(2015.3.23付) 日本語版 (pdf:4.06mb)

2015
FIA WORLD ENDURANCE
CHAMPIONSHIP
技 術 規 則
(LMP1)
(LMP1:2015 年 3 月 23 日付発行版仮訳)
2015 WEC TECHNICAL REGULATIONS "LM" P1 目次
目
次
技術規則 "LM" P1
第1条
定義
·············································································
1
第2条
規則
·············································································
7
第3条
車体および寸法
·············································································
9
第4条
重量
············································································· 26
第5条
パワーユニット
············································································· 26
第6条
燃料システム
············································································· 29
第7条
オイルシステム
············································································· 32
第8条
油圧システム
············································································· 33
第9条
冷却システム
············································································· 33
第 10 条
従来型の電気装置(非 ERS) ···································································· 34
第 11 条
トランスミッションシステム ···································································· 36
第 12 条
サスペンション
············································································· 39
第 13 条
操舵
············································································· 39
第 14 条
制動装置
············································································· 40
第 15 条
ホイール&タイヤ
············································································· 41
第 16 条
コクピット
············································································· 44
第 17 条
安全装置
············································································· 49
第 18 条
安全構造体
············································································· 60
第 19 条
燃料
············································································· 62
第 20 条
終局条文-係争
············································································· 62
2016年1月1日適用の変更
············································································· 63
付則(A~L)
············································································· 64
図(1~9)
············································································· 95
i
2015 WEC TECHNICAL REGULATIONS - LMP1
2015年プロトタイプLMP1技術規則
第1条
1.1
定義
「ル・マン」プロトタイプ(“LM”P1)
これは、最低生産台数のないクローズドレースカーである。
1.1.1
1.2
「ル・マン」プロトタイプ1のカテゴリーは以下を含む:
・ 「ル・マン」プロトタイプ1:プライベーターのみ向けのエネルギー回生
システム(ERS)のついていない車両
・ 「ル・マン」プロトタイプ1ハイブリッド(
“LM”P1-H)
:エネルギ
ー回生システム(ERS)のついている車両
非従来型仕様
モーターレーシングの車両として新規で通常ではないと思われる仕様も、以下を条件
に参加資格を有する場合がある:
・
・
1.3
安全に関する要件に加えて、車両同士の性能均衡を維持するための、特別な規定
に基づくもの;
競技会が組織される国の管理当局およびASNによって確立された規則が遵守
されていること。
公認書式
プロトタイプ“LM”P1車両は、製造者によって記入された公認書式に合致し、適
合査察が実施された後に「公認グループ」によって承認されること。
付則H項「公認」を参照。
1.4
機械的構成部品
推進、懸架、操舵および制動に必要なすべての要素に加えて、可動であるか否かに関
わらず、それらの正常な作動に必要なすべての補機類。
1.5
シャシーおよびサスペンションアーム
シャシー:
すべてのサスペンションおよび/またはバネの荷重が伝達される、シャシーの最先端
サスペンション取り付け点からシャシーの最後端サスペンション取り付け点まで、前
後方向に伸張する車両の構造体の完全な懸架部品。
機械的構成要素は、完全または一部分が荷重を受けるものであっても、シャシーの
一部とはならない。
サスペンションアーム:
アップライトからシャシー/ギアボックスへ負荷を伝達するものを含め、懸架部分か
ら非懸架部分へのすべての連結部。
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1.6
車体
エンジン、駆動系、および走行装置の機械的な機能に関わる部品を除き、外気にさ
らされ、完全に懸架されているすべての車両の部分に関わる車体を言う。
1.7
エアインテーク
エアインテークは車体の一部と見なされる。
1.8
重量
プラクティスセッションの間に利用される重量計測手順を除き、ドライバーと燃料
を一切除いた車両の重量を言う。
1.9
コクピット
ドライバーおよび乗員を収容する車両の内部構造容積。
コクピットとは、車両の頂点、床、ドア、サイドパネル部、ガラスがはめてある部
分、前部および後部の隔壁によって限定されるシャシーの内部構造容積である。
1.10 車両の銘柄
1.10.1 コンプリートカーに一致対応する自動車銘柄。
1.10.2 シャシーおよび/あるいは車体の製造者名がエンジン製造者名と異なる場合
は、常に前者が優先される。車体の製造社名は、シャシー製造者の合意を得
てのみ表示できる。
1.11 エンジン気筒容積
エンジンの気筒内でのピストン運動により排出される容積を言う。この容積は立法
センチメートルで表される。エンジンの気筒容積を算出する場合のπの数値は
3.1416である。
1.12 過給装置
何らかの方法により、燃焼室内に充填される燃料と空気の混合気の重量を増加(イン
テークおよび/または排気システム内における通常の大気圧、ラム効果、および力
学的効果によって吸入される重量を超えて増加)させる装置を言う。燃料の加圧噴射
は、過給装置とはみなされない。
1.13 電子制御
1.13.1 半導体あるいは熱電子技術を利用した一切の命令システムあるいは過程。
1.13.2 ドライバーが作動させ、1つまたは複数のシステムに作用する単純なオート
マチックでないオープンループ電気スイッチは、電子制御とは見なされない。
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このようなシステムも受動(パッシブ)と呼ばれる。
1.14 クローズドループ電子制御システム(能動‐アクティブシステム)
クローズドループ電子制御システムとは以下の条件を備えたシステムを言う:
・ 実際の値(制御変数)が連続的に監視される。
・ "フィードバック" 信号が目標値(参照数値)と比較される。
・ その比較結果に応じてシステムは自動的に調整される。
このようなシステムも能動(アクティブ)と呼ばれる。
1.15 パワートレイン
ドライブシャフト自体は含まないドライブシャフトまでの、パワーユニットおよび関
連のトルク伝達装置。
1.16 パワーユニット
付属品と共に完成される内燃エンジン、エネルギー回生システムすべて、一切のMG
Uおよびそれらを常に機能させるために必要なすべての作動システム。
1.17 エンジン
付属品を含む内燃エンジン、過給システムおよびその正常な機能に必要な作動システ
ム。
1.18 エネルギー回生システム(ERS)
車両からエネルギーを回収するように設計された装置。
1.19 車両の部分組み立て品
以下の部分組み立て品が定義される:
・ フロントドライブトレイン:完全なフロントサスペンション、ホイール、ブレ
ーキおよびドライブシャフトで形成される。
・ リアドライブドレイン:完全なリアサスペンション、ホイール、ブレーキ、ギ
アボックスおよびドライブシャフトで形成される。
・ エンジン
・ エンジン排気装置
・ 構造体:上記の部分組み立て品に含まれない構成部品で形成される。
1.20 エネルギー回生装置組み立て品(ERSA)
同じ車両部分組み立て品に接続されている場合の、ERSの組み立て品を形成する
エネルギー回生装置。
1.21 モータージェネレーターユニット(MGU)
モータージェネレーターユニットは、ドライブトレインのひとつに機械的につなげら
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れた駆動装置である。疑義を避けるため、エンジンはMGUではない。
駆動装置とは、シャフトにつなげられた時に、そのシャフトに適用されるトルクを増
大させる装置であるとみなされる。
1.22 エネルギー貯蔵(ES)
エネルギーを貯蔵するERSの部分である。
1.23 燃料エネルギー/kg
燃料エネルギーは、燃料の1kgに含有される化学的エネルギーの量である。これは
公式燃料供給業者によって示されるカロリー値から計算される。
1.24 燃料エネルギー/周回
燃料エネルギー/周回は、1周回に配分される燃料質量に含有される燃料エネルギー
の総量である。これはkgで表示される1周回に配分される燃料質量に、燃料エネル
ギー/kgを乗じることで得られる。
1.25 技術係数
1.25.1 燃料の技術係数は、ガソリン効率を超えるディーゼルの比率の関数である。
1.25.2 K技術係数は、ディーゼルの関数とガソリンパワートレイン重量およびER
Sのオプションである(付則B参照)
1.25.3 技術係数は、燃料の製品とK技術係数である。
1.25.4 ディーゼルエンジン用に割り当てられた燃料エネルギー/周回は、ガソリン
エンジン用に配分される1周回あたりの燃料エネルギーを技術係数で割った
結果である。
1.26 ギアボックス
ギアボックスとは、パワーユニットの出力シャフトからドライブシャフトへトルクを
伝達する駆動ラインにあるすべての部品と定義される(ドライブシャフトは駆動トル
クを懸架部分から非懸架部分へと伝達する構成部品と定義される)。
ギアボックスは、第一の目的がパワー伝達あるいはギアの機械的選択であるすべての
構成部品、これらの構成部品に関連するベアリングおよびそれらを収容するケーシン
グを含む。
1.27 ディファレンシャル
ディファレンシャルとは、2本のドライブシャフトが、3番目のシャフトによって
駆動されている間に、異なる速度で回転させるために、同じドライブトレインの2
つの異なるホイールにつながることを可能にするギアトレインと定義される。
1.28 バッテリーパック
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バッテリーパックとは、バッテリー格納室に任意に収められた単一の機械的組み立
て品をいい、バッテリーモジュールで構成され、保持フレームまたはトレイ、ヒュ
ーズおよび接触器に加えバッテリー監視電子装置で構成されている。
1.29 バッテリーモジュール
バッテリーモジュールとは、単一のセルまたは電気的に接続され、機械的に組み立
てられた一組のセルを有する単一のユニットをいう。
1.30 バッテリー
ハイブリッドシステムに関連して、本規則では「バッテリー」という用語をその技術
とは関係なく使用する。従って、拡大解釈されて、本規則はES内部にエネルギー
を貯蔵する技術と内部装置(含複数)を表すのに「バッテリー」という用語を使用す
る。よって、ESはバッテリーとその安全装置で作られ、すべてが格納ボックスの
中に収められる。
1.31 電子装置監視用バッテリー
電子装置を監視するバッテリーはバッテリーパックの一部であり、重要な安全シス
テムである。これは、すべてのセルを、常に、また一切の充電あるいは放電状態の
時にも、バッテリー製造者により指定された特定の電圧域に維持するための監視装
置および充電均衡回路から成る。
1.32 電力回路(パワーサーキット)
1.32.1 電力回路(電子機器、電気変換装置)は、車両を動かすために使用される電気
装置のあらゆる要素から構成される。
電力回路は、ERS、駆動モーター(含複数)のコンバーター(チョッパー)、
HSC、ヒューズ、発電機(含複数)および駆動モーター(含複数)から成る。
1.32.2 慣性ERSの拡張により、本規則では、「電力回路」という表現は、上記構成
要素のすべての公認要素(ERS、ERSエネルギーを伝えるベルトあるい
はトランスミッションシャフトなど)を指す。
1.32.3 ハイブリッドシステム接触器(HSC)
HSCは、ハイブリッドシステムのバッテリーパック内にある、物理的接触
を操作する装置であり、半導体ではなく、遠隔操作でき、もちろん次の車載
の異なる手段から操作が可能である:
-デフォルト検知器
-総合サーキットブレーカー
-必要であれば、その他の命令系(含複数)
接触器は放電防止モデルでなければならない。
接触器の接触融解を避けるため、その特性は、特にESのパワーバスへの連
結の間に起きるサージ電流の状態であっても、総合サーキットブレーカーの
適正な操作を保障するに十分なものでなければならない。
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1.33 補機用回路
補機用回路(ネットワーク)は、信号合図、照明または交信のために、ICエンジン
に使用される電気装置のあらゆる要素から構成される。
エンジンを操作するために利用される部品は、次のものであるが、それらに限られ
ない:スロットル、点火装置、噴射装置、吸気装置、潤滑系、燃料供給および冷却
装置。ターボは含まれる。エンジンを始動するための装置は含まれない。
補機用バッテリーは、補機用回路(ネットワーク)に電気エネルギーを供給する。
1.34 パワーバス
パワーバスとは発電装置、ES(例:駆動用バッテリー)と、電子装置と駆動用モー
ター(含複数)から構成される推進システムとの間のエネルギー分配に使用される電
気回路である。
1.35 過電流トリップ装置(ヒューズ)
過電流トリップ装置とは、その設置されている箇所で一定の時間に流れる電流が、
あらかじめ設定された値を超えたとき、自動的にその電流を遮断する装置である。
1.36 電力回路アース
電気回路アースとは、電力回路の参照電位である。
1.37 シャシーアース
シャシー(車両および車体)アース(以下、シャシーアース)とは、シャシーと安全
構造体を含んだ車体の全ての伝導性の部品の参照電位のことである。モーター(含複
数)および接触器などのESおよび電力回路ユニットの伝導ケースは、シャシーアー
スに対して強固な接続を有していること。
1.38 補機アース
1.38.1 補機アースは、補機用回路のアース電位である。
1.38.2 補機アースは、シャシーアースに対して強固な接続を有していること。
1.39 ドライバーマスタースイッチ
ドライバーマスタースイッチ(DMS)は、通常の作動条件下にて、電力回路に電圧
を加えるあるいは送電を断つ装置である。
ただし、ICエンジンを稼動させるために必要なすべての電気装置を除き、さらに
シャシーアースと電力回路の間の絶縁抵抗を監視し、また、シャシーアースと補機
用回路供給電圧との間のAC電圧に加えて最大DCを監視するために必要なシステ
ムを除く。
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1.40 安全(Safe)/活電(Live)信号
1.40.1 安全/活電信号は、電力回路が「活電中」か「安全」状態であるかを示す安全
装置である。
1.40.2 「活電中」は、電圧が加わっているか、パワーブレーカーが閉鎖されている
ことを示す。「安全」は電力回路が、欠陥のあるあるいは不明な状態にないこ
とを示す。
1.41 デトネーター
デトネーターは、電流によって起爆され、電力接続を絶つために使用される点火装
置である。
1.42 デカルト座標系
座標原点Oを、前部車軸中心の垂直位置で基準面上に置き、X、YおよびZの軸線
は、矢印で示されるとおりの方向に進む3次元のデカルト座標系が使用されなけれ
ばならない。
X方向は基準面の後方へ、Y方向は右側へ、Z方向は上方へ向かう。
1.43 ストール防止あるいは車両のストール防止制御装置
ICエンジンをストールから守るため、パワーユニットおよび/あるいはギアボッ
クスおよび/あるいはクラッチコントロールに自動的に作用するシステム。
1.44 シグナルカラーの定義:
この色は、昼夜を問わず明瞭に見えなければならず、黄色/ライム/赤色が推奨され
る。車両1台につき1色のみが、シグナルカラーを指定される部分に選択されること
になっている。
反射ステッカーの定義:
可能な限り高い輝度反射特性(例えば3M4090シリーズタイプ3/ダイヤモンド
グレードのようなタイプ3、RA3)を有するものでなければならない。
第2条
2.1
規則
基本原則
2.1.1
本規則が明確に認めていないことは禁止される。
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2.1.2
2.2
2.3
車両はいかなる状況であっても、ドライバーのコントロール下になければな
らない。
アクティブシステム
2.2.1
本規則に定めのない限り、またエンジン監視装置をのぞき、一切のアクティ
ブシステムあるいは機能は禁止される:シャシーコントロール、オートマチ
ックトランスミッション、ファイナルドライブ・ディファレンシャル装置、
ショックアブソーバー、サスペンションまたは乗車高調整装置、4輪操舵な
ど。
2.2.2
パワーユニットに作用するトラクションコントロール装置は認められる。
安全上の理由による改定
安全上の理由による改定は、直ちに、予告なく実施される。
2.4
2.5
規則の遵守
2.4.1
本規則に車両がその全体について競技会期間を通じて常に合致していること
を車検委員および競技審査委員会に納得させることは、各競技参加者の義務
である。
2.4.2
競技参加者が新しい設計あるいはシステムを導入することを望む場合、ある
いは本規則のいかなる部分であっても不明瞭に感じる場合、耐久コミッティ
にその解釈を求めることができる。
解釈が一切の新しい設計あるいはシステムに関する場合、以下を連絡しなけ
ればならない:
- 設計あるいはシステムの完全な記述
- 設計あるいはシステムの完全な機能記述
- 適切な場合には図面あるいは略図
- 一切の提案された新設計が、車両のその他の部分に直ちに影響すること
に関しての競技参加者の意見
- そのような一切の新設計あるいはシステムを使用することから発生する
可能性のある長期的な成り行きあるいは新規開発に関する競技参加者の
意見
- 競技参加者が考える、その新設計あるいはシステムが車両の性能を向上
させる正確な方法(完全な性能報告書を含む)。
車両寸法の計測
すべての計測は、車両が平坦な水平面に静止した状態で行われなければならない。
異なる仕様詳細が明瞭にされない限り、計測はこの水平計測面に対し、車両にホイールを装着し
た通常の状態で実施される。
2.6
材質
2.6.1
車両のいかなる部品も40GPa(g/cm3)を上回る特定の弾性率を有する金属
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性材質で製作されていてはならない。規定への合致を確認するための試験が
FIAテスト手順03/03に従って実施される(付則G参照)。
2.7
2.6.2
マグネシウムを基礎とした合金で製作される部品について:
- 3mm未満の厚みのマグネシウムシートの使用は禁止される。
- 鋳造あるいは機械加工された部品は、壁の厚みが3mm以下であること
は禁止される。局所的な例外は認められる場合がある。
2.6.3
チタニウム製の部品の使用は認められるが、サスペンション部品、ステアリ
ングあるいは制動装置の部品への溶接は禁止される(油圧配管は除く)。
改造
公認書式に一覧される詳細および車両のすべての空力的要素は、車両の製造者によっ
てのみ、耐久コミッティの合意の上で変更できる。
それらの変更は、次に公認グループにより公認される。
一旦公認書式がFIAによって有効とされたならば、製造者はその写しを、販売した
あらゆる車両の所有者に、最初のページの記入をした後渡すこと(シャシー番号、所
有者の氏名および住所)。
車両は公認を受けていない場合は、競技会に参加する前の車検を受けることは認めら
れない。
新しい車両の公認:
新しい車両の公認と、競技参加前の車検への提示との間には、最低30日間が必要と
されるが、耐久コミッティの裁量により、不可抗力と認められる場合は除く。
新しい車両の公認書式の最初の草稿提出と公認グループによるその承認期限との間
には最低30日が必要とされる。
すでに公認された車両に実施された改造/進化の公認:
すでに公認された車両に実施された改造/進化の公認と、競技参加前の車検への提示
との間には、最低15日間が必要とされるが、耐久コミッティの裁量により、不可抗
力と認められる場合は除く。
すでに公認された車両の改造/進化の公認書式の最初の草稿提出と公認グループに
よるその承認期限との間には最低15日が必要とされる。
公認書式は競技参加者によって、車検の間に提出されなければならない。
第3条
車体および寸法
FIAは、車両が走行中に動きがあるとみられる(あるいはそのように疑われる)車体の
いかなる部分にも、負荷/偏向試験を実施する権利を留保する。
チームはFIAの指示に従い、パッドおよびアダプターを提供しなければならない。
その他の基準の中で、FIAは弾性変形領域にわたって負荷/偏向曲線の線形性を検討す
る。一切の非線形性は塑性変形領域になければならない。
3.1
寸法
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下記第3.6項にて許されているものを除き、内部および外部の測定(長さ、幅、オ
ーバーハング、ホイールベース、ウインドスクリーン、ウインドウなど)および車体
構成要素の全体的形状は、公認書式にある通りに維持されていなければならない。
3.1.1
ホイールベース:自由。ただし公認書式に登録されたものと同一でなければ
ならない。
3.1.2
全長:最大4,650mm(リアウイングを含む)
3.1.3
3.2
3.3
オーバーハング
a/ フロントオーバーハングは1,000mmまでに制限される。
b/ リアオーバーハングは750mmまでに制限される
3.1.4
全幅:最大1900mm、最小1800mm
3.1.5
高さ:車体のいかなる部分も、基準面より上方1050mmを超えてあって
はならない(第3.5.1参照)。
ドア
3.2.1
ドアは、第16.6.1項に詳記される開口部を通じて、コクピットの通常の
出入りを提供しなければならない。
3.2.2
開口(ヒンジ)あるいは施錠(ロック)装置は、緊急の場合に、コクピットの
外部からと同様に内部からも、ドア全体が直ちに解放されるように機構設計
されていなければならない。
それらは公認されなければならない。
開口(ヒンジ)あるいは施錠(ロック)装置は、シグナルカラーでマーキング
されていなければならない。
ウインドスクリーン&ガラス部分
3.3.1
ウインドスクリーン
ラミネートガラスあるいはポリカーボネート製(厚さ:最低3.5mm)あるい
は公認グループにより承認された同等の素材製の、一体構造のウインドスク
リーンが義務付けられる。
ウインドスクリーンの上端部は:
- 屋根の最高点より低くなければならない(エアインレットは除く)
- 最低300mmの幅に渡って基準面から少なくとも950mmの高さに
なければならない(第3.5.1参照)
。
ウインドスクリーンは、マーシャルがNo.4アレンキー(六角レンチ)を
使用して取り除くことができなければならない。
3.3.2
ガラス部分
・ポリカーボネート製のサイドウインドウ(最低肉厚2.0mm)が許される。
・ 追加のフレームを取り付けることができるが、しっかりと取り付けられ
なければならず、第16条7項3に規定されるドライバーの視界を妨げ
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・
・
3.4
てはならない。
追加の安全留め具が推奨される。
コクピットから空気を引き出すための最小40cm2の開口部(ルーバー)
を、各サイドウインドウの後部に、あるいは各コクピット出入り口部に
作らなければならない。
車体
上から見て(平面図)、横の立面図で見て、また前と後ろから見て、車体は、本規則
で明確に許可されていない限り、機械構成部品が見えてはならない。車両走行中の
可動の車体部品/要素は、禁止される。
車両走行中に、自動的に、および/あるいはドライバーが制御し、空気流を変更す
る一切の装置は、本規定で明らかに許可されていない限り禁止される。
ブロウン・ディフューザーは禁止される:原則的に排気流を利用しディフューザー
のトンネルを力学的に達成することができる、あるいは端部を封鎖する意図のある
ものとされる。どちらの場合もディフューザーの空力的挙動を改善することができ
ることが期待される。
例として、それに限ることなく:排気パイプ出口は、ディフューザーの内部にあっ
てはならない。リアホイール軸を中心とした900mm直径の円筒の内側にあって
はならず、車両中心線から950mmと550mm離れた間に伸張してはならない。
これらの出口のいかなる点も、リアディフューザーの後端から300mm未満にな
ければならない。
これらの出口のいかなる点も、車両を上から、あるいは横からまたは後ろから見て、
見えていなければならない。
いかなる出口も、長さ/幅比が3を上回る断面を有することはできない。
排気出口の領域は、自然吸気エンジンの場合はエンジン排気ポートの領域より、タ
ーボチャージャー付きエンジンの場合はタービン出口領域より、小さいものである
ことはできない。
車体の後端部は、ディフューザーの後端部より少なくとも50mm高くなければな
らない。
横からの出口がある場合:
排気の終端部分の形状は、車体の外側表面に関して排気ガス流が最低60度の角度
があるようになっていなければならない。それはホイールアーチの前に位置してい
なければならない。
3.4.1
この条項は、第3条4項6に記載される開口部には適用されない:
a/
側方から見て:
車軸中心線の高さより上で、一切の空間や切抜きのない車体が、コンプリ
ートホイール(ホイールとタイヤ)の完全な周囲を覆っていなければなら
ない。
ホイールアーチは、外側から見て開放されるのみでなければならない。
以下に位置する全領域は:
- 前部車軸中心線の415mm後方の垂直な横方向面と後部車軸中心線
の415mm前方の垂直な横方向面との間で
- 基準面から400mmの高さまで
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
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この車体要素(含複数)のすべての見える部分は、車体の全幅より150
mmを超えて内側にあってはならない(水平に測定)。
b/
後方から見て:
機械的構成部品は、車軸中心線を通過する水平面の上で見えてはならない。
見える場合は、約10mmのワイヤーメッシュあるいはルーバーの装着が
義務付けられる。
リアのコンプリートホイールは、車軸中心線を通過する水平面の上で見え
てはならない。それらは堅牢な車体要素によって覆い隠されていなければ
ならない(ワイヤーメッシュは禁止される)。
これらの要素の形状は自由であるが:
- 厚さが一定でなければならない。
- 競技会期間中を通じ、車体に強力に固定されていなければならない。
車体の後部は、基準面に垂直な2枚の横方向プレートが取り付けられなけ
ればならない。
それらは、
- 第5図に従っていなければならない
- 車体の後端部になければならない
- 一部不浸透性の表面を有していなければならず、端部は最大5mm半
径の湾曲を形成することができる
- 競技会期間中を通じ、車体に強力に固定されていなければならない。
c/ 上から見て:
両方の前部角度は最低50mmの半径を有していなければならない。
・ 以下に位置する全領域:
- 前部車軸中心線の後方415mmの垂直な横方向横断面と第16.6.
1項に規定されるコクピット開口部の前端部との間、
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
このうち見えるすべての部分あるいはこれらの要素は、基準面から少なく
とも200mmの高さになければならない(第3.5.1項参照)。
・ 以下に位置する全領域:
- コクピット開口部の前端と後部車軸中心線の前方415mmの垂直な
横方向横断面との間
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
このうち見えるすべての部分あるいはこれらの要素は、基準面から少なく
とも400mmの高さになければならない(第3.5.1項参照)。
・ 以下に位置する全領域:
- 前部車軸中心線の後方1200mmの垂直な横方向横断面と車両の後
端との間
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
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において、車体のすべての見える部分は、切り抜き部のない連続した一体
の表面を形成していなければならない。
・ 許される唯一の開口部は:
- エンジンの空気取り入れ口(第3.4.4c項参照)
- ブレーキの空気取り入れ口
- 排気パイプの出口
- 第3.4.4.c項に従う2つの追加の空気取り入れ口:その唯一許可さ
れる機能は機械的要素あるいは熱交換器の冷却である。
これ以外の開口部が必要な場合、それらは車体の表面から突出してはなら
ない。“naca”タイプのエアダクト、あるいはルーバーかワイヤーメ
ッシュで覆われた出口のみが認められる。
リアホイールの後方では、上からおよび横から見えるすべての車体は、基
準面の少なくとも200mm上方まで下げられていなければならず、第3.
4.6項に従う開口部を除き、コンプリートホイール(ホイールとタイヤ)
の全外周を覆っていなければならならい。
リア車軸中心線後方および基準面より200mmを超えて上方にあるす
べての車体は、切れ目のない、滑らかな、連続した一体の表面を形成し
ていなければならず、リアウイングを取り外して、車両上方から見える
状態でなければならない。
基準面上方690mm未満にある垂直面は、それらの上端全体が上方か
ら見える限り認められる。
3.4.2
エンジンカバーは工具を使用して取り除くことができる。
最低4箇所の固定点が義務付けられる。
設置ピンとクイックリリース固定具は固定点とみなされる。
クイックリリース固定具は外側から見え、明瞭に示されていなければならな
い(赤い矢印、あるいはその他対照的な色による)。
3.4.3
給油カップリングシステムの近くにある車体接合部は、エンジン室あるいは
コクピットへ漏れが一切生じないように設計されていなければならない。
給油カップリングの外部部品は外側から見えてもよい。
3.4.4
空気取り入れ口
a/
空気取り入れ口は、上記3.4.1項に合致していなければならない。
b/
それらは上から見て車体の周囲から突出してはならない。
c/
それらは、車体の表面から150mmを超えて突出してはならない(エン
ジンの空気取り入れ口については200mm)。
- 測定は、空気取り入れ口の最も高い点から水平位置にある車体要素ま
で垂直下方向に、少なくとも幅100mmに渡り実施される。
d/
車体の頂部に配置される場合は、エリアはウインドスクリーン、サイド
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ウインドウおよびドア開口部の最後端点に接する垂直な横方向面の上部
線により画定され、空気取り入れ口(含複数)はウインドスクリーンの最
高点の後ろに配置されなければならない。
3.4.5
エアエクストラクター(空気排出口)
エアエクストラクターは上記第3.4.1項に合致しなければならない。
3.4.6
フロントホイールの義務付け切り抜き部
フロントとリアホイールアーチに切り抜きが義務付けられる。
それらは下記の選択肢の1つに合致するものでなければならない:
a/ フロントホイールのオプション1
各ホイールの上方に1つの切り抜きが義務付けられる。
上から見て、その切抜きは
- 長さ335mmでければならない。
- 幅が300mmでなければならない。
- 切抜き部の後端がホイール軸に一致し、それと平行になるように、ホ
イール軸の前方に配置されなければならない。
- 切抜き部の長さにわたって、車体の外端から65mmの一定の距離に
配置されなければならない。
つながっている最大10mmの半径が、切抜き部の4箇所の角に認められ
る。
この切抜きは、335×300mmの長方形の型板を、型板の4箇所の角
に11mmのつながっている半径をつけた状態で通すことができなければ
ならない。
b/ フロントホイールのオプション2
各ホイールアーチの内側に1箇所の切り抜きが義務付けられる。
ホイールが操舵されていない時に、切り抜き部を通じて、車両を頂上から、
前からあるいは後ろから見た時にホイールあるいはタイヤの部分が見えて
はならない。
頂上から見た場合にのみ、切抜き部を通じて、サスペンションおよび(あ
るいは)ドライブシャフトの部分が見えることは認められる。
車両の内側および外側へY軸方向に、切抜き部の35mmの押し出し(成
形)が単一の容積を形成しなければならない。
この容積は:
- 側面投影面にて最小75,000mm2の領域を有していなければなら
ない。
- ホイール軸を通過する垂直面の両側に均等に配分されるよう配置され
なければならない。
- ホイール軸を通過する水平面の上方に全体が入るよう配置されなけれ
ばならない。
- ホイール軸を通過する垂直面から350mmを超える距離にいかなる
部分もないように配置されなければならない。
- いかなる部分も交わってはならない(サスペンションアームを除く)
- 容積の内側部分の範囲内に、上から見ていずれの部分も見えるように
配置されなければならない。
c/
リアホイールのオプション1
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各ホイールの上方に1つの切り抜きが義務付けられる。
上から見て、その切抜きは
- 長さ530mmでければならない。
- 幅が190mmでなければならない。
- その切抜き部の中心を通過するホイール軸を有していなければならな
い。
- その後端がホイール軸に平行になっていなければならない。
- 切抜き部の長さにわたって、車体の外端から50mmの一定の距離に
配置されなければならない。
つながっている最大10mmの半径が、切抜き部の4箇所の角に認められ
る。
*前と後ろから見て、タイヤの上部が見えてもかまわない。
この切抜きは、530×190mmの長方形の型板を、型板の4箇所の角
に11mmのつながっている半径をつけた状態で通すことができなければ
ならない。横から見て、リアホイールの切り抜き周囲の車体部分は、リア
ホイール中心線の前方で基準面から725mmを超えて高くすることはで
きない。
d/
リアホイールのオプション2
各ホイールアーチの内側に1箇所の切り抜きが義務付けられる。
切り抜き部を通じて、車両を頂上から、前からあるいは後ろから見た時に
ホイールあるいはタイヤの部分が見えてはならない。
頂上から見た場合にのみ、切抜き部を通じて、サスペンションおよび(あ
るいは)ドライブシャフトの部分が見えることは認められる。
車両の内側へ切抜き部の150mmの押し出し(成形)、および車両の外
側へ切抜き部の35mmの押し出し(成形)が、Y軸方向に、単一の容積
を形成しなければならない。
この容積は:
- 側面投影面にて最小85000mm2の領域を有していなければなら
ない。
- ホイール軸を通過する垂直面の両側に均等に配分されるよう配置され
なければならない。
- ホイール軸を通過する水平面の上方に全体が入るよう配置されなけれ
ばならない。
- ホイール軸を通過する垂直面から350mmを超える距離にいかなる
部分もないように配置されなければならない。
- いかなる部分も交わってはならない(サスペンションアームを除く)
- 容積の内側部分の範囲内に、上から見ていずれの部分も見えるように
配置されなければならない。
横から見て、リアホイールの切り抜き周囲の車体部分は、リアホイール中
心線の前方で基準面から725mmを超えて高くすることはできない。
3.5
車両底面
前部車軸中心線の後方でスキッドブロックを除き(第3.5.6項参照)、完全に懸架
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された部品は、以下に定義される通りの、基準面、リアディフューザーおよび側方
部品(湾曲した側部を含む)を超えて突出してはならない。
許される開口部は唯一、ホイールとサスペンション部品の動き(サスペンション動程
およびステアリング)、車両吊り上げジャッキのための穴、地上高を計測するセンサ
ー(LMP1のみ)、閉鎖ハッチ(メンテナンス作業用)およびオーバーフロー燃料
パイプに必要な最小の隙間である。
3.5.1
3.5.2
基準面
車両の下部に、平坦な、連続的で、堅牢な第1図に合致する基準面が義務付
けられる。
a/
基準面は、最小700mm(前後方向)×800mm(横方向)の寸法の
長方形の区域に渡る、シャシー/サバイバルセル(タブ)の一体部分でな
ければならない。
b/
基準面の下側は、すべての垂直方向の高さ計測の検査基準となる。
c/
リアディフューザーとその垂直パネル(第3.5.2項参照)、さらに側方
部品(第3.5.3項参照)と共通する端部は、最大10mmの半径で湾曲
させることができる。前端部も最大半径10mmの丸みを帯びてよい。
d/
基準面は、上方から見て見えてはならない。基準面の上側に続く車体要
素は、基準面の一部とみなされる。
e/
側方部品を、リアホイールの前後で同じ面に維持するため、ディフュー
ザーの垂直パネルと側方部分に共通な端部は、基準面の若干上方にあっ
てよい(ディフューザーの幅が1,100mmに等しい場合は、最大で6.
