日経 225 平均株価指数の日次収益率分析におけるジャンプ拡散過 程モデルの同定とその低頻度で振幅の大きなジャンプ時点推定へ の応用について 石田真之(東京都市大学大学院工学研究科)、金川秀也(東京都市大学 共通教育部)、 概要 日経 225 平均株価指数の日次収益率に対してブラック・ショールズモデルと複合ポアソ ン過程によって構成されたジャンプ拡散過程によってモデリングを行った場合に、複合ポ アソン過程から発生した日次収益率のジャンプ時点を推定する. 特に一日の終値による日 次収益率は完全な離散データであるため、これらの時系列データから連続部分とジャンプ 部分を分離することは容易ではない. 本報告における複合ポアソン過程を同定する手法は、 ヒストリカル・ボラティリティを基準として振幅の大きなジャンプを判別するため、株価 の連続部分のモデル形(ブラック・ショールズモデル)をフルに使用しておらず、株価デー タから得られるトレンドとボラティリティの推定値しか必要としない. ヒストリカル・ボ ラティリティの観測期間の選び方で大きく分析結果が異なることから、株価を観測する単 位期間の長さとヒストリカル・ボラティリティの観測期間の長さの間に適切な比率が存在 することを実証する. またジャンプ時点を抽出する問題は株価分析の応用上極めて重要であ り、提唱された手法は株価モデルへの頑健性が高いことから、応用面から有効であると期 待される. さらに本報告によって、これまで曖昧であったヒストリカル・ボラティリティ 算出のための適切な株価収益率の観測期間の選び方の指針を与えることが出来る. 1 はじめに 株価モデルとしてボラティリティ変動モデルである、次に定義されるジャンプ拡散過程 を用いる. 株価のトレンドを µt 、ボラティリティを σt とする. S (t) = S (t, µt , σt ) = S̃ (t, µ̃t , σ̃t ) + Ŝ (t, µ̂t , σ̂t ) , 0 ≤ t ≤ T. (1) ただし、S̃ (t, µ̃t , σ̃t ) はトレンド µ̃t , ボラティリティー σ̃t である道が連続な確率過程、Ŝ (t, µ̂t , σ̂t ) はジャンプ過程とする. S (t) は確率微分方程式 dS (t) = dS (µt , σt , t) = S (t) dX (t) + S (t) dZ (t) , 0≤t≤T (2) を満たすと仮定する. ただし, X (t) は連続確率過程、Z (t) は複合ポアソン過程であり、互いに 独立とする. また B (t) を標準ブラウン運動とする. X (t) に対して確率微分方程式 dX (t) = µ̃t dt + σ̃t dB (t) , 1 0≤t≤T (3) 図 1: 日経 225 平均株価指数, 2015.4.7∼5.2 が成り立つとき、S (t) dX (t) は連続なブラック・ショールズモデルを表し、また S (t) は複合 ポアソン過程をジャンプ部分とするジャンプ拡散過程である. 日経 225 平均株価指数に対してジャンプ拡散過程によるモデリングを行う場合に、株価 データから不連続な複合ポアソン過程の部分を抽出する手法について考察する。一日の終値や その日次収益率は離散データであるため、これらの時系列データから連続部分とジャンプ部分 を分離することは容易ではない. 図 1 は日経 225 平均株価の 2015 年 4 月 7 日から 2015 年 5 月 2 日の一日の終値を表す実データである. この図からわかるように日次終値は完全な離散データ であり、ブラウン運動のような連続なサンプルパスは存在せず、実データからの目測で連続部 分とジャンプ部分を分離することは不可能である. ジャンプ拡散過程から通常の変動による連続過程と不連続過程を分離することは、株価 分析上で非常に有効である. 特に振幅の大きな不連続部分では、株価の急激で大きな変動を助 長する情報が市場に流れた場合や、株価の上昇や下降が長期間続き限界に達して急激な売買が 行われた場合が想定され、応用上特に注目される. 本報告ではこの点に注目して、数理統計学 の見地から低頻度で振幅の大きなジャンプが生じた時点を推定する手法を提案する. 株価の実証分析において Bell and Torous (1983, 1985) は Merton モデルの推定を行い、 株価の変動におけるジャンプの存在を示した. それ以後、株価データをジャンプ拡散過程によっ てモデル化してパラメータの推定を行う手法について多くの研究がなされてきた. 最近ではギ ブスサンプリング法を用いて未知パラメータに対する最尤方程式を解くことでモデルの同定を 行う手法が良く知られている. 