最新不動産市場動向 各種指標等からみた 兵庫県・不動産価格市場 (平成 27 年前半) 2015 年 10 月 28 日 あいき不動産鑑定株式会社 近畿圏・土地市場 土地総合研究所「今月の不動産経済」7 月によると、近畿圏における土地の新規登録件 数は増加が続いているが、成約件数については横這い状態にある。成約平均単価は下落が 続いている。 近畿圏における土地の 新規登録件数・成約件数推移 1,600 近畿圏における土地の平均㎡単価推移 (件) 15.0 (万円/㎡) 14.5 1,400 14.0 1,200 13.5 1,000 13.0 800 12.5 600 12.0 11.5 400 11.0 200 10.5 0 10.0 新規登録件数 成約件数 出典:土地総合研究所発表「今月の不動産経済」を基にあいき不動産鑑定が作成 -1- 近畿圏・兵庫県・マンション市場 近畿圏・兵庫県・中古マンション市場 土地総合研究所「今月の不動産経済」を基に弊社で集計したところ、近畿圏、本年 1~5 月における中古マンションの新規登録件数は 21,046 件、昨年同時期 20,434 件に比較し+ 3.0%となった。他方、本年 1~5 月における成約件数は 7,488 件、昨年同時期 7,228 件に 比較し+3.6%となっている。成約平均価格については 1,873 万円、昨年同時期 1,795 万円 に比較し+4.3%であり、上昇傾向が続いている。 近畿レインズ「Real Time Eyes」を基に弊社で集計したところ、兵庫県内中古マンショ ンについて、本年前半(1~6 月)における新規登録件数は 8,193 件、昨年同時期 7,775 件に 比較し+5.4%となった。成約件数は 2,900 件、昨年同時期 2,797 件に比較し+3.7%とな っている。残戸数は 22,947 戸で、昨年同時期 22,302 戸に比較し+2.9%となっている。成 約平均価格は 1,877 万円で、昨年同時期 1,797 万円に比較し+4.5%と、上昇傾向が続いて いる。 ひとこと: 近畿圏の中古マンションについて、平成 24 年以降新規登録件数が減少していたが、平成 27 年前期に持直した。成約件数については平成 26 年に減少したが、平成 27 年前期に持 直した。成約単価は概ね上昇基調にある。 -2- 近畿圏における中古マンションの 新規登録件数・成約件数推移 5,000 近畿圏における中古マンションの平均価格推移 (件) 2,300 4,500 2,200 4,000 2,100 3,500 2,000 3,000 1,900 2,500 1,800 2,000 1,700 1,500 1,600 1,000 1,500 500 1,400 0 1,300 新規登録件数 (万円) 成約件数 出典:土地総合研究所発表「今月の不動産経済」を基にあいき不動産鑑定が作成 兵庫県における中古マンションの 新規登録件数・成約件数・在庫件数 9,000 8,000 兵庫県における中古マンションの平均価格推移 (件) 8,143 7,226 7,240 7,837 7,981 7,498 7,775 8,193 7,355 1,900 5,000 3,340 3,463 3,738 3,833 3,769 3,688 3,717 3,644 3,825 1,800 1,844 1,770 1,693 1,700 3,000 1,000 2,200 2,000 6,000 2,000 (万円) 2,100 7,000 4,000 2,300 1,600 2,900 2,825 2,576 2,797 2,573 2,316 2,309 2,471 2,464 1,500 1,400 0 1,300 新規登録件数 成約件数 出典:近畿レインズ「Real Time 在庫件数(平均) Eyes」を基にあいき不動産鑑定が作成 -3- 1,730 1,721 1,781 1,797 1,825 1,877 近畿圏・新築マンション市場 不動産経済研究所「マンション市場動向」を基に弊社で集計したところ、近畿圏、本年 1~5 月における新築マンションの供給戸数は 8,347 戸、昨年同時期 7,022 戸に比較し+ 18.9%。平均契約戸数は 1,201 戸、昨年同時期 1,091 戸に比較し+10%となっている。平 均残戸数は 2,188 戸で、昨年同時期 2,050 戸に比較し+6.7%となっている。平均価格につ いては 3,590 万円で、昨年同時期 3,489 万円に比較し+2.8%と概ね上昇基調にある。 ひとこと: 平成 26 年における近畿圏新築マンション市場について、消費増税により供給、契約戸数 共に一昨年より大きく減少した。平成 27 年前半は昨年より戻ってきているが一昨年水準 には至っていない。成約価格については概ね上昇基調にある。 