由布市幼児教育振興プログラム(案)

パブリック・コメント(市民意見募集)原案
由布市幼児教育振興プログラム(案)
平成27年1月
由布市教育委員会
由布市立幼稚園のあり方検討会議
目
次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 由布市の公立幼稚園の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)幼児教育の目的と望ましい教育環境 ・・・・・・・・・・・・・・3
(2)幼児期の教育及び保育の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)多様化する保護者のニーズと教育体制の充実 ・・・・・・・・・・4
2 公立幼稚園のこれからの方向性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)幼児教育の質の向上について ・・・・・・・・・・・・・・・・・5
ア 幼児教育の充実
イ 遊びを通しての総合的な指導
ウ 体験活動の充実
エ 教員の資質向上に向けた取り組み
オ 特別支援教育の充実
(2)子育てをしやすい環境の整備について ・・・・・・・・・・・・・6
ア 預かり保育の拡充
イ 一定の集団規模の確保
ウ 3年保育の導入
エ 教育相談活動の充実
(3)地域と連携した園経営について
ア 地域に密着した園経営
イ 幼稚園評価
ウ 小学校との連携
エ 保育所との連携
・・・・・・・・・・・・・・・・8
3 公立幼稚園の適正規模について ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(1)尐子化が進む中での適正規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(2)1学級の適正人数と学級編成基準 ・・・・・・・・・・・・・・ 11
ア 適正な学級数
イ 1学級の適正人数及び定数
ウ 混合学級編成基準
おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
はじめに
平成24年8月に「子ども・子育て支援法」及び関連法案が成立し、この法
律等に基づく「子ども・子育て支援新制度」が平成27年度から本格実施され
ることや社会情勢の急激な変化等により、由布市の幼児期の教育と保育が大き
な転換期を迎えています。
幼児期教育は、時代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生き
る力を身に付けられるよう、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を
担っています。また幼児教育は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うもの
として、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、そ
の心身の発達を助長することを目的としており、その本質がぶれることがあっ
てはなりません。
由布市教育委員会では、由布市の将来を担う子どもを育てるため、
「知性に富
み、心豊かで、たくましいひとづくり」の理念のもと「知・徳・体」の調和の
とれた人間づくりを目指しています。特に、今後の教育につながる「生きる力」
を培うために、幼稚園に託された役割は大変重要であります。本市では、市町
村合併以前から、質の高い幼稚園教育の構築がなされ、幼児期から公教育を受
けられるということを保障してきました。
しかし時代の変化とともに、本市においても尐子高齢化、核家族化、人口の
地域間格差などの現状があり、地域や家庭の教育力の低下、子ども同士での遊
びや体験を通して学ぶ機会の減尐、保護者の子育てへの悩みや不安の増加等の
実態があります。
このような実態の中で、幼児期にふさわしい教育環境の確保や安心して子育
てができる環境の整備が喫緊の課題となっています。特に、公立幼稚園におい
ては、園児数の減尐にともない、理想的な集団確保が困難な幼稚園など、子ど
もの十分な自己発揮が難しくなることが予想される園があり、主体性や社会性
を身につける教育環境の提供等について見直しを進める必要性に迫られていま
す。
そこで、由布市教育委員会は、由布市の子どもたちが笑顔で健やかに成長し
ていくために、また保護者や地域社会が育てる喜びを感じ、安心して子育てが
できることを願い、適正規模も含めた公立幼稚園のあり方について基本方針を
策定しました。今後、この方針に基づき具体的な取組を実施してまいりたいと
考えています。
由布市教育委員会
- 1 -
1
由布市の公立幼稚園の現状と課題
由布市の公立幼稚園は質の高い幼児教育を確立し、共通のカリキュラム
の下で、各地域の独自性を活かした教育を展開し、公教育の役割を果たし
てきました。また、平成22年度からは全ての幼稚園で2年保育を実施し、