詳しくは Chan and Wong (2006)、第 10 章を参照されたい. この ような最尤法を用いた手法は振幅の大きなジャンプよりも、むしろ高頻度で振幅の小さなジャ ンプに注目する結果となっている. またモデルにおける未知パラメータの推定を主目的とした 2 手法では実際の株価データにおけるジャンプ時点を抽出することは一般的に不可能である. 本報告と同様に振幅の大きなジャンプを検出することを主目的とする研究として、Kwak- ernaak (1980) 等([6],[5],[7])がある. 飯野・尾崎 (1999) は情報量規準とジャンプ拡散過程によ る非ガウス時系列のフィルタリングによって、外国為替レートにおける低頻度で大きな振幅の ジャンプを含む非ガウス時系列の未知パラメータの推定を行っている. これらは時系列データの実証分析として優れた研究であるが、それらの手法は連続部分 のモデル形に強く依存しているので、採用されたモデルが現実の株価データに完全にマッチし ていれば極めて正確に株価データの数理モデリングが可能である. しかし、次々に新しい株価 モデルが提唱される今日の状況ではもはやジャンプ拡散過程が最良のモデルである保証はなく、 株価モデルが正確でなければどうしてもモデルに関する頑健性に疑問が生じる. 本報告におけ る複合ポアソン過程を同定する手法は H-K (2015) ([4]) で用いられた方法と同様で、日次収益 率をヒストリカル・ボラティリティ(historical volatility, 以後 HV と省略する)によって基準 化し、その振幅の大きなジャンプを判別する.そのため連続確率過程の部分である X (t) のモ デル形をフルに使用しておらず、株価データから得られるトレンド µt の推定値とボラティリ ティσt の推定値である HV しか必要としない. [4] では HV を算出するための観測期間として特定の期間を選んで分析が行われているが、 この期間の妥当性については何も述べられていない.一方、本報告でも HV によってボラティリ ティを推定するが、そのための観測期間を複数選び、観測期間の選び方によって大きく分析結 果が異なることを示す. さらに株価を観測する単位期間も複数選び、この単位期間の長さと HV を算出するための株価収益率の観測期間の長さの間に適切な比率が存在することを実証する. さらに [4] では日経 225 平均株価指数を 1994 年 1 月 5 日から 2013 年 12 月 31 日までの 20 年間、4913 日間を観測して分析を行ったが、本報告では [4] より 10 年間長い 1985 年 12 月 5 日 から 2015 年 5 月 2 日までの約 30 年間、7447 日間の観測データを用いた. ジャンプ時点を抽出する問題は株価分析の応用上極めて重要であり、本報告で提唱され た手法は株価モデルへの頑健性が高いことから、応用面から有効であると期待される. さらに 本報告によって、これまで曖昧であった HV 算出のための適切な株価収益率の観測期間の選び 方の指針を与えることを示す. Remark 1.1 S (t) の連続部分である S (t) dX (t) に対して (3) 式で定義されるブラック・ショー ルズモデルを仮定したが、3 章で示されるジャンプ時点を推定する手順では、この仮定を用い ていない. 5 章では、3 章で示した手順から真のジャンプが抽出できる根拠について説明する が、そのためにブラック・ショールズモデルの仮定を使った. 3 2 2.1 ジャンプ拡散過程の同定 複合ポアソン過程 N (t) , t ≥ 0 を計数過程 (counting process)、即ち、時刻 t までのジャンプの回数を表す. また N (t) はポアソン分布に従う. P {N (t) = k} = e−λt (λt)k , k! k = 0, 1, 2, · · · . このとき、t1 , t2 , · · · をジャンプ時点とする. ジャンプ時点 tk と次のジャンプ時点 tk+1 との時 間間隔 τk , k = 0, 1, 2, · · · は i.i.d. でパラメータ λ の指数分布に従う. τk = tk − tk−1 , k = 1, 2, · · · i.i.d. ∼ Exp (λ) ただし、τ0 = 0 とする. また Y1 , Y2 , · · · は i.i.d. で、ジャンプ時点でのジャンプの大きさを表す. これらを用いて複合ポアソン過程を次式のように定義する. Z (t) = Y1 + Y2 + · · · + YN (t) 2.2 µt , σt の推定 