h26第7回 きょういく <日 <会 時> 場> げんき塾 だより 平成26(2014)年12月16日 於:西庁舎 3階 大会議室 <参加者(敬称略)> 石川百合子(石部小)、佐々木直子(菩提寺小) 、三浦久輝(菩提寺小)、 西森汐里(菩提寺小)、溝口佳成(菩提寺小)、中村祐子(甲西中) 、植西亮太(甲西北中) 谷口茂雄(教育長) 、法山由紀子(学校教育課) 、谷畑英吾(市長) 、皆越美紀子(石部中) <差し入れありがとう> 谷口茂雄さん、谷畑英吾さん 佐々木直子さん、石川百合子さん、皆越美紀子さん 今回は村地が参加できませんでした。第7回の模様をどのように伝えようと悩んでいたと ころ、「市長のフェイスブックにげんき塾がアップされているで。」との情報が! 今回は市長のフェイスブックのレポを引用させていただきました。 谷畑英吾市長のフェイスブックより・・・ 「きょういくげんき塾」は希望する若手教員とベテラン教員とが円卓を囲みさまざまな 教育上の悩みや課題について意見を交わし高めていくというものです。 この取り組みを通じてベテランから若手に情熱や技術が移転されることを期待していま す。 <話 題> 1)アイスブレイキング(三浦さん) 縦につながって後ろ手の掌に指で文字を書いて質問を伝え、最後の人が答えを述べるとい うゲームをしました。これが意外と伝わりません。何しろ裏返しの逆さまで伝達されるので、 要領を得るのに時間がかかります。質問は「ぼうねんかいはいつですか?」でしたが、最後 に伝わった人は「赤」と答えました。「ぼ」が「に」に変換され、「にじむ」と伝わったも のでした。伝えることの難しさを理解しようというアイスブレイキングとなりました。 2)12月のテーマ〈レッツ教材研究~道徳編~〉(進行:溝口さん) 小学校5、6年生の「ブランコ乗りとピエロ」 (私たちの道徳 小学校5・6年)が題材。 教材には、サーカスのリーダー・ピエロと新入りの空中ブランコのスター・サムの2人が 登場します。王様が見学する1時間のなかに3つの催しを予定したにもかかわらず、馬の曲 芸に続いて出演したサムが空中ブランコで残りのほとんどの時間を消費してしまいます。演 技を終わりぐったりしたサムとすれ違って舞台に上がったピエロはいつも以上の演技を見せ ます。王様の前で演技のできなかったピエロに同情するサーカス団員とサムが険悪になるも のの、サムの真剣な演技をピエロがたたえ、サムの心も打ち解ける。1ヶ月後のサーカス興 業の最終日には二人が素晴らしい共演をするというものでした。 めあては「けんきょに、広い心をもって」とありました。 まずは司会役の発語により、この教材を使って深めたいところを話し合いました。 「サーカス団は子どもたちにピンと来ないので、まずそこから考えてステージを揃えたい。 途中で分けて考えたい」 「サムの心情を追うのか、ピエロの心情を追うのか、どちらもは無理。サムが改心するのか と思うとピエロの話になったので、どちらかに焦点を当てた方がよいかと迷った」 「どんな価値を狙った教材か?メインはどこか?ピエロのサムを憎む心が消えたところで は?」 「まず、主発問をどこにおくか。どこで心が打ち解けあったか、どの発言がきっかけかを聞 きたい」 「サムが悪くピエロが良いと思うが、実はピエロにも目立ちたい心があった。サムが劇団員 に『なぜ、だまっているんだ!言いたいことは分かっている』と言ったところで、ルール を守ることとサーカスを大成功させることのどちらが大事かを、子どもたちに考えさせた い」 「狙いはどこか。『けんきょに、広い心をもって』とあるが、5、6年の広い心は発達段階 でどのくらいかを理解しておかないと、狙いをきちっとしておかないと答えは出てこない かな」 「サムとピエロのどちらに視点を当てるのか。いつお互いに視野が広がったかを気づかせた い」 「価値項目は『けんきょ』だ。