5 研究の成果と課題

5 研究の成果と課題
5 研究の成果と課題
(1)成果
① 各学年の活動
各学年の活動を通して、課題を見い出し改善に向けて主体的に行動していく姿勢が育まれていった。
疑問や思いついたことを、そのままで終わらせず形にしていくことに価値を感じた生徒が多く見られ
た。
また、社会の一員としての自覚が芽生えていった。学校生活だけでは出会えない地域の方々とのふ
れあいの中で大きな影響を受けた生徒も多い。思いを行動に移している方々を目の当たりにして、自
分達にできることはないかという意識が高まっている。今後、社会で活躍して行く際に大きな糧とな
っていくと期待したい。
②
生徒会活動の充実
学校のためにより良い活動にしていこうという意識が以前より強くみられるようになった。生徒か
ら提案して活動に結び付く様子も見られた。また、上級生が下級生をリードして活動を充実させてい
く姿も多く見られるようになっている。教員の指示だけでなく、生徒自ら自主的に活動する姿勢が大
きな成果として挙げられる。大地震の発生により甚大な被害がもたらされたネパールへの募金活動も、
生徒から自発的に提案された。生徒会本部とJRC常任委員会が中心となり募金活動を実施した。
③
草野小学校との連携
小学生と活動を共にして、責任を持って仕事に取り組む姿勢が見られた。上級生として率先して行
動したり、わかりやすい言葉で指示をしたり、工夫する姿が見られた。地域を共にする一員としての
意識の高まりも見られ、より良い学び合いの機会となっていた。
(2)課題
① 各学年の取り組み
各学年ともに、継続的な活動の機会の確保が課題となっている。一つ一つの活動は充実させること
ができたが、活動の機会が不定期になってしまった。単発な活動にならないよう注意していかなけれ
ばならない。より自分たちに身近な活動とするためにも工夫が必要である。
②
生徒会活動の充実
その都度、生徒からの提案などを生かしていくことが大切である。また、継続的な活動とすること
や、目的意識や計画を明確にするよう教師が指導していく必要がある。
③
草野小学校との連携
小学校と中学校の日程が違う中で、定期的な活動をどのように実現していくか工夫が必要である。
毎週の活動が困難であることや、情報発信が一方向になってしまうことがあった。継続可能な取り組
みを目指して、教員間の情報共有の場や機会を設定していくことが求められる。
- 20 -20-
◇常任委員会についてのアンケート
・
1年生から3年生を対象に同じ質問項目で、事前調査(H27.6)と事後調査(H27.7)を行い、
変容の度合を調査した。
・
1
項目ごとに4択で行った。
常任委員会に関する意識調査
①
あなたは常任委員会活動をどのような思いで行っ
ていますか。
ア
H27.6
20
H27.7
70
26
0%
61
20%
40%
ア
②
9 1
イ
ウ
いる
12 1
60%
80%
よりよい学校生活のためにどうすべきかを考え、積極的に活動して
100%
イ
決められたことに対して、意欲的に活動している
ウ
あまりやりたくはないが、役割が与えられているのでやっている
エ
あまりやりたくないので、他人に任せたり、やらなかったりするとき
がある
エ
③
あなたは常任委員会の活動を通して、誰かの
役に立っているという感覚がありますか。
H27.6
20
H27.7
58
25
0%
60
20%
40%
ア
④
21
イ
60%
ウ
80%
1
H27.6
14 1
H27.7
100%
27
46
71
H27.6
H27.7
46
47
61
H27.7
ア
ア
イ
大いにある
60%
ウ
40%
ア
46
40%
20%
⑤
80%
100%
イ
ウ
100%
エ
12 2
51
ウ
80%
49
20%
39
40%
ア
どちらかといえばある
60%
37
0%
8
あなたは「世界で困っている人のため」に自分が
できることをしたいと思いますか。
エ
イ
11 1
59
エ
あなたは「自分の周りで困っている人のため」
に自分ができることをしたいと思いますか。
