天野 - 国立大学協会

考えるちから
Public Relations Magazine of National Universities
vol.
Opinion
天野 浩
名古屋大学大学院工学研究科教授
vol.
Contents
入試改革
︻特集 ︼
Episode 1
筑波大学
﹁入試改革﹂
は開学以来の伝統。
多様な選抜方法でグローバル化に対応する。
Episode 2
お茶の水女子大学
新型AO入試
﹁新フンボルト入試﹂の導入で
大学教育の質的転換に一石を投じる。
Opinion
名古屋大学大学院工学研究科教授
天野 浩
発見 ! 国立大学
北見工業大学
東北大学
電気通信大学
群馬大学
北陸先端科学技術大学院大学
神戸大学
山口大学
福岡教育大学
今、
学生は !
奈良教育大学/加後美咲 さん
東京工業大学/松井将器 さん
熊本大学/永芳 友 さん
島根大学/ポリレンジャー
様々な入試改革を行っている。文部科学省「国公私立大学入学者選抜実施状況」に
よれば、国立大学では、法人化以降、推薦入試、AO 入試、社会人入試、帰国子女
入試など多様な入試による入学者数が大きく増加している。
国立大学の多様な入試における入学者数の推移
222
16,000
133
国大協TOPICS
会長に里見東北大学長を選定
成 年6 月 日︵月︶、国 立 大 学 協 会 総 会
平
15
年6月に開催され
29
前田芳實鹿児島大学長
片峰茂長崎大学長
久保千春九州大学長
田中雄三鳴門教育大学長
岡正朗山口大学長
越智光夫広島大学長
平野俊夫大阪大学長
古山正雄京都工芸繊維大学長
後藤ひとみ愛知教育大学長
松尾清一名古屋大学長
山崎光悦金沢大学長
山口宏樹埼玉大学長
蓼沼宏一一橋大学長
五神真東京大学長
澤田賢一秋田大学長
和田健夫小樽商科大学長
山口佳三北海道大学長
理事
木谷雅人国立大学協会事務局長
常務理事
山本健慈和歌山大学顧問・名誉教授
専務理事
髙橋姿新潟大学長
大西隆豊橋技術科学大学長
永田恭介筑波大学長
山極壽一京都大学長
副会長︵理事︶
会 長︵理事︶
里見進東北大学長
る本協会総会時までです。
した。新役員の任期は平成
をもって、会長及び副会長など役員が交代しま
27
長 崎 大 学 長 片 峰 茂
思います。
主導的役割を担う責任があると
の在り方を提案し、今回の大改革に
受け身ではなく主体的かつ大胆に新しい入試
回 避 し つ つ も、近 未 来 へ の 想 像 力 を 駆 使 し、
ノウハウを基盤に、拙速による社会の混乱を
国 立 大 学 に は 、 こ れ ま で 長 年 蓄 積 し て き た
革といってよいでしょう。
意識に根源的変化をもたらします。歴史的変
ランが完遂されれば、我が国の教育と国民の
ビングフォースとなりうるからです。改革プ
るのは、それが三位一体改革の最強のドライ
点にあります。とりわけ入試改革が強調され
や学修意欲の涵養を重視する教育へ転換する
識・技 能 の み な ら ず 思 考 力・判 断 力・表 現 力
者を接続する入試改革の三位一体により、知
え、高等学校教育改革と大学教育改革及び両
する社会の中で我が国の若者の将来を見据
なります。改革プランの要諦は、大きく変容
論を出すという、きわめて急ピッチの検討と
に、今年半ばには中間まとめを、年内には結
す。 20 1 9年 度 の 新 共 通 試 験 の 実 施 を 視 野
改革の具体的制度設計が検討開始されていま
る 新 し い 2つ の 共 通 試 験 や 各 大 学 の 個 別 入 試
ム 改 革 会 議 ﹂に お い て 、 セ ン タ ー 試 験 に 代 わ
改 革 実 行 プ ラ ン ﹂を 受 け 、﹁ 高 大 接 続 シ ス テ
年 初 に 文 部 科 学 大 臣 が 発 表 し た﹁ 高 大 接 続
下記の内容については国大協ホームページ
(http://www.janu.jp/)
からもご覧いただけます。
考えるちから
40 女性の活躍
日本の未来を創る
国立大学では、高校教育と大学教育の円滑な接続と連携強化を推進するために、
1
June 2015
試改革
37
vol.
3
5
8
11
13
vol.
39 教育改革
新たな国立大学改革
︻ 特 集 ︼入
vol.
入試改革
15.397
407
2,629
2
2
1
13,336
645
(単位:人数)
14,000
12,000
10,000
0
1,270
11,199
2004
12,228
2014
38 地方創生
■推薦入試 ■AO入試 ■社会人入試 ■帰国子女入試
(注)大学院大学を除く。
(出所)文部科学省『国公私立大学入学者選抜実施状況』
(2004 年度、2014 年度)より作成
vol.
Contents
入試改革
︻特集 ︼
Episode 1
筑波大学
﹁入試改革﹂
は開学以来の伝統。
多様な選抜方法でグローバル化に対応する。
Episode 2
お茶の水女子大学
新型AO入試
﹁新フンボルト入試﹂の導入で
大学教育の質的転換に一石を投じる。
Opinion
名古屋大学大学院工学研究科教授
天野 浩
発見 ! 国立大学
北見工業大学
東北大学
電気通信大学
群馬大学
北陸先端科学技術大学院大学
神戸大学
山口大学
福岡教育大学
今、
学生は !
奈良教育大学/加後美咲 さん
東京工業大学/松井将器 さん
熊本大学/永芳 友 さん
島根大学/ポリレンジャー
様々な入試改革を行っている。文部科学省「国公私立大学入学者選抜実施状況」に
よれば、国立大学では、法人化以降、推薦入試、AO 入試、社会人入試、帰国子女
入試など多様な入試による入学者数が大きく増加している。
国立大学の多様な入試における入学者数の推移
222
16,000
133
国大協TOPICS
会長に里見東北大学長を選定
成 年6 月 日︵月︶、国 立 大 学 協 会 総 会
平
15
年6月に開催され
29
前田芳實鹿児島大学長
片峰茂長崎大学長
久保千春九州大学長
田中雄三鳴門教育大学長
岡正朗山口大学長
越智光夫広島大学長
平野俊夫大阪大学長
古山正雄京都工芸繊維大学長
後藤ひとみ愛知教育大学長
松尾清一名古屋大学長
山崎光悦金沢大学長
山口宏樹埼玉大学長
蓼沼宏一一橋大学長
五神真東京大学長
澤田賢一秋田大学長
和田健夫小樽商科大学長
山口佳三北海道大学長
理事
木谷雅人国立大学協会事務局長
常務理事
山本健慈和歌山大学顧問・名誉教授
専務理事
髙橋姿新潟大学長
大西隆豊橋技術科学大学長
永田恭介筑波大学長
山極壽一京都大学長
副会長︵理事︶
会 長︵理事︶
里見進東北大学長
る本協会総会時までです。
した。新役員の任期は平成
をもって、会長及び副会長など役員が交代しま
27
長 崎 大 学 長 片 峰 茂
思います。
主導的役割を担う責任があると
の在り方を提案し、今回の大改革に
受け身ではなく主体的かつ大胆に新しい入試
回 避 し つ つ も、近 未 来 へ の 想 像 力 を 駆 使 し、
ノウハウを基盤に、拙速による社会の混乱を
国 立 大 学 に は 、 こ れ ま で 長 年 蓄 積 し て き た
革といってよいでしょう。
意識に根源的変化をもたらします。歴史的変
ランが完遂されれば、我が国の教育と国民の
ビングフォースとなりうるからです。改革プ
るのは、それが三位一体改革の最強のドライ
点にあります。とりわけ入試改革が強調され
や学修意欲の涵養を重視する教育へ転換する
識・技 能 の み な ら ず 思 考 力・判 断 力・表 現 力
者を接続する入試改革の三位一体により、知
え、高等学校教育改革と大学教育改革及び両
する社会の中で我が国の若者の将来を見据
なります。改革プランの要諦は、大きく変容
論を出すという、きわめて急ピッチの検討と
に、今年半ばには中間まとめを、年内には結
す。 20 1 9年 度 の 新 共 通 試 験 の 実 施 を 視 野
改革の具体的制度設計が検討開始されていま
る 新 し い 2つ の 共 通 試 験 や 各 大 学 の 個 別 入 試
ム 改 革 会 議 ﹂に お い て 、 セ ン タ ー 試 験 に 代 わ
改 革 実 行 プ ラ ン ﹂を 受 け 、﹁ 高 大 接 続 シ ス テ
年 初 に 文 部 科 学 大 臣 が 発 表 し た﹁ 高 大 接 続
下記の内容については国大協ホームページ
(http://www.janu.jp/)
からもご覧いただけます。
考えるちから
40 女性の活躍
日本の未来を創る
国立大学では、高校教育と大学教育の円滑な接続と連携強化を推進するために、
1
June 2015
試改革
37
vol.
3
5
8
11
13
vol.
39 教育改革
新たな国立大学改革
︻ 特 集 ︼入
vol.
入試改革
15.397
407
2,629
2
2
1
13,336
645
(単位:人数)
14,000
12,000
10,000
0
1,270
11,199
2004
12,228
2014
38 地方創生
■推薦入試 ■AO入試 ■社会人入試 ■帰国子女入試
(注)大学院大学を除く。
(出所)文部科学省『国公私立大学入学者選抜実施状況』
(2004 年度、2014 年度)より作成
【特集】
開学以来入試の在り方を見つめ、
切り拓いてきた改革の雄
2 0 1 4 年 月、 中 央 教 育 審 議 会 は こ れ か
らの時代にふさわしい教育の在り方を見据え
て、 高 大 接 続、 大 学 入 学 者 選 抜 の 抜 本 的 な 改
革 に つ い て 答 申 を ま と め た。 こ れ ま で の 大 学
入 試 セ ン タ ー 試 験 を 見 直 し、 新 た な 選 抜 方 法
を 導 入 す る こ と で、 日 本 の 教 育 を 変 え て い こ
うというものだ。
国 際 化 が 加 速 し、 さ ら な る 競 争 力 が 問 わ れ
て い る 昨 今、 次 代 を 担 う 学 生 に 求 め ら れ る の
は、 自 ら が 考 え て 判 断 し、 時 代 を 切 り 拓 い て
い く リ ー ダ ー と し て の 資 質 で あ る。 知 識 偏 重
か ら、 思 考 力、 判 断 力、 探 究 心 や 積 極 性、 主
同 大 学 で は、 ア ド ミ ッ シ ョ ン・ ポ リ シ ー に
基 づ き、 一 般 入 試 の 他 に、 推 薦 入 試 や 帰 国 生
うした化学反応がおのずと起きてくるのでは
は し ま せ ん。 多 様 な 資 質 が 混 ざ る こ と で、 そ
ら、 授 業 に お い て は 選 抜 方 法 で 区 別 す る こ と
よ う な と こ ろ に も 期 待 を し て い ま す。 で す か
います」
リ ー ダ ー シ ッ プ の も と、 積 極 的 に 取 り 組 ん で
ド バ イ ザ リ ー 委 員 会 の 委 員 で も あ り、 学 長 の
本学の永田恭介学長は国際バカロレア日本ア
れ て い る が、 彼 ら の 入 学 経 路 を た ど る と、 そ
ア認定校以外でも、教育改善のきっかけになっ
「入学者選抜への活用だけでなく、国際バカ
ロ レ ア の 広 が り を 契 機 と し て、 国 際 バ カ ロ レ
国際バカロレアへの関心や意識は早くから
同大学が改革を推し進める方策の1つに「国
際 バ カ ロ レ ア 特 別 入 試 」 が あ る。 同 大 学 で の
る こ と に つ な が っ て い く。 開 学 以 来 改 革 を 続
次 代 を 担 う 学 生 の 育 成 は、 将 来 日 本 を 創 生 す
み へ 向 か う マ イ ル ス ト ー ン と も 言 え そ う だ。
た資質や能力を持っている者が揃っています。
AC入試の学生は全体の4%程度ですが、優れ
集人員を大幅に増やすのは難しいと思います。
ミュニケーションができ
探求する人、考える人、コ
国 際 バ カ ロ レ ア が 掲 げ る、
と い っ た 新 し い 学 力 観 は、
「 学 習 指 導 要 領 の 掲 げ る、
思 考 力、 判 断 力、 表 現 力
3
体 性 を 高 め 伸 ば す こ と、 そ う し た 素 養 は、 世
界を舞台に活躍するための重要な力といえる
だろう。
筑 波 大 学 は、 1 9 9 9 年 4 月、 入 試 広 報 や
AC(アドミッション・センター)入試の企画・
実施、入学者選抜の調査・研究を行うア ド ミ ッ
シ ョ ン セ ン タ ー を 設 置 し た。 入 試 の グ ラ ン ド
デ ザ イ ン を 築 く 役 割 を 担 う 同 セ ン タ ー は、 大
学の未来をも左右する重要なポジションにあ
る。 同 セ ン タ ー の 島 田 康 行 セ ン タ ー 長 は、 こ
う話す。
「入試改革は本学開学の理念の1つでもあり
ま す。 大 学 設 立 の 準 備 調 査 会 で、
『画一的で
な く、 推 薦 入 試 や 実 技 入 試 を 含 め た 多 様 な 選
抜方法を積極的に取り入れるべき』という報
告 が な さ れ て い ま す。 以 来 本 学 で は、 多 様 な
方法による学生の選抜に力を注いできました。
徒特別入試など多様な入学者選抜を実施して
ないかと思います」と島田センター長は期待
国 際 バ カ ロ レ ア が 注 目 さ れ、 広 が っ て い く
こ と に つ い て、 島 田 セ ン タ ー 長 は、 中 等 教 育
そうした資質の開花を実感してきています」
いるが、特徴的なのが AC入試である。
を寄せる。
とも話す。
の 約 3 割 が AC入 試 の 学 生 だ と い う。 ま さ に、
て欲しいと思います。
をより良くするための1つの示唆になり得る
同 大 学 で は、 国 際 的 な 活 躍 を し た り、 国 内
で 顕 著 な 業 績 を あ げ た 学 生 に 対 し て、
「学生
AC入試は、AO(ア ド ミッション・ オ フィ
ス )入 試 の 一 種 だ が、 そ の 内 容 は 少 し 異 な る。
筑 波 大 学 の こ れ ま で の 取 組、 島 田 セ ン タ ー 長
来 た る べ き 入 試 改 革 に 向 け、 日 々 の 学 修 の
成果をありのままに評価できるような形も検
課題解決能力を測るAC入試が
学内の化学反応を引き起こす
一般的な AO入試では人物評価を中心に行う
が描いた入試の1つのかたちが開花し結実し
