(6) (第3種郵便物認可) 第2277号 2015年(平成27年)7月20日 増刊 オンタリオ州 Ontario 「おいしいオンタリオ」 観光+ローカルグルメで楽しむ カリナリー・ツーリズムが話題 ナイアガラの滝をはじめとする観光、アルゴンキンや ブルーマウンテンなどでのアウトドア体験やアガワ渓 谷での鉄道利用による紅葉ツアーなど、バリエーショ ン豊かな旅素材をもつオンタリオ州。様々なテーマと あわせてぜひ体験したいのが、各地の「味覚」だ。新 鮮で安全なローカル食材を使った食のブームが各地で 定着。人気のオンタリオワインも加わり、観光+グル メを満喫する「おいしいオンタリオ」が新たな旅スタ イルとして注目されている。 充実したカリナリー・ デスティネーション オンタリオ州ではここ10年ほど、食と旅をつなげた 「カリナリー・ツーリズム」が注目されている。オンタ リオ・カリナリー・ツーリズム連合(OCTA)という NPO組織もでき、州観光局などと協力しながら、各地 の味覚をコアにした旅をプロモーション中だ。 例えば、ブルー・マウンテン・リゾート近くの、リ ンゴのスイーツをクローズアップした「アップルパイ・ トレイル」 、手作りのチョコレートショップ巡りが楽し めるストラトフォードの「チョコレート・トレイル」 、 オンタリオ湖北岸のチーズ工房やビール醸造所を訪れ る「チェダー&エール・トレイル」など、州内にはカ リナリー・ツーリズム・デスティネーションがすでに 数十カ所もあり、それぞれがグルメをテーマにした観 光プログラムやイベントを提案。旅行者の集客につな げている。 アップルパイ・トレイルでも人気のブルー・マウンテン・リゾート 注目のグルメシティ オタワ 数あるオンタリオのグ ルメエリアの中でも最近 特に注目されているの が、 オタワだ。世界の国賓 も訪れる首都だけあり、 採れたての野菜やフルーツが並ぶ バイワード・マーケット 一流のシェフが集まって おり、洗練されたレストランも多い。特定の料理とい うよりは、中東料理のシュワルマから、飲茶、ベトナ ム料理、そして創作カナダ料理まで、国際都市らしく 様々な味覚がハイレベルで楽しめる点が自慢だ。 また近年この街では、健康的なローカル食材を使っ た料理をオタワ名物にしようというプログラム「セイ バー・オタワ」が繰り広げられている。たとえば街の中 心で観光スポットとなっているバイワード・マーケッ トに店を出す生産農家や小 売業者をはじめ、マーケッ ト周辺に集まる人気レスト ランまで、多くがこのプロ グラムに参加。地元の食材 を活用し、世界の味覚をお いしく提供する「オタワ料 理」のムーブメントを盛り 地元の食材を使うセイバー・オタワ 上げている。 参加レストランが多数 滝とワインとローカル食で定番の ナイアガラ オンタリオ州の特産品のひとつがワイン。有名なア イスワインだけでなく、近年では赤・白のテーブルワ インも国際的に高評価を得ており、旅行者のワイナ リー巡りも、かなり定着してきている。中でも人気が 高いのは、ナイアガラ地区で、周辺には60カ所ほどの ワイナリーが点在。多くの施設で見学ツアーや試飲、 ショッピングなどが可能だ。ナイアガラの滝とあわせ て数か所のワイナリーを訪問するスタイルが好評で、 トロントから日帰り、あるいは1泊2日程度のツアー も数多く出ている。 新鮮な食材を生かしたこだわりの料理をオンタリオワインと共に 滝を眺めながらナイアガラワインを楽しめる店も またレストランを併設 しているワイナリーも多 く、ナイアガラ産の野菜 やフルーツなどを活かし た料理と、自家製のワイ ンとのペアリングを提案 するなど、ワイナリーな らではの工夫も凝らされ ワイナリーツアーでは、 ている。ブドウ畑を望む 試飲やショッピングが可能 ような贅沢な立地のハイエンド店も多く、ゆっくりと こだわりの食事を満喫したい旅行者にも人気だ。最近 では、ヘリコプターを使い、ナイアガラの滝上空を遊 覧飛行した後、そのままワイナリーに飛んでランチ、 というアトラクションも登場。