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Vol.28
(株) グッドライフデザイン ラボラトリー事業部
業務改善への継続的な取り組みと実践
コネクティビティで血液検査の効率化と平準化を実現
トヨタ自動車 (株) と三菱商事 (株) の合弁会社である (株) グッドライフデザインのラボラトリー事業部は、
2015年3月までに血液検査部門の機器更新を段階的に行い、 ベックマン ・ コールター社の 「UniCel DxH
1601」 ×2式を導入した。 ラボラトリーグループ長の尾﨑文彦氏は、 「業務の効率化」、 「TAT (採血から報
告までの時間)」、 「検査品質のさらなる向上」 を機種選定基準として掲げていたが、 「UniCel DxHシリーズ」
のコネクティビティ ・ コンセプトを知った時のことを 「衝撃的だった」 と振り返る。
(株) グッドライフデザインのラボラトリー事業部 (GLD ラボ)
は、 愛知県豊田市のトヨタ記念病院の敷地内にあり、 病院
の患者検体とトヨタ自動車 (株) 及び、 グループ企業従業
員の健診検体の処理を行ってい
る。 2005 年 12 月には、 全国で 6
番目となる ISO 15189 の認定を取
得し、 業界最高品質の臨床検査
室を運営している。 尾﨑氏は GLD
ラボの理念について、 トヨタ自動車
(株) が掲げる安全、 高品質、 効
率化を基に幅広いニーズに柔軟に
対応し、 「臨床検査を通じて社会に
尾﨑氏
貢献する」 ことを掲げる。
GLD ラボは生化学・免疫、血液、尿一般、細菌検査、受付・
集材、インフォメーションの 6 部門からなり、スタッフは 29 人で、
臨床検査技師 23 人、 事務部門 6 人で構成されている。 開
設して 10 年が経過し、 ピーク時における 1 日あたりの最大
検体数は、 開設当時の 1,000 から 3,000 検体に増加した。
トヨタ記念病院から朝 7 時半に到着する入院患者検体の結
果を 9 時までに報告し、 その後は病院の外来検体、 外部
の健診機関からの集配検体に対処する。
病棟や健診機関からの
さまざまな検体にも柔軟に対応
血液部門の機種選定において、
尾﨑氏は各社機器のデモを実施
して、 選定基準に基づき一から検
討を行った。 また、 外付けの前処
理装置、 搬送ラインも検討したが、
業務の効率化と迅速化、 そして検
査品質等を総合的に判断し、 血
球計数装置と血液塗
抹標本作製装置が接
青山氏
続されたコネクティビ
ティ ・ コンセプト 「DxH シリーズ」 の UniCel
DxH 1601 × 2 式、 そして血液検査ミドルウェ
アシステム 「Be-lis Hema」、仕分け装置 「DxH
Tube Sorter」 の導入を決めた。
GLD ラボは、 トヨタグループ内の健診検査
項目や採血管の違い、 血算測定後の HbA1c
測定の有無、 血液内科からの標本作製依頼
や異なる再検指示等、 病院検体と健診検体
ごとにさまざまな対応が求められる。 前処理装
置や搬送ライン以上に柔軟にカスタマイズで
き、 効率化が期待できる DxH 1601 は、 GLD
ラボの複雑な検体処理工程を最適化した。
ま た、 Be-lis Hema、 DxH Tube Sorter は、
検体受付から自動仕分けまでを完全に自動
化した。 特に 「Be-lis Hema」 は、 業務改善
に対する高い意識を持つ尾﨑氏の要望を取
GLDラボ玄関
り入れることで、 よりカスタマイズされた効率的な運用が可
能になった。
企業理念に沿った
企業理念に沿った
検査品質の向上を実感
同事業部サブマネジャー、 血液部門責任者の青山知永
氏は、 「以前は、 採血管の検体量をラボに到着した時点
で目視確認し、 検体量が不足する場合にはマニュアル測
定を行っていた。 目視確認が間に合わず、 搬送ラインを
流れていってしまい、 検体量不足になるリスクもあった」 と
いう。 UniCel DxH 1601 では、 検体吸引量の低減と検体
吸引機構の変更により、 以前より検体量不足対応にかか
る工数が減少した。 従来マニュアル測定を行っていた少
量検体においても自動測定が可能となり、 TAT 短縮につ
ながった。 マイクロティナーを使用した微量検体測定や 5
倍希釈による測定にも対応する。
また、 青山氏は 「検査精度が向上し、 実際の標本作製
枚数も従来の半分になった」 という。 血液像は、 迅速な
結果報告を要する場面があり、 「標本作製時に、 さまざま
な条件を組み込むことが可能な、 自動再検 ・ 標本作製プ
ログラムであるデシジョンルールを利用することで、 以前に
比べて効率的な処理が可能となり、 標本作製の負担軽減
と、 血液像迅速対応にも役立っている」。 1 時間あたり最
大 140 スライドの処理能力によって、 標本作製時間も短
縮されている。
尾﨑氏は 「ISO や精度管理、TAT 短縮への取り組みは、
コストとのバランスが重要」 と話す。 スライド作製にかかる
コストは 50%も減少し、 ランニングコストの削減も実感して
いる。
GLD ラボは、 ISO 15189 認定取得施設でもあり、 整理
整頓がなされていて、 業務に必要な表示や情報が認知し
GLDラボ
血液部門
やすく掲示された機能的な作業空間となっている。 今
回、 搬送ラインから “コネクティビティ” に更新したこと
で、 省スペース化され、 作業動線の改善と業務効率
の向上につながった。 「安全、 高品質、 効率化」 とい
う企業理念に合致した業務改善を実行している。
検査の効率化 ・ 平準化
血液部門の皆さん
DxH 1601 × 2 式の導入により業務の平準化を図る
ことができ、 検体が集中する時間にも対応しやすくなっ
た。 尾﨑氏は病院検体をより迅速に対処するための取
り組みを継続している。 今年 3 月には、 病棟検体の受
付開始を 1 時間早めることを決定した。「従来であれば、
出勤時間を大幅に前倒しする必要があったが、 自動
立ち上げ機能のおかげで、 機器のセットアップにかか
る時間が短縮され、始業 30 分前の出勤で対応できる」。
春季や秋季などの企業健診シーズンでも計画的にスケ
ジュールを立てることができ、 勤務シフトも組みやすく
なったという。 「わたしたちの組織は若いので、 効率的
に時間を使うことで、 今まで以上にスタッフの自己研さ
んやスキルアップに力を入れていきたい」 と、 尾﨑氏
は目指す組織像を熱く語った。
(THE MEDICAL & TEST JOURNAL 2015 年 5 月 11 日 第1309号掲載)
http://www.beckmancoulter.co.jp