電気防食工法適用時における コンクリートのASR抑制法 鳥取大学 黒田 保 建設材料学研究室 丈夫で長持ちするコンクリート構造物を構築するための 研究を行なっています。また,環境負荷低減のため,産業 副産物や廃棄物をコンクリート用材料として有効利用する ための研究も行なっています。 主な研究内容 ・ コンクリートおよびコンクリート部材の力学特性に関す る研究 ・ コンクリートの時間依存性挙動(乾燥収縮,クリープ) に関する研究 ・ コンクリートの耐久性に関する研究 ・ コンクリート資源の有効利用に関する研究 ・ 高流動コンクリートに関する研究 コンクリート資源の有効利用に関する研究 高炉スラグ フェロニッケルスラグ (急冷) (徐冷) 焼却灰溶融スラグ まさ土 コンクリート塊 廃瓦(いぶし瓦) 廃瓦(釉薬瓦) コンクリートの耐久性に関する研究 ・ 凍結融解抵抗性 ・ 耐酸性 ・ アルカリシリカ反応 アルカリシリカ反応に関する研究 ・ 促進試験法 ・ 抑制法 ・ 電気防食工法の適用性 電気防食工法適用時における コンクリートのASR抑制法 アルカリシリカ反応 (ASR) + Na + K - OH 水 ひび割れ 吸水膨張 反応性骨材 アルカリシリカゲル シリカ鉱物 : オパール,クリストバライト, トリディマイト,玉髄, 隠微晶質石英,ひずんだ結 晶格子をもつ石英 火山ガラス コンクリート 電気防食工法 塩害による鉄筋腐食 電気防食工法* *コンクリート構造物の電気化学的防食工法研究会 http://www.cp-ken.jp/koho01.html 鉄筋腐食を停止させるための 最も効果的な補修工法 電気防食工法 コンクリートに反応性骨材が使用されている場合 懸念 電気防食工法 ASRを促進し,それによる劣化を助長 させる可能性 陽極材 コ ン ク リ ー ト Na+ K+ Na+ K+ + Na+ - OH- 2 H2O → 2 OH- + H2 OH- 鉄筋 供試体作製 28日間湿布養生 10 黒皮付き鉄筋 (φ13mm) チタンメッシュ 通電 (0,5,30,100mA/m2) 40℃,RH.100で保存 100 陽極側 20℃の恒温室へ移動 鉄筋位置 底面側 100 25 250 24時間後 25 300 (単位:mm) 長さ変化の測定 電流密度 過剰に大きい 膨張率と電流密度との関係 W/C = 60 % 膨張率(%) 0.30 鉄筋近傍のR2O量 早期に過剰に多くなる 鉄筋位置 保存期間124週 0.25 ASRゲルのNa2O/SiO2 大きくなる 0.20 0.15 ASRゲルの粘性 小さくなる 0.10 0 20 40 電流密度 60 80 (mA/m2 ) 100 ASR膨張 小さくなる 供試体作製 28日間湿布養生 通電 (0,5,30,100mA/m2) 40℃,RH.100で保存 ・ 通電開始直前 ・ 24週間後 ・ 48週間後 試料採取 アルカリ含有量の測定 アルカリ含有量の測定 ・・・ コンクリート中の水溶性アルカリ金属元素の分析方法(案) 建設省(現国土交通省)総合技術開発プロジェクト 0-2.5 2.5-5 5-7.5 7.5-10 8 3 アルカリ含有量分布 R2O (kg/m ) 通電開始直前 10 (0 mA/m2) R2O=Na2O+0.658 K2O 4 2 外① 2.5-5cm 鉄 筋 内① 内② 100 mA/m2 48週間後 10 5-7.5cm 7.5-10cm 外① 内① 内② 外② 外② 0-2.5 2.5-5 5-7.5 7.5-10 8 3 2.5cm 2.5cm 2.5cm 2.5cm 7.5-10 5-7.5 2.5-5 0-2.5 0 0-2.5cm R2O (kg/m ) 2.5cm 2.5cm 2.5cm 2.5cm 陽極 6 6 4 2 0 外① 内① 内② 7.5-10 5-7.5 2.5-5 0-2.5 アルカリ含有量(R2O)と電流密度との関係 3 R2O (kg/m ) R2O=Na2O+0.658 K2O 14 12 10 8 6 4 2 0 0-2.5 5-7.5 2.5cm 2.5cm 2.5cm 2.5cm 陽極 2.5-5 7.5-10 0-2.5cm 2.5-5cm 鉄 筋 5-7.5cm 2.5cm 