指導要領によれば、『広い心』は自分をけんきょに見て相手 を許す心とあるが、子どもたちには、自分が間違ったときには言い訳をするのに、他人の 失敗は責めることがある。『広い心』は許す心だ。そういう意味で『けんきょ』にしてい るのはピエロ。ピエロがサムを認めた。それにサムが気づいて心が通じあった。『けんき ょ』な姿勢でいるのが大事。サムとピエロの両方を追うのは大変」 司会役がまとめます。サムとピエロのどちらを追うかという意見が多い。そこでどちらを 追うかを決めてから主発問をどうするかを考えたい。まずはどちらで授業を組み立てるかを 聞いてみたい。サムが3人、ピエロは6人。それではピエロから追っていく。ピエロから見 て、中心発問をひとつ選んで、どのように子どもたちに伝えるか?自信のない人から発言を (クラスでもこれを使うとよく手が挙がる) 。 「ピエロの心の中からなぜ憎む気持ちが消えたのか?」 「なるほど、『けんきょ』に焦点を当てたので、なぜ憎む気持ちが消えたのかを中心発問に することで、サムのサーカスに対する思いがわかる。相手の過ちを許してピエロが他人か ら学ぶ瞬間がここだ。ピエロは目立ちたいが王様の前で演技できなかったにもかかわらず、 それをさらけ出して『サムは頑張っている』と話す。学ばなければとサムが気づいた瞬間 だから」 「中学校はそこか!私は中心発問をいつも主人公が価値に気づいたときにしている。そこで、 ぐったりしたサムとピエロのすれ違い、一瞬立ち止まったピエロの気持ちを子どもたちに 考えさせたい。それでピエロは後になって良い演技ができているので、ここを考えさせた い」 「小学校は価値が高まったところを中心発問に置く。中学校は葛藤の場面が中心発問となる。 ピエロは一瞬立ち止まっていうことも飲み込んで行っているので、サムからなにかを得て、 よい演技をした。怒りでよい演技をしたこともあるかもしれないが、後で聞いたらサムは 彼なりにチームのために頑張っているのかなともなるので、悩んでいる」 「いつも中心発問をどこに置けばよいか迷っている。中心発問の定義や、道徳ではい つも 持っておかないといけないものは何なのか?」 「気づきがあればいつかは実践できる。行動ができなくても気づきがあればいつかは実践で きる。こんなところで主人公が気づいたんだということを教えたい。葛藤の場面もあるが、 気づきも大事だ」 「国語であえば起承転結があり、場面の高まりがあるが、道徳では違う。狙いに迫る。気づ きもあるし、そのための葛藤もある。狙いに迫るのであれば、そんなに大きく変わらない」 「道徳で使う資料は葛藤のある資料ばかりでないので、価値に向かって心が動いた、その気 づきを教えたい」 「価値の低い思いも高い思いもあるが、それに気づくために多様な価値が出る葛藤の場面が 中心だと思う」 「小学校5、6年生にはいろんな子どもがいて、どの子どもにも考えられる発問がよい。ピ エロのどんな言葉がサムを変えたか、とすると答えやすい。先生が何を聞いているかわか らない子どもが2割いては良い授業とは言えない」 司会役が、なるほど、どの言葉をとらえるかでなく、物語全体でどの言葉がという捉え方 をするのか、と納得します。そこで別の質問が飛びました。 「道徳資料を判読したあと、資料を下げる場合があるが、そのまま置いておく場合もある。 どちらがよいのだろうか」 「道徳の資料は何回も読まない。教師が一度読むだけ。国語なら何度も読むが、道徳では一 読で子どもに判らせないといけない。ピエロならピエロに、サムならサムに子どもたちが 入り込めるように工夫が必要だ。動作や場面を子どもに聞きながら考えさせた方がよい。 判読だけでは入り込めない子どもができる。資料から引く必要はない」 司会役が、アプローチから資料の扱いは変わるのかなと疑問を持ちます。 