近畿圏における新築マンションの 供給戸数・発売月契約戸数・期末全残戸数推移 4,000 (戸) 近畿圏における新築マンションの 平均価格推移 4,500 (万円) 4,300 3,500 4,100 3,000 3,900 2,500 3,700 2,000 3,500 1,500 3,300 3,100 1,000 2,900 500 2,700 0 2,500 供給戸数 発売月契約戸数 期末全残戸数 出典:㈱不動産経済研究所発表「マンション市場動向」を基にあいき不動産鑑定が作成 -4- 兵庫県・中古戸建住宅市場 国土交通省「不動産価格指数」7 月(4 月分)を見てみると、近畿地方の戸建住宅価格は 下落基調にある。 近畿レインズ「Real Time Eyes 7 月号」を基に弊社で集計したところ、平成 27 年前半 (1~6 月)兵庫県内中古戸建住宅の登録件数は 7,333 件で、昨年同時期 6,901 件に対して +6.3%で、概ね増加基調が続いている。成約件数については 1,517 件で、昨年同時期 1,445 件に対して+5.0%で、概ね横這い基調にあるものと見込まれる。成約価格平均は本 年前半 2,245 万円、昨年同時期 2,216 万円に対して+1.3%である。平成 25 年をピークに 以降下落基調にあるものと見込まれる。 近畿地方における戸建住宅の 不動産価格指数推移 110.0 105.0 100.0 95.0 90.0 85.0 ← 出典:国土交通省発表の「不動産価格指数」を 基にあいき不動産鑑定が作成 80.0 兵庫県における中古戸建住宅の 新規登録件数・成約件数推移 8,000 (件) 6,901 6,901 7,000 6,000 5,882 5,894 6,334 兵庫県における中古戸建住宅の平均価格推移 2,300 7,333 2,200 6,339 6,106 6,305 2,100 5,000 2,079 2,000 4,000 3,000 (万円) 1,900 1,800 2,226 2,211 2,243 2,226 2,257 2,255 2,216 2,216 2,245 2,000 1,700 1,000 1,600 0 1,500 新規登録件数 出典:近畿レインズ「Real Time 1,976 1,979 1,988 成約件数 Eyes」を基にあいき不動産鑑定が作成 -5- 2,014 2,042 2,019 2,034 2,000 三宮エリア・オフィス市場 CBRE「OFFICE JAPAN」によると、2014 年 3 四半期の空室率について「三宮」は 8.2%で前期に比較し 0.2%下落。空室率の低下が続いている。新設、立地改善、拡張移 転、館内増床等企業の積極的なオフィス需要が続いている。神戸市内オフィスビルの想定 成約賃料は 10,470 円/坪、前期比+0.9%と緩やかな上昇基調にある。 三鬼商事「オフィスデータ」によると、神戸地区のオフィス平均賃料は 10,942 円/坪で 若干の上昇基調にある。空室率は 8.2%で平成 22 年以降下落基調にある。 神戸地区における延床面積1000坪以上貸事務所ビルの 平均賃料・平均空室率推移 11,000 10,500 10,000 9,500 9,000 13.6 13.2 12.2 8.9 8.8 10,942 10,932 10,923 10,897 15.0 13.0 12.9 11.9 11.0 10.5 10.5 9.2 17.0 13.9 12.0 10.6 10,904 14.5 10,962 11,500 11,110 19.0 11,385 11,689 11,543 11,689 11,747 11,949 11,850 11,949 11,983 11,971 11,854 (%) 11,828 12,000 11,825 12,500 11,992 (円/坪) 13,000 9.3 9.2 8,500 8,000 9.7 8.8 9.4 8.7 9.0 8.2 7.0 5.0 平均賃料 平均空室率 出典:三鬼商事株式会社「オフィスデータ」を基にあいき不動産鑑定が作成 日本不動産研究所「不動産投資家調査」によると、平成 27 年 4 月、神戸(三宮地区)にお ける標準的 A クラスビルの期待利回りは 6.2%で、平成 25 年以降下洛が続いている。 -6- 神戸(三宮地区)における標準的なAクラスビルの 期待利回り推移 7.5 (%) 7.0 7.0 6.5 6.7 6.56.7 6.5 6.7 6.7 6.7 6.7 6.7 6.6 6.5 6.5 6.4 6.2 6.0 6.0 6.0 6.0 5.8 5.5 5.7 5.5 5.0 出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査」を基にあいき不動産鑑定が作成 ひとこと: 「三宮」地区の好立地・ハイグレードな物件は良好である。利便性が劣ったり、 築年数を経た物件等では引き続き苦戦が続いており、リニューアル、賃料値下げ 等の対応が迫られている。今後、後者への波及効果が期待される。 