肺炎球菌ワクチンとは 日本人の死亡原因の第4位が肺炎によるものです。 この肺炎の原因菌として最も多いのが肺炎球菌(約 30%)と言われています。 特に抵抗力の弱い高齢者が、インフルエンザウイルスに感染後に続発して肺炎 球菌による肺炎にかかるケースが多いことが知られています。 この肺炎球菌による肺炎を予防するためのワクチンが肺炎球菌ワクチンです。 (すべての肺炎を予防できるわけではありません。) 肺炎球菌ワクチンが近年注目される理由 ひとつには抗生物質に対する耐性菌の問題があります。人類はペニシリン開 発以来、抗生物質と細菌との戦いを繰り返してきました。新しい抗生物質が開 発されると、細菌の方も進化し、薬が効かないような新たな細菌が生き残るよ うになります。またそれに対して新しい薬が開発されるということを繰り返す うちに様々な抗生物質に抵抗を示す「耐性菌」が出現し、医療的に大きな問題 となっています。 肺炎球菌に関しても同様の現象が生じており、現在本邦の臨床分離株のうち 50%~70%がペニシリン耐性肺炎球菌であると言われています。 肺炎球菌ワクチンはこれら薬剤耐性肺炎球菌に対しても有効性を示し、重症 化を防ぐ効果があります。 また海外での実績もその有効性が示されています。アメリカでは 2000 年の時 点で 65 歳以上の半数以上の人がワクチン接種を受け、56%~81%で肺炎球菌感 染を予防できたという実績がでています。 肺炎球菌ワクチンの特徴 ・肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぎます。 (すべての肺炎を予防するものではありません。) ・接種してから免疫(抗体)ができるまで平均 3 週間ほどかかります。 ・1 回の接種で 5 年間は免疫が持続すると言われています。 ・ 「丌活化」ワクチンですので、ワクチン接種により肺炎球菌に感染するという ことはありません。 ・注射後、局所に腫れ、痛み、発熱などがみられることがありますが、通常 3 日以内に消失します。本邦ではアナフィラキシーなどの重篤な副作用は報告さ れておらず、安全なワクチンです。 肺炎球菌ワクチンの接種が推奨される方 ●65 歳以上の方 ●呼吸器疾患をお持ちの方(COPDなど) ●糖尿病の方 ●老人ホームに入所中の方 在宅医療を受けている方 肺炎球菌ワクチンの接種が禁じられている方 ・初回接種後、5 年経過していない方 ・2 歳未満の方 ・接種当日 37.5℃以上の発熱のある方 ・重篤な急性疾患にかかっている方 その他接種に関し、御心配な方は担当医師にご相談して下さい。 費用はどのくらい? 現在日本では保険適応とはなっていませんので、自費負担となります。 当クリニックでは 1 回の接種費用は 7000 円です。
© Copyright 2024 ExpyDoc