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経 営 健 全 化 計 画 書
(北海道赤平市)
(赤平市病院事業会計)
第1 資金不足比率が経営健全化基準以上となった要因の分析
○ 市立赤平総合病院は半世紀以上にわたり地域の中核医療施設として、また、自治体病院と
しての役割を担ってきたが、石炭産業の衰退による人口の減少の中、平成3年度から平成
6年度までに実施した診療棟・管理棟の全面改築並びに医療機器の整備に伴い、毎年約
2.5億円の企業債を償還しており、平成20年度末償還残高として約26億円を抱え、大
きな負担となっている。
○ 診療報酬のマイナス改定、度重なる医療制度改革により医業収益の減少が著しい状況と
なったが、特に平成18年4月の診療報酬改定による影響で看護師の補充が思うように進
まず、結果として看護師不足により1病棟(42床)を休止せざるを得なくなった。
○ 平成16年における初期臨床研修医制度の開始により、大学医局からの医師派遣がままな
らず、18名いた常勤医師が平成20年度には7名(研修医を除く)まで減少した。
加えて、慢性的な医師不足の影響により、平成18年10月から平成19年4月までの期
間、医師標欠医療機関となり、入院基本料2%の減額及び新規、上位区分への施設基準の
届出ができなくなった。
これらの要因により、診療単価の下落や入院患者の抑制、外来の診療間隔の延長による延
患者の減少から、医業収益の減少及び経営状況の悪化を招くこととなった。
○ このようなことから、平成20年度の資金不足比率は81.2%となり、経営健全化基準
の20%を大きく上回る結果となった。
(単位:百万円、%)
区分
資金不足額
平成3年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度
△ 307
1.5
資金不足比率
区分
資金不足額
資金不足比率
45
575
19.4
901
27.4
1,194
1,197
1,281
1,325
1,315
35.5
35.2
37.1
37.9
42.1
平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
1,417
1,431
1,674
1,747
1,896
2,133
50.3
50.0
60.1
57.8
64.6
78.0
-1-
2,591
112.9
2,949
148.3
1,401
81.2
第2 計画期間
○ 平成21年度から平成26年度までの6年間
平成21年度から平成23年度までの3年間を経営効率化(経常収支黒字化)期間とし、
平成24年度において経常収支の黒字化を図る。
第3 経営の健全化の基本方針
個別外部監査及び「市立赤平総合病院改革プラン」評価委員会の意見を参考に、新たな不
良債務を発生させない経営と平成26年度までに資金不足比率を経営健全化基準未満にす
るため、基本方針を次のとおり定める。
○ 病床規模について、現在の規模を維持することは、現有患者の推移からも新たな不良債務
の発生を招き、経営の健全化を極めて困難なものにすることから、適正な病床規模による
運営を図る。
○ 一般会計の繰入れは、地方公営企業法に基づく繰出し基準額及び不良債務解消分としての
繰入れのほか、収支の安定を図るため更なる繰入れを実施する。
○ 地域における当院の果たすべき役割を踏まえ、医療の安定的且つ継続的な提供を目指し、
現在の診療科の維持と、患者サービスの更なる向上に努め、市民に愛され、信頼され、選
ばれる病院としての充実を図る。
<以前からの取組み内容>
平成20年1月に市民と行政による「これからの市立赤平総合病院のあり方を考える検討
会議」を設置し、市民の意見を伺いながら、「市立病院のあり方指針」を策定し、市立病
院の方向性、経営効率化の取組み、医師・看護師等確保の取組み及び再編・ネットワーク
機能の強化などを内容とする「市立赤平総合病院改革プラン」を同年12月に策定した。
◇増収対策
◇経費削減
◇その他
①看護基準10対1を取得
②透析医療の拡充等
①退職不補充等による人件費の抑制
②基本給等の削減による人件費の削減
③業務委託内容の見直しによる委託料の削減
④物流管理システムの活用による経費の削減等
①不良債務の解消を図るための一般会計からの繰入れ
②国の公立病院特例債の活用
③北海道の短期貸付金の活用等
-2-
<今後拡充させる取組み内容>
個別外部監査で提案された、臨床経験の長い医師の定着、透析センターの充実等による収
