平成27年度倉吉市生涯学習講座 「みち」をきわめる 第6回【文化財をきわめる】 資料を守り伝える -修復家から- 講師:修復家 秦 博志 さん 日時:11月21日(土) 13:30~15:00 場所:倉吉交流プラザ 視聴覚ホール 私たちにさまざまな物語を伝える 資料。その資料を今、そして未来に 伝えるため欠くことの出来ない存 在が修復家です。 県内在住の修復家にお話いただき ます。 【講師略歴】 1965 年 旧西伯町(現南部町)生まれ 1990 年 武蔵野美術大学油絵学科 卒業 1994 年 (有)東京修復保存センター入社 2004 年 同 退社 2005 年 南部町に HATA Studio 開設 鳥取県内を中心に博物館、図書館等の文化財・美術品の修復に携わる一方、図書館や 公民館での自分史講座、製本講座など手製本の普及、資料保存活動に取り組む。 東日本大震災では現地で図書救出作業に関わり、2012 年鳥取県内各地で図書館復興 の写真展を開催した。 文化財保存修復学会会員。 【主な修復実績】 河本緑石・宮沢賢治関係資料 鳥取藩政史料[鳥取県立博物館] 山陰日々新聞[米子市立図書館] 伊良子清白 日記[鳥取県立図書館] 引田逸牛風景画 経久寺文書[鳥取県立博物館] 生田春月資料[米子市立図書館] 書画等修復 主なもの:与謝蕪村、小早川秋声、森祖仙、伊藤博文、丸山応挙、頼山陽、蘇我簫白ほか 【活動状況】 2007 年 「和紙資料におけるインク焼け」文化財保存修復学会研究発表 2006~2007 年 NHK 文化センター米子製本講座講師 2015 年 なんぶ製本倶楽部講師、米子製本倶楽部講師 資料を守り伝える -修復家から- キーワード ◇修復家 =“黒子” ◇黒子だけが知る物語 【内容】 修復という仕事は黒子に徹する必要があります。美術品を鑑賞するにあたって最初に 上手になおしてあるな、と気付かれたら失敗だと思います。たとえ気の遠くなるような 作業の後であっても、あくまで主体はモノそのものの魅力です。そして長い年月を経て 今、目の前に出会えることが喜びであって、新品のように生まれ変わっても長い年月の 意味が伝わらなければ失敗かもしれません。またその仕事は 100 年、200 年先にまで影響 します。ちょっとした判断ミスが将来文化財にダメージを引き起こす可能性があります。 常に問いかけながらの毎日です。とても「きわめる」などと胸を張れるようなものでは ありませんが、もしかしたら常に問い続けることこそが大事なのかもしれません。
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