環境整備を含め幼児教育の充実を図ってきました。平成26年度時点では、
挾間町で石城・由布川・挾間・谷の4園、庄内町で阿南・西庄内の2園、
湯布院町で由布院・塚原の2園があり、現在は市内で合計8園が開園して
います。各園における総園児数は、10人以下の園が3園、20人以下の
園が2園となっており、小規模の園では子どもの人間関係が固定化したり、
遊びや体験を通じての学びが限られたりしています。そのために、集団生
活を通して身につけなければならない社会性を育てることが難しくなって
いる現状があります。
由布市においても地域や家庭の教育力の低下、子ども同士での遊びや体
験を通して学ぶ機会の減尐、保護者の子育てへの悩みや不安の増加等の実
態があり、質の高い幼児教育や子育てをしやすい教育環境の整備が今以上
に求められています。
したがって、公立幼稚園については、心と体のバランスのとれた成長を
育むため、遊びを通して総合的な指導をするとともに、体験活動を充実さ
せていくことに努めなければなりません。また、それを支える教員の資質
向上にも組織的に積極的な取組を行う必要があります。
表1
(人数)
由布市幼稚園園児数推移(平成4年度から平成30年度)
※平成27年度以降は推移予想
350
300
由布市全体
250
200
挾間町園児数
挾間町
150
100
湯布院町
50
庄内町
0
4 6 8 1
年 年 年 0
度 度 度 年
度
1
2
年
度
1
4
年
度
1
6
年
度
1
8
年
度
2
0
年
度
2
2
年
度
2
4
年
度
- 2 -
2
6
年
度
2
8
年
度
3
0 (年度)
年
度
庄内町園児数
湯布院町園児数
由布市園児数
(1)幼児教育の目的と望ましい教育環境
幼稚園は学校教育法に学校として位置づけられています。学校教育法
第22条で「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものと
して、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、
その心身の発達を助長することを目的とする」と規定され、第23条で
は、第22条の目的を達成するために「集団生活を通じて、喜んでこれ
に参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、
自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと」と規定してい
ます。
また、幼稚園教育要領の幼稚園教育の基本として、幼児期における教
育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであるとされていま
す。そのため幼稚園では、同年代の幼児との集団生活の中で、幼児の生
活や遊びといった直接的・具体的な体験を通して、人と関わる力や思考
力、感性や表現する力などを育み、人間として、社会と関わる人として
生きていくための基礎を培うことが大切であるとされています。
以上のようなことから、幼児にとって望ましい環境とは、一定の集団
の中で子ども同士の関わりを通じて、自我の発達の基礎が築かれていく
ことが重要であると考えます。
由布市においても、尐子化の影響や社会状況の変化等により、人口に
占める公立幼稚園の就園率は減尐してきています。例えば湯布院町では、
平成9年度に約60%あったものが、平成26年度では約33%(平成
26年度の由布市平均は約41%)まで減尐しています。
今後、多くの園において、園児数が減尐していく可能性があるため、
幼児教育の目的達成のために、統廃合も視野に入れながら一定の集団確
保の方策を様々な方向から検討していく必要があります。
(2)幼児期の教育及び保育の現状
近年の尐子化や社会状況の変化により、由布市における幼児教育に求
められる内容も変化してきました。保護者が働きやすい子育て環境が求
められるようになり、幼稚園での保育ニーズや、保育所での教育ニーズ
が求められるようになっています。保護者の幼児教育ニーズは幼稚園・
保育所共に共通化してきており、これまでの教育施設・保育施設の区分
けではなく、由布市の幼児教育全体の充実が求められています。
さらに、市内保育所では、幼稚園と保育所の機能や特徴をあわせ持つ
- 3 -
「認定こども園」の設置が議論されています。
「認定こども園」への移行
には様々な課題もあることから、由布市の子どもたちにとって最も望ま
しい教育環境の提供について公立幼稚園と保育所が共に取り組む必要が
あります。
このような状況から、公立幼稚園の役割を再認識し、由布市の幼児教
育全体の充実を考えた取り組みを進めていく必要があると考えます。
(3)多様化する保護者のニーズと教育体制の充実
近年の社会情勢の変化により、幼稚園に求める保護者のニーズも多様化
してきました。
特に、保護者の就労率が増加傾向にあり、働きやすい子育て環境の整備
が求められています。公立幼稚園では、保護者のニーズに応じて、18時