数名が表彰さ
の に 対 し、AC入 試 で 問 う の は「 課 題 発 見 解
ている証左といえよう。
表 彰 」 を 実 施 し て い る。 毎 年
決能力」
。自ら課題を見つけ、それを解決へと
討 し て い ま す。 学 び の ポ ー ト フ ォ リ オ を 評 価
できるような仕組みを作ることが理想です」
選 抜 に お い て、 全 学 的 に 民 間 の 英 語 4 技 能
試験も活用する方針を打ち出しているという。
に 対 す る ア プ ロ ー チ、 活 動 の 質 と い う も の が
あ っ た と 島 田 セ ン タ ー 長 は 語 る。 1 9 8 3 年
国際バカロレアの広がりは
中等教育向上のための示唆となる
導 く 能 力 を 評 価 す る 入 試 だ。 主 体 的 に 研 究 に
立 ち 向 か う 資 質 や 能 力 を 選 抜 の 観 点 に し、 こ
れまでに1000名以上の入学者を受け入れ
ている。一芸入試とは異なり、具体的な成果、
成 否 は 問 わ な い。 ど う 取 り 組 ん だ か、 そ の プ
重 視 さ れ る。 書 類 選 考 と 面 接・ 口 述 試 験 を 中
け、 進 化 し て き た 筑 波 大 学。 こ れ か ら の 動 き
今回の入試改革は同大学の教育がさらなる高
心 に 選 抜 に は 2 カ 月 あ ま り を 要 し、 合 否 判 定
には、学内誌で「国際バカロレアの理科教育」
にも注目したい。
ロ セ ス こ そ が 大 切 な の だ と い う。 自 ら の 課 題
に至るまでの大学の負荷が相当であることは
が 特 集 さ れ、 国 際 バ カ ロ レ ア の 入 試 へ の 活 用
入 学 後 の 活 躍 は も ち ろ ん で す が、 彼 ら は 他 の
る人といった使命や学修
研究が行われた。
想像に難くない。
選抜で入学した学生に大きな影響を与える可
「成果への手応えもありますし、規模も大き
く で き る と い い の で す が、 選 抜 の 性 質 上、 募
能 性 を 持 っ て い ま す。 彼 ら に 触 発 さ れ た 周 り
者 像 と 重 な り ま す。 ま た、
筑波大学大学院教育研究科修了。専門
は教科教育学。私立中高校教諭、茨城
工業高等専門学校講師、文部省教科書
調査官などを経て、現職。書類審査と
面接・口述試験により受験生を多面的・
総合的に評価するAC試験の導入に携
わり、成果を上げている。
4
20
Episode 1
筑波大学
「入試改革」
は開学以来の伝統。
多様な選抜方法で
グローバル化に対応する。
12
の 学 生 が 研 究 に 目 を 開 か れ て い く と か、 そ の
島田康行 センター長/教授
(筑波大学アドミッションセンター長/
人文社会系教授)
入試改革
【特集】入試改革 ── 筑波大学
【特集】
開学以来入試の在り方を見つめ、
切り拓いてきた改革の雄
2 0 1 4 年 月、 中 央 教 育 審 議 会 は こ れ か
らの時代にふさわしい教育の在り方を見据え
て、 高 大 接 続、 大 学 入 学 者 選 抜 の 抜 本 的 な 改
革 に つ い て 答 申 を ま と め た。 こ れ ま で の 大 学
入 試 セ ン タ ー 試 験 を 見 直 し、 新 た な 選 抜 方 法
を 導 入 す る こ と で、 日 本 の 教 育 を 変 え て い こ
うというものだ。
国 際 化 が 加 速 し、 さ ら な る 競 争 力 が 問 わ れ
て い る 昨 今、 次 代 を 担 う 学 生 に 求 め ら れ る の
は、 自 ら が 考 え て 判 断 し、 時 代 を 切 り 拓 い て
い く リ ー ダ ー と し て の 資 質 で あ る。 知 識 偏 重
か ら、 思 考 力、 判 断 力、 探 究 心 や 積 極 性、 主
同 大 学 で は、 ア ド ミ ッ シ ョ ン・ ポ リ シ ー に
基 づ き、 一 般 入 試 の 他 に、 推 薦 入 試 や 帰 国 生
うした化学反応がおのずと起きてくるのでは
は し ま せ ん。 多 様 な 資 質 が 混 ざ る こ と で、 そ
ら、 授 業 に お い て は 選 抜 方 法 で 区 別 す る こ と
よ う な と こ ろ に も 期 待 を し て い ま す。 で す か
います」
リ ー ダ ー シ ッ プ の も と、 積 極 的 に 取 り 組 ん で
ド バ イ ザ リ ー 委 員 会 の 委 員 で も あ り、 学 長 の
本学の永田恭介学長は国際バカロレア日本ア
れ て い る が、 彼 ら の 入 学 経 路 を た ど る と、 そ
ア認定校以外でも、教育改善のきっかけになっ
「入学者選抜への活用だけでなく、国際バカ
ロ レ ア の 広 が り を 契 機 と し て、 国 際 バ カ ロ レ
国際バカロレアへの関心や意識は早くから
同大学が改革を推し進める方策の1つに「国
際 バ カ ロ レ ア 特 別 入 試 」 が あ る。 同 大 学 で の
る こ と に つ な が っ て い く。 開 学 以 来 改 革 を 続
次 代 を 担 う 学 生 の 育 成 は、 将 来 日 本 を 創 生 す
み へ 向 か う マ イ ル ス ト ー ン と も 言 え そ う だ。
た資質や能力を持っている者が揃っています。
AC入試の学生は全体の4%程度ですが、優れ
集人員を大幅に増やすのは難しいと思います。
ミュニケーションができ
探求する人、考える人、コ
国 際 バ カ ロ レ ア が 掲 げ る、
と い っ た 新 し い 学 力 観 は、
「 学 習 指 導 要 領 の 掲 げ る、
思 考 力、 判 断 力、 表 現 力
3
体 性 を 高 め 伸 ば す こ と、 そ う し た 素 養 は、 世
界を舞台に活躍するための重要な力といえる
だろう。
筑 波 大 学 は、 1 9 9 9 年 4 月、 入 試 広 報 や
AC(アドミッション・センター)入試の企画・
実施、入学者選抜の調査・研究を行うア ド ミ ッ
シ ョ ン セ ン タ ー を 設 置 し た。 入 試 の グ ラ ン ド
デ ザ イ ン を 築 く 役 割 を 担 う 同 セ ン タ ー は、 大
学の未来をも左右する重要なポジションにあ
る。 同 セ ン タ ー の 島 田 康 行 セ ン タ ー 長 は、 こ
う話す。
「入試改革は本学開学の理念の1つでもあり
ま す。 大 学 設 立 の 準 備 調 査 会 で、
『画一的で
な く、 推 薦 入 試 や 実 技 入 試 を 含 め た 多 様 な 選
抜方法を積極的に取り入れるべき』という報
告 が な さ れ て い ま す。 以 来 本 学 で は、 多 様 な
方法による学生の選抜に力を注いできました。
徒特別入試など多様な入学者選抜を実施して
ないかと思います」と島田センター長は期待
国 際 バ カ ロ レ ア が 注 目 さ れ、 広 が っ て い く
こ と に つ い て、 島 田 セ ン タ ー 長 は、 中 等 教 育
そうした資質の開花を実感してきています」
いるが、特徴的なのが AC入試である。
を寄せる。
とも話す。
の 約 3 割 が AC入 試 の 学 生 だ と い う。 ま さ に、
て欲しいと思います。
をより良くするための1つの示唆になり得る
同 大 学 で は、 国 際 的 な 活 躍 を し た り、 国 内
で 顕 著 な 業 績 を あ げ た 学 生 に 対 し て、
「学生
AC入試は、AO(ア ド ミッション・ オ フィ
ス )入 試 の 一 種 だ が、 そ の 内 容 は 少 し 異 な る。
筑 波 大 学 の こ れ ま で の 取 組、 島 田 セ ン タ ー 長
来 た る べ き 入 試 改 革 に 向 け、 日 々 の 学 修 の
成果をありのままに評価できるような形も検
課題解決能力を測るAC入試が
学内の化学反応を引き起こす
一般的な AO入試では人物評価を中心に行う
が描いた入試の1つのかたちが開花し結実し
数名が表彰さ
の に 対 し、AC入 試 で 問 う の は「 課 題 発 見 解
ている証左といえよう。
表 彰 」 を 実 施 し て い る。 毎 年
決能力」
。自ら課題を見つけ、それを解決へと
討 し て い ま す。 学 び の ポ ー ト フ ォ リ オ を 評 価
できるような仕組みを作ることが理想です」
選 抜 に お い て、 全 学 的 に 民 間 の 英 語 4 技 能
試験も活用する方針を打ち出しているという。
に 対 す る ア プ ロ ー チ、 活 動 の 質 と い う も の が
あ っ た と 島 田 セ ン タ ー 長 は 語 る。 1 9 8 3 年
国際バカロレアの広がりは
中等教育向上のための示唆となる
導 く 能 力 を 評 価 す る 入 試 だ。 主 体 的 に 研 究 に
立 ち 向 か う 資 質 や 能 力 を 選 抜 の 観 点 に し、 こ
れまでに1000名以上の入学者を受け入れ
ている。一芸入試とは異なり、具体的な成果、
成 否 は 問 わ な い。 ど う 取 り 組 ん だ か、 そ の プ
重 視 さ れ る。 書 類 選 考 と 面 接・ 口 述 試 験 を 中
け、 進 化 し て き た 筑 波 大 学。 こ れ か ら の 動 き
今回の入試改革は同大学の教育がさらなる高
心 に 選 抜 に は 2 カ 月 あ ま り を 要 し、 合 否 判 定
には、学内誌で「国際バカロレアの理科教育」
にも注目したい。
ロ セ ス こ そ が 大 切 な の だ と い う。 自 ら の 課 題
に至るまでの大学の負荷が相当であることは
が 特 集 さ れ、 国 際 バ カ ロ レ ア の 入 試 へ の 活 用
入 学 後 の 活 躍 は も ち ろ ん で す が、 彼 ら は 他 の
る人といった使命や学修
研究が行われた。
想像に難くない。
選抜で入学した学生に大きな影響を与える可
「成果への手応えもありますし、規模も大き
く で き る と い い の で す が、 選 抜 の 性 質 上、 募
能 性 を 持 っ て い ま す。 彼 ら に 触 発 さ れ た 周 り
者 像 と 重 な り ま す。 ま た、
筑波大学大学院教育研究科修了。専門
は教科教育学。私立中高校教諭、茨城
工業高等専門学校講師、文部省教科書
調査官などを経て、現職。書類審査と
面接・口述試験により受験生を多面的・
総合的に評価するAC試験の導入に携
わり、成果を上げている。
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20
Episode 1
筑波大学
「入試改革」
は開学以来の伝統。
多様な選抜方法で
グローバル化に対応する。
12
の 学 生 が 研 究 に 目 を 開 か れ て い く と か、 そ の
島田康行 センター長/教授
(筑波大学アドミッションセンター長/
人文社会系教授)
入試改革
【特集】入試改革 ── 筑波大学
お茶の水
女子大学
入試改革
【特集】
プレゼミナール
対象
受験生、高校2年生、高校教員
文理複数科目の講義・演習と情報検索・
レポートの書き方講座を受講
入試受験生のみレポートを作成・提出
第 1 次選考
高大接続改革の実現に向け、
見直される大学入試システム
文部科学省は先頃、
「高大接続システム改革
会議」を始動し、高大接続改革の実現に向け、
全 力 で 取 り 組 む 姿 勢 を 示 し た。 偏 差 値 上 位 校
への受験中心に回ってきた日本の教育界だが、
高 大 接 続 改 革 の 気 運 が 高 ま っ た の は、 近 年 の
大学教育に対する危機感も反映しているだろ
う。
グ ロ ー バ ル 化 が 進 み、 こ れ か ら の 時 代 に 通
用 す る 人 材 を 育 て る に は、 大 学 教 育 の 質 的 な
転 換 だ け で な く、 高 校 教 育、 さ ら に は 大 学 入
試 セ ン タ ー 試 験 に 代 表 さ れ る、 こ れ ま で の 大
学 入 試 を 見 直 す 必 要 が あ り、 今 ま さ に そ の 岐
路に立っているといえる。
中 央 教 育 審 議 会 が ま と め た 答 申 で は、 単 に
知 識 の 量 だ け で な く、 知 識 の 活 用 力 や 学 習 に
取 り 組 む 態 度 を 含 め た「 確 か な 学 力 」 を 育 む
教 育 と、 そ れ ら を 総 合 的 に 評 価 す る 大 学 入 試
が求められている。
多 く の 大 学 が 選 抜 方 法 を 模 索 す る 中、 お 茶
の 水 女 子 大 学 の「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 が 今、
注目されている。
フンボルトの理念、フィヒテの思想を
独創的な新フンボルト入試として昇華
文 部 科 学 省 が 掲 げ る「 接 続 」 と い う 意 味 に
お い て、 お 茶 の 水 女 子 大 学 は、 幼 稚 園 か ら 小
中高大と続く一貫校であり、勉学に集中でき、
少人数制で高度な教育が受けられる学び舎と
プレゼミナールのレポート、
外部外国語試験(TOEFL)など
第2次選考
(3日間)
模擬授業(英語)を受講し、
レポート作成
文系
(図書館入試)
出題されたテーマに基づく講義
実験室でグループ実験、
レポート作成・発表
グループ討論、個別面談
課題研究発表
出題されたテーマに基づき、
図書館を自由に使い
レポート作成・発表
グループ討論、個別面談
して名高い。
同 大 学 発 の「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 と は ど の
よ う な も の な の だ ろ う か。 世 界 最 初 の 近 代 大
学 で あ る ベ ル リ ン 大 学 の 創 設 者 で あ り、 現 代
識 を 総 動 員 し、 デ ー タ を 引 い て 組 み 上 げ る 力、
知の探求者としての素養発掘への意気込み
は 並 々 な ら ぬ も の が あ る。 問 題 を 抽 出 し て 解
