ディジタル回路 山梨大学 工学部 電気電子工学科 2015 年度 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 今日の講義内容 フリップフロップ (FF) の原理 RS-FF 順序回路の表現法 タイミングチャート 状態遷移表 状態表 状態遷移図 RST-FF,セット優先 RS-FF JK-FF マスタースレーブとエッジトリガ D-ラッチと D-FF T-FF 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 順序回路 記憶なし a 組合せ論理 回路 時刻 t A a 組合せ論理 回路 時刻 t 1 A 2 記憶あり a 順序回路 時刻 t A 1 a 順序回路 時刻 t B 2 記憶のない回路と記憶のある回路 状況に応じて異なる対応をするためには記憶が不 可欠 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 フリップフロップ (FlipFlop) とラッチ フリップフロップ (FF) = 2 進数の記憶の原始形 態.0 と 1 の 2 状態を持ち,入力あるいはクロック に変化がない限りその状態を保持する FF の種類 入力レベルが変化すると直ちに出力も変化す るタイプ (ラッチ) RS-FF,D ラッチ クロックパルスに同期して出力が変化するタ イプ RST-FF,JK-FF,D-FF,T-FF 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 フリップフロップの原理 Negative Feedback と Positive Feedback 1 1 0 0 0 1 or 0 記憶する=繰り返し思い出す= Positive Feedback ⇓ 偶数個 (通常 2 個) の NOT 回路で記憶ができる (奇数個だと発振器 (logical oscillator, ring oscillator) になる) 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 出力の 0/1 を設定するには入力端子が必要 ⇓ NOT 回路の代わりに NAND を使う ⇓ S or R Q Q セット : S を H から L に変化させると Q = H ,Q = L リセット : R を H から L に変化させると Q = L,Q = H 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 RS フリップフロップの基本回路 NAND で作った FF (R S-FF) S S Q R Q Q Q R 入力が H になるときにリセット・セットが行われ る RS-FF S S Q R Q Q Q R 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 タイミングチャート (timing chart) RS-FF の動作を 波形 で表現する S R Q S = 0,R = 0 のとき Q は変化しない S = 1,R = 0 のとき出力 Q = 1 に変化し, その後 S = 0 に戻っても出力は変化しない S = 0,R = 1 のとき出力 Q = 0 に変化し, その後 R = 0 に戻っても出力は変化しない S = 1,R = 1 は入力禁止 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 状態遷移表 (state transition table) フリップフロップの状態遷移表 次の状態 Qn+1 現在の 状態 Qn 入力 SR 00 01 11 10 0 0 0 禁止 1 1 1 0 禁止 1 現在の状態 Qn が,入力に従って次の状態 Qn+1 に 遷移 (変化) する仕方を表にしたもの.Qn を縦軸, SR を横軸に取ったカルノー図と思えば良い. ⇒ 論理式で書けば Qn+1 = S + R · Qn 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 状態表 (state diagram) フリップフロップの状態表 入力 S 0 0 1 1 出力 R Qn+1 0 Qn 1 0 1 0 1 禁止 状態の変化を真理値表の形で書く.次の出力 Qn+1 の欄に現在の出力 Qn が現れる. 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 状態遷移図 (state transition diagram) 状態の変化を 図 で表現する 00 / 0 00 / 1 入力/出力 01 / 0 Q n+ 1 =1 Q n+ 1 = 0 10 / 1 01 / 0 状態を円で表す 山梨大学 工学部 電気電子工学科 10 / 1 状態遷移を矢印で表す ディジタル回路 ( 問) 次のような状態遷移表で表される順序回路があると する.これを,状態表および状態遷移図で表せ. 次の状態 Qn+1 現在の 状態 Qn 山梨大学 工学部 電気電子工学科 入力 SR 00 01 11 10 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 ディジタル回路 RS-FF の応用 : チャタリング防止回路 E 人間は1回だけスイッチ を押したつもりでも 実際は何度もオン・オフ している E R t E S Q R Q R R 山梨大学 工学部 電気電子工学科 FFを通せば1回押したもの が記憶される ディジタル回路 RS-FF の応用 : パワーオンリセット回路 電源を入れたとき FF の出力 Q が 0 になるか 1 に なるかは分からない ⇒ どちらかに決まるようにし た方が安全 ⇓ パワーオンリセット回路 S E Q R Q R C コンデンサが充電されるまではLレベル なので必ずリセットされる 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 同期形 RS-FF (RST-FF) コンピュータ内部の動作はクロックパルスに同期し て変化する ⇓ RS-FF の出力もクロックに同期した方が良い ⇓ 同期形 RS-FF or RST-FF S S Q T S T クロック パルス R Q R Q R T