0mm)。
リアディフューザー
車両の後部下側に、1枚の平坦な、連続的で、堅牢な傾斜面(リアディフュー
ザー)が義務付けられる。
a/
それは、第1図に規定される最大容量(寸法および幾何学的形状)に合致
していなければならない。
b/
リアディフューザーのいかなる部分も、基準面上方200mmを超えて
はならず、後端部は車体の縁に対して垂直でなければならない(リアウイ
ングを取り外して)。
c/
リアディフューザーを基準面につなげているパネルは、垂直でなければ
ならない。加えて、後部車軸中心線からディフューザーの最後端部まで、
リアディフューザーを基準面につなげている外側パネルは、車両の前後
方向中心線に平行を保っていなければならない。
d/
リアディフューザーを垂直パネルにつなげるため、最大半径10mmが
認められる。
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3.5.3
e/
最大2枚の垂直整流板をリアディフューザーに追加することが認められ
るが、それらの表面は:
・ ディフューザーに対して垂直でなければならない
・ 平坦で、互いに平行であり、前後方向の車両中心線に対しても平行で
なければならない
・ 車両の前後方向中心線に対して左右対称に配されなければならない。
・ それらの長さの最低75%でディフューザーに取り付けられてしなけ
ればならない。
f/
ディフューザーの後端部および上記第3.4.1b項に規定される2枚の横
方向プレートは、同一の横方向面になければならない。
側方部品
これらは基準面(第3.5.1項参照)およびリアディフューザー(第3.5.2項
参照)の左右両側にある部品である。
前部車軸中心線の後方で、それらは第1図に従い、基準面に対して傾斜面を
形成していなければならない。
車体とつなげるために、側方部品は:
- フロントホイールの後方およびリアホイールの前方で、最大50mmの
半径で上向きに湾曲させることができる(第1図のエリア1参照)
- 垂直面とつなげるために、フロントとリアのホイールの間で、最小50
mmの半径で湾曲していなければならない(第1図のエリア2参照)
リアディフューザーとその垂直パネルに共通の端部は(第3.5.2項参照)、
最大10mmの半径で湾曲してよい。前の端部も最大半径10mmの丸みを
帯びてよい。
3.5.4
前部部品
a/ 以下に位置する領域:
・ 前部車軸中心線の前方
・ 最低幅1,000mmを超える部分
の車両の懸架部品はすべて、基準表面の上方50mmを超えて配置されな
ければならない。
以下に位置する領域:
・ 車両の前部輪郭の後方
・ 前部車軸中心線の400mm前方
・ 車体の全幅までの部分
の車体の下側から見える部品はすべて:
・ 開口部、溝あるいは切り抜き部のない連続した表面を形成しなければ
ならない。唯一認められる開口部は、地上高を計測するセンサーに必
要な最小限の隙間である。
・ 第3条5項4cの硬さの基準を満たしていなければならない。
さらに、以下の領域の中:
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・ 車両の前輪郭の後方
・ フロント車軸中心線の前方
・ 車両の全幅まで
に配置される。
車両の下側から見える車体のすべての部品は、基準表面の上方10mmを
超えて配置されなければならない。
ホイールおよびサスペンションの動き(サスペンション動程およびステア
リング)、またブレーキ用スクープの通過を可能とするために、フロント
ホイール周辺の容積は自由である。その位置および最大寸法は以下の通
り:
・ フロント車軸中心線に対して左右対称に、800mmの長さに伸び
・ 基準面から高さ300mmで
・ 幅500mmの、車両の前後方向中心線から少なくとも450mmに
ある容積の内部表面。
b/ 工具を使用して調節可能なウイングプロフィールを1つ追加することが認
められる(フロントフラップ)。
それは2つの部分に、車両中心線に左右対称に分けることができる。
また、以下のように配置されなければならない:
・ 上述の表面を形成する要素の後端(後方の縁)の後方で、前後方向に
最大30mmの重なりを持ち、基準表面から最大300mmの高さ。
・ 下記に記載される、フロントホイール周囲の2つの容積の間。
・ フロントホイール軸の前。
・ 第3条5項4dの硬さの基準を満たしていなければならない。
c/ 第3条5項4aに示される車体要素のどの点も、次に示される以下の垂直
負荷の組み合わせがかけられた時に、垂直方向に15mmを超えて偏向す
ることはできない。
主要負荷が垂直下方向に、当該部品の底部表面に構造的に組み込まれた到
達可能な8M5インサートによってかけられる。これらのインサートの場
所は、当該部品の公認の中で報告される。
これらのインサートの基本的要件は:
・ 車両の前後方向の垂直面に対して左右対称に配置されなければならな
い。
・ 後端部から100mmのところに位置する4つの1列とし、2つの側
部のインサートは最大幅から100mmに位置し、残りの2つは4つ
すべてが等距離になるよう配置される。
・ 前端部から100mmのところに位置する4つの1列とし、2つの側
部のインサートはスプリッター形状の前半径上にあり、残りの2つは
4つすべてが等距離になるよう配置される。
負荷は8000N/㎡の基礎の上に突出した表面に比例して計算される。
合計で8000Nに制限される。
いくつかの考えうる突出部については、これらの部分に、いくつかの適切
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なパッド中心に垂直下方向へと負荷がかけられる。
その場合、負荷は4000N/㎡の基礎の上に突出した領域に比例して計
算され、M5インサートによってかけられた主要負荷から引かれる。
最後端ウイング要素は、100Nの負荷がかけられたときに垂直に5mm
を超えて歪んではならない。
d/ 後端部に沿って、いかなる点にも負荷をかけることができる。これらの負
荷は15mm幅の適切なアダプターを使用してかけられ、そのアダプター
は当該チームが供給しなければならない。
注:上記のすべての負荷/偏向試験は、ウイングを車両に取り付けた状態
で行われなければならない。
負荷/偏向比は、ウイングの操作範囲全体に一定したものでなければなら
ず、最大200Nまでの負荷、最大10mmまでの偏向に適用される。
3.5.5
3.5.6
地上高
a/
サスペンションを除き、地上高を変更するように設計された一切のシス
テムは認められない(下記第12.2項参照)。
b/
車両の懸架部分は、基準面によって形成される面より下には認められな
い。ただし下記の義務付けられるブロックは除く:
c/
フリクションブロックは、それらの表面が、取り付けられている主要部
分と連続的である場合に許可される。
最大比重が2の均質な材質で製作されていなければならない。
フリクションブロックは、車両の中心線に左右対称に、搭載表面とブロッ
クの間に一切の空気が通過しないような方法で取り付けられなければな
らない。
下側から見て、スプリッターにフリクションブロックを固定するために
使用されている留め具は:
・ LHSおよびRHS(左右)を組み合わせた合計領域が150cm2を
超えてはならない。
・ 5cm2を超えない個々の領域を有していなければならない。
・ それらの下側表面全体が車両の下から見え、新しい場合はフリクショ
ンブロックの下側表面から最小2mm奥まっているように取り付けら
れていなければならない。
スキッドブロック
基準面の下に、1つの長方形のブロック(スキッドブロック)を取り付けなけ
ればならない。それは最大4つの部分で構成できる。
a/
スキッドブロックは:
a.1 前部車軸中心線から後部車軸中心線まで前後方向に伸張していなけ
ればならない。
a.2 第2図に合致していなければならない。
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a.3
a.4
a.5
a.6
スキッドブロックは、レースのスタート前に検査される。
許される最大の磨耗は5mmである。
その測定は、プラクティスセッションとレースの終了後に、第2図
に明記される領域で実施される。
以下を除き、外側の表面には、一切の穴、切り抜き、あるいはポケ
ット(くぼみ)があってはならない:
- 第3.5.6c項にて許されている留め具を取り付けるのに必要な
もの
- 車両吊り上げジャッキに必要となる可能性のあるもの。
一体鋳造部品1および2(第2図に示される)は比重が1.3~1.4
5の均一な素材でできていなければならない。
湾曲部分(含複数)(第2図に示される)は平均密度が2未満の素材
でできていなければならない。
ブロックと基準面との間に空気が一切通過することのないような方
法で、車両中心線の左右対称に取り付けられなければならない。
b/
スキッドブロックの前後端部は、前後方向に最大200mmの長さに渡
り、21mmの深さに面取りをすることができる。
c/
下から見て、スキッドブロックを基準面に固定する留め具は:
c.1 総面積が400cm2を超えてはならない
c.2 個々の面積は20cm2を超えてはならない
c.3 スキッドブロックが新しい場合にはブロックの全体の低部表面が車
両の下側から見え、底部表面と同じ平面となるように、取り付けら
れていなければならない。
d/
スキッドブロックの前部は、2500Nの負荷がフリクション表面のどの
点にも垂直にかけられた場合に、5mmをを超えて歪んではならない(第
2図比較参照)。負荷は直径50mmのラムを使用して、上方向へかけら
れる。基準表面上の車体前部とサバイバルセルとの間にある支柱あるいは
構造物を、試験のいかなる部分の最中であっても非線形の歪みを認めるシ
ステムあるいは機構を有していないこと、あるいは負荷がはずされた時に
歪み/負荷の全単射を防ぐことを条件に(速度指示5mm/秒)
、この試験
に提示できる。
スキッドブロックの前部は、フロントホイールを地面から吊り上げること
のできる力が加わった時に、15mm以上歪んではならない。
e/
スキッドブロックの後部は、5000Nの負荷がフリクション表面のいず
れかの点に垂直にかけられた場合に、5mmを超えて歪んではならない
(第2図比較参照)。負荷は直径50mmのラムを使用して、上方向へかけ
られる。スキッドブロックと車両の構造体部分との間にある支柱あるいは
構造物を、試験のいかなる部分の最中であっても非線形の歪みを認めるシ
ステムあるいは機構を有していないこと、あるいは負荷がはずされた時に
歪み/負荷の全単射を防ぐことを条件に(速度指示5mm/秒)
、この試験
に提示できる。
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3.6
空力装置
3.6.1
車体に取り付けることが認められる空力的要素
・ 第3.5.4項に規定されるフロントウイング(フロントフラップ)および、
第3.6.2項に規定されるリアウイング、
・ 第3.5.4項に記載される連続的な表面を形成しなければならない、下か
ら見える車体部分すべて、を除き、
ウイングプロフィール(*)を持つ車体あるいは車体底部の要素は認められない。
(*) ウイングプロフィール:前部の前端と後部の後端をつなぐ異なる曲線およ
び/あるいは中央の2つの弧により形成される区間で、その目的が空力的揚
力あるいはダウンフォースを発生させようとするもの。
ウイングプロフィールとはみなされない車体構成要素は:
・ 一定の肉厚であるもの
・ 完全に左右対称のプロフィールであるもの。これらのプロフィールは後
端部を超えてプロフィール伸張部があってはならず(この後端部より25
mm以内には、一切の車体要素が認められない)、後端部は以下でなけれ
ばならない:
- プロフィールの最大の長さの3%に等しい最低肉厚を有するが、10
mm以上であること
- プロフィールの中心線に垂直であること。
・ 最低30mmの後端部を有するもの。前端部を除き、プロフィールの厚
さが、要素の全体表面に渡り後端部の厚さを超えていなければならない。
・ 垂直であるもの(前方から見て)
以下を除き、車体の一体部分としても、そうでなくとも、車体に空力要素を
追加することはできない:
・ フロントフェンダーの前および前部投影面の範囲内で、片側に最大2つの
空力要素が以下の条件で認められる:
- ドライバーの視界を妨げない
- 前照灯を覆わない
- 基準面の上方600mmを超えて位置していない
- 上から見て、前部の外側の角が最低50mmの半径を有している
- 前部の厚みの半分の半径で湾曲された端部を有している
- 製造者によって承認されており、車両の公認書式に記載されている。
・ 垂直整流板を、フロントホイール軸の前方で、車体の下側に追加すること
ができ、それらは車両の前後方向中心線に対して左右対称でなければなら
ない。
・ 車体後部に1枚の「ガーニー」
最後部のエンジンカバー要素は、100Nの負荷がかけられた時に5mm以
下の垂直方向の偏向が許される。
負荷はガーニー、あるいは後端部に沿ってどの点にでもかけることができる。
これらの負荷は、適切な15mm幅のアダプターを使用してかけられ、その
アダプターは当該チームが供給しなければならない。
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注:上記のすべての負荷/偏向試験は、エンジンカバーを車両に取り付けた
状態で行われなければならない。
負荷/偏向比は、負荷は最大200Nまで、偏向は最大10mmまで一定し
たものでなければならない。
・ 第3.5.4項に規定されるフロントフラップおよび、第3.6.2項に規定
されるリアウイング、
・ 第3.5.4項に記載される連続的な表面を形成しなければならない、下か
ら見える車体部分すべて。
以下は車体に追加された空力要素とみなされる:
・ 車体の一体部分であるかないかを問わず、規定で認められていないアング
ルブラケット
・ 空気排出口(チムニー)。排気パイプを覆うために義務付けられた車体要
素が、上から見て見える場合には、空気排出口(チムニー)とはみなされ
ない。
・ 配置可能箇所が1箇所を超える車体要素
・ ダウンフォースを発生させるだけの機能をもつ、規則で認められていない
一切の空力要素。
3.6.2
リアウイング
リアウイングは以下の要素で構成される:ウイング、垂直な支持具およびエ
ンドプレートで、それらは以下の基準を満たしていなければならない:
a/
ウイング
ダウンフォース(反揚力)を発生させる第一要素は、単一の空力装置で、
調整可能で、車両の後部に搭載され、最大で2つの空力プロファイル(主
平面部とフラップ部)を有する。それは、以下の通りでなければならな
い:
a.1 水平に250mm×垂直に150mm×横方向に1800mmの容
積に収まること。
a.2 主要装置とフラップは、リアウイングの長さ全体にわたり、それぞ
れ一定の区画のYからの押し出し(成形)によって得られなければな
らない。
a.3 ウイングのどの部分も、基準面の上方965mmを超えないように
取り付けされること。
a.4 コクピットの中から調整することができないこと。
b/
垂直支持体
b.1 長さ:水平方向に最大400mm
b.2 支持体は最大で1250mm離れていなければならない。
支持体を1つとするために、組み合わされている場合、第3.6.2
項のすべての点を満たすものでなければならない。
b.3 表面は平坦で、車両の縦方向の中心線に平行でなければならない。
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b.4
c/
リアウイングの取り付け
リアウイングは、シャシーに、あるいはトランスミッションケースに、も
しくは車両の後部衝撃吸収構造体に、堅牢に(堅牢な状態とは、取り付け
に一切の自由度がない状態を言う)取り付けられていなければならない。
リアウイング要素の局所的固定部は互いの間に一切の自由度がないこと。
c.1
c.2
c.3
c.4
c.5
d/
前端は丸みを帯び(一定の半径で)、後端(後部の縁)は20mm以
内で傾斜することができる。
後部ボンネットは、ウイングの取り付け部に干渉することなく取り
外せなければならない。
車体とエンドプレートとの固定部を取り外した状態で、垂直支持体
は、リアウイングの表面に均等にかけられる10kNの垂直負荷に
耐えることができなければならない。
車体とエンドプレートの固定部を取り外して、主平面の後端の最後
点は、主平面の表面に2400Nの垂直負荷がかけられた場合に、
10mmを超えて垂直方向に歪んではならない。
負荷は主平面の翼弦の長さの50%となるX点と、中心線に対して
164mm、452mmおよび740mmの点に、均一かつ同時に
加えられる。
この試験の目的のため、一切の二次的エアロフォイル要素(フラッ
プ)は取り除かなければならない。
車体とエンドプレートの固定部とリアフラップを連結し(走行状態
にあるように)、主平面および横方向プレートのどの点も(第3条4
項1b比較参照)、次の組み合わせられた垂直負荷がかけられた時
に、垂直方向に15mmを超えて歪んではならない。
a/ 主平面の表面に2400Nの負荷がかけられる。
負荷は、下方向へ均一に、また同時に、主平面の翼弦の長さの
25~75%となるX点に、中心線について164mm、45
2mmおよび740mmの点に、ウイングの前端部からその後
端部まで、あるいは存在する場合はフラップのオーバーレイの
点まで伸張する、幅200mmの区別のできる類似の6種のパ
ッドを使用してかけられる。それらの最も上になる表面は、4
00Nの負荷がかけられる前は水平でフラップの上部点の上方
になる。
b/ 1000Nの負荷が、特定のフックあるいはアダプターを経由
し、上部水平角度の幅全体の上に置かれた横方向の各プレート
(第3条4項1b比較参照)に、その中央に位置させ、またプレ
ートの後面の縦にかけられる。
基準面の500mm上方にあるウイング支持体の部品のみが、車体
の後部に突出することができる。
エンドプレート
d.1 エンドプレートは2つの部分から成ってよい(1つはリアウイング
上で、もう1つは車体上)。
リアウイング上に取り付けられる部分は、765mm×300mm
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d.2
d.3
d.4
d.5
d.6
3.6.3
の長方形に納まらなければならず、最低面積は1000cm2で3
00mm×150mmの最低寸法を有していなければならない。
それらは、上記第3.6.2.c.2項を満たしていることを条件に、車
体に取り付けることができる。
厚さは一定で、最低10mmでなければならない。
端部は一定の5mm半径で湾曲させなければならない。
表面は平坦で車両の縦方向中心線を通る垂直面に平行であること。
上記で認められている車体への固定部を除き、車体の要素はエンド
プレートに取り付けられてはならない。
e/
後端エアロフォイル要素(フラップ)
最も後ろのウイング要素は、表面に200Nの負荷がかけられた場合に、
5mmを超えて水平方向に、また10mmを超えて垂直方向に歪んではな
らない。
負荷は後端要素の翼弦の長さの50%にあたる地点に、フラップの頂点に
よって決められる平面に垂直な線に沿ってかけられなければならない。
負荷は車両中心線にある点、および中心線の両側270mmと540mm
の点についてもかけられなければならない。
負荷をかける際には15mm幅のアダプターを使用し、それは当該チーム
が提供しなければならない。
f/
一般
注:上記のすべての負荷/偏向試験は、車両にウイングをつけた状態で実
施しなければならない。
負荷/偏向レシオは、リアウイングの全体の機能範囲にわたって一定でなけ
ればならない。
フィン
a/
一般
垂直な堅牢なフィンの取り付けが義務付けられる。
このフィンは以下のようでなければならない:
- 前後方向に、車両中心線に平行
- 中心線のどちら側も等しい厚さで、完璧に車両の縦軸上に位置する。
このフィンは一定の厚さでなければならない(最低10mm~最大20m
m)
車両にホイールを取り付けた状態で、フィンの目に見える部分は(側方か
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ら見て)、両側で3000cm2を超えていなければならない。
フィンは、一切の穴や開口部のない連続的な状態でなければならない。
エンジンの空気取り入れ口をフィンと統合させることができるが、第3.
6.3項のすべての規定が遵守されていることを条件とする(肉厚について
は、最大1400mmの長さに渡って一定とすることはできない)。
このフィンには、その他の装置を固定することはできない。
フィンを、エンジンカバーに一体的に取り付けることおよび/あるいはシ
ャシー、リアウイングおよび後部構造体(“ブリッジ”上)にしっかりと
固定することができる。
エンジンカバーおよび/あるいはフィンの取り外しに工具を使用すること
が必要であってよい。
b/
位置
頂点端部は、まっすぐで、基準面の上方1040mmと1050mmの間
になければならない。
前端の横方向投影面は、まっすぐで、ウインドスクリーンの上端部の最大
10mm後方になければならない。(第3.3項参照)。
頂点端部は、基準面から上方に1000mm以下であることを条件に、前
端部とウインドスクリーンの上端の100mm後方の地点との間のゾーン
では、まっすぐでなくてもよい。
ウインドスクリーンの上端は、Y=0で、ウインドスクリーンの最後端点
X位置と定義される。
後端はまっすぐで、後部車軸中心線の後方350mmと450mmの間に
位置しなければならない(350mmの寸法は、それがフィンを伸ばして
いる場合、リアウイング支持体にこれらの制約は適用されない)。
底端部は、車体表面の上方25mm以下でなければならない。
c/
ジオメトリー
前端、頂端部、および底端部は、一定の半径で湾曲させることができる
(半径はフィンの厚さの半分に等しくなければならない)。
後端部は、傾斜しているか、20mm以下の楕円形とすることができる。
頂端/前端、頂端/後端、底端/前端および底端/後端の間は、最大50
mmの半径が認められる。
フィンがエンジンカバーに取り付けられている場合、最大50mm半径が
両方の部品の間に認められる。
d/
偏向(たわみ)試験
長さ400mmのU字ツールを使用し、高さ60mmのフィンの頂点端部
において、静加重試験が適用される。
U字ツールの中間は、どちらの端部もオーバーハングしないように、(最
も後ろの位置が車両の後部車軸になるように)フィンの頂点端部に沿って、
どこにでも置くことが出来る(横方向から見て融合した半径は無視される)。
負荷は400mmのU字ツールの中心にかけられる。
この試験は、元の場所にてフィンに2回実施することができ、それにより
シャシー/車体の取り付け部も試験することができる。
それぞれの試験で、フィンのたわみは、100daNの負荷で(どの点に
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ても)100mm以下であり、一切の恒久的変形は、負荷を1分間はずし
た後で3mm未満でなければならない。
第4条
4.1
重量
最低重量
LMP1-Hは、870kg
LMP1は、850kg
この最低重量は、第3.5.6項に規定されるスキッドブロックを含む。
車両は競技会全体を通して、常にこの最低重量に従っていなければならない。競技会
の間に交換された可能性のある一切の部品の重量検査は、車検員の裁量にて実施さ
れる。
4.2
バラスト
・
・
・
・
4.3
バラストは、取り外しに工具が必要であるように、しっかりと固定されなけれ
ばならず、その方法は車検員が封印を取り付けられるようでなければならない。
可動式のバラストシステムは一切禁止される。
車両は、+20kgの重量バラストを受け入れることができるよう、設計され
なければならない。
コクピットに取り付けられる一切のバラストは、公認クラッシュ試験に提出さ
れなければならない。
液体
重量は、タンクに液体が残った状態で、競技会中いつでも検査できるが、プラクテ
ィスセッションあるいはレースの終了後、車両は重量計測前にすべての燃料が抜き
取られる。
第5条
5.1
パワーユニット
エンジンの仕様
5.1.1
エンジンは、以下の制約を除き自由である:
・ ガソリンあるいはディーゼルの、レシプロピストンによる4ストロークエ
ンジンのみ認められる。
・ エンジンの気筒容積は、”LM”P1-H車両は自由で、”LM”P1車両
は、5,500cm3を超えてはならない。
・ 燃料質量流は、付則Bの表に記載された制限値を超えてはならない。
・ 過給圧のレシオは4.0を超えてはならない。
・ エンジンは各シリンダーにつき2つを超える吸気口と2つを超える排気
バルブを有していてはならない。
- レシプロ・ポペットバルブのみが許される。
- 可動バルブ構成部品と不動のエンジン構成部品との間の接触シール面
は真円でなければならない。
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- 電磁バルブ作動システムは禁止される。
5.1.2
5.2
その他の推進手段およびエネルギー回生
5.2.1
5.3
エンジンは、4ストロークサイクルに必要とされるすべての部品(例えば、ク
ランクシャフト、コンロッド、ピストン、ディストリビューションなどで、そ
れらに限られない)および、それらを収容するすべてのカバーによって決めら
れるエンジンブロックを分解することができないような方法で封印できなけ
ればならない。
封印の位置と取り付け詳細が公認される。
上記第5条1に規定されているエンジンおよび最大2つのERSAに(直接ある
いはES経由で)つなげられたMGU以外は、車両を推進するいかなる装置の
使用も禁止される。
これらの2つのERSAのみが、ESにつなげられることができる。
5.2.2
MGUのトルクは、第11.6項に合致するディファレンシャルを通じてのみ、
ドライブトレインへと伝達することができる。ディファレンシャルがドライ
ブトレインの1つに存在していない場合、1つのMGUのみをこのドライブ
トレインにつなげることができる。
5.2.3
MGUから放出されるエネルギーの量あるいはパワーは、付則Bに記載される
値に制限される。
5.2.4
計測値はすべてのMGUから採られ、それらが合計される。
電気装置についての計測は、MGUのインバーターのDC入力で測られる。
計測の方法は、公認される必要がある。フロー図解が本規則付則Cに示される。
放出できるエネルギーの義務付けられる量は、MGU(含複数)を経由でのみ
計算され、この値は付則Bに言及されている周回ごとの放出エネルギー最大制
限値と比較される。
5.2.5
車両がピットレーンで静止状態にある時には、いかなるES内の貯蔵エネル
ギーの量も増大させることはできない。
車両が専用のガレージに戻ってきた時のES(エネルギー貯蔵)状態は自由で
ある。
ガレージ内で、ESの充填状態を増大させることは、車両が完全な状態で、ホ
イール上に静止し、その中に着座しているドライバーを除き、誰も車両に接触
していない場合にのみ可能である。
5.2.6
車両には、上述の要件が遵守されていることを証明するために、FIAのデー
タロガーに必要なすべてのシグナルを直接提供する公認されたセンサーが取
り付けられなければならない。
パワーユニットの寸法
自由である
5.4
可変ジオメトリーシステム
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5.5
5.4.1
過給システムおよび/あるいは排気タービンジオメトリの制御に必要な装置
を除き、可変ジオメトリー排気システムは認められない。
5.4.2
可変バルブタイミングおよび可変バルブリフトプロフィールシステムは認め
られない。
5.4.3
可変長吸気マニフォールドおよびトランペットは認められない。
燃料噴射システム
燃料噴射圧力は自由。
5.6
5.7
ガソリンエンジンの点火システム
5.6.1
プラズマ、レーザーあるいはその他の高周波数点火技術は認められる。
5.6.2
スパークプラグは、付則F”材質”に記載の材質制約を受けない。
エンジンの付属品(冷却剤、潤滑剤、およびスカベンジポンプ)
エンジンの付属品は機械的にあるいは電気的に運転することができる。
一切の電気的に駆動する付属品は、パワーユニットを含め、いかなるドライブトレイ
ンにも機械的につなげることはでいない。
5.8
エンジンの吸気
エンジンサンプブリーザーのガス、排気ガス再循環およびエンジン内の燃焼という通
常の目的のための燃料を除き、エンジン吸気の中にいかなる物質をも噴射することは
禁止される。
5.9
エンジンの始動
通常に運転席に着座した状態で、ドライバーは外部からの支援を一切受けることなく、
いつでもエンジンを始動することができなければならない。
5.10 ストール防止システム
使用が認められる。
5.11 パワーユニットの材質と構造-一般
付則F「材質」を参照。
5.12 トルク計測
製造者の車両については、トルク計測が義務付けられ、その他のすべての車両にも、
計器取り付けが可能でなければならない。
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車両モデルを供給しようとするエンジン製造者は、装置の正しい搭載のためのあらゆ
る適切な指示をシャシー製造者に提供しなければならない。
装置の搭載が可能である詳細記述なくして、車両の公認はできない。
トルクを計測するシステムおよび装置は、付則Eにある仕様に従って、FIAにより
承認されなければならない。
その計器はFIAデータロガーに直接つなげられなければならない。
トルク計測は、パワーユニットあるいはICエンジンをドライブトレインにつなげる
メインクラッチの前か後の、パワーユニットまたはICエンジンの出力点で実施され
なければならない。
5.13 排気システム
騒音レベル:予選および決勝レース中、各車両から出される音量は110dbAを上
回ってはならない。計測は走路端部から15m離れた地点で行われる。
第6条
6.1
6.2
6.3
燃料システム
燃料システム
6.1.1
すべての燃料配管は、エンジンが稼働中あるいはスタート時にのみ作動しな
ければならない。
供給ポンプの(タンクからコレクターに供給する)スイッチは、ピットストッ
プの間に入れることができる。
6.1.2
燃料装置は、下記の条項の規定が遵守されている限り、自由である。
燃料流量計測
6.2.1
付則Dに示される公認された「燃料流量計」
(テクニカルリストNo.45)が、付
則Dに示される仕様に従って、燃料装置に統合されなければならない。
計器は、サバイバルセル内の最小150mm(幅)×200mm(長さ)×1
30mm(深さ)の容器の中に取り付けられなければならない。
これらの寸法を減らすことになる5mmを超える一切の面取りあるいは半径
付けは認められない。
計器は、燃料タンク給油口の反対側に取り付けなければならない。
6.2.2
この装置は欠陥が生じた場合には早急に個々に交換できなければならない。
走行セッション中(レースも含め)の交換も要求され得る。
6.2.3
主要燃料流量計の供給配管内の燃料圧力を直接計測する公認センサーが取り
付けられなければならない。この信号はFIAデータロガーに提供されなけ
ればならない。
燃料タンク
6.3.1
車載の燃料容量は、付則Bに示される表に従い制限される。
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6.4
6.5
6.3.2
低圧側(高圧燃料ポンプの後ろ)の圧力は、10barAに制限される。
6.3.3
燃料タンク内の圧力は、2.0barAを超えてはならない。
6.3.4
タンクは、防火壁によりコクピットおよび/あるいはエンジンルームから隔
離されていなければならない。
6.3.5
燃料タンクはFIA/FT3 1999仕様に合致するか、またはそれを上
回るラバーブラダーでなければならず、付則J項第253条14項の規則に
合致するものでなければならない。
燃料配管
6.4.1
タンクの壁の一部であるすべての付属品(通気口、入口、出口、タンク給油
口、タンク間の連結具およびアクセスホールを含む)は、金属製または複合
素材製でなければならず、燃料タンクに接着されていなければならない。
6.4.2
燃料タンクとエンジンをつなぐ燃料配管は自動閉鎖分離バルブを備えなけれ
ばならない。このバルブは、燃料タンクから燃料配管取付け具を引き抜いた
り、破損するのに必要な負荷の半分以下の負荷で分離するものでなければな
らない。
6.4.3
燃料タンクと公認燃料流量計つなぐ燃料配管は自動閉鎖分離バルブを備えな
ければならない。このバルブは、燃料タンクから燃料配管取付け具を引き抜
いたり、破損するのに必要な負荷の半分以下の負荷で分離するものでなけれ
ばならない。
6.4.4
燃料を収容する配管は、コクピットを通過してはならない。
6.4.5
配管は、いかなる漏れが生じようともコクピット内に液体が滞留しないよう
に取り付けられなければならない。
6.4.6
配管は、それが柔軟なものである場合、カシメられたあるいは圧着式コネク
ターおよび摩擦と炎に耐え得る外部網材を有していなければならない。
6.4.7
低圧燃料配管は、135℃の最高作動温度での最低破裂圧力が41barを
有していなければならない。
6.4.8
高圧燃料配管は、最高作動温度135℃での最低作動圧力の2倍以上の最低
破裂圧力を有していなければならない。
6.4.9
計測点より後で流量比を増大できるような目的および/あるいは効果のある
装置、システムまたは手順は禁止される。
燃料タンク給油口
6.5.1
車両は結合された燃料タンク給油口と通気口を備えなければならない。
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燃料タンク給油口は、車両の両側に取り付け可能でなければならない。
6.3.2
6.6
6.7
車両の給油口および通気口はともにデッドマン機構の原理に合致した漏出防
止ドライブレークカップリングを備えなければならず、開放状態の時にいか
なる保持装置も組み込んではならない。
カップリングの寸法:付則J項-第252-5図(Aバージョン)内径≦2イ
ンチあるいは第252-5図(Bバージョン)の図解に準拠する。
タンク給油口、通気口およびキャップ
6.6.1
それらは、事故の際に破損しないような場所に取り付けられなければならな
い。
6.6.2
車体表面より突き出してはならない。
6.6.3
基準面を通って出口をもつオーバーフローパイプが認められる。
ブリーザーパイプ
タンクを外気とつなぐブリーザーパイプは:
・ 車体の外側に出口がなければならない。
・ 逆流防止バルブが取り付けられていなければならない。
・ 走行時あるいは横転時に液体の漏れがないように設計されていなければならな
い。
6.8
自動閉鎖コネクター
車両には、車両検査委員がタンクから燃料を取り出すことができる自動閉鎖コネク
ターを備えていなければならない。コネクターは:
・ 認可されたタイプのものでなければならない。
・ リフトポンプと公認された燃料流量計の間で、主供給ラインの上に取り付けな
ければならない。
見本抽出手順は、エンジンを始動させることが必要であってはならない。
6.9
レース中の給油
6.9.1
付則A:給油を参照
6.9.2
常に、(車両ゼッケンのついた)給油装置および車両のタンクは、外気温度お
よび大気圧に保持されていなければならない。
6.9.3
車両内で直ぐに使用するための燃料は大気温度よりも10℃を超えて低くて
はならない。
規則の準拠を確認する際に、大気温度とは、FIA指名の天気予報提供業者が、
一切のプラクティスセッションの1時間前あるいはレースの2時間前に記録
した温度とする。
レース中は、その数値は2時間ごとに更新される。
この情報は公式計時モニターにも表示される。
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6.9.4
第7条
7.1
車載燃料の貯蔵容量を増大させる目的および/あるいは効果のある一切の装
置またはシステムは禁止される。
オイルシステム
規定
以下の規定が遵守されなければならない:
7.2
オイルタンク
