2015年7月23日 国外転出時課税の「1億円」

くちきデイリーニュース
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2015 年 7 月 23 日(木)
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国外転出時課税の「1億円」判定
非上場株式の価額の算定方法
国外転出時課税の「1億円」判定方法は?
平成 27 年7月からスタートする国外転
出時課税制度は、有価証券等を1億円以上
有する居住者に適用されます。
この有価証券の価額「1億円」という判
定基準は、上場株式など取引市場があるも
のについては、時価(終値)の情報を取り
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場合…類似法人比準推定価額
④①~③に該当しないもの…1株当たりの
純資産価額等を参酌した価額
実際には、非上場株式の取引においては、
売買実例があるものも少なく、類似する法
人を見つけることも困難であることから、
④の1株当たりの純資産価額を参酌した価
額を採用する例が多く見られます。
財産評価基本通達を準用することも可能
また、
「株式等を贈与等した場合の『その
時における価額』(みなし譲渡)」の通達規
やすいのですが、非上場株式等については、
定により、相続税の計算で用いられる財産
取引市場がないため、その株価を算定しな
評価基本通達を用いることもできます。
ければなりません。
ただし、相続税の非上場株式の評価では
この場合、非上場株式の取引価額の算定
「企業の清算価値」を志向するのに対して、
によく用いられる「株式等を取得する権利
所得税の評価では「継続企業」を前提とす
の価額」や「株式等を贈与等した場合の『そ
ること等があるため、次の3点の調整を加
の時における価額』(みなし譲渡)」の通達
えて評価を行うこととなっています。
規定を準用して算定することになります。
①「中心的な同族株主」である場合は、常
非上場株式の価額の原則的算定方式
に「小会社」で評価すること。
非上場株式の価額は、
「株式等を取得する
②土地と上場株式は相続税評価額ではな
権利の価額」の通達の規定を用いて算出し
く、「時価」で評価すること。
た価額が原則的な株価の算定額となります。
③評価差額に対する法人税額等相当額(現
この通達では次の①~④の順に従って、
行 38%)の控除は行わないこと。
それぞれの金額で算定することになります。
①売買実例がある場合
…最近の売買実例のうち適正なものの価額
②公開途上株式である場合
…公開価格等を参酌した通常取引価額
③売買実例がなく、類似法人の価額がある
評価差額に対する法人税額
相当額が控除できないのは
大きいです!
補足と解説
は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法
所得税基本通達 60 の2-6
人の 1 株又は 1 口当たりの純資産価額等を参酌して通常取
(国外転出の時における有価証券等の価額)
法第 60 条の 2 第 1 項第 1 号の国外転出の時における当
引されると認められる価額
該有価証券等の価額又は同項第 2 号の国外転出の予定日
から起算して 3 月前の日における当該有価証券等の価額
(60 の 2-7 において「国外転出時の価額」という。
)に
ついては、原則として、23~35 共-9 及び 59-6(公社債
及び公社債投資信託にあっては、昭和 39 年 4 月 25 日付直
資 56 ほか 1 課共同「財産評価基本通達」の第 8 章第 2 節
《公社債》
)の取扱いに準じて算定した価額による。
令第 84 条第 1 号から第 4 号までに掲げる権利の行使の
日又は同条第 5 号に掲げる権利に基づく払込み又は給付
の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当
該払込み又は給付をした日。以下この項において「権利行
使日等」という。)における同条本文の株式の価額は、次
に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
次に掲
げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる価額とする。
売買実例のあるもの
最近において売買の行わ
れたもののうち適正と認められる価額
公開途上にある株式(金融商品取引所が株式の上場
を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日ま
でのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄とし
て登録することを明らかにした日から登録の日の前日ま
でのその株式)で、当該株式の上場又は登録に際して株式
の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。
)
が行われるもの(イに該当するものを除く。
)
金融商
品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブ
ックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方
式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引
されると認められる価額
売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の
種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価
額があるもの
ニ
の割当てを受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含
む。以下この項において同じ。)及び新株予約権の割当て
当該価額に比準して推定した価額
イからハまでに該当しないもの
~35 共-9 の(4)ニに定める「1 株又は 1 口当たりの純資
産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」と
は、原則として、次によることを条件に、昭和 39 年 4 月
25 日付直資 56・直審(資)17「財産評価基本通達」
(法令
解釈通達)の 178 から 189-7 まで((取引相場のない株式の
評価))の例により算定した価額とする。
(1) 財産評価基本通達 188 の(1)に定める「同族株主」に
(略)
(4) (1)から(3)までに掲げる場合以外の場合
ハ
基因となる資産が株式(株主又は投資主となる権利、株式
~35 共-9 に準じて算定した価額による。この場合、23
(株式等を取得する権利の価額)
ロ
法第 59 条第 1 項の規定の適用に当たって、譲渡所得の
場合の同項に規定する「その時における価額」とは、23
所得税基本通達 23~35 共-9
イ
(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」
)
を受ける権利を含む。以下この項において同じ。)である
(以下省略)
(1) ~(3)
所得税基本通達 59-6
権利行使日等又
該当するかどうかは、株式を譲渡又は贈与した個人の当該
譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。
(2)
当該株式の価額につき財産評価基本通達 179 の例
により算定する場合(同通達 189-3 の(1)において同通達
179 に準じて算定する場合を含む。)において、株式を譲
渡又は贈与した個人が当該株式の発行会社にとって同通
達 188 の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当すると
きは、当該発行会社は常に同通達 178 に定める「小会社」
に該当するものとしてその例によること。
(3) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利
を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券
を有しているときは、財産評価基本通達 185 の本文に定め
る「1 株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算
した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、
当該譲渡又は贈与の時における価額によること。
(4) 財産評価基本通達 185 の本文に定める「1 株当たり
の純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の
計算に当たり、同通達 186-2 により計算した評価差額に対
する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。