卵の鮮度が鶏卵卵白の起泡性に及ぼす影響

第51 回 大 会〕
2Ca-6
食 物
高 圧処 理し た 卵黄 の 流動 特性 につ いて
○ 小谷 スミ 子1) 宮 本勲2)
香西み どり3) 畑 江敬 子3) 島田 淳 子4)
(') 新潟大 教育2)
東機 産業(株), ^) お 茶 の水女 大生 活4) 昭 和女 大・院)
【 目的 】 卵 黄 を高 圧 処 理す る と物 性が 大き <変化 する が、 そ の物 性に つ いて の 詳 細な 検討 はこ れ ま
で な され て いな い 。 そ こで 本 研究 で は 加圧 卵黄 の 流動 特 性に 及ぼす 高 圧 処 理の 影響 を明 らか に す る こ
と を目 的と し た。
【 方 法】 産卵 後 4 時 間 以 内 の白 色レ グホ ン種鶏 卵 を使 用した。 割卵後 、 卵白 と 分離 した 卵 黄 を高 圧
処 理装 置((株)山 本水 圧工 業 所) のセル 容 器(28. 5inm
Φ ×85mm)に 充填密 封 し25 °
Cで100 400MPa 、10
分間 お よび400MPa 、10 60 分 間 加圧し た。 加 圧処 理後 直ちに 賦料 をと りだ し 流動 特性 を 測定 した 。 定
常 流測 定は E 型 粘 度計((株)東 京 計 器) のずり 速 度をIseo‘ ' から200sec"' で まで 階段 状 に上 昇 下降 さ
せ て 測 定し た 。 ば ね 緩 和 測 定 は R 型 粘度 計(RE550U 形、 東 機産 業(株)) のず り 速 度 を1sec"' か ら
0. 0025seo`'まで 連続的 に 低下 させ て 測定 した。
【結 果 】 卵黄 の 流動 特 性は 加圧 条 件に より大 き ぐ異な った 。生 およ びlOOMPa の 卵 黄は 弱い チ キ ソト
ロピ ー 性 を示 し、200MPa およ び300MPa で はレ オベ キシ ー性、400MPa で は明 らか なチ キ ソト ロピ ー を
示 し、 圧力 に 依 存 して 構造 変化 が 起こ って いる こ とが 示唆 され た。400MPa のチ キ ソト ロピ ー 特性 値 は
12.8×10^ Pa・sec-'とlOOMPa の0.09 ×10≫ Pa・sec-'
より 著しく 大き か った が、 加圧 時間 に よる 増 加は 小
さ かっ た。Casson 降 伏値 は 圧力 の大 きさ 、時間 とと もに 増加 した が30 分間 以 上の 加圧 で は低 下 した 。
加 圧卵 黄は いず れ も べ き 法則 に 従い 、 粘性 係数 μ は圧 力お よ び時 間 の増 加と と もに 増加 し、 一方 、 粘
性 指数 n は 減少 す る傾 向 が見 られ た。 極 低ず り速 度に よ るぱね 緩和 測定 で 得ら れた400MPa 、10 分 間
のCasson 降 伏値140Pa は定 常 流測 定で の334Pa より 小さ かった こと か ら本 法の 有用 性 が示 唆 され た。
2 Ca- 7
卵 の鮮 度 が鶏卵 卵 白 の起 泡 性 に及ぼす影 響
○小 川宣 子 松 井 優 子 山 中なつみ
( 岐 阜 女子 大)
( 目 的) 鶏 卵 卵 白 の 調 理 特 性 の 一 つ である 起 泡 性 を利 用して 淡 雪 か ん、 マシュマロ、エン ゼ ルケ ー キ
など 多 <の 料 理 が ある。料 理 を 作 る上 で 安 定 した 泡 組 織 を 得 る ことが 重 要 であ る。そこで 、卵 の 鮮 度
が卵 白 の 起'泡 性 に 及 ぼ す 影 響 に つい て卵 白 泡 とエン ゼ ルケ ー キから 調 べた。
( 方 法) 白 色 レグ ホ ーン 種 鶏 卵 の 産 卵 4 時 間 以 内 の 卵 を25 °C
で 14 日 間 保 存 し、保 存 日 ごと の卵
より卵 白 を 分 割 し、16 メッシュ の 飾 を 通したも のを 試 料 とした 。卵 白 の 起 泡 性 に 粘 度 の 影 響 が 考 えら
れたことより、卵 白 の 粘 度 を E 型 粘 度 計 で 測 定し た。 そして卵 白 を250rpm
で5分 間 攬 梓して 卵 白
泡 を 得 、こ の 比 重 とクリープ 特 性 値 を 測 定し た。又 、卵 白(120g) 、グラニュ ー 糖(80g:2 度 に 分 け 混
入)、 薄 力 粉(40g) を300rpm
で 1 分 、250rpm で10 秒 間 混 合したも のを150 °Cで 20 分 加 熱し て
エンゼ ル ケ ーキを 作 製し、 室 温 まで 冷 却 後 、体 積 、テ クスチャー、 クリープ 測 定 から 膨 化 程 度 や物 性 を
判 断した 。スポンジ 状 態 の「キメ」を エン ゼ ルケ ーキ の 断 面 を 画 像 処 理 により求 めた 。
( 結 果) 卵 白 の ずり応 力 は 新 鮮 卵 の 場 合 が13.51Pa,
14 日 保 存 卵 で は2.72Pa と卵 白 の 粘 りは 鮮
度 の 低 下 とともに 小 さくなった。し かし、卵 白 泡 の 比 重 、瞬 間 弾 性 率 、定 常 粘 性 率 は 鮮 度 による 違 い
はあまりな かった。又 、卵 の 鮮 度 低 下 の エン ゼ ルケ ーキ へ の 影 響 は、 体 積 は 鮮 度 の 影 響 を 見ら れ な か
ったが 、エン ゼ ル ケ ーキ の 硬 さは 柔 ら か< 、瞬 間 弾 性 率 は小 さく、定 常 粘 性 率 は 大きくなり、鮮 度 が 低
下した 卵 で作 製し たエン ゼ ル ケー キ は 弾 力 がな<、 粘 りがある スポンジ であった。また 、卵 の 鮮 度 が 悪 く
なるに つ れ てスポンジ の キメも不 均 一 になった。こ のように、卵 の 鮮 度 の 影 響 は 卵 白 泡 へ はあ まりな い
が、 加 熱 をすることにより、卵 の 鮮 度 は膨 張 に 顕 著 に 影 響 を及 ぼすようになった。
149