t + 1 日目の日次対数収益率を r (t) = log S (t + 1) S (t) とする. トレンド µt とボラティリティσt を推定するための観測期間を ` 日とする. ` 日間の対 数収益率 r̄ (t) = S (t) 1 log ` S (t − `) をトレンド µt の推定量とする. また t 日目のボラティリティσt を、t 日から t − ` 日までの株価終値によって次式で定義 される HV(st )を用いて予測する. v u ` u 1 ∑ t st = (r (t − k) − r̄ (t))2 . `−1 k=1 4 3 ジャンプ時点 {tk } 及び λ の推定 時刻 t における対数収益率 r (t) を r̄ (t) と st によって基準化された値を R (t) = r (t) − r̄ (t) st とする. |R (t)| ≥ α が成り立つとき、時点 t においてジャンプがあったとする. この規則に従っ てジャンプ時点 {tk } を推定する. 1985 年 1 月 25 日から 2015 年 5 月 2 日まで 30 年間、7447 日 の日経 225 平均株価指数を分析する. 全観測期間 7447 日間を単位期間 (` 日) に分割すると、総 単位期間数は ] 7450 L= ` である. ただし、[a] は数 a の整数部分. 各単位期間ごとにジャンプ時点を以下の手順によっ [ て推定する。すべての単位期間に含まれるジャンプ回数の平均値を N̄ (1) とする. このとき λ̄ = N̄ (1) を (2) で定義されるポアソン分布の指数 λ の推定量とする. そしてすべての単位期間と HV 観 測期間の組合せに対して 1st step から 5th step を行い,その中から最善のものを選択する. 以 上をまとめるとジャンプ時点 {tk } を推定する手順は以下のようである. 1st step : 株価の変動からジャンプを判定する基準となる閾値 α > 0 を選択する. 2nd step: j 番目の単位期間内の k 日目が |R (k)| ≥ α であるならば、この単位期内の k 日目に 株価がジャンプしたと考える. j 番目の単位期間内のジャンプの総数 mj を N (1) の標本と考え ると、30 年間に L 単位期間あるので、λ の推定量を 1∑ λ̄α = N̄ (1) = mj L j=1 L とする. 3rd step: nk を 1 単位期間内に k 回のジャンプがあった単位期間数とすると n0 + n1 + · · · + nK = L が成り立つ. ただし K は各単位期間内のジャンプ数の最大値である. 標本 n1 , n2 , · · · よりポア ソン分布の適合度検定統計量 χ2α を計算する. χ2α = K+1 ∑ k=0 (nk − Lpk )2 , Lpk 5 ただし ( nK+1 = 0, pk = e λ̄α )k λ̄α , k = 0, 1, · · · , K, k! pK+1 = 1 − K ∑ pk . k=0 4th step: 1 単位期間の日数(20 日、30 日、40 日)、HV 観測期間(10 日、15 日、20 日、25 日、30 日)の全ての組み合わせに対して、各 α = 1.0, 1.1, · · · , 2.5 に対する χ2α の数値計算を行 い、χ2α が最小となる 1 単位期間と HV 観測期間の組み合わせを求める. この組み合わせによっ て最良のジャンプ拡散過程を同定することができる. 5th step: 4th step によって同定された最良のジャンプ拡散過程に対して、2nd step で求め られたジャンプ時点を採用する. Remark 3.1 α > 2.5 では1単位期間内に 2 個以上のジャンプがほとんど検出されず、また 反対に α < 1.0 では 1 単位期間あたりの標本が多すぎてポアソン分布に従わないために、α = 1.0, 1.1, · · · , 2.5 に制限した. 4 ジャンプ時点における対数収益率の度数分布 複合ポアソン過程において各ジャンプ時点でのジャンプの大きさを表す確率変数列を Y1 , Y2 , · · · とし、それらの確率分布を調べる. 時点 k でジャンプが観測され、これが i 番目の ジャンプであるとき Yi = 1 + log S (k + 1) S (k) (4) によって表す. 複合ポアソン過程での各単位期間内のジャンプ量 Yi , i = 1, 2, · · · は i.i.d. である と仮定する. 