20%
61
33
0%
H27.6
0%
あなたは「よりよい学校生活のため」に自分が
できることをしたいと思いますか。
あまりない
イ
エ
60%
ウ
9
80%
100%
エ
まったく感じない
≪考察≫
前回の調査から、どの学年も自分の学校生活をよりよいものとするために、常任委員会活動を積極的に、また、
意欲的に行おうとする意識が高まったようである。仕事をやらされている感じから、他の人のことを考えて、
「自
分から進んで行動する」
、
「人のために役に立ちたい」
「どの活動も大事なことで、自分がやることに意味がある」
と考える生徒が増加した結果だと考える。特に上級生になるにつれ、大事な役割を与えられ、その役割を責任を
もって果たしたいと考える生徒が増加したと考える。
-21-21-
2
常任委員会に関する質問
①
②
自分たちの学校をよりよくするために、積極的に
委員会活動を行っている。
H27.6
27
H27.7
63
9 1
H27.6
13
55
12 1
H27.7
15
32
0%
20%
40%
ア
③
イ
60%
ウ
80%
100%
H27.7
40
20
0%
40%
ア
⑤
イ
10
H27.6
5
H27.7
38
60%
ウ
80%
100%
60%
ウ
80%
3
100%
エ
常任委員会活動で「人のために役立っている」「効
果があがっている」ということを考えて行動してい
る。
22
25
0%
28
40%
イ
3
20%
40%
ア
エ
イ
58
18
2
54
19
2
60%
ウ
80%
100%
エ
常任委員会活動を通して身近な人々や世界で困っ
ている人のために、自分ができることを考えて行動
していきたいと思っている。
H27.6
27
H27.7
27
0%
39
37
20%
20%
ア
④
34
54
エ
常任委員会活動について委員会で決められた時
11
50
0%
間以外にも必要であれば、自分たちの判断で活動し
ている。
H27.6
常任委員会活動の中で課題に気づいたら、それ
を改善するために、何をすべきか考えて行動して
いる。
59
13 1
55
20%
40%
ア
イ
16
60%
ウ
80%
2
ア
大いに当てはまる
イ
どちらかといえば当てはまる
ウ
どちらかといえば当てはまらない
エ
まったく当てはまらない。
100%
エ
≪考察≫
・ 昨年度より、青少年赤十字の理念を各常任委員会活動に浸透させ、また、各委員会の活動に連携させ活動を
行ってきたところ、積極的に活動する生徒が増えた。今まで通り活動するのではなく、自ら課題を見つけ、ア
イデアをだし、その活動をより良いものにしていこう、またそれを実行することで、
「他の人に役に立つ」
「効
果が上がる」ということを生徒が感じるようになってきた。生徒たちは、委員会活動を通して、しっかり行う
ことによって自分自身の達成感を感じるようになってきており、さらに活動が楽しくやりがいがある、学校全
体が活性化してきたと感じている。
・ 小中との交流・連携した活動によっても、小学生のお手本となるよう、自ら考えて主体的に行動できるよう
になってきたといえる。
-22-22-
3
学年総合学習に関する質問
(1)3学年テーマ「人を支える活動を通して生き方を考える」との関連
①
あなたは総合学習での職業について、調べ学習を
②
どのような考えで行っていますか。
H27.6
47
H27.7
46
52
60
0%
40
20%
40%
ア
60%
イ
ウ
あなたは総合学習での調べ学習や活動を通して働
くことの大切さについて理解していますか。
H27.6
56
H27.7
80%
100%
44
73
0%
20%
エ
27
40%
ア
60%
イ
ウ
80%
100%
エ
ア
大いに興味がある
イ
どちらかといえば興味がある
ア
大いに理解している
イ
どちらかといえば理解している
ウ
あまり興味がない
エ
まったく興味がない
ウ
あまり理解していない
エ
まったく理解していない
③
あなたは総合学習を通して「社会に役立ちたいと