が1のときだけ信号 を通すスイッチ 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 セット優先 RS-FF RS-FF に S = 1,R = 1 を入力すると出力は不定 ⇓ どちらかに決まるようにした方が安全 ⇓ セット優先 RS-FF S S Q T Q R R S=R=1のとき強制的に R=1にする 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 逆にリセットを優先するには ⇓ リセット優先 RS-FF S S Q T Q R R S=R=1のとき強制的に S=1にする 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 ( 問) 1 セット優先 RS-FF の状態遷移表を書け 2 セット優先 RS-FF の状態表を書け 3 セット優先 RS-FF の状態遷移図を描け 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 JK フリップフロップ RS-FF は S = R = 1 のとき出力が不定になる ⇓ S = R = 1 のときも出力を定義しておきたい ⇓ S = R = 1 にセットやリセットの機能を割り 当てるとセット (リセット) 優先 RS-FF ⇓ S = R = 1 に 出力の反転 (0 → 1,1 → 0) を 割り当てる ⇓ JK フリップフロップ (JK-FF) 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 JK-FF の状態表 クロック 入力 出力 動作 CK 1 1 1 1 0 Jn Kn Qn+1 0 0 Qn 記憶 0 1 0 リセット 1 0 1 セット 1 1 Qn トグル (反転) * * Qn 記憶 J がセット,K がリセットの働きをする J = K = 1 のときは出力を反転させる クロックが 0 の間は何もしない 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 S J Q CK J CK クロック パルス K Q K Q R 出力の反転 J=K=CK=1のとき は出力を反転する JK-FF の基本回路 (ゲート形 JK-FF) 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 レーシングと発振 CK J K Q 現実の出力 望ましい出力1 望ましい出力2 CK = 1 のとき J や K が変化すると出力 Q は直 ちに変化するが,本来はクロックの変化に揃って変 化することが望ましい 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 CK = 1 のとき J や K の変化が直ちに出力に現れ ると ゲート形 JK-FF を多段接続したとき,クロッ クに同期せずに次々と JK-FF の出力が変化し てしまう ( レーシング,racing ) CK = J = K = 1 の状態が長く続くと出力 が 発振状態 になる 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 状態変化のタイミング レーシングや発振の対策 マスタースレーブ形 (master-slave type) 入力の変化をマスター FFが受け取る master FF J J Q CK K CK K Q1 スレーブFFはCKの 立下りに出力する slave FF J Q Q CK CK Q K CK Q Q J Q1 CK 山梨大学 工学部 電気電子工学科 Q ディジタル回路 エッジトリガ形 (edge trigger type) トリガーを生成 する回路 ゲート形JK-FF J J1 J Q Q J CK K K CK Q Q J1 J1 CK ネガティブエッジトリガ Q ポジティブエッジトリガ 他方,エッジトリガ形でない FF は,CK の信号レ ベル(0 or 1)に従って出力が変化するので,レベ ルトリガ形(level trigger type)と呼ぶ. 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 JK-FF の記号 J Q CK K J Q J CK Q マスター スレーブ K CK Q ポジティブ エッジトリガ K ディジタル回路 Q ネガティブ エッジトリガ 三角形 → エッジトリガ 丸印 → ネガティブ 山梨大学 工学部 電気電子工学科 Q D フリップフロップと D ラッチ D ラッチ D G Qn+1 0 0 Qn 0 1 0 1 0 Qn 1 1 1 D Q G Q ゲート G が 0 のときは状態保持,ゲート G が 1 の ときは入力 D の値がそのまま出力 Q に現れる 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 D フリップフロップ D CK Qn+1 0 エッジ以外 Qn 0 0 エッジ 1 エッジ以外 Qn 1 エッジ 1 D Q CK Q ポジティブ エッジトリガ D Q CK Q ネガティブ エッジトリガ クロック CK がエッジ以外のときは状態保持,ク ロック CK がエッジのときは入力 D の値が出力 Q に現れる 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 T フリップフロップ T フリップフロップ Q T Qn+1 エッジ以外 Qn エッジ Qn T Q T Q ポジティブ エッジトリガ Q ネガティブ エッジトリガ 入力 T がエッジ以外のときは状態保持,入力 T が エッジのときは出力反転 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路 FF の相互変換 JK-FF や D-FF を用いて T-FF を作ることができる (逆はできない) 1 D Q Q T T CK Q Q Q J T CK K Q (問) JK-FF を用いて D-FF を作るにはどうしたら良 いか? 山梨大学 工学部 電気電子工学科 ディジタル回路
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