- 注目の 20 周年記念式典、盛大に開催 -

- 注目の 20 周年記念式典、盛大に開催 -
6 月 30 日(日)午後、シニア自然大学校開校 20 周年記念式典が、西九条の此花会館梅花殿で盛大に行われました。
総合司会の金高 俊義氏による開会宣言の後、大学校の齊藤 隆代表の挨拶に始まり、第一部 記念講演、第二部 来賓
による講演とパネルディスカッションの 2 部構成で進められました。齊藤代表は、自然と仲間 7 月号でも掲載しました
が、20 周年に寄せる思いを込めて、
「大きな夢・志を常にもって、その実現のために全力を傾注し夢と志に殉じても悔いない魂を持って、
人生を送ることが出来ればそれはその人にとって、最高の人生となるだろう」
と大学校の果たすべき役割やこれからの抱負などを話しました。
快挙! ノーベル賞受賞科学者の生講演
今回の最大の注目イベントは、ノーベル物理学賞
受賞の益川 敏英さん(益川先生は、
「先生」でなく
「さん」と呼ぶように求められました。会場でも「さ
ん」で統一されていましたので、本誌でも益川さん
で統一いたします)の講演でしたが、朝日新聞科学
記者の尾関章氏との対談形式で行われました。対談
に先立ち、シニア自然大学校の青木 俊之氏から、益
川さんの講演が実現するに至った経緯の紹介があり
ました。お二人による対談講演は今回で 3 度目で、
シニア自然大学校 齊藤代表による、20 周年記念式典開催の挨拶
シニア自然大学校の 20 周年の快挙と言えるもので
す。その分、青木氏や 20 周年委員会の皆さんのご努力ご苦労は並々ならないものだったことがうかがい知れます。
対談は、益川さんの日常生活や学生時代のエピソードから、素粒子論の専門的話題、ノーベル賞受賞の話題、宇宙論、
生命科学、更に子育て、日本国憲法の話題まで、極めて幅広いものでした。
益川さんはコーヒーが大変お好きで、若いころより飲む銘柄はブルーマウンテンと決まっていたそうです。研究テー
マのディスカッションを行う場合など、他のメンバーはそれぞれに飲み物の注文を出すのですが益川さんだけは、黙っ
ていてもブルーマウンテンが出
てきたとの事で、
助教授から
「こ
ら生意気だ」と小言を頂いてい
たそうです。
今回の対談中でも、
2 度にわたりコーヒーが給仕さ
れました。休憩なしの対談の時
は、
「随時トイレ休憩を取ります
左:尾関章氏
右:益川敏英さん
コーヒーを楽しむ益川さん
よ」の約束があったらしく、そ
の通りに実行され、
「ちょっと失
礼」と席を突然離れられたときには、会場に爆笑が湧き上がりまし
た。見事な緊張と緩和で、いつの間にか肩に力が入っていた聴衆の
皆さんはリラックスできたことでしょう。ひょっとすると、演者お
二人の演出だったのかもしれません。
素粒子物理学の話題になるとさすがに難しいものです。ヒッグス
粒子、クォーク、マクスウェル方程式、CP 対称性の破れ、など、難
しい言葉や、遠い昔に聞いたような人の名前が続くと、尾崎氏が会
開演前、控室でくつろがれる3氏。右から、益川さん尾
関さん斎藤さん。こうした写真にも気軽に応じていただけ
ました。
場の様子をうかがいながら、話題をコーヒーの話や、比較的易しい
話題などに誘導し、専門的になりすぎないように配慮していたのが
印象的でした。
-2-
ノーベル賞受賞の理由、クォークが6種あるという着想は、お風呂の湯船を跨いだときに生まれたという事が紹介さ
れましたが、確かにそういったものかもしれません。
対談中、シニア世代は時間と金がある。大学の退官教授を利用するとよいといっていました。コーヒーとバス代で、
益川さんが来ましたということだったのでしょうか。楽しい講演、ありがとうございました。
第二部、来賓紹介・講話とパネルディスカッション
益川さん達が大きな拍手の中を退場した後、休憩をはさみ第二部が始まりました。
来賓の文部科学省の新木 聡氏(生涯学習政策局 社会教育課企画官)と大阪府の
西山 潤二氏(環境農林水産部 みどり・都市環境政策室長)の紹介と挨拶を受け、引
き続いて新木氏の講話「長寿社会における生涯学習のあり方」が行われました。長寿
社会における課題と生涯学習の役割、文部科学省の取組、超高齢社会における生涯学
習のあり方、
アクティブシニアの事例などの話でした。
学びの実践として社会参画し、
社会参画が更なる学びへとつながる。学習したことをどう活用するか、そして、そう
した活動を文部科学省としてどのように支援していくのか、と言ったところがポイン
トで、
「学習内容及び方法の工夫・充実」
「世代別の特性への配慮」
「学習が困難な人へ
左:文科省 新木聡氏
右:大阪府 西山潤二氏
による挨拶。
の配慮」
「関係機関相互の連携の促進」
「学習成果の活用促進」
「コーディネート機能の調整」
「世代間交流の促進」とい
った、文科省としての 7 つの方向性が披露されました。
その後、齊藤代表がコーディネーターを務めて、パネルディスカッションが行われ、20 周年記念行事実行委員会の松
田秀雄委員長の閉会の挨拶で、記念式典は 17 時半ごろ閉会となりました。
