては、ショーレンベルガー法がもっとも広く採用されていて、土壌を酢酸ア
ンモニウム溶液に浸透し、余剰の酢酸アンモニウムを水−エタノール溶液で洗浄除去後、土壌
に保持されているNH4+ イオンを交換抽出して定量することによって求められます。単位は、従
来、meq/100g が用いられていましたが、現在ではSI単位として cmol/kg が採用されるように
なっています。
○地力増進法と有機農産物
我が国の耕地土壌は、有機ࡐ資材の投入不ੰ、作土の浅耕化、多肥による塩基の溶脱と塩基
バランスの偏重など人為的要因による不良土壌が目立つようになり、土壌改良資材の適正な施
用によって、地力を回復・維持する必要性に迫られ、昭和59年、土壌改良資材の品ࡐ表示の
適正化を図るため地力増進法が制定されました。その中の政令指定土壌改良資材として、ゼオ
ライトも土壌の保肥力改善の性能を有する土壌改良資材として指定を受けています。
また、‫ؼ‬年、有機農業が見直されるようになり、全国各地で有機農産物と称する農業生産物
が出回るようになりました。こうした農産物の品ࡐを保持z保証するためのガイドラインとして、
有機農産物の日本農林֩格(生産の方法についての基準、使用可能資材リスト)として農林物ࡐ
企画調査会特定 JAS ൉会によって制定され、平成12年に公示されました。この中において、
化学的処理を行っていない天然ゼオライトは使用可能な資材としてリストされています。
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おもな土壌改良資材
種 ໸
泥 炭
動
植
物
࠽
亜 炭
樹 皮
木 材
けい藻土
貝 ໸
甲殻໸
ܽ
物
࠽
合
成
化
合
物
資材名
性 能
ピート、ピートモス
土壌の膨ఘ化
保水性改善ほか
土壌の保肥力改善ほか
土壌の保肥力改善ほか
土壌の膨ఘ化
土壌の透水性改善ほか
土壌の透水性改善ほか
土壌酸性改良ほか
泥炭、草炭加工物
腐植酸࠽資材
バーク堆肥
木炭
けい藻土焼成粒
貝化石粉末
貝がら粉末
カニがら
有用土壌微生物活性化、
窒素、リン酸の供給ほか
培養微生物
VA 菌根菌
リン酸供給能の改善ほか
天然ܽ物
ゼオライト
土壌の保肥力改善ほか
ベントナイト
水田の漏水෇止ほか
焼成岩石
バーミキュライト
土壌の保水性改善ほか
パーライト
土壌の透水性改善ほか
ܽさい
含鉄資材
鉄、ケイ酸などの供給
微粉炭
微粉炭燃焼灰
ホウ素の供給ほか
石コウ
石コウ
アルカリ土改善、
イオウ供給ほか
アクリル酸
ポリエチレンイミン系 土壌団粒形成促進
ポリエチレンイミ 資材
ン
ポリビニルアルコール 土壌団粒形成促進
ポリ酢酸ビニル
系資材
備 考
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
特殊肥料
特殊肥料
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
土壌改良資材
特殊肥料
特殊肥料
特殊肥料
土壌改良資材
土壌改良資材
改善目標(ຕイオン交換容量;meq/100g)
岩屑土
砂丘未熟土
‫ݗ‬ボク土
多湿‫ݗ‬ボク土
‫ݗ‬ボクグライ土
Ԛ色森林土
灰色台地土
グライ台地土
৊色土
ѻ色土
暗৊色土
Ԛ色低地土
灰色低地土
グライ土
‫ݗ‬泥土
泥炭土
水田
−
−
15
15
15
12
12
12
−
12
−
12
12
12
15
15
普通畑
10
10
15
15
−
12
12
−
12
12
12
12
12
12
−
−
樹園地
10
10
15
15
−
12
12
−
12
12
12
12
12
−
−
−
d地力増進基本指針e(H9.5.29)より
4
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ゼオライ施用実施例
作 物
土 性
水稲
コムギ
大௎
ジャガイモ
ナス
ダイコン
ニンジン
タマネギ
イチゴ
リンゴ
埴壌土
砂土
−
−
壌土
−
砂壌土
−
−
−
施用量
(t/10a)
1.0
1.0
1.0
0.5
1.0
0.32
1.0
2.0
2.0
1.0
施用方法
収 量 1)
全面
全面
全面
作条
全面
作条
全面
作条
局所
111
113
113
134
155
122
163
155
122
110
その他の効果
そうか病に効果
糖度の増加
1)対照区の収量を100としたときの指数
② その他の利用
畜産において、ゼオライトを飼料に混合して家畜に与えると整腸効果、発育の促進効果などがあ
るといわれています。また、家畜の糞尿に混ぜて水分調節、脱臭に利用することもできます。堆肥
の製造においても、ゼオライトを添加することにより、アンモニア態窒素の揮散による損失、臭気
を抑えて良࠽の堆肥を得ることができます。
引用・参考文献
ゼオライトの科学と応用 冨永博夫遍 講談社(1987)
最新土壌学 久馬一剛編 朝倉書店(1997)
肥料便覧(第5版) 伊達 昇ほか 農文協(1997)
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