入増加策や、職員の適正配置の検討・医薬品材料費の抑制などの業務改善と経費削減策
を着実に進めていくものとする。
◇増収対策
①患者の増加対策(臨床経験の長い医師の定着)
②透析センター(送迎サービス等)の充実による更なる収入増加策
③クリティカルパス及びオーダリングシステム導入の検討等
①職員の適正配置の検討
②業務委託や非常勤職員の活用
③医薬品材料費の抑制、削減
④業務改善と経費削減等
①経営管理体制の充実
②職員の意識(モラル)向上等
◇経費削減
◇その他
<新たな取組み内容>
規模の適正化による経営の効率化を目指し、空きベッドの状況や病床の稼働率、疾病構成
等を考慮し、現状の一般病床120床、療養病床60床を、平成24年度までに一般病床
60床、療養病床60床の運営による規模の適正化を図るとともに、外来看護部門におい
てはステーション化による効率的な配置を実施することにより、人件費・委託料等の削減
を行う。
◇病床規模の適正化
現状(120床+60床)
病床規模の適正化(60床+60床)
急性期・亜急性期患者
(60人)
一般病床
(120床)
一般病床
(60床)
症状の比較的安定した患者
(30人)
空床
(30床)
療養病床
(60床)
急性期・亜急性期患者
(60人)
療養病床
(60床)
症状の安定した患者
(30人)
空床
(30床)
-3-
症状の比較的安定した患者
(30人)
症状の安定した患者
(30人)
第4 資金不足比率を経営健全化基準未満とするための方策
○ 経営の効率化
◇経費の削減
・平成24年度までに、一般病床を120床から60床に縮小し、委託料の削減を行う。
◇人件費の削減
・医師を除く職員給料の11%削減を行う。
・平成24年度までに、一般病床を120床から60床に縮小し、適正な人員配置を行う。
・平成24年度までに、看護師のステーション化を図る。
○ 一般会計からの繰入金
◇不良債務解消分として毎年1.5億円の繰入れを行う。(平成19~27年度まで)
◇特例債元利償還分として毎年、約2億円の繰入れを行う。
◇不良債務の早期全額解消のため、毎年の企業債償還分全額の繰入れを行う。
◇平成21~23年度においては「市立赤平総合病院改革プラン」との乖離分を補てんする。
(H21~1.5億円 H22~1.76億円 H23~1.84億円)
第5 各年度ごとの第4の方策に係る収入及び支出に関する計画
(単位:百万円)
計画初年度の
前年度
区分
平成21年度
(計画初年度)
平成22年度
(第2年度)
平成23年度
(第3年度)
経費の削減(委託料)
164
93
82
82
164
93
82
82
641
904
992
1,001
基準内
324
568
555
551
基準外
317
336
437
450
人件費の抑制
給与削減分
規模縮小に伴う削減分
繰入金
平成24年度
(第4年度)
区分
平成25年度
(第5年度)
平成26年度
(第6年度)
平成21年度
~平成26年度
合計
45
45
45
136
給与削減分
446
60
445
60
452
60
1,601
438
規模縮小に伴う削減分
386
385
392
1,163
繰入金
810
814
815
5,335
基準内
543
544
542
3,302
基準外
267
271
273
2,033
経費の削減(委託料)
人件費の抑制
※表示単位未満を四捨五入し、算定、記載しております。
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第6 各年度ごとの資金不足比率の見通し
区分
計画初年度の
前年度
平成21年度
(計画初年度)
平成22年度
(第2年度)
平成23年度
(第3年度)
資金不足比率
81.2%
67.1%
68.9%
58.5%
区分
平成24年度
(第4年度)
平成25年度
(第5年度)
平成26年度
(第6年度)
資金不足比率
44.4%
27.4%
11.6%
第7 その他経営の健全化に必要な事項
○ 市立赤平総合病院の経営形態については、責任体制を明確にし、また効率的な運営を行う
ことができる経営形態にするため、平成24年度実施に向け、地方公営企業法の全部適用
への移行を検討する。
○ 計画の推進にあたっては、医師の状況や国の医療制度改革等の動向も十分注視しながら進
めるものとし、状況に応じた迅速な対応と適切な計画の見直しを行い、本計画の目標を達
成するものとする。
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