平成27年3月期 決算説明会要旨を掲載いたしました(PDF形式

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新川
長野
高志
(ナガノ
タカシ)
株式会社新川社長
構造改革を推進し黒字化を果たす
◆2015 年 3 月期決算概況
2015 年 3 月期は、モバイル関連機器やサーバー向けメモリメーカーからの受注増加があり、特にワイヤボンダ
UTC-5000 シリーズの販売が順調に推移したことから、連結売上高は 113 億 52 百万円(前期比 51.7%増)となっ
た。売上総利益は 28 億 37 百万円(同 32.9%増)、販管費及び一般管理費は、試験研究費が減少したため 55 億 6
百万円(同 11.9%減)となった。この結果、営業損益は 26 億 69 百万円の損失となり、営業外収益で為替差益 7 億
90 百万円を計上したものの経常損益は 17 億 84 百万円の損失となった。特別利益として再就職支援奨励金 13 百
万円、特別損失として減損損失 1 億 6 百万円、固定資産除却損 33 百万円を計上し、当期純損益は 18 億 94 百万
円の損失となった。通期の受注額については 131 億 12 百万円(同 50.2%増)となった。
研究開発費は、ダイボンダ新製品および 2016 年に市場投入を予定しているフリップチップボンダ新製品の開発、
ならびにワイヤボンダの機能向上を進めた結果、21 億 98 百万円(前期比 15.1%減)となった。設備投資について
は、ほとんどが顧客評価用の自社製品設備であり、ワイヤボンダの評価が一巡したことから 5 億 22 百万円(同
19.6%減)となった。減価償却費は 8 億 1 百万円(同 10.4%減)となった。
連結貸借対照表では、総資産が 265 億円(前期比 4 億 41 百万円増)となった。流動資産は、前期末より受取手
形及び売掛金が増加した一方で、現金及び預金ならびに仕掛品が減少したことなどから、164 億 49 百万円(同 1
億 96 百万円減)となった。固定資産は、前期末より機械及び運搬具が 1 億 5 百万円減少した一方で、投資有価証
券が増加したことなどから、100 億 51 百万円(同 6 億 37 百万円増)となった。負債については、前期末より買掛金
ならびに繰延税金負債が増加したことなどから、負債合計は 31 億 64 百万円(同 15 億 7 百万円増)となった。純資
産は 233 億 36 百万円となり、当期純損失の計上により利益剰余金が前期末より 19 億 55 百万円減少した。
連結キャッシュフローでは、現金及び現金同等物の期末残高が 63 億 49 百万円(前期比 21 億 43 百万円減)と
なった。営業活動キャッシュフローは、棚卸資産の減少 12 億 87 百万円および減価償却費 8 億 1 百万円があった
ものの、税金等調整前当期純損失 19 億 9 百万円および売上債券の増加 25 億 40 百万円があったことなどにより、
19 億 13 百万円(同 8 億 61 百万円減)の支出となった。投資活動キャッシュフローは、定期預金払戻による収入 8
億 69 百万円があったものの、定期預金の預け入れによる支出 7 億 41 百万円、有形固定資産の取得による支出
4 億 64 百万円があったことになどにより、4 億 60 百万円(同 22 億 59 百万円減)の支出となった。財務活動キャッ
シュフローは、主に配当金の支払いにより 1 百万円(同 90 百万円減)の支出となった。
四半期ベースの受注額と売上高については、モバイルと車載関連デバイスの好調を背景に、第 1 四半期には
受注・売上ともに回復の傾向が見られたが、年間を通じて設備投資を牽引するだけの力強さはなく、第 2 四半期に
は製造各社ともに設備投資の先送りや中止があり、受注額が減少した。しかし、第 3 四半期にはスマートフォンの
需要拡大を受けてメモリメーカーからの受注が増加した。さらに、第 4 四半期はメモリ市場が好調に推移し、主に
中国や韓国などで積極的な設備投資が行われ、受注が大幅に増加した。
機種別売上構成比では、主力のワイヤボンダが 76.2%(前期比 12.1%ポイント増)、ダイボンダが 13.0%(同
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3.0%ポイント減)、フリップチップボンダが 0.5%(同 3.8%ポイント減)、補修部品が 10.3%(同 5.3%ポイント減)とな
った。地域別売上高構成比では、中国大手 OSAT(後工程受託会社)や中国に工場を置く韓国メモリメーカーから
の受注が増加し、中国の比率は 44.3%(前期比 22.2%ポイント増)となった。一方で、韓国は 18.7%(同 6.7%ポイ
ント減)、台湾は 10.9%(同 4.6%ポイント減)、日本国内は 13.4%(同 6.9%ポイント減)となった。
◆2016 年 3 月期の見通し
米国の調査会社である VLSI リサーチ社の調査レポート(2015 年 1 月)によれば、半導体市場は今後も右肩上
がりで拡大し、当社が属するボンダ市場も、半導体市場ほどではないが着実に上昇する見通しである。ボンダ市
場を機種別に見てみると、ワイヤボンダとダイボンダは、2015 年には前年と同規模で推移し、2016 年は若干の調