パネルディスカッションと、閉会後の姉妹校間の交流に関しての記事は、副代表の御旅屋 暎一さんにお願いしました。
(広報 芳澤)
シニア自然大学校の 20 周年を機会に
~姉妹校、5校が集い今後の活動について語り合いました~
今回、シニア自然大学校 20 周年に合わせ、シニア自然大学校の姉妹校をお招きし、この機会に姉妹校が一堂に会し、
「我々の進むべき道は」をテーマにパネルディスカッションを企画しました。5校は、七年前に開講した東海シニア自
然大学、一昨年の神奈川シニア自然大学校、昨年の千葉シニア自然大学、本年度開校の東京シニア自然大学、彩の国(埼
玉)自然大学校とここ数年間に私たちのシニア自然大学校の情報をベースに立ち上げられました。
設立母体の違いや地域
性の違いから具体的な進め方はそれぞれですが、シニア層への生涯学習の場の提供、生きがいの発見、新しい仲間の発
見等は同じコンセプトで進めています。
シニア自然大学校20周年記念講演会
に引き続き、文部科学省生涯学習政策局
社会教育課新木企画官の「長寿社会にお
ける生涯教育の在り方」~生涯学習・社
会参画を通じた豊かなセカンドライフ~
の講演を聞き、生涯学習の重要性や課題
について認識を新たにしました。
講演終了後、シニア自然大学校の齊藤
代表の司会で姉妹校による「我々の進む
べき道は」のタイトルでパネルディスカッションに移り、翌日には事務所で具体的な提携協力について打合せました。
パネルディスカッションでは新木企画官の講演を受け、最近のシニア層についてという話題からパネルディスカッシ
ョンの口火が切られました。
①シニア時代をどう考えているか
積極的に生きる人、
余生として生きる人さまざまであるが、
積極的に生きるシニア層にしたいとの意見が多い。
-3-
②シニアの役割について
地域活動についてや次世代への働き掛けも自ら積極的に参画できるように支
援すべきで、大きな意味でいわゆる“良き育爺”になるべきではとの意見も出さ
れた。特に男性シニア層は地域社会へのデビューに消極的でこの面の支援も必要
との意見も出された。
③シニア自然大学は何ができるか
学習のみならず、生涯学習、仲間つくり、次世代対象活動への参画等の場の提
供を行うとともに、継続して活動できる場や組織の立ち上げを支援することが必
要との意見が多かった。
また、これからは健康や介護等についても考えておく必要があるのではないか
との意見も出された。
④シニア自然大学校の活動の社会的認知の向上
シニア自然大学校の名前がなかなか認知されていないとの意見が多く出され
た。これからは姉妹校で協力して必要な所に積極的にPRする必要がある。まず
は文部科学省に後援要請することも視野に入れるとともにシニア自然大学校には
元気なシニア層を維持する機能があるため厚生労働省にもPRすべきではとの声
も出された。
パネルディスカッションを通してシニア層に対する認識を広く議論し、共有できたこと
は非常に有益であり、今後の連携に大きな弾みとなると思われました。
翌日、ワキタ天満橋ビルの事務所会議室に場所を変え、前日のパネルディスカッショ
ンで残ったシニア自然大学校の発展及び姉妹校の連携の二点について議論を行った。
まず、
各校の状況について簡単に情報交換を行った後、議題について議論を行いました。
1)シニア自然大学各校の連携について
・今後のシニア自然大学の新たな誕生を考え、シニア自然大学の目的等を穏やかに統一
した共通の枠組をみを共有し、それに沿って活動を行う。例えば、開講目的(生涯学
習の場、次世代への伝達、生きがいの提供等)や講座の枠組み(年間開講数、講座時
間)等。
・講座の公開や共通講座の開設を検討する
・情報交換の実施を定期的に行う。名前を「シニア自然大学姉妹校連絡会」とし、
1~2回/年開催する。
次回は年内に関東で開催する。
2)シニア自然大学の発展について
・姉妹校の全国的展開について(現在、福岡県・石川県・北海道等で開設に興味を示し
ている。
)今後、時期が来た時の情報開示や支援方法について検討しておく。
・将来は“シニア自然大学全国協議会”のような組織の設立を考えたい。
以上、7年前に東海シニア自然大学校の開設に始まったシニア自然大学校の姉妹校は6
校になり、今回初めて、全姉妹校が一堂に会して、現在の課題や我々の将来やなどについ
て忌憚のない意見を出し合い、多くの点で共有できました。このことは今後、シニア自然
大学を更に発展するための具体的な協力関係が今回のパネルディスカッションや会議を通
して構築できたと思われます。これを機会に、より具体的な連携策を考え、実施し、この
活動をより大きな波にしていくとともに、
「NPO法人 シニア自然大学校」もより広く一
般に開かれたNPOにしていく必要があると思われます。
-4-
(文責 御旅屋 暎一)
東海シニア自然大学、
理事長 横井進 氏
千葉自然大学、
理事長 飯田洋 氏
神奈川シニア自然大学校
兼
彩の国(埼玉)自然大学校
理事長 佐藤初雄 氏
東京シニア自然大学
事務局長 瀬尾隆史 氏
シニア自然大学校
代表理事 齊藤隆 氏