7.2.1
オイルタンクが前部車軸中心線の前方あるいは後部車軸中心線の後方に取り
付けられている場合、最低でも10mmの厚さの衝撃吸収構造体で保護され
なければならない。
7.2.2
オイルタンクの外壁は、車両の前後方向中心線から600mmを超えること
はできない。
7.1.3
7.3
7.4
潤滑油を収容する貯蔵箇所は以下の場所には認められない:
・ コクピット内。
・ ギアボックスの後方。
・ 車両中心線から横方向に850mmを超える。
オイル配管
7.3.1
低圧潤滑油配管は、135℃の最高作動温度での最低破裂圧力が41bar
を有していなければならない。
7.3.2
潤滑油を収容する配管は以下の場所には認められない:
・ コクピット内。ただし、ERS専用のオイル配管(第17.8.12項参照)
は例外とする。
・ ギアボックスの後方。
・ 車両中心線から横方向に850mmを超える場所。
7.3.3
配管は、いかなる漏れが生じようともコクピット内に液体が滞留しないよう
に取り付けられなければならない。
7.3.4
配管は、それが柔軟なものである場合、カシメられたあるいは圧着式コネク
ターおよび摩擦と炎に耐え得る外部網材を有していなければならない。
キャッチタンク
7.4.1 オープン式サンプブリーザーを1つでも有する場合、ブリーザーの排出口は、
最低3リットルの容量を有するキャッチタンク内に設けなければならない。
7.4.2
コースにオイルを噴出する危険性を回避するために、最低1リットルの追加
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の安全タンクを、下記の図面に従い、キャッチタンクとブリーザーの間に挿入
しなければならない。
7.4.3
7.4.3
これは:
・ キャッチタンクから分離されていなければならない
・ 高さが100mmなければならない(内側での計測)
・ 高さすべてに渡って一定の区画が保たれていなければならない
・ ACOにより公認されたセンサーが装着されていなければならない。
このセンサーは、オイルのオーバーフローの検知のため、下記の図面に示され
るとおりに取り付けられなければならない。
7.4.5
最大レベルに達した場合、競技参加者はキャッチタンクを空にするため、直
ちにガレージに入らなければならない。
第8条
8.1
この安全タンクの主な機能は、キャッチタンクのブリーザーにオイルあるい
は油気が一切含まれないようにすることである。油気がこの安全タンクの上
流で適正に処理されている場合、常に空の状態が維持されなければならない。
油圧システム
油圧配管
8.1.1
油圧装置の圧力は300barに制限される。
8.1.2
すべての油圧液を収容する配管は、最高作動温度204℃での作動圧力の2
倍以上の最低破裂圧力を有していなければならない。
8.1.3
自動閉鎖カップリングあるいは針金で固定されたネジ留めのコネクターのつ
いた油圧液配管のみがコクピット内に許可される。
8.1.4
配管は、いかなる漏れが生じようともコクピット内に液体が滞留しないよう
に取り付けられなければならない。
8.1.5
配管は、それが柔軟なものである場合、カシメられたあるいは圧着式コネク
ターおよび摩擦と炎に耐え得る外部網材を有していなければならない。
第9条
冷却システム
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9.1
冷却配管
9.1.1
冷却装置の圧力は、水溶性の冷却剤が使用されている場合、4.75barAに制
限される。
9.1.2
冷却液を収容する配管は、ERS専用の冷却剤配管を除き、コクピットを通過す
ることはできない(第17.8.12項参照)
9.1.3
配管は、いかなる漏れが生じようともコクピット内に液体が滞留しないよう
に取り付けられなければならない。
9.1.4
配管は、それが柔軟なものである場合、カシメられたあるいは圧着式コネクタ
ーおよび摩擦と炎に耐え得る外部網材を有していなければならない。
第10条 従来型の電気装置(非ERS)
10.1 規定
以下の条項の規定に合致しなければならない:
10.2 補機用バッテリー
10.2.1 補機用バッテリーは、コクピット内の同乗者席に配置されなければならず、
強力に固定され、絶縁材で製作されたボックスの中に保護されなければなら
ない。
10.2.2 競技参加者は、装着が義務付けられた装置(データロガー、ADR、照明灯な
ど)の操作に必要な電力(最大16ボルト)を提供しなければならない。
10.2.3 補助バッテリーを駆動用バッテリーの再充電に決して使用しないこと。競技
会期間を通して、補助の電気回路を供給するバッテリーの電圧は、50ボル
ト以下でなければならない。
10.3 灯火装置
灯火装置は常に作動状態を保っていなければならない。
車両には以下が取り付けられなければならない:
10.3.1 前部に:
・ 最低2つの公認された前照灯を、車両の前後方向中心線に左右対称に、
最低1300mm離して装着する。計測は前照灯の中央で行われる。
前照灯は白色のビームを発光しなければならない。
・ 両側に方向指示器。
10.3.2 後部に:
・ 2つの赤色灯と2つの“ストップ”ライトを、車両の前後方向中心線に
左右対称に、最低1500mm離して装着する。計測はリアライトの中
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央で行われる。
加速の損失が少なくとも0.2秒間、0.2秒以内で0.4gを超えた場合、
“ストップ”ライトの点滅による警告が起動される。
ブレーキライトの点滅は、ブレーキペダルが押されると直ちに(ドライバ
ーがブレーキを適用すると通常の点いたままのブレーキライトとなる)、
あるいは確実に0.2gを超えて車両が加速した時に、停止されること。
いかなる場合も、点滅は最低2秒間かけられなければならない。
点滅の周期は0.25秒点き、0.25秒消えるものであること。
・ 2つの赤色レインライトあるいはフォグランプを、後部に左右両側でで
きるだけ高い位置に、車両の前後方向中心線に左右対称に装着する。
これらの灯火はリアウイングのエンドプレートの後端に挿入される必要
がある。
FIAにより承認された灯火(テクニカルリストNo.X)でなければなら
ない。
・ 両側に方向指示器。
10.4 FIAロギング要件
10.4.1 FIAの義務付けられるロギングセンサーは:
・ ラップトリガー
・ 燃料流量計
・ ブースト圧
・ 燃料温度
・ 燃料流量計の前の燃料圧
・ キャッチタンクレバーセンサー
・ コクピット内部温度
・ 各MGUの指令電流および電圧
FIA公認センサー(テクニカルリストNo.47に従う)。
・ FIAが必要とみなすその他一切の情報。
10.4.2 すべてのFIAロギングセンサーは、チームによって提供され、FIAによって承
認されなければならない。それらはFIAのデータロガーに直結されなければ
ならない。
10.4.3 公認された流量計およびトルク計測器を含めたFIAロギングセンサー配線束
は、チームによって製作され、FIAによって承認されなければならない。
10.4.4 FIAの規定する事故データ記録装置が義務付けられる。
10.5 テレメトリー
以下のみが認められ、その他一切の方法は除外される:
・
・
・
ピットサインボード上の読み取り可能なメッセージ。
ドライバーのジェスチャーによる合図。
車両からピットへの(1方向)テレメトリー信号
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・
ラップのスタートまたは終了を知らせる"ラップトリガー"信号:
a. ラップマーカー送信機(ラップトリガー)は独立した装置でなければならず、
(ワイヤー、ケーブル、光ファイバーなどにより)いかなるピット機器とも
接続されていてはならない。
b. これらの送信機に認められる機能は、ラップを記録することのみである。
・
ドライバーとピットとの間の双方向の口頭によるコミュニケーション、車両とピ
ットをつなぐ一切の音声無線交信システムは、独立型でなければならず、その他
のデータを送信または受信してはならない。そのようなすべての交信は、FIA
にも傍受可能で利用できるものでなければならない。
その他の連絡システムの使用は、オーガナイザーの許可を得た後、その管理下でのみ
可能である。
10.5.2 FIAのテレメトリーシステムが義務付けられる。
第11条 トランスミッションシステム
11.1 トランスミッションのタイプ
MGUを除きトランスミッションシステムは、2本を超えるホイールの駆動を可能
とすることはできない。
11.2 クラッチ
11.2.1 内燃エンジンのために、1つのみのクラッチが認められる。
11.2.2主ドライブシャフトクラッチあるいは複数のクラッチにのみ以下が適用され、
ERSの部品として専用に使用される一切のクラッチについては適用が免除
される。
11.2.3 複数クラッチ操作装置が使用されている場合、それらはすべて同一の機械的
動程特性を有し、まったく同じようにマップされていなければならない。
11.2.4 クラッチ操作の動きは、以下を条件として支援されてよい:
・
・
・
ドライバーがクラッチの操作を完全に直接的に制御している。
クラッチ操作装置の最小および最大動程位置は、クラッチが完全につながった通
常の静止位置と完全に解放された(どの様な使用できるトルクも伝達できない)
位置のそれぞれに対応していなければならない。
上述の段落についての唯一の例外は、ストール防止およびギアシフト・ストラテ
ジーが稼動している時である。
11.3 トランスミッションの切り離し
11.3.1 トランスミッションは、車両が停止し、エンジンが止まった場合に、車両を押
すあるいは牽引することが可能なように設計されていなければならない。
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11.3.2 コクピットの外側に取り付けられた圧搾空気ボトル(最大0.5kg)によっ
て空気圧による補助装置が、ニュートラルを選択し車両を移動できるように
許される。
ニュートラルスイッチ以外で:
マーシャルがトランスミッションを切りすべての電気装置スイッチを外側か
ら切ることができるよう、2つのスイッチが:
・ 車両の両側に、車両中心線に左右対称に配置され、zダッシュボード+
40mmの下の線より下で、Aピラーの前のサバイバルセルに固定され
なければならない。
・ ドア開口部より350mm未満でなければならない(2014年について
は推奨され、2015年には義務付けられる)。
・ 次のように設計されなければならない:
- 車両内部のすべての電気回路(補助およびパワー回路)を切りESをパ
ワー回路から絶縁できるように。
- 上記に定められた装置によりトランスミッションとの接続を切り離す
ことができるように。
- マーシャルが偶発的にパワー回路に電圧を再び加えることが出来ない
ように。
- 第17.2.2に規定される消火器スイッチから70mm未満となるよ
うに。
- プッシュボタンあるいはレバーと共に取り付ける。
スイッチは、1辺が最小120mmの白縁の青い三角形の中に赤い稲妻のマ
ークで示されなければならない。
三角形の角度は、稲妻マークが取っ手あるいは引き輪を指し示すように配置
しなければならない。それは輝度反射特性を有するものでなければならない。
11.4 ギアボックス
11.4.1 カーボン製のケースが認められる。
11.4.1 前進のギアレシオの数は7か、それ以下でなければならない。
11.4.3 ギアは鋼鉄製でなければならない。
11.4.4 一度に、ドライブトレイン(動力伝達経路)に、2組以上のギアが掛かること
ができるシステムはすべて禁止される。
11.4.5 瞬間的なギアシフトは禁止される。
ギアシフトは、実際のギアの噛み合いの抜き取りに続き、目標ギアへの噛み合
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いが行われる、明らかな連続的作用でなければならない。
単一のバレルシフト機構あるいは1つのHパターンギアシフト機構のみが認
められる。
ギアシフト機構はすべての前進ギアを操作するものでなければならない。後
退ギアは別個の作動システムによって操作できる。
結果として生じるエンジンおよびMGUのパワーカットは、最低30ms適
用されなければならない。
11.4.6 第1.16項および5項に規定されるパワーユニットのパワーを伝達するため
に、連続的可変トランスミッションシステムを使用することは認められない。
11.4.7 すべての車両は、競技会中いつでも、ドライバーが後退させることができな
ければならない。
11.4.8 各個々のギアチェンジは、ギアボックスの機械的制約の範囲以内で、ドライバ
ーによって個別に開始されなければならず、要求されたギアは、要求されたギ
アシフトを拒否するために保護が使用されていない限り、直ちに変速されな
ければならない。
一旦ギアチェンジ要求が了承されたならば、最初のギアチェンジが完了する
まで、更なる要求を了承することはできない。
オーバーレブ保護策が利用されている場合、これは目的のギアの掛かりを回
避できるだけものであり、50msを超える遅延を引き起こしてはならない。
このようにしてギアチェンジが拒否された場合、ドライバーが新たな別個の
要求をした後でのみ、ギアを変速することができる。
ドライバーのギアチェンジ要求を調節するために利用される、一切のデバウ
ンス時間方策は単一で一定の値でなければならない。
11.5 トルクトランスファーシステム
11.5.1 回転の遅いホイールから回転の早いホイールにトルクを転送するあるいは転
換することを可能とする設計のシステムあるいは装置は一切禁止される。
11.5.2 2つのフロントホイールの主要回転軸の間でトルクを転送することを可能と
する装置は、それが受動(パッシブ)であり続けることを条件に、認められる。
11.6 ディファレンシャル
以下のみが認められる
・ 油圧あるいは電気システムの補助なしに作動する機械的リミテッドスリップ・
ディファレンシャル。
・ ビスカス式のディファレンシャルは、車両が走行中の場合に制御が不可能であ
れば、油圧式スリップコントロールとは見なされない。
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第12条
サスペンション
自由
12.1 コクピットの内側から行うことが禁止される調整
12.1.1 スプリング調整
12.1.2 ショックアブソーバー調整
12.1.3 アンチロールバー調整
12.2 禁止されるシステム
サスペンション部品以外、機能原理がいかなるものであろうとも、またドライバー
によって作動するか否かに関わらず、地上高を改変する目的のシステム。
12.3 前部サスペンションウッシュボーンがドライバーの脚部に危険を及ぼす可能性があ
る場合、その基部に貫入防止バーを取り付けることが義務付けられる。
12.4 サスペンションアームは:
12.4.1 クロームメッキが施されていてはならない
12.4.2 均質な金属製でなければならない
12.4.3 プロフィールの高さ/幅比は3.0を超えてはならない
12.4.4 ブレーキ配線、ホイールテザーあるいは電気ワイヤーの保護は、以下を条件
としてサスペンションアームに取り付けることができる:
・ プロフィールの幅/高さの比が2.5を超えないこと。
・ プロフィールの最大肉厚が、+3mmの保護が付けられたサスペンショ
ンアームの最大プロフィール高と同等であること。
第13条
操舵
自由
13.1 機械的連結
ドライバーとホイールとの間は、連続した機械的な連結のみが許される。
13.2 ステアリングコラム
13.3 ステアリングコラムは、スポーツカーの安全構造体の承認手順(FIA技術部によ
り、要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、FIAによって承認されなければな
らない。
13.3.1 予定される試験実施日の遅くとも8週間前に通知される。
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13.4 4輪駆動
禁止される。
13.5 パワーステアリング
許されるが、そのような装置は、車両の操舵に必要な肉体的労力を軽減させる以外
の機能を実施できず、すべての油圧および/あるいは電力が遮断された時にも操舵
機能が働き続けることができなければならない。
13.6 ステアリングホイールのクイックリリースシステム
13.6.1 義務付けられる。
13.6.2 クイックリリース機構は、ステアリングホイール軸に同心円状のフランジで
構成され、そのフランジは陽極酸化処理あるいはその他の耐久性のある被覆
加工で黄色に塗装されていなければならず、ステアリングホイール裏側のス
テアリングコラムに取り付けされなければならない。
13.6.3 リリースは、ステアリングホイール軸に沿ってフランジを引くことによって
行われるものでなければならない。
ステアリングホイールのリリースはパワー回路を開かなければならない。
第14条
制動装置
制動装置は以下の要件を除き、自由である。
14.1 分離回路
14.1.1 少なくとも2系統の同一ペダルによって操作される回路が義務付けられる。
14.1.2 この2つの回路の間の接続として認められるものは、唯一前後の車軸の間の
制動力均衡を調節するための機械的システムである。
14.1.3 マスターシリンダーとキャリパーの間には一切の装置あるいはシステムは認
められない。
14.1.4 情報収集用のセンサー、ストップライトスイッチあるいは工具を利用して調
整可能な機械的制動圧制御は、
“システム”とはみなされず、それらはマスタ
ーシリンダーの出口間近に取り付けられなければならない。
14.2 ブレーキキャリパー
14.2.1 ホイールにつき、最大6ピストンの1つのキャリパーのみが認められる。
14.2.2 各キャリパーの断面は円形でなければならない。
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14.2.3 キャリパーの本体は弾性係数80Gpa以下のアルミニウム合金で製作され
ていなければならない。
14.3 ディスクブレーキおよびブレーキパッド
14.3.1 材質は自由
14.3.2 ホイールにつき最大1枚。
14.4 カーボンブレーキ装置(ディスクとブレーキパッド)
14.4.1 最大ディスク直径:15インチ
14.4.2 2回目の磨耗警告表示が使用前に見えないカーボンディスクは許されない。
14.5 アンチロックブレーキシステム
いかなるアンチロックブレーキ機能も禁止される。
14.6 パワーブレーキ
一切のパワーブレーキ機能は禁止される。
14.7 運動ERS装着車両
14.7.1 運動ERSが装着された車両については、第14.1項、14.2、14,3、1
4.4および14.5項が遵守されていることを条件に、特殊な制動システムが
認められる。
・ その機能は、車両の制動が、ドライバーにより与えられた指令に厳密に従
うことを確実にするものである。
・ その機能は、いかなる状況であっても、ドライバーに追加の支援を提供す
ることはできない。
このシステムはアクティブであってよい。
14.7.2 特に、このシステムは:
- 各車軸について、独自の油圧回路を持ち、左右に均等な油圧制動力を提供
するものでなければならない。
- 制動作用力が直接ブレーキペダル作用力と連携していることを確実にし
なければならない。
- 電気システムに問題が生じた場合、安全性を確保するために、それ以上の
制動力がERSシステムからあるいは高油圧制動装置からくることがなく
とも、ドライバーがプレーキペダルにかける力のみでキャリパーが起動す
る時、通常の作用と類似の減速レベルを達することのできる制動システム
の設計を確実にしなければならない。
- ホイールスリップに閉鎖ループ制御があってはならない。
14.8 制動圧
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FIAは、各キャリパーに供給される圧力および各ホイールに伝達される電気トル
クを監視する。
14.9 公認
車両の公認の前に、FIAはシステムを記載した完全な詳細書類一式と、システムが
規定に合致していることを証明するのに必要なシミュレーションを要求し、システム
の信頼性についての書類が製造者によって編纂されていることを求める。
また製造者によって提示される特殊なシステムによっては、FIAが検査を望む場合
のある追加のパラメーターをFIAが明らかにできる。
第15条
ホイール & タイヤ
15.1 ホイールの数および位置
15.1.1 数:4
15.1.2 タイヤは左右で同一でなければならない。
15.1.3 横から見て、ホイールアーチの内側のコンプリートホイールの周囲が見えな
ければならない。
15.1.4 上および前から見て、ホイールを車両が直進するように整列させた状態で、コ
ンプリートホイールとその取り付け部は、車軸中心線を通過する水平面の上
で見えてはならない(オプション1を選択の場合は、第3.4.6項に規定され
る切抜きを除く)。
15.2 寸法
15.2.1 ホイールハブの高さで水平に計測した、コンプリートホイール。
・ 幅(最大): 14"
・ 直径(最大): 28"
15.2.2 タイヤを取り除いたホイール重量(kg)
・ フロント(最低):7.5kg
・ リア(最低):7.5kg
15.3 材質
15.3.1 均質な金属製
15.3.2 ワンピース構造のホイール : 義務付けられる。
15.4 リム
15.4.1 フロントおよびリアの直径(最大):18"
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15.4.2 リム幅(最大):13"
15.5 リム端部は以下の通りでなければならない :
15.5.1 左右対称で、ホイールの内側と外側のリム端部の高さで計測した直径は、
公差+/-1.5mmをもって同一でなければならない。
15.5.2 最大で高さは19.2mmを上回ってはならない。
15.6 取り外し可能なホイール/ハブキャップ
認められない。
15.7 フランジ
15.7.1 車両に取り付けられた時に、ホイール組み立て品のあらゆる部分がリムの速
度で回転しなければならない。
15.7.2 横から見て、リムの総内部領域の最低50%が、直径150mmから400m
mの間で障害物なく見える状態でなければならない。
15.8 ホイールの取り付け
15.8.1 自由
15.8.2 シングルホイールナットを使用して取り付けられている場合、車両の走行中
は常に安全スプリング(赤またはデイグロのオレンジ色で塗装)がナットに取
り付けられていなければならず、ホイールを交換する都度取り付けなければ
ならない。
15.8.3 FIAに承認されていることを条件として、これ以外のホイール装着保持機
構を使用してもよい。
15.9 ホイールテザー(拘束ケーブル)
15.9.1 ホイールと車両との結合を保つすべてのサスペンション連結部が破損した際
にホイールが車両から外れるのを防ぐために、ホイール拘束ケーブルが収容
できるよう対策が取られなければならない。このホイール拘束ケーブルの目
的は、ホイールが車両から離れるのを防ぐためだけであり、それ以外の機能
がないこと。
15.9.2 それらの拘束ケーブルおよびその取り付け部も、事故の際のホイールとドラ
イバー頭部との接触防止に役立つように設計されていなければならない。
15.9.3各ホイールには、2本の拘束ケーブルが取り付けられていなければならない。
それらはFIA「8864-2013」基準に従って公認されていなければな
らず、FIAテクニカルリストNo.37に記載されていなければならない。
各ケーブルのエネルギー吸収は最初の400mmの変移について8kJ未満とな
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らないこと。
15.9.4 各拘束ケーブルの両端部には、以下のそれぞれ別個の取り付け部を有してい
なければならない。
・ 当該サスペンションメンバーの負荷ラインから計測し、45°の円錐形
(狭角)以内でいずれの方向にも、80kNの最低引っ張り強度に耐え得る
こと;
・ サバイバルセル上あるいはギアボックス上で、2つの取り付け部の中心
で計測して少なくとも100mm離れていること;
・ ホイール軸に関して少なくとも90°放射状に離れ、各ホイール/アッ
プライト組み立て上で、2つの取り付け部の中心の間で計測して100
mm離れていること;
・ ケーブルの公認ラベルの表示に従う最小内径の拘束ケーブル端部の取り
付け具に適合できること。
15.9.5 さらに、サスペンションメンバーは、1本を超える拘束ケーブルを含むこと
はできない。
15.9.6 各拘束ケーブルは、長さが最低400mmでなければならない。
15.10 圧力制御バルブ
認められない。
15.11 空気圧式ジャッキ
15.11.1 認められる。
しかしながら、スターティンググリッド上では、エアホースをエアジャッキ
に連結する連結機能は、エアホースが外された時に車両がエアジャッキ上に
保持されるシステムを有していなければならない。
15.11.2 このジャッキの操作のために、圧搾空気ボトルを車両に搭載することは認め
られない。
15.12 油圧あるいは電気式ジャッキ
認められる。
しかしながら、スターティンググリッド上では、ジャッキに吊り上げられている車
両が偶発的に落下する危険性がないように搭載の設計がなされていなければならな
い。
15.13 センサー
15.13.1 走行中の車両のタイヤ圧と温度を計測するセンサーが強く推奨される。
15.13.2 これらのセンサーが使用される場合は、故障がある場合にドライバーにそれ
を知らせる警告灯が最低でも1つなければならない。
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第16条
コクピット
16.1 コクピット
16.1.1 コクピットはドライバーの最大の保護体として備えられなければならない。
16.1.2車両の前後方向中心線を通過する垂直平面に対して左右対称に、第15.4項、
第17.6項および第18.3.1項に規定のあるショルダーサポートおよび/
あるいは義務付けられた保護体を除き、同一形状および寸法の2つの座席を
取り付けることが可能でなければならない。
16.1.3 ドライバーの両足は前部車軸中心線を通過する垂直面の後部に常に位置しな
ければならない。
16.2 ドライバーと同乗者の脚用容積
16.2.1 車両の前後方向中心線に対し左右対称で90°の角度を成す6枚の平坦な表
面により定義される同寸法の2つの容積が、双方の搭乗者の脚部に提供され
なければならない。
16.2.2 寸法
・ 長さ:ドライバーの足の最前位置からからステアリングホイール中心線
の垂直投影面まで。最前位置は、スロットルペダルを全開にした位置と
みなされる。
コクピット内の挿入物に関するペダルの図面は車両の公認書式に提供さ
れること。ドライバーの装備についての適応が予定される必要がある。
・ 最小幅:330mm
・ 最低高:350mm
16.2.3 これらの容積のなかに入り込むことが認められる構成部品
これらの容積のなかに入り込むことが認められる唯一の構成部品は以下のみ
であり、空間を横断する隔壁を含めてその他はすべて禁止される。
・ ステアリングコラムおよびそのユニバーサルジョイント。
・ ペダル。
・ ドライバーにとって危険でない場合に、サスペンションアーム取り付け点。
・ ウインドスクリーンのワイパー機構とそのモーター。
・ 空間容量の制御ができるよう取り外し可能な場合には、フットレストおよ
びドライバー用保護パッド。
・ 同乗者用空間に、オーガナイザーの装置およびエアコン付属品。
・ 同乗者用空間に、第17.8.12項に従って取り付けられたERS。その場
合、以下のように保護がなされなければならない。
・伝導部品の短絡を防ぐ。
・コクピットへの液体あるいはガス漏れの一切の危険性を除外する。
この保護は、絶縁性で、耐火性の頑丈な液漏れのない材質で製作されていなければ
ならない。
・
・
同乗者用空間に、第10.2項に従う補機用バッテリー。
パネルに取り付けられた運転に必要な器具および装置は取り外し可能で
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・
なければならない。
パッド付け:ドライバーに隣接する領域には保護用パッドが含まれてい
なければならない。
16.3 ドライバーと同乗者の身体用容積
16.3.1 コクピットは型板1の挿入が可能でなければならず、その寸法と位置は第3
図および9図に規定されている。この型板の最後点は、リアロールオーバー
構造体の前面の20mm前でなければならない(第9図)。
この検査のため、第16.5項に記載されている装置を取り外すことができる。
16.3.2 前部および後部、また側部で型板1範囲を定めているシャシー構造体のすべ
ての点は、基準面の上方少なくとも500mmになければならない。
16.4 ドライバーおよび同乗者頭部の容積
コクピットは型板2が挿入可能でなければならず、その寸法と位置は第4図および
9図に規定されている。この検査のため、第16.5項に記載されている装置を取り
外すことができる。
16.5 コクピット内の装置
16.5.1 以下が認められるが、第16.2項に規定される2つの空間容積の外側でのみ
とする:
・ 安全装置およびサバイバルセルの一部を構成しない構造体
・ 工具キット
・ 座席(含複数)
・ 運転に必要な制御装置
・ 電子装置
・ ドライバー用冷却装置
・ 飲料装置
・ バラスト
・ ジャッキ
・ 換気ダクト
・ ドライバープラグ識別装置
・ ドア施錠機構
16.5.2 第17.8.12項に従い搭載されている補機用バッテリーおよびERSはコク
ピット内に認められる。
16.5.3 これらの構成部品は、衝突の際にドライバーに危険のある場合、堅牢で効果
的な保護材質で覆われていなければならない。
16.5.4 コクピット出口に出入りの妨げとなるものが一切あってはならない(下記第
16.6.2項)。
16.5.5 コクピット内に認められる装置の取り付けについては、車検員の査察を受け
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なければならない。
16.5.6 以下が認められるが、第16.2項に規定されるドライバーの空間容積の外側
でのみとし、第16条7項1を遵守する:
・ エアコンの付属品
・ ドライバー冷房装置
・ 換気ダクト
16.6 コクピットの出入り
16.6.1 ドア開口部の大きさがコクピットの出入りに適切であることを確実にするた
め、それらは:
・ 型板5および6の挿入が可能でなければならない。その寸法と位置は第
6図に規定されている。
・ この検査のために、型板の低い表面部は基準面に平行に保たれ、それら
の後端は横方向に一直線にされる。
・ 型板は、その内側表面が車両中心線から150mm離れるまで横方向に
移動させられる(第6図参照)。
・ 座席とすべてのパッドは、その取り付け具も含め、取り外すことができ
る。
16.6.2 コクピット脱出時間
コクピットは、ドライバーが完全な運転用装備を身につけ、正常に運転位置に
着座しステアリングホイールを正しい位置に取り付け、シートベルトを締め
た状態から、最大7秒(ドライバー側より)、最大9秒(同乗者席側より)の
時間で脱出できるよう設計されていなければならない。
16.6.3 ヘルメット取り外し試験
ドライバーがレース状態の車両内の運転位置に正常に着座し、サイズにあっ
た頭頸部保護装置を取り付け、座席ハーネスを締めた状態で、医務要員1名が
レースでドライバーが着けている予定のヘルメットを、首部あるいは脊柱を
曲げずにドライバーの頭部から取り外すことができることを証明しなければ
ならない。
16.7 ドライバーの視界
16.7.1 コクピットは、型板2の前面が最小Z=585mmで、基準面と並行に位置す
るところまで、ウインドスクリーン開口部を通して第4図の型板3を挿入す
ることができなければならない。
この領域に侵入することが許される構成部品は:
・ コクピット換気のための前方視で高さが最大40mmのエアダクト。その
出口はドライバーの前方視界を縮小することはできない。
・ ウインドスクリーンワイパー
・ TVカメラ
・ マーシャルの表示、およびドライバーの表示のためのLED(マーシャル
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の表示と同じ高さ範囲内で、最大幅は25mm)
16.7.2 コクピットは、型板7および型板8(第7図に規定)をサイドウインドウを通
して、型板2の左右の面まで(第9図)挿入することができなければならない。
ドライバー頭部保護用のパッドとその支持部、ドア施錠機構および後方視界
ミラーを除き、一切の車体要素はこれらの2つの容積に認められない。
16.7.3 ダッシュボードで定められる水平面(Zダッシュボード)とZ=Zダッシュボー
ド+200mmによって定められる平面との間で、ヘッドレストの前面を通
過する左右方向の垂直面の前では、以下の構成要素のみが進入することが認
められる:
・ Aピラー
・ ドライバー頭部保護用のパッドとその支持部
・ 後方視界ミラー
・ ウインドスクリーンワイパーおよびその機構
・ ステアリングホイール
・ ピトー管
・ アンテナ
・ 正面視覚で最大高40mmのコクピット換気用のエアダクト。その出口
はドライバーの前方視界を最小化することはできない。
・ 中立化および消火器のスイッチ
・ ドライバーの前方視界を妨げない場合は、カメラ画像を表示する任意の
スクリーン
・ ドライバーの前方視界を妨げない場合は、マーシャルシステムの表示部
・ ヘッドアップ表示用の透明パネル
・ ドア機構、ヒンジおよびダンパー
・ ドライバーの前方視界を妨げない場合は、飲料装置およびその連結部
・ フロントフェンダー、但し、Z=695mmに位置する水平面より下のみ
・ ウインドスクリーンの局所的固定具、但しそれらがZダッシュボードの2
0mmより上に局所的に突き出していないことを条件とする。
・ 窓ガラスは、透明な材質でのみ実施されなければならない。ドアおよび
ウインドスクリーンにその他の材質による補強が必要な場合は、第4図
で規定される型板3の挿入、および第7図で規定される型板7および型
板8の挿入について実施されなければならない。
16.7.4 コクピット内のドライバーの位置および視界領域(第7図):
・ ヘッドレストのパッドの最前点は、リアロールオーバー構造体の最前面
を通過する左右方向の垂直面の最低95mm前方でなければならない(第
8図)。
・ 着座したドライバーのヘルメットは、ヘルメット上の、リアロールオー
バー構造体の前後の頂部をつなぐX-Z面内に配される一切の線から最小8
0mm、最大100mmの垂直距離になければならない(第8図)。
・ ステアリングホイールの中心は、車両の前後方向の中心線から最小15
0mmに位置すること。
16.7.5 ダッシュボードの端部は、少なくとも:
・ 操作位置に関わらず、ステアリングホイールの前から50mmになけれ
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・
ばならない。
基準面から585mmになければならない。
16.8 コクピット内部の温度
16.8.1 有効な自然または強制換気および/あるいは空調システムは以下の通りでな
ければならない。
・ ドライバー周囲の大気温を車両走行中以下のように維持しなければなら
ない。
・ 大気温(*)が25℃以下である場合に、最大32°C
・ 大気温が25℃を上回っている場合には、大気温+7℃以下の温度(*)
・ 車両が停止して遅くとも8分後に上記に決められた値(ケース1あるいは
2)まで温度を下げられなければならない。
・ 公認書式に記載されなければならない。
16.8.2 温度センサーは、オーガナイザーによりコクピット内部の車両中心線上のド
ライバーヘルメットの高さに取り付けを義務付けることができる。
・ このセンサーは直接風を受けないよう遮蔽されなければならない(車検員
の査察を受ける)。