までの預かり保育を由布川幼稚園、挾間幼稚園、阿南幼稚園(西庄内幼稚
園と共同実施)、由布院幼稚園で実施しています。保育ニーズの高まりによ
って利用者数は増加傾向にあり、平成25年度の年間延べ利用人数は1万
2千463人でした。今後、国の進める経済成長戦略や税制改革等で女性
の社会進出が進み、女性の就労率が更に増加することが想定される中で、
保護者が安心して幼稚園に預けることができる環境整備が求められていま
す。その中でも特に、3年保育の実施については、多くの保護者が希望し
ています。
また、最近では支援が必要な子どもが増加傾向にあり、5歳児健診や関
係機関との連携を図り、子どもに合った個別支援計画等の作成を行い、適
切な指導を行うなど特別支援教育の充実も求められています。
さらに、就労時間の増加により親子で過ごす時間が減ってきていること
や地域における人間関係の希薄化などから、保護者の子育ての悩みが増大
しています。子育ての悩みが多岐にわたってきており、専門性も必要にな
ってきていることから、組織的に対応できる教育相談活動の充実への期待
が高まっています。
以上のような様々なニーズへ対応するために、教員の配置を含め総合的
に教育体制整備を見直す必要があります。
- 4 -
2
公立幼稚園のこれからの方向性
公立幼稚園では、平成27年度から始まる新制度の開始に併せて、今
持ち合わせている機能の拡充及び、子どもや保護者にとって望ましい教
育環境を再構築することを目指し、次の目標に沿って具体的な振興策を
展開していきます。
①
②
幼児教育の質の向上
子育てをしやすい環境の整備
③
地域と連携した園経営
(1)幼児教育の質の向上について
ア
幼児教育の充実
幼児期は、心身の発達が著しく、人間形成の上で極めて重要な時期で
あることが広く認識され、幼児教育に対する社会の期待も高まっていま
す。人間性豊かな人づくりとしての幼児教育の果たす役割は、ますます
重要になっています。 由布市においても、幼児の発達段階に合わせた教
育や児童虐待などに見られる新たな課題に対応した家庭教育のあり方、
幼稚園と保育所の役割分担を踏まえた教育方法の確立など、家庭・地域・
小学校との連携を深め、よりよい幼児教育を充実させていく必要があり
ます。
イ
遊びを通しての総合的な指導
幼児は、遊びを通して周囲の環境や人と関わります。そこで、見たり、
聞いたり、触ったり、感じたり、直感的な体験によって出会う全てのひ
と・もの・ことに心を動かされ、好奇心や探究心を広げていきます。遊
びを学びと捉え、総合的な指導を重ねていくことは、就学前教育の基本
となります。遊びを通して幼児の総合的な発達が実現するように、常に
幼児の遊びの展開に留意し、適切に指導していくことを目指します。
- 5 -
ウ
体験活動の充実
幼児は、生活の中で自分の興味や欲求に基づいた直接的・具体的な体
験を通して、人間形成の基礎となる豊かな心情や、物事に自分から関わ
ろうとする意欲、健全な生活を営むために必要な態度が培われます。幼
児一人一人が主体的に様々な活動に取り組む体験を積み重ねることで、
喜びや悲しみを共感し、生命の尊さに気付く等多くのことを学び、様々
な力を獲得していくことを目指します。
エ
教員の資質向上に向けた取り組み
幼児教育の質の向上には、教員の資質向上が欠かせません。幼児教育
を取り巻く環境の変化等により、今まで以上に教員に求められるものが
多様化してきています。専門性や人間性、社会性などの従来必要とされ
ているものの更なる向上に加え、社会の変化に応じた先見性、自身の体
験や感性を伝える力やたくましさ、協調性など「知・徳・体」の調和の
とれた子どもを育てていく指導力が求められています。そのために、教
員の資質向上を目指した実践研修や公開保育等を実施し、市内全ての幼
稚園において、充実した教育を子どもに提供できる体制づくりを進めて
いきます。
オ
特別支援教育の充実
近年、増加傾向にある支援が必要な子どもが安心して幼児教育を受け
ることができるように園内の支援体制を構築し、特別支援教育の充実を
目指します。平成26年度から始まった5歳児健診や各関係機関との連
携を強化し、スクールソーシャルワーカー等による教育相談、個別の支
援計画・指導計画の作成や、特別支援教員の適正な配置を行い、子ども
の特性に応じた教育を提供できる仕組みを構築します。
(2)子育てをしやすい環境の整備について
ア
預かり保育の拡充
由布市が平成25年度に行った「子ども・子育て支援事業計画のため
の実態調査」では、保護者の就労状況は、父親の98.2%(産休・育
休・介護休業中を含む)がフルタイムで就労しており、母親の71.3%
(産休・育休・介護休業中を含む)がフルタイム又はパート・アルバイ
ト等で就労している状況です。また、保護者の帰宅時間は18時以降に
帰宅する父親が90.5%、母親が53.1%であることから預かり保
- 6 -
育の時間延長等のニーズがある状況です。さらに、週当たりの就労日数
では、週6日就労している保護者は、父親が42.4%、母親が17.
