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第 9 回新しい医療のかたち賞
■「当事者」発の取り組み部門
日本認知症ワーキンググループ
「認知症になったらおしまい」「何もわからなくなる」という、専門家ですら抱いてい
る誤った先入観、「認知症の人は社会の負担」という日本の社会に特に根強い見方を変
えたいという当事者の思いから出発しました。
「認知症になっても、希望と尊厳をもって暮らし続けることができる社会を創りだし
ていく」を目的に、2014 年 10 月に発足。声をあげられる人が、声をあげられないで
いる全国の多数の当事者の代弁をしようと、若年性認知症の佐藤雅彦さん、中村成信さ
ん、藤田和子さんが共同代表になって発足しました。
長い文章を読むのは苦手だけれど、顔が見え短い文章で伝えられるフェイスブックで連
絡を取り合い、共鳴したボランティアのサポートも得て、地道な活動を続けています。
日本医学ジャーナリスト協会の 2015 年優秀賞に選ばれた佐藤さんの書籍『認知症
になった私が伝えたいこと』
(大月書店)
、中村成信さんのプロなみの写真、ナースだっ
た藤田さんのミニ講演、ホームページ、フェイスブック、メディアのインタビューなど、
持ち味と特技を通して、認知症についての日本人の見方を変えつつあります。
■「市民」発の取り組み部門
認定 NPO 大阪精神医療人権センター
薬学部在学中に調子を崩し、精神病院に入院した経験ももつ山本深雪さんが中心になっ
て始まりました。大阪の精神科病院はかつて、「鬼の〇〇か、蛇の〇〇、情け知らずの
〇〇か」とうたわれ、日本の中でも特に人権軽視の土地柄だということで学会のぶんし
ょにも書かれるほど有名でした。ところが、現在では、訓練を受けたセンターのボラン
ティアが、大阪府内のすべての精神科病院(60 病院、2 万床)に訪問し、立場上、も
のが言えない入院患者の思いを病院に伝え、改善を見届けてきました。
1.「声をきく」~患者さんの訴えを聞き、病院に伝えることを支援する~
2.「扉をひらく」~精神科病院を開かれたものにする~
3.「社会をかえる」~安心してかかれる精神科医療を実現する~
を目標に掲げ、安心して精神医療にかかるための情報をインターネット等で公開してい
ます。たとえば、常勤医一人当たりのベッド数や入院患者の在院期間、医師や看護師の
常勤・非常勤の数などを病院ごとに分析。訪問活動や電話相談等で聞かれた患者・家族
の声、病棟の様子などをまとめ、情報をニュースレターやインターネット、報告書等で
公開。客観的な視点から病院を選ぶことができるよう、患者の視点に立った情報を提供
しています。この 11 月で創立30周年の節目を迎えました。
■「医療提供者」の取り組み部門
一般社団法人 日本男性看護師會
少数派であるための困難を感じていた男性看護学生が、2002 年、メーリングリスト
“男塾”をスタートさせたことから始まり、登録者数が国内の男性看護師の約1%、
650 名を超えた 2014 年 2 月 15 日正式に活動をスタート、9 月 8 日、一般社団法
人化しました。10 月 25 日には、学生部~日本男性看護学生会~も設立され、学生の
交流以外にも、男性看護師を増やすための高校生向けの勉強会なども行っています。
ミッションは、『男性看護師の可能性を広げる』、ビジョンは、『男性看護師の可能性を
広げることによって、医療・介護における問題解決に助力する』。
男性看護師の情報交換・交流の場を通じ、①男性看護師を望む患者さんへの相談、②男
性看護師採用等医療機関との相談、③男性看護師の就職、キャリア相談、④ナース服等
の開発協力、が主たる活動です。超高齢化という大きな課題を解決するために、男性看
護師としての役割を積極的に果たしていきたい!と活動をつづけ、2015 年 9 月 19
日現在、登録会員 1054 名に。