Shukokai Chronicle Topics SEMINAR 広島で「すぎな会」主催市民公開セミナーが開催 『あきらめないがん予防・がん治療』 さる6月6日(土) 、広島市の広島国際会議場「ダリア」で、 “より良いがんワクチン市民公開セミナー”が開催さ れた。主催は「がん患者の会 すぎな会」 。永山多寿子先生が院長を務める医療法人社団寿会 永山医院を中心とし た患者様の会である。約240名収容の会場は、ほぼ満員の盛況――。大変な盛り上がりを見せたセミナーの模様を お伝えする。 うに、とても高機能な樹状細胞を手軽に買える時代がやってくるのです」 (蓮見 先生) そのように免疫療法の未来図を描かれた蓮見先生は、次に未来への踏切り板と なる“日常生活”に話を移され、がんの1次予防・2次予防の重要性について説明 した。 1次予防、すなわちがんにならないための予防には、市販のサプリメントなども 有効だが、よりはっきりとした効果を求めるなら、 「アジュバント療法」が適して いるという。アジュバントとは樹状細胞の活性化を促す物質だが、それを定期的 ●免疫療法の未来図 に体内に取り入れることで、常に若々しい免疫力を保つことができるのである。 すぎな会主催の市民公開セミナーは、30回以上も続けられている由緒あるセミナーであ 1次予防に励んでいても、がんになる確率はゼロではない。もしがんになって る。今回のテーマは『あきらめないがん予防・がん治療』 。がん患者様と手に手を取りあって、 しまったら、 まず厚生労働省のガイドライン通り、手術などの標準治療を受け 予防や治療に励んでこられた永山先生ならではの、 “熱い心”がこもったタイトルである。 る。そして、標準治療後の再発予防(2次予防)には、 「予防型ワクチン――ハス 主催者を代表して永山先生が開会の辞を述べると、続いて現れたのは、なんと新進気鋭の ミワクチン」が効果を発揮する。さらに、万が一再発してしまったら、 「治療型 りょう バイオリニスト――小島燎さん。医療セミナーの皮きりとしては意表を突かれた感じだが、 ワクチン――HITV 療法」を受診することがのぞましい。 登場の理由を聞けば思わずうなずいてしまう。約10年前、小島さんのお母様が重度の大腸が 「HITV 療法は腫瘍の最大径が3cm 以下、転移数が10か所以内でしたら、非常に んを患ったとき、永山先生と蓮見先生が救済の手を差し伸べてくれたというのだ。そのかい 高い確率でがんを縮小・消滅させられます。再発予防に併せて定期的に健診を受 あって、お母様は奇跡といってもいいほどの回復を果たし、現在は CT をとっても何も映ら け、可能な限り早い段階で(再発を)発見することが大切です」 (蓮見先生) ないほどだと語る。今年パリへの留学を控えた小島さんは、こう続けた。 蓮見先生のお話は免疫療法の最新情報の他、治療計画や日々の注意点まできめ 「私が安心して日本を出発できるのも、永山先生と蓮見先生のお蔭です。本当にありがとう 細かく触れ、がんで悩む方々に予防・治療を続けていくための希望を、実践的に ございました」 示してくれた。冒頭に語られた未来図が、着実に現実化していることを実感させ 19世紀に発表されたというとても技巧的なバイオリンソナタに続き、いよいよ蓮見賢一郎 てくれる講演だった。 先生の基調講演が始まった。 現在、世界中で施術されている免疫療法は、 “樹状細胞”を中心に組み立てられている。 ●幸福なバトンタッチ 蓮見先生が樹状細胞の分離について学ばれたのは1995年頃。その免疫の核たる細胞につい すぎな会の中心である永山医院が広島の地に開院したのは大よそ90年前。永山 て、日本ではまだ詳細な情報が伝わっていない時代だった。 多寿子先生がお父様から医院を受け継いだのは1965年なので、ちょうど今年が 「今後も免疫療法は樹状細胞を中心に発展していくでしょう。あと10年ぐらいすると再生医 継承後50年に当たる。