集中 - あだち在宅診療所

は着実に拠点を増
私たちが長く在宅医療に取り組んでいる足立区で
ニックの役割が増すでしょう」
やしていった。 現
は、在宅専門の医師は多いのですが、私たちへ
外来と在宅の機能を併せ持つ施設を同グループ
療法人白報会グループの白
在では15拠点で在
の依頼も多い。地域によって、在宅医療のニーズ
は6カ所運営している。うち4カ所は
「ドクターランド」
昌善氏が、在宅医療サービ
宅医療サービスを
は相当異なります」
(白氏)
という名称で、さいたま、千葉、松戸、船橋の各
スを開始したのは2000年のことであ
提供。訪問エリア
在宅医療に関しては、新たなチャレンジにも踏
市のショッピングセンターに立地。ドクターランドは
る。介護保険制度は1997年に制定
は東京23区の南西
み切った。それは、首都圏を飛び出して新潟県に
同グループがここ数年注力してきた医療施設。多く
され、00年4月にスタートした。その
部を除くほぼ全域、
開設した在宅診療所である。
「これまで東京近郊
の診療科を備えて、総合的な医療サービスを受け
議論が行われていたころ、大学院
東京都下では三鷹
で積み重ねてきた手法は、あまり通用しないでしょ
られるほか、在宅医療の機能も持っている。
に在籍していた当時から、白氏は
市と武蔵野市の一
う。新しいやり方を考えながら、地方における在
ドクターランドはショッピングセンターの集客力を
在宅医療に関心を寄せていた。
部地域をカバーし
宅医療に取り組んでいきたい。今年4月に開設し
活用できることに加えて、待ち時間が長いときには
「介護保険制度が広がれば、医
ている。埼玉県と
白報会グループ理事長の白昌善氏
たばかりなので、まだ結果を評価できるような段階
外出届を出してショッピングを楽しめるなど、外来
師が患者を訪問するケースが増えま
千葉県の東京寄りの地域でも在宅医療を提供して
ではありませんが、地元の事情に適合する運営ス
の患者にとっての利便性も高い。在宅で医療を受
す。例えば、申請のあった被保険
おり、対象となる患者数は総計4000人を超える。
タイルを確立していきたいと思っています」
(白氏)
。
ける患者にとっては、背後にある総合的な医療機
者については、主治医の意見書が
「新しい拠点を選ぶ際には、他の拠点との連携
新潟における在宅医療の認知度、地元医療機
能が安心感につながる。
必要です。大学院時代にこうした動
にも注意しています。医師や看護師などが必要に
関の在宅医療に対する考え方など、白報会グルー
「要介護から外来へのシフトを見越して、ドクター
きを見ながら、在宅医療の役割が
応じて行き来することで、より効率的な医療が可能
プにとっては未知数の部分も多い。白氏は一歩一
ランドを増やしてきたわけではありません。しかし、
大きくなると感じていました」
と白氏
になります」
と白氏はいう。精神科や皮膚科が専門
歩足場を固めながら、地方における在宅医療モデ
ドクターランドのような施設に対するニーズの高さは
は説明する。
の医師の場合は、患者が分散しているので、比較
ルづくりを進める考えだ。
実感しています。今後は、できれば数年に1カ所と
当時、在宅医療専門の医師は少
的広いエリアを担当することになる。こうした人の
なかった。周囲の医師などに
「在宅
移動を考慮した拠点配置が重要だ。
医療をやりたい」
と話すと、珍しがら
また、拠点の規模も効率に影響を与える。大規
白報会グループは在宅医療を中心に据えつつ、
白報会グループの13年度の売上高は80億円。
れることも多かったという。しかし、
模な拠点で広いエリアをカバーするか、それとも小
医療ニーズの動向をにらみ新分野への取り組みも
従業員数は1000人を超えている。今後も一歩先を
潜在ニーズは大きかった。最初、マンションの一
規模な拠点で小さなエリアに集中するか。前者は
積極的に行ってきた。外来診療所や通所・デイサ
読みながら、白氏は新しい医療サービスへのチャ
室に開設した尾久クリニック
(現あだち在宅診療
医師などスタッフが多く、業務を均等に割り当てや
ービス、薬局、介護施設などにも機能を広げ、13
レンジを続けようとしている。
所:東京都荒川区)
には依頼が殺到したそうだ。
すいといったメリットがあるが、一方で移動時間が
年には112床の急性期病院、王子病院を継承。医
「医療に限らず、どんな事業でも時代の先を見通
長くなりがちだ。後者は、その逆である。
療総合サービスの提供者として存在感を高めている。
すことが大事。それに、サービスの質にこだわるこ
では、拠点の最適な規模はどのくらいが適当か。
それぞれのサービスは有機的につながっている。
と。質をおろそかにする事業に未来はありません」
在宅医療への取り組みがスタートして7 ~ 8年の
白氏は
「私の経験では、1拠点の常勤医師2人が
例えば、病院を退院した後、在宅医療を受ける患
と白氏。周囲の医師や看護師などには、普段から
間、白氏はほとんど体力の限界まで働く毎日だった。
300 ~ 400人の患者さんを担当するというのが最
者もいれば、在宅医療を受けていた患者が急性
も効率的」
と話す。これができるのはグループ内の
期病院に入院する場合もある。在宅医療と介護施
け付けには、私が対応することが多かったですね。
連携と土日曜夜間体制をシステム化しているからだ。
設、デイサービスの間で、患者・利用者を受け渡
休みなく働く私を見かねて、08年ごろにスタッフが
また、拠点選びにおいては、在宅医療について
すケースも少なくない。
コールセンターをつくってくれました。実は私自身も
の地域の認識も大きな意味を持っているようだ。
特に、在宅医療と外来の組み合わせは、今後
「在宅医療の専門医がほとんどいない地域に拠
さらに重要性を増すと白氏は考えている。
時 代 の 流 れ を 読 ん で一手 を 打つ
複 合 的 な サ ービスの 相 乗 効 果 を 追 求
白報会グループ
医
15拠点を運営、
対象患者は4000人超
「徐々に医師は増えたのですが、休日や夜間の駆
『いつまでもこういうやり方はできないな』
と感じてい
在宅と外来を併設したドクターランド
点を開設したとき、多くの依頼があるだろうと思っ
「地域包括ケアという大きな流れの中で、今後は軽
「在宅医療を提供する側にとって、休日・夜間の
ていたのですが、予想通りとはいきませんでした。
度の要介護については、外来診療へのシフトが進
対応は最大のテーマの一つだと思います」
と語る。
その地域の住民の受け止め方は、
『在宅医療って
む可能性があるのではないか。とすれば、在宅医
課題に一つ一つ対処しながら、白報会グループ
何?』
といったものだったのかもしれません。一方、
療に加えて、送迎ができて外来の機能を持つクリ
ました」
と白氏は振り返る。自らの経験を踏まえて、
いうペースで、ドクターランドを新設していきたい」
と
白氏は考えている。
「真心を込めて」
と繰り返し語っているという。
在宅医療ではサービスの質にもこだわっている
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2015.6
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在宅医療というフロンティア 患者を支える仕組みづくりの挑戦
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