「どの言葉が大事かと聞くと、カギカッコに注目する。読解力の弱い子どもはカギカッコに 注目する。視覚支援として資料は与える。読み聞かせは低学年だ」 「中学校の指導要領も読んできた。『個性を正しく理解し、自らの意思に背いて他に同調す ることなく』、というのはサラッと書いてあるがものすごく重要。ピエロがそんな風に思 っていたのかというところが主発問。ピエロが『おだやかな目』と変わったのは何故かを 読もうとすると国語的になるが、なぜピエロの気持ちが変わったかが主発問だと思う。ク ラスが崩れたところでもクラスを持ったこともあり、あまりにも多様な意見を出すとグワ ーっとなるのでこれまで避けてきたかなと思う」 「(聞いていると)凄すぎて、まだまだ読めてないと思う。最初は部屋の片隅でピエロが立 って静かに話し始めたとあり、それまでサムが荒れるのをしんと聞いていて、ピエロはど んなことを考えていたのか。それと、おだやかな目でとあるので、それまで何でピエロは そんな目でサムを見ていたのかとかを考えていた。すれ違ったというところまで考えが及 ばなかった」 司会役は、ピエロが静かに話し始めたときはサーカス内で最悪で、リーダーとしてどうま とめるか、そうすると価値と離れるので悩んでしまうと話すと、手助けが入りました。 「そこで価値と離れるのでわからなくなる。そこはサラッと。この資料を使い、授業者がど ういう価値を子どもに伝えたいのかが大事だ」 3)教育長よりまとめ 「今日のげんき塾で考えたことは、一つ目、道徳の教材研究としては中学校の先生には参考 になったはずだ。道徳の教科化は確実。学級担任が道徳をしなければならなくなるので、 教科の専門外なので、今日聞いておけばよかったと思う。 二つ目は、石部中学校等で道徳教育の研究をしているが、研究タイトルのキーワードは『抜 本的改善』。今までの道徳では一つの資料を一時間でやるのが普通だった。それが一つの 価値に複数の資料でアクセスするとか、一つの資料を複数の時間で扱うというのも抜本的 改善にある。 中心発問については、これを国語的に読むとどう読めるかを考えていた。物語の基本的読 みは、①何が変わったか、②どこで変わったか、③どう変わったか。そこを読み込んでい く。場面切りしない。バラバラに読まない。ピエロもサムも最初は自分がスターだと思っ ている。それが最後には自分だけがスターであるという気持ちを捨てたとある。何で捨て たのかというのが一つ。もう一つは控え室の団員に笑顔がなかったというものから最後に は笑顔に変わった。国語的にはここをとる。なぜ変わったか。世が更けるまで二人がしゃ べった。何をしゃべったかわからないが、国語的には行間を読む。何を話したのか。ここ が道徳的。「けんきょ」に迫れるのではないか。そして1ヶ月がたつ。醸成期間がある。 1資料で1価値を伝えるのは基本だが、複数資料でやってもよい。しかし、その前に基礎 をしっかりしておく。「抜本的改善」をキーワードにすると従来の展開を変えることもで きる。道徳は面白くなってきた。 三つ目は、石部小学校で4年間道徳研究をしてきた。その研究紀要の「あとがき」を配る。 板書をきれいに書き、挿絵を貼ったり、役割演技を工夫しても道徳ではない道徳擬(も ど)きに陥らない条件はなにか。価値を高めるためには教師の切り返しが大事だという こと。それと、道徳教育を○○教育としても使える。道徳はこうだということから離れて 楽になる。その前に大事な基本を押さえておいてほしい。 〈石部中学校教頭 皆越先生より〉 「県の道徳部会に入っているので、どうしても県の基本型が中心になる。一時間で何を子ど もたちに伝えるのか、それがぶれるとダメ。この未熟なところを気づかせたいということ を常に持って指導すれば、たとえ中心発問が外れていたとしても子どもには届く。