ヒアリングご協力:株式会社オフィスリンク様 -7- 三宮エリア・店舗市場 大阪梅田地区に新規開業が相次いだことにより 2011 年に三宮地区の店舗市況は悪くな り、募集賃料も下落したが、翌年、旧居留地等独自商圏を有する一部エリアは大阪の影響 からの持直しが見られた。2013 年に入り、旧居留地に海外ブランドの集積が高まり、三 宮センター街等ではポジティブ動機の移転が見受けられ、成約賃料について上値の更新が 見られた。2014 年にはセンター街・旧居留地以外にも神戸初出店テナントのオープンが あり、面積拡張や好立地への移転も見られた。2015 年には 4 月にセンター街に「クレフ ィ三宮」がリニューアルオープンし、来場客数は当初予想の 140%を達成している。11 月 には三宮においては 6 年ぶりの新築となる「三宮ビル北館」竣工予定もある。今後は元町 通り商店街等、センター街や旧居留地を除く地域の商況盛り上がりが期待される。 ヒアリングご協力:(順不同)株式会社セントラルハウジング、佐田野不動産株式会社様 等 国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告」(平成 27 年 1 月 1 日~4 月 1 日)によ ると「三宮周辺商業地区」の地価は 0~+3%の上昇と予測されている。三宮地区においても 投資物件の需給逼迫が継続している。三宮ターミナルビル等建替え計画が複数棟あること による期待感がある。但し、弊社が入手した関係者情報によると実際の計画は進行の目途 が立っていない。 日本不動産研究所「不動産投資家調査」によると、2015 年 4 月、神戸における商業店舗 の期待利回りは、都心型高級専門店についてが 6.0%、郊外型ショッピングセンターについ ては 6.7%、いずれも平成 25 年以降下落が続いている。 神戸地区における商業店舗の期待利回り推移 8.0 7.5 (%) 7.5 7.4 7.5 7.5 7.5 7.5 7.5 7.3 7.4 7.3 7.2 7 7 7.0 6.5 7.0 6.5 6.0 6.7 6.4 6.2 6.1 6.7 6.1 6.7 6.7 6.7 6.7 6.7 6.5 6.6 6.5 6.2 6.5 6.2 6.0 5.5 6.9 6.6 5.8 5.8 5.8 5.7 6 5.7 5.0 都心型高級専門店 郊外型ショッピングセンター 出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査」を基にあいき不動産鑑定が作成 ※想定商業店舗は、都心型高級専門店は築年数 5 年未満の高級ブランド品小売業中心、 郊外型ショッピングセンターは売場面積 20,000 ㎡程度の有力な総合量販店 -8- 6 神戸市・投資不動産市場(居住用) 「楽待」を運営する株式会社ファーストロジックによると、「新規掲載」された「一棟 アパート」の平均築年数 24 年 2 月、表面利回り 9.69%、物件価格 6,412 万円。「問合せ 物件」の平均築年数 24 年 6 月、表面利回り 11.65%、物件価格 5,467 万円で、「新規掲 載」、「問合せ」いずれについても、2012 年から、表面利回りの下落、物件価格の上昇 が続いている。また、「一棟マンション」については、「新規掲載」が、平均築年数 26 年 4 月、表面利回り 8.24%、物件価格 20,525 万円。「問合せ物件」の平均築年数 26 年 6 月、表面利回り 10.24%、物件価格 16,554 万円で、「新規掲載」、「問合せ」いずれにつ いても、2012 年から、表面利回りの下落、物件価格の上昇が概ね続いている。 新規掲載 問合せ 新規掲載 問合せ -9- 新規掲載 問合せ 新規掲載 問合せ 新規掲載 問合せ 新規掲載 問合せ 出典:㈱ファーストロジック発表「不動産投資サイト「楽待」(http://www.rakumachi.jp)物件統計レポート」 - 10 - 東京カンテイ「プレスリリース・分譲マンション賃料」によると 2014 年 7 月の神戸市 内分譲マンションの平均賃料は 1810 円/㎡で、平均築年数の進行等で前月比では 1.3%下 落した。神戸市内における分譲マンション賃料は、2011 年以降振幅が見られるも概ね横 ばい状況にあるものと見込まれる。 神戸市内の分譲マンション賃料推移 2,200 (円/㎡) 2,100 2,000 1,763 1,800 1,810 1,742 1,642 1,638 1,643 1,700 1,600 1,834 1,831 1,900 1,502 1,512 1,500 出典:㈱東京カンテイ発表「今月の不動産経済」を基に 1,400 1,300 あいき不動産鑑定が作成 1,200 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 日本不動産研究所「不動産投資家調査」によると、2015 年 4 月、神戸地区における賃 貸住宅一棟の期待利回りは、ワンルームについてが 6.0%、ファミリー向けについては 6.1%、いずれも平成 24 年以降下落が続いている。 