滝のダイナミックさを そのままツアーにしたような迫力とテンポの良さ、さ らにおいしさも加わり、評判となっている。 コアなワインファンなら PECの 「テイスト・トレイル」へ オンタリオ州のワイン産地は、南部のオンタリオ湖 とエリー湖の周辺に集中している。オンタリオワイン 品質管理同盟(VQA)では、4か所のアペレーション (指定ワイン産地)――ナイアガラ半島、プリンス・ エドワード・カウンティ、ピーリー・アイランドとエ リー湖北岸――を定め、それぞれの特徴や品質管理に 努めている。 ナイアガラ以外は日本人旅行者にはあまり馴染みが ないが、それぞれにユニークな見どころやテーマもあ り、オンタリオのリピーターやワインファンにおすす めできるエリアだ。 とくにプリンス・エドワード・カウンティは、冷涼 な気候とミネラル豊富な土壌が特長で、ピノノワール などデリケートな味わいのワイン生産に成功している 場所。一帯には家族経営の小規模ワイナリーが30カ所 以上あり、州内のリカーストアにもあまり出回らない 希少ワインが味わえるとあり、世界のワイン通たちも 注目している。 またここは、 上記でも紹介したOCTAのカリナリー・ ツーリズム・デスティネーションの人気エリアでもあ る。自然農法の農場やチーズ工房、それらを利用した 評判のレストランや、ワイナリーなどを巡る「テイス ト・トレイル」という観光ルートは、ドライブしなが ら楽しむ個人旅行に最適だ。トロントやオタワから車 で2~3時間程度と近く、気軽に足を延ばすことがで きる。 「テイスト・トレイル」に沿ってのどかな田園地帯を巡る ウィンザーを入口に カナダワインとウィスキーの旅 そしてもう一つのワインアペレーション、ピーリー・ アイランドとエリー湖北岸は、カナダワイン発祥の地 と言える場所。ワイナリーは20カ所程度だが、リゾー ト島としても人気のピーリー・アイランドや砂州が美 しいポイント・ピーリー 国立公園など、見所も多 く、観光とあわせて訪れ るのに最適だ。 ゲートウェイとなるの はアメリカ国境にある ウィンザー。ここは、 「カ ナディアン・クラブ・ウィ アメリカからの旅行者も多い ピーリー・アイランド スキー」の故郷としても 知られる。ワインとあわせて、禁酒法時代を経て世界 的に有名になったカナディアンウィスキーの誕生秘話 を探るのも面白いだろう。街は、アメリカのデトロイ トから川を渡った対岸にあるので、デトロイト空港か ら訪れるのも便利だ。 各地で楽しめるクラフトビール 大好評! 人気3都市のレストラン情報 「おいしいオンタリオ」グルメマップ オンタリオ州の旅行情報サイト「オンタリオスタイル」で は、グルメ情報を特集した「おいしいオンタリオ」を更新 中だ。トロント、ナイアガラに続きオタワのおすすめレス トラン情報も新たに紹介されており、旅先で便利なグルメ マップも用意されている。グルメマップはウエブサイトか らダウンロードが可能なほか、エージェント向けには、顧 客向け販促ツールとして情報満載のプリント版も配布して いる。ポケットサイズで旅先でも使いやすいと、かなり好 評だ。問い合わせはオンタリオ州観光局へ。 www.ontariostyle.com/oishi オンタリオ州はビールファンにとってもパラダイス だ。モルソン、ラバットといったナショナル・ブラン ド・ビールのほか、たいていの街にクラフトビールの 醸造所があり、様々なタイプのビールを作っている。 レストランやパブでも、カウンターにたくさんの地 ビールのタップを並べ ているところは多い。 中には、自家醸造所を 持ち出来たてのビール を味わえるブリューパ ブもあり、季節ごとに 気候に合ったビールを 作って出している。州内50以上の醸造所が参加する Ontario Craft Brewersという組織もあり、ホーム ページ(www.ontariocraftbrewers.com)では各地 で飲めるビールや店の紹介もしている。 写真:ontariostyle.com, OTMPC
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