・ (*)大気温は日陰で風のないところで計測される。
この気温は公式計時モニターに表示される。
16.9 コクピットは、液漏れが生じた際に内部にそれが堆積していくことがないような設
計でなければならない。
第17条
安全装置
17.1 一般
一般的原則として、車両が安全な構造であることを実証するのは競技参加者の責任
である。
17.2 消火器
17.2.1 以下の製品の使用は禁止される: BCF、NAF
17.2.2 すべての車両には、第253条7項に従ったFIA公認の消火装置が装備さ
れていなければならないが、外側からの起動の方法については除く。
外部の消火器スイッチ:
マーシャルが外側から装置を起動できるよう、2つのスイッチは:
・ 車両の左右に1つずつ、車両中心線に左右対称に、Zダッシュボード+4
0mmの下の線の下方で、Aピラーの前方で、サバイバルセルに固定して
配置されなければならない。
・ ドア開口部から350mm未満でなければならない。
・ 次のように設計されなければならない:
- 車両内部のすべての電気回路(補助およびパワー回路)を切りESをパ
ワー回路から絶縁できるように。
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-
第11.3.2項に定められた装置によりトランスミッションとの接続
を切り離すことができるように。
- 消火器が起動するように。
・ マーシャルが偶発的にパワー回路に電圧を再び加えることが出来ないよ
うに。
・ 離れた位置からフックにより操作できるハンドルあるいはリングが取り
付けられる。
このハンドルあるいはリングは、最低100mm直径の赤く縁取りされた白
色の円の中に赤字で"E"と示したマークと、ハンドルあるいはリングを指し示
すように配置した赤い矢印で表示されなければならない。
それは輝度反射特性でなければならない。
17.2.3 ハイブリッド車両:
燃料火災の消火に使用でき、搭載されているERSの化学的性質と混合するこ
とがあっても化学反応を起こさない、パワーバスのボルト数レベルに特定さ
れた、ABC消火器タイプのみが認められる。
17.3 安全ベルト
17.3.1 2本の肩ストラップ、1本の腹部ストラップおよび脚の間に2本のストラッ
プが義務付けられる。
17.3.2 これらのストラップはFIA基準8853-98に合致していなければなら
ない。
17.3.3 2つのバックルを備えた安全ベルトは禁止される。
17.3.4 安全ベルト取り付け点は、25Gの減速度に耐え得るものでなければならな
い。
17.3.5 肩ストラップに取り付けられた伸縮性のコードは禁止される。
17.4 後方視界ミラー
17.4.1 2つの後方視界ミラー(車体両側にそれぞれ1つ)が後方の効果的視界を提供
しなければならない。
17.4.2 車検員は、正常に着座したドライバーが後続車を明瞭に視認できることを、
実証テスト証明により確認しなければならない。
この目的ために、ドライバーは、以下の指示に従い車両後方に置かれたボー
ド上に任意に表示される高さ15cm幅10cmの文字または数字を識別す
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るよう求められる :
- 高さ : 地面より40cm~100cm
- 幅 : 車両中心線の何れかの側から2m
- 位置 : 車両の後車軸中心線後方10m
17.4.3 最小面積:各ミラー100cm2
17.4.4 昼間/夜間モードがなければならない。
ミラーにフィルムを追加することができる。
17.5 カメラ
17.5.1 後方および左右の視界のため、車両およびコクピット内のスクリーンにカメ
ラを追加することが認められる。スクリーンは昼間/夜間モードがなければ
ならない。カメラは車両の公認の際に特別な許可が与えられていることを条
件に車両の最大高を超えることが認められる。
それらの設計の目的は、空力的利益を生むものであってはならない。
17.5.2 カメラは昼間/夜間モードがなければならない。
17.6 ヘッドレストおよび頭部保護体
17.6.1 すべての車両は、以下の条件を満たすドライバー頭部保護のための3箇所の
パッド域を装備しなければならない :
・ "Confor"CF45(青)
(FIAテクニカルリストNo.17)の仕様に応じた
素材で製作されていること。
・ ドライバーの頭部が接触する可能性のあるすべての領域にわたり、重量
で50%(±5%)の硬化樹脂含有量のある、60g/m2の平織構造の、
2積層アラミド繊維/エポキシ樹脂複合基材プリプレグ材質により作ら
れたカバーが装着されていること。
・ アラミドカバーの表面加工は、ヘルメットの接触表面上の塗装および追
加の噴射スプレー塗装以外一切認められない。使用済みの製品は、ヘル
メットとの接触する際に表面の摩擦を最小限にできるものでなければな
らない。
・ ドライバーの頭部が事故衝撃を受け、これらの保護体方向へ頭が投げ出
された際に、ヘルメットが最初に接触する位置に配備されること。
車両上のヘッドレスト支持具(含複数)は、スポーツカーの安全構造の承
認手順(製造者のみ、FIA技術部より要求次第入手可能)に従い、FIAによ
り承認されなければならない。
予定された試験日より、最低でも8週間前の通知がなされる。
17.6.2 ドライバーの頭部が接する最初のパッド領域は、ドライバー後方に、75m
m~95mmの厚さを少なくとも40,000mm2の面積に渡り配置させな
ければならない。
リアロールオーバー構造の最前面に関するドライバーヘルメットの位置は第
16.7.4項に従う。
力の拡散をより良く行うために、発泡フォームを支持するサバイバルセルの
領域を材質の追加により増大させることができる。
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17.6.3 この材質は接着されなければならない。
17.6.4 ドライバー用にさらに2箇所のパッド領域が、ヘルメット両側に沿って配置
されなければならない。
それらは、その2箇所の間の距離が、チーム専任ドライバーで最も小さいヘル
メットの各側面に50mm以下のクリアランスができるように配置されなけ
ればならない。それらのヘッドレストパッドの最前点からの最小の全長は2
60mmでなければならない。
17.6.5 各パッド領域は、少なくとも25,000mm2の面積に渡り75mm~90
mmの厚みを有していなければならない。
17.6.6 厚みの計測は、前後方向の垂直面に直角に行われる。
17.6.7 さらに、レスキュー隊員の利便性のために、上述のパッド取り外し方法が明
確に示されていなければならず、取り付け部品はシグナルカラーの矢印でマ
ーキングされていなければならない。
17.6.8 上述のパッドのいかなる部分も、ドライバーが正常に着座し、車両の上から
まっすぐ見下ろした際に、ドライバーのヘルメットのどの部分も遮ることが
あってはならない。
上述のパッドのいかなる部分も、ドライバーの横方向の視界を制限すること
はできない。
17.7 予期せぬ車両の動き
装置は、ドライバーが完全に運転席に着座していない時はいつでも車両の動力によ
る移動を防止しなければならない。
17.8 一般電気安全
17.8.1 安全/活電信号
安全/活電信号は、いかなる事象が発生しても、ERSステータスと直接連結し
ていなければならない。
電力回路上での作業は、生命の危険があり得ることを明確に示すため、車両に
は以下の照明による表示が取り付けられていなければならない:
- ダッシュボード上では、1つの緑色の表示灯(二重のライトで成る)と1つ
の赤色の表示灯(二重のライトで成る)。
- 外部の総合サーキットブレーカーの付近に、1つの緑色の表示灯(二重のラ
イトで成る)と1つの赤色の表示灯(二重のライトで成る)。同じライト表
示灯が、車両の前後方向軸に対して左右対称の位置に配置されなければな
らない。
- これらの表示灯の代わりに、冗長性の明るい多色LED(緑色/赤色のLED)
を利用することが認められ、またそれが適切である。
- ダッシュボード表示灯は2つの明度(夜間および昼間)を提供する。
ライトはシステムの状況に応じて以下のモードにより操作しなければならな
い:
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ライト状況
緑色
赤色
ERS状況
安全
危険(システム不良)
注:ライトが消えた場合、あるいは緑色または赤色以外の色である場合、シ
ステムは安全でない状態であるとみなされなければならない。
ライトは、エンジンが停止して車両が止まっても、最低15分間は電力が供
給されている状態を保たなければならない。
17.8.2 一般
ハイブリッドシステムのある1箇所の不具合が、人命を危険に陥れる電気シ
ョックを引き起こさないこと、および、通常の作動状況であっても、予測でき
る不具合があった場合でも、使用される構成部品がいかなる状況でも(雨天な
ど)負傷の原因とならないことが確実にされなければならない。
人体あるいは物体を保護するために使用されている構成要素は、適切な長さ
の時間にその目的を確実に遂行できることが確実にされなければならない。
突き出した状態の活電金属部あるいは伝導部がシステム内にないこと。
電力回路のボルト数は50ボルトを越える場合、
「高電圧"High Volt
age"」の警告シンボルが高電圧を帯びるすべての電気装置(ケーブルを除
く)の保護カバーの上あるいは近くに表示されなければならない。ただしオレ
ンジ色のケーブルに直接つながる連結部は除く。このシンボルマークは黒で
縁取られた黄色の三角形に黒の稲妻模様で成っていなければならない。三角
形の一辺は、最低12cmでなければならない。12cmの三角形が適用でき
ない場合、一辺を8cmまで減らすこと、あるいは構成部品全体を黄色に塗装
し中央に黒の稲妻を描くことが認められる。
すべてのハイブリッド車両は、低電圧搭載の標準化および制御に関する国内
当局の規定を遵守していなければならない。同様に、IEC(国際電子技術委
員会)の規定(例:IEC529、718、783、784、785および7
86)あるいは国内代表規定あるいはIECの加盟国規定(例:VDE/SE
V)が遵守されなければならない。
あらゆる細部の定義について、正確な義務的要求を行うこと無く、車両製造者
は安全な車両を製作する恒久的責任がある。
ハイブリッド装置のどの部分であっても、1000vを越えるボルト数があっては
ならない。
17.8.3 埃と水に対する保護
電子装備のすべての部分は、少なくともIP44タイプの保護(防塵および防
沫)を使用した保護がされていなければならない。IP55タイプの保護(完
全な防塵および流水に対する耐久性)がコクピット内で使用されなければな
らない。
17.8.4 電力回路アースの基準
車体のすべての主要な伝導部品は、等電位結合を得るために適切な寸法のワ
イヤーなどで接続されていなければならない。
シャシーあるいは車体のいかなる部分も電流リターン経路として使用されな
いこと。
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ネットワーク内の高電流配電は、電流フローによる偏移が生じないよう、環状
ではなく星形結線としなければならない。これより電位基準の星形点は「電力
回路アース」と呼ばれる。
17.8.5 シャシーと電力回路の間の絶縁抵抗
電子監視装置が、シャシー(車体)の伝導部品と電力回路の間の絶縁抵抗Ri
soを計測しなければならない。最低絶縁抵抗Risoは10,000オーム
(50V@5mA)を超えていなければならない。電子監視装置が絶縁不備を
検知した場合は、すべての高電圧エネルギー源(ES、発電機)は300ms
未満内にHSCにより電力回路から切り離されなければならない。
衝突により車体が変形した場合、電力回路はシャシー電位と電気的につなが
る可能性が高い。その場合、電子監視装置はHSCによってすべての高電圧エ
ネルギー源スイッチを自動的に切る。このように、監視装置は衝突衝撃検知器
の冗長性をもった起動装置としても追加的に機能する。シャシーアース、電力
回路アースあるいは一切の電力回路電位へつなげることは禁止される。
17.8.6 電気ケーブル
各電気ケーブルは当該回路内で充電される電流量に適したもので、適切に絶
縁されていなければならない。
すべての電気回路は、個々の伝導体の内径およびそれらが伝える電圧と電流
に従い定格された過電流トリップによって保護されていなければならない。
ワイヤーおよびケーブルを含む電気装置のそれぞれの部分は、すべての活電
構成部品と車体との間の最低絶縁抵抗を有していなければならない。
300ボルトまでの電圧がかかるすべての装置について、絶縁抵抗は250
kΩ以上有していなければならない。
300ボルトを超える電圧がかかるすべての装置について、絶縁抵抗は50
0kΩ以上有していなければならない。
絶縁抵抗の計測は、少なくとも100ボルトの直流電圧を使用して実施しな
ければならない。
試験は、車両の絶縁抵抗をウエットコンディションで確認し、定量化するため
に実施される。
17.8.7 絶縁抵抗
すべての電気的活電部品は、偶発的接触に対する保護がなされていなければ
ならない。塗装や、エナメル、酸化物、ファイバー被覆(含浸していても、い
なくても)、または絶縁テープなどの、機械的抵抗の不十分な絶縁素材は認め
られない。
電気的な伝導力のあるシャシーフレームは、車体および安全構造体と同様に
シャシーアースに接続され、電力回路アースから絶縁されていなければなら
ない。
17.8.8 電力回路配線
30mAを超える電流容量の電気的構成要素(モーター、発電機、断流器およ
びERSなど)につながるすべてのケーブルおよびワイヤーは、以下を検出する
ために保護されなければならない:
・ 電力ケーブルの破損あるいは切断。
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・ 保護ケースの開放。
センスワイヤーの使用が推奨される。
絶縁故障あるいは電力ワイヤー破損の場合、電子監視装置は総合サーキット
ブレーカーの接触器などによって、電力回路からすべてのエネルギー源(ERS
および発電機)を切り離さなければならない。
電力回路のすべてのワイヤーの色はオレンジでなければならない。
ストレス(機械、熱、振動などによる)のかかる電力回路のワイヤーは、適正
なケーブルガイド、覆いおよび絶縁導管の中に保護されなければならない。
電気回路のすべての覆いのない接続部は、キャップを付けなければならない。
電力回路の接続部でキャップの取り付けのないものがある場合、あるいは電
力回路接続部が活電状態で切り離されている場合、自動システムがそれを検
出しなければならない(活電接触の断線は、例えば電力連結器内のショート警
報などにより検出できる)。そのような場合、ERSは直ちに(50ms未満で)
電源を切るか、電力回路から切り離されなければならない。
総合サーキットブレーカー("緊急停止スイッチ")
総合サーキットブレーカーは:
- 電力回路のすべての電気的エネルギー伝達(ERSから電子装置および電気
モーターなどの負荷へ)を遮断するためにHSCを起動させなければならな
い。
- 補機用回路のすべての電気的伝達を遮断しなければならない(補機用バッ
テリーおよび発電機から照明、警笛、点火、電気制御系などの負荷へ)。
そして、
- エンジンを停止させなければならない。
電気的な制御を受ける噴射装置のないディーゼルエンジンについては、総合
サーキットブレーカーは、エンジンへの空気取り入れを遮断する装置と組み
合わされていなければならない。
総合サーキットブレーカーは、ドライバーのマスタースイッチとして利用さ
れてはならない。
すべての車両は、ドライバーが通常の正しい位置に安全ベルトを締めて着座
した状態で、ステアリングホイールを所定位置に取り付け、運転席から容易
に起動ボタンを操作できる、また外側からも起動でき、すべての電気伝導装
置(内燃エンジンへの補助用電力を含めたすべての電気回路)を遮断するため
の、十分な容量の総合サーキットブレーカーを装備していなければならない。
しかしながら、このサーキットブレーカーを取り付けることによって、主要
電気回路がドライバーや外部のスイッチに近く配置されるような結果になら
ないよう配慮されなければならない。
このハンドルあるいはリングは、白で縁取られた青色の一辺が最低12cm
の三角形の中に、赤い稲妻のサインで示されなければならない。
小規模な衝突では、エンジンおよび電力回路のすべてのエネルギー源は、電
気スイッチあるいは接触器により自動的にスイッチが切られなければならな
い。
大規模な衝突では、エンジンのスイッチが自動的に切られ、エネルギー供給
ケーブルはERSの内部で自動的に切り離されなければならない。これらの準
備は公認に提出される故障モード解析によって確認されなければならない。
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17.8.9 過電流トリップ(ヒューズ)
ヒューズおよびサーキットブレーカー(これは決してモーターサーキットブ
レーカーではない)は過電流トリップ装置とみなされる。追加の速断電子回路
ヒューズおよび速断ヒューズは適切である。
過電流トリップは、ES格納器の中で、両端子部でESにできるだけ近づけて、
各電力回路内の適切な位置に取り付けなければならない。
過電流トリップはいかなる状況であっても、総合サーキットブレーカー("緊
急停止スイッチ")に置き換えてはならない。
17.8.10
ERSの二重安全
ERSはバッテリー監視電子機器(BSE)あるいはアキュムレーター以外の
ESシステム用の適切な装置によって保護されていなければならない。この制
御システムにより、一切の誤用あるいはERSの過負荷が防がれなければなら
ない。
内部的な技術リスク(過負荷故障、速度超過、低電圧故障、熱暴走など)を技
術的に呈する一切のERSは、それ自体にエネルギー貯蔵要素の製造者によっ
て提供される安全システムを備えていなければならない。貯蔵室内では、制御
システムから分離独立したこの安全システムがシステムの典型的パラメータ
ーを精査し、故障や強すぎる要求があった場合に、熱暴走、爆発あるいは内破
を防ぐために停止しなければならない。
個別の独立した制御システムの監視装置が、単独のセル時あるいはシステム
の機能不全時に、システムを機能停止させるために、セル電圧および温度を監
視すること。
バッテリーパック内のバッテリーまたはキャパシタセルの組み合わせは、適
切な技術のある製造者によって実施されなければならない。
バッテリーパック、モジュールおよびセルの仕様は、生産されたバッテリーパ
ックの安全性を立証する上述の製造者が提供する書類とともに、事前に公認
グループによって検証され承認されなければならない。
17.8.11 ドライバーマスタースイッチ(DMS)
すべての車両は、ドライバーマスタースイッチの取り付けがなければならな
い。
DMSは、一切の偶発的切り替えがないよう、機械的に保護されていなければ
ならない。
DMSは、ダッシュボード上に配置されなければならない。
それは、通常に着座したドライバーがいつでも操作することができなければ
ならない。
DMSは、決して総合サーキットブレーカーの代用とすることはできない。
17.8.12
ERSの設計と搭載
車両は本条項に定められる規定に合致しなければならない。
・ 公認されたERSのみが使用できる。
・ ERSは車検にて検査を受け、封印されなければならない。
・ ERSの一切の構成部品は、車両のサバイバルセルの範囲内に納めることが
できる。ESは車両のサバイバルセルの範囲内に納めなければならない。
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車両のサバイバルセルの範囲内に納めERSの一切の構成部品は、衝突試験
中、シャシーの内側に固定されなければならない。ERSがサバイバルセル
の外側に取り付けられる場合、製造者は、車両に搭載されたERSが、衝突
の衝撃を受けたときも、取り付け装置およびその固定点が破損しない(緩ま
ない)ように設計されていることを、いかなる方法によっても、証明しなけ
ればならない。
・ あらゆる場合において、ERSの電気的安全性同様に機械的安全性がすべて
の状況において確実にされていることを製造者は証明しなければならない。
・ ERSの格納室はERSの電極および伝導部品の短絡を防ぐような方法で設計
されていなければならず、ERS液あるいは発散ガスがコクピットに浸透す
る一切の可能性が排除されなければならない。
・ この格納室はERSを完全に取り囲んでいなければならず、絶縁性で、耐火
性の頑丈なERS液漏れのない材質で製作されていなければならない。固い
仕切り隔壁が、ERS配置域とコクピットを分離していなければならない。
この規則は、第7.3.1項、7.3.3項、7.3.4項、9.1.1項、9.1.3項の
要件が満たされていることを条件に、第7.3.2項および第9.1.2項の例外
を確立する。
・ コクピット内に配置されたそれぞれのERS格納室は、車体の外側に出口を
もつ換気孔を含んでいなければならない。エアダクトの寸法および換気フ
ァンの力は、発火性、伝導性あるいは毒性のガス/空気の集中がERS内に
あるいは車両近くの環境に起きないよう十分でなければならない。
・ ESには、バッテリーの安全を確実にするために冷却装置を取り付けること
ができる。この冷却装置は:
- 車両の一部を構成していなければならない。
- 特定のファンを含むことができる。
- ピットストップ中も機能し続けることができる。
- 一切のERS格納室を冷却できる。
- その他の冷却回路とは独立していなければならない。
・ 重大な衝撃を受けた場合、ESの収容隔壁(あるいはそれが2つまたはいくつ
かの部分に分かれている場合はESの一切の部分の収容隔壁)の完全性と、
その電気絶縁性も確実にされなければならない。しかしながら、電気化学
的および誘電性ESに関して、電気絶縁の損失は、50ボルト未満の電圧の
要素内で、損失内容の自動的分離を決定することを条件に受け入れられる。
従って、電力回路の2本のケーブルの間の最大ボルト数は、50ボルト未
満のボルト数に保たれ、安全であるとみなすことができる。
・ ESは、容易に取り外すことのできるメインコネクターか、単独の絶縁キー
あるいはプラグのいずれかの備えを使用して電力回路から手動で絶縁する
ことができなければならない。
・ ES格納室は、以下のような2つ以上の独立した回路を内部に含んでいなけ
ればならない:
- 出力端子に少なくとも1つのヒューズ(電力ケーブルの接続)。
- ESの電気回路との接続を絶つために電気的に作動する少なくとも1つ
の接触器(総合サーキットブレーカー)。
- 重大な衝撃を受けた場合にESを分離するためのデトネーター。
・ これらの手配は、公認により提示される故障モード解析により有効とされ
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なければならない。
二重絶縁:
2箇所の絶縁バリアを、電気回路の伝導要素(ERS、ワイヤーなど)とその最
も近くの環境(シャシーアース、機械部品、作動装置など)との間に置かなけ
ればならない。各バリアは、これらの要素の電圧領域に要求される絶縁容量
を有するものであること。
・ 各ERS格納室には、適用の場合にはISO7010に定められるように“高電圧
High Voltage”または一般的警告のシンボルが表示されていなければならな
い。
フライホイールシステムの特別規定:
フライホイール格納部はシステムの損傷(例:フルスピードでのローター衝突)
が起きた場合にも、破損することのない十分な強度を持っていることを、い
かなる方法であっても証明するのは競技参加者の責任である。フルスピード
状態のフライホイールが、車両のシャシーに実施された衝突試験の間に記録
された最大減速度と少なくとも同等な減速力を受けた場合に、一切損傷があ
ってはならない。
・ フライホイールシステム格納部は、大きな火災の場合に、フライホイールが
回転を止める前に溶融があってはならない。
パワーバス:
パワーバスに属するキャパシタ全域のボルト数は、少なくとも1つのエネル
ギー源(発電機、ERSおよび充電ユニット)をパワーバスから、以下のいずれ
かの方法により分離後2秒以内に50ボルトを下回ること:
・ 総合サーキットブレーカー
・ ドライバーマスタースイッチ
・ ERSの過電流トリップ装置の作動。
ケーブル、配線および電気装置:
・ ブレーキ配線、電気ケーブルおよび電気装置は、一切の損傷の危険性(石、
腐食、機械的破損など)から、また車体内に取り付けられる場合は、火災お
よび電気的衝撃の一切の危険から保護されなければならない。
17.9 牽引フック
前後の牽引フックは以下の通りでなければならない :
・ 堅牢で鉄製であり、破損の可能性のない内径80mm~100mm厚さが最低
5mmであること(マーシャルの使用するストラップを切断したり損傷すること
のないよう丸みを帯びた断面)。
・
金属製の堅牢な1つの部品でシャシー/構造体に確実に固定されていること(ケ
ーブルフープは認められない)。
・
上から見て車体の外周辺の内側にあること。
・
外側から見え、容易に確認でき、黄色、赤色あるいはオレンジ色に塗装されて
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いること。
・
グラベルベッドに停止した車両を牽引できること。
牽引フックが車体に統合されている場合、グローブをはめたマーシャルがそれらを
引き出すためのテープ/ハンドルがなければならない。このテープ/ハンドルはシグナ
ルカラーでなければならない。
透明でないテープや牽引フックを覆うカバーは厳禁とされる。
シグナルカラーの牽引フックは車体上に車体上にフックのどの部分を掴むかを示す
矢印(シグナルカラーであるか、輝度反射特性のもの)がなければならない。
17.10
車両を吊り上げる装置
車両をクレーンで吊り上げるために、車両頂部に2箇所の固定点を設置することが義
務付けられる。
これらの固定点は、車両の頂部構造体に統合された2つの吊り上げ用ブッシュでなけ
ればならない(付則L比較参照)。
それらにより、車両を地上1.5mの高さに安全に吊り上げることができなければな
らない。
燃料タンク半量を満たした完全な状態での車両の角度は(吊り上げられた時に)25
度未満でなければならない。
ブッシュは利用しやすい位置にあり、特別なマーキングで示されていなければならな
い。
2つのブッシュは、開口部周囲を5mm厚みの円でマーキング(シグナルカラーであ
るか、輝度反射特性のもの)されていなければならない。
開口部域は、吊り上げピンを挿入する必要がある場合、それの障害とならないよう、
走路からの破片飛散の危険性に備えて覆われていなければならない。覆いとなるス
テッカーは、グローブをしたマーシャルが穴から容易に剥がすことができ、正確で
完全な吊り上げピンの挿入ができるようなものである必要がある。
堅牢なカバーは一切禁止される。
ブッシュが横から見て見えない場合、横から見えるように(片側に1つの)矢印(シ
グナルカラーであるか、輝度反射特性のもの)が利用されなければならない。
それらの相対的距離は、吊り上げブーム上の距離に対応していなければならない:3
20~400mm。
ブッシュの最大角度は垂直に対して45度である。
17.11 スイッチのレバーやプッシュボタンの粘着性のある覆いはいかなるタイプのものも
安全性のため厳禁とされる。
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第18条
安全構造体
18.1 後部衝撃吸収構造体
18.1.1 ギアボックスの後方で、車両中心線に左右対称に、衝撃吸収構造体が、その
最後面の中央を基準面上方250mmから300mmの間にして、またリア
ホイール中心線の後方575mm以上に取り付けられなければならない。
この構造体は車体の構成要素と見なされる。
18.1.2 この構造体は、使用中想定される温度に大きく影響を被ることのない材質で
製作されていなければならない。
この構造体に追加して取り付けが認められる構成要素は唯一、リアウイング
ピラー、ジャッキ、牽引フック、エンジンカバーおよび床および/あるいはリ
アディフューザーである。
18.1.3 後部衝撃構造体の承認
・ 後部衝撃構造体は、スポーツカーの安全構造承認手順(製造者のみ、要求次
第FIA技術部より入手可能)に従い、FIAによって承認されなければな
らない。
・ 予定される試験日程の少なくとも8週間前に通知される。
18.2 ロールオーバー構造体
2つの安全ロールオーバー構造体(前部および後部)が義務付けられる。
それらは以下の通りでなければならない :
・
・
・
前部では幅最低300mmに渡って基準面上方に少なくとも950mmで、後
部では幅最低400mmに渡って基準面上方に少なくとも935mmであるこ
と。
最低600mm(クローズドカーでは600mm)離れていること。
車両の前後方向酢直面に対して左右対称であること。
18.2.1 後部ロールオーバー構造体
後部構造体も、以下の通りでなければならない。
・ サバイバルセルの取り付け部の高さにおいて計測し、全長が最低300mm
であること(つまり、基準面から最低500mm)。
・ ロールオーバー構造体は、車両を直接上から見た時に、エンジン(エンジン
ブロックおよびシリンダーヘッド)のどの部分をも遮ってはならない。
前から見て、この構造体は前後の車両中心線に左右対称でなければならない。
18.2.2 ロールオーバー構造体の承認
・ 各ロールオーバー構造体は、スポーツカーの安全構造体の承認手順(FIA
技術部より、要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、FIAによって承認
されなければならない。
・ 予定される試験実施日の遅くとも8週間前に通知される。
18.3 サバイバルセルおよび前部衝撃吸収構造体
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18.3.1 一般規定
・ シャシー構造体は、燃料タンクを含むサバイバルセルを含み、ドライバー
の足が最も前にある状態で、ドライバーの足の少なくとも150mm前の
垂直面から燃料タンクの後方へ伸張していなければならない。
・ サバイバルセルは、コクピット出入り部全長に沿って最低500mmの高
さで側方保護を提供していなければならない。
・その側方保護体の垂直の外側壁は、横方向に最低900mm互いに離れて
いなければならず、これがコクピット出入り部の長さの最低80%となる
こと。
・1枚の補助パネルが、サバイバルセルに統合されるか、またはその左右そ
れぞれに恒久的に、適切な接着剤を用い(付則Ⅰの仕様)、すべての重複接
合部を含めて表面全体に渡って適用され(下記に定められる)貼り付けられ
なければならない。
それは、最大で3つの部分で構成され、その仕様は付則Ⅰに従っていなければ
ならない。
2つ以上の部分で構成される場合、すべての接合隣接部は最低25mmに渡っ
て重複させなければならない。これらの重複部は両方の部分の厚みの線形率
逓減部も含むことができる。
横から見て、それは以下の通りでなければならない:
- X軸方向で、ドライバーの脚用と同乗者の脚用の容積(第16.2項に定める)
の前部面との間にある領域を、後部ローローバー構造体の前方の面までを
覆う(第8図)。
25mmの水平線形逓減部を両端に含めることができる。
- Z軸方向で、ステアリングホイールとドライバーの脚用と同乗者の脚用の容
積(第16.2項に定める)の前方面との間にある領域内で、この容積の底
面から上面まで伸張していなければならない。
- Z軸方向で、ステアリングホイール後方の、後部ロールオーバー構造体前部
面までの領域で、基準面上方50mmから450mmまで伸張していなけ
ればならない。
- Z軸方向で、ステアリングホイールと、座席ベルトストラップ固定部(いつ
くかの位置が可能である場合は、最も前の位置)の中心を通る平面との間の
領域で、単一の直線によって低い2つの端部を連結することが認められる。
配線の穴および必須の取り付け具のため、片側で合計40,000mm2の切抜
き部をこのパネルに作ることが許される。
・ サバイバルセルの前方には特別な衝撃吸収構造体の取り付けがなければな
らない。この構造体はサバイバルセルに統合され一体となる必要はないが、
セルに確実に固定されていなければならない。
18.3.2 サバイバルセルと前方衝撃吸収構造体の承認
・ サバイバルセルと前方衝撃吸収構造体は、スポーツカーの安全構造体の承
認手順(FIA技術部により、要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、F
IAによって承認されなければならない。
・ 予定される試験実施日の遅くとも8週間前に通知される。
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18.4 改造
FIAに承認された安全構造体についての一切の改造は、FIA技術部に車両製造
者が提出しなければならない。
FIA技術部は、改造の承認のために新規試験を受けることを要請する権限を留保
する。
18.6 マグネシウム
厚さ3mm未満のシート以外は認められる。
18.7 防火壁
18.7.1 エンジン室よりコクピット内に火炎が侵入するのを防ぐ完全に密封された金
属製の防火壁が義務付けられる。
18.7.2 耐火性のサンドイッチ構造素材から成り、金属製粘着シートにより覆われた
隔壁が認められる。
18.7.3 防火壁に開けられる一切の穴は、制御系および配線を通すための最小限のも
のでなければならず、完全に密封されなければならない。
第19条
燃料
19.1 燃料供給
19.1.1 オーガナイザーはガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンにそれぞれ1
タイプのみの燃料を提供する。
19.1.2 それらは販売されているものでなければならない。
19.2 仕様
19.2.1 ガソリン
20%がバイオ基礎燃料。
19.2.2 ディーゼル
10%がバイオ基礎燃料。(FAME-脂肪酸メチルエステル含有なし)
19.3 その他の燃料
その他の燃料の使用については、特別申請を耐久コミッティおよび必要な場合はAS
Nにも提出し合意を得ること。
第20条
終局条文-係争
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20.1 言語バージョン
規則の実施および解釈についてはフランス語版のみが有効とされる。
2016年1月1日適用の変更
・・・・・・・・・・・・・・・
3.5.6 スキッドブロック
・・・・・・・・・・・・・・・
c/ 下から見て、スキッドブロックを基準面に固定する留め具は:
・・・・・・・・・・・・・・・
c.3 スキッドブロックが新しい場合にはブロックの全体の低部表面が車
両の下側から見え、底部表面と同じ平面となるように、基準面の下
側面より19mm以下に取り付けられていなければならない。
8.1.3
自動閉鎖カップリングあるいは針金で固定されたネジ留めのコネクターのつ
いた油圧液配管のみがコクピット内に許可される。
15.9.4 各拘束ケーブルの両端部には、以下のそれぞれ別個の取り付け部を有してい
なければならない。
・ 当該サスペンションメンバーの負荷ラインから計測し、45°の円錐形
(狭角)以内でいずれの方向にも、80kNの最低引っ張り強度に耐え得る
こと;
・ サバイバルセル上あるいはギアボックス上で、2つの取り付け部の中心
で計測して少なくとも100mm離れていること;
・ ホイール軸に関して少なくとも90°放射状に離れ、各ホイール/アッ
プライト組み立て上で、2つの取り付け部の中心の間で計測して少なく
とも100mm離れていること;
・ ケーブルの公認ラベルの表示に従う最小内径の拘束ケーブル端部の取り
付け具に適合できること。
2017年1月1日適用の変更
・・・・・・・・・・・・・・・
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LMP1規則(2014年)
付則
No.