7%であり、土曜日の預かり保育についても検討の必要性を感じる結果
となりました。
このような状況からフルタイム等で就労している保護者も、就労しな
がら幼稚園に通わせることができるように、保護者の負担軽減を含めた
預かり保育に係る支援策を検討する必要があります。
イ
一定の集団規模の確保
「幼児期の生活にふさわしい環境」の観点から豊かな教育保障を考え
ると、適正な集団規模が求められています。尐人数による教育では、幼
児一人ひとりに指導者の目が行き届き、きめ細かな指導が期待できます。
しかし、その一方で、集団生活の中で社会性や生きる力の基礎を培うた
めには、一定の集団規模の確保が必要であり、それにより十分な教育効
果が期待できるものであるため、一定の集団確保の方策について様々な
方向から検討しなければなりません。
ウ
3年保育について
「子ども・子育て支援事業計画のための実態調査」や「由布市子ども・
子育て支援事業計画」における教育・保育の量の見込において、多くの
保護者が3年保育を望んでいる状況です。
3年保育のメリットは子どもの発達的側面と教育的側面に加えて、保
護者の育児の悩み等への支援としても効果的です。また、小規模園に勤
務する教員の多くが、集団確保の点からも有効であると感じており、今
後、尐子化や子育ての不安が大きくなる中で、教育的メリットや保護者
への子育て支援の観点から、その必要性がますます高まっています。し
かし、3年保育実施については、カリキュラムの作成や職員の配置、教
室の確保、シャワー室・トイレ等の衛生施設面の整備も必要であり、課
題も多くあるため、現在は実施していない状況です。
これまで由布市では、公立幼稚園と私立保育所が、互いの教育方針を
尊重しながら共存共栄という考え方で、市全体の幼児教育の発展向上に
努めてきました。その経緯を踏まえ、保育所の「認定こども園」への移
行の状況を勘案し、より一層の連携のもと、公立幼稚園の3年保育の可
能性について検討をしていく必要があります。
- 7 -
エ
教育相談活動の充実
保護者の子育ての悩みは多岐にわたってきています。それは、子ども
を取り巻く社会環境の変化もありますし、核家族化、過疎化に伴う家庭
や地域の教育力の低下も関係していると思われます。
加えて、地域における人間関係の希薄化などから、悩みを抱えた保護
者は孤立しがちになります。このような現状を踏まえ、教育相談活動を
充実させていきます。具体的には、各種機関との連携により、教育相談
を受ける機会を増やすことと、専門的な相談を受けられるようにしてい
きます。
(3)
地域と連携した園経営について
ア
地域に密着した園経営
由布市の公立幼稚園は、地域に根ざした教育を実施してきました。し
かし近年では、地域住民と地域の子どもたちの関係性の希薄化や、核家
族化が進んでいます。そのような中で「地域に密着した園経営」を目指
すため、地域人材・施設の活用や近隣住民や福祉施設等との交流を行い、
地域の教育力を活用して、子どもを育てる仕組みづくりを創設するとと
もに、中学校区を中心とした保幼小中の連携を充実させ、地域に開かれ
た特色ある幼稚園づくりを進めます。さらには、家庭や地域に対して広
く広報する機会や方法を創出し、積極的に情報発信を行います。
イ
幼稚園評価
幼稚園は、その園の教育方針を保護者や地域住民にわかりやすく発信
していくことが大切です。その上で、取り組まれた成果を子どもの様子
を中心に振り返っていくことによって、地域や保護者と成果や課題を共
有していきます。この幼稚園評価の取組が、家庭や地域社会と連携協力
し、一体となって幼児の健やかな成長を支えていくことにつながってい
きます。
幼稚園評価を充実させるには、取組を重点化するとともに、地域や保
護者の声を柔軟に受け止めることが必要であり、一方、地域や保護者は
主体的に子育てに関わっていくことが必要になります。
- 8 -
ウ
小学校との連携
就学前教育は、卒園を最終目標にするのではなく、それから先を見越
した保育を展開することが重要です。幼稚園から小学校への接続につい
ては、幼児期の遊びを中心とした生活から児童期の学習への流れが一貫
したものとなるよう、互いに共通理解を深め合い、小学校への移行を円
滑にする必要があります。そのため、幼稚園においては、小学校入学を
見越したアプローチカリキュラムを活用し、小学校へ滑らかに接続して