狙いに 迫るのが中心発問だと言っても、それを判断するのはその子どもたちを見ている担任だ」 次回テーマは・・・ 「瞳の輝く授業、あるある」 <参加者の感想(順不同・敬称略)> ○小中の先生方で一緒に道徳の指導(授業)について考えたのは初めてでした。小学校での 価値が中学校での価値にどうつながるのか、考えて見ました。子どもの成長を様々な立場 から考えることは重要ですね。 (菩提寺小学校 佐々木 直子) ○今年度、初司会を務めました。昨年も司会をしたことがあるのですが、今回のテーマ「道 徳の教材研究」は進めていてずっと悩んでいました。今まで司会をしていなかった時の自 分はなんと気楽に過ごしていたのだろう・・・と思いました。道徳の進め方については、 色々あるなあと、一つの方法だけで進めることが多かった自分にとっては、新鮮な情報ば かりです。ぜひまた、教材研究の会が開けたらいいなあと思いました。 (菩提寺小学校 溝口 佳成) ○一つの資料でもねらう価値や教師によって主発問や考えさせたいところが異なることが改 めてわかり、大変勉強になりました。子どもたちの実態に応じて、教師がねらう価値に向か って十分資料吟味をすることが大切だと感じました。 (菩提寺小学校 西森 汐里) ○道徳の授業をしなくなって長くなりますが、みんなで道徳教材の解釈をしたり、中心発問 を考えたりするのは楽しいなあと感じました。「この中心発問で子どもたちはどんな意見 を発表するだろう。」「どう切り返すと子どもたちの気持ちは価値へ高まるのだろうか。」 色々考えられて楽しかったです。 (菩提寺小学校 三浦 久輝) ○道徳の抜本的改善についての谷口先生のお話が大変参考になりました。基礎基本を押さえ た上で、改善することがよりよい授業づくりであり、子どもが主体的に道徳的実践力を身 につけることができることが最も大切であると思います。謙虚に広い心を持つことが自分 も団員たちも笑顔にすることができたピエロの姿にどの子も学べる授業にしたいと思いま す。(今回の教材であれば)主発問はどの子も考え、意見を出せる、分かりやすく、価値 に迫ることができる発問がよいと思います。 (石部小学校 石川 百合子) ○今日のアイスブレイキングは相手に伝えること。伝わることの難しさに気づけ楽しかった です。道徳教材の中心発問をどこに設定するかでみなさんのたくさんの意見を聞かせてい ただき大変勉強になりました。一つの教材から様々な視点でねらいに迫っていけるので、 目の前の生徒の様子に合わせて獲得させたいものに設定していく必要があると思いまし た。 (甲西中学校 中村 祐子) ○先生方で様々な切り口があり、大変勉強になりました。「主発問をどこにするか」では、 自分の思いもよらないところにポイントをおかれていた先生があり、まだまだ読みが甘い なと気づきました。今後も意見を交わしながら生徒がねらいに迫れる授業ができるよう頑 張りたい。 (甲西北中 植西 亮太) ○今日はありがとうございました。皆さんが生き生きと交流されていることが分かり、他の 先生方にも参加してもらいたいと思いました。中学校の先生方にもっと多く参加してほし いと思いました。自由に自分たちの思いが言えるという場はとても大切だと思います。若 い先生の宝となることでしょう。 (石部中 皆越 美紀子) ○西森先生が用意してこられた一つの資料でメンバーが熱く熱く語り合い、あっという間に 時間が過ぎました。「道徳がちょっと苦手・・・。」という先生方もきっと道徳の授業が やってみたくなる会となりました。 (学校教育課 法山 由紀子) 1月 きょういくげんき塾 1月15日(木)19:20~ 2月 きょういくげんき塾 2月17日(火)19:20~ 2014年もあと少し・・・ 皆さんよい新年をお迎えください。
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