特別な支援(11月28日) NO.35

特別な支援(11月28日)
NO.35
特別な支援を要する子は、程度の差こそあれ、どの学級にも在籍します。その子たちへ
の「特別な支援」とは…。離席をする子の側に付き、体を押さえたり、その行動に付き合
ったりすることでしょうか。よそ事をしてしまう子の側で「だめ」と厳しく言うことでし
ょうか。離席傾向のあるA君に、授業中に席を出てしまう理由を聞いたことがあります。
A君の答えは「授業がつまらないから」でした。
11月13日付けのある新聞に【特別支援教育Q&A】と題して、次のような記事が掲
載されました。
Q
B児は知的遅れはないのですが、じっとしていられない子です。離席も多く、1
日に2~3回は教室を出て保健室や校長室 、校内の特別支援学級などに出かけます。
A
知的遅れがないB児の離席や教室から出る行動はなぜ起こるのでしょうか。反抗
や非行ではないでしょう。それなりのB児の理由があるはずです。
まず、学習の楽しさを味わったことがないのではないか。これまでの生活の中で
経験がなければ、学習する価値は感じないでしょう。特に、幼児期の学びの経験は
貴重です。多動な面だけ注目されて、特別扱いされていたかも知れません。
……
「授業がつまらない」と言ったA君はまさしくこのタイプかも知れません。
ところで、職員はどれくらい教材研究に時間を割き、どういう授業を求めているのでし
ょうか。先週、草野教諭の算数授業を訪問しました。進度の差はあっても、誰も遊ぶ子は
いませんでした。そこには周到な教材研究の跡が伺えました。
「お楽しみ」
草野教諭の算数授業。黒板に記された本時の流れの
最後に「お楽しみ」とあった。授業の中盤から終盤。各自の
ペースで問題を解き、教師は個別指導に徹した。何人かが
「お楽しみ」と書かれた封筒を取った。中には図形認識を育
てるユニークな問題が入っていた。なかなか難しい。自然と
席を近づけ、意見交換が始まった。その間、教師はノータッ
チだ。問題演習を軸に据えた授業づくりの一例がここにあ
る。(11月20日)
「お楽しみ」解決隊
私は中学校に在籍中、毎年、学年別の教材研究ノートを作成しました。連続で同学年を
担当することもありましたが、常にノートは新しく作りました。子どもが違えば、授業中
の言動も異なるわけですから、進め方も変える必要があります。子どもの一人調べをもと
に、学習内容の配列を教科書とかえた関数の授業をよく行いましたが 、子どもが変われば、
一人調べの内容も変わります。また、どの授業でも子どもの言葉を教師の言葉に置き換え
ないことに注意しました。特に、語尾の強さやイントネーション等から子どもの心中を伺
い、疑問や曖昧な気持ちを引き出し、それを軸に授業を進めました。予め考えた流れはあ
りますが、それ以上に子どもの「今」にこだわりました。
【むずびつける授業】 子どもの言葉を使う
「むすびつける」のが上手な教師というのは、自分が持ってきた言葉を授業の軸に
使いません。子どもたちの中から生まれた言葉や考えをふくらませて、授業をつなげ
ていくことがうまいのです。
例えば、算数の計算問題を扱っているとき 、「これは中途半端だと思う」という言
葉をクラスの誰かが口にしたとしたら 、すかさずその言葉を捉えて軸にしていきます。
「△△したときの計算について考えましょう」などの、教師が予め用意してきた言
葉は極力用いず 、「○○さんが 、『このままじゃ計算が中途半端ですっきりしない』
と言っているけど、どういうことなんだろう?」と、子どもたちが発した言葉を使っ
てつなげていくことがポイントです。
このような、ユニバーサルデザイン化された授業では、これを覚えなさいとか、こ
う考えなさいという教師側の押しつけが少ないため、子どもたちは自分たちの発言で
授業が進んでいると実感でき、その結果、他人の意見にもよく耳を傾けるようになり
ます。…「共感する授業」が、授業のユニバーサルデザイン化の目指す方向の一つか
も知れません 。(教育新聞より)
特別な支援とは何か。その答えは、授業づくりにこだわる日常の営みから見えてくるの
かも知れません。