付則
A
給油
B
ル・マンサーキットについてのエネルギーおよびパワーの値
C
パワーユニットエネルギーフロー
D
燃料流量測定FIA仕様
付則1 図
付則2 燃料計搭載
付則3 燃料流量計外形
付則4 2014年WEC V2 接続構造
E
トルク測定FIA仕様
2014年WECパワーユニットトルク計測のついてのFIA要件
F
材質
G
FIA試験手順03/03
H
公認
I
側方貫入パネルの仕様
L
一般的取り付け
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付則A
給油
1/
競技全期間中を通じ:
燃料補給は、それが行われる走路から最大2mの高さ(ル・マン24時間では2.6
0m)から重力によって行われる以外、車両にいかなる方法で給油することも禁止さ
れる。
2/
プラクティス走行およびレース中:
車両1台につき、下記の(FIA付則J項)第252-7図に従った1つの独立した
燃料補給タンクのみが使用されなければならない。
このタンクは内側が単純な円筒形の形状でなければならず、燃料の流れを向上させ
る可能性のあるいかなる内部部品もあってはならない。
タンクの内側に認められる唯一の部品は:
・外部の構成部品の取り付け具
・温度と燃料残量位センサー
・上述の構成部品の密閉具
・給油用の管
タンク内側の底部の平坦部の公差は2mmでなければならない。
流量リストリクター最上部面(A)は補給タンクの内部底面の高さでなければならな
い。
このリストリクターは、下記に詳述されるナットリングを使用し、独立した補給タ
ンクに固定されなければならない。
安全上の理由から、このタンクは、タワーにより以下の要領で台車に固定されなけ
ればならない:
-
-
-
すべてのタワー構成部品は、トロリーに対して一切の遊びがない状態で機械的
に組み立てられていなければならない。
台車の底面は少なくとも2m2の表面域がなければならず、4個の自動ブレーキ
式のキャスターを備えたケースにより製作されていなければならない。また燃
料を満たした燃料タンクよりも重いバラストを積まなければならない。
台車のピットレーンに面する部分で高さ1.3mより下には、一切の配管(燃料
用あるいはエアガンなど)が突き出していてはならない。
上記の要領に則っていれば、タンクの下に計量プレートを置くことにより、燃料の
計量システムを設置してもよい。
次の条件下で、給油ホースと通気ホースを支えるための部材が台車に取り付けられ
てもよい。
-
-
当該部材はタンクおよびタワーの両方から独立していなければならない。
当該部材は台車に対して遊びがあることが推奨される。(垂直方向の軸を中心に
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-
-
回転)
当該部材の全長は4.00mを超えてはならず、その付属品も含め、その全長に
わたり、2.00mの高さの物が自由に通過できる空間がなければならない。
当該部材の端には、競技車両のレースナンバーを明記した識別プレートを取り
付けなければならない。
3/
タンクの上方
FIA規定に合致した換気装置(下記付則J項第252-7図を参照)がなければな
らない。
タンクの換気は、このシステムによってのみ行われること。その他すべての開口部
は密封して塞がれなければならない。換気ホースは下記第252-7図に従い、側
面に連結されなければならないが、ル・マンでは充填およびタンク内残量を検査す
る装置はオーガナイザーによって提供される。
4/
燃料補給パイプ
少なくとも3.00mの長さがなければならず(ル・マン24時間では3.50m)、
それにはクイックカップリングとオス型給油バルブが含まれていること。パイプは
車両に取り付けられた給油口に合致する漏出防止のカップリングが備えられていな
ければならない。燃料補給の間、通気口の出口は適切なカップリングで独立した補
給タンクに連結されていなければならない。
5/
燃料補給を始める前に、車両のコネクターは電気的に地面にアースされていなけれ
ばならない。
また、カップリングから燃料補給タンクとその支持架に至る燃料補給システムのす
べての金属部品も、電気的に地面にアースされていなければならない。
6/
給油要員は、燃料補給手順進行中は常に、補給タンクの出口の自動閉鎖ボールバル
ブ(デッドマン機構の原理)の操作および流量制御ができるように、立ち会ってい
なければならない。
7/
使用されるすべてのホースと継ぎ手は最大内径1.5インチを有していること。
8/
オーバーフローボトルの使用は、ピット内あるいはピット周囲にて、いかなるもの
も禁止される。
供給業者からの燃料を貯蔵するための一切の容器には、自動閉鎖カップリングの取
り付けが必要である。最大容量100リットルの1つのタンク(臨時に指定される)
が、ピット内で車両のタンク内の燃料を一時的に移送するため、また供給ドラム
内、独立したタンクへの移送および充填時のポンプ汲み上げを確実にするために、
使用されなければならない。
ル・マンと、予選走行およびレースの間は例外とし、車両が自己のピットにある時
に、車両のタンクをその臨時タンクで直接充填することが認められる。
それは完全に密封され、逆流防止バルブのついたブリーザーパイプを有し、一切の
液漏れのないよう設計されていなければならない。
臨時燃料タンク、車両のタンク、供給ドラムおよび独立したタンクをつなげる配管
は、車両に取り付けられる燃料配管の要件を満たしていなければならない。
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臨時タンクは排出ホースに収容されている燃料の回収ができるように、車両と同じ
カップリングが取り付けられていなければならない。しかしながら、臨時タンクに
カプラー(連結器)が全くない場合には、競技規則第76条1項7に記載されている
レセプタクル(貯蔵容器)を使用することが認められる。
9/
メーターが使用されている場合、それはFIA公認のタイプであること。
視認窓が補給タンクの外側に付けられている場合、それはタンクにできるだけ近い
位置に取り付けられた隔離バルブ付きでなければならない。
10/ 流量リストリクターは、以下の図面に従い、補給タンクの底部出口に取り付けられ
なければならない。
その直径”D”は、耐久コミッティの裁量にて、異なる燃料をタンクに満たす時間を均
衡化するために採用される。
11/
独立した補給タンクは、そのピットに正式に指定された競技参加者のみが利用する
ことができる。
12/ 二重層になった底部の使用は禁止される。
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第252-7図 赤字追加部分
ル・マン用装備、その他のサーキット用装備、カップリング、プラグ、充填用パイプ、自動遮断システムのついたパイ
プ(ル・マンについて*)、*その他の競技会では任意、自動閉鎖カップリング
図A、排出ホース下部母線、燃料高位レベル
詳細B スケール2.5:1、燃料部深さ、タンク底部、断面A-A スケール1:1、給油タンク流量リストリクター
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ナットリング
ナットリング 付則1、断面A-A スケール1:1、詳細B スケール2:1
M6スレッドあるいはヘリコイル、寸法詳細12箇所、材質:アルミニウム、タンクへのナットリング任意固定
寸法詳細4箇所、断面C-C スケール2:1
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付則B
ル・マンサーキットについてのエネルギーおよびパワーの値
ERS なし
ERS オプション
放出エネルギー
MJ/Lap
0
<2
<4
<6
<8
放出パワー
kW
0
無制限
無制限
無制限
無制限
車両重量
kg
850
870
870
870
870
ガソリンエネルギー
MJ/Lap
157.2
147.0
143.3
139.5
138.0
最大ガソリン流量
kg/h
100.9
94.3
91.9
89.5
88.5
車載ガソリン容量
l
68.3
68.3
68.3
68.3
68.3
燃料技術係数 AV
-
1.074 *
1.074
1.074
1.074
1.074
燃料技術係数 Pmax
-
1.088 *
1.088
1.088
1.088
1.088
K 技術係数
-
1
0.987
0.987
0.987
1
ディーゼルエネルギー
MJ/Lap
146.4
138.7
135.2
131.7
128.5
最大ディーゼル流量
kg/h
84.6
80.2
78.2
76.1
74.3
車載ディーゼル容量
l
54.3
54.3
54.3
54.3
54.3
ル・マン以外のサーキットについてのエネルギーおよびパワーの値
1周回で放出できるエネルギー量は、ル・マンサーキットの長さに対するサーキットの長
さの割合×係数1.55に制限される。
1周回に割り当てされる燃料の量は、ル・マンサーキットの長さに対するサーキットの長
さの割合×係数1.11に制限される。
*製造者ガソリンクラス1位とプライベーターガソリン1位の間のBSFC(正味燃料消費率)
データと同等のレシオを使用し、製造者ディーゼル1位BSFCデータから算出した予想さ
れる「ディーゼルプライベーター」BSFCより算出。
**競技規則第17条の適用を条件とする。
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付則C
パワーユニットエネルギーフローチャート
凡例:ES-ERSA-MGU
<図中左上より>
フロントドライブトレイン 機械的連結 エンジンERSA エンジン排気ERSA 一切のMGU FIAコントロール 一切
のエネルギー貯蔵 MGU,ESおよび前後のドライブトレインおよび一切のERSAにつながっていない部品を除く、一切の
車両部品、 MGU,ESおよび前後のドライブトレインを除く、一切の車両部品 構造ERSA リアドライブトレインERSA
フロントドライブトレインERSA
第5.1に規定されるエンジンおよび、車両を推進するために最大2つのERSAにつながれたMGU(ESに直接あるいは経由
して)を除き、一切の装置の使用はみとめられない。これらの2つのERSAのみ、ESにつなげることができる(第5.2.1
項)。計算されるエネルギー流 自由なエネルギー流
付則D
燃料流量測定FIA仕様
TECHNICAL REGULATIONS LMP1
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付則D
燃料流量計
仕様およびWEC搭載詳細
搭載に関する要件:
燃料流量計はサバイバルセルの範囲内に配置されなければならない(付則2参照)
燃料流量計の取り外しまたは取り付け時に、燃料の漏れが発生してはならない。そのた
めドライカップリングが使用されなければならない。
メーターは高圧燃料ポンプの前に位置しなければならず、高圧燃料ポンプに送り込まれ
るすべての燃料流を監視するものでなければならない。
高圧燃料ポンプに送り込まれるすべての燃料が、そしてそれのみが、エンジン燃料噴射
装置へと送られる。そうでない場合戻りの流れを考慮するための燃料流量計が取り付けら
れなければならない。
信頼性のため、冗長性をもった燃料流量計を使用する。従って、リターンラインのない
燃料システムには高圧燃料ポンプの後に2つの燃料流量計を、リターンラインのある燃料
システムには高圧燃料ポンプの後に3つの燃料流量計を有することになる。冗長性のある
燃料流量計は、給油ラインのみに第一燃料流量計と共に連続して配置される。
規定に合致したボックスの要求されるサイズは、車両と燃料システムのタイプの間で一
致する(付則2参照)。燃料流量計が配置される室内は、車両の外側から直接くる空気によ
って換気されていなければならず、車両の外へと排出されなければならない。これにより
内部の温度を大気温度と類似したものにする。燃料流量計本体の温度は記録される。
燃料流量計と燃料システムの間にある燃料流量計および燃料配管は、パワートレインか
らくる熱より断熱されていなければならない。パワートレイン領域と燃料流量計ボックス
の間は一切の空気の漏れがあってはならない(第6条3項4が適用される:防火壁により
燃料セル(含複数)がコクピットおよび/あるいはエンジン室より分離されていなければ
ならない。)
迅速な交換、簡単な管理:
燃料流量計は車両の外側から、1枚のカバーを取り外すだけで、アクセスできるようで
なければならず、そのカバーはその機能(流量計にアクセスすること)のみを目的とする
ものであること。
伝達に関する要件:
燃料流量計との伝達は、CANプロトコルによって行われる。
燃料流量計の情報がチームの電子装置を経由することなく、FIAデータロガーに直接
送信することが求められる。
提案される連結が付則4に示される。
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提案される好まれる搭載:
給油カップリングは給油の最適化のため最も効果的な位置に配置されており、その位置
が各車両の搭載位置を類似したものとする可能性が最も高いものであると考えられている。
また、燃料カップリングは、安全要件を満たすサバイバルセルの範囲内に配置される。
よって、上述のすべての要件を満たすもっとも効果的な方法は、規定に合致したボック
スを給油カップリングのハッチ周辺に取り付け、それを車両の両側に配置することである
と考える。そうすれば燃料流量計は燃料カップリングの反対側に搭載できる。
付則1はそのような搭載の一例を示す。
燃料流量計の仕様:
1つの燃料流量計の主要な仕様は以下が見込まれる:
- ガソリンとディーゼル燃料について両立できる
- サイズ:付則3参照
- 重量:約240g
- 圧力損失は25℃のディーゼルで、8リットル/分で約0.75bar
- 供給電圧:22VDCに4.75
- 供給電流:<100 mA @12‐17VDC. <180mA @4.75‐5.5VDC
- CAN-端子なし
- 最大圧力:20bar
- 最大安定車体温度:85℃
- IP68
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付則1
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付則2
燃料計搭載
燃料流量計を収容するボックスは図1に示される緑の領域に配置されること。それは未
使用の給油収納部と「混ぜる」ことができる。ボックスのサイズは図2に詳記されている。
それらのサイズは収納部の最低内部寸法である。サイズはmm表示。
図1
図2
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付則3
燃料流量計外形:
流量センサー外形
寸法:mm
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付則4
(左上より)
2014年WEC V2 接続構造
FIA流量計1、FIA流量計2
アナログセンサー:‐ブースト圧、‐エアボックス圧力、‐オイルタンクレベル、‐コクピット温度、
‐MGU電流、
‐MGU電圧、‐トルクメーター、‐ビーコン、‐燃料圧力センサー
ECU/データロガー
チーム、CAN1/公開、データロガー
FIA/ACO
EGERSシステムのアナログセンサー:FIA承認の製造者仕様(FIAロガーと互換)、‐排気圧センサー、
‐EGERS強度、
‐EGERS電圧(MGUと同じDCbusでない場合)
HV強度および電圧(FIA推奨のセンサーの場合)
、トルクメーター(アナログ入力にも連結される)
FIA/ACOリダーライト・モデュール
アナログセンサーFFMバックアップ:FIA承認の製造者仕様(FIAロガーと互換)、‐エンジン回転数、
‐吸気マニフォールド温度、‐燃料温度
CAN2/FIA
ACO プライベート
FIAテレメトリー、GPSモジュール、マーシャル用表示、FIA/ACOトランスポンダー、FIA
/ACOコンパクトカードリーダー
ADR、FIA
テレメトリーアンテナ、GPSアンテナ、CANラムダモデュール(FFMをバックアップする場合)、ラム
ダセンサー
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付則E
トルク測定FIA仕様
TECHNICAL REGULATIONS LMP1
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国際自動車連盟
2014年WECパワーユニットトルク計測のついてのFIA要件
序文
2014年よりFIAは製造者のLMP1 ICE(内燃式エンジン)にトルク計測シ
ステムを承認する。
その計測はFIAデータロガーと連結され、BSFC(正味燃料消費率)を評価するの
に使用される。この書類はFIAの要件リストおよび公認過程を支援するために要求され
るその他の情報を提供する。
システムの概観
計測システムは以下で構成され得る:
・ トルク伝達シャフト上の感知領域
・ 計測値を使用可能な電気信号に変換するための、感知領域周辺に配置される感知要
素
・ 計測位置から離れて配置され、電気信号をトルク値に変換し、それをFIAデータ
ロガーへ伝達する調整電子装置
・ 受信した信号を加工するためのFIAデータロガー内のソフトエウアアプリケーシ
ョン
トルク計測システムに関連するすべての電子装置は、FIA による公認を必要とする。
計測位置
トルクは、パワーユニットをドライブトレインに連結する主クラッチの前後のパワーユ
ニット出力部で計測される。
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FIA要件
トルク計測
計測単位
Nm
計測範囲
センサーは通常の操作の間、計測点で観測されるトルクレンジを検知するこ
とができること。
過負荷/ピーク
センサーは過負荷によって影響を受けないこと。
帯域幅
> 1kHz
分解能
< 0.1%
公称計測範囲内: 公称計測範囲の
< +/‐1%
精度
公称計測範囲外: 過負荷計測の < +/‐1%
線形性
定量化され適切な較正が取り組まれる
繰り返し誤差
公称計測範囲の
< +/‐ 0.25%
ヒステリシス
公称計測範囲の
< 1%
シャフト回転の効果
シャフト軸動作の効果
公称計測範囲の < +/‐0.5%
+/0.5mmについて公称計測範囲の
温度補償
要求される。温度の感度が定量化される
FIAデータロガーへの出力
5V アナログ
FIAにより使用されるトルク信号が、FIAデータロガーにより最小1kHz で記
録される。
出力フィルタリング
アンチエリアスフィルタリングが達成されること:少なくとも200Hzの-3dB
での帯域幅。500Hz以上で1%以下の減衰。
< +/0.5%
その他の計測
トルク信号 (任意のバックアップ)
ソフトウエアチェックサム
パラメーターエリアチェックサム
調整ユニット温度
センサー要素温度
センサー連番 (任意)
連番調整ユニット
FIAデータロガーへ伝達されるすべてはCAN経由。
CANメッセージ設定が決定される。
ソフトウエアバージョン調整ユニット
ハードウエアビルド調整ユニット
サービスを提供してから立ち上がっている調整ユニット
副サンプリングした最大・最小トルク信号
(過負荷判断)
判定法
ソフトウエアおよびハードウエアの安全
「ハードウエア」および「セットアップデータ」の章に規定される安全要件を参照
較正
トルク計測の個々の構成部品交換の影響を定量化しそれを最小限にする
FIAにより要求される較正検査のための最大時間を約束
FIA評価プログラム
各候補計測システムがFIAによって決められる評価プログラムを完了することが求め
られる。以下を査定することを目的とする:
・静的また動的な条件の下での精度
・静的また動的な条件の下での繰り返し
・トルクの急激な変化に対する反応時間
・センサー搭載および信号頑健性
評価プログラムの詳細は本書類の付則に掲載されている。
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ハードウエア
提案には計測の原則を記載し、トルク計測のすべてのサブシステム、それらの内部連結
および外部装置へのその他の連結を示す概観略図が含まれること。
以下の詳細が各サブシステムについて提供されること:
- 寸法、重量、材質、熱処理、仕上げの品質、粗さを含めた機械的特性
- 搭載点、ガイドライン、図、放熱板、振れ止め搭載を含めた搭載上の特性
- 保管温度、作動温度、操作熱衝撃、流体浸入保護、化学製品耐性、振動特性、電
磁気適合性を含めた環境特性
- 磁化要件、磁気探傷法の可能性、磁気遮蔽
- 作動温度の計測への影響
- シャフトの動き(軸方向、半径方向、および回転)の計測への影響
- 電気的接続部のタイプとピン配列
- 供給電圧、電流消費、供給保護、リセット電圧を含む電気的特性
- 供給電圧あるいは接地バリエーションの計測への影響
- マクロプロセッサーの特性
- 保存メモリーの特性
- 連結配線形態およびインターフェースの特性
- タイプ、量、電気回路、範囲、電気抵抗、周波数範囲、分析、精度、ヒステリシ
ス、フィルタリング、標本抽出率、保護、診断、設定オプションを含む入力特性
- すべての内部測定値のリスト
- サービスおよび較正間隔および詳細、耐用年数、品質管理
- コース上、外の取り扱い方法
各サブシステムは、外側から印付けされた独自の連続番号を有し、その全耐用過程を通
じて追跡される独自の識別を有する。
各サブシステムは、改ざんを防ぐために封印することのできる適切な備えがなければな
らない。
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較正
較正プロセスの包括的な説明とFIAデータロガーにプログラムされる較正式が提案に
含まれること。最終トルク計測の計測システム内の個々の構成部品交換による影響が定量
化されること。この影響を少なくする為の、一切の技術的あるいは手順上の段階が説明さ
れること。
較正チェックに必要な時間(FIAあるいはチームによって要求されたチェック)は、
それに関連する一切の計画実施上の要件(輸送、保安、経費)を伴って提示されること。
セットアップデータ
すべてのセットアップと較正のデータは、いつでのFIAの検証に応じられなければな
らない。チームはFIAの利用できる適切な連絡装備、ソフトウエアおよび分析ツールを
提供しなければならない。
品質
以下の項目についての記述が提案に含まれること:
・品質プロセス
・テスト設備
・較正設備
・電子サブシステム、ハードウエアおよびソフトウエアのFMEA(故障モード影響解析)
およびFTA(フォルトツリー解析)
・供給業者が搭載および検証プロセスで、またそれに続くテストおよびレース競技会の
間に提供する予定である技術サポートの詳細
付則、FIA評価プログラム
テストの目的
テストはLMP1車両に使用するためのトルクセンサー品質を評価することを目的とし
ている。
以下が査定対象となる:
・静的および動的条件下での精度
・静的および動的条件下での再現性
・トルクの急速な変化への対応
・センサー搭載および信号の頑健性
一般的情報
配置:理想的にはエンジン+ギアボックスベンチ
センサー:供給業者は本書類の最初の方の節で要求されている情報を提供すること。
センサートルク信号
センサー出力タイプおよびアンチエイリアス・フィルターが詳細に記述されること。
フィルタリングは、1kHzおよび5kHzロギング、および最大帯域幅でエイリアシン
グが一切起きないものとする。
電力供給および接地レベルバリエーションの影響が明らかにされること。
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FIAデータロガー接続性
FIA標準ECUの接続性はチームと明らかにさせておくこと。
データロギング
チャンネル
Mレイシャフト
Mベンチ
Mエンジンターゲット
nエンジン
TMレイシャフト
ロギングレート
1kHzで記録されたトルクセンサー出力
1kHzで記録されたベンチトルク
1kHzで記録されたエンジントルク目標
1kHzで記録されたエンジン速度
1kHzで記録されたトルクセンサー温度
FIAテスト順序
標準的なテスト順序はテストの目的に向けて決められたものである。
a.FIAトルクおよび速度シーケンス:静的挙動およびステップ反応
異なる安定エンジン速度でのトルクステップの連続(TbD)
トルク範囲はエンジン作動範囲にできる限り対応すること。最小および最大トルク要求
は、利用可能なエンジントルク域によって制限される場合がある。
セッティングのためステップタイムは十分長いものであること(最短 1 秒)
グラフ1は、FIAテストシーケンスの間のエンジン速度とトルク要求を示している。
トルクプロフィールは各エンジン速度で3回完了されている。
グラフ2はシングルトルクプロフィールを示している。エンジン速度は、エンジントル
クが階段状に進められる間一定に保たれている。
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図1:FIAトルクおよび回転数シーケンス
図2:シングルトルクプロフィール
b.ラップシミュレーション
時間経過による信号の劣化および温度の感受性を監視するためにできる限り行う。
c.ラップシミュレーションの後、あるいは最短200kmごとの再現性を検査するた
め、FIAトルクおよび速度シーケンスを繰り返す。
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11.7 データ解析
データ解析は以下を含む:
a.時間経過によるセンサー較正安定性
b.温度に対するセンサー較正感受性
c.エンジン速度に対するセンサー較正感受性
d.隣接する強磁性部品に対するセンサー較正感受性
e.安定したエンジン速度での振動数成分。エンジン点火順およびその他の頻度の識別
f.エンジン速度0時の振動数成分
g.エンジントルク要求の急速な変化への反応を含めた、時間ベースの挙動
h.電気的および機械的問題の識別
MレイシャフトとMベンチの間のゲインおよびオフセットは、リニアフィットを使用し
各走行の間に計算される。
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付則F
材質
材質:定義
1.1 金属材質とは、材質が純金属、いくつかの金属で成る合金あるいは金属間化合物で
あっても、金属性の要素によってできた材質と定義される。
複合材質の場合、基質あるいは補強が、比率に関わらず、金属製の元素によって構
成されている時に、金属材質であると指定される。
1.2
金属製要素は以下の周期表の黄色で覆われた部分によって指定される元素である。
元素の周期表
1.3
非金属材質は、酸化物、窒化物、ケイ素化合物などの純粋あるいは非純粋化合物、
および炭素およびケブラー強化化合物などの有機マトリックスを伴う素材を含む。
1.4
X基合金(例:ニッケル基合金)- Xはその合金に%w/wベースで最も豊富に含
まれる組成要素でなければならない。要素Xの最低可能重量率は、合金に含まれるそ
の他の個々の組成要素の最大可能重量率を常に上回っていなければならない。
1.5
X-Y基合金(例:アルミニウム-銅基合金)- Xは本付則1.4項と同様に最も
豊富に含まれる組成要素でなければならない。さらに要素Yは、合金のXの含有量に
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次いで第2番目に多く含まれている組成要素(%w/w)でなければならない。Yの
平均含有値およびその他の合金要素が、第2番目に高い合金組成要素(Y)を決定す
るのに使用されなければならない。
1.6
金属間化合物材質(例:TiAl、NiAl、FeAl、Cu3Au、NiCo)- これらは金属間化合物
相、つまり材質の基質の50%v/vを超える部分が金属間化合物相(含複数)から
成るものを基礎とした材質である。金属間化合物相は、部分的にイオン性または電子
対を共有するものであるか、あるいは長距離相関によって結合する金属の何れかを
呈する、化学比において短距離構成の2つ以上の金属間の固容体である。
1.7
複合材質 - これらは材質の基質が連続あるいは非連続相の何れかで強化されて
いる材質である。基質は、金属、セラミック、重合体またはガラスを基礎としたもの
であることができる。強化は長繊維(繊維の長さが10mmを超える)あるいは、短
繊維とすること、非連続的なものではウイスカーおよび素粒子であることができる。
ナノスケールの強化材質は、複合材質であるとみなされる。
(強化の寸法すべてが1
00mm未満である場合は、強化がナノスケールであるとみなされる)。
1.8
金属基複合材料(MMC’s) - これらは、金属基質の液体相にて溶性でない相を
2%v/vを超えて含む金属基質を伴う複合材質である。
1.9
セラミック材質(例:Al2O3、SiC、B4C、Ti5Si3、SiO2、Si3N4)-
非金属固体材質である。
これらは、無機、
1.10 マグネシウムを基礎とした合金で、それが認められているところでは、全競技参加者
に非独占ベースで通常の商的条件にて入手可能でなければならない。ISO162
20(合金鋳塊および鋳造部品について)およびISO3116(鍛造部品について)
によって扱われるこれらの合金で、FIAに承認されているもののみ使用できる。
第2条
2.1
パワーユニット材質制約
特定の適用について明確に許されていない限り、以下の材質はパワーユニットのい
かなる場所にも使用されてはならない。
2.1.1
マグネシウムを基礎とした合金
2.1.2
金属基複合材料(MMC’s)
2.1.3
金属間化合物材質
2.1.4
重量の5%を超えるイリジウム、あるいはレニウムを含む合金。
2.2
被覆は自由。ただし、被覆の総肉厚がすべての軸において基礎となる材質の断面肉厚
の25%を超えないことを条件とする。すべての場合において、当該被覆は0.8mm
を超えてはならない。
2.3
構成部品
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2.3.1
ピストン
2.3.1.1 ピストンは、本付則第2条1項を遵守しなければならない。チタニウ
ム合金は認められない。
2.3.2
ピストンピン
2.3.2.1 ピストンピンは、鉄ベースの合金により製造されていなければならず、
素材単体から機械加工されなければならない。
2.3.3
コネクティングロッド
2.3.3.1 コネクティングロッドは、鉄あるいはチタニウムベースの合金により
製造されていなければならず、溶接や接合部のある組み立てのない素
材単体から機械加工されていなければならない(ボルト付きの大きな
エンドキャップや干渉用の小さなエンドブッシュを除く)。
2.3.4
クランクシャフト
2.3.4.1 クランクシャフトは、鉄ベースの合金で製造されていなければならな
い。
2.3.4.2 高重量密度のバランスウエイトを固定する場合を除き、フロントとリ
アの主ベアリング・ジャーナルの間では溶接が禁止される。
2.3.4.3 クランクシャフトには19,000kg/m3 を超える密度の材質を組み
入れてはならない。
2.3.5
カムシャフト
2.3.5.1 カムシャフトは、鉄ベースの合金で製造されていなければならない。
2.3.5.2 フロントとリアのベアリング・ジャーナルの間では溶接が禁止される。
2.3.6
バルブ
2.3.6.1 バルブは金属間材質、あるいはアルミニウム、鉄、ニッケル、コバル
トまたはチタニウムベースの合金で製造されていなければならない。
しかしながら、
ナトリウム、リチウムあるいは同様のもので冷却される中空構造も認
められる。
2.3.6.2 さらに本付則第2.2項および第2.6項に詳細のある制約はバルブに
は適用されない。
2.3.7
往復および回転運動を行う構成部品
2.3.7.1 往復および回転運動を行う構成部品は、グラファイト基、金属基複合
材質あるいはセラミック材質から製造されてはならない。この制約は
クラッチおよび一切のシール部には適用されない。
2.3.7.2 ローラーベアリングの回転要素は、鉄ベースの合金あるいはセラミッ
ク材質で製造されていなければならない。
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2.3.7.3 クランクシャフトとカムシャフト(ハブを含む)の間のすべてのタイ
ミング・ギアは鉄ベースの合金で製造されていなければならない。
2.3.7.4 高圧燃料ポンプの要素は、セラミック材質で製作できる。
2.3.8
静止構成部品
2.3.8.1 それらの中の挿入物を除き、エンジンのクランクケースおよびシリン
ダーヘッドは鋳造または精錬アルミニウム合金、あるいは鉄合金で製
造されていなければならない。
2.3.8.2 構成部品の全体またはその一部分に、複合材質または金属基複合材料
が認められる。
2.3.8.3 本付則第2.3.8.1項に一覧される部品を除き、エンジンの内部で潤滑あ
るいは冷却を維持するための機能を第1とするあるいは第2とする
一切の金属性構造体は、鉄ベースの合金、アルミニウムベースの合金、
あるいはマグネシウムベースの合金により製造されていなければな
らない。
2.3.8.4 すべてのねじ付きファスナー類は、コバルト、鉄あるいはニッケルを
基礎とした合金により製造されていなければならない。
2.3.8.5 マグネシウムをベースとした合金をパワーユニットの付属品の静止
部品に使用することが認められる。
2.3.8.6 マグネシウムをベースとした合金をコンプレッサーハウジングに使
用することが認められる(コンプレッサー吸気口からコンプレッサー
排気口まで)。
2.3.8.7 マグネシウムをベースとした合金を電子装置のすべての金属性ケー
スに使用することが認められる。
2.3.9
バルブシート挿入物、バルブガイドおよびその他一切のベアリング構成部品
2.3.9.1 バルブシート挿入物、バルブガイドおよびその他一切のベアリング構
成部品は、強化用に使用されていないその他の相と共に金属性浸透予
備形成品から製造することができる。
2.4
材質および構造
-
ERSおよびMGU
2.4.1
エネルギー貯蔵およびERS装置は、第2.1.1項、2.1.2項および2.1.3項
の適用を受けない。
2.4.2
電気機械内部の永久磁石は、第2.1.1項、2.1.2項および2.1.3項の適用
を受けない。
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付則G
FIA試験手順03/03
金属材質の比弾性率
1.1
35GPa/gm/cm3を上回り金属含有量が質量パーセントで60%を上回るすべての
材質は、イギリス、テディントンのイギリス国立物理学研究所において試験を受け
なければならない。
1.2
すべての試験は、20~25℃で、分析の基礎として、ASTM111手順を利用して実
施される。
1.3
各試料タイプについて10の見本が提供されなければならない。
1.4
均一な試料FTSB、FTSDあるいはFTSEが提供されなければならない。試料の図面
が、この試験の手順に添えられる。
1.5
データは通常、ヤング係数を計算するために、接線係数および割線係数が利用され
分析される。
1.6
試験は通常、失敗に対して実施されることはなく、応力歪み解析曲線の初期(線形)
の部分のみが計測される。
1.7
係数計測は、曲線の線形部分を得るのに問題がない限り、通常最初の負荷適用循環
からのみなされる。この場合、いくつかのプリロードまたは反復負荷循環が実施さ
れる。
1.8
試料密度を評価するためにアルキメデスの原理が使用される。
1.9
各試料の報告書には通常、すべての関連情報、応力歪み解析曲線、ヤング係数値、
密度測定および計算された特定係数が含まれる。
1.10 比弾性係数結果は、最も近い0.1GPa/gm/ cm3 までを引用する。40GPa/gm/ cm3
(全不確実性を含め)を上回った材質は、第2条6項を満たさないとみなされる。
1.11 疑義が生じた場合は、問題の車両の構成部品(含複数)は、UKAS基準に従い、定量
化学分析を受ける。
1.12 イギリス国立物理学研究所は、構成部品の化学分析と比弾性係数試験に提供された
試料の化学分析とを比較し、同一の材質から製作されていることを確認する。
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付則H
公認
1.1
公認書式
1.1.1 製造者は公認費用を支払わなければならない。
公認が受け入れられなかった場合、現行規定に準拠して、書面にて通知される。
ハイブリッド車両について
1.1
公認書式には、車両の電気装置のすべての必須電力回路の電気図面1つが含まれて
いなければならない。
1.2
この回路図には、発電機(含複数)、バッテリー、ヒューズ、サーキットブレーカー、
電力スイッチ、蓄電器(キャパシタ)、モーター制御装置あるいは電流断続器、駆動
用モーター(含複数)および接続ケーブルを示していなければならない。
1.3
回路図内のすべての構成要素については、それらの電気的仕様詳細を表示しなけれ
ばならない。
1.4
「電圧」および「強度」の情報は、FIAデータロガーが入手できるようでなければ
ならない。
1.5
この情報の計測は、MGUのインバーターのDCリンクで実施されなければならず、必
要なセンサーは図解の中で指摘されていなければならない。
1.6
車両の平面図(上から見た)第2図は、車両内のこれら構成要素の配置を示していな
ければならない。
1.7
公認書式は、バッテリーあるいは蓄電器の過熱、または火災などの、車両のERSに関
わる事件に備え、不測事態対応計画(救出計画、災害計画)を含んでいなければなら
ない。この計画はERSの特定の化学作用を詳説していなければならない。
1.8
このようなシステムを開発し使用を望む競技参加者は、公認グループに対して事前
に知らせ、その機能の仕方、使用方法、予期される性能、搭載された安全システムな
どに関するすべての関連情報を提供しなければならない。
1.9
公認グループは、そのシステムおよび車両の開発の間を通じて、通知を受け続けてい
なければならない。公認グループは追加の情報提供を要請する場合があり、また必要
と判断する場合には検査を実施できる。
1.10 ERSシステムは、構成部品選択、完全な技術的記述および明確化する図面を預け入
れる要請によって公認される。
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付則 I
側方貫入パネルの仕様
FIA研究所
2011年側方貫入パネルの仕様
最終版1.0 (2012年6月19日)
概要
本パネルは、高温硬化強化エポキシ樹脂組成物を浸透させたTorayca T1000GおよびToyobo高弾性率ザ
イロン(PBO)繊維で製作されること。T1000Gおよびザイロン強化層にその他の樹脂が使用される場合
は、それらは一体硬化成形が可能でなければならない。パネルの構成は擬似等方性とし、複雑な形態、
配線のための切り抜きおよび側方衝撃吸収構造体配線と側方衝撃吸収構造体の切抜き部を覆うため
に必要なものを除き、一切の層の中にダーツ、継ぎ目あるいは隙間を作らないこと。外側の車体を取
り付けるために、3層のザイロン外皮にのみリベートが認められる。限定された材質の1巻幅に応じ
るため、±45°の各層に必要とされる一切の継ぎ目は、最低10mmの重なりをもたせ、多重焼付
け(スーパーインポーズ)を避けるために、ラミネートを通じて互い違いにすること。パネルは製造
者の推奨硬化サイクルに硬化されなければならない。パネルは規定のフィルムあるいは粘着ペースト
で、シャシーの全体の表面域に接着される。
最後の文章は、パネルがサバイバルセルに接着される場合にのみ適用される。
ザイロンHM-300gsm
最小平均重量[285]gsm、6K繊維/引張、エポキシ樹脂に浸透させた、2×2綾織スタイル。
T1000G-280gsm
最小平均重量[269]gsm、12K繊維/引張、エポキシ樹脂に浸透させた2×2綾織あるいは5本ハーネス
の朱子織。
マトリックスシステム
MTM49-3あるいはCycom2020エポキシ樹脂。それに代えて、承認された樹脂組織を、公認された側方貫
入パネルに使用される第一マトリックス組織に置き換えることが認められる。
粘着性(シャシーについて)
フィルム粘着性150gsm3M AF163-2 あるいはペースト粘着性3M 9323 B/A
積層順序(0度はシャシーの前後方向軸となる)
外側表面
T1000G1層(0/90)
ザイロン7層(±45、0/90、±45、0/90、±45、0/90、±45)
T1000G1層(0/90)
内側表面
肉厚
粘着部を除いた硬化パネルの最低肉厚は、[3.0]mmであること。
エリア重量
粘着部を除いた硬化パネルの最低エリア重量は、[8700]gmsであること。
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空隙
パネルは空隙がないことが必須である。
適合材質例
1. Cytec提供
ザイロンHM-300gsm/Cycom2020エポキシ樹脂2×2綾織(重量でNOM42%)
T1000G-12k 280gsm/ Cycom2020エポキシ樹脂を伴う2×2綾織あるいは5本ハーネス織(重量で
NOM42%)
2. ACG提供
ザイロンHM-300gsm/MTM49-3エポキシ樹脂を伴う2×2綾織(重量でNOM42%)
T1000G-12k 280gsm/ MTM49-3エポキシ樹脂を伴う2×2綾織あるいは5本ハーネス織(重量で
NOM42%)
アンドリュー・メラー(Andrew Meller) 2011年1月4日
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付則 L
一般的取り付け
ACO 吊り上げ装置
車体
挿入部
ガイドブッシュ
挿入部詳細寸
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LMP1規則(2015年)
図
No.
図
1
基準面
2
スキッドブロック
3
テンプレート1、ドライバーおよび同乗者の身体の容積
4
テンプレート2&3
ドライバーおよび同乗者の頭部の容積、ドライバーの視界
5
車体後部の横方向平板
6
テンプレート3&6、コクピットの出入り
7
テンプレート7&8、ドライバーの視界
8
コクピット内のドライバーの位置
9
テンプレート1~8の組み合わせ
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図1
<図中>
基準面Zゼロ、前部車軸中心線、後面視、前部、エリア1、エリア2、後部車軸中心線、前面視
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図2
<図中>
新品、最大磨耗、磨耗検査領域
平坦領域、E部詳細
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(移行部)、断面C-C
スケール、(湾曲域)、前部車軸中心線、後部車軸中心線、
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図3
テンプレート1
<図中>
曲線、前後方向中心線Yゼロ、正面
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図4
テンプレート2&3
図5
<図中>
基準面
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図6
テンプレート5&6
<図中>
前後方向中心線
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図7
テンプレート7&8(側面図、左右)
<図中>
断面
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図8
<図中>
後部ロールオーバー構造体の前面
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図9
テンプレートアッセンブリー
<図中>
基準面 Z ゼロ、後部ロールオーバー構造体の前面、前後方向中心線 Y ゼロ、基準面に平行、基準面
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2015
FIA WORLD ENDURANCE
CHAMPIONSHIP
技 術 規 則
(LMP2)
(LMP2:2015 年 3 月 23 日付発行版仮訳)
2015 WEC TECHNICAL REGULATIONS "LM" P2 目次
目
次
技術規則 "LM" P2
第1条
定義
·············································································
1
第2条
規則
·············································································
7
第3条
車体および寸法
·············································································
8
第4条
重量
············································································· 22
第5条
エンジン
············································································· 22
第6条
配管および燃料タンク
············································································· 26
第7条
オイルシステム
············································································· 27
第8条
電装系
············································································· 31
第9条
トランスミッション
············································································· 32
第10条
サスペンション
············································································· 33
第11条
操舵
············································································· 34
第12条
制動装置
············································································· 34
第13条
ホイール&タイヤ
············································································· 35
第14条
コクピット
············································································· 37
第15条
安全装置
············································································· 40
第16条
安全構造体
············································································· 45
第17条
燃料
············································································· 48
第18条
終局条文-係争
············································································· 49
第19条
性能の調整
············································································· 49
2016年1月1日適用の変更
············································································· 50
2017年1月1日適用の変更
············································································· 50
付則1
············································································· 51
付則2
············································································· 52
付則L
············································································· 57
第1図~第10図
············································································· 58
i
2015 WEC TECHNICAL REGULATIONS - LMP2
2015年プロトタイプLMP2技術規則
第1条
1.1
定義
「ル・マン」プロトタイプ2(
“LM”P2)は、最低生産台数のないレース車両で
ある。
製造者および/あるいはエンジン供給業者から独立したチームのみに向けたオープ
ンあるいはクローズド(*)の車両
その技術特性および開発レベルがLMP2規定の目的に明らかに合致しない車両は
「ファクトリーカー」とみなされ、耐久コミッティにより拒否される場合がある。
新しいコンプリートカーで、すべての入手可能なオプション品を伴うが下記第5.6.
