くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 7 月 23 日(木) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email 国外転出時課税の「1億円」判定 非上場株式の価額の算定方法 国外転出時課税の「1億円」判定方法は? 平成 27 年7月からスタートする国外転 出時課税制度は、有価証券等を1億円以上 有する居住者に適用されます。 この有価証券の価額「1億円」という判 定基準は、上場株式など取引市場があるも のについては、時価(終値)の情報を取り [email protected] 場合…類似法人比準推定価額 ④①~③に該当しないもの…1株当たりの 純資産価額等を参酌した価額 実際には、非上場株式の取引においては、 売買実例があるものも少なく、類似する法 人を見つけることも困難であることから、 ④の1株当たりの純資産価額を参酌した価 額を採用する例が多く見られます。 財産評価基本通達を準用することも可能 また、 「株式等を贈与等した場合の『その 時における価額』(みなし譲渡)」の通達規 やすいのですが、非上場株式等については、 定により、相続税の計算で用いられる財産 取引市場がないため、その株価を算定しな 評価基本通達を用いることもできます。 ければなりません。 ただし、相続税の非上場株式の評価では この場合、非上場株式の取引価額の算定 「企業の清算価値」を志向するのに対して、 によく用いられる「株式等を取得する権利 所得税の評価では「継続企業」を前提とす の価額」や「株式等を贈与等した場合の『そ ること等があるため、次の3点の調整を加 の時における価額』(みなし譲渡)」の通達 えて評価を行うこととなっています。 規定を準用して算定することになります。 ①「中心的な同族株主」である場合は、常 非上場株式の価額の原則的算定方式 に「小会社」で評価すること。 非上場株式の価額は、 「株式等を取得する ②土地と上場株式は相続税評価額ではな 権利の価額」の通達の規定を用いて算出し く、「時価」で評価すること。 た価額が原則的な株価の算定額となります。 ③評価差額に対する法人税額等相当額(現 この通達では次の①~④の順に従って、 行 38%)の控除は行わないこと。 それぞれの金額で算定することになります。 ①売買実例がある場合 …最近の売買実例のうち適正なものの価額 ②公開途上株式である場合 …公開価格等を参酌した通常取引価額 ③売買実例がなく、類似法人の価額がある 評価差額に対する法人税額 相当額が控除できないのは 大きいです! 補足と解説 は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法 所得税基本通達 60 の2-6 人の 1 株又は 1 口当たりの純資産価額等を参酌して通常取 (国外転出の時における有価証券等の価額) 法第 60 条の 2 第 1 項第 1 号の国外転出の時における当 引されると認められる価額 該有価証券等の価額又は同項第 2 号の国外転出の予定日 から起算して 3 月前の日における当該有価証券等の価額 (60 の 2-7 において「国外転出時の価額」という。 )に ついては、原則として、23~35 共-9 及び 59-6(公社債 及び公社債投資信託にあっては、昭和 39 年 4 月 25 日付直 資 56 ほか 1 課共同「財産評価基本通達」の第 8 章第 2 節 《公社債》 )の取扱いに準じて算定した価額による。 令第 84 条第 1 号から第 4 号までに掲げる権利の行使の 日又は同条第 5 号に掲げる権利に基づく払込み又は給付 の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当 該払込み又は給付をした日。以下この項において「権利行 使日等」という。)における同条本文の株式の価額は、次 に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。 次に掲 げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる価額とする。 売買実例のあるもの 最近において売買の行わ れたもののうち適正と認められる価額 公開途上にある株式(金融商品取引所が株式の上場 を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日ま でのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄とし て登録することを明らかにした日から登録の日の前日ま でのその株式)で、当該株式の上場又は登録に際して株式 の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。 ) が行われるもの(イに該当するものを除く。 ) 金融商 品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブ ックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方 式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引 されると認められる価額 売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の 種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価 額があるもの ニ の割当てを受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含 む。以下この項において同じ。)及び新株予約権の割当て 当該価額に比準して推定した価額 イからハまでに該当しないもの ~35 共-9 の(4)ニに定める「1 株又は 1 口当たりの純資 産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」と は、原則として、次によることを条件に、昭和 39 年 4 月 25 日付直資 56・直審(資)17「財産評価基本通達」 (法令 解釈通達)の 178 から 189-7 まで((取引相場のない株式の 評価))の例により算定した価額とする。 (1) 財産評価基本通達 188 の(1)に定める「同族株主」に (略) (4) (1)から(3)までに掲げる場合以外の場合 ハ 基因となる資産が株式(株主又は投資主となる権利、株式 ~35 共-9 に準じて算定した価額による。この場合、23 (株式等を取得する権利の価額) ロ 法第 59 条第 1 項の規定の適用に当たって、譲渡所得の 場合の同項に規定する「その時における価額」とは、23 所得税基本通達 23~35 共-9 イ (株式等を贈与等した場合の「その時における価額」 ) を受ける権利を含む。以下この項において同じ。)である (以下省略) (1) ~(3) 所得税基本通達 59-6 権利行使日等又 該当するかどうかは、株式を譲渡又は贈与した個人の当該 譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。 (2) 当該株式の価額につき財産評価基本通達 179 の例 により算定する場合(同通達 189-3 の(1)において同通達 179 に準じて算定する場合を含む。)において、株式を譲 渡又は贈与した個人が当該株式の発行会社にとって同通 達 188 の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当すると きは、当該発行会社は常に同通達 178 に定める「小会社」 に該当するものとしてその例によること。 (3) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利 を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券 を有しているときは、財産評価基本通達 185 の本文に定め る「1 株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算 した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、 当該譲渡又は贈与の時における価額によること。 (4) 財産評価基本通達 185 の本文に定める「1 株当たり の純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の 計算に当たり、同通達 186-2 により計算した評価差額に対 する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。
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