naoekaki: お絵描きを通したヒューマンロボットインタラクション B2 tisbee (樫井亜依) B1 nanaco (河相菜奈子) B1 alaine (小幡理沙) 親 高汐一紀* February 4, 2015 1 はじめに 4 現在ロボットが日常生活に普及し始めているなか、人 間はロボットにどのようなインタラクションを期待し、 求めているのだろうか。また、より人間社会に溶け込め るものを作り出すにはどのような言動や外見のデザイ ンの工夫が必要だろうか。ロボットの社交性・社会性を 踏まえながら、どのようなインタラクションが提供でき るロボットがこの先人間にとって接しやすいモノになる かを考える必要があるだろう。 2 アプローチ 今回のプロジェクトでは、人間とロボットが“お絵描 き”を一緒にするというインタラクションのシナリオを 作り出した。人間にロボットと自然なコミュケーション をとっているように感じさせるために、ロボットが自ら 物事を判断し、動作・発言・認識において臨機応変に対 応しているように見せることを心がけた。ロボットの動 作等は人間らしさを完璧にまねるのではなく、ロボット なりの役割を果たすように工夫した。 目的 このプロジェクトは Aldebaran 社の Nao というヒュー マノイドロボットを用いて、人とロボットのコミュニ ケーションを体現することを目的としている。人間の日 常生活で違和感無く存在し、それに加えて実用性がある ロボットにはどのような要素が必要かを考察するため、 今回は”お絵描き”といった共同作業を通して自然且つ enjoyable な Human Robot Interaction を追求した。当初は Nao の開発環境である Choregraphe の操作方法や Python 言語を、研究する上でのスキルとして習得することに励 んだ。しかし目標としたより細かいデザインの操作は Choregraphe では操作しきれず、C++ で Nao を操作する ための開発環境の構築や OpenCV を使用することにも 挑戦した。また、この研究は3人の合同プロジェクトと して行った。 3 背景と問題意識 Fig 1 Nao Robot by Aldebaran Robotics Company 人 間 と ロ ボッ ト の イ ン タ ラ ク ショ ン の 中 で 自 然 な Human Robot Interaction を 得 る た め に は ロ ボッ ト の”responsiveness”(対応性・感応生)が重要だとホフマ ン [1] は主張している。この”responsiveness” を成り立た せるためには、ロボットは対応時に”understanding”(理 解)と”validation”(共感)と”caring”(思いやり)の3つ の要素を表現する必要がある。彼の実験では、子供達を 被験者とし、”responsiveness” が充実したロボットに対す る接し方は人間を話し相手とする時とどのように異な るかを調査した。その結果、被験者の子供達は人間を話 し相手にする時と同じようにロボットに心を許し、内緒 話を打ち明けた。今回私達の実装では、ロボットにこの ような対応性を身に付けさせられるように言動とセン シングプログラムを工夫した。 5 プロトタイプ 人間とロボットが共同作業を行う HRI をどうしたら 体現できるかを考察し、まず「人とロボットが交互にを 書き足しながらひとつの絵を作り出す」というイメージ を持つことから始めた。ORF では、前述したイメージ をもとに n 対 1(相手の人数認識) の会話展開や NAO が 実際に自らの名前を書くということを実装した。実際に 動かしながら NAO の声のトーンや速度、身振り手振り を調整しながら言語、非言語コミュニケーションからの アプローチをはかった。顔や色を認識しながら会話を切 り替えるデザインも加え、より人と自然なコミュニケー ションが行えるように努めた。 * 慶應義塾大学環境情報学部准教授 1 6 考察 前回のプロトタイピングよ 8.2 OpenCV り より良いリソースを探した結果、OpenCV といった NAO に絵を描かせていく中で声のトーンや速度、視線 の向きや臨機応変な会話の切り返しがコミュニケーショ ンにおいて重要であることが分かった。加えて NAO 自 身の腕の可動領域やモーターの出力、NAO が腕を動か せる回数から、大きく多様な絵を描くという行為が容易 ではないことが分かった。ORF では 61 組の方にデモに 参加して頂き、概ね好評価を得た。特に、一人だけでは なく複数人を相手にコミュニケーションをとることが可 能な点が参加者にとっては新鮮だったようだ。年齢・性 別が異なる様々な参加者にインタラクションを体現して もらい、楽しい体験ができたという評価があった中、認 識の遅れや誤認識等の問題点も見られた。 7 後期の試み オープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリ を使用することに決めた。これを使う事によって、様々 なオブジェクトに対応できるようになる。ただ難点と して、利用するために必要とする環境構築が多く、コー ディング技術やアルゴリズムの定義が必要だという事が 挙げられる。今回の WIP 最終発表までに達成したこと は OpenCV 含め、様々な段階での Naoqi C++ の開発環境 設定である。 9 フューチャーワーク 次期までの課題は、OpenCV を利用した実装に挑戦し、 実際に C++ 言語でコードを書いたプログラムで Nao を 操作することだ。そのためにはロボットをプログラムす る上で必要な知識を身につける必要がある。また、NAO が障害物にぶつかった際に自分で危険を察知して障害物 を避ける機能をつけるれば、スムーズなインタラクショ ンが期待できるため、視覚や触覚といった知覚機能をも たせることも目標の一つである。今後は操作方法のスキ ルアップとロボットのコミュケーション能力の向上と共 に、この点にも注目して研究していきたい。 ORF までおける実装の結果、顔認証から対峙している 人数情報の出力は Choregraphe 既存の機能を使い、成功 したと思われる。私達がデザインしたダイアログは理想 的なインタラクションに比べ、Yes/No 会話が多かったた め、一方的に感じさせる会話を減らす事を意識した。ま た、ロボットの認識含め、会話の対応スピードが遅く感 じた。これは、NAO の既存センサでは避ける事ができ ない問題点である。しかし、反応速度を考慮した自然な ターンの切り替えはデザインで改善された。最も着眼し References た問題点は、色認証からの感想を述べるインタラクショ ンの部分だった。色分析のみでは、望ましいレスポンス [1] Hoffman, Guy and Birnbaum, Gurit E. and Vanunu, Keinan and Sass, Omri and Reis, Harry T. Robot Responsiveness を被験者に与える事ができないため、相手・ロボット自 to Human Disclosure Affects Social Impression and Appeal 身が何を描いているかを理解させるのに重点を置いた。 (2014) 8 試行 現状ロボットの性能として人工知能を搭載しているわ けではないため、ロボットは私たちがプログラミングし たようにしか行動できない。その制限下でどうしたらコ ミュニケーションをもっと豊かに、自然なものにできる かということが最大のテーマであった。今回の試行で集 中した点は、ロボットが提示された絵を理解できるよう にすることだ。まず、ロボットは人間の描いた絵をカメ ラでとらえ、画像を取得する。その後、画像を分析し、 絵を認識し、認識をした事を人間に伝える。より高性能 な画像の分析、及び絵の認識を行うためには、プログラ ムにその機能を果たす新たなプログラムを加える必要 があった。 8.1 box library recognition 画像認識を実行させるために、まず Choregraphe 既存 の Box Libraries を利用し、Object Recognition を試みた。 これは既存の設定の一部であるため、私達がプログラム の細かい部分に手を加える必要がないくらいにしっかり と構築されているものだ。ただ、汎用性がないため膨大 なサンプルデータが必要であり、データのライブラリを 独自で形成する必要がある。そのため非効率的なプログ ラム方法になった。 2
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