1項に規定されるエンジンを除いた販売価格は、370,000ユーロ以下でなけれ
ばならない。
クローズド車両の販売価格は、450,000ユーロ以下でなければならない。
新しい車両の製作、あるいは現行モデルの進化に関わるすべてのプロジェクトは、公
認手順の前に、承認のため耐久コミッティへ提出しなければならない。
上述の価格には、以下の要素が含まれなければならない:
・ 任意のテレメトリーシステムにつなげる可能性のあるデータロガー
・ 公認書式に記載されるすべての公認されたセンサー
・ 義務付けられるACOデータロガーに接続するためのコネクターのついた配線
ハーネス
・ 任意のテレメトリー、およびTPMS(タイヤプレッシャーモニタリングシステ
ム)システムに接続するためのコネクターのついた配線ハーネス
従って、上記価格の範囲外で認められる唯一のオプションは:
・ 義務付けられるACOデータロガー
・ 任意のテレメトリーシステム
・ 任意のTPMSシステム
・ドライバーの快適性のためのいくつかの装備。
この最後の装備についてのみは、耐久コミッティによって許容額について合意が必
要であり、追加の装備の重量に応じて車両重量の引き上げが要請される。
製造者はFIAにスペアパーツの価格リストを提供しなければならない。この価格
リストの総計額は、新しいコンプリートカーの販売価格の150%を超えてはなら
ない。
製造者がレースにて販売サービスを提供するのであれば、スペアパーツの価格を1
0%増額することが認められる。
一切の新車あるいは車両の進化型の参加資格および公認は、耐久コミッティの合意
をもってのみ行うことができる。
製造者は、合理的な時間内で、会社の指示に従い、毎年少なくとも5台を販売できな
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ければならない。
車両の各モデルは、製造者によって、世界耐久選手権あるいはその他の一切のFIA
に承認された国際シリーズに参加するプライベートチームに(少なくとも1台)販売
されなければならない。
適用できる為替レートは、2012年9月1日付けで欧州中央銀行が発表した公式
為替レートである(下記表を参照)*。
下記表従い、不利益になった通貨に補償率の適用が認められる。
レートは毎月1日付けの公式レートで調整され、耐久コミッティにより公式ブルテ
ンにて公示される。
適用されるレートは、車両および/あるいはエンジンが発注された日に確立された
レートであり、その発注日とは顧客が供給業者に送った発注書を証拠としそれに記
載された日とする。
USドル
日本円
UKポンド
南アフリカ ランド
2012年9月1日のレー
ト
1.26
99
0.80
10.62
2012/9/1
6%
6%
4%
0%
認められる補償率
2012/11/1
2013/1/1
4%
2%
4%
2%
3%
2%
0%
0%
2013/3/1
0%
0%
0%
0%
販売拒否あるいは決められた価格が遵守されていない場合、FIAによって罰則が
課される。
車両の各モデルは、異なる製造者からのいくつかのエンジンモデルを搭載できなけ
ればならない(少なくとも公認書式で製造者が指定する2つ)。
エンジンの各モデルは、異なる製造者からのいくつかの車両モデルに組み入れるこ
とができなければならない(最低2つ)。
(*) クローズドカーは、ウインドスクリーン、屋根および両側に各1枚のドアを有し
ていなければならない。
1.2
公認書式
1.2.1
プロトタイプ“LM”P2車両は、製造者によって記入された公認書式に合致
し、適合査察が実施された後に「公認グループ」によって承認されること。
製造者は公認費用を支払わなければならない。
公認が受け入れられなかった場合は、現行規則に関して書面にて通知される。
製造者は車両あるいはエンジンの価格を確立できるよう、すべての構成要素
を提供しなければならない。
耐久コミッティは、決められた価格が遵守されていない場合は、車両の公認を
取り消すことができる。
LMP2の公認されたモデルを1台有する製造者は、3年間は公認に2台目
を提出することは認められない。オープンカーをクローズドとする変換、ある
いは2014年LMP1規定に合致するシャシーの導入のための場合は例外
が認められる(第14.1.5.b.6.項参照)
。
1.2.2
改造
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公認書式に一覧される仕様およびすべての車両の空力要素は、車両の製造者
によってのみ、耐久コミッティの同意を得た後で変更できる。それらはその後、
公認グループによって公認される。
安全上あるいは信頼性の理由がある場合を除き、公認されたモデルがエント
リーするシーズンの第1競技会の前に、年に一度のみの進化が認められる。
この年1回の進化は、安全性、信頼性、サービス性の向上あるいはコスト削減
を理由としてのみ認められる。
このように改造された車両は、上記第1.1.1b項に決められた最大価格を超
えてはならない。
これらの進化は、それが完全に、一体的に適用されているならば、前年のモデ
ルにも認められる。
* 2013年とそれ以降に公認された車両について:
「ル・マン24時間」についてのみは、低ドラッグキットが公認できる。その
キットは、10,000ユーロを超えてはならない。
ル・マンキットを含めたこれらすべての進化の総額は、35,000ユーロを
超えてはならない。
* 2012年とそれ以前に公認された車両について:
「ル・マン24時間」について、新しい低ドラッグキットは公認できない。そ
の他すべての進化の総額は、10,000ユーロを超えてはならない。
* 2015年より前に公認されたオープンカーについて:
取り外し可能な座席の適応に関わる総額は5,000ユーロを超えてはなら
ない。
車体の多様性は認められない。追加あるいは取り外しが可能な車体要素は、下
記第3.6.2項に規定されている車両の前方の2枚のフラップのみである。そ
れらは、車両の価格に含まれていなければならない。
1.2.3
公認書式がFIAにより一旦合意され有効なものとなったなら、製造者はそ
の写しを最初のページ(シャシー番号、所有者の氏名および住所)を記入した
後、販売された車両のそれぞれの所有者に提供する。
1.2.4
車両はACO(2012年1月1日以前の公認)あるいはFIA(2012年
1月1日以降の公認)の公認を受けていない場合は、競技会に参加する前の車
検を受けることは認められない。
新しい車両の公認と、競技参加前の車検への提示との間には、最低30日間が
必要とされるが、耐久コミッティの裁量により、不可抗力と認められる場合は
除く。
新しい車両の公認書式の最初の草稿提出と公認グループによるその承認期限
との間には最低30日が必要とされる。
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すでに公認された車両に実施された改造(*)の公認と、競技参加前の車検への
提示との間には、最低15日間が必要とされるが、耐久コミッティの裁量によ
り、不可抗力と認められる場合は除く。
(*)上記1.2.2項を参照。
すでに公認された車両の公認書式の最初の草稿提出と公認グループによるそ
の承認期限との間には最低15日が必要とされる。
1.2.5
1.3
公認書式は競技参加者によって、車検の間に提出されなければならない。
機械的構成部品
推進、懸架、操舵および制動に必要なすべての要素に加えて、可動であるか否かに関
わらず、それらの正常な作動に必要なすべての補機類。
1.4
主要構造体/シャシー
すべてのサスペンションおよび/またはバネの荷重が伝達される、シャシーの最先
端サスペンション取り付け点からシャシーの最後端サスペンション取り付け点まで、
前後方向に伸張する車両の構造体の完全な懸架部品。
機械的構成要素は、完全または一部分が荷重を受けるものであっても、主要構造体の
一部とはならない。
1.5
1.6
1.7
車体
1.5.1
エンジン、駆動系、および走行装置の機械的な機能に関わる部品を除き、外気
にさらされ、完全に懸架されているすべての車両の部分に関わる車体を言う。
1.5.2
上から見て(平面図)、横から見て(立面図)また前後から見て、本規則によ
り明確に認められていない限り、車体から内部の機械的構成要素が見えては
ならない。
1.5.3
車両走行中に可動の車体部品/要素は禁止される。
1.5.4
車両が走行中に、リアウイング上の空気流を変更するため、自動的におよび/
あるいはドライバーが操作する一切のシステムは禁止される。
エアインテーク
1.6.1
エアインテークは車体の一部と見なされる。
1.6.2
エアインテークまたはエアエクストラクターから機械的部品が見える場合、
ルーバーあるいは約10mmのメッシュの取り付けがなされなければならな
い(車検員の納得を得ること)。
重量
1.7.1
プラクティスセッションの間に利用される重量計測手順を除き、ドライバー
と燃料を一切除いた車両の重量を言う。
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1.7.2
1.8
車両は、競技会期間中を通じて常に最低重量を遵守していなければならない。
競技会期間中に交換された可能性のある一切の部品の重量検査は、車検員の
裁量によって実施される。
コクピット
ドライバーおよび乗員を収容する車両の内部構造容積。
1.8.1
1.9
クローズドカー
コクピットとは、車両の頂点、床、ドア、サイドパネル部、ガラスがはめてあ
る部分、前部および後部の隔壁によって限定される主要構造体の内部構造容
積である。
車両の銘柄
1.9.1
コンプリートカーに一致対応する自動車銘柄。
1.9.2
シャシーおよび/あるいは車体の製造者名がエンジン製造者名と異なる場合
は、常に前者が優先される。車体の製造社名は、シャシー製造者の合意を得て
のみ表示できる。
1.10 電子システム
1.10.1 オートマチックあるいは電子的に制御されるシステムはあるいは機能は一切
禁止される:シャシー制御、オートマチックあるいはセミオートマチックのト
ランスミッション、クラッチ、フィアイナルドライブ・ディファレンシャル・
システム、ショックアブソーバー、サスペンションあるいは車高調整、4輪操
舵、など。
1.10.2 ドライバーが作動させ、1つまたは複数のシステムに作用する単純なオート
マチックでないオープンループ電気スイッチは、電子制御とは見なされない。
1.10.3 クローズドループ電子制御システムとは以下の条件を備えたシステムを言
う:
a/
実際の値(制御変数)が連続的に監視される。
b/
"フィードバック" 信号が目標値(参照数値)と比較される。
c/
その比較結果に応じてシステムは自動的に調整される。
1.10.4 本規則の中で明確に認められていない限り、エンジン監視システムを除き、こ
のようなシステムは認められない。
エンジンにのみに対して作動するトラクションコントロールシステムは、認
められる。
1.11 テレメトリー
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以下のみが認められ、その他一切の方法は除外される:
1)
ピットサインボード上の読み取り可能なメッセージ。
2)
ドライバーのジェスチャーによる合図。
3)
車両からピットへの(1方向)テレメトリー信号
4)
ラップのスタートまたは終了を知らせる"ラップトリガー"信号:
a.
b.
5)
ラップマーカー送信機(ラップトリガー)は独立した装置でなければならず、
(ワイヤー、ケーブル、光ファイバーなどにより)いかなるピット機器とも
接続されていてはならない。
これらの送信機に認められる機能は、ラップを記録することのみである。
ドライバーとピットとの間の双方向の口頭によるコミュニケーション。
その他の連絡システムの使用は、オーガナイザーの許可を得た後、その管理下で
のみ可能である。
1.12 ギアボックスおよびディファレンシャルの主要ケース :
荷重をシャシーから受ける/へ伝える、もしくはギアボックスまたはディファレン
シャルを構成するもの以外の機械要素から受ける/へ伝えるケース。
1.13 総合サーキットブレーカー(「緊急停止スイッチ」)
総合サーキットブレーカーは以下を実行する接触器、つまり物理的接触を伴うスイ
ッチであり、半導体装置ではない:
-
補機用回路のすべての電気的伝達を遮断する(補機用バッテリーおよび発電機か
ら照明、警笛、点火、電気制御系などの負荷へ)
-
エンジンを停止させる。
総合サーキットブレーカーは、車両の内部あるいは外部からの最低1つの起動スイ
ッチによって作動する。
総合サーキットブレーカーは、ドライバーのマスタースイッチとして利用されては
ならない。
1.14 シャシーアース、車両アース、アース電位
シャシー(車両および車体)アース(以下、シャシーアース)とは、シャシーと安全
構造体を含んだ車体の全ての伝導性の部品の電位(アース電位)のことである。地面
はシャシーアースに接続されていなければならない。
1.15 シグナルカラーの定義:
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この色は、昼夜を問わず明瞭に見えなければならず、黄色/ライム/赤色が推奨され
る。車両1台につき1色のみが、シグナルカラーを指定される部分に選択されること
になっている。
反射ステッカーの定義:
可能な限り高い輝度反射特性(例えば3M4090シリーズタイプ3/ダイヤモン
ドグレードのようなタイプ3、RA3)を有するものでなければならない。
第2条
規則
2.1
本規則が明確に認めていないことは禁止される。
2.2
安全上の理由による改定は、直ちに、予告なく実施される。
2.3
規則の遵守
本規則に車両がその全体について競技会期間を通じて常に合致していることを車検
委員および競技審査委員会に納得させることは、各競技参加者の義務である。
競技参加者が新しい設計あるいはシステムを導入することを望む場合、あるいは本
規則のいかなる部分であっても不明瞭に感じる場合、耐久コミッティにその解釈を
求めることができる。
解釈が一切の新しい設計あるいはシステムに関する場合、以下を連絡しなければな
らない:
2.4
-
設計あるいはシステムの完全な記述
-
適切な場合には図面あるいは略図
-
一切の提案された新設計が、車両のその他の部分に直ちに影響することに関して
の競技参加者の意見
-
そのような一切の新設計あるいはシステムを使用することから発生する可能性
のある長期的な成り行きあるいは新規開発に関する競技参加者の意見
-
競技参加者が考える、その新設計あるいはシステムが車両の性能を向上させる正
確な方法。
計測
すべての計測は、車両が平坦な水平面に静止した状態で行われなければならない。
2.5
材質
特定の弾性係数が40GPa/g/cm3を超える金属材質の使用は禁止される。
3mm未満の厚みのマグネシウムシートの使用は禁止される。
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マグネシウムを基礎とした合金で、それが認められているところでは、全競技参加者
に非独占ベースで通常の商的条件にて入手可能でなければならない。ISO162
20(合金鋳塊および鋳造部品について)およびISO3116(鍛造部品について)
によって扱われるこれらの合金で、FIAに承認されているもののみ使用できる。
チタニウム製の部品の使用は認められるが、サスペンション部品、ステアリングある
いは制動装置の部品への溶接は禁止される。
第3条
3.1
車体および寸法
寸法
下記第3.6項にて許されているものを除き、内部および外部の測定(長さ、幅、オ
ーバーハング、ホイールベース、ウインドスクリーン、ウインドウなど)および車体
構成要素の全体的形状は、公認書式にある通りに維持されていなければならない。
3.1.1
3.1.2
3.2
寸法
a/
ホイールベース:自由。ただし公認書式に登録されたものと同一でなけれ
ばならない。
b/
全長:最大4650mm(リアウイングを含む)
c/
全幅:最大2000mm
d/
高さ:車体のいかなる部分も、基準面より上方1030mm(*)を超えて
あってはならない(第3.5.1参照)
。ただし、リアロールオーバー構造体
のフェアリングは、リアロールオーバー構造体の最大10mm上方まで許
される。
(*)2014年LMP1規定に合致したシャシーを搭載したLMP2に
ついては、1050mm。
オーバーハング
a/
フロントオーバーハングは1000mmまでに制限される。
b/
リアオーバーハングは750mmまでに制限される(リアウイングを含
む)。
ドア
3.2.1
クローズドカー
a/
ドアは、第14.1.5.b.4項に詳記される開口部を通じて、コクピットの
通常の出入りを提供しなければならない。
b/
開口(ヒンジ)あるいは施錠(ロック)装置は、緊急の場合に、コクピッ
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トの外部からと同様に内部からも、ドア全体が直ちに解放されるように機
構設計されていなければならない。
それらは公認されなければならない。
開口(ヒンジ)あるいは施錠(ロック)装置は、シグナルカラーでマーキ
ングされなければならない。
3.3
ウインドスクリーン&ガラス部分
3.3.1
オープンカー
ウインドスクリーンは任意。
3.3.2
3.4
クローズドカー
a/
ウインドスクリーン
ラミネートガラスあるいはポリカーボネート製(厚さ:最低3.5mm)あ
るいは公認グループにより承認された同等の素材製の、一体構造のウイン
ドスクリーンが義務付けられる。
ウインドスクリーンの上端部は:
- 屋根の最高点より低くなければならない(エアインレットは除く)
- 最低300mmの幅に渡って基準面から少なくとも920mmの高
さになければならない(第3.5.1参照)。
b/
ガラス部分
b.1 ポリカーボネート製のサイドウインドウが許される。
b.2 側面から見て:
サイドウインドウの透明部分の周囲は、300mm(基準面に対して
垂直)×500mmの(基準面に対して水平な)方形が収まるようで
なければならない。
その方形の上部の角度は、最大100mmの半径で湾曲させること
ができる。
その方形の基部は、基準面から少なくとも500mmの高さがなけ
ればならない。
b.3 追加の安全留め具が推奨される。
a/
側方から見て:
車軸中心線の高さより上で、一切の空間や切抜きのない車体が、コンプリ
ートホイール(ホイールとタイヤ)の完全な周囲を覆っていなければなら
ない。
ホイールアーチは、外側から見て開放されるのみでなければならない。
以下に位置する全領域は:
- 前部車軸中心線の415mm後方の垂直な横方向面と後部車軸中心
線の415mm前方の垂直な横方向面との間で
- 基準面から400mmの高さまで
車体
3.4.1
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は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
この車体要素(含複数)のすべての見える部分は、車体の全幅より150
mmを超えて内側にあってはならない(水平に測定)。
b/
後方から見て:
機械的構成部品は、車軸中心線を通過する水平面の上で見えてはならない。
見える場合は、約10mmのワイヤーメッシュあるいはルーバーの装着が
義務付けられる。
リアのコンプリートホイールは、車軸中心線を通過する水平面の上で見え
てはならない。それらは堅牢な車体要素によって覆い隠されていなければ
ならない(ワイヤーメッシュは禁止される)。
これらの要素は:
- 厚さが一定でなければならない。
- それらを通過する空気がその出口で地面に向くように導かれる設計
でなければならない。
- 競技会期間中を通じ、車体に強力に固定されていなければならない。
一部あるいは全体の要素が欠けている場合、当該車両はピットに止
められる。
車体の後部は、基準面に垂直な2枚の横方向プレートが取り付けられなけ
ればならない。
それらは、
- 第5図に従っていなければならない
- 車体の後端部になければならない
- 一部不浸透性の表面を有していなければならず、端部は最大5mm
半径の湾曲を形成することができる
- 競技会期間中を通じ、車体に強力に固定されていなければならない。
これらのプレートの一枚が欠けている場合、当該車両はピットに止
められる。
c/ 上から見て:
・ 以下に位置する全領域:
- 前部車軸中心線の後方415mmの垂直な横方向横断面と第14.1.
5項に規定されるコクピット開口部の前端部との間、
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
このうち見えるすべての部分あるいはこれらの要素は、基準面から少なく
とも200mmの高さになければならない(第3.5.1項参照)
。
・ 以下に位置する全領域:
- コクピット開口部の前端と後部車軸中心線の前方415mmの垂直な
横方向横断面との間
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
コクピット開口部を除き(オープンカーのみ)、このうち見えるすべての部
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分あるいはこれらの要素は、基準面から少なくとも400mmの高さにな
ければならない(第3.5.1項参照)
。
・ 以下に位置する全領域:
- 前部車軸中心線の後方1200mmの垂直な横方向横断面と車両の後
端との間
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、コクピット開口部内を除き(オープンカーのみ)、この車体のすべての
見える部分は、切り抜き部のない連続した一体の表面を形成していなけれ
ばならない。
・ 許される唯一の開口部は:
- エンジンの空気取り入れ口(第3.4.5c項参照)
- ブレーキの空気取り入れ口
- 排気パイプの出口
これ以外の開口部が必要な場合、それらは車体の表面から突出してはなら
ない。
“naca”タイプのエアダクト、あるいはルーバーかワイヤーメッ
シュで覆われた出口のみが認められる。
・ リアホイール中心線後方および基準面より200mmを超えて上方にあ
るすべての車体は、切れ目のない、滑らかな、連続した一体の表面を形成
していなければならず、リアウイングを取り外して、車両上方から見える
状態でなければならない。垂直面は、それらの上端全体が上方から見える
限り認められる。
リアホイールの後方では、上からおよび横から見えるすべての車体は、基
準面の少なくとも200mm上方まで下げられていなければならず、コン
プリートホイール(ホイールとタイヤ)の全外周を覆っていなければなら
ならい。車両の後部では、後ろからのみ見える車体すべてが、上記第3.4.
1.b項に合致していなければならない。
3.4.2
エンジンカバーは工具を使用して取り除くことができる。カバーは最低でも
2つの安全留め具で取り付けられ、両方とも明瞭に示されていなければなら
ない(赤い矢印、あるいはその他対照的な色による)。
3.4.3
給油カップリングシステムの近くにある車体接合部は、エンジン室あるいは
コクピットへ漏れが一切生じないように設計されていなければならない。
3.4.4
空気取り入れ口
a/
空気取り入れ口は、上記3.4.1項に合致していなければならない。
b/
それらは上から見て車体の周囲から突出してはならない。
c/
それらは、車体の表面から150mmを超えて突出してはならない(エン
ジンの空気取り入れ口については200mm)。
- 測定は、空気取り入れ口の最も高い点から水平位置にある車体要素ま
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で垂直下方向に、少なくとも幅100mmに渡り実施される。
d/
3.4.5
クローズドカー
車体の頂部に配置される場合は、エリアはウインドスクリーン、サイドウ
インドウおよびドア開口部の最後端点に接する垂直な横方向面の上部線
により画定され、空気取り入れ口(含複数)はウインドスクリーンの最高
点の後ろに配置されなければならない。
エアエクストラクター(空気排出口)
a/
エアエクストラクターは上記第3.4.1項に合致しなければならない。
b/
前後のウイングの上方に切り抜き部が義務付けられる。
上から見て、それらは、各ホイールの上方で、フロントホイールについて:
- ホイールにつき最小750cm2の表面領域を有していなければなら
ない。
- ホイールにつき最大950cm2の表面領域を有していなければなら
ない。
- タイヤのみが見えるようでなければならない。
上から見て、それらは、各ホイールの上方で、リアホイールについて:
- ホイールにつき最小1000cm2の表面領域を有していなければな
らない。
- ホイールにつき最大1200cm2の表面領域を有していなければな
らない。
- タイヤのみが見えるようでなければならない。
これらの開口部は、20cm×25cmの長方形の型板が、車軸軸線につ
いて水平に左右対称に配置し、導入可能でなければならない。
フロントとリアについて:
* 上からみて:開口部の外側端部とウイングの外側端部との間で、最低距離
30mmが義務付けられる。
* 前および後ろから見て:タイヤの上部が見えてもよい。
* 横から見て:
- フロントホイールの切り抜き周囲の車体部分は、基準面から725m
mを超えて高くすることはできない。
- リアホイールの切り抜き周囲の車体部分は、基準面から725mmを
超えて高くすることはできない。
* 上から見て:
- 基準面から725mmの制限領域は、後方視界ミラーを除き、リアホ
イールアーチの切り抜き部の最後端点の前方で、車両中心線から両側
に500mmを超える所と定義される。
- さらに、リアホイールの切り抜き部の後方で車両中心線から810m
mを超える所にあるいかなる車体部分も、基準面から725mmを超
えて高くすることはできない。
3.5
車両底面
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前部車軸中心線の後方でスキッドブロックを除き(第3.5.6項参照)、完全に懸架さ
れた部品は、以下に定義される通りの、基準面、リアディフューザーおよび側方部品
(湾曲した側部を含む)を超えて突出してはならない。
許される開口部は唯一、ホイールとサスペンション部品の動き(サスペンション動程
およびステアリング)、エアジャッキのための穴、閉鎖ハッチ(メンテナンス作業用)
およびオーバーフロー燃料パイプに必要な最小の隙間である。
3.5.1
3.5.2
基準面
車両の下部に、平坦な、連続的で、堅牢な第1図に合致する基準面が義務付け
られる。
a/
基準面は、最小800mm(前後方向)×900mm(横方向)の寸法の
長方形の区域に渡る、主要構造体/サバイバルセル(タブ)の一体部分で
なければならない。
b/
基準面の下側は、すべての垂直方向の高さ計測の検査基準となる。
c/
リアディフューザーとその垂直パネル(第3.5.2項参照)
、さらに側方部
品(第3.5.3項参照)と共通する端部は、最大10mmの半径で湾曲させ
ることができる。前端部も最大半径10mmの丸みを帯びてよい。
d/
基準面は、上方から見て見えてはならない。基準面の上側に続く車体要素
は、基準面の一部とみなされる。
e/
側方部品を、リアホイールの前後で同じ面に維持するため、ディフューザ
ーの垂直パネルと側方部分に共通な端部は、基準面の若干上方にあってよ
い(ディフューザーの幅が1,100mmに等しい場合は、最大で7.5m
m)。
リアディフューザー
車両の後部下側に、1枚の平坦な、連続的で、堅牢な傾斜面(リアディフュー
ザー)が義務付けられる。
a/
それは基準面に対して傾斜していなければならず、第1図に規定される最
大容量(寸法および幾何学的形状)に合致していなければならない。
b/
リアディフューザーのいかなる部分も、基準面上方200mmを超えては
ならず、後端部は車体の縁に対して垂直でなければならない(リアウイン
グを取り外して)。
c/
リアディフューザーを基準面につなげているパネルは、垂直でなければな
らない。加えて、後部車軸中心線からディフューザーの最後端部まで、リ
アディフューザーを基準面につなげている外側パネルは、車両の前後方向
中心線に平行を保っていなければならない。
d/
リアディフューザーを垂直パネルにつなげるため、最大半径10mmが認
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められる。
3.5.3
e/
最大2枚の垂直整流板をリアディフューザーに追加することが認められ
るが、それらの表面は:
e.1 ディフューザーに対して垂直でなければならない
e.2 平坦で、互いに平行であり、前後方向の車両中心線に対しても平行で
なければならない
e.3 車両の前後方向中心線に対して左右対称に配されなければならない。
e.4 それらの長さの最低75%でディフューザーに取り付けられてしな
ければならない(2013年より公認された車両モデルについて)。
f/
ディフューザーの後端部および上記第3.4.1b項に規定される2枚の横
方向プレートは、同一の横方向面になければならない。
側方部品
これらは基準面(第3.5.1項参照)およびリアディフューザー(第3.5.2項
参照)の左右両側にある部品である。
前部車軸中心線の後方で、それらは第1図に従い、基準面に対して傾斜面を形
成していなければならない。
車体とつなげるために、側方部品は:
- フロントホイールの後方およびリアホイールの前方で、最大50mmの半
径で上向きに湾曲させることができる(第1図のエリア1参照)
- 垂直面とつなげるために、フロントとリアのホイールの間で、最小50m
mの半径で湾曲していなければならない(第1図のエリア2参照)
リアディフューザーとその垂直パネルに共通の端部は(第3.5.2項参照)
、最
大10mmの半径で湾曲してよい。前の端部も最大半径10mmの丸みを帯
びてよい。
3.5.4
前部部品
以下に位置する領域:
- 前部車軸中心線の前方
- 最低幅1,000mmを超える部分
の車両の懸架部品はすべて、基準表面の上方50mmを超えて配置されなけ
ればならない。
以下に位置する領域:
- 車両の前部輪郭の後方
- 前部車軸中心線の前方
- 車体の全幅を超える部分
- 基準面から最大300mmのところ
の車体の下側から見える部品はすべて、開口部、溝あるいは切り抜き部のない
連続した表面を形成しなければならない。
ホイールおよびサスペンションの動き(サスペンション動程およびステアリ
ング)、またブレーキ用スクープの通過を可能とするために、フロントホイー
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ル周辺の容積は自由である。その位置および最大寸法は以下の通り:
・ フロント車軸中心線に対して左右対称に、800mmの長さに伸び
・ 基準面から高さ300mmで
・ 幅550mmの、車両の前後方向中心線から少なくとも450mmにある
容積の内部表面。
この表面を形成する構成要素の後端(後方の縁)は、フロントホイールの前方
の要素を含め:
- 前部車軸中心線の前でなければならない
- この表面の最大の長さの3%に等しい最小肉厚を有していなければなら
ず(垂直投影面で)、10mm以上でなければならない。
- 25mm未満にはその他一切の要素があってはならない。
これらの要素の前端(前方の縁)を除き、空気流に接触する底部表面と、空気
流に接触する上部表面との間の距離は、要素の全体の領域に渡る後端部の厚
さを超えていなければならない。
上記規則は、以下の条件に合うシャシーとクラッシュボックス要素には適用
されない:
・ すべてのFIA試験に合格している
・ 切れ目のない、滑らかな、連続的で損じるところのない表面を形成してい
る
・ 下から見て、基準面の上方300mmまでの全体を見渡せる。それらの底
端部の全体が下から見える限り、垂直表面が認められる。
3.5.5
地上高
a/
サスペンションを除き、地上高を変更するように設計された一切のシステ
ムは認められない(下記第10.2項参照)。
b/ 車両の懸架部分は、基準面によって形成される面より下には認められない。
ただし下記の義務付けられるブロックは除く:
c/
3.5.6
フリクションブロックは、それらの表面が、取り付けられている主要部分
と連続的である場合に許可される。
最大比重が2の均質な材質で製作されていなければならない。
フリクションブロックは、車両の中心線に左右対称に、取り付け表面とブ
ロックの間に一切の空気が通過しないような方法で取り付けられなけれ
ばならない。
下側から見て、スプリッターにフリクションブロックを固定するために使
用されている留め具は:
・ LHSおよびRHS(左右)を組み合わせた合計領域が150cm2を
超えてはならない。
・ 5cm2をを超えない個々の領域を有していなければならない。
・ それらの下側表面全体が車両の下から見え、新しい場合はフリクショ
ンブロックの下側表面から最小2mm奥まっているように取り付け
られていなければならない。
スキッドブロック
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基準面の下に、1つの長方形のブロック(スキッドブロック)を取り付けなけ
ればならない。それは最大4つの部分で構成できる。
a/
スキッドブロックは:
a.1 前部車軸中心線から後部車軸中心線まで前後方向に伸張していなけ
ればならない
a.2 第2図に合致していなければならない。
スキッドブロックは、レースのスタート前に検査される。
a.3 許される最大の磨耗は5mmである。
その測定は、プラクティスセッションとレースの終了後に、第2図に
明記される領域で実施される。
a.4 以下を除き、一切の穴あるいは切り抜きがあってはならない:
- 第3.5.6c項にて許されている留め具を取り付けるのに必要な
もの
- エアジャッキに必要となる可能性のあるもの。
a.5 各部分は比重が1.3~1.45の均一な素材でできていなければな
らない。
a.6 ブロックと基準面との間に空気が一切通過することのないような方
法で、車両中心線の左右対称に取り付けられなければならない。
b/ スキッドブロックの前後端部は、前後方向に最大200mmの長さに渡り、
21mmの深さに面取りをすることができる。
c/
下から見て、スキッドブロックを基準面に固定する留め具は:
c.1 総面積が400cm2を超えてはならない
c.2 個々の面積は20cm2を超えてはならない
c.3 スキッドブロックが新しい場合にはブロックの全体の低部表面が車
両の下側から見え、底部表面と同じ平面となるように、取り付けられ
ていなければならない。
d/
スキッドブロックの前部は、2500Nの負荷がフリクション表面のどの
点にも垂直にかけられた場合に、5mmをを超えて歪んではならない(第
2図比較参照)。負荷は直径50mmのラムを使用して、上方向へかけら
れる。
基準表面上の車体前部とサバイバルセルとの間にある支柱あるいは構造
物を、試験のいかなる部分の最中であっても非線形の歪みを認めるシステ
ムあるいは機構を有していないこと、あるいは負荷がはずされた時に歪み
/負荷の全単射を防ぐことを条件に(速度指示5mm/秒)、この試験に
提示できる。
スキッドブロックの前部は、フロントホイールを地面から吊り上げること
のできる力が加わった時に、15mm以上歪んではならない。
e/
スキッドブロックの後部は、5000Nの負荷がフリクション表面のいず
れかの点に垂直にかけられた場合に、5mmを超えて歪んではならない
(第2図比較参照)。負荷は直径50mmのラムを使用して、上方向へかけ
られる。
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スキッドブロックと車両の構造体部分との間にある支柱あるいは構造物
を、試験のいかなる部分の最中であっても非線形の歪みを認めるシステム
あるいは機構を有していないこと、あるいは負荷がはずされた時に歪み/負
荷の全単射を防ぐことを条件に(速度指示5mm/秒)、この試験に提示
できる。
3.6
空力装置
3.6.1
第3.6.3項に規定されるリアウイングを除き、ウイングプロフィール(*)を持
つ車体あるいは車体底部の要素は認められない。
(*) ウイングプロフィール:前部の前端と後部の後端をつなぐ異なる曲線および
/あるいは中央の2つの弧により形成される区間で、その目的が空力的揚力
あるいはダウンフォースを発生させようとするもの。
ウイングプロフィールとはみなされない車体構成要素は:
・ 一定の肉厚であるもの
・ 完全に左右対称のプロフィールであるもの。これらのプロフィールは後端
部を超えてプロフィール伸張部があってはならず(この後端部より25m
m以内には、一切の車体要素が認められない)、後端部は以下でなければ
ならない:
- プロフィールの最大の長さの3%に等しい最低肉厚を有するが、10
mm以上であること
- プロフィールの中心線に垂直であること。
・ 最低30mmの後端部を有するもの。前端部を除き、プロフィールの厚さ
が、要素の全体表面に渡り後端部の厚さを超えていなければならない。
・ 垂直であるもの(前方から見て)
3.6.2
車体に追加される空力要素
以下を除き、車体の一体部分としても、そうでなくとも、車体に空力要素を追
加することはできない:
・ フロントフェンダーの前および前部投影面の範囲内で、最大2つの空力要
素が以下の条件で認められる:
・ ドライバーの視界を妨げない
・ 前照灯を覆わない
・ 基準面の上方600mmを超えて位置していない
・ 製造者によって承認されており、車両の公認書式に記載されている。
・ 垂直整流板を、フロントホイール軸の前方で、車体の下側に追加すること
ができ、それらは車両の前後方向中心線に対して左右対称でなければなら
ない。
・ 車体後部に1枚の「ガーニー」
・ 下記に記述されるリアウイング
以下は車体に追加された空力要素とみなされる:
- 車体の一体部分であるかないかを問わず、規定で認められていないア
ングルブラケット
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3.6.3
空気排出口(チムニー)。排気パイプを覆うために義務付けられた車体
要素が、上から見て見える場合には、空気排出口(チムニー)とはみ
なされない。
配置可能箇所が1箇所を超える車体要素
ダウンフォースを発生させるだけの機能をもつ、規則で認められてい
ない一切の空力要素。
リアウイング
リアウイングは以下の要素で構成される:ウイング、垂直な支持具およびエン
ドプレートで、それらは以下の基準を満たしていなければならない:
a/
ウイング
ダウンフォース(反揚力)を発生させる第一要素は、単一の空力装置で、
調整可能で、車両の後部に搭載され、最大で2つのウイングプロファイル
(主ウイング部とフラップ部)を有する。それは、以下の通りでなければ
ならない:
a.1 水平に250mm×垂直に150mm×横方向に1600mmの容
積に収まること。
a.2 ウイングのどの部分も、基準面の上方965mmを超えないように
取り付けされること。
a.3 コクピットの中から調整することができないこと。
a.4 リアウイングの断面は車両の前後方向の中心線に対して左右対称で
なければならない。
a.5 主ウイングの後端部は、200Nの2つの負荷が垂直に、また左右対
称にかけられた場合に、3mmをこえて歪みを生じてはならない。こ
の負荷は、ウイングの幅に渡りいずれの左右対称点へ、その要素の後
端と一致してかけられる。負荷は以下の通りの競技参加者により供
給されるアダプターを使用してかけられる:
- 幅は50mm以下である
- 後端より前方への伸張は10mm以下
その要素は、競技参加者によって供給される堅牢な支持体の上に固定される。
b/
垂直支持体
b.1 長さ:水平方向に最大400mm
b.2 支持体は最大で1250mm離れていなければならない。
支持体を1つとするために、組み合わされている場合、第3.6.3項
のすべての点を満たすものでなければならない。
b.3 表面は平坦で、車両の縦方向の中心線に平行でなければならない。
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前端は丸みを帯び(一定の半径で)、後端(後部の縁)は20mm以
内で傾斜することができる。
b.5 リアウイングは車両の主要構造体に、堅牢に(堅牢な状態とは、取り
付けに一切の自由度がない状態を言う)取り付けられていなければ
ならない。
リアウイング要素の局所的固定部は互いの間に一切の自由度がない
こと。
b.6 後部ボンネットは、ウイングの取り付け部に干渉することなく取り
外せなければならない。
b.7 車体とエンドプレートとの固定部を取り外した状態で、垂直支持体
は、リアウイングの表面に均等にかけられる10kNの垂直負荷に
耐えることができなければならない。
b.8 車体とエンドプレートの固定部を取り外して、主平面の後端の最後
点は、主平面の表面に2400Nの垂直負荷がかけられた場合に、1
0mmを超えて垂直方向に歪んではならない。
負荷は主平面の翼弦の長さの50%となるX点と、中心線に対して
164mm、452mmおよび740mmの点に、ウイングの翼弦全
体に伸張する、幅200mmの区別のできる6種のパッドを使用し
て、それらの最上部水平表面に、400Nの負荷がかけられる前に、
均一かつ同時に加えられる。
この試験の目的のため、一切の二次的エアロフォイル要素(フラップ)
は取り除かなければならない。
b.9 車体とエンドプレートの固定部とリアフラップを連結し(走行状態
にあるように)、主平面および横方向プレートのどの点も(第3条4
項1b比較参照)、次の組み合わせられた垂直負荷がかけられた時に、
垂直方向に15mmを超えて歪んではならない:
a/
主平面の表面に2400Nの負荷がかけられる。
負荷は、下方向へ均一に、また同時に、主平面の翼弦の長さの
25~75%となるX点に、中心線について164mm、45
2mmおよび740mmの点に、ウイングの前端部からその後
端部まで、あるいは存在する場合はフラップのオーバーレイの
点まで伸張する、幅200mmの区別のできる類似の6種のパ
ッドを使用してかけられる。それらの最も上になる表面は、4