力」といえそうだ。現在実施している AO(ア
決 方 法 を 模 索 す る 力。 そ の た め に、 自 ら の 知
英樹室長はこう話す。
ドミッション・オフィス)入試も、文系・理系
ヘルム・フォン・フンボルトの名を冠した取組、
「大学教育の原点について、あらためて見直
し て い る 時、 フ ン ボ ル ト の 理 念、 そ し て、 初
行 の ペ ー パ ー 入 試 の 限 界 も あ り ま す。 そ れ を
視 す る 能 力 と 重 な る も の で す。 知 識 偏 重 の 現
と言っています。これらは我々が大学教育で重
要するに知識を駆使する力こそが大事なのだ
生 が 応 用 の 道 具 と し て の『 知 』を 身 に つ け る、
出 さ れ る と し て い ま す。 ま た フ ィ ヒ テ は、 学
を揃えた図書館でのゼミナールを通して生み
フ ン ボ ル ト は、 大 学 に お い て 学 問 的 な 真 理
と い う も の が、 実 験 を 通 し て、 あ る い は 資 料
ヒテの思想がヒントになりました。
れないジレンマがあります」
の で、 自 ら の 課 題 を 探 求 す る よ う な 能 力 は 測
は、 大 学 が 用 意 し た 課 題 へ の 対 応 力 を 見 ま す
「AO入試を潜り抜けた学生はかなり優秀な
成 績 を 修 め て い ま す。 た だ し 現 行 の AO入 試
あげている AO入試だが、課題もある。
募 集 人 員 に 満 た な い 年 も あ る と い う。 成 果 を
て 実 施 す る 超 難 関 コ ー ス で あ り、 合 格 者 数 が
2 つ の 授 業 後 の レ ポ ー ト、 討 論、 小 論 文、 英
とも安成室長は話す。
語の授業とレポート、面接までを2日間に渡っ
打破するにはこういう原初の理念に立ち戻る
べ き で は な い か と い う 思 い を 込 め、 新 設 す る
授業を聴講して試験を受けるということは、
どう噛み砕くかという理解力しか見られない
いわば知の総合力こそが大学で要求される「学
代 学 長 と な っ た ヨ ハ ン・ ゴ ッ ト リ ー プ・ フ ィ
そ の 発 想 の 原 点 に つ い て、 入 試 推 進 室 の 安 成
の大学教育の原型を作ったといわれるヴィル
合格発表
問題を解決に導く
「知」
の総合力こそ
大学で求められる真の学力といえる
理系
(実験室入試)
入試体制に、フンボルトの名を冠しました」
入学時に知の頂点に達して
い る 学 生 で な く、 こ れ ま で 学
んだ様々な知識を縦横に駆使
して自分の関心事を突き詰め
て い く、 あ る い は 社 会 に 出 て
その知識を応用していくポテ
ンシャルを持った学生を採り
たいという理念を基に発想し
たとも安成室長は語る。
東京大学大学院人文科学研究科修士
課 程 修 了、 博 士 課 程 中 退。 専 門 は 西
洋史学。東京大学文学部助手を経て、
1998年お茶の水女子大学文教育学部
助教授、2013年から教授。入試推進
室長として入試改革を担う。
5
6
Library
Laboratory
詳細については、
現在検討中
安成英樹 入試推進室長/教授
(お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科教授)
Episode 2
出願
新型AO入試
「新フンボルト入試」
の導入で
大学教育の質的転換に一石を投じる。
【特集】入試改革 ── お茶の水女子大学
お茶の水
女子大学
入試改革
【特集】
プレゼミナール
対象
受験生、高校2年生、高校教員
文理複数科目の講義・演習と情報検索・
レポートの書き方講座を受講
入試受験生のみレポートを作成・提出
第 1 次選考
高大接続改革の実現に向け、
見直される大学入試システム
文部科学省は先頃、
「高大接続システム改革
会議」を始動し、高大接続改革の実現に向け、
全 力 で 取 り 組 む 姿 勢 を 示 し た。 偏 差 値 上 位 校
への受験中心に回ってきた日本の教育界だが、
高 大 接 続 改 革 の 気 運 が 高 ま っ た の は、 近 年 の
大学教育に対する危機感も反映しているだろ
う。
グ ロ ー バ ル 化 が 進 み、 こ れ か ら の 時 代 に 通
用 す る 人 材 を 育 て る に は、 大 学 教 育 の 質 的 な
転 換 だ け で な く、 高 校 教 育、 さ ら に は 大 学 入
試 セ ン タ ー 試 験 に 代 表 さ れ る、 こ れ ま で の 大
学 入 試 を 見 直 す 必 要 が あ り、 今 ま さ に そ の 岐
路に立っているといえる。
中 央 教 育 審 議 会 が ま と め た 答 申 で は、 単 に
知 識 の 量 だ け で な く、 知 識 の 活 用 力 や 学 習 に
取 り 組 む 態 度 を 含 め た「 確 か な 学 力 」 を 育 む
教 育 と、 そ れ ら を 総 合 的 に 評 価 す る 大 学 入 試
が求められている。
多 く の 大 学 が 選 抜 方 法 を 模 索 す る 中、 お 茶
の 水 女 子 大 学 の「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 が 今、
注目されている。
フンボルトの理念、フィヒテの思想を
独創的な新フンボルト入試として昇華
文 部 科 学 省 が 掲 げ る「 接 続 」 と い う 意 味 に
お い て、 お 茶 の 水 女 子 大 学 は、 幼 稚 園 か ら 小
中高大と続く一貫校であり、勉学に集中でき、
少人数制で高度な教育が受けられる学び舎と
プレゼミナールのレポート、
外部外国語試験(TOEFL)など
第2次選考
(3日間)
模擬授業(英語)を受講し、
レポート作成
文系
(図書館入試)
出題されたテーマに基づく講義
実験室でグループ実験、
レポート作成・発表
グループ討論、個別面談
課題研究発表
出題されたテーマに基づき、
図書館を自由に使い
レポート作成・発表
グループ討論、個別面談
して名高い。
同 大 学 発 の「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 と は ど の
よ う な も の な の だ ろ う か。 世 界 最 初 の 近 代 大
学 で あ る ベ ル リ ン 大 学 の 創 設 者 で あ り、 現 代
識 を 総 動 員 し、 デ ー タ を 引 い て 組 み 上 げ る 力、
知の探求者としての素養発掘への意気込み
は 並 々 な ら ぬ も の が あ る。 問 題 を 抽 出 し て 解
力」といえそうだ。現在実施している AO(ア
決 方 法 を 模 索 す る 力。 そ の た め に、 自 ら の 知
英樹室長はこう話す。
ドミッション・オフィス)入試も、文系・理系
ヘルム・フォン・フンボルトの名を冠した取組、
「大学教育の原点について、あらためて見直
し て い る 時、 フ ン ボ ル ト の 理 念、 そ し て、 初
行 の ペ ー パ ー 入 試 の 限 界 も あ り ま す。 そ れ を
視 す る 能 力 と 重 な る も の で す。 知 識 偏 重 の 現
と言っています。これらは我々が大学教育で重
要するに知識を駆使する力こそが大事なのだ
生 が 応 用 の 道 具 と し て の『 知 』を 身 に つ け る、
出 さ れ る と し て い ま す。 ま た フ ィ ヒ テ は、 学
を揃えた図書館でのゼミナールを通して生み
フ ン ボ ル ト は、 大 学 に お い て 学 問 的 な 真 理
と い う も の が、 実 験 を 通 し て、 あ る い は 資 料
ヒテの思想がヒントになりました。
れないジレンマがあります」
の で、 自 ら の 課 題 を 探 求 す る よ う な 能 力 は 測
は、 大 学 が 用 意 し た 課 題 へ の 対 応 力 を 見 ま す
「AO入試を潜り抜けた学生はかなり優秀な
成 績 を 修 め て い ま す。 た だ し 現 行 の AO入 試
あげている AO入試だが、課題もある。
募 集 人 員 に 満 た な い 年 も あ る と い う。 成 果 を
て 実 施 す る 超 難 関 コ ー ス で あ り、 合 格 者 数 が
2 つ の 授 業 後 の レ ポ ー ト、 討 論、 小 論 文、 英
とも安成室長は話す。
語の授業とレポート、面接までを2日間に渡っ
打破するにはこういう原初の理念に立ち戻る
べ き で は な い か と い う 思 い を 込 め、 新 設 す る
授業を聴講して試験を受けるということは、
どう噛み砕くかという理解力しか見られない
いわば知の総合力こそが大学で要求される「学
代 学 長 と な っ た ヨ ハ ン・ ゴ ッ ト リ ー プ・ フ ィ
そ の 発 想 の 原 点 に つ い て、 入 試 推 進 室 の 安 成
の大学教育の原型を作ったといわれるヴィル
合格発表
問題を解決に導く
「知」
の総合力こそ
大学で求められる真の学力といえる
理系
(実験室入試)
入試体制に、フンボルトの名を冠しました」
入学時に知の頂点に達して
い る 学 生 で な く、 こ れ ま で 学
んだ様々な知識を縦横に駆使
して自分の関心事を突き詰め
て い く、 あ る い は 社 会 に 出 て
その知識を応用していくポテ
ンシャルを持った学生を採り
たいという理念を基に発想し
たとも安成室長は語る。
東京大学大学院人文科学研究科修士
課 程 修 了、 博 士 課 程 中 退。 専 門 は 西
洋史学。東京大学文学部助手を経て、
1998年お茶の水女子大学文教育学部
助教授、2013年から教授。入試推進
室長として入試改革を担う。
5
6
Library
Laboratory
詳細については、
現在検討中
安成英樹 入試推進室長/教授
(お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科教授)
Episode 2
出願
新型AO入試
「新フンボルト入試」
の導入で
大学教育の質的転換に一石を投じる。
【特集】入試改革 ── お茶の水女子大学
してきた課題研究の発表を行わせ
る こ と も 検 討 し て い る。 こ れ ら に
よ っ て、 情 報 を 探 索 す る 力 や 論 理
力、 発 信 力 な ど を 多 面 的 に 評 価 す
た TOEFL などの試験結果や志願理 由 書・
た も の と す る と い う こ と。 併 せ て、 提 出 さ れ
受験生以外にも高校2年生や教員にも開かれ
でユニークなのは、高大接続という観点から、
ト の 書 き 方 と い っ た 複 数 の 授 業 を 受 講。 こ こ
間 開 催 す る。 そ こ で は、 情 報 の 検 索 や レ ポ ー
に先立ってプレゼミナールと呼ぶ講義を2日
り、 そ の 内 容・ 設 計 は か な り 画 期 的 だ。 選 考
「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 は、 新 型 の AO入 試
で あ る が、 高 大 接 続 を 強 く 意 識 し た も の で あ
る と い う。 い い 意 味 で と が っ た 学 生 が 入 る こ
に発言力があり能動的な学生が多い印象があ
一般入試の学生が真面目でおとなしいタイ
プ が 多 い な か で、AO 入 試 合 格 者 は、 全 般 的
とに大きな意味があるのです」
後には彼女たちが一般入試の学生に混じるこ
学 の 5 % に 満 た な い 数 字 で す。 し か し、 入 学
「 現 行 の AO入 試 の 募 集 人 員 を
倍 増 し ま す が、 そ れ で も 募 集 人 員 は
の力量が問われることになる。
逆に解答を組み立てる自身の本来
を 見 て も よ い と い う 形 に な る た め、
い 回 答 が 多 い。 学 生 の 追 跡 調 査 は 現 在 も 実 施
た 角 度 か ら 議 論 が で き た 」 な ど、 満 足 度 の 高
行うアンケートでも「面白かった」
「考えなかっ
「新フンボルト入試」には、そうした傾向が
よ り 強 い と い う。 現 行 の AO 入 試 の 試 験 後 に
人も、様々な個性ある経験が生きるでしょう」
校 生 活 を 送 っ た 人 も、 1 つ の 事 に 打 ち 込 ん だ
── 大 学 と は そ う い う 場 で す か ら。 多 彩 な 学
解がないかと考え続ける面白さを分かち合う
高大接続を強く意識した入試設計。
多様な講義で多角的に評価・選抜する
活動報告書などを使って第1次選考を行う。
とによる感応効果を期待しているとも安成室
る と い う。 文 系 な ら ば 図 書 館 で 何
続 く 3 日 間 に 渡 る 第 2 次 選 考 で は、 1 日 目
が英語による模擬授業とレポート作成、2、3
名。 全
日 目 は、 文 系 受 験 生 は 図 書 館 で、 理 系 受 験 生
横に生かす醍醐味を味わってもらうことにも
掴 み、 蓄 積 し て き た 知 識・ 発 掘 し た 情 報 を 縦
ご 縁 が な か っ た と し て も、 こ の 入 試 で 何 か を
「 現 行 の AO入 試 も そ う で す が、 受 験 自 体
が『教育の場』という面が強いのです。つまり、
同大学の髙﨑みどり理事・副学長はこう話す。
こうした個々の能力を多面的に評価する入
試は、選考側にも相当な負担が予想されるが、
へ の 期 待 は 大 き い。 さ ら な る 飛 躍 へ の 礎 と な
な取組として政府からも支援を受るこの入試
フ ン ボ ル ト 入 試 」 だ。 高 大 接 続 改 革 の 先 行 的
と い う 課 題 に 対 し て 出 し た 1 つ の 答 え が「 新
い る 中 で、 お 茶 の 水 女 子 大 学 が「 入 試 改 革 」
目 を 向 け つ つ あ り、 変 革 期 に あ る と い え る。
高 校 の 教 育 は、 徐 々 に 知 識 の 応 用 力 や 自 ら