いくことを目指していきます。
エ
保育所との連携
幼稚園と保育所は、双方それぞれに目的や役割をもっています。各々
の特徴や機能を生かして質の高い教育・保育を提供し、小学校就学前の
子どもの育ちを、幼稚園と保育所で区別することなく保障していくこと
が重要です。また、保護者や地域の多様なニーズに応じることが出来る
よう、幼稚園、保育所の双方の機能を有することが求められています。
その中で幼稚園と保育所が連携を深めるために、交流会等を年間指導計
画に位置付け、保育観や指導観の共通理解を図り、互いの実践に還元す
る取組を推進していきます。
- 9 -
3
公立幼稚園の適正規模について
(1)尐子化が進む中での適正規模
幼児期は、集団の関わりから自立心や人と関わる力を培い、多くの友
達と接することによって、影響を与え合い、切磋琢磨して伸びる時期で
す。しかし、尐子化や社会状況が変化している今日では、園児の減尐及
び規模格差が拡大し、集団の維持が困難な状況が生じています。
平成20年2月に由布市教育問題検討委員会の答申により、幼稚園規
模適正化についての内容が示されています。この答申の中で幼稚園の適
正規模について「幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活
が展開されるようにする必要がある。したがって、他の幼児と充分な関
わりをもつためにも、ある程度の集団つまり園児数が必要である」とさ
れています。また、適正化へ向けての考え方として「1園10人を切る
幼稚園については、適正化に取り組む必要があります。」とされています。
平成26年度現在では、公立幼稚園8園のうち、総園児数が10人以下
の園が3園、20人以下の園が2園あります。こうした小規模園では、
集団教育の機会を得るために、近隣園等や小学校と交流したり、異年齢
で過ごす時間を多くつくる保育形態の工夫をしたりして、様々な人と出
会う場を積極的に設けるように努めていますが、十分とはいえません。
今後も、幼児人口の減尐が見込まれることから、適正な園児数の確保
が困難な場合には、統廃合や休園も視野に入れることも必要です。
また、幼稚園における園児数の適正規模については、子どもの年齢や
発達の状況、遊びの種類、保育形態、教師の指導方法、経験年数など多
くの要素がからみあう中で様々な考え方がありますが、由布市立幼稚園
の適正人数については次のように考えました。
- 10 -
(2)1学級の適正人数と学級編成基準
ア
適正な学級数
適正な学級数については、各学年が複数学級であることで子どもたち
が学級ごとの良さを認め合い、競い合ったりすることにより人と関わる
力を高めることができることや、序列の固定化を防ぐクラス替えの効果
があること、また保護者自身の人間関係も広がりストレスや固定的な関
係に縛られることが尐なくなることなどから、同年齢に複数学級が望ま
しいと考えます。
イ
1学級の適正人数及び定数
区
分
適正園児数
定
数
4 歳児
20 名から 25 名
25 人
5 歳児
20 名から 25 名
25 人
幼稚園における1学級あたりの定数については、国の定める「幼稚園
設置基準」において、「一学級の幼児数は、35人以下を原則とする」と
規定されているものの、その数について絶対的な基準はありません。由
布市では1学級あたりの適正人数を基に、幼児期の発達段階や集団性や
個々に応じた指導、また幼稚園経営を勘案し、4歳児の1学級あたりの
定数の上限を25人、5歳児の1学級あたりの定数の上限を25人とし
ました。また下限については小規模園運営の観点から特に設けないとし
ますが、10人を下回ることのないよう園児を確保する工夫や努力が必
要であると考えます。
ウ
混合学級編成基準
区
分
4 歳児と 5 歳児の混合学級
基準園児数
4 歳児と 5 歳児の合計園児数が 14 名以下の場合
同年齢のより多くの園児と交流しながら、多様でより豊かな人間関係を構築
できる教育的環境の構築を図るためには、適正な集団規模を確保する必要があ
ります。しかし、人口が尐ない地域では同年齢の学級編成が困難であることか
ら、混合学級を編成することにより集団を確保していくことが必要です。
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おわりに
由布市立幼稚園のあり方について、幼稚園教員を中心に由布市立幼稚園のあ