整が入るが 2017 年から 2020 年にかけて拡大が続く。また、フリップチップボンダは着実に規模が拡大している。
足元では引き続き車載とモバイル関連デバイスの生産が好調を維持していることから、メモリメーカーおよび中
国大手 OSAT の量産設備投資は今期も継続すると思われる。また、下期には新製品の販売でさらに売上が拡大
すると予測している。
2016 年 3 月期通期の連結業績として、売上高 197 億円(前期比 73.5%増)、営業利益 7 億 30 百万円、経常利
益 6 億 80 百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は 5 億 30 百万円と予測している。長らく赤字決算が続いた
が、現在進めている構造改革や商品戦略がようやく実を結ぶ段階に入った。
◆2016 年 3 月期の施策
企業体質強化に向け、引き続きグローバル・オペレーションの強化および技術力・商品力の強化を推進する。
まず、グローバル・オペレーションの強化について、拠点の営業部門および設計部門の強化とともに、生産部門
の再編を加速させる。日本では、子会社の新川テクノロジーズで高付加価値製品と国内向けワイヤボンダを生産
するとともに、一部製品の製造業務を外部委託していく。一方で、タイ工場では海外向けワイヤボンダを生産して
いく。それぞれの強みを活かし、相互補完関係を築き、グループ全体のコスト低減と生産効率向上に努める。
次に、技術力・商品力の強化について、当社は、ビッグデータ関連で拡大が予想されるデータプロセッシング、
引き続き拡大が見込まれるモバイル関連コミュニケーション、安定した成長が期待できる車載の 3 つの領域に焦点
を当てた商品戦略を立てている。データプロセッシングおよびモバイル関連コミュニケーション領域ではメモリ分野
を中心に、車載領域ではディスクリート分野を中心に攻略していく。
ワイヤボンダについては、コストダウンに加え、銅線実装などの機能・性能向上を進め、ローエンドのアナログ分
野とハイエンドのロジック分野でのシェア奪回を図る。また、顧客へのソリューション提案として、独自の自動化シ
ステムを今年中に完成させ、中国市場を始めニーズが高い省人化ソリューションに対応していく。
ダイボンダについては、小信号分野で携帯電話向けパッケージの小型化および実装フレームの高密度化が進
み、小チップ・高精度・高速対応が求められている。2014 年 3 月に発表した STC-800 は、スピード、精度、安定性
ともに高評価を受けており、受注が増え始めている。また、本説明会の直前に発表した SPA-1000 は、ビッグデー
タ関連の大型サーバー向けなどで市場規模の拡大が予測されている、NAND フラッシュメモリ領域にターゲットを
絞って販売活動を展開する。
フリップチップボンダについては、今後の拡大が予測される先端パッケージへの対応として、事業の拡大を図る。
その一環としてヤマハ発動機と提携し、同社が開発するリフロー工程用のフリップチップボンダを当社ブランドで半
導体市場に販売する。
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◆フリップチップボンダの技術動向
常務 永田 憲雅
当社のフリップチップボンダがターゲットとしている、ハイエンド・サーバーおよびグラフィックス市場がようやく立
ち上がってきており、今年は量産向け設備を受注・納入し始めている。しかし、同装置の仕様である TCB(Thermal
Compression Bonding)工法では、従来(マスリフロー)工法に比べて生産性が低いとの指摘もあり、市場拡大と平
行してより生産性の高い次世代設備の開発が必要であると考えている。
スマートフォン市場については、新興国を中心にミドル・ローエンドモデルの数量が増えており、フリップチップ市
場においてボリュームゾーンとなっている。しかし、TCB 工法では製品コストが高くなってしまうため、多くの顧客が
従来工法を延命している。当社にとって、今から従来工法の装置を開発してもメリットは乏しいため、競争力の高
いヤマハ発動機の装置を新川ブランドで販売し、この領域でのプレゼンスを高めていく。
ウェアラブル市場についても拡大が見込まれており、同じく高精度が求められている。ウェーハレベルまたはパ
ネルベースで実装する装置のニーズがあり、当社の次世代機ではこの領域をカバーしていく。
◆質
疑
応
答◆
フリップチップボンダにおける御社の競争優位性は何か。
当社は、単なる実装技術だけでなく、フラッシュメモリ向けのダイボンダで培った、メモリを積層する時のマネジメ
ントやソフトウェア、薄いチップのピックアップ技術などを持っている。厚いチップのロジック向けから参入してきた企
業と違って、当社は総合的な技術を持っている数少ない会社であり、顧客からの期待も大きい。
(平成 27 年 5 月 18 日・東京)
*当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。
http://www.shinkawa.com/ir/library/presentations.html
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