以下の表は複合ポアソン過程のジャンプ時点での対数収益率の度数分布である. Remark 4.1 表 1 は 1 単位期間 30 日, HV 観測期間 25 日による HV で基準化された対数収益 率が |R (t)| ≥ 1 である比較的大きなジャンプサイズを持つ対数収益率の度数分布表である. 対 数収益率の絶対値が 1 %以下であるような、一般的には比較的小さな株価変動と思われる場合 も HV による基準化によって大きな変動と判断されたものが 411 日あり、これらが選択される ことでポアソン分布への適合度が向上したと考えられる. Remark 4.2 表 2 は |R (t)| < 1 である比較的小さなジャンプサイズを持つか、あるいは連続 部分の対数収益率の度数分布表である. 対数収益率の絶対値が 2 %以上であるような、一般的 6 表 1: 対数収益率 (|R (t) ≥ 1|) の度数分布表, 1 単位期間 30 日, HV 観測期間 25 日 対数収益率 ∼ -0.1 ∼ -0.09 ∼ -0.08 ∼ -0.07 ∼ -0.06 度数 4 1 0 4 8 対数収益率 ∼ -0.05 ∼ -0.04 ∼ -0.03 ∼ -0.02 ∼ -0.01 度数 17 32 108 308 505 ∼ 0.00 ∼ 0.01 対数収益率 度数 236 ∼ 0.02 175 572 ∼ 0.05 ∼ 0.06 対数収益率 度数 33 ∼ 0.03 ∼ 0.04 283 ∼ 0.07 14 86 ∼ 0.08 ∼ 0.09 4 5 0 ∼ 0.1 0.1 ∼ 対数収益率 度数 1 3 表 2: 対数収益率 (|R (t)| < 1) の度数分布表, 1 単位期間 30 日, HV 観測期間 25 日 対数収益率 ∼ -0.05 ∼ -0.04 ∼ -0.03 ∼ -0.02 ∼ -0.01 度数 1 1 6 32 393 対数収益率 度数 ∼ 0.00 ∼ 0.01 2201 ∼ 0.02 1974 対数収益率 ∼ 0.05 度数 1 ∼ 0.03 ∼ 0.04 360 41 ∼ 0.06 ∼ 0.07 2 7 2 6 0.07 ∼ 0 には極めて大きな株価変動と思われる場合も HV による基準化によって小さな変動と判断され たものが 92 日もあり、これらが排除されることでポアソン分布への適合度が向上したと考え られる. 5 複合ポアソン過程によって発生したジャンプが分離できる理由 S (t) の連続過程の部分 S̃ (t) がブラック・ショールズモデルに従う場合、(2), (3) 式より 確率微分方程式 dS̃ (t) = µ̃t S (t) dt + σ̃t S (t) dB (t) が成り立つ. このとき確率微分方程式の差分近似である Euler-丸山近似式 ([8] 参照) を用いて、 差分 ∆S̃ (t) は ∆S̃ (t) = S̃ (t + ∆t) − S̃ (t) ' µ̃t S (t) ∆t + σ̃t S (t) {B (t + ∆t) − B (t)} (5) によって近似できる. 一方 S (t) の対数収益率 r (t) は通常の収益率とほぼ同じ値であるので (5) 式より r (t) ' = ∆S (t) S (t + ∆t) − S (t) ∆S̃ (t) + ∆Ŝ (t) = = S (t) S (t) S (t) µ̃t S (t) ∆t + σ̃t S (t) ∆B (t) S (t) ∆Z (t) + = µ̃t ∆t + σ̃t ∆B (t) + ∆Z (t) . S (t) S (t) (6) また短期間にはトレンドは 0, 即ち µ̃t ' µt ' r̄ (t) ' 0 (7) と考える. ゆえに r (t) を基準化した R (t) は (6),(7) より R (t) = r (t) − r̄ (t) σ̃t ∆B (t) ∆Z (t) ' + σt σt σt (8) また連続部分のみのボラティリティは株価全体のボラティリティよりも小さいので 0 ≤ σ̃t ≤ σt が成り立つ.ボラティリティの比率 σ̃t /σt の値を正確に推定することはできないが、多めに見 積もって σ̃t 2 = σt 3 8 (9) 程度と仮定しよう. 日次収益率では ∆t = 1 であるので ∆B (t) = B (t + 1) − B (t) ∼ N (0, 1) より、α = 2 の場合 (8),(9) より { } σ̃t ∆B (t) ≥2 P {|R (t)| ≥ 2} ' P σt = P {|∆B (t)| ≥ 3} = P {|B (t + 1) − B (t)| ≥ 3} ' 0.003 (10) が成り立つ. 