沖縄県離島地域における 住民の健康・生存に及ぼす食環境と生活習慣の関連評価 =宮古島市の小中学生の食事、運動、生活習慣に関する全数調査= 2010年度AGS研究会プロジェクト報告会 伊藤真理(斎藤民助教代理) 2010. Dec. 16th 背景1 z 地域別比較すると離島地域の子どもの体重増加が著しい ……学校保健統計調査報告書 背景2 z 沖縄本島の都市部(那覇市)では食環境(ファーストフード店等)が 子どもたちの栄養摂取に影響を及ぼす可能性 ……2009年AGS助成研究 z しかし、離島地域(宮古島市)と本島とは食環境が異なる ……食環境 現地では z 「中学生が部活後にコンビニで買い食いをし、帰宅してまた 食事を食べるので太る」(風評) z 「おやつにてんぷら、お茶代わりにソフトドリンク」(風評) z 「歩かない。通学も親の車で」(風評) z 「朝食を食べない」(H11年度医師会調査) ……食生活・習慣 背景3 宮古島市のA小学校とB中学校でプレテスト(2009年7月) =1~2割の子が肥満、菓子・砂糖類と油分は過多、くだものは不足傾向= z z z z 小学生12.3%、中学生16.0%が肥満、やせは0% 砂糖・菓子を取りすぎの子どもが多い 油分をとりすぎの子どもも多い くだものが足りていない子どもも多い 目的 宮古島市の小学校5~6年生、中学1~3年生の全員を対象に z 食事調査 ⇒子どもたちの栄養摂取傾向を明らかにする。 z 身体活動量調査 ⇒子どもたちの運動量を明らかにする。 z 生活習慣調査 ⇒子どもたちの生活習慣を把握する。 z 子どもたちの肥満度を計算し(学校提供の身長・体重データより)、 食事、身体活動量、生活習慣との関連を検討する。 方法 z 調査期間 2009年12月 (12月上旬配布、中旬~下旬回収) z 対象 宮古島市の全小学校5~6年生 1223人 〃 全中学校1~3年生1929人 z 方法 1)自記式食事歴法調査票(BDHQ)中高校生 版、生活習慣調査票、身体活動量調査票、 保護者の同意書を入れた封筒を学校で配 布、回収。 2)宮古島保健センターが調査票を回収・チェック 3)東京大学で入力、集計、データ解析 方法:質問票3種類 z自記式食事歴法調査票(BDHQ)中高校生版 z A4版全4ページ z 過去1カ月間の食事から栄養摂取を調査 z生活習慣調査票 z A4版全4ページ z ファーストフード店(FFS)の利用状況 z 毎日の生活 起床・就寝時間、朝食の回数、朝食・夕食の内容 間食、夜食の回数と内容、部活・習い事、通学方法etc. z 身体活動量調査票 z A4版表裏2ページ z 過去1カ月間の運動習慣から運動量を推定 結果1:回収率 z調査票回収 小学生1015人/1223人(83.0%) 中学生1851人/1929人(96.0%) ※食事調査(BDHQ)、生活習慣、身体活動量のすべてがそ ろっているわけではない。 結果2:食事調査から 肥満割合(うち高度肥満割合) 小学生(%) 中学生(%) 25.0(10.2) 20.4(8.6) 取りすぎている栄養素 食 塩 77.6 77.7 脂 肪 28.2 29.6 食物繊維 96.5 93.4 鉄 93.5 93.1 ビタミンC 28.1 34.4 カリウム 76.6 63.7 カルシウム 62.7 68.6 不足している栄養素 結果3:生活習慣調査から 小学生 中学生 日 2(0.2) 4(0.2) 5~6回 1(0.1) 9(0.5) 3~4回 20(2.0) 51(2.8) 1~2回 491(49.2) 885(47.9) 0回 479(48.0) 897(48.5) 4(4.0) 3(0.2) 学校帰り 3 49 登校前 0 9 日 452 841 その他 50 91 週に何回FFSを利用するか 毎 無回答 どんなときによく利用するか 休 誰と利用することが多いか 友 達 27 276 家 族 468 624 自分一人 5 33 その他 13 14 結果3:生活習慣調査から 小学生 中学生 人数 % 人数 % 毎日 863 86.6 1381 74.6 週に5-6回 63 6.3 217 11.7 週に3-4回 38 3.8 101 5.5 週に1-2回 30 3.0 117 6.3 0回 1 0.1 29 1.6 無回答 2 0.2 5 0.3 毎日 212 21.3 215 11.6 週に5-6回 122 12.2 187 10.1 週に3-4回 226 22.7 426 23.0 週に1-2回 329 33.0 663 35.8 0回 105 10.5 352 19.0 3 0.3 7 0.4 毎日 104 10.4 152 8.2 週に5-6回 53 5.3 79 4.3 週に3-4回 168 16.9 247 13.4 週に1-2回 387 38.8 672 36.3 0回 283 28.4 694 37.5 2 0.2 6 0.3 朝ごはんの回数 間食の回数 無回答 夜食の回数 無回答 結果3:生活習慣調査から 小学生 中学生 人数 % 人数 % ~18:59 14 1.4 53 2.9 19:00~19:59 573 57.5 164 8.9 20:00~20:59 297 29.8 552 29.8 21:00~21:59 32 3.2 116 6.3 22:00~22:59 10 10.0 55 3.0 無回答・その他 71 7.1 910 49.2 ~20:59 8 0.8 10 0.5 21:00~21:59 146 14.6 70 3.8 22:00~22:59 568 57.0 421 22.7 23:00~23:59 251 25.1 893 48.2 24:00~ 23 2.3 451 24.4 無回答・その他 1 0.1 5 0.3 夕飯の時間 就寝時間 結果3:生活習慣調査から 小学生 中学生 全体 全体 通学方法 通学方法 歩いて 531 歩いて 748 自転車 43 自転車で 551 親の車で 394 親の車で 529 その他の方法で 20 その他の方法で 19 未回答・その他 9 未回答 3 結果4:栄養摂取と各種要因との関連 <小学生> FFS利用頻度 朝食の有無 間食の頻度 夜食の頻度 相関係数 0.033 0.05 0.138 0.079 (p値) 0.3 0.11 <.0001 <.0001 相関係数 0.06 0.018 0.215 0.158 (p値) 0.06 0.57 <.0001 <.0001 FFS利用頻度 朝食の有無 間食の頻度 夜食の頻度 相関係数 0.153 0.052 0.069 0.124 (p値) <.0001 0.02 0.003 <.0001 相関係数 0.212 0.011 0.169 0.238 (p値) <.0001 0.64 <.0001 <.0001 食物繊維 脂質 <中学生> 食物繊維 脂質 考察と今後の課題 z 肥満傾向にある児童の割合が高い { 小学生25.0%(全国平均11.7%=小学5年生) { 中学生20.4%(全国平均10.2%=中学3年生) z 栄養素摂取量と生活習慣との関連 { FFS利用頻度が高いと食物繊維、脂質の摂取が増加(中学生) →先行研究とは異なる結果 { 間食や夜食の頻度が高いと食物繊維、脂質の摂取が増加 →間食・夜食の中身が影響? z 分析方法の検討 z 定期的な調査、検討の必要性
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