事 業 報 告 講座名 エコっこスクール 2015 「海辺の生きもの観察 in つのしま」 日 時 平成27年7月28日(火) 8:30~17:40 場 所 山口県セミナーパーク 東法湾、つのしま自然館 他 参加者数 33名 1.スケジュール 8:00~ 8:20 集合、受付 8:20~ 8:40 開講式 8:40~10:45 〈バス移動〉 10:45~13:20 つのしま自然館 (講義)つのしまの自然環境について 浜辺の生きもの観察(大浜海岸) 12:30~13:05 〈昼食・休憩〉 13:05~13:20 (講義)海辺の生きものとツノシマクジラについて 13:20~13:35 〈バス移動〉 13:35~15:30 東法湾(下関市豊北町神田小学校近く) 海辺の生きもの観察(磯の貝類や小魚等の観察) 15:30~17:20 〈バス移動〉 17:20~17:40 山口県セミナーパーク アンケート記入、閉講式、解散 2.講師 豊北町自然観察指導員会 小林知吉氏、植田高弘氏 山口市立平川小学校教諭 杉村智幸氏 3.活動内容 【開講式】 セミナーパークの交歓室に集合し、重田所長から開講の挨拶と注意や説明の後、参加者全員が自己 紹介を行った。 ◎講義【角島の自然環境について】 つのしま自然館で講師(小林知吉氏、植田高弘氏、杉村智幸氏)の紹介を行った。 杉村氏から角島の自然環境や「海の中を流れる川」と生きものの分 布について説明があった。 「海の中を流れる川」とは海流のことで、角島周辺は黒潮(対馬暖流) が流れていて、南に生息する魚や貝、植物が運ばれてくる。自然環境 に適したものはそこで自生できる。(角島はハマユウの自生の北限) 沖縄で自生しているゴバンノアシの種なども打ち上げられる。タカラガイも22種類確認されている。 (三重県や千葉県で確認できたタカラガイの種類数とほぼ同じ) 角島周辺では夏は海水温が30℃近くまで上がるが、冬は13℃くらいまで下がるため、海流に乗っ てやってきた南の生きものは冬を越すことができない。冬になると、海岸にサメやタコの卵などの生き ものの他に、ごみも打ち上げられる。イルカなどがエサと間違えて漂流物(主にビニール類)を誤飲し 死亡することなどの説明があった。最後に杉村氏から「自然環境は人間が創ることもあるが、壊すこと もある。海岸を多方向の目で見てほしい」との話があった。 次に、小林氏から砂浜はどんな場所かという説明があった。 生きものについて…①浜辺には小型の甲殻類が生息している。それらは「浜辺のそうじ屋さん」と呼 ばれ、浜辺に打ち上げられた海草や生きものの死骸をエサとしている。②浅瀬は魚の赤ちゃん(稚魚) が育つ場所である。水深が浅いため、外敵となる大型の魚が侵入できない。波で巻き上げられた砂の中 の小型の甲殻類をエサとしている。③ウミガメ類などが卵を産む場所である。産卵の確認は太平洋側に 集中しており、日本海側は少ない。大浜海岸にも上陸したことはあるが、産卵の確認はできていない。 植物について…植物にとって砂浜はとても厳しい生育場所。夏の砂浜の温度は日中は40℃くらいと 高いが、夜は20℃くらいまで下がり温度差が激しい。冬は風で砂が飛ばされる。植物は体の仕組みを 変えて(厚い葉、細い葉、深く伸びる根など)生息し、変化しながら砂浜を守っている。 他にも砂浜は「憩いの場」であり、 「砂浜は生きている」ということも学習した。 【浜辺の生きもの観察】 つのしま自然館の近くの大浜海岸で浜辺の生きもの観察を行った。 観察した生きもの ・ハマトビムシ ・ハサミムシ ・ハマゴウ ・コウボウシバ ほか 浜辺では、砂浜の表面と深さによりどのくらい温度の違いがある か穴を掘って温度計で測った。 表面 … 40℃ (5cmくらいで砂の色が変わる) 10cm… 26~27℃ 20cm… 25~26℃ 砂の中にはハマトビムシが多く見られた。子ども達は採取しよう としたが、体長2mm程度と小さく、動きもピョンピョンと素早く 飛びまわるので採取できなかった。 砂浜には砂ガニの穴がいくつもあったが、数日前の台風の影響か らか1匹も採取することができなかった。 砂浜の段差(右写真)で植物観察を行い、植物の根が水を求めて砂の中に長く伸ばしているのが 確認できた。他にも葉を厚くしたり、体を小さく低くするなど、それぞれの植物の特徴を観察した。 ◎講義【海辺の生きものとツノシマグジラについて】 杉村氏から海辺で観察できる生きものについて説明があった。 生きものは海から産まれ、大きく12に枝別れをしながら進化した。 (別紙資料参照) 現在、陸上に棲んでいるのは脊椎動物や節足動物の一部で大部分の生きものはまだ海に棲んでいる。 波打ち際では大部分の生きもののグループを見ることができる。主なグループの種類や干潟の生きも のは水の有無や水面の高さで棲み分けを行うことなど生きものの生息環境について説明があった。 小林氏からツノシマクジラについて説明があった。世界中でクジラは95種類確認されており、ツ ノシマクジラはヒゲクジラの仲間。DNA鑑定で新種と認定された。角島で発見されたことから、標 準和名「ツノシマクジラ」となった。すべての骨がそろっている標本は世界初で、つのしま自然館に はレプリカが展示してあるなどの説明があった。 【海辺の生きもの観察】 バスで東法湾に移動し、海辺の生きもの観察を実施した。 観察場所の磯に移動し、講師の小林氏、杉村氏からどんな場所に 生きものが棲んでいるのかを聞いた後、3,4人でグループになり、 磯の生きもの採取と観察を行った。 観察中に見つけた生きもの ・アメフラシ ・カメノテ ・カニ ・タコ ・ヤドカリ ・オオヘビカイ ・ウミウシ ・カタラガイ ・ムラサキウニ ・ウミウシ ・イソギンチャク ほか 約40分間、生きもの採取を行った後、最後に全員が岩場に集まって、砂浜と海辺(岩場)の違い などを講師の説明を聞きながら確認した。 ・海辺には潮だまりがある。 (水温約33℃) ・海辺の方が生きものの種類が多い。 ・生きものは水温・気温の変化に自分が体を合わせて生息する。 4.まとめ・感想 参加申込者が88人と多かったため、抽選で40人の参加決定としたが、キャンセル等もあり、当 日は33名の参加となった。 角島の自然環境や海辺の生きものについて学習したのち、浜辺や海辺の生きもの観察を行ったので、 生きものの特徴や生態をより理解し学ぶことができた。講師の方の説明もわかりやすく、参加者は熱 心に話を聞いていた。講義の中で説明される項目が多く、駆け足での説明になり、子ども達はメモを とるのが大変だったが、海辺の生きもの観察では日本海側の生きものを身近に見る機会が少ないため 貴重な体験になったと思う。
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