Ⅱ、 平成27年度:NPO関連予算の特徴・問題点

Ⅱ、 平成27年度:NPO関連予算の特徴・問題点
通 常 事 業
1、 省庁別予算額(内数事業除き)
● 内数事業除きの 27 年度予算総額は 1,335.28 億円であり、省庁別の予算額は[表 1]の通り。
(注 1) [表 1]はヒアリング後各省庁に確認調査しその回答により訂正した数値、[表 2]はヒアリング時
に配布された資料の数値である(単位は百万円:以下、同じ)。
(注 2) 配布時の数値を訂正した根拠については、「Ⅲ、平成 27 年度:NPO 関連予算の計上・集計上の特
徴・問題点」を参照。
2、 特徴・問題点
(1)、内数事業除きの 27 年度予算の絶対額が、1,500 億円台をキープできなかった[表 1]。
● 22 年度以前までは毎年増額し 2,000 億円台であったが、23 年度以降 400~700 億円台に激
減していた。しかし、25 年度から回復しだし、26 年度は 1,500 億円台に復活したが、27
年度は再び 1,500 億円を下回った。
● 省庁別の 2 極化現象は、前年度と同じく数十億円以上が 5 省(厚生労働・農林水産・文部
科学・外務・経済産業)で、数億円以下が 5 省(環境・国土交通・内閣府・法務・総務)で
あった。
(2)、26 年度対比では、500 億円弱の減額となった[表 1]。
● これらの主な原因は、次の通りであった。
① 厚生労働省の継続 1 事業(求職者支援制度)で▲221.79 億円の減額
② 文部科学省の継続 3 事業の 27 年度予算額がいまだ未確定(26 年度実績額 201.43 億円)
③ 26 年度予算額に 26 年度補正予算で計上された事業で+89.74 億円の増額あり
(外務省 45.46 億円、農林水産省 22.28 億円、経済産業省 22.00 億円)
(3)、上記(2)-②・③を調整すると、27 年度予算額は 1,626.45 億円となり、1,500 億円を上回
った。
● 26 年度補正予算額 89.74 億円は、実質 27 年度に使えるものであるため 27 年度予算とみな
し、また文部科学省の未確定 3 事業については、実績は確保できるものとし実績額 201.43
億円を加算すると、27 年度予算額は 1,626.45 億円、26 年度予算額は 1,716.51 億円、前年
度対比▲90.06 億円、▲5.2%となる。
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(4)、内数事業率は、悪い省庁がさらに悪くなり、80%前後の省庁が 4 つになった。
● 集計から外されている内数事業率については、毎年お願いしているため、改善されてきて
いたが、今回再び悪化しだし、絶対額の伸びを押えている(全省庁の内数事業率の推移:22
年度 67/166=40.4%、23 年度 97/173=56.9%、24 年度 97/145=66.9%、25 年度 97/159
=61.0%、26 年度 90/160=56.3%、27 年度 98/161=60.9%)。
● 内数事業率も省庁別に 2 極化し、
悪い省庁はさらに悪化し、国土交通省の 95.8%を筆頭に、
内閣府、厚生労働省、経済産業省の 4 省が 80%前後となり、他の 6 省は 50%以下である。
(注 1) 数値は全て訂正済みのものに基づいて作成。
(注 2) 厚生労働省から内閣府へ移管された 6 事業については、厚生労働省から外し、内閣府のみに計上。
(注 3) 文部科学省の未確定 3 事業については、例年の通り内数以外事業としてカウント。
(5)、補助率等は改善しつつある。
● 補助率については、例年通り 1/3・1/2 が多かったが、1/4・1/3・3/10・2/5・1/2・2/3・4/5・9/10・
10/10 と多様になり、定額であるが全額のものもそれなりに見受けられる。また、支給期間も
複数年度に継続可能なものもある。
● しかし、公募等を説明会前にほぼ終了していたり(農林水産省、文部科学省)、依然として自
治体に○/○の負担、支給時期が事業終了後等、改善していただきたい点は、未だ残っている。
復興(震災・原発事故)関連事業
1、省庁別予算額(内数事業除き)
● 内数事業除きの 27 年度予算総額は 41.94 億円であり、省庁別の予算額は[表 4]の通り。
(注) 復興庁は訂正した数値、それ以外はヒアリング時に配布された資料の数値である。
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2、 問題点
● 5 年目に入り、予算額自体は 26 年度より大幅減額となった。
主因は、復興庁の 1 事業(福島原子力災害避難区域等帰還・再生加速事業)の統廃合=実質
の終了で▲79.66 億円のためである。
● 文部科学省の 1 事業が未確定であるが、26 年度の実績額 9.65 億円を加算しても、全省庁
で、27 年度予算額は 51.59 億円、26 年度予算額は 136.84 億円、前年度対比▲85.25 億円、
▲62.3%となる。
● 今後の対応について確認したところ、27 年度が集中復興期間の最終年度であるが、平成
27 年 3 月 10 日に開催された復興推進会議において、安倍総理より「集中復興期間の総括」
と「集中復興期間以降5年間の復興支援の枠組みの検討」について指示があったとのこと。
したがって、今後はこれらの指示を踏まえ、まずは集中復興期間の総括に取り組んだうえ
で、平成 28 年度の概算要求に向けた作業に十分間に合うよう、今後の復興支援の枠組み
をしっかり策定したいとの回答であった。
ま と め
● 27 年度の国の一般予算が 96.3 兆円と過去最大となり、増率は 0.5%UP であるので、NPO
関連予算額が減額となったのは、誠に遺憾である。
● しかし、実質予算額 1600 億円強+内数事業の額も入れればそれなりの金額が、NPO のため
に確保されているのは事実である。したがって、
① 今回公表された NPO 関連予算については、しっかりと情報をとり、自分たちの団体にフ
ィットするものは、極力活用すべきである。
② 特に、27 年度の国の施策の特徴の一つに、
「地域創生」があり、地域創生予算額は 7,225
億円、各都道府県の予算も約 9 割のところで、その規模が拡大している。
まさに、各地域の NPO の出番である。是非積極的に手挙げし、これらの予算を活用し、
地域活性化の担い手として活動するようお願いしたい。
● 予算以外であるが、今回のヒアリングで感じた次の 2 点についてふれておきたい。
①
NPO 法の改正について
本日岸本周平議員から、あきらめていた NPO 法の改正について、5 月連休までに改正(案)
を固め、6 月頃国会に提出したいとのお話しをお聞きした。
この情報を、直ちに仲間の NPO に伝えるとともに、身近な国会議員の方々に、バックア
ップするよう、お願いしていく必要があると考える。
② 共助社会づくりについて
今日の社会、内外ともに様々な問題が発生し、課題が山積している。
「共助社会づくりの意見交換会」で出ていたように、
“共助社会の実現”をキーワードとし、
企業・行政・学校、市民ら全てのセクターが参画できるよう、NPO が仲介役=コア=コー
デネートしていくことが期待されていると考える。
民主党で論議されている「新しい公共・社会的包摂総合調査会」や今回立ち上げた「共生
社会創造本部」においても、NPO への期待がうかがわれる。
これらの期待に応えるべく、我々NPO は、さらに力量を高め、進化していくべきであろう。
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