神戸地区における賃貸住宅一棟の期待利回り推移 7.5 (%) 7.3 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.2 6.5 6.5 7.2 7.2 7.2 7.2 7.1 7.0 7.0 6.8 7.1 7.1 7.0 7.0 6.6 6.9 6.5 6.5 6.4 6.7 6.5 6.0 6.0 6.0 6.0 6.5 5.9 5.8 5.5 5.8 6.0 5.8 6.5 5.9 6.1 6.4 6.3 6.0 5.9 5.0 ワンルーム ファミリー向け 出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査」を基にあいき不動産鑑定が作成 ※想定賃貸住宅は最寄駅から徒歩 10 分以内、 築 5 年未満、総戸数 50 個程度 ひとこと: 2014 年前期については神戸市内投資不動産市場(居住用)の好調が続いているも のと予測される。 - 11 - 兵庫県・工場地市場 近年の工場動向について、兵庫県からの聴取 1. 平成 26 年の全国的な工場立地は増加傾向にあり、特に北関東(茨城・栃木)が伸び ているが、兵庫県は減少した。 2. 兵庫県の半期ごとの立地件数(県内で工場の新増設を行うための 1000 ㎡以上の用地 取得)が、平成 25 年上期をピークに伸び悩んでいる理由として、産業団地内のに、 立地条件が良くかつリーズナブルな土地在庫が減少したことがあげられる。 3. 産業団地内の在庫としては約 400ha あり、そのうち沿岸部のポートアイランド 2 期、 尼崎フェニックス事業用地と神戸空港で約 150ha 程度ある。内陸部の在庫としては、 西播磨地域や中国自動車道沿いの交通アクセスの悪い地域である。 4. 企業の立地傾向として、事業継続計画(BCP)の観点から、南海トラフの津波浸水予想 が出ている臨海部よりも、内陸部が選ばれている。 5. 選好性の高い内陸部の工場地としては、高速道路沿いで、大阪までの交通利便性が良 い神戸市西区・三田市を中心として小野市・三木市も含まれる。 6. 平成 27 年上期の集計段階では、平成 26 年より増加が予想され、在庫が少ない産業団 地内よりも、既存工場地の立地が主と見られる。 7. 地域別動向をみると、三木市・小野市を含む北播磨地域は、前年 17 件が平成 26 年 8 件と減少したが、産業団地内の在庫が減少したことが原因である。さらに丹波地域は、 舞鶴若狭自動車道全線開通等の高速道路網整備の影響もあり、前年 5 件が平成 26 年 9 件と立地が増加した。 8. 業種別に見ると、最も多いのは電気業 12 件で、ソーラーパネルの敷設による。次ぐ 金属製品製造業 11 件は、兵庫県の旧来からの中心産業であると共に近年の景気回復 に連動して増加している。食料品業界は景気に左右されずコンスタントに件数を維持 している。 - 12 - 9. 産業団地内の立地件数は 25 件となっているが、そのうち一次取得は半数程度で、そ れ以外は集約化・廃業等で移転した団地内土地の二次・三次取得である。 10. 阪神間の大型物流倉庫用土地の需要は相変わらず高いが、既にかなりの物流拠点がで きており、供給過剰気味という見方も出ている。 広報統計 兵庫県内工場地取得件数及び面積推移 80 (件) (ha) 68 70 60 65 120.9 56 54 50 44 100 80 81.1 60 70.4 64 40 20 40.2 20 10 0 0 H21 25 (件) 120 103.6 40 30 61 140 H22 H23 件数 H24 H25 土地面積 H26 兵庫県内地域別工場地取得件数の推移 20 東播磨 北播磨 西播磨 中播磨 15 丹波等 阪神南 10 神戸 5 阪神北 0 H21 H22 H23 H24 H25 H26 出典::経済産業省「近畿地区工場立地動向調査」を基にあいき不動産鑑定が作成 - 13 - 全国企業短期経済観測調査(兵庫県)によると、兵庫県内の製造業における設備投資計 画のうち土地投資額について、全規模でみると平成 22 年を 1 つ目の山、消費増税前の駆 込み需要と見られる平成 25 年を 2 つ目の山とする動きが見られる。各規模別みるとトレ ンドが異なり、景気動向による影響にタイムラグがあるのではと予測される。 兵庫県における製造業の 規模別土地投資額指数推移 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 H21 全規模 H22 H23 大企業 H24 中堅企業 H25 H26 中小企業 出典::日本銀行「全国企業短期経済観測調査(兵庫県)」を基にあいき不動産鑑定が作成 ひとこと: 兵庫県内工場地取得・立地動向は、リーマンショック後の回復傾向にあった が、平成 24、25 年をピークに減少もしくは横ばい状況となっている。 - 14 -
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