2.5cm 2.5cm 2.5cm 外① 内① 内② 外② 電流密度の増大 鉄筋近傍のアルカリ 含有量の増加 0 20 40 60 80 電流密度(mA/m2) 100 7.5-10cm 鉄筋コンクリートに通電を行った場合, (鉄筋を陰極として) ASR膨張を最大にする ペシマム値が存在 ASR膨張 電流密度 ぺシマム値 電流密度 電気防食工法適用前に,大きな電流密度を一定期間供給 (脱塩工法,再アルカリ化工法) ASR膨張が助長されるのを抑制 供試体 チタンメッシュ 10 100 鉛 直 方 向 100 25 モルタル ステンレス丸棒 オーバーレイ (φ13mm) 陽極側 陰極位置 底面側 鉛 直 方 向 250 鉛 直 方 50 向 25 300 (単位:mm) 通電方法 40℃,R.H.100%) 2 1 A/m ① 8 週間 28日間湿布養生 (20℃) 2 A/m2 ② 4 週間 2 A/m2 ③ 8 週間 (大きな電流密度を一定期間供給) 積算電流密度が同じ ・ 無通電(0mA/m2) ・ 30mA/m2で通電 ・ 無通電(0mA/m2) ・ 30mA/m2で通電 ・ 無通電(0mA/m2) ・ 30mA/m2で通電 電気防食工法適用前に大きな電流密度を一定期間供給 ●: 前処理なし ●: 1A-8W ▲: 2A-4W ■: 2A-8W 1.0 30 mA/m2 陽極側 1.2 1.0 0.8 0.6 抑 制 0.4 0.2 膨張率(%) 1.2 膨張率(%) 陽極側 0 mA/m2 0.8 0.6 0.4 抑 制 0.2 0.0 0.0 0 10 20 30 40 50 60 0 70 10 20 0 mA/m2 鉛直方向 0.6 0.4 膨張率(%) 膨張率(%) 抑 制 0.8 0.4 0.2 0.0 0.0 20 30 40 70 50 保存期間 (週) 60 前処理期間中に膨張を生じていない 70 抑 制 0.6 0.2 10 60 1.0 0.8 0 50 30 mA/m2 鉛直方向 1.2 ●: 前処理なし ●: 1A-8W ▲: 2A-4W ■: 2A-8W 1.0 40 保存期間 (週) 保存期間 (週) 1.2 30 0 10 20 30 40 保存期間 (週) 50 60 70 前処理条件とASR膨張抑制率 保存期間: 62週 R: 抑制率(%) E1: 前処理なしの供試体の膨張率(%) E2: 大きな電流密度を一定期間供給した E1 E2 R 100 E1 0 mA/m2 陽極側 87 75 抑制率 (%) 62 1A-8W 2A-4W 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 抑制率 (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 供試体の膨張率(%) 2A-8W 積算電流密度が同じであれば 抑制率はほぼ同程度 30 mA/m2 陽極側 80 57 58 1A-8W 2A-4W 2A-8W 積算電流密度が同じであれば 抑制率はほぼ同程度 54 19 1A-8W 11 2A-4W 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2A-8W 積算電流密度が同じであれば 抑制率はほぼ同程度 2 A/m2 を8週間供給することにより, 陽 極 側: 陰極位置 : 底 面 側: 鉛直方向 : 30 mA/m2 鉛直方向 抑制率 (%) 抑制率 (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 mA/m2 鉛直方向 80~90%の膨張を抑制 60~70%の膨張を抑制 50%の膨張を抑制 55%の膨張を抑制 55 16 1A-8W 23 2A-4W 2A-8W 積算電流密度が同じであれば 抑制率はほぼ同程度 ・ 電気防食工法適用前に供給する電流密度が大きい ・ 大きな電流密度の供給期間が長い ASR膨張抑制効果が大きい 電気防食工法適用前に大きな電流密度を一定期間供給 (1 A/m2,2 A/m2) 電気防食中のASR膨張を抑制
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