別紙3(様式2) 「本場の本物」地域食品ブランド表示基準(Ⅰ種・Ⅱ種共通) 1.名 称 焙炉式 八女茶 (1)名称の由来 当該地域における茶の栽培は800年以上前に始まり、その名称は八女のみならず全国で 周知されているため 2.産 地 (1)範 囲 八女地方(現在の筑後市、八女市とその周辺地域)とする (2)範囲の設定根拠 昔から、茶栽培に適していた自然的特性を有する、八女地方(現在の筑後地方、八女地 方とその周辺地域)で栽培・製茶されていたことから、その地域と設定している。 3.歴史的伝統性 日本茶の栽培の始まりは、建久2年(1191年)茶祖 栄西禅師が、肥前と筑前( 現在の佐賀県神埼市脊振町-福岡県福岡市早良区)の境界の背振山に宋から持ち帰った 茶の種を蒔いたのが始まりとされ、その後、応永13年(1406年)周瑞禅師が 筑 後国上妻郡鹿子尾村(現在の福岡県八女郡黒木町笠原)に霊巖寺を建立、明から持ち帰っ た茶の種を地元の庄屋 松尾太郎五郎久家に与え、釜炒り茶の製法を伝授したのが“八 女のお茶”の起源とされている。 また、名称についてであるが、明治期まで八女地方のお茶は主に釜炒り製法でつくら れ、それは総じて「筑後茶」と呼ばれていた。さらに「星野茶」「笠原茶」「黒木茶」 等々栽培される細かい地域名でも呼ばれることもあった。しかし当時、国内での茶の需 要の主力は蒸製緑茶に移りつつあった。そこで大正14年に八女地域で行われた品評会 において八女地方の蒸製緑茶が、質・量ともに対外的に通用することを確信した、八女 郡茶業組合 理事長 許斐久吉は「八女茶」に名称を統一することを提唱した。以来、 「八女茶」として親しまれるようになったと記されている(福岡県中小企業団体中央会 『和ごころを“八女茶”で感じ、真ごころを育てる玉露の里』、西日本新聞『ちくご一 〇〇年 にっぽん一〇〇年』参照)。 現在は日本の緑茶はほとんどが「蒸製緑茶」であるが、八女茶ではさらに伝統的な「 焙炉(ホイロ)製法」が今もなお継承されている。焙炉とは茶を揉む機材であり、構造の 内面を赤粘土で固め、中央に木炭を使って熱を発生させる。上面は伝統工芸品である八 女和紙を貼っており、その上面に蒸した茶をのせて丹念に手揉みするため、遠赤外線で 焙じられた緑茶は、渋みが少なく、濃厚な甘味と旨味がある。さらに「焙炉香」と云わ れる和紙のフレーバーのような独特の焙煎香も生まれる。 なお、申請該当商品は、昔ながらの八女地方の原材料(茶葉)を使用し、昔ながらの 土倉、八女産の炭、八女和紙を使った焙炉式で製茶のみを対象とする。 1 4.食品の独自性 (1)食品特性 苦味、渋みが少なく、濃厚な旨みが広がる。色は黄金がかった緑色をし、香りは爽やか な甘み旨みの香りが広がる。玉露に至っては、煎茶よりもタンニンが少なく、カフェイ ン含有量が多い(福岡県『福岡の八女茶』参照)。また、八女の茶商のブレンド技術が 長けており、品質を均一化するだけでなく、山手や平地といった茶葉の育った地力を活 かし、コクを醸し出す技術を有している。 (2)原材料の特徴 八女茶を栽培する筑紫平野南部(八女地方)は、地質的に筑後川と矢部川の両河川から 運搬された土砂(腐葉土)が交互に堆積した沖積平野からなっており、栽培されるお茶 は官能審査においてコク、甘みを強く感じるものが多いため。 (3)原材料の使用理由 上記に加え、霧(朝霧や川霧)の発生しやすい土地柄でもあり、茶畑があるなだらかな 山の斜面を霧が覆い 太陽光を適度に遮ることで、茶の旨み成分であるアミノ酸類(テ アニン、グルタミン酸、アルギニンなど)の生成を促進し、古くから天然の玉露茶とし て珍重されてきた。 茶の生育に関る気候も、八女地方は 日中の気温が高く夜間は冷え込む特有の内陸性気 候と年間1,600mm~2,400mmの降雨量が 周瑞の学んだ中国蘇州の霊巌山寺付 近の気候に近く、茶の栽培に適しているため。 (4)製法の特徴 工 程 入札 精選加工 焙煎 内 容 生産から加工に至るまでは、茶生産者にて「蒸熱」「冷却」「粗揉」「 揉捻」「中揉」「精揉」」「乾燥」を行い、八女茶取引市場に出荷され る。その荒茶を評価し、競争入札で仕入れを行う。 荒茶から、味を出しやすくする為に形状を揃え、ふるいや切断を行い、 沈(芽茶)と折(葉茶)に分ける。 また選別機にかけ折(葉茶)に含まれる白折(茎)部分を取り除く 沈(芽茶)と折(葉茶)をそれぞれ最適な熱を加え焙煎していく。 冷却・唐箕 沈(芽茶)と折(葉茶)をそれぞれ風をかけながら冷却し唐箕をかけ、 沈粉、本沈と粉、本折とに分ける。 審査・合組 出来上がった製品茶葉を再度、審査・評価し、等級に合わせ蔵内の茶葉 と「合組(ブレンド)」する。 焙炉(伝統製法 焙炉台の上で助炭(八女和紙)と炭、筑後産小麦粉(滑りを良くする為 ) に糊上にして使う)を塗り、焙煎を行なう。