阿含宗からみた日本の思想・文化

 阿含宗からみた日本の思想・文化
ライオン丸
阿含宗という宗教がある。この宗教は、桐山靖有により一九七八年(昭和五十三
年)に創設された団体で毎年二月十一日に「炎の祭典 阿含の星祭り」という行事
を京都の花山でおこなっているので、知っている人も多いであろう。私は、大学院
の修士課程で、民俗学を専攻し、現在も老人施設で勤務しながら、民俗学と政治学
を研究していることから、この宗派にも民俗学の観点から関心を持ち、この宗教に
関する文献も何冊か読んだ。本稿では、阿含宗をまずウィキペディアからの説明で
紹介しながら、その他の私の関心を持つその他の思想も合わせて、紹介し、日本文
化の一端を分析したい。
まず、ウイキペディアからの引用からこの宗派の概要を説明したい。本山は、京
都市山科区花北山大峰町の釈迦山大菩提寺である。真正仏舎利スリランカ国などよ
り贈与された「真正仏舎利」(釈迦のご遺骨)を本尊とする。阿含経というお経を
依経とする。一九四八年頃に桐山靖雄が、横浜に創設した皇道治教の布教所とそし
てそこから形式上独立した観音慈恵会を前身とする。以前は密教の色が強かったと
いう。海外でも積極的に護摩供養等をおこなっている。チベット仏教やダライ・ラ
マ、ローマ法王等とも交流があった。オウム真理教もこの阿含宗のやりかたがヒン
トになって結成されたといわれる。桐山は、日本棋院名誉八段であることから、日
本棋院主催の「阿含桐山杯全日本早碁オープン戦」に協賛している。海外でも教育
支援をおこなっている。関連会社として、三田の慶應義塾大学近くにある平河出版
社等があり、桐山管長の娘の森真知子が社長を務めている。また前述のように、麻
原彰晃をはじめ、オウム真理教の幹部は、阿含宗の信者で、オウム真理教は、
阿含宗のやりかたが基になって、結成されたといい、地下鉄サリン事件など、オウ
ムの事件がおきたのちに、桐山管長が、「オウム真理教と阿含宗」という書籍を出
版し、オウムとの関連性を否定した。以上、引用からまとめたものである。
この宗派は、密教をとりいれた点などに独特の視点があり、日本文化の中でも、
独自の異彩をはなっている。このような独特の視点を持った思想としては、公益社
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団法人整体協会がある。現在は、細川元首相が会長をつとめており、私も短期間所
属していた時期があり、川崎市の道場にも通ったが、創設者の野口晴哉氏の著作「整
体入門」、「風邪の効能」等も読み、この団体独自の活元運動等の独特の東洋医学の
思想も学習した。この思想も、一種の日本文化の一端をなすといえよう。医学だけ
高崎線の新町駅近くを歩いて
でなく、なぎなたや少林寺拳法、浪曲などにも通じるものがある。なぎなたといえば、
女 性 の 武 道 と い わ れ て い る が、 私 は、 群 馬 県 の
いた時に、なぎなたの国体の会場になったことを記念する石碑があったのを見たこ
とがある。以前に八王子市の「みんなの広場」という知的障害児の学童保育施設で
ボランティアをしたときに、プログラムの一環で、八王子市の体育館でトランポリ
ンをする内容があり、八王子市内の体育館にて、活動をおこなったが、その建物内
で、中年のご婦人方が、なぎなたの練習をしていたのが印象に残っている。少林寺
拳法であるが、私が大学時代に第二外国語で選択した韓国語の授業の時間で、一緒
だった地理学科の女子学生に恋愛感情を抱いていたが、彼女が体育会少林寺拳法部
だったことが、少林寺拳法に関心を持った最初だった。私の住む川崎市でも少林寺
拳法川崎柿生道院や生田道院という道場があるし、川崎市麻生区の麻生区民祭でも、
地元の少林寺拳法の演武がおこなわれていた。浪曲では、やはり二代目広沢虎造の
「清水次郎長伝」が関心があった。
また阿含宗は、社会福祉法人愛寿会紫磨園という特別養護老人施設を設置し、福
祉に力をいれていることでも知られている。私も川崎市の柿生アルナ園(特別養護
老人ホーム)、ばらの庄(有料老人ホーム)、グループホーム百合ヶ丘(認知症高齢
者施設)、サーフサイドセヴン茅ヶ崎ファーム(児童養護施設)等の福祉施設のボ
ランティア募集に応募した。また社会教育推進全国協議会東京23区支部に所属し、
機関誌の読者欄に投書したり、「震災ボランティア」や「沖縄の夜間中学」をテー
マにした学習会に参加した。この茅ヶ崎ファームだが印象に残ったので、施設のホー
ムページをもとに歴史を紹介したい。一九五九年(昭和三十四年)に吉見静江(も
と厚生省職員、興亡館という組織でセツルメント活動をしていた)によって創設さ
れた茅ヶ崎学園という虚弱児施設が母体であり、一九九八年(平成十年)に児童養
護施設となり、二〇〇六年(平成十八年)に現在の名称となった。
また阿含宗は加持祈祷などの密教の色が濃い宗派だったそうだが、天台密教の色
の強い日吉山王信仰とも共通する要素があろう。川崎市麻生区王禅寺の日吉の山中
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にある山王神社はその系列の信仰に基づく神社であり、田舎の鎮守さまという昔の
面影を残している。周辺は、都心へのベッドタウンとして開発の進む川崎市でも多
摩丘陵の里山の残る貴重な自然環境豊かな地域で、他にも、犬猫霊園の延命地蔵尊、
川崎大仏や池田満洲夫のデザインの梵鐘のある眞宗寺川崎霊園、たま日吉台病院、
王禅寺清掃場の余熱を利用した温水プールのあるスポーツ施設のヨネッティー王禅
寺等特色のある史跡がある。
以上、阿含宗という宗派の紹介からはじまって、日本の思想や文化も紹介し、そ
れについて考えてみた。この宗派は、独特な特色があるが、日本の思想、文化のい
ろいろな面に内包する要素がある。今後もこの宗教を民俗学の視点から研究し、日
本の文化、思想について、いろいろ考えてみたい。
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