働きかけるようなプレゼンテーション力にも
一 方、 社 会 か ら も 知 識 の 応 用 力 が 求 め ら れ て
意 味 が あ り ま す。 課 題 を 自 分 で 発 掘 し 解 き 方
﨑理事は語る。
入試の結果を、
知の応用追究という形で
「
知の応用追究」という流れを止めず他大学に
も材料として提供して分かち合いたいとも髙
今後の教育改革に生かしたい
生の追跡調査を引き続き丁寧に実施する予定。
し て い る が、 新 フ ン ボ ル ト 入 試 で 入 学 し た 学
長は話す。
め、 討 論、 面 接 を 実 施、 さ ら に は 高 校 で 実 践
は実験室を舞台にレポート作成と発表をはじ
お茶の水女子大学大学院人文科学研究
科修士課程修了。専門は日本語学。文
教 大 学、 東 京 女 子 医 科 大 学、 明 治 大
学教授などを経て、2004年お茶の水
女子大学文教育学部教授へ。2007年
大学院人間文化創成科学研究科教授
2015年理事・副学長に就任。教育担当
として同大学の教育改革に尽力する。
り、花開くことを見守りたい。
に 作 る 方 法 が な か っ た 。当 時 大 学 院 生
料 と し て 、窒 化 ガ リ ウ ム が 有 望 だ と 分
け が 困 難 を 極 め た。 青 色 LED の 原
木 先 生 や 平 松 和 政 先 生( 現・ 三 重 大
た か ら な ん で す。 研 究 室 に は 若 い 澤
知 工 業 大 学 教 授 )の 話 が 頭 に 残 っ て い
う と し た の は 、 澤 木 宣 彦 先 生 ( 現・愛
は 事 実 で す が 、私 が 低 い 温 度 で も や ろ
必要な温度まで上がらなくなったの
で は あ り ま せ ん 。 確 か に 実 験 中 、炉 が
て い る よ う で す が 、あ れ は 決 し て 偶 然
「窒化ガリウムの結晶化は偶然成功
したというエピソ―ドが広く伝わっ
くれた。
の時のことを天野さんはこう話して
天野 浩
7
髙﨑みどり 理事・副学長(教育担当)
も 自 分 で 工 夫 し て、 解 を 出 せ て も な お、 他 の
れ 、今 や 我 々 の 生 活 に 欠 く こ と の で き
だった天野さんは赤﨑研究室で数千
21
名古屋大学大学院工学研究科教授
大切なのは自分で考え、
その実現に向け全力を尽くすこと。
2014年、青色発光ダイオード(LED)の
開発で、名城大学の赤﨑勇さん、カリフォル
ニア大学の中村修二さんとともにノーベル
物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩さ
ん。実 験 に 明 け 暮 れ る 日 々 は 大 変 な こ と も
あったが、楽しかったと笑顔で語る天野さん
に、青色LED開発にかけた思いと次代を担
う学生に向けてのアド バ イ ス を お 聞 き し た 。
青色LE D の 発 見 は 決 し て
偶然では な い 。 侃 々 諤 々 の
日々の議 論 か ら 生 ま れ た
LED と は 発 光 ダ イ オ ー ド、 つ ま
り電圧をかけた際に発光する半導体
ないものになっている。
年に緑
回 に 及 ぶ 実 験 を 重 ね 、日 々 失 敗 の 連 続
スウェーデン王立科学アカデミー
が「 彼 ら の 発 明 は 革 命 的。 白 熱 電 球
のこと。1962年に赤色、
だ っ た と い う 。 そ ん な あ る 日 、そ の 大
か っ て は い た が 、高 品 質 の 結 晶 を 確 実
LED ラ ン プ に よ っ て 灯 さ れ て い く
色 が 実 用 化 さ れ、 光 の 3 原 色 が 揃 え
世紀は
だ ろ う 」 と 賞 賛 し た と お り 、天 野 さ ん
ば 、全 て の 色 を 作 り 出 す こ と が 可 能 な
世 紀 を 灯 し て き た が、
た ち が 開 発 し た 青 色 LED は、 照 明
き な 壁 を 打 ち 破 る 出 来 事 が 起 こ る 。そ
は
の 他 、ス マ ー ト フ ォ ン な ど 携 帯 電 話 や
の だ が、 残 る 青 色 の LED の 開 発 だ
20
8
20
DVD 等 の 大 容 量 記 録 媒 体 に 活 か さ
68
【特集】入試改革──お茶の水女子大学
してきた課題研究の発表を行わせ
る こ と も 検 討 し て い る。 こ れ ら に
よ っ て、 情 報 を 探 索 す る 力 や 論 理
力、 発 信 力 な ど を 多 面 的 に 評 価 す
た TOEFL などの試験結果や志願理 由 書・
た も の と す る と い う こ と。 併 せ て、 提 出 さ れ
受験生以外にも高校2年生や教員にも開かれ
でユニークなのは、高大接続という観点から、
ト の 書 き 方 と い っ た 複 数 の 授 業 を 受 講。 こ こ
間 開 催 す る。 そ こ で は、 情 報 の 検 索 や レ ポ ー
に先立ってプレゼミナールと呼ぶ講義を2日
り、 そ の 内 容・ 設 計 は か な り 画 期 的 だ。 選 考
「 新 フ ン ボ ル ト 入 試 」 は、 新 型 の AO入 試
で あ る が、 高 大 接 続 を 強 く 意 識 し た も の で あ
る と い う。 い い 意 味 で と が っ た 学 生 が 入 る こ
に発言力があり能動的な学生が多い印象があ
一般入試の学生が真面目でおとなしいタイ
プ が 多 い な か で、AO 入 試 合 格 者 は、 全 般 的
とに大きな意味があるのです」
後には彼女たちが一般入試の学生に混じるこ
学 の 5 % に 満 た な い 数 字 で す。 し か し、 入 学
「 現 行 の AO入 試 の 募 集 人 員 を
倍 増 し ま す が、 そ れ で も 募 集 人 員 は
の力量が問われることになる。
逆に解答を組み立てる自身の本来
を 見 て も よ い と い う 形 に な る た め、
い 回 答 が 多 い。 学 生 の 追 跡 調 査 は 現 在 も 実 施
た 角 度 か ら 議 論 が で き た 」 な ど、 満 足 度 の 高
行うアンケートでも「面白かった」
「考えなかっ
「新フンボルト入試」には、そうした傾向が
よ り 強 い と い う。 現 行 の AO 入 試 の 試 験 後 に
人も、様々な個性ある経験が生きるでしょう」
校 生 活 を 送 っ た 人 も、 1 つ の 事 に 打 ち 込 ん だ
── 大 学 と は そ う い う 場 で す か ら。 多 彩 な 学
解がないかと考え続ける面白さを分かち合う
高大接続を強く意識した入試設計。
多様な講義で多角的に評価・選抜する
活動報告書などを使って第1次選考を行う。
とによる感応効果を期待しているとも安成室
る と い う。 文 系 な ら ば 図 書 館 で 何
続 く 3 日 間 に 渡 る 第 2 次 選 考 で は、 1 日 目
が英語による模擬授業とレポート作成、2、3
名。 全
日 目 は、 文 系 受 験 生 は 図 書 館 で、 理 系 受 験 生
横に生かす醍醐味を味わってもらうことにも
掴 み、 蓄 積 し て き た 知 識・ 発 掘 し た 情 報 を 縦
ご 縁 が な か っ た と し て も、 こ の 入 試 で 何 か を
「 現 行 の AO入 試 も そ う で す が、 受 験 自 体
が『教育の場』という面が強いのです。つまり、
同大学の髙﨑みどり理事・副学長はこう話す。
こうした個々の能力を多面的に評価する入
試は、選考側にも相当な負担が予想されるが、
へ の 期 待 は 大 き い。 さ ら な る 飛 躍 へ の 礎 と な
な取組として政府からも支援を受るこの入試
フ ン ボ ル ト 入 試 」 だ。 高 大 接 続 改 革 の 先 行 的
と い う 課 題 に 対 し て 出 し た 1 つ の 答 え が「 新
い る 中 で、 お 茶 の 水 女 子 大 学 が「 入 試 改 革 」
目 を 向 け つ つ あ り、 変 革 期 に あ る と い え る。
高 校 の 教 育 は、 徐 々 に 知 識 の 応 用 力 や 自 ら
働きかけるようなプレゼンテーション力にも
一 方、 社 会 か ら も 知 識 の 応 用 力 が 求 め ら れ て
意 味 が あ り ま す。 課 題 を 自 分 で 発 掘 し 解 き 方
﨑理事は語る。
入試の結果を、
知の応用追究という形で
「
知の応用追究」という流れを止めず他大学に
も材料として提供して分かち合いたいとも髙
今後の教育改革に生かしたい
生の追跡調査を引き続き丁寧に実施する予定。
し て い る が、 新 フ ン ボ ル ト 入 試 で 入 学 し た 学
長は話す。
め、 討 論、 面 接 を 実 施、 さ ら に は 高 校 で 実 践
は実験室を舞台にレポート作成と発表をはじ
お茶の水女子大学大学院人文科学研究
科修士課程修了。専門は日本語学。文
教 大 学、 東 京 女 子 医 科 大 学、 明 治 大
学教授などを経て、2004年お茶の水
女子大学文教育学部教授へ。2007年
大学院人間文化創成科学研究科教授
2015年理事・副学長に就任。教育担当
として同大学の教育改革に尽力する。
り、花開くことを見守りたい。
に 作 る 方 法 が な か っ た 。当 時 大 学 院 生
料 と し て 、窒 化 ガ リ ウ ム が 有 望 だ と 分
け が 困 難 を 極 め た。 青 色 LED の 原
木 先 生 や 平 松 和 政 先 生( 現・ 三 重 大
た か ら な ん で す。 研 究 室 に は 若 い 澤
知 工 業 大 学 教 授 )の 話 が 頭 に 残 っ て い
う と し た の は 、 澤 木 宣 彦 先 生 ( 現・愛
は 事 実 で す が 、私 が 低 い 温 度 で も や ろ
必要な温度まで上がらなくなったの
で は あ り ま せ ん 。 確 か に 実 験 中 、炉 が
て い る よ う で す が 、あ れ は 決 し て 偶 然
「窒化ガリウムの結晶化は偶然成功
したというエピソ―ドが広く伝わっ
くれた。
の時のことを天野さんはこう話して
天野 浩
7
髙﨑みどり 理事・副学長(教育担当)
も 自 分 で 工 夫 し て、 解 を 出 せ て も な お、 他 の
れ 、今 や 我 々 の 生 活 に 欠 く こ と の で き
だった天野さんは赤﨑研究室で数千
21
名古屋大学大学院工学研究科教授
大切なのは自分で考え、
その実現に向け全力を尽くすこと。
2014年、青色発光ダイオード(LED)の
開発で、名城大学の赤﨑勇さん、カリフォル
ニア大学の中村修二さんとともにノーベル
物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩さ
ん。実 験 に 明 け 暮 れ る 日 々 は 大 変 な こ と も
あったが、楽しかったと笑顔で語る天野さん
に、青色LED開発にかけた思いと次代を担
う学生に向けてのアド バ イ ス を お 聞 き し た 。
青色LE D の 発 見 は 決 し て
偶然では な い 。 侃 々 諤 々 の
日々の議 論 か ら 生 ま れ た
LED と は 発 光 ダ イ オ ー ド、 つ ま
り電圧をかけた際に発光する半導体
ないものになっている。
年に緑
回 に 及 ぶ 実 験 を 重 ね 、日 々 失 敗 の 連 続
スウェーデン王立科学アカデミー
が「 彼 ら の 発 明 は 革 命 的。 白 熱 電 球
のこと。1962年に赤色、
だ っ た と い う 。 そ ん な あ る 日 、そ の 大
か っ て は い た が 、高 品 質 の 結 晶 を 確 実
LED ラ ン プ に よ っ て 灯 さ れ て い く
色 が 実 用 化 さ れ、 光 の 3 原 色 が 揃 え
世紀は
だ ろ う 」 と 賞 賛 し た と お り 、天 野 さ ん
ば 、全 て の 色 を 作 り 出 す こ と が 可 能 な
世 紀 を 灯 し て き た が、
た ち が 開 発 し た 青 色 LED は、 照 明
き な 壁 を 打 ち 破 る 出 来 事 が 起 こ る 。そ
は
の 他 、ス マ ー ト フ ォ ン な ど 携 帯 電 話 や
の だ が、 残 る 青 色 の LED の 開 発 だ
20
8
20
DVD 等 の 大 容 量 記 録 媒 体 に 活 か さ
68
【特集】入試改革──お茶の水女子大学
の中で澤木先生がヒントになるよう
侃 々 諤 々 。そ う し た デ ィ ス カ ッ シ ョ ン
分 か ら 議 論 を 吹 き か け て み た り 、毎 日
な 話 を し て く だ さ い ま し た 。時 に は 自
学 教 授 ) な ど が 所 属 さ れ て お り 、色 々
発展につながったわけです」
に よ り 製 品 化 さ れ、 今 日 の L E D の
し 、こ の 後 、多 く の 研 究 者 や 企 業 の 力
一 緒 に『 低 温 バ ッ フ ァ 層 技 術 』を 開 発
せ ん で し た か ら 。こ こ か ら 赤 﨑 先 生 と
本当に実現できるとは思ってもみま
て 、グ ロ ー バ ル な 問 題 、地 球 規 模 の 問
せ ん で し た 。今 は 少 し 視 野 が 広 く な っ
使われるようになるとは思っていま
ん で す。 ま さ か LED が 照 明 に ま で
いというのがモチベーションだった
れ を 何 と か 小 さ く し た い、 薄 く し た
だ っ た の で、 こ
常に大きなもの
し か な く て、 非
イはブラ ウ ン 管
当時、ディスプレ
レイなんですね。
の は、ディ ス プ
頃 に考 えて い た
「 青 色 L ED
に 関し て 学 生 の
と言う。
会に活かしたい
進 め、 そ れ を 社
さらなる研究を
の青色 L E D の
さ ん は 今 後、 こ
れ て い る。 天 野
の活用が期待さ
ネルギー問題へ
模で拡大するエ
を 広 げ、 地 球 規
よ っ て 、効 率 を 上 げ て い ま す 。 現 状 は
を3層とか4層組み合わせることに