思うようになってきた」「他の人の役に立ってい
る」と感じますか。
H27.6
34
H27.7
49
16 1
49
0%
46
20%
40%
ア
イ
60%
ウ
ア
大いに感じる
イ
どちらかといえば感じる
ウ
あまり感じない
エ
まったく感じない
4
80%
100%
エ
≪考察≫
どの質問事項もア、イと答えた生徒がほぼ100%となった。特に実際に職業体験活動を行なったことで、
人や社会のために自分が役立っていることに気づくと同時に、自分自身も様々な人に支えられながら生きてい
るということに気づいたのではないだろうか。自分が他の人から必要とされる存在であり、他の人のために自
分ができることを行動していこうという意識の変容が見られたと考える。
(2)2学年テーマ「ふるさとの未来を考えよう」との関連
①
H27.6
②
あなたは総合学習の地域理解について、調べ学習
をどのような考えで行っていますか。
8
H27.7
69
23
0%
61
20%
40%
ア
イ
1
H27.6
14 2
H27.7
16
60%
ウ
80%
あなたは総合学習での調べ学習や活動を通してふる
さとの未来について理解していますか。
8
66
20%
40%
ア
エ
31
15
0%
100%
59
17
60%
イ
2
ウ
80%
2
100%
エ
ア
大いに興味がある
イ
どちらかといえば興味がある
ア
大いに理解している
イ どちらかといえば理解している
ウ
あまり興味がない
エ
まったく興味がない
ウ
あまり理解していない
エ
-23-23-
まったく理解していない
③
あなたは総合学習を通して「社会に役立ちたいと
思うようになってきた」「他の人の役に立ってい
る」と感じますか。
H27.6
11
H27.7
12
52
34
56
0%
20%
26
40%
ア
3
60%
イ
ウ
2
80%
ア
大いに感じる
イ
どちらかといえば感じる
ウ
あまり感じない
エ
まったく感じない
100%
エ
≪考察≫
どの質問項目もア、イと答えた生徒が前回の調査よりも増えた。主に万本桜プロジェクトの植樹活動によって
ふるさとの未来を担う事業にたくさんの人々が協力していること、自分たちの知らないところで地道に作業をし
ている人がいるということを知り、他の人のために自分ができることは何かを考えて行動しようという意識がこ
の学習を通して高まったと考える。
(3)1学年テーマ「草野地区の伝統や特徴を調べ、地域に役立つ活動を考え実践しよう。
」との関連
①
あなたは総合学習の地域理解について、調べ学
習をどのような考えで行っていますか。
H27.6
28
H27.7
44
23
0%
28
58
20%
40%
ア
イ
②
14
60%
ウ
4
80%
あなたは総合学習での調べ学習や活動を通して草
野地区の伝統や特徴について理解していますか。
H27.6
16
H27.7
16
100%
0%
57
27
62
20%
エ
40%
ア
イ
18
60%
ウ
80%
4
100%
エ
ア
大いに興味がある
イ
どちらかといえば興味がある
ア
大いに理解している
イ
どちらかといえば理解している
ウ
あまり興味がない
エ
まったく興味がない
ウ
あまり理解していない
エ
まったく理解していない
③
あなたは総合学習を通して「小川江筋の歴史や
役割について理解できた」「地域に役立つ活動が
できている」と感じますか。
H27.6
21
H27.7
67
17
27
0%
64
20%
40%
ア
イ
81
60%
ウ
80%
100%
ア
大いに感じる。
イ
どちらかといえば感じる。
ウ
あまり感じない
エ
まったく感じない
エ
≪考察≫
どの質問項目もア、イと答えた生徒が前回の調査よりも増えた。ボランティア活動を通して、ゴミが増え小川
江筋が汚れたという問題を地域の人が協力して解決しよとしていること、また地域の行事や文化が理解できた
ことによって、自分も地域の一員として協力したいという意識がこの学習を通して高まってきたといえる。
-24-24-