00Nの負荷がかけられる前は水平でフラップの上部点の上
方になる。
b/
1000Nの負荷が特定のフックあるいはアダプターを経由
し、上部水平角度の幅全体の上に置かれた横方向の各プレート
(第3条4項1b比較参照)に、その中央に位置させ、またプ
レートの後面の縦にかけられる。
チームはFIAの指示に従い、パッドとアダプターを供給しなけれ
ばならない。
b.10 基準面の500mm上方にあるウイング支持体の部品のみが、車体
の後部に突出することができる。
b.4
c/
エンドプレート
c.1 エンドプレートは2つの部分から成ってよい(1つはリアウイング
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c.2
c.3
c.4
c.5
c.6
上で、もう1つは車体上)。
リアウイング上に取り付けられる部分は、765mm×300mm
の長方形に納まらなければならず、最低面積は1000cm2で15
0mm×300mmの最低寸法を有していなければならない。
それらは、上記第3.6.3.b.7項を満たしていることを条件に、車
体に取り付けることができる。
厚さは一定で、最低10mmでなければならない。
端部は一定の5mm半径で湾曲させなければならない。
表面は平坦で、車両の縦方向中心線を通る垂直面に平行であること。
上記3.6.3.c.2項で認められている固定部を除き、車体の要素は
エンドプレートに取り付けられてはならない。
d/
後端エアロフォイル要素(フラップ)
最も後ろのウイング要素は、表面に200Nの負荷がかけられた場合に、
5mmを超えて水平方向に、また10mmを超えて垂直方向に歪んではな
らない。
負荷は後端要素の翼弦の長さの50%にあたる地点に、フラップの頂点に
よって決められる平面に垂直な線に沿ってかけられなければならない。
負荷は車両中心線にある点、および中心線の両側270mmと540mm
の点についてもかけられなければならない。
負荷をかける際には15mm幅のアダプターを使用し、それは当該チーム
が提供しなければならない。
e/
一般
これらの要件が満たされることを確実にするため、FIAは車両が走行中
に可動であると思われる(あるいはそのように疑われる)車体のいかなる
部分についても、さらなる負荷/たわみ試験を実施する権限を留保する。
注:上記のすべての負荷/たわみ試験は、車両にウイングをつけた状態で実施しな
ければならない。
3.6.4
フィン
a/
一般
垂直な堅牢なフィンの取り付けが義務付けられる。
このフィンは以下のようでなければならない:
- 前後方向に、車両中心線に平行
- 中心線のどちら側も等しい厚さで、完璧に車両の縦軸上に位置する。
このフィンは一定の厚さでなければならない(最低10mm~最大20m
m)
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車両にホイールを取り付けた状態で、フィンの目に見える部分は(側方か
ら見て)、両側で3000cm2を超えていなければならない。
フィンは、一切の穴や開口部のない連続的な状態でなければならない。
クローズドカーでは、エンジンの空気取り入れ口をフィンと統合させるこ
とができるが、第3.6.4項のすべての規定が遵守されていることを条件と
する(肉厚については、最大1400mmの長さに渡って一定とすること
はできない)。
このフィンには、その他の装置を固定することはできない。
フィンを、エンジンカバーに一体的に取り付けることおよび/あるいはシ
ャシー、リアウイングおよび後部構造体(“ブリッジ”上)にしっかりと固
定することができる。
エンジンカバーおよび/あるいはフィンの取り外しに工具を使用すること
が必要であってよい。
b/
位置
頂点端部は、まっすぐで、基準面の上方1020mmと1030mm(*)
の間になければならない。
前端の横方向保護は、まっすぐで、以下になければならない:
(*)2014年LMP1規定に合致したシャシーを搭載するLMP2につ
いては、1040mmと1050mm。
*クローズドカー:
ウインドスクリーンの上端部の最大10mm後方に。(第3.3項参照)
頂点端部は、基準面から上方に1000mm以下であることを条件に、前
端部とウインドスクリーンの上端の100mm後方の地点との間のゾーン
では、まっすぐでなくてもよい。
ウインドスクリーンの上端は、Y=0で、ウインドスクリーンの最後端点
X位置と定義される。
*オープンカー
コクピット開口部の最大300mm後方に。
***
後端はまっすぐで、後部車軸中心線の後方350mmと450mmの間に
位置しなければならない(350mmの寸法は、それがフィンを伸ばして
いる場合、リアウイング支持体にこれらの制約は適用されない)。
底端部は、車体表面の上方25mm以下でなければならない。
c/
ジオメトリー
前端、頂端部、および底端部は、一定の半径で湾曲させることができる(半
径はフィンの厚さの半分に等しくなければならない)。
後端部は、傾斜しているか、20mm以下の楕円形とすることができる。
頂端/前端、頂端/後端、底端/前端および底端/後端の間は、最大50
mmの半径が認められる。
フィンがエンジンカバーに取り付けられている場合、最大50mm半径が
両方の部品の間に認められる。
d/
たわみ試験
長さ400mmのU字ツールを使用し、高さ60mmのフィンの頂点端部
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において、静加重試験が適用される。
U字ツールの中間は、どちらの端部もオーバーハングしないように、(最
も後ろの位置が車両の後部車軸になるように)フィンの頂点端部に沿って、
どこにでも置くことが出来る(横方向から見て融合した半径は無視される)。
負荷は400mmのU字ツールの中心にかけられる。
この試験は、元の場所にてフィンに2回実施することができ、それにより
シャシー/車体の取り付け部も試験することができる。
それぞれの試験で、フィンのたわみは、100daNの負荷で(どの点に
ても)100mm以下であり、一切の恒久的変形は、負荷を1分間はずし
た後で3mm未満でなければならない。
第4条
4.1
重量
最低重量
900kg
この最低重量は、第3.5.6項に規定されるスキッドブロックを含む。
4.2
バラスト
バラストは、取り外しに工具が必要であるように、しっかりと固定されなければなら
ず、その方法は車検員が封印を取り付けられるようでなければならない。
可動式のバラストシステムは一切禁止される。
コクピットに取り付けられるバラストは公認クラッシュ試験に提出されなければな
らない。
4.3
液体
重量は、タンクに液体が残った状態で、競技会中いつでも検査できるが、プラクティ
スセッションあるいはレースの終了後、車両は重量計測前にすべての燃料が抜き取
られる。
第5条
5.1
エンジン
仕様
5.1.1
エンジン
5.1.2
最大気筒容積
a/ 自然吸気
ガソリン
b/ ターボ/過給器
ガソリン
5.1.3
公認される
(第5条6項参照)
5,000cm3
最大8気筒
3,200cm3
最大6気筒
吸気マニフォールドは、金属あるいは金属合金製のリストリクターを取り付
けなければならず、その直径は最低長さ3mmなければならない(下記付則1
参照)。
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5.2
ターボチャージャー付エンジン
5.2.1
5.3
エアリストリクターの位置:空気漏れの無いまっすぐな円錐形の一体部品が、
リストリクター(含複数)と過給装置吸気口直径との間に設置されなければな
らない。
a/
その円錐体は最低7°の開口部を有することが義務付けられる。
b/
円錐体の各端部では、最大10mmにわたり、リストリクター(含複数)
と過給装置吸気口両方の直径の範囲内で、丸みを帯びた形状が認められる。
5.2.2
ベアリング、可変直径インレットおよび調整可能な内部ファンを除き、セラミ
ック部品を組み込む過給装置は禁止される。
5.2.3
ブースト圧:付則1参照
5.2.4
ターボチャージャー付エンジンにつては、ACOデータロガーキットと共に
配布されるエアボックス圧センサーが、リストリクターの後ろで、ターボより
前に装着されなければならない(下記図面の圧力センサー#2参照)。
ターボが2つ装着された車両については、そのセンサーは1つのターボにの
み義務付けられる。
競技参加者のエンジンマッピングを補助するために、リストリクターの領域
に圧力センサーを追加することが認められる(圧力センサー#1)。
どちらの場合にも(圧力センサー#1および#2)、最大の穴直径は1mmで
ある(空気をセンサーに接触させる穴)。
吸気温度
5.3.1
インタークーラーを除き、エンジンに供給される混合気(空気および/または
燃料)および/あるいは吸入される空気の温度を下げる効果および/あるい
は目的を有するすべての装置、システム、手段、構造もしくは設計は禁止され
る。
過給装置、インタークーラーおよびマニフォールドの間のパイプは自由であ
るが、その唯一の機能は空気を通すことでなければならない。
5.3.2
内部および/あるいは外部的に水やその他いかなる物質を噴霧、または噴射
したりすることは、エンジン内での燃焼を目的とする通常のものを除き禁止
される。
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5.4
インテークシステム
自由
5.4.1
以下は認められない:
a/
可変長マニフォールド(ロータリーエンジンは除く)
b/
可変バルブタイミング:
バルブを開くタイミングおよび/あるいはバルブリフトを変化させるこ
とのできる一切の装置は、可変バルブタイミングとみなされる。
5.4.2
スロットル
自由(すべての機械的でないシステムはFIAに承認を受けなければならな
い)。
5.4.3
エアボックス(含複数)
a/
エンジンに供給されるすべての空気は、リストリクター(含複数)を通過
しなければならない。
b/
すべての状況において、機密性は常に完全でなければならない:空気を含
むパイプがエアボックスに貫入あるいはエアボックスから出ることは認
められない。
c/
リストリクターの高さでインテークシステムを塞げばエンジンが直ちに
停止しなければならない。エンジンが停止(エンジンrev=0)の時、
エアボックス内で計測される気圧低下値は:
- 最初の0.5秒の間、検査実施場所の大気圧の値よりも、少なくとも
150ミリバール低くなければならない。
- 次の0.5秒の間、検査実施場所の大気圧の値よりも、少なくとも1
00ミリバール低くなければならない。
- その次の0.5秒の間、検査実施場所の大気圧の値よりも、少なくと
も50ミリバール低くなければならない。
d/
標準の接続部「ダッシュ3凸型」が、計測装置との接続ができるよう、自
然吸気エンジンのエアボックスについていることが義務付けられる。
空気出口の直径は最低で2.4mm(3/32”)でなければならない。こ
の接続部は:
- 容易に手が届くことができなければならない;
- 吸気トランペットの上の空気流の外側になければならない;
- できれば空気吸入口(含複数)に向いていること;
- 計測装置が外される時は、封印されなければならない。
e/
エアボックスが複数の部分から成っている場合は、完全な機密性を確実に
できるよう、効果的な方法で結合されていなければならない。
f/
エアボックスは車検員が封印する。
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g/
5.5
一切の機能的欠陥は、競技参加の責任となる。
排気システム
5.5.1
騒音レベル:予選および決勝レース中、各車両から出される音量は110db
Aを上回ってはならない。計測は走路端部から15m離れた地点で行われる。
5.5.2
排気パイプ出口
排気パイプの出口は:
a/
b/
5.6
ホイールベースの中間地点より後方でなければならない。
上から見て車体の周縁に収まっていなければならない。
公認エンジン
5.6.1
タイプ
a/
エンジンは連続する12ヶ月で最低1000台が製作され以下からのも
のでなければならない:
- グランドツーリングカーからのものであるか、
- あるいは、大規模量産車両からのもの。
エンジンは競技使用において信頼性のあるものであり、以下の価格を上回
ることなく450hpの目標出力を達成するよう開発される:
エンジンの価格:
・ 購入価格:最大80,350ユーロ
・ リビルト価格:最大37,500ユーロ
エンジン製造者からの、新しいエンジンの購入要求は2シーズン毎に、あ
るいは21000kmおきにのみ認められる。
エンジンが貸与される場合:
1時間の稼動費用は:1,299ユーロでなければならない。
エンジンマネジメントにエンジニアの補助が必要である場合、それはエン
ジンの販売価格あるいはレンタル価格に含まれなければならない。
耐久コミッティは、決められた価格が遵守されていない場合、エンジンの
公認を取り消す場合がある。
エンジンには以下が含まれる:シリンダーブロック、シリンダーヘッド、
クランクシャフト、コネクティングリッド、ピストン、カムシャフト、バ
ルブ、バルブトレインシステム、ベルトおよびチェーン/プーリーおよび
カバーのついた歯車、ドライサンプ、シリンダーヘッドカバー、フライホ
イール、ウオーターポンプ、オイルポンプ、インテークマニフォールド、
インテークシステム、噴射システム、ターボ、ECUボックス、エンジン
配線束、およびエンジンを動かすためにのみ必要なセンサー。
公認書式は製造者あるいはチューナー(*)が記入し、公認グループによる適
合査察が実施された後に有効とならなければならない。
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製造者はエンジンの公認に関わる費用をすべて支払わなければならない。
特別措置が耐久コミッティにより認められる場合があるが、それは主に信
頼性を向上させるためであり、上記の費用の目標値が達成されていること
を条件とする。これらの特別措置は、エンジンの生産台数がかなり多い場
合および/あるいはLMP2で要求される馬力出力がオリジナルでは出せ
ない場合について、特に関与する。
異なるエンジンからのエンジンブロックあるいはシリンダーヘッドを使用
することが可能である。しかしながら、これらのエンジンは銘柄が同じで、
上記第5.6.1項に規定された資格基準を満たしていなければならない。
(*)耐久コミッティは、最も良い成績を出したチューナーを受け入れる。
これらのチューナーは、しかしながら、そのようなプロジェクトを実施す
ることについて、製造者より好意的意見を得ていること。また、エンジン
は製造者名とならない。
5.6.2
許される改造
5.6.2.1
シリンダーブロック、シリンダーヘッド(含複数)、バルブ角度、カ
ムシャフトの数および配置:これらは量産車両に取り付けられてい
る通りにオリジナルを保たなければならない。
点火順序は自由。
5.6.2.2
シリンダーブロックおよびシリンダーヘッド(含複数)に材質を追
加することは認められない。吸排気マニフォールドは自由であるが、
オリジナルのシリンダーヘッドガスケット面で支持されていなけれ
ばならない。
5.6.2.3
シリンダーヘッドは機械加工によって改造できるが、オリジナルの
部品が識別可能なままであることが条件とされる。バルブタペット
ガイドは、オリジナルに当初よりスリーブの付いていないものには、
スリーブを付けることができる。シリンダーブロックは以下を目的
として機械加工により改造することができる:
・ ボアの改造、またはオリジナルのブロックにスリーブの装着がな
い場合にスリーブを付けるため。
・ドライサンプを搭載するため、クランクシャフト・ベアリングの中
心軸を通過する水平面の下を改造できる。
オイルサンプは自由で、クランクシャフトのベアリングキャップを含
んでもよい。
5.6.2.4
潤滑油孔および噴射孔を改造すること、または塞ぐことができる。
ヘリコイルの使用が認められる。
5.6.2.5
シリンダーブロックまたはシリンダーヘッド(含複数)に取り付け
られる要素(クランクシャフト、コネクティングロッド、ピストン、
カムシャフト、吸気マニフォールドなど)は自由であるが、上記第
5.2.1項から第5.2.4項までを遵守しなければならない。クラン
クシャフトの重量は、オリジナルの重量の10%を超えて軽いもの
であってはならない(チタニウムの使用は禁止される)。
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第6条
5.6.2.6
以下は、市販される公道用車両に装着されていない場合は禁止され
る。
・ 可変バルブタイミング(*)
・ 可変長/直径式インレットシステム(*)
・ 可変ジオメトリターボ/スーパーチャージャー(*)
・ コネクティングロッド、バルブ、バルブリテーナー、ヒートシール
ドを除く、チタニウムの使用
・ 公認書式に記載された標準の量産機械部品を除く、マグネシウム
の使用
・ セラミック製構成要素
・ クラッチおよび負荷のかからないカバー、蓋あるいはダクトに使
用される場合を除き、カーボンあるいは複合素材の使用
(*) これらの装置を改造してはならないが、機能を無効とすることや、
取り外すことはできる。
5.6.2.7
過給システムを自然吸気エンジンに追加することは、ターボチャー
ジャー付きエンジンについて規定されるすべての規則に合致する場
合には認められる。
配管および燃料タンク
燃料システムは、第6.1項、第6.2項および第6.3項の規定が遵守されていることを条
件に自由。
6.1
燃料タンク(含複数)
6.1.1
6.2
燃料タンクのどの部分も、以下にあることは認められない:
a/
車両の前後方向中心線から675mmを超える。
b/
前後の車軸中心線の間のエリアよりも外側。
6.1.2
タンクは少なくとも厚さ10mmの衝撃吸収構造体で囲われていなければな
らない。
6.1.3
タンクは、防火壁によりコクピットおよび/あるいはエンジンルームから隔
離されていなければならない。
6.1.4
燃料タンクはFIA/FT3 1999仕様に合致するか、またはそれを上
回るラバーブラダーでなければならず、付則J項第253条14項の規則に
合致するものでなければならない。
付属品と配管
6.2.1
タンクの壁の一部であるすべての付属品(通気口、入口、出口、タンク給油口、
タンク間の連結具およびアクセスホールを含む)は、金属製または複合素材製
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でなければならず、燃料タンクに接着されていなければならない。
6.2.2
燃料タンクとエンジンをつなぐ燃料配管は自動閉鎖分離バルブを備えなけれ
ばならない。このバルブは、燃料タンクから燃料配管取付け具を引き抜いたり、
破損するのに必要な負荷の半分以下の負荷で分離するものでなければならな
い。
6.2.3
燃料、冷却水あるいは潤滑油を収容する配管は、コクピットを通過してはなら
ない。
6.2.4
配管は、いかなる漏れが生じようともコクピット内に液体が滞留しないよう
に取り付けられなければならない。
6.2.5
配管は、それが柔軟なものである場合、ネジ山のついたコネクターおよび摩擦
と炎に耐え得る外部網材を有していなければならない。
6.2.6
燃料および潤滑油の配管は、135℃の最高作動温度での最低破裂圧力41
barを有していなければならない。
6.2.7
急激な圧力変化を受けることのないすべての油圧液配管は、重力下にある配
管を除き、スチール製コネクターを使用した時の最高作動温度204℃、また
アルミニウム製コネクターを使用した時の最高作動温度135℃で、最低破
裂圧力は41barを有していなければならない。
6.2.8
急激な圧力変化のかかるすべての油圧液配管は、最高作動温度204℃で最
低破裂圧力70barを有していなければならない。
6.2.9
ネジ式コネクターのついた金属製ワイヤーによって保護された油圧液の配管
のみ、コクピット内部に許される。
6.2.10 燃料ポンプは、エンジン稼働中、あるいはエンジン始動の最中にのみ作動しな
ければならない。
供給ポンプ(タンクからコレクターに供給を行う)はピットストップの間にス
イッチを入れることができる。
注:
「スイッチを入れる」という言い回しに厳密に従うことは、メインスイッ
チとは違う人間による特定の行為が要求される。
(エンジンが止められたある
いはストールした時に、すべての燃料ポンプが止まならなければならなくな
った後に、供給ポンプのある特定の開始を制御する)。
6.3
燃料タンク給油口
6.3.1
車両は燃料タンク給油口と通気口を備えなければならない。これは結合され
ているか、シングルユニットでなければならず、車両の両側に取り付けられな
ければならない。
6.3.2
車両の給油口および通気口はともにデッドマン機構の原理に合致した漏出防
止ドライブレークカップリングを備えなければならず、開放状態の時にいか
なる保持装置も組み込んではならない。
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カップリングの寸法:付則J項-第252-5A図(内径≦2インチ)あるい
は第252-5B図の図解に準拠する。
6.3.3
6.3.4
6.3.5
6.4
6.5
タンク給油口、通気口およびキャップ
a/
それらは事故の際に破損しないような場所に取り付けられなければなら
ない。
b/
車体表面より突き出してはならない。
c/
基準面を通って出口をもつオーバーフローパイプが認められる。
タンクを外気とつなぐブリーザーパイプは:
a/
車体の外側に出口がなければならない。
b/
逆流防止バルブが取り付けられていなければならない。
c/
走行時あるいは横転時に液体の漏れがないように設計されていなければ
ならない。
車両には、車両検査委員がタンクから燃料を取り出すことができる自動閉鎖
コネクターを備えていなければならない。コネクターは:
a/
認可されたタイプのものでなければならない。
b/
噴射装置のノズルの直前に取り付けなければならない。
レース中の給油
6.4.1
付則2を参照
6.4.2
常に、
(車両ゼッケンのついた)給油装置および車両のタンクは、外気温度お
よび大気圧に保持されていなければならない。
6.4.3
車両内で直ぐに使用するための燃料は大気温度よりも10℃を超えて低くて
はならない。
規則の準拠を確認する際に、大気温度とは、FIA指名の天気予報提供業者が、
一切のプラクティスセッションの1時間前あるいはレースの2時間前に記録
した温度とする。
レース中は、その数値は2時間ごとに更新される。
この情報は公式計時モニターにも表示される。
燃料容量
6.5.1
外気温および大気圧に関わらず、車両に搭載できる燃料の最大容量は
・最大車載容量75リットル
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6.5.2
第7条
車載燃料の総容量を増加させる目的および/または効果を有するいかなるシ
ステムまたは装置も禁止される。
オイルシステム
以下の規定が遵守されなければならない:
7.1
7.2
オイルタンク(含複数)
7.1.1
オイルタンクが前部車軸中心線の前方あるいは後部車軸中心線の後方に取り
付けられている場合、最低でも10mmの厚さの衝撃吸収構造体で保護され
なければならない。
7.1.2
オイルタンクの外壁は、車両の前後方向中心線から650mmを超えること
はできない。
7.1.3
潤滑油を収容するタンクあるいはパイプは以下の場所には認められない:
a/
コクピット内。
b/
ギアボックスの後方。
c/
車両中心線から横方向に900mmを超える。
キャッチタンク
オープン式サンプブリーザーを1つでも有する場合、ブリーザーの排出口は、最低3
リットルの容量を有するキャッチタンク内に設けなければならない。
コースにオイルを噴出する危険性を回避するために、最低1リットルの追加の安全
タンクを、下記の図面に従い、キャッチタンクとブリーザーの間に挿入しなければな
らない。
この安全タンクの主な機能は、キャッチタンクのブリーザーにオイルあるいは油気
が一切含まれないようにすることである。油気がこの安全タンクの上流で適正に処
理されている場合、常に空の状態が維持されなければならない。これは:
・ キャッチタンクから分離されていなければならない
・ 高さが100mmなければならない(内側での計測)
・ 高さすべてに渡って一定の区画が保たれていなければならない
・ ACOにより公認されたセンサーが装着されていなければならない。
このセンサーは、オイルのオーバーフローの検知のため、下記の図面に示される
とおりに取り付けられなければならない。
最大レベルに達した場合、競技参加者はキャッチタンクを空にするため、直ちにガレ
ージに入らなければならない。
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第8条
電装系
以下の規定が遵守されなければならない:
8.1
バッテリー(含複数)
バッテリーはコクピットの同乗者の場所にしっかり固定され、絶縁材で作られた箱
によって保護されていなければならない。
バッテリーの電圧は自由。しかしながら、競技参加者は義務付けられる装置の操作に
必要な電力(最大16ボルト)を提供しなければならない。
8.2
始動システム
8.2.1
8.3
運転席に通常に着座したドライバーによって使用され、外部の補助を受ける
ことなくいつでもエンジンを始動できなければならない。
灯火装置
すべての照明装置が常に正常に作動しなければならない。
8.3.1
車両には以下が取り付けられなければならない:
a/
前部に:
a.1 最低2つの公認された前照灯を、車両の前後方向中心線に左右対称に、
最低1350mm離して装着する。計測は前照灯の中央で行われる。
a.2 前照灯は白色のビームを発光しなければならない。
b/ 後部に:
b.1 2つの赤色灯と2つの“ストップ”ライトを、車両の前後方向中心線
に左右対称に、最低1600mm離して装着する。計測はリアライト
の中央で行われる。
b.2 2つの赤色レインライトあるいはフォグランプ(最低21ワット)、ま
たは2011年12月31までにACOによって承認されたこれと同
等な装置を、後部に左右両側でできるだけ高い位置に、車両の前後方
向中心線に左右対称に装着する。
これらの灯火はリアウイングのエンドプレートの後部に挿入されるこ
とが必要とされる。灯火は
FIAにより承認されなければならない(テクニカルリストNo.x)。
それらは点滅モードで操作されなければならない。
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c/ 左右それぞれに:前後の方向指示器。
第9条
9.1
トランスミッション
電子装置
トランスミッション部分すべての操作においても、電子装置を組み込み、それに頼る
ことは、上記第1.10項の規則に合致する場合を除き、禁止される。
9.2
ギアボックス
9.2.1
最大で、前進6速。
9.2.2
電子式あるいは電気マネジメントおよび選択装置およびセミオートマチック
あるいはオートマチックトランスミッションは禁止される。
一度に、ドライブトレイン(動力伝達経路)に、2組以上のギアが掛かること
ができるシステムはすべて禁止される。
ギアチェンジ:ギアシフトは、実際のギアの噛み合いの抜き取りに続き、目標
ギアへの噛み合いが行われる、明らかな連続的作用でなければならない。
9.2.3
単一のスイッチが、値の制御を含めたいくつかのシステムに作用することが
できるが(第1.10項参照)、いかなる理由であろうとも、それらのシステム
がドライバーの指令に応答しない場合、また検出された値が良いものでない
場合に、ドライバーはスイッチを再度作動させなければならない。
9.2.4
センサーは、その目的が以下である場合にのみ認められる:
9.2.5
a/
ドライバーに情報を与える
b/
ドライバーの要求があり次第、その目的に限り値を制御すること(上記第
9.2.3項参照)
後退ギア
義務付けられる。
通常に着座したドライバーが、エンジンが稼働中に、後退ギアを選択すること
ができなければならない。
ギアボックスは公認されなければならない。
最大3セットのギア(一定+前進ギア+後退ギア)が、車両1台およびエンジ
ンモデルにつき公認できる。
9.3
ディファレンシャル(含複数)
9.3.1
以下のみが認められる:油圧あるいは電気システムの補助なしに作動する機
械的リミテッドスリップ・ディファレンシャル。
ビスカス式のディファレンシャルは、車両が走行中の場合に制御が不可能で
あれば、油圧式スリップコントロールとは見なされない。
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ディファレンシャルは公認されなければならない。
車両1台およびエンジンモデルにつき、1つのみの最終減速比を公認できる。
最大でギア3セットが守られていることを条件に、追加の最終減速が公認で
きる。
追加の最終減速あるいはレシオセット、またはドロップギアは、ル・マン24
時間については公認が可能である。
9.4
4輪駆動
認められない。
9.5
クラッチ
内燃エンジンのために、1つのみのクラッチが認められる。
クラッチを操作できる唯一のエネルギーは、ドライバーが提供するものだけである。
ドライバーは自身の足の働きにより、クラッチの機構の制御および操作に必要なす
べての圧力をかけなければならない。
9.6
トランスミッションの切り離し
9.6.1
9.6.2
第10条
トランスミッションは、車両が停止し、エンジンが止まった場合に、車両を押
すあるいは牽引することが可能なように設計されていなければならない。
外側から起動する方法はサーキットブレーカースイッチと組み合わされてい
なければならず、単一のレバーで操作されなければならない(第15条5項3
比較参照)。
コクピットの外側に取り付けられた圧搾空気ボトル(最大0.5kg)によっ
て空気圧による補助装置が、ニュートラルを選択し車両を移動できるように
許される。
サスペンション
自由
10.1 スプリング、ショックアブソーバーおよびアンチロールバー調整をコクピット内か
ら変更することは禁止される。
10.2 サスペンション部品以外、機能原理がいかなるものであろうとも、またドライバーに
よって作動するか否かに関わらず、地上高を改変する目的のシステムはすべて禁止
される。
10.3 前部サスペンションウッシュボーンがドライバーの脚部に危険を及ぼす可能性があ
る場合、その基部に貫入防止バーを取り付けることが義務付けられる。
10.4 サスペンションアームは:
a/
クロームメッキが施されていてはならない
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b/
均質な金属製でなければならない
c/
プロフィールの高さ/幅比は3.0を超えてはならない
d/
ブレーキ配線あるいは電気ワイヤーの保護は、以下を条件としてサスペンション
アームに取り付けることができる:
・ ウイングプロフィールをもたないこと。
・ プロフィールの高さ/幅の比が2.5を超えないこと。
・ プロフィールの最大肉厚が、+3mmの保護が付けられたサスペンションア
ームの最大プロフィール高と同等であること。
第11条
操舵
自由
11.1 ドライバーとホイールとの間は、連続した機械的な連結のみが許される。
ステアリングコラムは、スポーツカーの安全構造体の承認手順(FIA技術部により、
要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、FIAによって承認されなければならない。
予定される試験実施日の遅くとも6週間前に通知される。
競技参加者は、FIAの承認証明書の写しを提供しなければならない。
その写しは車両製造者によって届けられなければならない。
11.2 4輪駆動
禁止される。
11.3 パワーステアリング
許されるが、そのような装置は、車両の操舵に必要な肉体的労力を軽減させる以外の
機能を実施できず、すべての油圧および/あるいは電力が遮断された時にも操舵機
能が働き続けることができなければならない。
11.4 クイックリリースシステム
義務付けられる。
クイックリリース機構は、ステアリングホイール軸に同心円状のフランジで構成さ
れ、そのフランジは陽極酸化処理あるいはその他の耐久性のある被覆加工で黄色に
塗装されていなければならず、ステアリングホイール裏側のステアリングコラムに
取り付けされなければならない。リリースは、ステアリングホイール軸に沿ってフラ
ンジを引くことによって行われるものでなければならない。
第12条
制動装置
自由
12.1 分離回路
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12.1.1 少なくとも2系統の同一ペダルによって操作される回路が義務付けられる。
この2つの回路の間の接続として認められるものは、唯一前後の車軸の間の
制動力均衡を調節するための機械的システムである。
12.1.2 マスターシリンダーとキャリパーの間には一切の装置あるいはシステムは認
められない。情報収集用のセンサー、ストップライトスイッチあるいは工具を
利用して調整可能な機械的制動圧制御は、“システム”とはみなされず、それ
らはマスターシリンダーの出口間近に取り付けられなければならない。
12.2 ブレーキキャリパー
12.2.1 ホイールにつき、最大6ピストンの1つのキャリパーのみが認められる。
12.2.2 各キャリパーの断面は円形でなければならない。
12.2.3 キャリパーの本体は弾性係数80Gpa以下のアルミニウム合金で製作され
ていなければならない。
12.3 ディスクブレーキおよびブレーキパッド
12.3.1 材質
自由
12.3.2 ディスク
ホイールにつき最大1枚。
12.3.3 カーボンブレーキ装置(ディスクとブレーキパッド)
a/
最大ディスク直径:15インチ(380mm)
b/
2回目の磨耗警告表示が使用前に見えないカーボンディスクは許されな
い。
12.4 アンチロックブレーキシステム
いかなるアンチロックブレーキ機能およびパワーブレーキ機能も禁止される。
ブレーキディスク、パッドおよびキャリパーの1モデルのみが、車両の各モデルにつ
いて公認される。
第13条
ホイール & タイヤ
13.1 ホイールの数および位置
13.1.1 数:4
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13.1.2 横から見て、ホイールアーチの内側のコンプリートホイールの周囲が見える
ようでなければならない。
13.1.3 上からまた前から見て、ホイールを車両が直進するように整列させた状態で、
コンプリートホイールとその取り付け部は、車軸中心線を通過する水平面の
上で見えてはならない。
13.2 寸法
・
ホイールハブの高さで水平に計測した、コンプリートホイール。
13.2.1 幅(最大):
14"
13.2.2 直径(最大):
28"
13.3 タイヤを取り除いたホイール重量(kg)
13.3.1 フロント(最低):10.5
13.3.2 リア(最低):
11.0
13.4 材質
13.4.1 金属製。マグネシウムあるいはアルミニウム鋳造あるいは鍛造。公認車両1台
に2タイプのホイールを有することが可能である。価格は同一である必要が
ある。
13.4.2 ワンピース構造のホイール : 義務付けられる。
13.5 リム
13.5.1 フロントおよびリアの直径:最大18"
13.5.2 リム端部は以下の通りでなければならない :
a/
左右対称で、ホイールの内側と外側のリム端部の高さで計測した直径は、
公差+/-1.5mmをもって同一でなければならない。
b/
最大で高さは19.2mmを上回ってはならない。
13.5.3 取り外し可能なホイール/ハブキャップは認められない。
13.5.4 直径400mmの円に納まるフランジの表面は、平坦、滑らか、および連続的
であってはならない。フランジ表面は少なくとも厚さ10mmの突起と幅1
0mmを星状(スポーク)に有するものでなければならない。
13.6 ホイールの取り付け
自由
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13.6.1 シングルホイールナットを使用して取り付けられている場合、車両の走行中
は常に安全スプリング(赤またはデイグロのオレンジ色で塗装)がナットに取
り付けられていなければならず、ホイールを交換する都度取り付けなければ
ならない。
13.6.2 FIAに承認されていることを条件として、これ以外のホイール装着保持機
構を使用してもよい。
13.7 圧力制御バルブ
認められない。
13.8 空気圧式ジャッキ
認められる。
しかしながら、エアホースをエアジャッキに連結する連結機能は、エアホースが意図
的にあるいは偶発的に外された時に車両がエアジャッキ上に保持される自動式シス
テムを有していなければならない。
車両を下げるには、ホースを外すこととは別の外的な行為を要するものである。
このジャッキの操作のために、圧搾空気ボトルを車両に搭載することは認められな
い。
13.9 センサー
走行中の車両のタイヤ圧と温度を計測するセンサーが強く推奨される。
これらのセンサーが使用される場合は、故障がある場合にドライバーにそれを知らせ
る警告灯が最低でも1つなければならない。
第14条
コクピット
14.1 コクピットはドライバーの最大の保護体として備えられなければならない。
14.1.1 車両の前後方向中心線を通過する垂直平面に対して左右対称に、第15.4項、
第16.1.1項および第16.3項に規定のあるショルダーサポートおよび/
あるいは義務付けられた保護体を除き、同一形状および寸法の2つの座席を
取り付けることが可能でなければならない。
14.1.2 ドライバーの両足は前部車軸中心線を通過する垂直面の後部に位置しなけれ
ばならない。
14.1.3 空間容積
車両の前後方向中心線に対し左右対称で90°の角度を成す6枚の平坦な表
面により定義される同寸法の2つの容積が、双方の搭乗者の脚部に提供されな
ければならない。
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a/
寸法
a.1 長さ:ペダルの垂直平面からステアリングホイール中心線の垂直投影
面まで。
a.2 最小幅:330mm
a.3 最低高:300mm
車検員の要請のあり次第、競技参加者は車検中に2つの容積を示さな
ければならない。
b/
これらの容積のなかに入り込むことが認められる唯一の構成部品は以下
のみであり、空間を横断する隔壁を含めてその他はすべて禁止される。
b.1 ステアリングコラムおよびそのユニバーサルジョイント。
b.2 ドライバーにとって危険でない場合に、サスペンションアーム取り付
け点。
b.3 空間容量の制御ができるよう取り外し可能な場合には、フットレスト
およびドライバー用保護パッド。
b.4 同乗者用空間に、オーガナイザーの装置およびエアコン付属品。
b.5 パネルに取り付けられた運転に必要な器具および装置は取り外し可能
でなければならない。
14.1.4 ドライバーに隣接する領域には保護用パッドが含まれていなければならない。
14.1.5 コクピットの開口部と容積
a/
オープンカー
a.1 コクピットは型板1の挿入が可能でなければならず、その寸法と位置
は第3図に規定されている。この検査のため、第14.1.6a項に記載
されている装置を取り外すことができる。
a.2 前部および後部、また側部でコクピット開口部の範囲を定めているシ
ャシー構造体のすべての点は、基準面の上方少なくとも500mmに
なければならない。
a.3 コクピット開口部頂部に認められるものは、第15項にて義務付けら
れている安全装置のみである。
a.4 コクピット開口部の最前端部とダッシュボードは、ステアリングホイ
ールの操作位置に関わらず、少なくともその50mm前方になければ
ならない。
b/
クローズドカー
b.1 コクピットは型板1が挿入可能でなければならず、その寸法と位置は
第3図に規定されている。この検査のため、第14.1.6a項に記載さ
れている装置を取り外すことができる。
b.2 前部および後部、また側部でコクピット開口部の範囲を定めているシ
ャシー構造体のすべての点は、2009年12月31日以前に製作さ
れた車両のドア開口部以外、基準面の上方少なくとも500mmにな
ければならない ;
b.3 コクピット開口部の最前端部は、ステアリングホイールの操作位置に
関わらず、少なくともその50mm前方になければならない。
b.4 ドア開口部の大きさがコクピットの出入りに適切であることを確実に
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するため、それらは:
・ 2009年12月31日以前に製作された車両:型板5および6
の挿入が可能でなければならない。その寸法と位置は第8図に規
定されている。
・ 2009年12月31日以降に製作された車両:型板5Eおよび
6Eの挿入が可能でなければならない。その寸法と位置は第8E
図に規定されている。
この検査のために、型板の低い表面部は基準面に平行に保たれ、それ
らの後端は横方向に一直線にされる。
型板は、その内側表面が車両中心線から150mm離れるまで横方
向に移動させられる。
・ 2009年12月31日以降に製作された車両:横から見て、ド
アのみがこの開口部を隠していなければならない。
座席およびすべての保護パッドは、その取り付け具を含めて取り外
すことができる。
b.5 コクピットの内部容積:クローズドカーのコクピットは、第4図によ
り規定されている型板2を、ウインドスクリーンから後部隔壁まで基
準面に平行に、挿入ができなければならない。
前方から見て、ステアリングホイール、コクピットの換気のためのエ
アダクト、ウインドスクリーンワイパーとその機構を除き、この型板
の前部はウインドスクリーンから常に完全に見えていなければなら
ない。
任意の後方視界のためのスクリーンは、ドライバーの前方視界を妨
げるものでなければ、この容積の中に配置できる。
b.6 新しい車両モデルは2014年LMP1規定に従って設計されたコ
ックピットを有することが認められる。
14.1.6 コクピット内の装置
a/
以下が認められるが、2つの空間容積の外側でのみとする(上記第14.1.