は 多 接 合 太 陽 電 池 と い っ て 、違 う 材 料
池 で す ね 。 今 、最 も 高 性 能 な 太 陽 電 池
す 。光 を 電 力 に す る 。要 す る に 太 陽 電
ま た LED は 電 力 を 光 に 変 換 す る
も の で す が、 そ の 逆 も で き る わ け で
す。
現できるのではないかと思っていま
で 、そ の う ち の 半 分 以 上 の 省 エ ネ が 実
の約
年前までに発電していた割合が全体
から
の省エネ効果の7%と合わせると
効果を
待 で き ま す 。名 古 屋 大 学 の グ ル ー プ で
な く で き る の で 、高 い 省 エ ネ 効 果 を 期
損 失 が 1 / 6 以 下 、1 /
パ ワ ― ト ラ ン ジ ス タ と 比 べ て 理 論 上、
使 う と 、従 来 使 わ れ て い る シ リ コ ン の
する回路の中のトランジスタとして
流 に 変 換 す る と か 、交 流 を 直 流 に 変 換
う と 考 え て い ま す 。 例 え ば 、直 流 を 交
料 な の で 、何 と か 省 エ ネ を 実 用 化 し よ
に、LED は 非 常 に 可 能 性 の 高 い 材
消 費 で 、よ り 快 適 な 生 活 を 実 現 す る の
程度まで少
な こ と を 話 し て く だ さ っ た の で 、そ れ
はこのパワーデバイスによる省エネ
% と 試 算 し て い て、LED
% ぐ ら い で す 。原 発 が 2 0 1 1
えるような非常に効率の高い太陽電
き る よ う に な れ ば 、例 え ば 家 1 軒 分 賄
当 に 驚 き ま し た 。ま さ か こ ん な 方 法 で
全部自分で考えてくれるというのを
る 程 度 方 向 性 さ え 伝 え れ ば、 あ と は
人 ひ と り が し っ か り し て い る の で 、あ
い と 思 い ま す 。そ れ に 最 近 の 学 生 は 1
青 色 LED は 様 々 な 分 野 で 可 能 性
自分の思う存分やって欲しいと思い
で き る 立 場 だ か ら 、時 間 が か か っ て も
い 。せ っ か く 大 学 に 入 っ て 自 由 に 研 究
え、 工 夫 を し な が ら 取 り 組 ん で 欲 し
研 究 し て い る の は 、少 な い エ ネ ル ギ ー
が 得 ら れ る と 試 算 さ れ て い ま す。 今、
2020年までに7%の省エネ効果
れ ば、 日 本 で は LED 照 明 に よ っ て
う に な り ま し た。 シ ン ク タ ン ク に よ
題に何か貢献できないかと考えるよ
い こ と な ん で し ょ う け れ ど 、我 々 の 世
ま す 。 情 報 が 安 易 に 手 に 入 る の は 、良
そ れ 以 上 考 え な い と い う 、印 象 を 受 け
は な い の に、 そ れ が 頭 の 中 に 入 っ て、
系を工夫して大面積で作ることがで
は 作 れ ま せ ん。 そ れ を LED の 材 料
ら効率が高くてもあまり多くの電力
小 さ く 、レ ン ズ で 集 光 す る の で 、い く
で す。 た だ し 1、2 セ ン チ 角 と す ご く
数%というのが世界トップの効率
% で す の で 、こ の 新 し い 材 料 系
池 が 理 論 上 で き る ん で す よ 。そ の 実 現
代 は 、全 部 図 書 館 な ど で 探 し ま し た か
リ ウ ム の 結 晶 が で き 上 が っ た の で 、本
す 。 で も そ の 結 果 、無 色 透 明 な 窒 化 ガ
な く 、し っ か り と 考 え て や っ た わ け で
然 と か 、た ま た ま そ う な っ た わ け で は
を目指す研究も進めています」
ます」
は 、や は り 自 分 の 力 で 考 え る と い う こ
と で す 。そ れ は ど の 学 生 に も 口 を 酸 っ
ぱくして言ってます。
ら。 若 い 人 た ち も 色 々 な 問 題 意 識 を
持 っ て い る と 思 う の で 、ま ず 自 分 の で
き る こ と を 考 え、 テ ー マ 設 定 を し て、
マ 数 が 減 っ た た め 、学 生 と 話 し 合 う 時
名 古 屋 大 学 に 戻 っ た と こ ろ 、講 義 の コ
そ れ は そ れ で 良 か っ た の で す が 、再 び
と で 若 い 世 代 の 人 達 が 育 っ て く れ て、
し て 学 生 に 任 せ た の で す 。そ う す る こ
す る の は な か な か 難 し く 、何 と か 指 導
る わ け で す 。そ う し た 中 で 研 究 に 集 中
× 5 で す ね 。要 す る に 毎 日 講 義 し て い
の 授 業 を や っ て い ま し た 。1 日 2 コ マ
い時には半期のセメスターで
ま し た 。 私 が 名 城 大 学 に い た 時 は 、多
時間とか労力というのはだいぶ違い
験 し た の で す が 、教 員 の 研 究 に 対 す る
「私は赤﨑先生とともに名城大学に
移 っ た の で 、国 立 大 学 と 私 立 大 学 を 体
ての努力も伺ってみた。
コマ
に 、有 能 な 研 究 者 を 育 て る 教 育 者 と し
ノーベル賞受賞後も研究に邁進す
る 天 野 さ ん だ が、 自 ら の 研 究 と と も
の 場 合、そ れ が 非 常 に
受 け 継 が れ て い て、 私
﨑研究室にもしっかり
てみるという伝統が赤
ないことは自分で試し
イ ル な の で す。 分 か ら
始めるという研究スタ
す が、 一 か ら す べ て を
タラジオを作った方で
マニウムのトランジス
で 、有 住 徹 弥 先 生 は 日 本 で 初 め て ゲ ル
後まもなくスタートした有住研究室
た。 そ も そ も 赤 﨑 研 究 室 の 前 身 は 戦
い時もスピーディーに対応できまし
た し 、い ろ い ろ 改 造 し な け れ ば い け な
置 を 作 る か ら 、装 置 の こ と も 理 解 で き
ら 自 分 で 作 ら ざ る を 得 な い 。自 分 で 装
い ま し た 。必 然 的 に 装 置 は 買 え な い か
300万円くらいの予算で研究を行
が か か っ た ん で す よ。 研 究 室 で 年 間
て き て し ま う の で す 。そ れ が す べ て で
ソ コ ン で 検 索 す れ ば 、必 要 な 情 報 が 出
「今の学生と我々の頃との一番の違
い は 、や は り イ ン タ ー ネ ッ ト で す 。 パ
最後に今の学生に期待することを
尋ねてみた。
員にぶつけて欲しいと思います」
す か ら 、是 非 そ の よ う な こ と を 大 学 教
はそれを全力でサポートする立場で
ターネットを超えるようなものをど
そ の 課 題 解 決 、実 現 に 向 っ て 全 力 で 取
間 が 多 く 取 れ る よ う に な り ま し た 。私
役 に 立 っ た と 思 い ま す。
1960年静岡県浜松市生まれ。工学博士。専門は電子・電
気材科。1983年名古屋大学工学部電子工学科卒業。同
大学大学院工学研究科博士課程前期課程2年の時、赤
﨑勇研究室で世界初の窒化ガリウムの高品質結晶化に
成功。88年博士課程後期課程単位修得退学後、同大学
工学部助手を務め、翌年工学博士の学位取得。92年、
名城大学理工学部講師に着任。助教授、教授を務める。
1998年英国ランク賞受賞。2010年から名古屋大学大
学院工学研究科教授。青色発光ダイオード開発の業績
により2014年、赤﨑勇、中村修二の両名とともにノー
ベル物理学賞受賞。
現在は、名古屋大学赤﨑記念研究セ
ンター長、
浜松科学館名誉館長などを務める。
う や っ て 生 み 出 し て い く か と か 。我 々
食 料 問 題 、エ ネ ル ギ ー 問 題 と か 、イ ン
り 組 ん で 欲 し い 。 環 境 問 題 、健 康 問 題 、
も そ う で し た が 、研 究 に お い て デ ィ ス
だから今の学生にも失
そ れ と も う 1 点、 昔 は 研 究 費 が 少
な く、 科 研 費 が 通 る の に か な り 時 間
カ ッ シ ョ ン は と て も 重 要 で す 。教 員 と
学生はまず自分で考え、
テ ー マ を 設 定 し て、 そ の 解 決、
実現に向け突き進んで欲しい
感 じ ま す。 私 が 大 事 に し て い る こ と
を 試 し て み た ん で す 。だ か ら 決 し て 偶
10
学生が一緒に研究を進めるという点
国立大学 の 良 さ は 研 究 に
集中でき る こ と 。 学 生 と 教 員 が
親密に研 究 を 進 め ら れ る
LEDは無限の可能性を持つ。
さらに研究を進め、
エネルギー問題に貢献したい
16
9.8
17
30
敗 を 恐 れ ず、 自 分 で 考
天野 浩(あまの ひろし)
9
10
40
で は 、国 立 大 学 の シ ス テ ム は 非 常 に 良
10
の中で澤木先生がヒントになるよう
侃 々 諤 々 。そ う し た デ ィ ス カ ッ シ ョ ン
分 か ら 議 論 を 吹 き か け て み た り 、毎 日
な 話 を し て く だ さ い ま し た 。時 に は 自
学 教 授 ) な ど が 所 属 さ れ て お り 、色 々
発展につながったわけです」
に よ り 製 品 化 さ れ、 今 日 の L E D の
し 、こ の 後 、多 く の 研 究 者 や 企 業 の 力
一 緒 に『 低 温 バ ッ フ ァ 層 技 術 』を 開 発
せ ん で し た か ら 。こ こ か ら 赤 﨑 先 生 と
本当に実現できるとは思ってもみま
て 、グ ロ ー バ ル な 問 題 、地 球 規 模 の 問
せ ん で し た 。今 は 少 し 視 野 が 広 く な っ
使われるようになるとは思っていま
ん で す。 ま さ か LED が 照 明 に ま で
いというのがモチベーションだった
れ を 何 と か 小 さ く し た い、 薄 く し た
だ っ た の で、 こ
常に大きなもの
し か な く て、 非
イはブラ ウ ン 管
当時、ディスプレ
レイなんですね。
の は、ディ ス プ
頃 に考 えて い た
「 青 色 L ED
に 関し て 学 生 の
と言う。
会に活かしたい
進 め、 そ れ を 社
さらなる研究を
の青色 L E D の
さ ん は 今 後、 こ
れ て い る。 天 野
の活用が期待さ
ネルギー問題へ
模で拡大するエ
を 広 げ、 地 球 規
よ っ て 、効 率 を 上 げ て い ま す 。 現 状 は
を3層とか4層組み合わせることに
は 多 接 合 太 陽 電 池 と い っ て 、違 う 材 料
池 で す ね 。 今 、最 も 高 性 能 な 太 陽 電 池
す 。光 を 電 力 に す る 。要 す る に 太 陽 電
ま た LED は 電 力 を 光 に 変 換 す る
も の で す が、 そ の 逆 も で き る わ け で
す。
現できるのではないかと思っていま
で 、そ の う ち の 半 分 以 上 の 省 エ ネ が 実
の約
年前までに発電していた割合が全体
から
の省エネ効果の7%と合わせると
効果を
待 で き ま す 。名 古 屋 大 学 の グ ル ー プ で
な く で き る の で 、高 い 省 エ ネ 効 果 を 期
損 失 が 1 / 6 以 下 、1 /
パ ワ ― ト ラ ン ジ ス タ と 比 べ て 理 論 上、
使 う と 、従 来 使 わ れ て い る シ リ コ ン の
する回路の中のトランジスタとして
流 に 変 換 す る と か 、交 流 を 直 流 に 変 換
う と 考 え て い ま す 。 例 え ば 、直 流 を 交
料 な の で 、何 と か 省 エ ネ を 実 用 化 し よ
に、LED は 非 常 に 可 能 性 の 高 い 材
消 費 で 、よ り 快 適 な 生 活 を 実 現 す る の
程度まで少
な こ と を 話 し て く だ さ っ た の で 、そ れ
はこのパワーデバイスによる省エネ
% と 試 算 し て い て、LED
% ぐ ら い で す 。原 発 が 2 0 1 1
えるような非常に効率の高い太陽電
き る よ う に な れ ば 、例 え ば 家 1 軒 分 賄
当 に 驚 き ま し た 。ま さ か こ ん な 方 法 で
全部自分で考えてくれるというのを
る 程 度 方 向 性 さ え 伝 え れ ば、 あ と は
人 ひ と り が し っ か り し て い る の で 、あ
い と 思 い ま す 。そ れ に 最 近 の 学 生 は 1
青 色 LED は 様 々 な 分 野 で 可 能 性
自分の思う存分やって欲しいと思い
で き る 立 場 だ か ら 、時 間 が か か っ て も
い 。せ っ か く 大 学 に 入 っ て 自 由 に 研 究
え、 工 夫 を し な が ら 取 り 組 ん で 欲 し
研 究 し て い る の は 、少 な い エ ネ ル ギ ー
が 得 ら れ る と 試 算 さ れ て い ま す。 今、
2020年までに7%の省エネ効果
れ ば、 日 本 で は LED 照 明 に よ っ て
う に な り ま し た。 シ ン ク タ ン ク に よ
題に何か貢献できないかと考えるよ
い こ と な ん で し ょ う け れ ど 、我 々 の 世
ま す 。 情 報 が 安 易 に 手 に 入 る の は 、良
そ れ 以 上 考 え な い と い う 、印 象 を 受 け
は な い の に、 そ れ が 頭 の 中 に 入 っ て、
系を工夫して大面積で作ることがで
は 作 れ ま せ ん。 そ れ を LED の 材 料
ら効率が高くてもあまり多くの電力
小 さ く 、レ ン ズ で 集 光 す る の で 、い く
で す。 た だ し 1、2 セ ン チ 角 と す ご く