焙炉香という和紙の香味が 着き、さらに乾燥を行うことで製品の劣化を防ぐ。 (5)品質・衛生管理基準 工 程 精選加工 内 容 ふるいをかけ、茶以外の異物を除去する 目視や磁石で異物や金属物を除去する。 2 審査・合組 コンベヤ内の磁石で金属物を除去する。目視でコンベヤの茶葉をチェッ ク。 袋詰め 専用の袋詰め機械で作業を行う際、2箇所の磁石で金属片を除去する。 5.生産量 (1)全体の生産量 平成21年 14,200k 生産量 (全体) 資料: 平成22年 14,000k 平成23年 13,700k 平成24年 15,000k 単位:k 平成25年 12,700k (2)該当商品の生産量(全体の生産量のなかで、「本場の本物」に該当する商品) 単位:k 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 生産量 100k 200k 250k 300k 350k (該当商品) 資料: 6.製造者(「本場の本物」に該当する商品を製造できる者) 製造者名 従業員数 住 所 3 有限会社 このみ園 福岡県八女市本町126 *必要に応じて枠を増やして記入してください 7.該当商品名・製造者名・小売価格(「本場の本物」に該当する商品名) 商品名 焙炉式玉露 蓬玉 製造者名 80g 焙炉式玉露 許斐園 焙炉式玉露 秀峰 80g 焙炉式玉露 里 80g 80g 焙炉式煎茶 初音 80g 小売希望価格(税込) 有限会社 このみ園 4320円 有限会社 このみ園 3240円 有限会社 このみ園 2160円 有限会社 1620円 このみ園 有限会社 このみ園 3240円 焙炉式煎茶 極 80g 有限会社 このみ園 2160円 焙炉式煎茶 誉 80g 有限会社 このみ園 1620円 熟成蔵出し茶 特撰 100g 有限会社 このみ園 2160円 熟成蔵出し茶 上撰 100g 有限会社 このみ園 1080円 *必要に応じて枠を増やして記入してください 3 8.取りまとめ団体もしくは特認者 団体もしくは特認者名 (代表者役職名 氏名) 有限会社 このみ園 代表取締役 許斐健一(六代目久吉) 住 所 福岡県八女市本町126 9.識別マークの貼付と管理 商品の出荷時点で間違いの無いようチェックするとともに、年1回、貼付した一覧を整 理し、食品産業センターに提出することにする 10.第三者認証 年1回、基準通りに製造しているかどうか、公設試験場もしくは商工会議所等、業界団 体以外の第三者機関に確認を依頼する予定 11.認定後の業界活性化の展開方法 八女茶は全国ブランドであるが、より品質のよいものを、国内だけでなく海外に販路を 広げ、生産者が次世代に継承できるよう取組む 12.認定後の地域振興への貢献方法 大都市への人口が流入するなか、昔ながらの製法や伝統家屋等を新しい価値として見出 し、国内外の観光客を呼び込み地域交流を促進する。また認定商品の情報発信を行い、 世界中の大都市圏へ認定商品や地域資源の売り込みをはかる。 13.認定後、当該地域に同様の基準で製造する新たな製造者が出現した場合の連携およ び展開方法(特認者のみ記載) 八女地方の原材料(茶葉)を使用し、昔ながらの土蔵、八女産の炭、八女和紙使用した 助炭=焙炉台で製茶している者を増やし、商品自体に付加価値を付けるとともに、観光 資源につなげていく必要があるので、同様の基準で製造する者が出現した場合は、新た に連携し共同組織を立ち上げるなどして、対応する予定 14.参考(社会的評価) 昔ながらの地域資源を用い、伝統製法である焙炉式八女茶を製造する意義は、かつて茶 の製造に和紙が必要不可欠であったことを伝える地域に根差した製法であるといえる。 さらに、滑りを良くする為に塗られたものが、コンニャク糊ではなく、小麦粉糊である 点でも、小麦の生産地である為それを用い茶が作られていたことが分かる 4 15.参考資料 (1)生産が行われている場所(施設)の所在地を示す資料を添付すること。 (2)商品に冠された地名が旧地名であり、現在、当該地名が住居表示に使用されていな い場合は、現在の地名との関係が分かる資料を添付すること。 (3)製品概要、生産範囲、製品特性、製法(工程図・管理図を含む)、社会的評価、生 産量等に関する記載内容の妥当性を示す資料(含写真)を添付すること。 (4)製品特性や製法に関して記載された内容で実際に生産が行われていることを示す資 料を添付すること。 (5)取りまとめ団体および特認者に係る登記簿謄本、定款又は寄附行為の写し、規約、 直近の総会資料を添付すること。なお、該当するものがない場合は、それに準ずる 資料を添付すること。 (6)取りまとめ団体および特認者以外による同一食品の生産がなされていない資料を添 付すること。 5
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