半世紀にわたり、広島県内はもちろん、中国・四国地方の 療の一環として(樹状細胞が)常に準備されており、必要なとき必要なだけ手に入るように がん患者様たちに尽くしてこられた永山先生は、節目の年に大きな決断を下され なるかもしれません。つまり、現在私たちが手術のときなどに日赤で血液を買うのと同じよ た。永山医院の院長の椅子を、愛娘である汐見千寿先生に譲り渡したのである。 米国蓮見国際研究財団理事長 蓮見賢一郎先生 医療法人社団寿会 永山医院 永山多寿子先生 『次の次の次の社長に会社をどういう状態で渡せるかを常に考えています』とい うのは、トヨタ自動車社長豊田章男氏の名言である。どんな組織でも成長するた めには新陳代謝が必須。その最たるものがリーダーの“後継者”であり、煎じ詰 めれば後継者の育成こそ組織トップのもっとも重要な仕事だといえよう。永山先 生は汐見先生がいてくれたお蔭で永山医院を後世に残し、汐見先生は永山先生の お蔭で新しい歴史を切り拓く鍵をもらった。二人の医師にとって、また、多くの 患者様にとっても、誠に幸福なバトンタッチだったといえよう。 「これからも母や頼もしいスタッフたちと一緒に、がんでお悩み方たちに少しで 医療法人社団寿会 永山医院 汐見千寿先生 も笑顔を取り戻してもらえるよう精いっぱい努力する覚悟です」 壇上に立った汐見先生は、ご自身の決意をそんな清々しい言葉で結んだ。朗ら かで誠実なお人柄で患者様を包み込み、笑顔の輪を一歩ずつ広げていかれますよ 満員の会場 23 新進気鋭のバイオリニスト 小島燎さん うにと、心からお祈りしたい。 笑顔といえば……汐見先生が「笑いヨガ」の“ティーチャー”であることは、 22 Shukokai Chronicle この体操のようなポーズも、笑いヨガのひとつ 日本笑いヨガ協会代表 高田佳子氏 ご存じだろうか。笑いヨガとは笑いの健康効果とヨガの呼吸法をミックスさせ 4 4 た健康法であり、突如会場に降臨した日本笑いヨガ協会代表高田佳子氏の指導 のもと、場内はいきなり爆笑の渦に呑み込まれた。 暫し笑い、気分がリフレッシュしたところで、何人かの元患者様がご自身の 体験談を語ってくれた。どなたも永山医院や ICVS 東京クリニックなどで治療 を続け来られ、今は元気に暮らしていらっしゃる方々である。すぎな会のモッ トーである“決してあきらめない”を目の当たりにした思いで、みなさまの健 康に改めて拍手を送りたくなる。 ◆ ◆ ◆ セミナーの締めくくりとして登壇した永山多寿子先生が、閉会の辞を述べら 向かって左から汐見先生、蓮見先生、 永山先生。こぼれる笑みが互いの信頼 を映している れた。 「どんなに悪い状態に陥っても、最後まであきらめないでください。必ず生き 抜くという覚悟を固め、治療を続ければ必ず道は拓けます」 いつもの凛とした姿勢で語られた永山先生だったが、突然万雷の拍手を遮る ようにこう続けられた。 「これからは、汐見が引き継ぎます。どうぞよろしくお願いいたします」 来年、このセミナーはどう変わっていくのだろうか……。その時、新しく始 まる歴史にときめいたのは、記者だけではないだろう。 《了》 ―第32号 2015年7月23日発行― ■定価250円(税込) 発行 ■ 医療法人社団 珠光会 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4 -1 新紀尾井町ビル3F 制作 ■ ㈱エス・アイ・ジェイ/編 集 ■ ㈱ストーリープレス 本誌についてのお問い合わせは、BSL-48Clinic TEL.03-3556-1948 まで (ご案内)この冊子は平成27年6月下旬までに皆様からいただいた情報をもとにお送りしております。住所変更手続き等で行き違いがございましたら、お詫び申し上げます。 今後このような情報を必要とされない方は BSL-48Clinic までご連絡ください。
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