数%というのが世界トップの効率
% で す の で 、こ の 新 し い 材 料 系
池 が 理 論 上 で き る ん で す よ 。そ の 実 現
代 は 、全 部 図 書 館 な ど で 探 し ま し た か
リ ウ ム の 結 晶 が で き 上 が っ た の で 、本
す 。 で も そ の 結 果 、無 色 透 明 な 窒 化 ガ
な く 、し っ か り と 考 え て や っ た わ け で
然 と か 、た ま た ま そ う な っ た わ け で は
を目指す研究も進めています」
ます」
は 、や は り 自 分 の 力 で 考 え る と い う こ
と で す 。そ れ は ど の 学 生 に も 口 を 酸 っ
ぱくして言ってます。
ら。 若 い 人 た ち も 色 々 な 問 題 意 識 を
持 っ て い る と 思 う の で 、ま ず 自 分 の で
き る こ と を 考 え、 テ ー マ 設 定 を し て、
マ 数 が 減 っ た た め 、学 生 と 話 し 合 う 時
名 古 屋 大 学 に 戻 っ た と こ ろ 、講 義 の コ
そ れ は そ れ で 良 か っ た の で す が 、再 び
と で 若 い 世 代 の 人 達 が 育 っ て く れ て、
し て 学 生 に 任 せ た の で す 。そ う す る こ
す る の は な か な か 難 し く 、何 と か 指 導
る わ け で す 。そ う し た 中 で 研 究 に 集 中
× 5 で す ね 。要 す る に 毎 日 講 義 し て い
の 授 業 を や っ て い ま し た 。1 日 2 コ マ
い時には半期のセメスターで
ま し た 。 私 が 名 城 大 学 に い た 時 は 、多
時間とか労力というのはだいぶ違い
験 し た の で す が 、教 員 の 研 究 に 対 す る
「私は赤﨑先生とともに名城大学に
移 っ た の で 、国 立 大 学 と 私 立 大 学 を 体
ての努力も伺ってみた。
コマ
に 、有 能 な 研 究 者 を 育 て る 教 育 者 と し
ノーベル賞受賞後も研究に邁進す
る 天 野 さ ん だ が、 自 ら の 研 究 と と も
の 場 合、そ れ が 非 常 に
受 け 継 が れ て い て、 私
﨑研究室にもしっかり
てみるという伝統が赤
ないことは自分で試し
イ ル な の で す。 分 か ら
始めるという研究スタ
す が、 一 か ら す べ て を
タラジオを作った方で
マニウムのトランジス
で 、有 住 徹 弥 先 生 は 日 本 で 初 め て ゲ ル
後まもなくスタートした有住研究室
た。 そ も そ も 赤 﨑 研 究 室 の 前 身 は 戦
い時もスピーディーに対応できまし
た し 、い ろ い ろ 改 造 し な け れ ば い け な
置 を 作 る か ら 、装 置 の こ と も 理 解 で き
ら 自 分 で 作 ら ざ る を 得 な い 。自 分 で 装
い ま し た 。必 然 的 に 装 置 は 買 え な い か
300万円くらいの予算で研究を行
が か か っ た ん で す よ。 研 究 室 で 年 間
て き て し ま う の で す 。そ れ が す べ て で
ソ コ ン で 検 索 す れ ば 、必 要 な 情 報 が 出
「今の学生と我々の頃との一番の違
い は 、や は り イ ン タ ー ネ ッ ト で す 。 パ
最後に今の学生に期待することを
尋ねてみた。
員にぶつけて欲しいと思います」
す か ら 、是 非 そ の よ う な こ と を 大 学 教
はそれを全力でサポートする立場で
ターネットを超えるようなものをど
そ の 課 題 解 決 、実 現 に 向 っ て 全 力 で 取
間 が 多 く 取 れ る よ う に な り ま し た 。私
役 に 立 っ た と 思 い ま す。
1960年静岡県浜松市生まれ。工学博士。専門は電子・電
気材科。1983年名古屋大学工学部電子工学科卒業。同
大学大学院工学研究科博士課程前期課程2年の時、赤
﨑勇研究室で世界初の窒化ガリウムの高品質結晶化に
成功。88年博士課程後期課程単位修得退学後、同大学
工学部助手を務め、翌年工学博士の学位取得。92年、
名城大学理工学部講師に着任。助教授、教授を務める。
1998年英国ランク賞受賞。2010年から名古屋大学大
学院工学研究科教授。青色発光ダイオード開発の業績
により2014年、赤﨑勇、中村修二の両名とともにノー
ベル物理学賞受賞。
現在は、名古屋大学赤﨑記念研究セ
ンター長、
浜松科学館名誉館長などを務める。
う や っ て 生 み 出 し て い く か と か 。我 々
食 料 問 題 、エ ネ ル ギ ー 問 題 と か 、イ ン
り 組 ん で 欲 し い 。 環 境 問 題 、健 康 問 題 、
も そ う で し た が 、研 究 に お い て デ ィ ス
だから今の学生にも失
そ れ と も う 1 点、 昔 は 研 究 費 が 少
な く、 科 研 費 が 通 る の に か な り 時 間
カ ッ シ ョ ン は と て も 重 要 で す 。教 員 と
学生はまず自分で考え、
テ ー マ を 設 定 し て、 そ の 解 決、
実現に向け突き進んで欲しい
感 じ ま す。 私 が 大 事 に し て い る こ と
を 試 し て み た ん で す 。だ か ら 決 し て 偶
10
学生が一緒に研究を進めるという点
国立大学 の 良 さ は 研 究 に
集中でき る こ と 。 学 生 と 教 員 が
親密に研 究 を 進 め ら れ る
LEDは無限の可能性を持つ。
さらに研究を進め、
エネルギー問題に貢献したい
16
9.8
17
30
敗 を 恐 れ ず、 自 分 で 考
天野 浩(あまの ひろし)
9
10
40
で は 、国 立 大 学 の シ ス テ ム は 非 常 に 良
10
中心となり、
「『北 陸メッセに向けて』Matching
HUB Kanazawa 2015」を金沢市内で開催した。
大学、企業、行政・支援機関、金融機関の連携
で地域の企業ニーズに合った技術シーズを紹介し、
ビジネスチャンスを広げることを目的としたこのイ
ベントには、700名以上が参加し、国公私 立13
神戸大学学生ボランティア支援室が実施してい
月から延べ1,000人以上の学生、教職員を岩手県
数人を乗せ、神戸から約16時間かけて現地へ向
講演やパネル出展者が会場にて行う
「1分間プレゼ
ン」も行われた。回を重ねるごとに出展者・参加者
が増え、さらなる内容の充実が期待される。
かう。当初は宿舎が確保できず、遠野市から片道
1時間半かけて通ったが、活動の縁で、陸前高田
市内の公民館を拠点に直接活動できるようになっ
た。2年目には大槌・釜石キャンプを設置し、陸前
高田キャンプとの2拠点態勢とした。活動内容は、
肉体労働中心の「ハード事業」から、対人的な「ソ
フト事業」へと移りつつある。中心となるのは足湯
と手芸活動「まけないぞう」。いずれも「個人と個人
2015年2月、第1回未来先端研究機構国際シンポ
連医療機関マサチューセッツ総合病院、スウェーデ
ンのカロリンスカ研究所、ベルギーのリエージュ大学
などの研究者による講演や討論が行われ、盛況のう
ちに幕を閉じた。
学長のリーダーシップのもと、機動的・戦略的運営
を行うとともに、世界トップレベルの研究者からな
る国際アドバイザリーボードを設置。ここから世界
的な研究成果が創出され、世界レベルの研究拠点と
なることを目指している。
12
開催するほか、記念碑の建立や記念植樹を計
画している。新設する小島町地区の「100周
年キャンパス」
には、留学生と日本人学生が交
「第3回国連防災世界会議」が開催され、同大学では
会場の提供、学生ボランティアの派遣などのほか、こ
れまでの復興の取組を発信するため、50数件のシン
ポジウムやセミナー等を実施した。そのうち「東北大
学復興シンポジウム」では、潘基文国連事務総長から、
同大学への設置が決まった「災害統計グローバルセ
ンター」に対し
“新たなグローバル災害リスク削減に向
けた取組として大変期待している”
との言葉を受けた。
これを一つの契機に、東北大学は地域社会との連
携のもと、東北の復興と日本の新生を力強く推進し、
世界の防災・減災の発展に貢献していく。
特別講演を行った潘基文国連事務総長(右)と
里見進東北大学総長。
生まで4レベルの講座がある。講師はベテランの日
本人及び外国人講師で、学生の負担は数回のテス
ト料金のみ。初年度は約400名の申し込みがあり、
プレイスメントテストでレベル分けをし、週74コマ
の授業の中から各自2コマ(各50分)を通年48回
今後、学生のみならず現職小学校教員も含め、
クでエキサイティングなキャンパスとして、さ
学。2015年3月、仙台市で過去最大規模の国際会議
参加する。英語が苦手な学生から留学を目指す学
プットしてきた英語をアウトプットする場となる。
2017年3月に竣工する予定だ。今後もユニー
興に向け多種多様な活動に取り組んできた東北大
大学内の英会話学校で、授業の空き時間を使って
受講する。授業はテキストを使用せず、長年イン
英語コミュニケーション力をアップする場として活
用することが期待されている。
山口大 学と鹿児 島大 学は2012年、国立 大 学
では初めてとなる共同獣医学部を設置した。その
教育理念は、国際水準の獣医学教育を体系的に
創出・実践し,専門性の高い獣医師を養成するこ
とにある。山口大学ではこの理念を実行するため、
2015年3月、
「iCOVER(International Center
of Veterinary Education and Research)」を
新設した。
センターには、形態学系実習室、機能学系実習
室、感染症学系実習室を備え、欧米水準の獣医
学教育に対応した獣医学教育プログラムの開発を
行うとともに、基礎研究から応用・臨床研究へ至る
研究の育成と促進が可能となっている。
C
山口大学
ジウムを開催。参画する米国のハーバード大学の関
式典、祝賀会、シンポジウム、講演会などを
の共同研究を活性化する共同研究施設棟が
東北大学
バルな環境下での研究を推進している。
2018年には創立100周年を迎え、記念の
期待される「獣医学国際教育研究センター( iCOVER
)」
。
を図っている。さらに、海外から研究者を招き、グロー
学と名称を改め、1952年に調布へ移転した。
習得院」。英語コミュニケーション力向上のための、
大学と市民との活発な地域・国際交流の場
「インターナショナル アワー」
分泌代謝・シグナル学の2つの分野での研究の充実
世界に開かれた
国際的研究拠点を目指す
「未来先端研究機構」
構」では、重粒子線治療を核とした統合腫瘍学と内
線電信講習所と改称。1949年に電気通信大
流できる学生寮や、産業界や海外の研究者と
東日本大震災の被災地にある総合大学として、復
大学内にオープンした
英会話学校
「英語習得院」
2015年春、福岡教育大学にオープンした「英語
2年後に目黒に校舎を移し、
1945年に中央無
世界水準の獣医学教育プログラムを作成する
)
」
「獣医学国際教育研究センター( iCOVER
群馬大学
キックオフシンポジウムでの
パネルディスカッションの様子。
群馬大学が2014年度に設立した
「未来先端研究機
所として東京市麻布区飯倉町に産声を上げ、
らなる発展を目指していく。
「第3回国連防災世界会議」
を契機に
東北の復興から世界の防災・減災へ
の関係」を築くツールとして活用されている。
出展パネル会場を訪れる来場者。
神戸大学
沿岸部に派遣してきた。バスに定員いっぱいの40
ら166ブースの出展があった。企業経営者の特別
電気通信大学は、1918年に無線電信講習
電気通信大学
る「神戸大学東北ボランティアバス」。2011年の4
大学のほか、海外も含め企業、研究機関、大学か
プレイスメントテストを受ける学生たち。
地域住民から絵手紙を教わる留学生。
北見工業大学
北見工業大学では留学生、日本人学生、教
職員、市民との交流の場として、
「インターナ
ショナルCアワー」を 毎月開 催して い る。C
アワーの“C”は、Conversation, Culture,
Cookie, Coffeeなどの意味で、気軽に交流
できるようにと名付けられた。Cアワーでは、
餅つきなどの伝統行事を通して日本文化への
理解を深めるほか、市民を講師に招き、三味
線などの技芸を学び、伝承する場としても活
用される。学生によるコンサート、諸外国に
関する情報発信などもあり、これを機に地域
行事に参加する学生も多い。大学と市民との
交流や異文化理解の場として重要な役割を担
い、国際交流の促進に貢献している。
11
Discovery National University
大学院大学。2015年2月に産学連携本部などが
福岡教育大学
連携活動を積極的に推進する北陸先端科学技術
北陸から 新 産 業 創 出 を 目 指 し 、
産学官金連携マッチングイベントを開催
北陸地域の活性化を目指した「産・学・官・金」の
2018年の創立100周年に向け、
竣工が待たれる「100周年キャンパス」
小島町地区
「100周年キャンパス」
の完成予定図。
被災者に語りかけながら足湯を提供する。
被災した岩手沿岸 部 へ の
復興支援プロジェ ク ト
「神戸大学東北ボ ラ ン テ ィ ア バ ス 」
北陸先端科学技術大学院大学
中心となり、
「『北 陸メッセに向けて』Matching
HUB Kanazawa 2015」を金沢市内で開催した。
大学、企業、行政・支援機関、金融機関の連携
で地域の企業ニーズに合った技術シーズを紹介し、
ビジネスチャンスを広げることを目的としたこのイ
ベントには、700名以上が参加し、国公私 立13
神戸大学学生ボランティア支援室が実施してい
月から延べ1,000人以上の学生、教職員を岩手県
数人を乗せ、神戸から約16時間かけて現地へ向
講演やパネル出展者が会場にて行う
「1分間プレゼ
ン」も行われた。回を重ねるごとに出展者・参加者
が増え、さらなる内容の充実が期待される。
かう。当初は宿舎が確保できず、遠野市から片道
1時間半かけて通ったが、活動の縁で、陸前高田
市内の公民館を拠点に直接活動できるようになっ
た。2年目には大槌・釜石キャンプを設置し、陸前