3項) :
- 安全装置および構造体
- 工具キット
- 座席(含複数)
- 運転に必要な制御装置
- 電子装置
- ドライバー用冷却装置
- バラスト
- 空気圧式ジャッキ
- バッテリー(含複数)
- 換気ダクト
b/
これらの構成部品は、衝突の際にドライバーに危険のある場合、堅牢で効
果的な保護材質で覆われていなければならない。
c/
コクピット出口に出入りの妨げとなるものが一切あってはならない(下記
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第14.1.7項)。
d/
コクピット内に認められる装置の取り付けについては、車検員の査察を受
けなければならない。
14.1.7 コクピット脱出時間
コクピットは、ドライバーが完全な運転用装備を身につけ、正常に運転位置に
着座しシートベルトを締めた状態から、以下の時間で脱出できるよう設計さ
れていなければならない。
a/
オープンカー:最大7秒
b/
クローズドカー:最大7秒(ドライバー側より)および最大9秒(同乗者
側より)。
14.1.8 ヘルメット取り外し試験
ドライバーがレース状態の車両内の運転位置に正常に着座し、サイズにあっ
た頭頸部保護装置を取り付け、座席ハーネスを締めた状態で、医務要員1名が
レースでドライバーが着けている予定のヘルメットを、首部あるいは脊柱を
曲げずにドライバーの頭部から取り外すことができることを証明しなければ
ならない。
14.1.9 コクピット内部の温度(クローズドカー)
有効な換気および/あるいは空調システムは以下の通りでなければならない。
・ドライバー周囲の大気温を車両走行中以下のように維持しなければならない。
1) 外気温(*)が25℃以下である場合に、最大32°C
2) 外気温が25℃を上回っている場合には、外気温+7℃以下の温度(*)
・ 車両が停止して遅くとも8分後に上記に決められた値(ケース1)あるいは
2))まで温度を下げられなければならない。
・ 公認書式に記載されなければならない。
温度センサーがオーガナイザーによりコクピット内部の車両中心線上のド
ライバーヘルメットの高さに取り付けられる。このセンサーは直接風を受け
ないよう遮蔽されなければならない(車検員の査察を受ける)。
(*)外気温は日陰で風のないところで計測される。この気温はピットレーンの
近くに表示される。
第15条
安全装置
15.1 消火器
以下の製品の使用は禁止される: BCF、NAF
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すべての車両には、第253条7.2項に従ったFIA公認の消火装置が装備されて
いなければならないが、外側からの起動の方法については除く。
外側から装置を起動する方法は、サーキットブレーカースイッチと連動し、単一のレ
バーにより操作できなければならない。それは、最低100mm直径の赤く縁取りさ
れた白色の円の中に赤字で"E"と示したマークで表示されなければならず、赤色のハ
ンドルあるいはリングを指し示す矢印がなければならない。
それは輝度反射特性でなければならない。
15.2.4 肩ストラップに取り付けられた伸縮性のコードは禁止される。
15.2 安全ベルト
15.2.1 2本の肩ストラップ、1本の腹部ストラップおよび脚の間に2本のストラッ
プが義務付けられる。
これらのストラップはFIA基準8853-98に合致していなければなら
ない。
15.2.2 2つのバックルを備えた安全ベルトは禁止される。
15.2.3 安全ベルト取り付け点は、25Gの減速度に耐え得るものでなければならな
い。
15.3 後方視界ミラー
15.3.1 2つの後方視界ミラー(車体両側にそれぞれ1つ)が後方の効果的視界を提供
しなければならない。
15.3.2 車検員は、正常に着座したドライバーが後続車を明瞭に視認できることを、実
証テスト証明により確認しなければならない。
この目的ために、ドライバーは、以下の指示に従い車両後方に置かれたボード
上に任意に表示される高さ15cm幅10cmの文字または数字を識別する
よう求められる :
- 高さ : 地面より40cm~100cm
- 幅 : 車両中心線の何れかの側2m
- 位置 : 車両の後車軸中心線後方10m
15.3.3 最小面積:各ミラー150cm2
15.3.4 後方視界用ミラーは:
・ 昼間/夜間の位置があり、その有効性は公認あるいは車検時に競技参加者
によって実証されなければならない(夜間用にはミラーにフィルムを追加
することができる)。
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後方視界のために車両後部にカメラを追加すること、またコクピット内にス
クリーンを追加することが認められる。
カメラは昼間/夜間モードがなければならない。
15.4 ヘッドレストおよび頭部保護体
15.4.1 すべての車両は、以下の条件を満たすドライバー頭部保護のための3箇所の
パッド域を装備しなければならない :
a/
1つの部分として車両から取り外すことができるよう配置されているこ
と。
b/
ドライバー頭部の後ろに2つの水平ペグにより、前部角部では2箇所の留
め具により配置され、それらは明瞭に示され、工具なしで容易に取り外し
ができること(オープンカーのみ)。
c/
"Confor"CF45(青)
(FIAテクニカルリストNo.17)の仕様に応じた
素材で製作されていること。
d/
ドライバーの頭部が接触する可能性のあるすべての領域にわたり、重量で
50%(±5%)の硬化樹脂含有量のある、60gsmの平織構造の、2積
層アラミド繊維/エポキシ樹脂複合基材プリプレグ材質により作られた
カバーが装着されていること。
アラミドカバーの表面加工は、ヘルメットの接触表面上の塗装および追加
の噴射スプレー塗装以外一切認められない。
塗装のないウインドウは、素材の色を直接チェックできるよう管理される。
e/
ドライバーの頭部が事故衝撃を受け、これらの保護体方向へ頭が投げ出さ
れた際に、ヘルメットが最初に接触する位置に配備されること。
15.4.2 ドライバーの頭部が接する最初のパッド領域は、ドライバー後方に、75mm
~90mmの厚さを少なくとも40,000mm2の面積に渡り配置させなけ
ればならない。力の拡散をより良く行うために、発泡フォームを支持するサバ
イバルセルの領域を材質の追加により増大させることができる。この材質は
第2構造体の最前点から最大105mm後ろ側の範囲以内に接着されなけれ
ばならない。
15.4.3 ドライバー用にさらに2箇所のパッド領域が、ヘルメット両側に沿って配置
されなければならない。
これらのパッド領域の上部表面は、ドライバーの保護構造体(第16.3項参
照)と少なくとも同じ高さに、その全体の長さに渡ってなければならない。
各パッド領域は、少なくとも25,000mm2の面積に渡り75mm~90m
mの厚みを有し、上部内側端部に沿って10mm半径の湾曲を持たせること
ができる。
この領域を計算する際、75mmより厚みがあり、パッドの後部領域の前面と、
正常に着座したドライバーのヘルメットの最前部との間にある一切の部分が
考慮される。
厚さは車両中心線に垂直に計測される。
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15.4.4 オープンカー
パッドの側部領域の前方では、ドライバーの保護構造体(第16.3項参照)
の各側面に、さらにコクピットパッドが提供されなければならない。この追加
パッドの目的は、斜め前方衝撃の際のドライバー頭部保護を提供するもので
あり、従って3箇所のパッド領域と同一の材質から作られていなければなら
ない。
これらの伸張部は以下の通りでなければならない:
- ドライバーの保護構造体中心線に左右対称に配置され、パッド側部領域の
継続部を形成すること。
- 上部表面が、ドライバーの保護構造体と少なくとも同じ高さに、その全体
の長さに渡って配置されること。
- 10mm以下の半径を車内上端部にもたせること。
- 2つの間の距離が360mm以上となるように配置すること。
- ドライバーの快適性についての制約の範囲内で実用できる限り高く配置
すること。
15.4.5 上述のパッドすべては、事故の際予期されるドライバーの頭部の移動軌道す
べてにおいて発泡フォームがすべての点で完全に圧縮された場合にも、ドラ
イバーのヘルメットが車両のいかなる構造体部分にも接触することがないよ
うに取り付けられなければならない。
さらに、レスキュー隊員の利便性のために、上述のパッド取り外し方法が明確
に示されていなければならない。また固定部品はシグナルカラーの矢印でマ
ーキングされなければならない。
15.4.6 上述のパッドのいかなる部分も、ドライバーが正常に着座し、車両の上からま
っすぐ見下ろした際に、ドライバーのヘルメットのどの部分も遮ることがあ
ってはならない。
15.4.7 ドライバーの座席は取り外し可能であり、次の書類の推奨事項に従っていな
ければならない:
「単座席車両およびスポーツカーの取り外し可能な座席に推
奨される仕様」。
15.5 マスタースイッチ
15.5.1 安全ベルトを締め正常に着座した状態で、ドライバーは放電防止型サーキッ
トブレーカースイッチによりすべての電気回路を遮断することができ、エン
ジンを停止することができなければならない。
15.5.2 サーキットブレーカーのスイッチはドライバーあるいは車外から容易に手の
届く位置になければならない:
白い縁取りをした一辺が少なくとも120mmの青色の三角形の中に赤色の
稲妻を描いた標識で明確に表示されなければならない。
三角形は矢印がハンドルまたはリングを指し示すような角度でなければなら
ない。
それは輝度反射特性を有するものでなければならない。
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15.5.3 フックにより離れた所から操作できるハンドルまたはリングケーブルによる
外部スイッチもなければならない。
このスイッチは以下の通りに設置されなければならない:
a/
車体の上部左側に。
b/
可能であれば主要ロールバーの下部に隣接する位置に。
15.6 牽引フック
15.6.1 前後の牽引フックは以下の通りでなければならない :
a/
堅牢で鉄製であり、破損の可能性のない内径80mm~100mm厚さが
最低5mmであること(マーシャルの使用するストラップを切断したり損
傷することのないよう丸みを帯びた断面)。
b/
金属製の堅牢な1つの部品でシャシー/構造体に確実に固定されている
こと(ケーブルフープは認められない)。
c/
上から見て車体の外周辺の内側にあること。
d/
容易に確認でき、黄色、赤色あるいはオレンジ色に塗装されていること。
e/
グラベルベッドに停止した車両を牽引できること。
牽引フックが車体に統合されている場合、グローブをはめたマーシャルが
それらを引き出すためのテープ/ハンドルがなければならない。このテープ
/ハンドルはシグナルカラーでなければならない。
透明でないテープや牽引フックを覆うカバーは厳禁とされる。
シグナルカラーの牽引フックは車体上に車体上にフックのどの部分を掴
むかを示す矢印(シグナルカラーであるか、輝度反射特性のもの)がなけ
ればならない(ブラケットあるいはブラケット上のテープ/レバー)。
15.7 車両を吊り上げる装置(2014年より公認された車両についてのみ)
車両をクレーンで吊り上げるために、車両頂部に2箇所の固定点を設置することが
義務付けられる。
これらの固定点は、車両の頂部構造体に統合された2つの吊り上げ用ブッシュでな
ければならない(付則L比較参照)。
それらにより、車両を地上1.5mの高さに安全に吊り上げることができなければな
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らない。
燃料タンク半量を満たした完全な状態での車両の角度は(吊り上げられた時に)25
度未満でなければならない。
ブッシュは利用しやすい位置にあり、特別なマーキングで示されていなければなら
ない。
2つのブッシュは、開口部周囲を5mm厚みの円でマーキング(シグナルカラーであ
るか、輝度反射特性のもの)されていなければならない。
開口部域は、吊り上げピンを挿入する必要がある場合、それの障害とならないよう、
走路からの破片飛散の危険性に備えて覆われていなければならない。覆いとなるス
テッカーは、正確な吊り上げピンの挿入が容易にできるようなものである必要があ
る。
堅牢なカバーは一切禁止される。
ブッシュが横から見て見えない場合、横から見えるように(片側に1つの)矢印(シ
グナルカラーであるか、輝度反射特性のもの)が利用されなければならない。
それらの相対的距離は、吊り上げブームの距離に対応していなければならない:
320~400mm。
ブッシュの最大角度は垂直に対して45度である。
15.8 スイッチのレバーやプッシュボタンの粘着性のある覆いはいかなるタイプのものも
安全性のため厳禁とされる。
第16条
安全構造体
16.1 ロールオーバー構造体
16.1.1 主要ロールオーバー構造体
a/
2つの安全ロールオーバー構造体(前部および後部)が義務付けられる。
それらは以下の通りでなければならない :
a.1 基準面上方に、前部では最低660mm(クローズドカーは920m
m)、後部では1020mm(オープンカーのみ)であること。
a.2 前後方向に最低860mm(クローズドカーでは600mm)離れて
いること。
a.3 耐火性発泡フォーム(FIA承認)でドライバーに近接したパイプ部
まで覆われていること。
a.4 車両の前後方向中心線に対して左右対称であること。
b/
車両に搭乗したドライバーのヘルメットが、前後のロールオーバー構造体
の頂点をつないだ線から最低80mm離れていなければならない(第9図
参照)。
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c/
前から見て、ステアリングホイールがいかなる位置にあっても、前部ロー
ルオーバー構造体から突出していてはならない(オープンカーのみ)。
d/
前部および/あるいは後部のロールオーバー構造体を流線型にする、また
は整流フェアリングで覆う場合、その上部は最大で200mmの長さでな
ければならず(前後方向に計測)、主要構造体への取り付け部は車検員に
よる検査が可能でなければならない。
e/
後部構造体も、以下の通りでなければならない。
e.1 サバイバルセルの取り付け部の高さにおいて計測し、全長が最低30
0mmであること。
e.2 第16.1.2項に記載される(第9図参照)サバイバルセルの第2ロー
ルオーバー構造体に対して最低165mmの高さであること(オープ
ンカーのみ)。
e.3 前方投影面で見て、その側部外側は互いに最低30°の角度を成して
いなければならない(第10図参照)。
e.4 2007年7月1日以降に公認されたすべてのシャシーについては、
主要ロールオーバー構造体および第2ロールオーバー構造体は、車両
を直接上から見た時に、エンジン(エンジンブロックおよびシリンダ
ーヘッド)のどの部分をも遮ってはならない。
e.5 平坦な水平プレートで主要ロールオーバー構造をつなぐことができる。
しかしながら、それはリアのロールオーバー構造体の一体部分でなけ
ればならず、取り外しできてはならず、ストラップで車両を持ち上げ
ることができなければならない。
16.1.2 第2ロールオーバー構造体
ドライバー後方にあるサバイバルセル部分は、第2ロールオーバー構造体を
形成していなければならず、その目的は上述の第16.1.1項に記載された後
部主要ロールオーバー構造体が破損した場合に乗員を保護するものであるこ
と。
前から見て、この構造体は車両中心線に対し左右対称でなければならず、常に
ドライバーのヘルメット輪郭を超えていなければならない。
その側部外側は、互いに最低40°の角度を成していなければならず、上部は
最低280mmの直径を有していなければならない(第10図参照)。
第2ロールオーバー構造体は基準面に対して最低855mmの高さでなけれ
ばならない。
上述の最低前方断面は、第2構造体の最前点後方最大105mmになければ
ならない。
前部は閉鎖されていなければならない。クローズドカーについては、エンジン
のエアインテークのみが認められる。
16.1.3 ロールオーバー構造体の承認
a/
各ロールオーバー構造体は、スポーツカーの安全構造体の承認手順(FI
A技術部により、要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、FIAによっ
て承認されなければならない。
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予定される試験実施日の遅くとも6週間前に通知される。
b/
競技参加者はFIAの承認証明書の写しを提供しなければならない。
その写しは車両製造者によって届けられなければならない。
16.2 サバイバルセルおよび前部保護体
16.2.1 一般規定
a/
シャシー構造体は、燃料タンクを含むサバイバルセルを含み、ドライバー
の足が押すことなくペダルに乗った状態で、ドライバーの足の少なくとも
150mm前の垂直面から燃料タンクの後方へ伸張していなければなら
ない。
b/
サバイバルセルは、コクピット開口部全長に沿って最低500mmの高さ
で側方保護を提供していなければならない(2009年12月31日以前
以降に製作されたクローズドカーのドア開口部を除く)。
その側方保護体の垂直の外側壁は、横方向に最低900mm互いに離れて
いなければならず、これがコクピット開口部の長さの最低80%となるこ
と。
注:2009年12月31日以前に製作されたクローズドカーについては、
以下を条件に、最低500mmの高さの側方保護をシャシーに統合するこ
とができる:
・ 新しい側方保護を取り付けて、ドライバーの救出試験を行い、要件を
満たしていること。
・ FIAが必要とみなすシャシーの試験を実施済みであること。
c/
サバイバルセルの前方には特別な衝撃吸収構造体の取り付けがなければ
ならない。この構造体はサバイバルセルに統合され一体となる必要はない
が、セルに確実に固定されていなければならない。
16.2.2 サバイバルセルと前方衝撃吸収構造体の承認
a/
サバイバルセルと前方衝撃吸収構造体は、スポーツカーの安全構造体の承
認手順(FIA技術部により、要求次第入手可能。製造者のみ)に従い、
FIAによって承認されなければならない。
予定される試験実施日の遅くとも6週間前に通知される。
b/
競技参加者はFIAの承認証明書の写しを提供しなければならない。
その写しは車両製造者によって届けられなければならない。
16.3 ドライバーの保護体(オープンカーのみ)
a/
サバイバルセルは、第14.1.5項に規定されているコクピット開口部の
頂部に、ドライバーを取り囲む保護構造体を取り付けていなければならな
い。
b/
それは、サバイバルセルに固定されるか、または統合されなければならず、
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前後のロールオーバー構造体の間に配置されなければならない。
c/
全周囲に渡り、最低30mmの厚さを維持していなければならず、第6図
に規定される寸法を遵守していなければならない。
d/
コクピットへの出入りのための開口部が適切な大きさであることを確実
とするために、第7図に規定される型板3および4の挿入が可能でなけれ
ばならない。
この試験のため、型板は、後端部を横方向に一列に並べられた状態で、基
準面に平行に保持され、その低端部が基準面の500mm上方となるまで
車両の上から基準面に垂直に下げられなければならない。
ステアリングホイール、ステアリングコラム、スイッチボード(同乗者側
のみ)、座席およびすべてのパッドはその取り付け具も含めて取り外すこと
ができる。
スイッチボードがある場合は、その最大領域は上から見て550cm2を超
えてはならない。
e/
保護構造体の前端は、ステアリングホイールの操作位置がどこにあろうと
も、少なくともその50mm前方になければならない。
16.4 改造
FIAに承認された安全構造体についての一切の改造は、FIA技術部に車両製造者
が提出しなければならない。
FIA技術部は、改造の承認のために新規試験を受けることを要請する権限を留保す
る。
16.5 マグネシウム
厚さ3mm未満のシート以外は認められる。
16.6 防火壁
16.6.1 エンジン室よりコクピット内に火炎が侵入するのを防ぐ完全に密封された金
属製の防火壁が義務付けられる。
耐火性のサンドイッチ構造素材から成り、金属製粘着シートにより覆われた
隔壁が認められる。
16.6.2 防火壁に開けられる一切の穴は、制御系および配線を通すための最小限のも
のでなければならず、完全に密封されなければならない。
16.7 コクピットは、液漏れが生じた際に内部にそれが堆積していくことがないような設
計でなければならない。
第17条
燃料
17.1 燃料
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オーガナイザーは1タイプのみの燃料を提供する。それは販売されているものでな
ければならない。
17.2 仕様
20%がバイオ基礎燃料。
17.3 その他の燃料の使用については、特別申請を耐久コミッティおよび必要な場合はA
SNにも提出し合意を得ること。
第18条
終局条文-係争
規則の実施および解釈についてはフランス語版のみが有効とされる。
第19条
性能の調整
耐久コミッティは以下の要素を、各車両モデルについて調整する権限を留保する。
・ 車両の最低重量
・ エアリストリクターのサイズ
・ 燃料タンク容量
・ その他耐久コミッティが必要とみなす技術的変更。
しかしながら、各レースの後で、あるいは各レースに従って、調整を行うことは論外
である。調節が必要な場合は、耐久コミッティにより、できればレースシーズン終了
後に義務化される。しかしながら、ある車両モデルの性能が抜きん出て高い場合は、
それ以降のレースでその性能を下げるために、耐久コミッティが直ちに実施する方策
を決定することができる。
耐久コミッティは、遅いモデルの性能を上げるよりはむしろ、速いモデルの性能を下
げることを優先する。
性能の調整は耐久コミッティのみが責任を負う。
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2016年1月1日適用の変更
1.1
「ル・マン」プロトタイプ2(
“LM”P2)は、最低生産台数のないレース車両で
ある。
製造者および/あるいはエンジン供給業者から独立したチームのみに向けたオープ
ンあるいはクローズド(*)の車両
その技術特性および開発レベルがLMP2規定の目的に明らかに合致しない車両は
「ファクトリーカー」とみなされ、耐久コミッティにより拒否される場合がある。
新しいコンプリートオープンカーで、すべての入手可能なオプション品を伴うが下記
第5.6.1項に規定されるエンジンを除いた販売価格は、370,000388,500
ユーロ以下でなければならない。
クローズド車両についての販売価格は、450,000463,500ユーロ以下でな
ければならない。
新しい車両の製作、あるいは現行モデルの進化に関わるすべてのプロジェクトは、公
認手順の前に、承認のため耐久コミッティへ提出しなければならない。
・・・・・・・・・・・・・・・
2017年1月1日適用の変更
3.4.1
・・・・・・・・・・・・・・・
c/ 上から見て:
前の両側の角(LHS左-RHS右)は最小50mmの半径を有していなけ
ればならない。
・ 以下に位置する全領域:
- 前部車軸中心線の後方415mmの垂直な横方向横断面と第14.1.
5項に規定されるコクピット開口部の前端部との間、
- 車体全幅から300mmを差し引いたものと同等な最低幅に渡って、
車両の前後中心線に左右対称に配される部分
は、1つまたは複数の車体要素により完全に覆われていなければならない。
このうち見えるすべての部分あるいはこれらの要素は、基準面から少なく
とも200mmの高さになければならない(第3.5.1項参照)
。
・・・・・・・・・・・・・・・
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"ル・マン"プロトタイプ("LM"P2)
付則1
以下の表(エアリストリクターとブースト圧制限)は、LMP2の性能バランスをとるために作成された。
不可抗力の場合に、耐久コミッティは競技会の期間中、公平な均衡を維持するために必要とみなす一切の変更を行う権限を留保する。
1. - ガソリン自然吸気エンジンのリストリクター(直径、単位:mm)
3
リストリクターの数
気筒容積(cm )
を超え
まで
1
2
3500
3600
41.9
29.6
3700
41.6
29.4
3700
3800
41.3
29.2
3800
3900
41.2
29.1
4000
41.0
29.0
4000
4100
40.7
28.8
4100
4200
40.6
28.7
4300
40.4
28.6
4300
4400
40.1
28.4
4400
4500
40.0
28.3
4600
40.0
28.3
4600
4700
39.9
28.2
4700
4800
39.7
28.1
4900
39.7
28.1
5000
39.6
28.0
3600
3900
4200
4500
4800
4900
2. - ガソリン過給器付きエンジンのリストリクター(直径、単位:mm)と過給圧のレシオ
3
リストリクターの数
気筒容積(cm )
レシオ
まで
1
2
2000
40.0
28.3
2.7
2000
2200
40.0
28.3
2.45
2200
2400
40.0
28.3
2.25
2400
2600
40.0
28.3
2.1
2600
2800
40.0
28.3
1.95
2800
3000
40.0
28.3
1.825
3000
3200
40.0
28.3
1.7
を超え
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"ル・マン"プロトタイプ("LM"P2)
付則2
給油
1/
競技全期間中を通じ:
燃料補給は、それが行われる走路から最大2mの高さ(ル・マン24時間では2.6
0m)から重力によって行われる以外、車両にいかなる方法で給油することも禁止さ
れる。
2/
プラクティス走行およびレース中:
車両1台につき、下記の(FIA付則J項)第252-7図に従った1つの独立した
燃料補給タンクのみが使用されなければならない。
このタンクは内側が単純な円筒形の形状でなければならず、燃料の流れを向上させ
る可能性のあるいかなる内部部品もあってはならない。
タンクの内側に認められる唯一の部品は:
・外部の構成部品の取り付け具
・温度と燃料残量位センサー
・上述の構成部品の密閉具
・給油用の管
タンク内側の底部の平坦部の公差は2mmでなければならない。
流量リストリクター最上部面(A)は補給タンクの内部底面の高さでなければならな
い。
このリストリクターは、下記に詳述されるナットリングを使用し、独立した補給タン
クに固定されなければならない。
安全上の理由から、このタンクは、タワーにより以下の要領で台車に固定されなけれ
ばならない:
-
-
-
すべてのタワー構成部品は、トロリーに対して一切の遊びがない状態で機械的に
組み立てられていなければならない。
台車の底面は少なくとも2m2の表面域がなければならず、4個の自動ブレーキ
式のキャスターを備えたケースにより製作されていなければならない。また燃料
を満たした燃料タンクよりも重いバラストを積まなければならない。
台車のピットレーンに面する部分で高さ1.3mより下には、一切の配管(燃料用
あるいはエアガンなど)が突き出していてはならない。
上記の要領に則っていれば、タンクの下に計量プレートを置くことにより、燃料の計
量システムを設置してもよい。
次の条件下で、給油ホースと通気ホースを支えるための部材が台車に取り付けられ
てもよい。
-
当該部材はタンクおよびタワーの両方から独立していなければならない。
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-
-
-
当該部材は台車に対して遊びがあることが推奨される。(垂直方向の軸を中心に
回転)
当該部材の全長は4.00mを超えてはならず、その付属品も含め、その全長にわ
たり、2.00mの高さの物が自由に通過できる空間がなければならない。
当該部材の端には、競技車両のレースナンバーを明記した識別プレートを取り付
けなければならない。
3/
タンクの上方
FIA規定に合致した換気装置(下記付則J項第252-7図を参照)がなければな
らない。
タンクの換気は、このシステムによってのみ行われること。その他すべての開口部は
密封して塞がれなければならない。換気ホースは下記第252-7図に従い、側面に
連結されなければならないが、ル・マンでは充填およびタンク内残量を検査する装置
はオーガナイザーによって提供される。
4/
燃料補給パイプ
少なくとも3.00mの長さがなければならず(ル・マン24時間では3.50m)、そ
れにはクイックカップリングとオス型給油バルブが含まれていること。パイプは車
両に取り付けられた給油口に合致する漏出防止のカップリングが備えられていなけ
ればならない。燃料補給の間、通気口の出口は適切なカップリングで独立した補給タ
ンクに連結されていなければならない。
5/
燃料補給を始める前に、車両のコネクターは電気的に地面にアースされていなけれ
ばならない。
また、カップリングから燃料補給タンクとその支持架に至る燃料補給システムのす
べての金属部品も、電気的に地面にアースされていなければならない。
6/
給油要員は、燃料補給手順進行中は常に、補給タンクの出口の自動閉鎖ボールバル
ブ(デッドマン機構の原理)の操作および流量制御ができるように、立ち会ってい
なければならない。
7/
使用されるすべてのホースと継ぎ手は最大内径1.5インチを有していること。
8/
オーバーフローボトルの使用は、ピット内あるいはピット周囲にて、いかなるもの
も禁止される。
供給業者からの燃料を貯蔵するための一切の容器には、自動閉鎖カップリングの取
り付けが必要である。最大容量100リットルの1つのタンク(臨時に指定される)が、
ピット内で車両のタンク内の燃料を一時的に移送するため、また供給ドラム内、独立
したタンクへの移送および充填時のポンプ汲み上げを確実にするために、使用され
なければならない。
ル・マンと、予選走行およびレースの間は例外とし、車両が自己のピットにある時に、
車両のタンクをその臨時タンクで直接充填することが認められる。
それは完全に密封され、逆流防止バルブのついたブリーザーパイプを有し、一切の液
漏れのないよう設計されていなければならない。
臨時燃料タンク、車両のタンク、供給ドラムおよび独立したタンクをつなげる配管は、
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車両に取り付けられる燃料配管の要件を満たしていなければならない。
臨時タンクは排出ホースに収容されている燃料の回収ができるように、車両と同じ
カップリングが取り付けられていなければならない。しかしながら、臨時タンクにカ
プラー(連結器)が全くない場合には、競技規則第76条1項7に記載されているレ
セプタクル(貯蔵容器)を使用することが認められる。
9/
メーターが使用されている場合、それはFIA公認のタイプであること。
視認窓が補給タンクの外側に付けられている場合、それはタンクにできるだけ近い
位置に取り付けられた隔離バルブ付きでなければならない。
10/
流量リストリクターは、以下の図面に従い、補給タンクの底部出口に取り付けられ
なければならない。
その直径”D”は、耐久コミッティの裁量にて、異なる燃料をタンクに満たす時間を均
衡化するために採用される。
11/
独立した補給タンクは、そのピットに正式に指定された競技参加者のみが利用する
ことができる。
12/
二重層になった底部の使用は禁止される。
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第252-7図 赤字追加部分
ル・マン用装備、その他のサーキット用装備、カップリング、プラグ、充填用パイプ、自動遮断システムのついたパイ
プ(ル・マンについて*)、*その他の競技会では任意、自動閉鎖カップリング
図A、排出ホース下部母線、燃料高位レベル
詳細B スケール2.5:1、燃料部深さ、タンク底部、断面A-A スケール1:1、給油タンク流量リストリクター
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ナットリング
ナットリング 付則1、断面A-A スケール1:1、詳細B スケール2:1
M6スレッドあるいはヘリコイル、寸法詳細12箇所、材質:アルミニウム、タンクへのナットリング任意固定
寸法詳細4箇所、断面C-C スケール2:1
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付則 L
一般的取り付け
ACO 吊り上げ装置
車体
挿入部
ガイドブッシュ
挿入部詳細寸
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フロント部
基 準 表
側 面
リア
デ゙ュフュ
ーザ-ー
基 準
第1図
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前部車軸中心
断面 E-E
平坦部-新品
スケール 1/2
平坦部
変移部
断面 D-D
湾曲部
スケール 1/2
湾曲部
磨耗検査
のための
領域
断面 E-E
平坦部-最大摩耗
スケール 1/2
変移部
平坦部
後部車軸中心
第2図
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楕円
基準表面
車両の前後方向中心線
第3図
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後部隔壁
ウインドスクリーン
基準表面
第4図、第5図
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断面 A-A
(すべてに適用)
基準表面
車両の前後方向中心線
楕円
第6図、第7図
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基準表面
車両の前後方向中
第8図
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コクピットサイズ
基準水平面
第8E図
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第9図、第10図
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