本報告では 30 年間を、それぞれ 20 日、30 日、40 日を 1 単位期間として分割し、 各区間に含まれるジャンプ時点を推定した. 1 単位期間が短いために、連続過程から観測され た基準化された収益率が 2 以上の値を取る確率は (10) よりわずか 0.003 程度である. そのため 理論的には 1 単位期間が 20 日の場合の連続過程から発生した収益率が 2 以上の値をとる 1 期 間当たりの平均回数は僅か 0.06 回であり、実際にはめったに実現しない. 一方、実データに基 づいて基準化された収益率 R (t) が 2 以上の値をとる平均回数は表 6 よりおよそ 1.5 回程度であ る。そのため 1 単位期間内に観測された R (t) が 2 以上の値を取る時点のほとんどが複合ポア ソン過程から発生したジャンプ時点であると考えられる。さらに表 5 ∼ 表 10 で示されるよう に、1 単位期間内で対数収益率が 2 以上の値を取る回数はほぼポアソン分布に従っているので、 それらが生じた時点は複合ポアソン過程から発生したジャンプ時点と考えられる. 図 2: α = 1.7 に対するジャンプ時点, 2015.4.7∼5.2 6 結論 完全な離散データである日次株価指数のジャンプ時点を抽出する問題は株価分析におい て困難な問題である.本報告では HV によって日次対数収益率を基準化し、その振幅の大きな 9 ジャンプがポアソン分布に適合することを示すことが出来た.またこの手法は株価モデルの連 続部分を使用しないために頑健性が高く、応用面から有効であると期待される. 本報告の主目的は株価指数のジャンプ時点を抽出することであるが、対数収益率を基準 化するための HV の分析から、HV の観測期間の長さと株価を観測する単位期間の長さ間に適 切な比率が存在することが判明した.以上から HV によって基準化された対数収益率の単位期 間当たりの大きなジャンプ数がポアソン分布に従うことを根拠として、これまで曖昧であった HV 算出のための最適な株価指数の観測期間の選び方の指針を与えることが出来る. 参考文献 [1] Ball, C. A. and Torous, W. N.:“A Simplified Jump Process for Common Stock Returns,” Journal of Financial and Quantitative Analysis, Vol.18, pp.53–65 (1983) [2] Ball, C. A. and Torous, W. N.:“On Jumps in Common Stock Prices and their Impact on Call Option Pricing,” Journal of Finance, Vol.40, pp.155–173 (1985) [3] Chan, N.H. and Wong, H.Y.: Simulation Techniques in Financial Risk Management, Wiley, New York (2006) [4] Ishida, M. and Kanagawa, S.: “Identification of jump times of large jumps for the Nikkei 225 stock index from daily share prices via a stochastic volatility model”, Theoretical and Applied Mechanics Japan, Vol. 63, pp.109–116 (2015) [5] Jorion, P.:“On Jump Processes in the Foreign Exchange and Stock Markets,” Review of Finance Studies, Vol.1, pp.427–445 (1988) [6] Kwakernaak, H.:“Estimation of Pulse Heights and Arrival Times,” Automatica, Vol.16, pp.367–377 (1980) [7] 飯野三徳、尾崎統: “ジャンプ拡散過程モデルによる非ガウス時系列のフィルタリングと 予測”, 統計数理, Vol.47, No.2, pp.327–342 (1999) [8] 金川秀也、小川重義: “確率微分方程式の数値解法(応用編)”, 数学, 日本数学会, Vol.53, No.2, pp.125–138 (2001) 10
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