高田キャンプとの2拠点態勢とした。活動内容は、
肉体労働中心の「ハード事業」から、対人的な「ソ
フト事業」へと移りつつある。中心となるのは足湯
と手芸活動「まけないぞう」。いずれも「個人と個人
2015年2月、第1回未来先端研究機構国際シンポ
連医療機関マサチューセッツ総合病院、スウェーデ
ンのカロリンスカ研究所、ベルギーのリエージュ大学
などの研究者による講演や討論が行われ、盛況のう
ちに幕を閉じた。
学長のリーダーシップのもと、機動的・戦略的運営
を行うとともに、世界トップレベルの研究者からな
る国際アドバイザリーボードを設置。ここから世界
的な研究成果が創出され、世界レベルの研究拠点と
なることを目指している。
12
開催するほか、記念碑の建立や記念植樹を計
画している。新設する小島町地区の「100周
年キャンパス」
には、留学生と日本人学生が交
「第3回国連防災世界会議」が開催され、同大学では
会場の提供、学生ボランティアの派遣などのほか、こ
れまでの復興の取組を発信するため、50数件のシン
ポジウムやセミナー等を実施した。そのうち「東北大
学復興シンポジウム」では、潘基文国連事務総長から、
同大学への設置が決まった「災害統計グローバルセ
ンター」に対し
“新たなグローバル災害リスク削減に向
けた取組として大変期待している”
との言葉を受けた。
これを一つの契機に、東北大学は地域社会との連
携のもと、東北の復興と日本の新生を力強く推進し、
世界の防災・減災の発展に貢献していく。
特別講演を行った潘基文国連事務総長(右)と
里見進東北大学総長。
生まで4レベルの講座がある。講師はベテランの日
本人及び外国人講師で、学生の負担は数回のテス
ト料金のみ。初年度は約400名の申し込みがあり、
プレイスメントテストでレベル分けをし、週74コマ
の授業の中から各自2コマ(各50分)を通年48回
今後、学生のみならず現職小学校教員も含め、
クでエキサイティングなキャンパスとして、さ
学。2015年3月、仙台市で過去最大規模の国際会議
参加する。英語が苦手な学生から留学を目指す学
プットしてきた英語をアウトプットする場となる。
2017年3月に竣工する予定だ。今後もユニー
興に向け多種多様な活動に取り組んできた東北大
大学内の英会話学校で、授業の空き時間を使って
受講する。授業はテキストを使用せず、長年イン
英語コミュニケーション力をアップする場として活
用することが期待されている。
山口大 学と鹿児 島大 学は2012年、国立 大 学
では初めてとなる共同獣医学部を設置した。その
教育理念は、国際水準の獣医学教育を体系的に
創出・実践し,専門性の高い獣医師を養成するこ
とにある。山口大学ではこの理念を実行するため、
2015年3月、
「iCOVER(International Center
of Veterinary Education and Research)」を
新設した。
センターには、形態学系実習室、機能学系実習
室、感染症学系実習室を備え、欧米水準の獣医
学教育に対応した獣医学教育プログラムの開発を
行うとともに、基礎研究から応用・臨床研究へ至る
研究の育成と促進が可能となっている。
C
山口大学
ジウムを開催。参画する米国のハーバード大学の関
式典、祝賀会、シンポジウム、講演会などを
の共同研究を活性化する共同研究施設棟が
東北大学
バルな環境下での研究を推進している。
2018年には創立100周年を迎え、記念の
期待される「獣医学国際教育研究センター( iCOVER
)」
。
を図っている。さらに、海外から研究者を招き、グロー
学と名称を改め、1952年に調布へ移転した。
習得院」。英語コミュニケーション力向上のための、
大学と市民との活発な地域・国際交流の場
「インターナショナル アワー」
分泌代謝・シグナル学の2つの分野での研究の充実
世界に開かれた
国際的研究拠点を目指す
「未来先端研究機構」
構」では、重粒子線治療を核とした統合腫瘍学と内
線電信講習所と改称。1949年に電気通信大
流できる学生寮や、産業界や海外の研究者と
東日本大震災の被災地にある総合大学として、復
大学内にオープンした
英会話学校
「英語習得院」
2015年春、福岡教育大学にオープンした「英語
2年後に目黒に校舎を移し、
1945年に中央無
世界水準の獣医学教育プログラムを作成する
)
」
「獣医学国際教育研究センター( iCOVER
群馬大学
キックオフシンポジウムでの
パネルディスカッションの様子。
群馬大学が2014年度に設立した
「未来先端研究機
所として東京市麻布区飯倉町に産声を上げ、
らなる発展を目指していく。
「第3回国連防災世界会議」
を契機に
東北の復興から世界の防災・減災へ
の関係」を築くツールとして活用されている。
出展パネル会場を訪れる来場者。
神戸大学
沿岸部に派遣してきた。バスに定員いっぱいの40
ら166ブースの出展があった。企業経営者の特別
電気通信大学は、1918年に無線電信講習
電気通信大学
る「神戸大学東北ボランティアバス」。2011年の4
大学のほか、海外も含め企業、研究機関、大学か
プレイスメントテストを受ける学生たち。
地域住民から絵手紙を教わる留学生。
北見工業大学
北見工業大学では留学生、日本人学生、教
職員、市民との交流の場として、
「インターナ
ショナルCアワー」を 毎月開 催して い る。C
アワーの“C”は、Conversation, Culture,
Cookie, Coffeeなどの意味で、気軽に交流
できるようにと名付けられた。Cアワーでは、
餅つきなどの伝統行事を通して日本文化への
理解を深めるほか、市民を講師に招き、三味
線などの技芸を学び、伝承する場としても活
用される。学生によるコンサート、諸外国に
関する情報発信などもあり、これを機に地域
行事に参加する学生も多い。大学と市民との
交流や異文化理解の場として重要な役割を担
い、国際交流の促進に貢献している。
11
Discovery National University
大学院大学。2015年2月に産学連携本部などが
福岡教育大学
連携活動を積極的に推進する北陸先端科学技術
北陸から 新 産 業 創 出 を 目 指 し 、
産学官金連携マッチングイベントを開催
北陸地域の活性化を目指した「産・学・官・金」の
2018年の創立100周年に向け、
竣工が待たれる「100周年キャンパス」
小島町地区
「100周年キャンパス」
の完成予定図。
被災者に語りかけながら足湯を提供する。
被災した岩手沿岸 部 へ の
復興支援プロジェ ク ト
「神戸大学東北ボ ラ ン テ ィ ア バ ス 」
北陸先端科学技術大学院大学
バイク種目中の加後さん
(写真中央)
。
「 ト ラ イ ア ス ロ ン で オ リ ン ピ ッ
ク 出 場 」と い う 大 き な 夢 を 持 つ 彼
た。
出場した日本選手権では
日本学生選手権で3位、そして初
る。ブランクを乗り越え、1年の
学業との両立を目指すアスリート。
トライアスロンで世界へ挑戦!
女には、「学校の先生になりたい」
位とい
時 ジ ュ ニ ア ア ジ ア 選 手 権 で 8 位、
を始めたのは中 学1年の時。 3歳
きっかけで、この世界に入った。
ムの 監 督 に 声 を か け ら れ た の が
ズ京 都 という トラ イアスロンチー
部 に所 属 していたが、チームケン
間弱の通学と朝から夕方までの講
合格後すぐにチームに戻り、練
習を再開した加後さん。片道2時
良教育大学に合格した。
止して受験勉強に励み、目標の奈
夢を実現させるため競技を一時休
というもう1つの夢があり、その
か け、 毎 日 充 実 し た 学 生 生 活 を
る彼女は、2つの大きな夢を追い
ンの指導で細やかな心遣いを見せ
まで諦めずに逆転して表彰台を掴
小さな体からは想像できないエ
ネルギーと強靭な精神力で、最後
う結果だった。
奈良教育大学保健体育専修2年
の加 後 美 咲 さんがトラ イアスロン
から水 泳 を習い、小 学 校では陸 上
人一倍努力家の彼女は、中学2年
の時に全 国 大 会で優 勝、高 校2年
義、帰宅後は毎日3種目の練習と
と い う 大 役 を 務 め た。 箱 根 駅 伝
いうハードな生活を両立させてい
送っている。
か に 駆 け 抜 け て い っ た 松 井 さ ん。
学 長 か ら も「( 同 大 学 の シ ン ボ ル
マークである)燕のマークがつい
たユニフォーム姿の松井君が目
の前を通過した時は胸が熱くな
り ま し た。 松 井 君 の 力 走 に 学 生・
教 職 員 は 元 気 を も ら い ま し た 」と
松 井 さ ん 自 身 も、「 昔 か ら 目 標
としていた舞台を走ることがで
のコメントがあった。
む一方、小学生へのトライアスロ
車で 位だったが、ジュニアアジア
の時 の ジュニア 世 界 選 手 権 では落
史 の 中 で も 初 め て の こ と で あ り、
き 満 足 し て い ま す。 来 年 も 箱 根
駅伝出場を目標にしていこうと
思います」と、新たなチャレンジ
を始めている。
による口頭発表で最優秀賞が選
を 発 表 し、 各 分 野 の 成 績 優 秀 者
を通過した172組が研究成果
を 競 い 合 う 場。 今 回 は 書 類 審 査
高等専門学校の学生が研究成果
指 し、 自 然 科 学 分 野 を 学 ぶ 大 学・
豊かな科学技術人材の育成を目
レ 」は、 文 部 科 学 省 主 催 で 創 造 性
受 賞 し た。「 サ イ エ ン ス・ イ ン カ
最優秀賞の文部科学大臣表彰を
の第4回サイエンス・インカレで
熊本大学医学部医学科4年(当
時)の永芳友さんは、2015年
法に繋げることを目指すという。
は対処できない精神遅滞の治療
能 を よ り 明 確 に し、 現 代 医 学 で
今後は精神遅滞の発症メカニ
ズ ム を 解 明 す る こ と で、 脳 の 機
いた。
だ こ と が、 今 回 の 受 賞 に 結 び つ
折をモチベーションに変え挑ん
同 じ テ ー マ で 再 チ ャ レ ン ジ。 挫
か に し た。 昨 年 に 続 き、 今 年 も
を、 マ ウ ス を 用 い た 実 験 で 明 ら
し、 脳 の 機 能 に 障 害 が 出 る こ と
に必要なタンパク質の量が低下
て、 遺 伝 子 の 欠 損 で 学 習 や 記 憶
す」と話す。
境はとても素晴らしいと思いま
世界を相手に競い合えるこの環
責 任 感 を 持 つ こ と が で き ま し た。
成果を挙げていることを肌で実
通 し、「 世 界 中 の 研 究 者 が 様 々 な
だ。 永 芳 さ ん は こ の 研 究 生 活 を
しの研究成果が実を結んだもの
究 に 励 み、 今 回 の 受 賞 は 3 年 越
て い る。 永 芳 さ ん は 1 年 か ら 研
ム「 柴 三 郎 プ ロ グ ラ ム 」を 実 施 し
支援する独自の大学院プログラ
熊 本 大 学 医 学 部 医 学 科 で は、
基礎医学研究を行う学部学生を
ロジェクトを展開している。
注 目 を 集 め る た め の、 様 々 な プ
行 っ た。市 長 を 招 い て の 公 開 討 論
達成状況や成果に対する評価を
事 業 で は、 2 0 0 9 年 の 市 長 選
際 に 行 っ た「 松 江 市 政 の 通 信 簿 」
で紹介された。
彼らの活動が注目される。
治 離 れ を ど こ ま で 回 復 で き る か、
箱根駅伝を力走する松井さん
(右)
。
選手権では4位という成績を残し
チーム。
位であった選手で構成された関
東学生連合チームの計
東京工業大学としての出場は
叶 わ な か っ た も の の、 松 井 さ ん
区 戸( 塚~鶴見 を) 1時間 分
のタイムで見事完走した。
マ ス コ ミ で も 取 り 上 げ ら れ、 学
プレッシャーも大きかったと
思 う が、教 職 員、学 生、OBの 応
内外で、大きな注目を集めた。
への出場は同大学130余年の歴
箱根駅伝は歴史ある大学対校
駅 伝 で、 出 場 枠 を か け て 毎 年 熾
チーム
烈 な 争 い が 行 わ れ て い る。 出 場
校 は、 前 年 大 会 の 上 位
援 を 受 け、晴 天 の 箱 根 路 を 爽 や
(シード校)
と秋の予選会の上位
チ ー ム、 そ れ に 出 場 を 逃 し た 大
出された。
その1つが「島根県政しょうゆ
ソース」プロジェクト。2015
会も開催し、学生がマニフェスト
感 し、 自 分 も 一 研 究 者 と し て の
永芳さんは「精神遅滞の分子メ
カ ニ ズ ム 解 明 を 目 指 し て 」と 題 し
学の中から予選会での記録が上
文部科学大臣表彰の賞状を手にする永芳さん。
年 4 月 の 島 根 県 知 事 選・ 県 議 選
で市長が掲げた「マニフェスト」の
よ く し 隊!~」。 2 0 0 9 年 の 衆
で、 投 票 の 判 断 材 料 と な る 情 報
島根大学の学生約 名からな
る実践型政治研究サークル「ポリ
院 選 の 際、 よ り よ い 政 治 の 実 現
レンジャー~若者の手で政治を
を 図 る べ く、 若 者 の 政 治 へ の 関
評価を行うという珍しさもあって
優秀賞(市民部門)を受賞し、全
か、第8回「マニフェスト大賞」最
)に提供( show
)した。独自
you
に調査した有権者アンケートや
国的にも注目を集めた。
“源”
(
学 生 ア ン ケ ー ト の 結 果、 選 挙 広
心や参加を促すことをミッショ
報、 県 庁 の 行 政 評 価 情 報、 民 間
活動を重ねるごとにマスコミ
な ど で 取 り 上 げ ら れ、 注 目 を 集
(
の 当 日、 投 票 所 前 で、 投 票 を 終
め る ポ リ レ ン ジ ャ ー。 若 者 の 政
ン に 結 成 さ れ た。 新 聞 社 な ど が
え た 有 権 者 に 対 し て、「 政 策 別 ア
の調査結果などをプロジェクト
行 う「 出 口 調 査 」に 倣 い、 投 票 日
ンケート」調査を行い、評判を呼
2013年の松江市長選挙の
の
で 紹 介 し、 テ レ ビ、 新 聞
んだ。
2010年の参院選で再び同
調 査 を 行 い、 そ れ 以 来、 政 治 に
第4回
「サイエンス・インカレ」で
文部科学大臣表彰を受賞!
