2015年8月24日 中小企業の人材不足 中小企業白書より

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2015 年 8 月 24 日(月)
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中小企業の人材不足
中小企業白書より
中小企業白書から見える人材不足の広がり
政府は 2015 年版「中小企業白書」を閣議
決定しました。それによると必要な人材を
確保できていない企業が 4 割近くにのぼる
一方で「人材の応募があっても、良い人材
がいない」と言う声も強く、中小企業が質、
量両面での人材不足に直面している現状が
浮かび上がってきます。
白書では高い離職率も人材不足に影響し
ていると分析しています。新卒者の 4 割以
上が 3 年以内に会社を辞めている事が不足
の要因でもある事から、採用した社員の定
着率を高める必要性にも触れています。
人材の採用
中小企業にとって経営の中核となる人の
不足感は強く、販路開拓(営業)、研究開発、
製造、IT関連、経営等多岐にわたり中核
人材の不足感が強くなっています。
採用の方法ではハローワークや知人、友
人からの紹介が多く利用されています。実
際の採用実現率は、知人の紹介や取引先、
銀行の紹介等が多くなっていますが、自社
のホームページからの採用は低くなってい
ます。顔が見える採用手段の重要性が確認
できますが、人材確保の多様化は必要です。
また、人手不足による関連倒産は 2013 年
から増加してきています。最近は求人して
[email protected]
も人が集まらない求人難による倒産の増加
が目立ってきています。
人材の定着・育成
中小企業・小規模事業者における離職率
(3 年目)は中途採用では 3 割、新卒採用で
は 4 割を超えています。小規模事業者では
新卒採用の過半数が 3 年以内に離職をして
います。人材育成を前提として社員の定着
率を高める必要がありますが、育成をする
能力のある人材の不足も現れています。
ベア実施中小企業は増えるが人件費は高騰
今年度に入り中小企業でも景気回復の広
がりや人手不足を背景に賃金のベースアッ
プを実施する動きが広がっています。全国
の財務局調査では中小企業で今春ベア実施
したのは 37%、ベアを含む何らかの賃上げ
を実施した企業は 89.1%を示しました。賃
上げによる人材獲得競争がコスト増を招き
経営を圧迫する中でも、中小企業も雇用確
保のため人件費を捻出しています。
人材確保には
定着・育成に
目を向ける事
も大切です
補足と解説
Ⅱ.中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍
-人材① 人材の確保-
採用実現率ともに中途採用と似た結果となった。
中小企業の「中核人材」の採用手段や 供給源は、
極めて限られていることがうかがわれる。
〇中小企業・小規模事業者の従業員の不足感は、
全国的に高まっている。
○アンケート調査でも、人材の確保状況につ
Ⅱ.中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍
-人材③ 人材の定着・育成-
いて、
「十分確保できている」や「十分では
ないが確保できている」と回答した者の割
○中小企業・小規模事業者における就業者の離職
合は 5 割に満たず、中小企業・小規模事業
率(3 年目)は、中途採用においては約 3 割、新卒
者は人材を十分確保できていない状況。人
採用においては約 4 割となっている。特に、 小
材が「確保できていない」理由を見ると、
「人
規模事業者においては、新卒採用の過半数が 3
材の応募が ないため」が 6 割弱を占める一
年以内に離職しており、会社の将来を担う人材
方で、「人材の応募はあるが、よい人材がい
の育成の前提として、採用した社員の定着 率を
ないため」という回答も 4 割存在し、質・量
高める必要がある。
両面での「人材不 足」に直面していること
がうかがわれる。
○経営の中核となる人材の育成の面でも、中小企
業・小規模事業者は様々な課題を抱えており、
とりわけ「指導・育成を行う能力がある人材 の
Ⅱ.中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍
-人材② 人材の採用-
不足」が顕著となっている。
○しかしながら、中小企業・小規模事業者におけ
る人材の定着や育成に関しては、限られた経営
○中小企業・小規模事業者において、経営の中核
資源の中で行う個社単位の取組には限界がある。
となる人材の不足感が強い。先に取り上げた販
こうした中で、地域を挙げた人材の定着・育成
路開拓(営業)のための人材にとどまらず、 研究
を行う取組事例も見られる。
開発・製造、IT 関連、経営等、多岐にわたる中
核人材の不足感も強い。
○中小企業における、中途人材の採用手段として
中小企業庁
中小企業白書にについて 2015 年
版より抜粋
は、「ハローワーク」や「知人・友人の紹介」が
多く利用されている。採用実現率(採用実 績/
利用実績)を見ると、
「知人・友人の紹介」や「取
引先・銀行の紹介」で高くなっている一方、
「自
社ホームページ」が最も低く、 中小企業の人材
採用における顔が見える採用手段の重要性が確
認できる。他方で、様々な採用手段による採用
実現率を高めることにより、中小企業の人材確
保の方策を多様化していくことも必要と考えら
れる。
○また、中核人材の採用を見てみると、利用実績、
コメント
今年度の中小企業白書から人材の採
用、育成などの動向について取り上げました。