り方検討会議と3つの作業部会を組織して、様々な目線から由布市の幼児教育
について様々な議論をしてきました。これからの教育に求められることは保育
所・幼稚園・認定こども園の境を超えて、子どもたちが将来の夢や希望を実現
できる力「生きる力」を育成し、自立的に生きる人間を小中学校や社会に送り
出していくことが重要であると考えました。
尐子化など時代を取り巻く環境は厳しいものがありますが、由布市教育方針
の理念のもと、保育者や保護者、地域住民で語り合い、将来のビジョンを示し、
その実現のための手段や取組を共通理解したうえで、全員で子どもを教育して
いくことが必要です。
平成27年4月から国の「子ども・子育て支援新制度」が開始されます。こ
の制度では都市部の待機児童解消や保護者の就労支援等がクローズアップされ
ていますが、必ずしも由布市の現状とは一致していない部分もあります。しか
し、幼児教育の質の向上や利用者の利便性向上など、社会情勢の変化に対応し
た教育を提供していくことは、必ず取り組まなければならないことです。公教
育としての役割を再認識して、これまで実施してきた取組を大切にする一方で、
時代の変化に合わせた柔軟性をもち、地域の教育ニーズの実現とぶれることの
ない公立幼稚園の幼児教育をこれまで以上に提供できるように関係者一同で研
鑚を重ねていくことが、由布市全体の教育水準の向上と子どもたちの幸せにつ
ながっていくものであると確信しています。
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資 料
由布市立幼稚園のあり方検討会議等事務処理に関する規程
(目的)
第1条 この規程は、子ども・子育て支援新制度施行後の由布市立幼稚園のあり
方に関する方針案を決定するにあたり、関係幼稚園及び幼稚園職員の意見交
換の場を持つ等、適切な連絡調整及び合意体制を確立し、円滑な事務処理を
行うことを目的とする。
(連絡会)
第2条 前条の目的を達成するため、由布市立幼稚園のあり方検討会議(以下
「検討会議」という。)及び、由布市立幼稚園のあり方検討会議作業部会(以
下「作業部会」という。)を置き、事務局は由布市教育委員会学校教育課が担
当する。
(組織)
第3条 検討会議は幼稚園園長又は主任教諭等を、作業部会は臨時嘱託職員を
除く全幼稚園職員等を以って組織する。
2 会員は各幼稚園園長が推薦する。
3 検討会議の会員は、次のとおりとする。
(1)石城幼稚園
……… 1名
(2)由布川幼稚園
(3)挾間幼稚園
(4)谷幼稚園
(5)阿南幼稚園
(6)西庄内幼稚園
(7)由布院幼稚園
(8)塚原幼稚園
………
………
………
………
………
………
………
1名
1名
1名
1名
1名
1名
1名
計8名
4 作業部会は、
「幼児教育の質の向上」、
「子育てをしやすい環境の整備」、
「地
域と連携した園経営」の部会を設置し、各作業部会に部会長を置く。
(1)幼児教育の質の向上部会
……… 7名
(2)子育てをしやすい環境の整備部会 ……… 7名
(3)地域と連携した園経営部会
……… 7名
計21名
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(任期)
第4条 会員の任期は方針案が決定されるまでとする。ただし、人事異動が
あった場合は、当該幼稚園の園長は新たに会員を推薦するものとする。
(会議)
第5条 検討会議は、必要に応じて学校教育課長が召集し、作業部会は各作
業部会部会長が招集する。
(1) 事務局及び各作業部会部会長は、提案事項の説明及び全体意見の掌握を
行う。
(2) 各会員は、公立幼稚園のあり方に関する施策について本規程の主旨に沿
って意見を述べる。
(3) 特に必要があるときは、現地調査をすることができる。
(4)作業部会長は、検討された施策について、検討会議へ報告する。
(任務)
第6条 会員は、次のことを審議、検討、協議する。
(1) 子ども・子育て支援新制度に関する公立幼稚園運営等についての方針案
(2) 由布市の子育て施策に関する必要な事項
(委任)
第7条 この規程の施行に関し必要な事項は、教育長が別に定める。
(施行期日)
第8条 この規程は、平成26年6月19日より施行する。
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