35
燕マークを背負い、関東学生連合チームで
第 回箱根駅伝に出場
東京工業大学工学部機械宇宙
学科3年(当時)の松井将器さん
伝 に、 関 東 学 生 連 合 チ ー ム の メ
は予選会の記録で関東学生連合
回箱根駅
ン バ ー と し て 出 場 し、 往 路 第 9
チ ー ム に 選 抜 さ れ、 9 区 を 走 る
は、 2 0 1 5 年 の 第
秒
21
)を整理し、有権者
source
10
13
14
10
13
熊本大学/
永 芳 友 さん
08
グループの活動を紹介します。
今、
学生は!
島根大学/
ポリレンジャー
東京工業大学/
松 井 将 器 さん
奈良教育大学/
加 後 美 咲 さん
H
P
「松江市政の通信簿」で第8回マニフェスト大賞
最優秀賞を受賞。
91
91
12
真剣に取り組む学生、
若者の手で政治を良くし隊!
独自の活動が注目される
実践型政治研究サークル
10
ここでは学業や課外活動に
es
front of Student Initiativ
Fore
バイク種目中の加後さん
(写真中央)
。
「 ト ラ イ ア ス ロ ン で オ リ ン ピ ッ
ク 出 場 」と い う 大 き な 夢 を 持 つ 彼
た。
出場した日本選手権では
日本学生選手権で3位、そして初
る。ブランクを乗り越え、1年の
学業との両立を目指すアスリート。
トライアスロンで世界へ挑戦!
女には、「学校の先生になりたい」
位とい
時 ジ ュ ニ ア ア ジ ア 選 手 権 で 8 位、
を始めたのは中 学1年の時。 3歳
きっかけで、この世界に入った。
ムの 監 督 に 声 を か け ら れ た の が
ズ京 都 という トラ イアスロンチー
部 に所 属 していたが、チームケン
間弱の通学と朝から夕方までの講
合格後すぐにチームに戻り、練
習を再開した加後さん。片道2時
良教育大学に合格した。
止して受験勉強に励み、目標の奈
夢を実現させるため競技を一時休
というもう1つの夢があり、その
か け、 毎 日 充 実 し た 学 生 生 活 を
る彼女は、2つの大きな夢を追い
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まで諦めずに逆転して表彰台を掴
小さな体からは想像できないエ
ネルギーと強靭な精神力で、最後
う結果だった。
奈良教育大学保健体育専修2年
の加 後 美 咲 さんがトラ イアスロン
から水 泳 を習い、小 学 校では陸 上
人一倍努力家の彼女は、中学2年
の時に全 国 大 会で優 勝、高 校2年
義、帰宅後は毎日3種目の練習と
と い う 大 役 を 務 め た。 箱 根 駅 伝
いうハードな生活を両立させてい
送っている。
か に 駆 け 抜 け て い っ た 松 井 さ ん。
学 長 か ら も「( 同 大 学 の シ ン ボ ル
マークである)燕のマークがつい
たユニフォーム姿の松井君が目
の前を通過した時は胸が熱くな
り ま し た。 松 井 君 の 力 走 に 学 生・
教 職 員 は 元 気 を も ら い ま し た 」と
松 井 さ ん 自 身 も、「 昔 か ら 目 標
としていた舞台を走ることがで
のコメントがあった。
む一方、小学生へのトライアスロ
車で 位だったが、ジュニアアジア
の時 の ジュニア 世 界 選 手 権 では落
史 の 中 で も 初 め て の こ と で あ り、
き 満 足 し て い ま す。 来 年 も 箱 根
駅伝出場を目標にしていこうと
思います」と、新たなチャレンジ
を始めている。
による口頭発表で最優秀賞が選
を 発 表 し、 各 分 野 の 成 績 優 秀 者
を通過した172組が研究成果
を 競 い 合 う 場。 今 回 は 書 類 審 査
高等専門学校の学生が研究成果
指 し、 自 然 科 学 分 野 を 学 ぶ 大 学・
豊かな科学技術人材の育成を目
レ 」は、 文 部 科 学 省 主 催 で 創 造 性
受 賞 し た。「 サ イ エ ン ス・ イ ン カ
最優秀賞の文部科学大臣表彰を
の第4回サイエンス・インカレで
熊本大学医学部医学科4年(当
時)の永芳友さんは、2015年
法に繋げることを目指すという。
は対処できない精神遅滞の治療
能 を よ り 明 確 に し、 現 代 医 学 で
今後は精神遅滞の発症メカニ
ズ ム を 解 明 す る こ と で、 脳 の 機
いた。
だ こ と が、 今 回 の 受 賞 に 結 び つ
折をモチベーションに変え挑ん
同 じ テ ー マ で 再 チ ャ レ ン ジ。 挫
か に し た。 昨 年 に 続 き、 今 年 も
を、 マ ウ ス を 用 い た 実 験 で 明 ら
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す」と話す。
境はとても素晴らしいと思いま
世界を相手に競い合えるこの環
責 任 感 を 持 つ こ と が で き ま し た。
成果を挙げていることを肌で実
通 し、「 世 界 中 の 研 究 者 が 様 々 な
だ。 永 芳 さ ん は こ の 研 究 生 活 を
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究 に 励 み、 今 回 の 受 賞 は 3 年 越
て い る。 永 芳 さ ん は 1 年 か ら 研
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支援する独自の大学院プログラ
熊 本 大 学 医 学 部 医 学 科 で は、
基礎医学研究を行う学部学生を
ロジェクトを展開している。
注 目 を 集 め る た め の、 様 々 な プ
行 っ た。市 長 を 招 い て の 公 開 討 論
達成状況や成果に対する評価を
事 業 で は、 2 0 0 9 年 の 市 長 選
際 に 行 っ た「 松 江 市 政 の 通 信 簿 」
で紹介された。
彼らの活動が注目される。
治 離 れ を ど こ ま で 回 復 で き る か、
箱根駅伝を力走する松井さん
(右)
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選手権では4位という成績を残し
チーム。
位であった選手で構成された関
東学生連合チームの計
東京工業大学としての出場は
叶 わ な か っ た も の の、 松 井 さ ん
区 戸( 塚~鶴見 を) 1時間 分
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マ ス コ ミ で も 取 り 上 げ ら れ、 学
プレッシャーも大きかったと
思 う が、教 職 員、学 生、OBの 応
内外で、大きな注目を集めた。
への出場は同大学130余年の歴
箱根駅伝は歴史ある大学対校
駅 伝 で、 出 場 枠 を か け て 毎 年 熾
チーム
烈 な 争 い が 行 わ れ て い る。 出 場
校 は、 前 年 大 会 の 上 位
援 を 受 け、晴 天 の 箱 根 路 を 爽 や
(シード校)
と秋の予選会の上位
チ ー ム、 そ れ に 出 場 を 逃 し た 大
出された。
その1つが「島根県政しょうゆ
ソース」プロジェクト。2015
会も開催し、学生がマニフェスト
感 し、 自 分 も 一 研 究 者 と し て の
永芳さんは「精神遅滞の分子メ
カ ニ ズ ム 解 明 を 目 指 し て 」と 題 し
学の中から予選会での記録が上
文部科学大臣表彰の賞状を手にする永芳さん。
年 4 月 の 島 根 県 知 事 選・ 県 議 選
で市長が掲げた「マニフェスト」の
よ く し 隊!~」。 2 0 0 9 年 の 衆
で、 投 票 の 判 断 材 料 と な る 情 報
島根大学の学生約 名からな
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院 選 の 際、 よ り よ い 政 治 の 実 現
レンジャー~若者の手で政治を
を 図 る べ く、 若 者 の 政 治 へ の 関
評価を行うという珍しさもあって
優秀賞(市民部門)を受賞し、全
か、第8回「マニフェスト大賞」最
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に調査した有権者アンケートや
国的にも注目を集めた。
“源”
(
学 生 ア ン ケ ー ト の 結 果、 選 挙 広
心や参加を促すことをミッショ
報、 県 庁 の 行 政 評 価 情 報、 民 間
活動を重ねるごとにマスコミ
な ど で 取 り 上 げ ら れ、 注 目 を 集
(
の 当 日、 投 票 所 前 で、 投 票 を 終
め る ポ リ レ ン ジ ャ ー。 若 者 の 政
ン に 結 成 さ れ た。 新 聞 社 な ど が
え た 有 権 者 に 対 し て、「 政 策 別 ア
の調査結果などをプロジェクト
行 う「 出 口 調 査 」に 倣 い、 投 票 日
ンケート」調査を行い、評判を呼
2013年の松江市長選挙の
の
で 紹 介 し、 テ レ ビ、 新 聞
んだ。
2010年の参院選で再び同
調 査 を 行 い、 そ れ 以 来、 政 治 に
第4回
「サイエンス・インカレ」で
文部科学大臣表彰を受賞!
35
燕マークを背負い、関東学生連合チームで
第 回箱根駅伝に出場
東京工業大学工学部機械宇宙
学科3年(当時)の松井将器さん
伝 に、 関 東 学 生 連 合 チ ー ム の メ
は予選会の記録で関東学生連合
回箱根駅
ン バ ー と し て 出 場 し、 往 路 第 9
チ ー ム に 選 抜 さ れ、 9 区 を 走 る
は、 2 0 1 5 年 の 第
秒
21
)を整理し、有権者
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熊本大学/
永 芳 友 さん
08
グループの活動を紹介します。
今、
学生は!
島根大学/
ポリレンジャー
東京工業大学/
松 井 将 器 さん
奈良教育大学/
加 後 美 咲 さん
H
P
「松江市政の通信簿」で第8回マニフェスト大賞
最優秀賞を受賞。
91
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真剣に取り組む学生、
若者の手で政治を良くし隊!
独自の活動が注目される
実践型政治研究サークル
10
ここでは学業や課外活動に
es
front of Student Initiativ
Fore
国立大学 vol.37 June 2015
編集・発行/一般社団法人 国立大学協会
〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
TEL:03-4212-3506
表紙:名古屋大学大学院工学研究科教授
天野 浩
撮影:東京藝術大学 美術学部准教授
鈴木理策
http://www.janu.jp